へる(ぷ)の日記
へる(ぷ)



 





打ち付けて

するすると退く

白波に

怯えて掴む

母の足







2004年10月31日(日)



 





薄目開け

眼に広がる

天井に

映る母の

歪む面影












2004年10月30日(土)



 





先を見て

足元を忘れて

躓いて

起き上がった先に広がる

下り坂








2004年10月29日(金)



 




僕と世界の関係は

とてもとても細い糸で繋がっていて

その糸がもう切れそうだから

どうか君の手でその糸を引き千切って

僕の首を絞めて殺してください

僕から君への最後のお願い










2004年10月28日(木)



 





例えば今いる世界が夢の世界だとして

目が覚めた時に広がる世界が

幸せなものとも限らないだろう?

それでも人は夢に逃げるけどね

ねぇ なんでだろうね?









2004年10月27日(水)



 





夢を飛び続ける蝶になりたい

浮気性な蝶になって

誰かと誰かと誰かの夢を行き交いたい






2004年10月26日(火)



 





いい女ってたくさんいるけど

僕の側には寄り付かないよね

君も君も君も

違う男に抱かれて震える兎さん

僕は一枚隔てた金網からじゃなきゃ

君たちに関われない部外者さん

一度はその毛並みに触れてみたいと思うけど

「関係者以外立ち入り禁止」の看板に怯えて逃げる

臆病さん。









2004年10月25日(月)



 





死にたいと思ってる奴ほど

死を迎えようとする人の前に立つと

震えて逃げ出したくなる

結局は運命の車線からはみ出せない

そんな臆病者。







2004年10月24日(日)



 





セックスでわかること?

ないよそんなの

形とか色とか

そんなのでわかることなんて

所詮は趣味好みの範囲だろう?

欲しいものはそんなんじゃないと思う。










2004年10月23日(土)



 





女性の体は美術品

女性の心は芸術品

僕を楽しませる嗜好品

好みをとやかく言われる必要は

ないものだと思うんだけどね。











2004年10月22日(金)



 





思い出さなくていいこと

想い出さなくていいこと

思い返す必要のないこと

「あの日の僕は」と言い訳

変え様のない事実を上辺だけで変える

逃げの姿勢 逃走本能 自暴自棄

あの日消した黒板の文字を

未だに僕は覚えている。







2004年10月21日(木)



 





砂漠に溺れて溺死しました

自分に溺れて溺死しました

自分を見失って野垂れ死にました

自分の存在を自分で消しました死にました

自分に雇われた殺し屋は自分で

追い詰める自分に「あばよ」と言ったのも自分で

悩み抱えて首吊って死のうと思っている自分も自分で

結局は複数の自分がお互いを必要としていなくて

「お前らの様な奴らが生きてる必要なんてないよな」

と言って殺しあい始めたら

ホンモノのはずの自分だけがやたらと殺されて

殺されて殺されて殺された

自分の名前が呼べません

自分が誰なのか自信を持って声に出せません

つまり自分は死にました

死にました死にました死にました

死にました死にました死にました

死にました死にました死にました

死にました死にました死にました死にました







ご臨終。












2004年10月20日(水)



 





消える消える消える

僕の前を素通りして

「いつものあなたじゃない」

そう吐き出した君の一言が引き金になって

僕の存在が消えてゆく

消える消える消える

僕でない僕は一体誰に定義されて存在する僕なのですか?








2004年10月19日(火)



 





マリオネッテよこんにちは

そんな泣かなくて良いんだよ

君が踊れないのなら君の糸を僕が手繰り寄せて

君好みの踊りを踊らせてあげるよ

だから泣かないでマリオネッテ

僕は君がいれば何もいらないのだよ

君は素晴しいマリオネッテさ

自分を疎ましく君を常々僕は不思議に思う

白磁のような白い肌 無表情で艶のある顔

ぎこちない踊りを真剣に踊る君

嗚呼 僕はそんなマリオネッテ 君に恋をしたのだよ

「ワタシハマリオネッテ デモ アナタハ チガウ」

嗚呼 そうだよねそうだよね

僕はどんなに頑張っても君と同じにはなれない

君は生まれながらのマリオネッテ 

僕は生まれながらの人間

一緒になれない 一生愛し合えない 嗚呼

だったら僕の側にいておくれマリオネッテ

優しくするよ 話も聞こう 一緒に踊ろう

だから僕を一人にしないでおくれ 寂しいんだよ





でも君は君は。





ある日彼女はマリオネッテをもう一体連れてきて

喜色に染まった無表情な顔で僕にこう言った

「私に好きなマリオネッテが出来マシタ

私は彼と一緒に成りたいデス

彼を私と一緒に躍らせてくださいオネガイシマス」

嗚呼 マリオネッテ

僕は君のためなら何でもしよう

君とそのもう一体のマリオネッテを一緒に踊らせよう

不器用でぎこちない踊りだろうが

嫉妬や寂しさは仮面で隠そう

僕は君らを踊らせる道化になろう

さぁおいでマリオネッテ

君の望んだ舞台を演じようではないか






こんにちは

新しい二人のマリオネッテ

さようなら

僕だけの愛しかったマリオネッテ












2004年10月18日(月)



 





少しだけキミが羨ましい

少しだけボクが疎ましい








2004年10月17日(日)



 





見上げた向こう側に何が見えますか?

キミはボクじゃないしボクはキミじゃないけど

キミと綺麗なものも汚いものも共有できれば

もっと毎日が楽しくなるんじゃないかな

って考えてしまいます

岬の青は綺麗ですよね

墓場の緑は怖いですよね

街の色は何色に見えますか?

もっともっと話がしたい

キミともっと話がしたい

何か返事をしてください

何か

ボクとお話してください

ボクが 

目を覚ましてあっちに帰る前に…









2004年10月16日(土)



 





現実に時間差で感情が追いついてくる

それが僕ら第三世代

「リアルを愛そう」とネットで叫ぶ現代人

ナマモノを知らないバーチャル世代

嗚呼 主よ こんな僕らを 憐れみ給え







2004年10月15日(金)



 





ミルクの海から上がったばかりの少女の股間には

先生を襲った時に少年が手に持っていたナイフと同じくらい

悪意に満ちた狂気がいきり立つ

所詮は股間に引っ張られて生きる人の性

嗚呼空しい 嗚呼虚しい アアムナシイ








2004年10月14日(木)



 






死にたいとか思うときに死ねなくて

死にたくないと思ったときに死ぬんだろうな

我儘といえば我儘

不条理と言えば不条理

死ってそんな存在なんだろうな

恋するあの子へ届かない気持ち

そんな可愛らしい憧れなんだろうね







2004年10月13日(水)



 





僕が僕を離れて一人で歩く

僕の知らない僕が人に気に入られる

僕の知らない僕が人の噂になっている

僕が僕を離れて一人で歩く

僕の知らない世界を覗く

取り残されて 

僕が泣く









2004年10月12日(火)



 





笑っても酔っても寂しいだけ

誰かに話しかけられないと

何かに頼らないと

何も会話が出来ない

そんな自分が悲しいだけ








2004年10月11日(月)



 





渋谷センター街は

巨大な出会い系サイト

行き交う人もまた 電子記号の旅人なり

触れてアクセス

弾かれエラー

男女の出会いはOSとウィルスの出会い

行き交う人もまた 電子記号の旅人なり

口説き言葉喧嘩言葉に説得言葉

全てがインストールされた言語ワード

ハッキングはお止めくださいお医者様

母はマザーボード父は半田ごて

受精は溶けた鉛の臭い

行き交う人もまた 旅人なり

行き交う 僕も また 旅人なり









2004年10月10日(日)



 





ほら 立ち止まって周りを見てごらん?

右も左も 前も後も 上も下も

ここは見渡す限りの戦場よ

足元で転がっているサラリーマンの死体

木陰に吊るされたいじめられっ子の死体

便所に浮かぶ浮浪者の死体

ねぇ 此処を戦場と言わずになんと呼ぶ?

此処は戦場 鬼畜の道理が罷り通る狂気の舞台

此処は戦場 貴方の目の前に広がる

前進した先の世界













2004年10月09日(土)



 





多分ね

今この人といると幸せだなと 思える人とは恋愛しないと思う

満たしてくれるモノが幸せだったらさ

弱い僕はすぐに依存すると思う

自ら棺桶に入るにはまだ物足りないんだよ

形振り構わず自分の欲求のままに楽しめる時間が

今の僕には欲しい








2004年10月08日(金)



 





ただ静かに 波打ち際で月を眺める 私が居ます

波打たない水を 器に収めて

静かに ただ静かに 霧に濡れる夜半の海を

裸で泳ぎながら 眠ります

海に還りましょう

私は海に還りましょう











2004年10月07日(木)



 





自分の過去の話を

傷痕を見せびらかすように話すあなたって

私から言わせてもらえば

自慰行為を他人に見せて喜んでいる変態にしか見えないのよ

私はあなたの見苦しい行為なんて見たくないの

お願いだから止めてくれない?









2004年10月06日(水)



 





自意識過剰ね

他人の視線を怖がるあなたって

美醜なんて関係ないわ

結局は見られてると思っているんでしょう?

でもね

あなたの事を見て評価するほど

世間一般の人たちは暇じゃないのよ

あなたが怯えてるのは

他人の視線でなく自分の視線

あなたを縛ってるのは

他人の思惑ではなく自分自身のマゾヒズムよ










2004年10月05日(火)



 




眼球が無ければ泣くことはなかった

眼球さえなければ泣かずにすんだ

眼球があるから泣く事に逃げた

たまに女の肌に逃げた

最後に抱いた女はこう言った

「私の次はどこに逃げるの?逃げ場はあるの?」

そんな目で見ないでくれ

同情する 悲しむ 哀れむ 嘲笑う目で

僕を見つめないでくれないか

眼球があるから泣きそうだ

眼球があるから他人の眼球に映る自分が怖い

最後に抱いた女にこう言った

「最後の逃げ場は眼球をえぐること 

この世から目を逸らすこと」

女は笑った

嘲笑うように嬉しそうに馬鹿にするように

吐き捨てるように僕に言った

「そこまでして 未練があるのね? 意気地なし」

僕は黙って眼球に触れて心の中で毒づいた

「初めから 眼球さえなければ 未練なんて無かったさ」











2004年10月04日(月)



 





答えをください

殺してください

答えをください

殺してください

氷の台座でおやすみなさい

身も心も冷え切ってください

起こさないでください

寝かせてください

答えをください

食事はいりません

同情はいりません

殺してください

おやすみなさい









2004年10月03日(日)



 





家族を恨んだ

恋人も恨んだ

友達も恨んだ

恨むものが無くて

世界さえも恨んだ

最後の最後に

自分を恨んだ









2004年10月02日(土)



 





誰にも愛されない豚だよね

ただ 食われるのを待つだけの豚だよね

豚は豚しか生まないよね

間違っても 神秘歓喜感動なんか生まないよね

豚は死んで食われるが良い

豚は死んで食われるが良い

豚は僕だよね

豚は僕だよね

きっとそう きっとそうなんだよね









2004年10月01日(金)
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