TOM's Diary
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落ちていた。 どんどん、どんどん、落ちていた。 どこまでも、どこまでも落ちていた。 もしかしたら上っているのかもしれない。
あたりは真っ暗だ。 下を見るとところどころ光の点が見える。 上を見ても光の点が見える。 光の点に囲まれている感じだ。
光の点が密集して光の川のように見える。 下に見えるのは街の明かりだろう。 上に見えるのは天の川だろうか?
それにしてもどこまで落ちるのだろう。 すでに5分以上は落ちている気がする。
きっと落ち始めたときはショックで気を失ったのだろう。 気が付いたときには落ちていた。 どこから落ちたのだろう。 いつ落ちたのだろう。 必死で記憶を辿るが思い浮かばない。
こんなにも高い場所を落ちているのだから、宇宙船から落ちたのかも。 でも、宇宙船になんて乗った記憶はない。 飛行機からだろうか。 でも、それならばとっくに地面に近づいていてもいい。 だが、地面はまだ遥か遠くだ。 やはり宇宙船からだろうか。
だんだん、落ちていると言う感覚がなくなってきた。 まるで宇宙空間を漂っているような感覚だ。
そうか、街の光だと思ったものも星かもしれない。 ここは宇宙空間なのだ。 だからいつまで経っても地面にたどり着かないのだ。
宇宙なんて始めて来た。 意外と普通だ。 息も苦しくない。
近くで音がする。 なにかの音がする。 どうやら頭上で何かが鳴り響いている。 そちらに移動しようとした。
S氏はベットからずり落ちた衝撃で目覚めた。 ベットの上で、目覚まし時計が鳴り響いていた。
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