それは10月、まだ寒波の冬がやってくる前、暖冬と予想されていたにしろ、一応秋だよ。だからまぁ寒いって話デスよ。なんだか知らないけど、わしの家のふたがあいていたんだ。出てもいいよ、と言わんばかりに。だから出た。
　あのね、わしの家は3階建てで、その家が高さ40センチはあろうかの台の上に乗っているの。家から自分で出るってことは、約1メートルの高さから落ちるってことなの。すごいでしょ、落ちたの、わし。
　それでね、わしらのいる居間の戸が開いていたんだ。開いているんだもん、出るでしょ。だから出た。
　ツルツルすべる廊下を歩いてね、なんだか変なところに着いたんだ。ガラーンとしててひゃっこくて、隠れる場所がないところなの。そこは段差があって、入ったはいいけど自力で出られなくなっちゃってね、どうにもしかたないからしばらくずっと長い間そこにいるしかなくなっちゃったの。まぁ…半日？
　ってゆーかさ、そこお風呂場なんだけど、夕方になってロズがお風呂を入れにきたんだ。ねぇ、そこで気づくよね、ふつう。だってわし、そこかしこにうんちやおしっこしてんだよ。なのにお風呂が沸くまで気づかなかったんだよ！　なにそれ？！　こっちはひんやりしたタイルの上で半日もいたのに。
　でもね、おかしかった。お風呂を見にきたロズと目があってね、すごいびびってた。「え？　ジャン？　え？　誰？」って、ジャンじゃなきゃ誰なんだよ、って話デスよ。
　うん、湯船の近くがあったかくなってたから、それまで居たところから湯船の近くまで移動してたんだ。
　秋でよかったって話デスよ。この冬の寒さだったら死んでる。

　デジィの誕生日にクイーンアリスってとこのケーキを買ったんだ。
　そのケーキの箱が可愛らしくもお家の形をしてたんだ。なんと2階建て！
　で、それ、わしらの遊び場になった！
　お家の中にお菓子の空き箱を入れて、ロズが楽しいようにアレンジして用意してくれたんだけど、これまでの空き箱だらけの遊園地の方がわしには面白いし落ち着くって話デスよ。
　だからわしもままんもアリスのお家より空き箱遊園地にばっかり遊びに行くデスよ。
　でも年末じゃん？　大掃除の時、遊園地の模様替えするんだって。
　なにしろ遊園地のそこかしこにわしらのかじりあとやナッツの殻、うんちが散乱してるから（さすがにオシッコはしないけどね）、お気に入りの箱も処分されちゃうかも。
　したらアリスのお家も楽しくなるかもね、ってロズの話デスよ。
　でもそういうことじゃないんだな。
　ほら、やっぱり収まりのいい所ってあるからね。
　まったくわかっちゃないね。
　そうそう、アリスのお家の中身のケーキはわしらも少しもらったよ。おいしかったけど、ロズやデジィはたいしたことないねって話してた。これならコージーコーナーで充分だよなんて言ってる。
　コージーコーナーってなに？
　人間様は贅沢だなぁ。

　ハロウィンのカボチャがあるデスよ。
ロズがお友達にもらったやつなんだけど、ハロウィンが終わっても、わしらの遊び道具として遊園地に置いてあったデスよ。
わしはすごくそのカボチャが気になって、だって食べれる匂いしてるし、だからこないだかじってみたデスよ。そしたらやっぱり！ 食べれるじゃないの！　　
そんなにおいしいものではないけど、毎食もらってるペレットよりはマシって話デスよ。
でもすぐさま取り上げられた。
ロズに言わせると、それは食料品店で売ってるものではなく花屋とかで売ってるもので、あくまでインテリアの一つであり、人間様が食べたという話は聞かないからだって。
でもさ、わしら人間様と違ってカボチャもお芋もブロッコリーも生で食べれるドーブツなんだよね。
ケチ。