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例えるなら、ゼファーはWin、爆烈丸はLinux、マジドーラとバウルスはMacで、シュテルはMacのガワの中にインテル入ってる。 こんばんは、TALK-Gです。 実は少し前に、パソコンが逝ってしまいました。 それはもう呆気なく。何の予兆も見せず。 あれだけ酷使していたらそれも無理は無いと言うか、寧ろ今までよく持ったなあと、今ならそう思えるのですが、壊れた直後はオロオロと戸惑うばかりでした。 常日頃からの心構えを怠っているとこんな目に遭うのですね……。 日頃の備えの大事さは、前に調子が悪くなった時やモニタが逝った時に身に染みて感じた筈なのに、進歩無さ過ぎだと今回ばかりはグッタリ。 で、いつまでもただの箱と化したものを眺めて呆然としている訳にもいかないので、これを好い期とばかりに新しいパソコンを購入しました。 自分に必要が無い情報となると、人間とたんに疎くなるもので、久々に足を踏み入れた量販店のパソコン売り場には、デッカイ液晶モニタを備えたオッシャレーな新型モデルのパソコンがズラリズラリ。 私のパソコン、DVDが見られるんだよ!と自慢できた時代から遥かに時は流れ、いまやDVDを見るのは勿論焼くのも編集するのもお茶の子さいさいなのですね。 で、デスクトップ型にはどれもこれもテレビを見られる機能がくっついている。しかもそれが録画できたり。 あー、凄いなあ、と思いながら田舎者丸出しの挙動で見て回っていましたら、すすっと売り場のお兄さんが近付いてきまして…… 気がついたらモニタと本体一体型のパソコンを買わされていました。 凄いね、CPU2.80GHzだって……私がこないだまで使っていたパソコン、680MHzだったよ。メモリも欲張って限界まで足して貰ったら1Gありました。これまで384Mでヒイヒイ言っていたのが嘘の様。 入っているOSは無論XP。WINDOWS史上最凶・ドジっ子駄々っ子カギカッコと三拍子揃った愛しのME(長い枕詞)の様なハラハラ感は微塵も無く、要らん所まで手が届くとでも言うしかないほどサクサクと動きます。 アレだ、きっとこういうのをクラスチェンジと言うのだな。 だったらあのお兄さんは即ちホワイトドラゴンの化身か。 これまでとの余りの差を目の当たりにしてしばし浮かれていましたが、しかしよくよく考えても見れば、この凄い能力(私的に)を生かせる術がトンと思いつきません。 必死に考えてみても、モノクロ印刷に耐えうる漫画原稿を作れる、とかその辺り。しかも私はそんなコンスタントに白黒まぶしいカッコイイ漫画を描ける技術は持ち合わせていない。どちらかというと字書きだ。あまつさえどんな長文でも大抵メモ帳で打っている。おお。 そんな訳で、今は「画像綺麗だなー動き早いなーOSお節介なまでに賢いなー」とただただうっふりする日々を過ごしています。 折角やってきたスゲー能力のものに、うっとりすることしか出来ず持ち腐らせている己の無能の情けなさよ。 ガルデンを己の配下に加えた時のギザルもこんな心境だったに違いない。 無理やりリューの話題にして終わる。
和菓子屋さんの店先に、綺麗でかわいい桜餅やうぐいす餅が並ぶ季節となりましたね。 突然ですが、マジドーラとシュテルは仲が悪いだろう(少なくとも良くは無いだろう、多分)と思っています。 この二人(人?)ならばきっと、「和菓子屋さんの店先に並んでいた桜餅を、乗り手に貢がんとしてうきうきと買ってきた所で鉢合わせ」なんてほのぼのシチュエーションすら、胆の冷える罵り合いに発展するに違いない、と。 「貴様、何だこの薄っぺらな菓子は!小麦粉を焼いた皮で餡を包んだだけの、これのどこが桜餅だ!ふざけるな!!」 「あんたこそ何よこれ!もち米の中に餡を入れるって、彼岸のおはぎと勘違いしてるんじゃないの?! 大体もち米をピンク色に染めてある時点でおかしいのよあんたの地方の桜餅は!!」 「貴様にピンクがどうのこうのと言われたくないわ、このドピンク頭ァ!!!」 醜い争いをしている従者をおいて、ロイヤルでセレブな乗り手たちは、少し早い春のお菓子にうっとりまったり。 日の出国出身の乗り手たちの勧めるお茶の素晴らしい香りに、オリエンタル・ヒノデの神秘を満喫。 そんな幸福な姿に心を打たれ、毒気を抜かれて、従者たちも争いの手を止めます。 が、それも束の間、今度は「桜餅についている塩漬けの桜の葉は食べるべきか否か」で罵り合いですよ。 「食べるわけ無いでしょう、あれは飾りよ!あれを食べるって言うならあんた、柏餅を巻いてる柏の葉や笹団子を巻いてる笹の葉も食べるわけ?どうりでカミキリムシみたいな顔してる筈よね!!!」 「き、貴様、言うに事欠いて何という事を!!これだから風流を解さぬ奴は!!」 「赤と黒の毒虫みたいな体色の奴が風流とか言ってるんじゃないわよ!大体、甘い桜餅になんであんなしょっぱいものが巻いてあるのよ?要らないでしょう普通に考えたら!!」 「貴様にだけは体色の事を言われたくない!!それに甘味に塩味を加えるのは、スイカに塩・ぜんざいに塩昆布の例を見ても判る様に、至極一般的なものであろうが!!」 更に此処から「ぜんざいと汁粉はどちらが美味いか」「入れる餅は四角か丸か」「そもそも正月のお雑煮論争だって決着していない」とどうでもいい論議がエスカレート、最後には殴り合い。 結局は「もう貴様の顔など見たくも無い!」と、互いに向かって岩塩を投げつけて別れる事になる二人ですが、悲しいかな、乗り手同士はこの優雅なお茶会をいたく気に入っておりまして。 結果、それほど日も経たぬ内に二人は、またも手に菓子を持参の上でお互い合わせたくも無い顔を合わせる事となるのでした。 パッフィーとガルデンがお互いの因縁を超えた所で、お友達として仲良くなってくれたら萌えるなあという話。 其処にグラチェスも入ってくれるともっと良い。
ホテイ氏の久々のニューシングルを買いました。 表題曲は勿論イイ感じだったのですが、個人的にはカップリング曲の方がグッときました。 「忍耐決して報われず 頑張って損して挙句に LET ME DOWN」というヘナヘナな男(多分)の曲なのですが、聞いている内に某苦労性デリンガーを思い出して目頭が熱くなりました。 あと、表題曲に登場する「喜怒哀楽主義」。 O塚愛嬢が歌えばキュートでかわゆらしく聞こえる言葉であろうに、ホテイ氏が歌うと途端にとてつもなく物騒なものに聞こえるのは何故。 ――――― 受験シーズンということで、最近、大学の入学試験合格者番号お知らせレタックスシステム(略して大レタ)の準備で局内がばたばたとしていて、やたらと忙しないです。 「マジドーラ総務主任、まだカオスティア局からの返答は無いのか?」 「そうなのよゼファー上席課長代理。 困ったわ……もう何度も問い合わせているのだけど」 「遅すぎるではないか、通常二日あれば十分のところを、四日も五日も待たせおって!!」 「そう言ってやるな、シュテル課長代理。カオスティア局はお前の古巣だろう」 「古巣など関係ないわ!この遅れの所為で、もう何日ガルデン様にお独りでの夕餉を強いていると思っているのだ!! ああ……嘆かわしい。あの寒々としたダイニングで独り、作りたてでない料理を召し上がっているお姿を想像しただけで、わたしは……!!」 「(また始まったわ……)」 「おのれカオスティアの有象無象どもめ……年賀状販売の際に予約客を横取りしたのを、未だに恨みに思っているとみえる」 「あんた、妙に営業成績が良いと思ったらそんな事してたの……」 「……恨みなどは別としても、今年のカオスティア局は、様々な面に於いて不手際が目立つ気がするな」 「そうね……局長が代わった所為じゃないかしら」 「局長が代わっただと?」 「ええ。今の局長はガチガチに保守的な上に、何でも自分の思い通りにならなきゃ嫌だっていうタイプみたい。おまけに来客のたびに局員をかり出して接待させたり、お陰で仕事が進まないって聞いたわよ」 「そうか……それは厄介だな」 「ふん、カオスティアらしい小物の局長ではないか。 それに、どんな暴君だろうが此処の白竜局長よりはましであろうよ」 「あんた、この部屋の隣が局長室だっていうの判ってる?だから営業成績トップのくせに、査定でマイナス喰らうのよ。 ……それにその局長、名前だけなら大物よ。あのアイザック家の当主で…」 ガタン!! 「な、なんだシュテル、いきなり立ち上がって」 「アイザック……アイザックだと?あのアイザックが、カオスティア局の局長だと?!」 「そ、それがどうしたのよ。知り合いなの?」 「知らいでか!わたしがまだカオスティア局の一般職員だった頃、アースティア支社の上司であったあ奴の為にどれほど苦汁を嘗めたか!! いや、わたしだけならまだ良い!忘れもしない冬のあの日、街でばったり出くわしたあ奴は、不運にもその場に居られたガルデン様に対して信じられぬ破廉恥行為を……!!! グアアアアアア!!!」 「い、いかん、我を忘れて邪竜形態に変身した!!」 「ちょと、落ち着きなさいよ!!」 「落ち着いていられるか!嘗てガルデン様とわたしの間を裂き、ようやっと関係が修復した所でまたしても現れるとは!! おのれ怨敵アイザック、今度こそ引導を渡してくれる!!」 「待ちなさいシュテル、局長室から重いだけが取り得の旧ポスト型貯金箱なんて持ち出してどこに行くのよ!!」 「まさか局長が毎日10円玉を入れて早数ヶ月、今や重いにも程がある陶製の貯金箱を鈍器の代わりにするつもりではないだろうな?!」 「やめなさい!そんなガラスの灰皿で殴られた方がマシ級の凶器なんて、残忍すぎるわ!!……ああ、飛び出して行ったわ……あのバカ……!!」 「くっ、こうなったら局内最速を誇る第一集配営業課集荷センター長の爆烈丸に頼んで捕まえるしか……!」 「そう言うかと思って、既に彼を呼んであるわ!」 「な、何なんだよいきなり、やっと集荷めぐりから帰ってきたところだっつうのに……」 「実は、シュテル課代が……」 「……という訳なの。早く彼を連れ戻さないと、大変な事になるわ!」 「あのなあ……何でそんな事を俺に頼むんだよ。俺も疲れてるんだから勘弁してくれよ」 「疲れているのはこちらも同じだ!!こうして頭を下げているのに何だその態度は!!!」 「それの何処が頭下げた態度だ!!大体お前ら、この時期になったら無茶なスケジュールの配達依頼を集配にねじこみやがって、集配課はコミケ前の印刷所じゃないっつーの!!!」 次回、「郵便体系エルドギア局物語」第129話・「アイザック死すべし・ガルデン様が一緒にお風呂に入ってくれなくなったのは貴様の所為」、お楽しみに! ――――― 他のリューも書く練習しないとなあ。(リューなのか、これは)
現在、引越し準備の為、サイトの一部が繋がったり繋がっていなかったりします。 メールも繋がったり繋がらなかったりします。(お急ぎの方で、当方のプロバイダ等のメールアドレスをご存知の方はそちらへお願い致します) 御迷惑をお掛け致しますが、暫しの間どうぞ宜しくお願い致します。 以下は私信です。 諸事情により、此処で返信させて頂きます。 ―――――――――― まずはお返事が遅くなってしまった事をお詫び申し上げます。 そして御依頼の件ですが、当方で引き受ける事は出来ないと判断いたしました。 御期待に添えず申し訳御座いませんでした。 以下は理由です。 当方、トラブルが発生した辺りから、何故こうなったのかと様々なサイト様の掲示板を拝見しておりました。 その方々で見受けられたそちら様の書き込みや、当方宛で頂いたメールなどから、 件のフィギュアから商業展開の希望、「リューナイトのファンの定義」、その他諸々のポリシーに至るまで、当方の考えはそちら様とは全く違うという事を認識させられました。 それは本当に、驚くほど大きな違いでした。 その違いを無視してまでそちら様に協力させて頂くという事は、私には出来ません。 それともう一つ。 「交流関係」「リンク」「人脈」は、「顧客名簿」ではありません。 「生身の人間同士、価値観や意見の相違はあって当たり前。それを擦り合わせてゆくのが人間関係の基本だ」というのは、至らぬ若輩者の私でさえも重々承知しております。 それでもどうしてもこれだけは許せなかった。 同じ趣味の者同士が、様々な考えを越えて、時間や心を砕いて広がった交流の輪を、そちら様は便利なメーリングリストか何かの様にしか捉えておられない。 少なくとも、様々な所で見受けた様々なHNでの書き込みやメールからは、そうとしか受け取る事が出来なかった。 今はもう怒りと悔しさと空しさでいっぱいです。 折角の御縁が有り、楽しい時間が有ったというのに、こんな形で終わってしまう事が空しいです。 こんな原始的な気持ちも抑えられずにいる私などでは、残念ながら、そちら様のお望み通りの御協力は出来そうにはありません。 悪しからず御了承下さい。 ――――――――――
※今回、捏造設定が物凄い上にアドリアが可哀相な役回りなので注意※ 066:666 邪竜族との大戦も、その後の魔族侵攻も、更にその後の幾つかの戦も、ずっと昔の英雄譚になろうとしている平和な時代。 嘗ての激情の代わりに底知れぬ叡智を瞳に秘め、華奢だった面に幾分精悍さを増したガルデンは、今や剣を執らず、戦いもせず、名も無き森の中の館にて、本と資料に囲まれ翻訳や書き物で生計を立てる生活を送っている。 彼の日常は波も無く山も無く、実に平坦で穏やか。 例え国や種族同士の小競り合いが起きようと、パフリシア王家から召喚を受け、意見を求められるまでは無関心・不干渉を貫いている。 彼が遥か昔は伝説に謳われる「リュー使い」であったという話を聞きつけ、是非にと教えを請いにやって来る戦士や魔法使いに対しても、それは同様。 ただ一言二言の助言と、年若く血気盛んな彼等でさえ震え上がる「深淵を思わせる一瞥」を与えるのみで、己が剣を、魔法を、そしてリューを見せようとはしないのであった。 力を見せぬ男に客は少ない。 偶にやってくる客は皆、彼の執筆を本にする係の者や、新鮮な牛乳などを届けに来る店屋の配達などばかりで、何ら彼の静かな日々を脅かすものではなかった。 しかし或る日、彼は突然に、全く好ましからざる女の訪問を受ける。 「久しぶりだな、ガルデン」 「……貴様は」 何時この館に侵入したのか。 書斎にて机に向かっていたガルデンが、背後からの女の声にぐるりと椅子を回して振り向けば、其処には嘗て、命の遣り取りをした邪竜族の女が立っていた。 名は確か――――― 「―――――アドリア」 「覚えていてくれるとは、光栄だな」 忍び笑いを漏らす女の姿はしかし、ガルデンの記憶にあるものとは大きく様変わりしていた。 黄金を刷いた褐色の肌はどす黒くくすみ、艶やかだった髪は干した藁の様に色彩を失い、誇らしげに突き出していた側頭部の鱗は欠けて不ぞろい。誇らしげに晒されていたしなやかな戦士の肢体は、ごわつきそうな黒いローブに覆われ所々いびつに歪んで見える。 そして何より、彼女から漂うその香。 「……玩ばれた屍の臭いがする」 どんな形であれ「生きている」ものが、決して身に纏ってはならない臭い。 それをまるで香水か何かの様に漂わせているアドリアは、「もう気付いたのか」とさも嬉しげに言った。 ……これも嘗ての彼女とは違う、神経に障るざらついた笑み。 ガルデンは不快感も露に細い眉を寄せて、低く呟いた。 「ああ。嘗て私の傍に居た死霊術師の女と、全く同じ臭いをしているからな」 「ならば話は早い」 途端、女のローブの裾から「黒」が滲み出してきた。 それは瞬く間に床を覆い、壁を這い、天井を舐め、書棚や机、扉、積み上げられた本などを呑み込んだ。 バケツの中の水に流した墨の如く―――そんな良いものでは決してないであろうが、例えとしてはこれが一番近いであろう―――、書斎を塗り潰す「黒」。 その「黒」の持つ圧迫感たるや、心弱き人間ならばものの数秒とせぬ内に発狂し果てかねぬ、正に「圧倒的」なものであった。 が、ガルデンは、調度品の内「黒」の侵蝕を唯一免れた椅子に掛けたまま、身動ぎもせずに居る。 「おや、昔のお前ならば驚き惑いそうなものだが、これに悲鳴一つ上げぬとは大したものだ」 昔、とは初めて対戦した時の事を言っているのであろう。嘲笑を顔に貼り付けたまま誉めそやす彼女に、彼は淡々と応える。 「流石に歳を経たのでな、この程度の手品に感動するほどの感受性はもう持ち合わせていない」 「老けるというのは悲しいものだな」 その芝居がかった嘆息に合わせたのか、ゆらりとアドリアの周囲の「黒」が揺らめく……風に吹かれた緞帳の様に。 「そう、歳を経るのは悲しいものだ……周りのものが、時間という死神に抱かれてばたばたと死んでゆく」 「…………」 鈍色の意思を翠瞳の奥に秘めたまま、黙するガルデン。その沈黙こそを彼の返答と見たか、アドリアはがさついた声で続けた。 「お前は既に多くの者に置き去りにされただろう?私もだ。私も、もう数え切れない者達と死に別れた。 ……魔剣立つ大地にも戻れず、この様な異郷で怨嗟の声を抱いて死んでいった彼等が哀れで哀れでならなくてな。だから私はメディット神に祈った。 今一度彼等との逢瀬を、そして私と彼等の力で以って、今も尚生き続ける貴様に復讐を―――」 緞帳が呪いの言葉に煽られ捲れ上がる。捲れ上がった其処には、外の光や書斎の壁ではなく…… 「―――下種が」 沈黙を破ったガルデンの苦々しい言葉に、アドリアは甲高い声で嬉しそうに笑った。 彼女の周囲に現れたのは、ぼろぼろの邪竜兵達。その殆どに見覚えが有る……嘗ての大戦でリュー使いに敗れ去った者ばかりだ。中には、アドリアにとって上官であった筈の者も含まれていた。 「死した魂を使役する魔術、外法たる死霊術か」 空間に走る禍々しい魔力を読み取り、ガルデンは呟く。 「敬っていた上官をも己の駒として使役するとは……力が有るモノなら何でも良いのか」 「そうとも、どうせ力の有無以外の点では全て同価値のモノなのだから」 彼等を哀れと言った舌の根も乾かぬ内に、彼女は断言してみせる。 ……亡者としか言い様の無い邪竜兵の姿には、今の彼女同様、戦士としての誇りや気迫など微塵も無く……そもそも思考能力すらも持たせて貰ってはいないのか、表情も眼窩に宿る光も無い。 ただ、ガルデンという生命ある者への憎しみと嫉妬があるだけだ。 「『仲間』の亡霊を召還するとはな」 「違うな。これは『仲間』などという下らん存在ではないし、そもそも召還されたのは貴様の方だ」 空間内にざわざわと増えてゆく命無きもの。彼等を兵隊の様に従えて、彼女は言葉を続ける。 「この『黒』の空間は現世と幽世のあわい……恨みを抱き、消える事も出来ずに居る魂どもの群れる場所。 ……貴様とあのニンジャのリュー使いによって死にかけた私は、あの時、半身をこの『黒』に浸され…… そして『力』を得たのだ」 「『黒』を使役する力か?」 今度は正解だったらしい、彼女は得意げに頷いた。 「私のリュー使いへの憎しみは、『黒』の空間にとてもよく馴染んだ様だな。 浸された『黒』の中で唯ひたすら貴様等を呪い、悪夢を見続けたお陰で、私は今や全ての亡者どもの主人だ。 代償として随分長い時間を費やしてしまったが…… それでもお前が此処にこうして生きていてくれたのは幸運だったよ、ガルデン。 お前をこの『黒』の亡者どもの餌とする事だけが楽しみで、今まで生き長らえてきたのだから」 睦言の如き囁きに、ガルデンは尚も鋼の瞳を向けていたが。 「そうだ……折角だから、死んでいった貴様の『仲間』も見せてやろうか?」 ―――ひくり、とガルデンの頬が微かに引き攣った。 それを見逃さず、畳み掛ける彼女。 「私が『黒』にたゆたっている間に、また大きな戦があったらしいな。詳しい事は知らんが、お前はその戦の果てに遂に剣を手にする事を止め、己のリューを封印したそうではないか。 純血のアースティアのモノでもない癖に、下らぬ『情愛』に弱い貴様の事だ。どうせ『仲間』絡みで己の力を捨てるに至ったのだろう? 何があった? 守ると決めた者を守りきれなかったか? それとも守るべき者を斬ってしまったのか? もしくは『仲間』に裏切られたとか? ……剣を持たぬ騎士がどんな悲鳴をあげるか、どれほど無残な喰われ方をするか。 そして『仲間』の亡霊に切り刻まれてどんな絶望を目に浮かべるか、観賞するのも悪くない」 実に楽しそうに言うアドリア。「仲間」こそがガルデンのアキレス腱であると、知っているが故の声音であった。 が。 「―――――黙れ」 低く重い、地を這う様な声に、彼女は笑みを凍らせた。 「妄執に取り憑かれ、生死を玩び、『黒』を垣間見た程度で下らん口上を垂れ流し…… 挙句、『彼等』を侮辱するのか」 声に篭もるは、深い怒り。 「黒」に墜ちたアドリアでさえ、未だ嘗て知り得ぬ赫怒。 その怒気に怯えたかの様に、「黒」が震え始める。 「いくさは繰り返さぬと、皇竜キルガインが友である聖騎士王に立てた誓いをも、貴様という愚者は踏み躙った。 貴様はこの『世界』の理(ことわり)を犯したのだ。 ……ならば私は今一度剣を執ろう、それが『彼等』との約束ゆえに…… この世とあの世のあわいたる『黒』の中では、剣神ソーディンによる束縛も緩む。 緩んだ鎖では、最早この力を抑える事は出来ぬ」 「黒」より濃い「闇」が、ゆらりと立ち上がったガルデンの言葉に応え、その足元に出来た「影」から滲み出してくる。 にわかには信じ難い光景に、アドリアは、己が何か大変なしくじりをしてしまったのだと気付いた。 そして「仲間」がガルデンにとって「アキレス腱」ではなく、「逆鱗」であった事にも――― しかし、気付いた所でどうする事も出来なかった。 「アドリアよ、まずは良いものを見せてやろう」 軽口にさえ聞こえる声の調子だが、呼ばれた彼女には眉を顰める余裕すら無い。 つい先程までは隠者然としていた男が、狂気すら思わせる激情を目に浮かべ、闇色に染まった笑みを口元に刻むのを見てしまっては。 「闇よ、竜となりて亡者どもを喰い尽くせ」 あくまで悠然とした仕草でガルデンが手を差し伸べる、と同時に「黒」から闇色の竜のあぎとが次々と沸き出し、彼女の従えていた死霊達を喰らっていった。 「?!」 己が絶対の支配権を持つ筈のこの空間で起きた、有り得ない現象。 食い散らされ、無残に無残を重ねた姿で消えてゆく亡者達はしかし、どの顔も一様に死後の安息を取り戻していた。 「何故だ……何が起こった」 「この空間に於けるお前の支配力を、私の力が上回っただけの事だ」 望まぬ形で眠りを破られた邪竜の戦士達への手向けか、皇竜キルガインが嘗て使用したものと同じ召喚竜によって死者達を「葬った」ガルデンは、微かな自嘲を含む眼差しを向ける。 「半身を浸しただけで『黒』の支配者気取りとはな」 「黙れ!……貴様に判るか、『黒』に墜ちた時の絶望と苦痛が!!」 「判るとも。 何しろ私は一度、半身どころか魂までも『黒』に墜ちて、完全に死んでいる」 彼が何でも無い事の様に言い放った一言は、恐慌状態のアドリアの心を一瞬、空っぽにした。 それ故に彼女は、これから起きる出来事を目の当たりにしてさえ、発狂する事を許されずに生き地獄を味わう事となった。 「それでは次に、貴様が執着し、愚弄した私の『力』をお見せしよう」 ず、と地響きの様なものが天も地も無い空間に走り、それを合図としたのか、アドリアの「黒」がガルデンの「闇」に塗り潰され始めた。 丁度書斎が「黒」に沈んだ時の様に。 その現象はガルデン自身にも及ぼされる。 「―――――」 壁に塗り込められるが如き圧迫感、真空に放り出されたかの様な孤立感を浴びながら、アドリアは彼を茫然と見やる。 ガルデンの肢体に闇の触手が巻きつき、簡素な衣類であったものを禍々しくも美しい鎧へと変質させてゆく。 と同時に、その皮膚には見た事も無い紋様と呪言が黒々と浮かび上がり、彼そのものをひとつの魔法回路へと造り変えてゆく。 そして、闇を凝らせた肩当とマントに零れ落ちる長くきらきらしい銀の髪に、飛竜とも妖鳥ともつかぬ翼飾りを帯びた、漆黒の兜が被せられる。 それはまるで、この世界の支配を約束された王のダイアデム。 「これは在ってはならないものだ」 アドリアは込み上げる恐怖に喘ぎながら言った。 「剣聖界にも剣邪界にも顕現する事を許されない、禁忌の力だ」 正に目前に現われ出でた「力」を、半ば跪きながらアドリアはそう断じる。 彼女が、いかに亡者と成り果てようとその本質は「現世(こちらがわ)」の生物であるが故に。 「しかし、此処は剣聖界でも剣邪界でもない」 アドリアが無意識の内に放った「彼の存在を禁じる言葉」を、彼は一瞬で破棄した。 そして言葉を重ねる――――― 「ゆえに誰もこの力を止められぬ。 剣神ソーディンでさえも竜神メディットでさえも、此処が彼等の『庭』でない限り。 『神殺し』の存在は、世界の矛盾を創る罪には問われない」 ガルデンの掲げた手から黒い光がごうごうと噴き出し、それに照らされた空間は尚一層闇を深める。 光はやがて一振りの異形の得物となった。槍とも剣ともつかぬ……唯々「いくさの道具」で在る、その柄に嵌め込まれた翠の石の輝きが、彼の足元の「影」を長く長く後ろへと伸ばす。 強大と言うのも馬鹿らしい、甚大と言っても未だ足りない。 正に「これより大なるは莫(な)し」―――莫大、と言うのでやっと足る。 それが彼の持つ力。力としか表現し得ぬ純然たる力。 そんなモノを、まるで呼気の様に至極自然に当然に放ちながら、彼はそれが当たり前の様に立って居る。 「これだけの力がありながら―――――」 アドリアは我知らず叫んでいた。 「―――何故、どうして、貴様は剣を捨て森に篭もって、それを隠し続ける」 「貴様が先程言ったではないか、剣聖界にも剣邪界にも顕現する事を許されないと」 今や何の効力も無い縛言を唇に乗せ、ガルデンは薄く笑う。 「私は先のいくさで、この力を得た。 大事なひとを護る力が欲しい、その為ならこの身などどうなったとしても構わない、と願い祈った末に、『現世の者が踏み込んではならない領域』に踏み込んでしまった。誰もが持つ平凡な願いであったというのにな。 ――そう、己の力を位置付ける階級『魔法騎士(ルーンナイト)』を超えてしまったのだ」 「―――――」 「魔法騎士」はマスタークラス、マスタークラスとは「こちらがわ」で居られる最後のクラス。 それを超えたという事は。 「……神によって創られながら、神をも超え得る力を持った為、神によってその存在を縛られる階級……アーククラス…… ……『魔法戦士』の頂点にしてなれの果て、原点にして異端のアーククラス…… ―――――『魔人騎士(プラズマロード)』」 ガルデンの背後へと伸びていた影が、封印されていた階級を呼ばれた事でか突如膨れ上がり、実体化し、真闇の騎士の乗騎として、彼と同じ世界に顕現した。 その姿、その力、その神性、その禁忌。 生命無き「空間」が、ソレを己が身の内に孕んだ恐怖に悶え、悲鳴を上げて身を捩った。 ソレと彼の存在を認める「空間」ですら堪えられなかった絶叫を、どうして「こちらがわ」の女が噛み殺せたり出来るだろう。 「――――――――――」 喉から血をしぶかせてまで耳を聾せんばかりの声を上げ、「禁忌」の顕現を見てしまった目を掻き毟ろうとも、脳裏に灼き付いたモノを消せはせぬ。 「神の世界で神を超える者、世界の大いなる矛盾である『禁忌』。 その姿を認めてしまった者は、稀有な例外を除き、現世にも幽世にもゆく事を許されぬ。 そして貴様は、無論『稀有な例外』ではない」 騎士が断じた瞬間、女は一つ大きくのたうったのを最後に、石化したかの如くその動きを止めた。 されど悲痛な叫びは絶える事無く迸り、顔を伝う血も固まる気配無く流れ続ける。 「貴様からは『禁忌』を変質させる権利も剥奪する。 『禁忌』について忘却を図る事も、想像を巡らせる事も、誉めそやす事も否定する事も許されぬ。 ゆえに貴様は、今、この瞬間から、永遠永劫前にも後にも横にも上にも下にも進む事が出来ない」 朗々と響く声は重く、絶対であった。 彼とソレが、やはり悠然と手を差し伸べ、中空に己が名を書く。 GとSで始まり、NとUで終わるサインを以って、彼は「断罪」を締めくくる。 「貴様の罪は生死の理を犯し、剣聖界と剣邪界の誓いを踏み躙り、そして私の友を侮辱した事だ。 私の『禁忌ではなかった時代』を知る、二度と還らない者たちを…… ……アドリアよ、貴様は其処に縫い止められ、訪れる事の無い夜明けを待つが良い」 宣告。発効。彼等の存在を支えきれず、瓦解する世界。 ・ ・ ・ 「黒」も「闇」も消えた後の世界は、それらに塗り潰される前と何ら変わらぬ、彼の書斎のままであった。 されど、どれだけ「現世でも幽世でも無い世界でだから」としたところで、「禁忌」を現してしまった事は「世界」に対し若干の影響を及ぼしてしまった様だ。 ……平たく言えば、積んでおいた本が崩れて床に散らばり、割れた窓ガラスから吹き込んだ風が、その古びたページをぱらぱらとなぶっていた。 「…………」 頭痛を覚え、ガルデンは深々と溜息をつき、椅子の背もたれに身を預けた。 耳を澄ませば、慌しく廊下を走ってくる足音。 恐らく、普段静かな部屋からの突然の大騒音が呼んだものであろう。 足音の主は、彼が「禁忌」を犯してまでも護りたかった者であるが故に……「稀有な例外」であるが故に、彼に対して何の遠慮も無く、その疑問と怒り、そして心配をぶつけてくるだろう。 世界がどうにかなってしまう力を以ってしても、その真っ直ぐな視線と言葉を受け止められるかどうか。 「……機嫌を治せる様なものが、残っていれば良いのだが」 崩れた本と割れたガラスはそのままに、ガルデンは机の引き出しを探り始めた。 甘い飴の一つでも出てこないかと祈るが、そんな都合の良い事が起こる筈も無い。 いよいよドアの前まで迫った足音に観念し、椅子をぐるりとそちらに向ける。 荒々しく開けられた扉、無言のまま向けられる大きな瞳の強さに早くも気圧されてガルデンは、部屋の惨状を見ない様に天井を仰ぎ、また溜息を一つついた。 ―――アドリアや死者、禁忌や神などというものより、私は彼女が恐ろしい。 ――――― 「文字書きさんに100のお題」配布元:Project SIGN[ef]F様 ――――― 「666」だし、此処は一つおどろおどろしい話でも書くか、と思って書いてみましたら、何だかえらい事になってしまいました。 アーククラスやら魔人騎士やら、伊東氏の設定資料集からキュンとときめく単語や設定を拾ってお話を書いてみただけなのに。 すまないアドリアたん。恨みがある訳じゃないんだ。 ガルデンに因縁がある敵キャラで、何とか生き残って復讐してきそうなのって、イドロと貴女くらいしか居ないから。(イドロは敵役として話に出すと、ガルデンとのしがらみが強すぎて、ただでさえ訳の判らない大風呂敷話が更にややこしくなってしまうので無理でした) 掲示板のお返事はまた後ほど……! (あ!企画はやる気満々ですよ!殺す気と書いてコロスケですよ!!)<電波発射
062:オレンジ色の猫 育ての親と信じた女に裏切られて以来、占いなど信じぬ様になった男が、その日に限って突然館を訪れたかしましいエルフ娘の「ぴたりと当たる石占いセット」の売り口上に耳を貸したのには特に理由は無かった。 かの娘は魔法のマントより、女子供が喜びそうな磨き上げた色とりどりの石をじゃらじゃらと、前もって艶やかなびろうどを敷いた卓の上にぶちまけた。 武器は売らねど高楊枝とはいかぬ孤児院のマドンナは、眉を寄せた殆ど白い髪の青年に向かって、腰の銃より凄まじい言の葉の弾丸を浴びせ掛ける。 「……でな、これが唯の宝石やと思ったら大間違い!土木金火水・天地海・過去現在未来の属性を揃えた『占い用に作られた魔法石』やな、くらいの事は魔法に詳しいあんたやったら言わんかて判るやろうけども、それだけやない。この一つ一つにはずうーーっと昔に失われた或る魔術が組み込まれてんねん! その魔術っちゅうのが、此処だけの話、パフリシアの魔法ギルドと対立して負けてしもて衰退した闇の一族の持つもんやったらしいんやなあ」 男の掛けた光避けの眼鏡の向こう、何処か爬虫類を思わせる瞳孔の細い目が微かに見開かれる。 それにマドンナは丸い眼鏡の奥の藍目を細め、畳み掛ける様にこう言った。 「……わてかて世界を旅した商人やし、魔法が得意なエルフ族の端くれ、これが占いの道具やっていうのんだけはすぐに見当がついたし、パフリシアの魔法ギルドがでっかい力を持つこの世の中には、出回ったらあかんもんやっていうのも察しがつく。 ……そこで、や」 高くてよく響く声をぐっと落とし、青年の顔に顔を寄せて囁くマドンナ。 「わては考えたんや。 『これを託せるんはあんたしかおらへん』…… あんたはこのアースティアで唯一の、『力有る闇の魔法の使い手』。 其処らの魔法使いじゃ価値が判らん、判ってもせいぜい厳重に封印するくらいしかやりようが無い、何処にも持って行き場の無いこの石や。それを受け止め、有用に扱ってくれるんはあんたしかおらへん、て。 これを手に入れた時に、わては自分の強運に感謝したで! 普通の商人やったら持て余すもんでも、わてには安心して預けられる知り合いが居る。 世にも珍しいもんを手に入れる喜び、それを相応しいもんに手渡す喜び。 商人にとってはどっちが抜けても片手落ち、せやけどわてはそうやあらへん!!」 長い話だったが、要するにこれを買い取れと言っているのだろう。 男は艶やかな石の一つに指先を触れ、其処に埋め込まれた術式を読んだ。 ―――紛う事無き闇の秘呪、彼女の言う事には嘘偽りは無く、それほど大げさでも無い。 これは確かに、己が持つに相応しい(もしくは、己が持つ以外どうしようも無い)ものであろう。 男は彼女に目を向け、率直に問うた。 「……幾らで?」 「あんたの胸次第やな」 わてにはこんなマイナーな闇の魔法具の価値までは判らへんから、と、一見良心的に彼女。 更にこれまでの様相は何処へやら、しおらしくもこんな事まで付け加える。 「実はな、この石を手に入れてからっちゅうもの、はよあんたの所へ持って行かんとと思て急ぎに急いで来た所為で、ここ数日まともに商いも出来てへんのや。 うちには腹すかせた子ぉらが仰山待ってるよって、あんたが迷惑でないんやったら、現金かすぐに換金出来るもんでの支払いをお願いしたいんやけど」 「…………」 男は苦笑した。 成程、こんな厄介な石を其処らで売り払おうと思えば、諸々の魔法ギルドや教会、魔法具ギルド、好事家や力に魅入られた手合いに目をつけられ、流石の彼女と言えども煩雑なやりとりに悩まされる事となったであろう。 それに比べて、人里を離れた森に引き篭もって本に囲まれて暮らすこの男との交渉ならば、至極簡単且つ安全にキャッシュ(もしくはそれに代わる価値あるもの)を得る事が出来る。 「考えたものだ」 はしこい彼女の持ちかけた取引に男は賞賛すら滲ませた声で応え、席を立った。 暫しして戻ってきた彼の手には、一枚の紙と一本のペン、小さなインク壺が握られている。 慣れた様子でびろうどと石を片した彼女に軽く礼を言い、再び席に着いた彼は今は空いた卓の上にて、さりさりと紙に何かを刻み込む。 「石の数は二十四個、術に定められた数と種類が一つと欠けず揃い、状態も良い。 それに手間賃と僅かながらの謝礼も含めて、この額で如何だろうか商人殿」 男が紙上に示した数字の列に、商人は一瞬目を丸くし、それから会心の笑みを浮かべた。 「勿論やがな!さすが太っ腹、たっとい身分の御子息様や!」 揉み手に柔らかい声、細められた目。日向の猫を思わせる「陽」としか言い様の無い彼女に言われては、それが例え己の出自の事であろうと疎む事が出来ない。 男はもう一度苦笑して紙に色々書き加え、最後に己の通り名と印代わりの魔術筆を認めて彼女に手渡した。 彼女はそれを恭しく頂き、ざっと各所の認めを確認してからまた笑った。 「確かに小切手お受け取り!パフリシアの銀行やったら顔馴染やし、これだけの額でも大丈夫やわ! これで今日はガキどもに、ご馳走と甘いチョコの一つでも買ってやれるわ。 兄ちゃんにもそろそろ新しい服の一つでもと思うとった所やし! おおきにありがとさん、これからもどうぞ御贔屓に!!」 何時の間にかびろうどで綺麗に包んだ石を受け取り、求められるまま握手を交わして、男は小さく笑う。 「チョコレートとは、商人殿には珍しい選択だな。子らの菓子には飴かクッキーで、高価なチョコレートは『まだ早い』からと与えないのではなかったか」 彼女はそれに笑みを納め、「……ああ、あんたはこんな森の中で暮らしてるんやもんなあ」としみじみ呟き、それからまた……今度は悪戯っぽい笑みを浮かべて眼鏡を外し。 「たまにはあんたも街に来た方がええで。今日は菓子職人らの晴れ舞台、チョコとキスのお祭や」 「祭……?」 それは、と問い掛けた所で眼鏡を外され、「チョコは無いけど」と頬に軽く口付けられる。 くすぐったさに目を細める青年に彼女は「うちの子とおんなじ反応しやる」とまた笑った。 彼女は本当に良く笑う。 感心して眺めていると彼女は笑い済んだのかこほんと咳を一つ払い、眼鏡を掛け(そして掛けてもやって)「それじゃ」と席を立った。 用が済めば長居もせずしなやかに立ち去る彼女は、彼にとって大変楽な客である。 その気安さがそうさせるのか、彼は無意識の内にごく自然と席を立ち、彼女を館の玄関まで導いていた。 「また面白い品入ったら見たってや、鑑定もお願いするかも知れんし。欲しいもんもあるなら探したるで」 「……そうだな」 尚も甘い言葉に逞しい商魂を覗かせて言う彼女に敬意すらこめて頷き、男は彼女をドアの外まで送る。 「まるで騎士様や」との冷やかしにまた苦笑させられ、そう言えば今日は自分も良く笑うと気付く。 彼女が帰った後、急にしんと静まり返った部屋に戻って早速件の石を広げる男。 もう長い間、忌避に近い形で遠ざかっていた「占い」をしようとしている己に微かな前進と磨耗を認めつつ、昔々に母が教えてくれた一番簡単な……飾らず言えば子供の手慰みに近い術式を用いて今日の運勢を占ってみれば、そこで更に笑わせられた。 「確かに彼女の目利きとこの石は本物らしい」 石の並びははっきりと、彼の本日見舞われる災難、金難の相を標していた。 ――――― 「文字書きさんに100のお題」配布元:Project SIGN[ef]F様 ――――― 滑り込み小話。 バレンタインにかこつけて一度も書いた事の無いカップリング(コンビ?)を。実は大好きなのです。 或るお方からとんでもない危険球を頭めがけて投げられたので、せめてものお返しにと書いてみました。(しかし明後日の方向へ投げてしまった気がする) ただ一つ言えることは、一連の事件で一番不幸だったのはヒッテルに違いない、という事です。 100題を書くと、ポラロイドカメラやらMDやら合わせ鏡やらのど飴やら、おかしなアイテムばかり捏造している気がする。
スピッツの「スパイダー」と言いマキハラノリユキの「ハングリースパイダー」と言いhideの「ピンクスパイダー」と言い、歌に出てくる「蜘蛛」というのは一体どうしていつもあんなにしょっぱい事になっているのだろうか。 私の狭い知識の範囲内で、それほどでもないのはホテイトモヤスの「Spider In The Sky」……でも、その曲でも「蜘蛛」は滅びのしるしとして出てきていたなあ。 こんな取り止めの無い事ばかり考えながらお引越しの準備をしておりました…… が、引越し荷物の整理が遅々として進まず。 おかしいなあ、前回トライポッドから此処に引っ越して来た時は楽々だったのに……と考えてみれば何の事は無い、前回に比べ訳の判らん絵や訳の判らんゲームや訳の判らん館がじわじわと増えていたので、その仕分けなどに時間がかかるのも(とろい私には)至極当然の事であったのでした。 昨年本当に住居を引っ越した際もこんなだったなあと猛省しております。 で、昔に書いたものを読んでいると、密かに「シュテル×マジドーラ」なんて恐ろしいものがあったりして、もう無理ホントマジ無理。と首を左右に高速スイングしてしまいました。 カップリングが変わっても逆転しても、以前好きだったものを嫌いになるという事は無いのですが、シュテマジだけはもうホント無理。嫌いとか好きじゃなくて、「有り得ない」とぽかんとしてしまうのです。 いえ、ひと様の書かれた物ならそんな事は思わないのでしょうが、しかし自分が「今の自分からは考えられないもの」を書いていたとなると……。 自分が過去に書きUPした文章や絵は、自分がどれだけ進歩したか(もしくはどれだけ進歩していないか)を把握する為に出来るだけ残しておこう、と考えているのですが、こればかりは(自分の)混乱を避けるため下げてしまうかもしれないです。 ……こちらを御覧になっている方には、御自身の製作発表の場をお持ちの方もいらっしゃると思うのですが、そんな方々はこんな時、どうしていらっしゃるのでしょうか。 ――――― 関係ないですが、今、児童文学が読みたくて堪りません。 児童文学といってもハリーやネシャンではなく、「ちいさいモモちゃん」とか「ロッタちゃんのひっこし」みたいな……こう、童話のようでいて何だか現実味があって、シチューとかオレンジジュースとか何の変哲も無いのに有り得ないほど美味しそうに思える食べ物が出てきて……。 食べ物と言えば、個人的に最強なのは「しろくまちゃんのほっとけーき」だと思います。 こぐまちゃんシリーズのお話はどれも素晴らしいと思うのですが、やはりこれが一番好きです。(しろくまちゃんが女の子だと知ったのも衝撃的でした) と、友人に本屋で件の本を指しながらそう話をしたら、「この熊、目が怖いよ」と一言で済まされました。 し、失礼な!そっちがお勧めする「さんびきのやぎのがらがらどん」なんて名前からして恐ろしい癖に!!(凄い大人気ない反論) あ、あと、「ぐりとぐら」のケーキ(たまごやき?)、「エルマーのぼうけん」の桃色の棒つきキャンディも憧れでした。 宮崎アニメもそうですが、食べ物が美味しそうに見える(思える)お話と言うのは読んでいて幸せになれます。 抗い難いほどお腹が空くのが難点ですが……。(そして真似して作中の料理を作ってみても、それほど美味しくないんだこれが)
今日はあの「鎧の上から脈や体温を測るカッツェ」「サルトビ乱心・落ちたミストロット奪ってダークナイトの名を連呼」「家族や村、精霊石を奪われた15歳の少年に対し酷が過ぎる月心」「アドリアに体当たりをブチかます武闘派ウィザード」「誰かに何かをされたのかと疑ってしまう様な痴態を晒すガルデン」などなど、シリアスな展開に終始するにも拘らず何か、どこかがおかしくて妙な笑いを誘う点が36話に通ずる、第45話「ガルデンの決意 爆烈丸クラスチェンジ」の放映から丸十年の日ですね。(長い説明) それに因んで、今回の雑記ではちょっと面白いものを皆様に御覧頂きたいと。 画像が数枚出ますので、どうぞ回線とメモリと心に余裕があるお時間に御覧頂けたらと思います。 さて、かなり昔の話なのですが、ひょんな事から私はこんなものを手に入れました。 ![]() 素人撮影ゆえ、写真の画質が悪くてごめんなさい。 で、これは何かと申しますと、ずばり絵コンテ。 絵コンテとは映像作品における設計図の様なものだそうで、ぱらぱらと中身をめくって見ますと…… ![]() こんな風に、台詞やそれにあわせたカット、演出方法などがラフに、しかし詳しく描かれています。 これは丁度、サルトビがガルデンの熱を下げる薬草を取りに行っているシーンですね。 ……話が逸れますが、この薬草の名前、皆様にはなんて聞こえましたか?私は「ポワン草の花」と聞こえたのですが……。SFC版ゲームに出てくる体力回復の薬草、「ポワン草」と何か関係があるのでしょうか。 ……で、本編でその「〜草の花」と言っているシーンが、この絵コンテでは「イワカズラの花」になっています(上段&右から二番目のコマ)。 イワカズラは実際に存在する薬草で、別名ユキノシタ。実際に解熱作用がある生薬になるそうです。消炎・解毒作用などもあり傷にも良く効くようなので、もしかして39話でアデューが使っていたのも……。 閑話休題。 ともかく、こんな風に少しずつ「実際に放映されたもの」とは違うシーンがあったりして、とても楽しく興味深くこの絵コンテをホゲーと眺めていたのです。 ガルデンがサルトビに、「こいつ(アドリア)は生かしてはおけん!!」と言うシーンとかね。 しかし、あるシーンを見た瞬間に、このささやかながらまったりとした心の平和は打ち砕かれました。 ![]() ……赤い矢印部なのですが、小さくて判り辛いでしょうか? 拡大してみましょう。 ![]() いくらシュテルでもやって良い事と悪い事があるだろと。 キモい。キモ過ぎる。一線を遥かに超えている。 本放送で、トサカをドゥームにがっしと掴まれたり尻尾をブラブラさせながらしがみついていたのも大概でしたが、これは既に放映禁止ゾーンに突入してしまっていると思います。絵コンテさえ見なけりゃこんな状態になっていると(少なくとも私は)気付かなかったのに。 と言うかこれって、え……駅べ……(パーン<銃殺) このシーンは爆烈丸クラスチェンジ直後、「サルトビ、今だ……やれ!」の直前なのですが、コクピットのガルデンの体勢を見る限り、彼自身は此処までしがみついていない様な。「何としてでも動きを封じてやる!」との御主人様の思いに、色んな意味でもう後が無いシュテルが遮二無二応えようとした結果でしょうか。 流石は目的の為に手段を選ばないシュテル。前回に引き続き漫画版のガルデンが見たら泣くぜ。 サルトビがその姿を見た瞬間「ガ……ガルデン!!」と何か色々と躊躇っている風だったのにも納得がいきます。そりゃあ必死の思いでクラスチェンジして、こんなカッコウ見せられちゃあなあ。「私に構わずやれ、サルトビ!!」などと仰る前に、ガルデンさんはもっと身近で大事な事に構った方が良い。 アドリアのドゥームも一応女性型しているのに、こんなのにこんな格好でくっつかれて大変だなあとしみじみ思いました。 あ、後、此処には載せていませんが、絵コンテでは「シュテルが闇風を取り出すシーン」が「シュテル、胸の目の中に手を入れグリグリやり、精霊石のついたクナイを取り出す」と説明されてありました。 此処までキモい状況説明文も中々無いと思うのですが。 グリグリて。 本放送では、ガルデンの召還シーン同様あっさり目に描写されていて、本当に良かった。 それにしても、出し入れが自在な点を見るに「ガルデンの鎧の目とシュテルの邪眼は同システム(連携?)」と考えて良いのでしょうか。 知れば知るほど謎が増えてゆく。
「寒そうですね」 「そうね、あんな所にずっと立たされてたらね」 「上着でも着せてあげたら良いのに」 「どうやって?」 「……」 「……寒そうだね」 「本当にそうですね……」 太陽の塔を眺めながらの会話。こんばんは、TALK-Gです。 気が付けば節分も終わってしまっていました。 個人的にはかなり萌えなイベント(だって鬼ッ子!鬼ッ子が出てくるんですよ!)だっただけにションボリ。 関西地区(最近は関西に限らないようですね)で太巻きを食べる風習について調べ、色々考えていたのですが。そう、「漫画版、ガルデン一族のアジトに毎年福豆やら太巻きやらを売りにくるデス・マーチャント(カッツェとヒッテルの父ちゃん。通り名だと思いますが)」とか…… 漫画版ガルデン一派のあの軍事力は何処からきているのだろうと考えていまして、資金面なら邪竜族側から搾り取るにしても、武器や機材などの購入先は?と。 それでぱらぱらコミックスを見ていたら、居るじゃないですかうってつけの武器商人が。 それがデス・マーチャント。「230歳の美形男(人間なら29歳くらい)」という設定も嬉しいエルフの武器商人。「悪人ではない」そうですが、死の商人を名乗るくらいですから、カオスかローかと言われれば間違いなくカオスだと思います。(ヒッテルとの遣り取りを考えるに、武器を売ればその分傷付く人が増える、と知っていて山賊などにも武器を売ってるわけですし…この辺漫画とTVとCDとごっちゃになっていますが) 市価の1.5倍でいい武器を売りつけるという設定もカオテックで好きです。アデューらにデホレスが居る様に、ガルデン陣営にはデス・マーチャント。 ……デホレス、で思ったのですが、デホレスよりこのヒトを活躍させて欲しかった。(個人的にデホレスは商売人としての何かが欠落している感じがして余り好きではないのです……特に2巻のあのエリクサーに纏わる遣り取りでは、カッツェ以外の全員にちょっと萎えてしまいました。カッツェが可哀相過ぎる。そんなにエリクサーが必要なら、真っ当にデホレスが買い取ってアデューらにくれてやれば良いと思うのですが如何か。其処でカッツェがちょっと良い所見せて値段を安くしてやるとか、そうすれば後味悪くならなかった気が。シリアスな展開が続いていたからギャグっぽい遣り取りを入れたかったのか?もしくは世間一般の「正義の勇者さま御一行」の横暴さを皮肉ったのか……(深読みしすぎ?)デホレスが好きな人ごめんなさい) ……話が大幅にそれましたが、ともかくそんなカオテックエルフがガルデンの傭兵団に武器などを流していたら面白いなあ、とちょっと思ったのでした。 年齢もガルデンと近いですしね!!綺麗事の通らない世間の底を見てきた男同士、丁々発止の遣り取りとか。 子供が生まれて以来、何かっちゃあデレデレになって「やはり子供は良いですよ!子供は!あなたも早く身を固めたらいかがですか!人生観変わりますよ!」と愛息愛娘自慢を始めてしまうデス・マーチャントに「……ああ……」と適当な返事を返しつつ辟易気味のガルデンとか。(会社の営業か) ……仮に最終回を正義惨敗なバッドエンドで迎えたとして、とっ捕まえたカッツェにガルデンが「お前の父親には世話になった事であるし、お前自身にも混沌の萌芽の見込みが有る……故に殺しはしない、あの姫君と同じ様にな」と薄い笑みを向ける→アレな展開に雪崩れ込むとか。男性向けマイナー妄想ゆえ少々色を薄くしてみました。 個々のキャラを何でもかんでも線で繋いでしまうというのも何ですが、たまにはこんな妄想はいかが?ということで……(……たまには?)
イイ感じの掲示板などのCGIを求めてネット上を徘徊していた筈なのに、気がついたら「簡単にADVや恋愛SLGなどが作れるツール」「自作ADVのチップ」「自作ゲームに使えるロイヤリティフリーの各種素材」なんかを取り扱うお店屋さんをうろうろしているのは一体どういう事か。 こんばんは、TALK-Gです。 早速ですが感想を。(基本的に全てネタバレの恐れがあるので反転) HGJ23話 ジョバクレじゃなくてクレジョバじゃん。 モヒカンのシーンは今現在放映中のアイフルのアレを髣髴とさせますね。どうしてあんな中途半端に残したんだ。そもそも何故あんな真似を……?クレアたんがものごっつ不思議そうに見ているのがツボでした。 話の展開上(&ディランドゥの前例があるので)、死ぬか死ぬかと思っていたので、腕一本で済んで良かった。とてもよかった。 クレアたんがハッと目を覚まし、「ジョバンニー!!」と駆け出してからは本当にもう、見ていられないくらいの勢いで困りました。音楽も熱いし。ジョバの為に其処まで……!というのは勿論ですが、ミシェルとイアン(&パパ)を思い出してくれたのも嬉しかった。 本当に今回のクレアたんは戦うお姫様でしたね!!最後の方の、ダイスケに真実を告げるシーンでは、すっかり底意地の悪いあの笑みが復活していて痺れました。 ジェイは、アントニアに助けを求めるシーンでウッと胸が詰まりました。 あと、本部長は本当にブラコンだなあと思いました。 マイ・ボディガード 入っているお客さんが(平日の朝の回だったからか)年配の女性の方が多くて驚きました。 CMとかでは何かこう、心温まる作品に見えるのですが(主従萌えという点では確かにそうなのですが)、実際にはジャンジャンバリバリ人が殺されまくる話だったので、あの老婦人方がどう思われたか気になります。 ……ええと、あらすじを説明すると「身代金目当ての誘拐事件が多発するメキシコシティ。其処で暮らす友人のもとへとやってくる、元「対テロリストの特殊部隊」「凄腕の暗殺者」なんて経歴を持つ男、クリーシー。 友人はクリーシーの現状(生きる希望を見出せず、酒浸り)を心配し、或る仕事を斡旋します。 この街に暮らす、米国人実業家の愛娘のボディガード。 断る理由もなく「ペタ」というその少女の護衛となったクリーシーは、利発な彼女の純粋で無邪気な心に触れ、次第にかたくなだった心を開いてゆくのだが……」みたいな感じです。 で、感想ですが、このペタとクリーシーの交流が素晴らしい。素敵。萌え。 作中、仕事を斡旋した友人によるクリーシー評で「彼は死の芸術家だ」という台詞があるのですが、だったらこの作品を作った監督は「主従萌えの芸術家」じゃあないかと思いました。 私が「一歩退いてる相手にはお構い無しに、自分の好意を素直にぶつける女の子」が大好きなのはもう何度も書きましたが、ペタの場合は正にそれ。 自分はボディガードであって友達じゃあない、なんて最初は頑なに言っていたクリーシーが、「友達になって」という彼女と少しずつ心を触れ合わせていく様は「……おおお!」と悶えたくなるくらい萌えでした。 そんな過程を描くシチュエーションがまたね!もうね!! ・離れの部屋のクリーシィに、自室の窓から「おやすみなさい」と笑うペタ ・凄く大事にしている熊のぬいぐるみ(寝るときも一緒!)に「クリーシー」と名前を付けるペタ ・ペタいわく「クリーシーは熊さんみたい、大きくて寂しそう」 ・クリーシーと一緒に水泳の特訓をし、学校の水泳大会で見事優勝するペタ(CMのあのシーン) ・しかもその水泳大会、レース前にクリーシーが「今日はペタの両親は仕事で来られない」と学校の先生に言ったら、先生ったら「じゃあ今日はあなたがお父さんね(微笑み)」 萌えポイント書いていたらキリが無いのですが。 そんなこんなで仲良くなり、ペタの学校の宿題なんかも見てあげる様になったクリーシー。ペタは彼にいろんなことを質問して困らせます。 「クリーシーには恋人は居るの?」「(今は歴史の勉強中だろう、と言うクリーシーに対して)クリーシー史よ」「(ペタの言葉に少し笑ってしまったクリーシーに)今、クリーシー笑ったわ(凄く嬉しそうに)」 この辺のお約束を的確に踏まえた遣り取りには、我慢しててもつい頬が緩んでしまいます。 しかし、そんな心温まる日々も突然の終わりを告げます。 ピアノ教室に出かけたペタは悪い奴らに誘拐されてしまうのです。 護衛としてついていたクリーシーも誘拐犯一味を何名か射殺しますが、多勢に無勢。何発もの弾丸を食らい倒れてしまいます。 倒れたクリーシーに縋って泣き叫ぶペタを、無理やり拉致する誘拐犯たち…… 意識を取り戻したクリーシーは、ペタが殺されたと友人から知らされます。 大事な大事なペタを奪われたクリーシーは当然ブチ切れですよ。 「この事件に関わった奴、これで美味い汁を吸った奴、すべて皆殺しだ」ですよ。キーッとヒスを起こすのでなく、静かに言うのがまた怖いんだ。 クリーシーの怒りがいかに凄まじいか(=ペタへの想いがどれほど深いか)思い知らされます。 その後はクリーシーによる犯人連中への復讐と、複雑に利害関係が絡み合ったこの誘拐事件の謎解きがメインになります。 それにしてもその「復讐」のエグさと言ったら。 「情報を聞き出そうと捕まえ、車内で尋問したものの、口を割らない犯人(下っ端)の指をナイフで…→犯人絶叫、フロントガラスに血飛沫→クリーシー、何でもない様な顔で切断面にカーライターをジュー(血止めらしいが)」 ……痛い痛いイタイイタイ。 他にも「犯人のケツに爆弾突っ込んで爆破」「捕らえた犯人にペタの写真を突きつけ(何でそんなもん持ってるんだ)『お別れの挨拶をしろ』と言った後にショットガンで射殺」「護衛つきの犯人を車ごとRPG(ロケットランチャー)で爆破」etc.もう殺す殺す。しかも淡々と。 誘拐事件の真相もやりきれないもので、見た後の感想として爽快感とは程遠いものだったのですが、それでもペタとクリーシーの心の繋がりやラストを考えるに、クリーシーにとっての「救い」みたいなものはあったかなと思います。 オチまで言ってしまえば、実は生きていたペタを救い出してクリーシーは殉死、という雰囲気のラストで、「御主人様の為に全てを投げ出す下僕」の構図がツボで堪らない私には満足でした。色んな「?」は浮かびますが。欲を言えば「クリーシーもペタも生きていて犯罪組織は壊滅」みたいなハッピーエンドだと良かったかな……と思いますが、それじゃあの悲壮感とか台無しですよね……。 ともかく、大変素敵な主従ムービーでした。 あと、レオン云々と宣伝されていましたが、あれとは方向性が全然違うと思います。 どちらも好きですが。 落書き。このキャッチコピーに惹かれて見に行ったのです。 首から下げているのは御主人様から貰った「聖人ユダ」のペンダント。ユダは希望を無くした人の守護聖人なんだそうな。 脳内変換は同人屋の醍醐味ですが(そうか?)マジドーラとパフでも良いかもしれないと思った。 もしくはゼファーと幼少のソフィー。 奴ら、世界平和の為に作られた割には個人感情で動きすぎですよ。 上の絵、ボディガードが犯人に見える。
すみません、何をおいても書かなきゃいけなかった事について思い出したので此処にメモしておきます。 ・パッフィーだけはクラスチェンジにガルデンが直接関わっていない問題 ・「カイオリスの旅立ち」において、「ガルデンが(TV44話で)精神支配から解放されたのは生きるか死ぬかの大ダメージを受けたから」というスゴイ解釈がされている問題 それでは、また後程。 ――――― さて、来週のニンジャマスター登場で、精霊石を持っている人たちは皆クラスチェンジ完了となるのですが。 彼らの中でクラスチェンジにガルデンが直接関与していないのは、パッフィーだけなのですよね。 流石ヒロインと言うべきか。 ただ、初めて精霊石の力を行使した(暴走させた)のはガルデン相手でしたが。 ……書いてみればそれだけの話ですが、いろいろと含むところがある気がするのは私だけでしょうか。 後、カイオリスへの旅立ちについて。 ドラマの中で或る人物が敵の魔族に洗脳され、味方であるアデューに襲い掛かってくるのですが。 その洗脳を解く方法は無いだろうかと、イズミやサルトビやガルデンが話すシーンがあるのですよ。 で、「イズミ以上の便利な解説役」に華麗なるクラスチェンジを遂げたガルデンが言います、「俺が(44話で)邪竜族にやられたものと同じだ」。 其処でサルトビが驚いていわく、「じゃあ(44話のガルデンのように)生きるか死ぬかの大ダメージを与えないと、洗脳された者は元に戻らないのか」……。 ……44話でガルデンが受けた「生きるか死ぬかの大ダメージ」は、洗脳を解いたその後のアドリアの攻撃によるものだったと記憶しているのですが。 別に「半殺しの目に遭ったから呪縛が解けた」といったものではない筈でしたが。 「アデューの呼びかけで、ガルデンがリュー使いの騎士としての誇りを取り戻す」という44話の肝を、あっさりと根底から無かった事にする新解釈。 素晴らしい。流石は何か聞いた事もないような魔法や神様がぞろぞろ出てくる「カイオリスへの旅立ち」、涙が溢れて止まりません。 ネタバレになりますが、この後、洗脳されていた人は、邪竜族の魔女デスローザとイズミ二人の僧侶(?)奇跡によって自分の意思を取り戻します。 個人的には、この辺りの「デスローザ姐さんにおんぶに抱っこ」してもらっている雰囲気がなんとも物足りなく惜しく思います。邪竜族とアースティアの和解って、このシーンでこんな形でやらなくても、と。 それにお姫様を目覚めさせるのは、やはり騎士の熱い抱擁や呼び掛けや口付けでしょ。 (このシーンに至るまでに散々こそばゆい過程を踏んでいるのだから、リューから引き摺り下ろしてでもグッと盛り上げるべきだったと思う)
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