狛の日記...狛。

 

 

オペラ座の怪人 - 2005年02月28日(月)


あまりの切なさに、心臓が止まりそうだった。

どれだけの時間を、彼は独りきりで過ごさなければならなかったんだろう。
太陽の光に当たることを赦されず、闇に生きることを余儀なくされた彼が憧れたのは、
一人の少女その人の容姿だけでなく、彼女が持つ才能という輝きだったのかもしれない。

か細く、華奢なその身体から漲る光、輝き、煌めき。
親を失い、孤独の淵に佇む少女に自分を重ねながら、
自分が決して手にすることができないその栄光を、どれほど切に望んだことだろう。

光の中に生きる彼女を手に入れることで、
自分も世間に認められたのだと、そう想いたかったのかもしれない。

彼が得たかったのは、クリスティーヌが纏う光そのものであり、
自分を憐れみ自分へと心を傾けてくれたその想いそのものだったように想う。
だから、最後まで彼女の信じたエンジェルでいたかったのだと思う。
光に生き、神と共にあることを許された愛の象徴として、ありたかったのだと思う。

そうして、愛していたと言ってくれた彼女の言葉で、救われたんだろう。

溢れるほどの才能を手にしながら、本当に欲しかったものがその言葉だったなんて。
それはあまりにも切なすぎる。




観終ったときに、母が言った言葉がとても印象的だった。




「現代の医学をもってすれば、彼の顔の傷だって癒せただろうに、」



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風邪 - 2005年02月25日(金)

声が出なくなるたびに、
このまま一生声が嗄れてしまうのではないかと不安に思ったりして。

常にあるものを、一時的とはいえ失うたび、
それが一生続くことの恐怖を想う。

歌うたいの人たちは、
己の声をそんなに上手にコントロールできるものなんだろうか、と。
ふと疑問を覚えた。

自分はこんな風にして、時折声を失う時期があるから。
巧みに声を操る人たちを、心から尊敬する。
自分がもし、声を扱う仕事に就くのだとしたら、
それはもっとずっと苦痛を伴うのかもしれない。


人が気遣ってくれるほどの痛みや、障害はないけれど。
一生歌が歌えなくても日常生活に支障がないけれど。
口ずさむメロディーが酷く嗄れた音を奏でているのに気づくと、
それはそれでかなりショックだったりするから。


風邪、早く治さないと。


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共通点。 - 2005年02月06日(日)

あれこれと、いろんな作品に触れてみて、
その全てに共通して、
自分はその作品のファンタジーな部分に惹かれるのだと想った。

映画でも、絵画でも、
一枚の薄いヴェール越しに見るような描写はとても憧れる。
柔らかな肌触りと、パステルカラーにもにた淡い色彩と。
その両方を感じられる作品は素晴らしい。

その感触と、感覚と、
それからそれに触れた瞬間の感動を言葉で表現できたら、
それはなんて幸せなことなんだろう。

想いばかりが先走る毎日の中のほんの一瞬を、
言葉として切り取ることができたら、それは最高の日記になるのに。
ただ平坦な言葉を並べるのではなくて、
そこにあった空間をそのまま言葉に載せることができるように、
願うばかりだ。




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CUBE2。 - 2005年02月05日(土)

付けっぱなしにしていたTVから流れてきた映画で偶然目にした物だけど、
あの世界感は怖ろしかった。
引き込まれていく恐怖感は本物だ。

縦と横に高さを加えた三次元の現実に、更に時間軸を加えた四次元空間。
無数のCUBEが連なる異次元世界で、KeyWordの4が無数に散りばめられている辺り、監督は相当な策士だろう。
同じ時計と共通点を持った人達が、
数学の幾何を具現化した様な立方体の中で織り成すやり取りに引き込まれたら最後。結論を見届けるまでそのドキドキが収まることはない。
結論を知ったところで、狛の恐怖が収まることはなかったのだけど。

ストーリーの難しさと、多少乱雑に思える場面もあったけど、
重力と時間軸の表現は巧い。
そして何より、白と黒だけで彩られた空間と、
鮮やかなまでに多様な人種を組み合わせた色彩のセンスは完璧。
抜群の才能だと思った。


合言葉は5桁の数字。
その意味が分かったら、そこから脱出できるはず。


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0202. - 2005年02月02日(水)

山梨LIVEでテルが口にした言葉で、
走馬灯のようにいろんな彼の言葉を思い出して。
その、あたり前みたいに周りに差し出される優しさに、
少しだけ胸が震えた。

彼がどんな想いでその人の名を聴いていたかはわからないけど。
これはもしかしたら本当に一方的な気持ちなのかもしれないけど。
そこに纏わる話は、きっと彼にとって甘い記憶ではないと想う。

悪役を引き受けることの怖ろしさを知っているんだろうに。
それを平気な顔で受け取ろうとする凛とした後姿が見えるようだと想った。


自分が一度懐に抱いた人たちに対しては酷く優しくて。
離れていく人に対しては、引き止める術を持たなくて。
そんな、強さと頼りなさを散りばめたような
彼の曖昧なバランスの取り方は、
10年前からあまり変わっていないような気がする今日この頃。


一つでも笑顔が増えるようにと、願いを込めて。



HAPPY BIRTHDAY。


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