doo-bop days
ブーツィラの音楽雑記



 ジミー・スコット − BLUE NOTE TOKYO公演

車椅子に座りながら歌うジミー・スコット、82歳。もはや歩くことはおろか、自力で立ち上がることさえ難しいのだろう。

8/31(金)に観たジミー・スコットのブルーノート東京公演1stショウ。これ以上は無理なくらいのスローテンポで歌う「When Did You Leave Heaven?」や「The Folks Who Live On The Hill」(多分)などに心を動かされる。だが、数年前に観たライヴでのジミーと比べると、ヴォーカリストとしての衰えも著しい。最初に歌った「Blue Skies」での弱々しい歌声を聴いた時には、ショウを無事にこなすことが出来るのだろうかと心配したほどだ。

「人はなぜ歌をうたうか」(小泉文夫の著書より)――ジミー・スコットの歌を聴きたがっているファンとオファーがある限り、ジミーはいつまでも歌い続けるつもりなのだろうか。
ライヴという非日常の世界で見た、伝説のジャズ・バラード・シンガーの痛々しい現実を受け止めきれていない。

【追記:2007年9月6日付け日記より引用】ジミー・スコットのブルーノート東京公演(8/30〜9/1)がすべて終わった後に知った情報によると、ジミーは7月に腰の手術をしていたという。一日も早い快癒と、今回が最後の日本公演とならないよう願っている。

2007年08月31日(金)



 笠置シヅ子「買物ブギー」の完全版

“ブギの女王”笠置シヅ子(1914−1985)の「買物ブギー」(1950&1955年録音)が、オリジナルの歌詞そのままのヴァージョンで聴ける。松竹映画『ペ子ちゃんとデン助』(1950年, 監督:瑞穂春海)に笠置シヅ子が出演した際に歌った「買物ブギー」のフル・ヴァージョン(3分52秒)がそれ。今なら『YouTube』で見られる(→【追記】動画は2008年3月下旬〜4月上旬に削除→2008年5月下旬?に再アップロード)。

この動画のおもなポイントは二つある。一つは、聴覚障害者への差別用語にあたるとの理由(レコード会社の自主規制?)で削除されている、「買物ブギー」のエンディングにおけるオリジナルの歌詞がカットなしで聴けること。
もう一つは、エンディングの聴覚障害者である「オッサン」のさらに後に登場する、目の不自由な「おばあさん」とのやり取りという真のエンディングまで収録している点だ(「真のエンディング」がSP or シングル盤に収録されたことはあるのか不明。視覚障害者への差別用語あり)。
なお、映画『ペ子ちゃんとデン助』(1950年)での「買物ブギー」は、動画を視聴するかぎり、1950年録音のSP盤の同曲とは別テイクである。

今まで歌詞が一部カットされた編集ヴァージョンしか聴いたことがないうえ、笠置シヅ子をテレビで見た記憶すらほとんどない世代に属するいち笠置シヅ子ファンとしては、この「買物ブギー」の動画は実にありがたい。ただ、現在CDで聴ける「買物ブギー」の2つのヴァージョン(1950&1955年録音)よりもテンポが遅いためか、笠置シヅ子の和製オリジナル・ラッパーとしての技量全開とはなっておらず、スリル、切れ味には欠ける。

1977年発売の復刻シングルを最後に、オリジナルの歌詞の一部がカットされて発売されている笠置シヅ子の「買物ブギー」。3枚組CD『ブギの女王−笠置シヅ子 日本のポップスの先駆者たち』(1989&2006年)に収録されている「買物ブギー」の2つのヴァージョンも、いつの日かオリジナルの完全版で聴きたい。

笠置シヅ子 / 買物ブギー(『doo-bop days』2004年12月03日)

2007年08月13日(月)
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