オトナの恋愛考
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満月が少し欠けた夜に最後に電話をかけてから もう1ヶ月が経った。
納得して別れたはずだった。 お互いに「楽しかったね。」「ありがとう。」 と言えて別れたなずだった。
出逢ったあの日から別れに向かっている事は 十分に理解できているつもりだった。
逢わなければお互いに忙しい日々の中で 記憶は美しい想い出に変わっていくはずだった。
「こうやって逢ってるといつも逢ってるみたいなのに 逢わないと逢わない事が普通になっていく感覚なの。」 ・・・とうとうととした心地よい浮遊感を感じながら 夢見心地で彼にささやいた事があった。彼は何も答えなかった。
だから逢えなくなってもそれは日常の事になっていくはずだった。
でも時間が経てば経つほど 自分たちがもう二度と逢えないという事実が現実感を伴わなくなって 私は今でもそれを受け入れる事が出来ないでいる事を知った。
毎日のメールはなくなった。 「時々は近況メール送ってね。私はそれだけで元気に生きていけるから。」 私が最後に電話で願った言葉通りに 律儀なひろは1週間に一度「元気?」「今日は出張で今羽田だよ。」と 何もなかったかのようにメールをくれた。 「たまにはうさちゃんからメールしても良いんだよ。」と言ってくれたけど 「ううん、私は待っている方が好きだからひろから時間がある時に時々してね。」と送った。
私は待つ方が好き。 自分から送って彼からの返事を気が遠くなるくらい待つのなら 彼からきたメッセージに返事を送る方が良い。
いつか1ヶ月に一度になり3ヶ月に一度になり そのうちに音信が途絶えたらそれで私の恋は終わりを告げる。
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