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オトナの恋愛考
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2013年05月30日(木) 近距離と遠距離の関係


明日は久しぶりに短時間のデート。
でも短いといっても午後2時に新横浜で待ち合わせて
「何時頃まで大丈夫?」と私から聞いたら
「夜8時か9時頃まで大丈夫だよ。」と返事が返ってきた。

お互いに11時頃まで帰宅出来そうだし
そのくらいがちょうどいいと思う。ちょっと物足りないような気もするけど
よく考えれば私も9時に新幹線に乗るのがタイムリミットだ。

もっと若い頃は相手が誰だかはひろには言えないけど
泊まりじゃなくても真夜中まで一緒は当たり前だった。
でもそれは車で数十分移動でどこでも行けるような
近くに住んでいた相手(すべて地元)だったから
やっぱり遠距離なんだなーとつくづく感じた。

まあそれでも最近はお泊りも少し難しくなってきたから
逢えるだけでも嬉しいということにしよう。

さて何を着ていくか未だに決まらず
早めにシャワーを浴びて全身の手入れをして
ひろが大好きなすべすべなお肌になって寝よう。

では。


2013年05月26日(日) 憧れのHERO

今度の金曜日の午後からひろと約束をした。
お互いの都合でほんの数時間しか逢えない。

昨年は贅沢なお泊りデートばかりだった。
なので今年はちょっと控えようかな、と思っていた。
金銭的にも時間的にもちょっと羽目を外しすぎた。
まあ非日常の関係だからとたまに逢う時くらいは贅沢な時間を
お互いに許していたけれど思うところは一緒のようだ。

オンナはワガママで自分だってそう思っているくせに
相手もそう思っている事を何となく感じると
それはそれでちょっと気に入らない。
だからどうしたいんだ、と言われても
そのちょっと物足りない感じでちょうどいいのだから仕方がない。

昨夜久しぶりに彼の勤める企業の評判だとか経済ニュースだとか
暇だったのでみたけれど業界内では最大手の大企業だと再認識。
それはまさにモンスター級だ。
だからこそひろはそこでのし上がっていくにはちょっとばかり人が良すぎた。
2年ほど前に彼と同期で部長に昇進した人が贈収賄の罪でニュースになった。
結局あの会社で出世しようと思ったら普通に努力しても無理なのだ。

今以上昇進できない高収入の管理職は会社では重荷になる、
ひろは今年子会社へ転籍になってしまったけれど
身体的にはかなり重圧から逃れる事ができたので
それはそれで良かったと思う。

ただ私にとっての憧れのヒーローは
今はもう普通の愛するオトコに成り下がっているけれど
それはそれで愛しい存在であるのは間違いないと思う。


2013年05月20日(月) レンアイ禁断症状


昨夜この日記を書いていて
無性にひろに逢いたくなって気づくと頬が濡れていた。
あんなこと、オトコのことを想って涙がでることなんて
本当にここ数年なかったことで、自分にまだあんな感受性というか
レンアイ感情というか、そういう類いのものは
もうとっくに枯れてしまっていると思っていた。

なんだかおかしい。オトコに逢いたいと思うのは
性愛的な欲求だったら以前ならそれが気持ちの問題でも理解できる。
しかしひろに抱きしめて欲しいとか口づけして欲しいとかじゃなく
ただ本当に素直に彼に逢いたい。笑顔をみたい。声を聞きたい。
そんな欲求。もう逢えないとか逢わないとか思うだけで涙がでてくる。

なんだろうなあ、この胸の苦しさは。と思っていたら今朝の彼からのメッセージ。
「おはよう、うさちゃん。
 今日はちょっと涼しくて気持ちいいね。
 そろそろ逢いたい禁断症状がでてきちゃったよ。
 今からいってきます。」
だって。私は逢いたい症候群だと返信しておいた。

ひろの場合は性的欲求かもしれないけどそれはそれで嬉しい。
私の場合は精神的な欲求なのかな。両方だな、ひろに対しては。(笑)



2013年05月19日(日) ラブ・アクチュアリー


あと一週間あまりでひろと逢ってから一ヶ月が経とうとしている。
もう一ヶ月も経つんだ。あの岬のペンションで過ごした昼下がりの日から。

二人きりの時間はこの数年間、普通の月に一度の逢瀬なのに
逢わない時間は私と彼の世界を遠ざける。
二人で過ごす時間は当たり前の時間なのに
逢わない時間は私と彼の世界を遠ざける。
あんなに親しみと愛情を感じながら触れ合っていたはずなのに
こうして逢わない時間は彼の顔も身体も匂いも肌触りも現実感がない。
こんなに逢いたい触れたいと想っていても彼は妄想の恋人のよう。

なんか陳腐なラブソングみたいなことを書いてる。
きっと今日観た映画のせい。実際の愛。私にとってそれはどこにあるのだろう。

数年前まではこの日記は恋にあふれていた。
実際の生活とは無縁の私はラブストーリーの主人公だった。
でも今はもう現実を無条件で当たり前のこととして受け止め
日々平穏無事な人生を望んでいる。夫と愛犬と私の毎日、それが現実。
久しぶりにウォーキングに夫を誘い、小一時間ほどブラブラと自宅周辺を散策して
それから近くにできたコーヒーショップで軽いランチを食べて
春になると満開の桜でいっぱいになる堤防を歩いて家路についた。
家に帰ると愛犬が出迎える。いつものようにぐりぐりとなで回して
それから借りて来た期限が今日であったことを思い出して
初めてDVDでなくブルーレイで映画を観た。
趣味と意見と世代の隔たりを感じる夫はこういう映画は観ない。
なので私は愛犬を膝に抱いて一人で観た。とても素敵な映画だった。
自分だったらどの主人公だろうと想像した。どの主人公にも当てはまらないけれど
でも素直にすべてがハッピーエンドで素敵な映画だった。
若い頃は悲恋ものやらオカルトやら衝撃のラストシーンの映画が好みだったけど
この年齢にもなるとハッピーエンドの映画が一番気持ち的に楽だ。
すべての人々が幸せになることを願ってはいるけれど
私と彼の関係はすべての人々をキズつけてしまうかもしれない。
だから私は逢えない時間を憂うことなくハッピーに暮らしていくことに努力する。

そして彼の夢の実現を密かに願う。私はたぶんひろを愛してるのだと思う。
自分たちに愛する家族がいても。それはそれで大切なことはお互いにわかってる。
だからその夢が叶ったときはきっと関係は終わりを迎えているだろう。
でも彼の夢が叶うように私は遠い空の下で静かに祈る。



ラブ・アクチュアリー 
実際の愛は私にとっては何なのか今はまったくわからない。


2013年05月10日(金) 閑話休題


それはさておき(笑)

やっぱり私はひろが好きなんだなーと思った。
あんなに憤慨していたのに
もう今日は楽しい会話(メールだけど)で一日気分良く過ごした。

まあ日常関わる存在じゃないので
逢っているときだけが私たちの時間なのだから。



2013年05月08日(水) 事件の顛末

ちょうど2週間前にあの事件から2ヶ月ぶりにひろと逢った。

久しぶりに逢った彼は心配していたほどやつれてもなく
元気そうでホッとした。
もう日常の生活に戻りつつある事はメールで知っていたので
敢て私からはその事に触れずに「元気そうで良かった。」とだけ
車の助手席に乗り込んだ彼に伝えた。

それから予め調べておいた鮮魚の仲買人直営店でランチをとるために
伊豆の海岸線に車を走らせた。風が心地よくよけいな事は考えずに
他愛もないことを話しながら笑った。
美味しい海の幸を堪能してそれから彼が予約してくれた海の近くの
ペンションに向かった。

小さな岬の先の海岸線近くの急勾配の山道をのぼっていくと
山肌にそって建てられた瀟洒でこじんまりとした宿はあった。
ほどんど人影もなく宿のドアを開けるとその宿の主が迎えてくれた。

GW前の静かな金曜の午後、私たちは最上階の角部屋で過ごした。
ひろは新幹線に乗った駅なかの洋菓子店で
美味しいケーキをお土産に持ってきてくれていた。
ベランダに出ると山の上から望む相模湾は
波もなく静かな水平線をえがいていた。

「鞄もサイフも全部買い替えたよ。」と唐突にひろが言った。
私は自分からは言うつもりもなかったけれど
彼の口から出た一言でなるべく控えめに慎重に訊いてみた。

しかし、彼からの答えは断片的であまり言いたくなさそうだったので
それほど深く追求するつもりもなかったが
もう時間も経ってほぼ平常に戻っていたのだろうけれど
さりげなく彼の口からでた断片的な言葉の一言一言は
私の想像を遥かに越えた事件の全容が伝わってきて
彼に逢えた嬉しさよりも本人がもうとっくに慣れ親しんでしまった
厳しい現状やら騙された屈辱やら騙された悔しさが
私の全身を襲って思考は一瞬凍り付いてしまった。

少しゆっくり深呼吸をしてから「本当に気をつけてね。」と
それだけ言おうとしたはずだったのに
それは私の口からするりと出てしまった。

「あのね、あなたのその鞄に何が入っていたかは私には関係の無い事。
 ただあなたが無事でいてくれて良かったと本当に思う。」

彼にとってはその仕事用の鞄は、ビジネス上非常に大切なものだっただろうし
会社のデータやら社員証やらいろいろなものが盗難にあったのだから
会社での彼の立場を思うと、相当の痛手だった事は想像に難くない。

でも私にとっては関係のないもの。
彼自身が無事だったのだからそれで良い、と
自分自身に言い聞かせたかったのかもしれない。

ただ彼が断片的に私の問いかけに答えた言葉が
彼と別れた後にもずっと頭から離れなかった。

 
 だって強引に誘われたんだよ。
 そんなに飲んだ訳じゃなかったんだよ。
 二杯目を飲んだ後意識がなくなって何も覚えていないんだよね。

 え?電車で泥酔して眠り込んでいた間に盗まれたんじゃないの?

 うーん、誘われて二杯くらいしか飲んでいなかったから
 きっと何か薬を入れられたんだと思う。


彼から「薬を酒に入れられた」ときいてすぐに言葉がでてこなかった。
泥酔して眠り込んだ電車の中で置き引きに遭ったのだと思い込んでいた。

 じゃあ店で飲んで眠っているうちに鞄を持って行かれたの?
 だったら店を覚えているでしょ。店で気がついたんじゃないの?

 気がついたのは朝だった。

 じゃあ路上にでも寝ていたの?

 ううん、気づいたら街を歩いていた。


私はすべてを悟ったような気がしたけれど
これからつかの間、二人がふれあえる時間が始まったばかりで
そんな疑惑は打ち消してしまいたかった。

 私はあなたが無事だったからそれで良い。

とだけ言ってその話題はそれ以上続けなかった。
彼の答えは断片的でつじつまが合わなかった。
それはいくつかの事実を彼が私にしゃべりたくないからだ。


誰かに強引に誘われて一緒に飲み始めて
二杯目で気を失って気がついたら朝になっていて
鞄は消え失せていた。ただそれだけの事だった。

警察にいって事情徴収をうけてクレジット会社やら銀行やらに
問い合わせた時点で彼のカードで数十万円が使い込まれていた。
結局未だに犯人も鞄もどこかに消え失せてしまっていた。

ただそれだけの事だった。
打ち拉がれて必死でそれからの2ヶ月が流れ
やっと落ち着いて私に逢えて癒されたいと思っていただろう
ひろをそれ以上私がどうして責める事ができるのか。

久しぶりに抱き合って、それから初夏の太陽がまぶしいバルコニーで
コーヒーをのんで他愛も無い事をしゃべって
貸し切り露天風呂を満喫して彼のお土産のケーキをほおばって
何か得体のしれないものが頭のどこかにへばりついたままだったが
それでも久しぶりの楽しいつかの間の時間が過ぎて行った。

 もうキレイなオネエサンに腕を引っ張られても
 簡単に付いて行っちゃダメよ。

冗談のつもりで露天風呂へ行く為に彼の手を引っ張りながら
そう言った時に何とも言えない表情の無言の彼の反応が
私の想像を肯定していた。

見知らぬオトコに酒を奨められて飲む訳がない。
強引に誘ったのは見知らぬ若くて魅力的なオンナだったからだ。
そのオンナについていったのは間違いなく下心があったからだ。
町中の居酒屋やパブで同席のオトコのグラスに薬を入れることは困難だ。
それができたのは飲んでいた場所が他に人気のない個室だったからだ。
朝気がついたのは街じゃなくてその部屋だったからだろう。
薬で眠らされたのだから、その犯人のオンナとは何もなかったかもしれないし
もしかしたらコトが済んだ後だったかもしれない。
そんな事はどうでもよく、私が悔しいのはそんな事件に簡単に
まんまと嵌められた彼のリスク管理のなさとオンナに対するだらしなさ。
そしてそれによって自業自得だとは言え多大な損失を被ってしまった馬鹿さ加減。
そしてそんな彼に対して私は何もしてあげられないということ。

可哀想なオトコを更に責める気もなく
さっさと東京へ返すつもりで車を走らせていくと
「ねえ晩ご飯も一緒に食べようよ。」と珍しい事を言った。
いつもは私の方が別れ難くそんな風に甘えるのが常だったはずだ。

今まで伊豆の旅行で何度か食事をしたことがある
道の駅のような施設内の海のみえるレストランで軽い食事をしながら
彼がこれから実現したい事業の話を聞けたことが唯一の救いだった。

 会社をいつ辞めるか迷ってる。
 いろいろ考えて行くと定年では遅いんだよね。

 うん、私もそう思う。経済的なことも考えながら
 やっぱり気力のあるうちの方がいいと思う。

 そうだよね。県への法人登録も早くても半年はかかるらしいから
 いざスタートしようとしてもすぐには始めることが出来ないし。

 じゃあ準備だけでももうしていかないと。
 でも今の会社にいるうちは大々的には動く事はできないでしょ。

 そうなんだよ。今のままでもそこそこの給料はもらえるからね。
 自分で始めるとなると収入がゼロじゃなにも出来ない。

 私にできることがあったら何でも言ってね。

 うん、ありがとう。

そんな内容だったと思う。何かを実現しようと決意してるオトコは好きだ。
本当に彼には成功して欲しい。その時はもう私たちは別れているだろう。
その頃は遠い空の下で彼の為に祈るばかりだ。

オンナに騙されるバカなオトコにだけは
なって欲しくないのが惚れた男へのホンネなのだ。






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