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オトナの恋愛考
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2017年10月30日(月) 戯言


最近つくづく思う。
ここでの私と現実での私。
どちらも私なんだけど。

初冬の夕暮れ時に西日の差す和室に珍しくパソコンを持ち込み
窓の外の夕焼けを見ながらこの日記をしたためている。
いつもはダイニングの席が定位置なんだけど
今日は午後からちょっとした仕事関係のオンライン会議があったので
一人になれる、いつもは滅多に利用しない我が家で一番日当たりの良い
南向きの10畳の部屋で一人になる。リビングからはテレビの音が微かに聞こえる。

この7年に渡るひろとの膨大な時間が架空の世界に感じてしまう。
これがフィクションだったら私はちょっとした恋愛小説家になれるだろう。

もう今月が終わる。来月からたぶん年末まで忙しい。

「今年はあと2回逢えるね」

ひろの言葉だけが私の真実なのだ。


2017年10月20日(金) 秘密


ついさっきまでひろと一緒だった。
今月はランチやディナーのおつきあいが多く
なんだか胃腸がご馳走疲れしていた気分だったが
でもひろとの食事は別腹なのだからお店は吟味して。

いつもと違った雰囲気で小さな京都を想わせる
古い旅館が運営している趣のある古い建物で
旬のお野菜中心な食事ができる
近郊の温泉エリアにあるレストランをチョイスした。

苔むした風情のある門をくぐると
そこは建築雑誌にも掲載された古い別荘を利用したエリアだった。
隣にはお寺があって仏舎利塔まで見えてちょっとした京都旅行の気分だった。

ビュッフェでなくひとつひとつ出てきたら
立派な懐石料理になるようなとても品の良い味付けの料理の数々。
最近健康に自信がなくなってきたひろがとても喜んでくれたのも嬉しかった。

その後定宿になってしまった隠れやでいつものように一緒にお風呂に入って愛し合い
それからひろが買ってきてくれた千疋屋のハロウィン仕様のケーキを頂きながら
映画を観たりイチャイチャしたりして過ごした。

イケメン路線の若手俳優が汚れ役をやって話題になった映画だったが
ハッピーエンドではなく悲しい別れのラストに胸が痛んだ。
痛んだ胸はひろと駅で別れて改札まで見えなくなるまで見送って
それから新幹線が出てから今日のメッセージを送ってくれるまで続いた。

ひろと一緒についつい悲しい映画を観るのはやめよう。
ヒロインに感情移入してそれがあたかも自分に降りかかった悲劇のように
胸にガラスの破片が刺さって血を流した気分になってしまうから。
悲しくてこのままもう二度とひろに逢えなくなることを想像してしまうから。

「また逢いに来て良い?」
今日は珍しくこんな風に聞いてきた。
「また逢いに来てくれるの?」
そんな風に答えてしまうのも映画のせい。

気分を切り替えて家に着いてしまえば日常の戻るのに
彼との時間は日常ではなかったことにしなければいけない二人の秘密。
だから悲しい映画をもう観るのはやめようと思った。


2017年10月05日(木) 覚書


あまりにも自然に当たり前のように9月の第3週末にひろと過ごした。
あまりにも日常的だったのでうっかり日記にアップするのを忘れた。

だから覚書程度に。

いつもの時刻にひろは新幹線でやってきて
いつものように駅の駐車場で待つ私の車に乗り込んで
「おはようございます。今日はどちらへいらっしゃいますか」などと
ふざけながらお互いに微笑みあって。
「ではひろさま、今日の昼食は川魚の美味しいお店にご案内いたします。
 その後はきまったコースではなくお客様のお好きな自由プランですので
 ワタクシはどこへでもお供いたします」と旅行会社の添乗員になりきって言った。

これは先月からのひろがお気に入りの旅行者と添乗員に扮しての
お遊びごっこの会話なのだ。

にこにこしながら嬉しそうにひろは
「いつもお世話になります、それではお風呂に入ってゆっくり寛げるコースでお願いします」
と、答えて自分でハンドルを握った。

お昼は私が前もって探して決めておいた
天城の奥にある川魚料理のお店。駅から小一時間程度だった。

ひろはわさび定食(彼はわさびをそのまま食べてしまうくらいに好物)
私はあまごの漬け丼定食、それに追加であまごの塩焼き。
代わる代わる仲良くシェアしながら美味しく頂いて
それからお風呂にゆっくり浸かってのんびり寛げる場所へ。
5時間ほど滞在して中2時間は戦争映画を鑑賞していたのだから
なんだかおかしなデートタイムだったが
それはそれで楽しかったのだから良いとしよう。

あまり日常的にならないように。
それが当たり前になったら失うのが辛くなる。

あくまでも非日常の関係でいないと悲しくなる。
次からはもう少し特別感を出して丁寧に過ごそう。


夢うさぎ |MAIL

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