せきねしんいちの観劇&稽古日記
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篠原さんと新宿で打ち合わせ。 富士見丘小学校の卒業公演の台本のプロットについて。 子どもたちが書いてきた作文を元に、今年もまた一本の芝居を立ち上げていく。 お互いに考えてきたいろいろを言葉にして伝えていくなかで、また新しい発見がある。 大筋を決めて、今年は基本的に篠原さんが台本を書き、僕が演出という分担なので、それを踏まえての次回の授業までのスケジュールの確認。それぞれへの宿題も。 プロットの打ち合わせの後、芝居についてのおしゃべりもひとしきり。 最近見た舞台のことや、これからのこと。僕も、新作「ジェラシー」のことを話させてもらう。相談というのではないけれど、話しながら、新たな発見があるのはこちらも同じ。 これから来年の2月まで、gaku-GAY-kai、「ミッシング・ハーフ」「ジェラシー」、そして富士見丘小学校の卒業公演と、作家として仕事が続く。いっぱいいっぱいにならないよう、一つずつきっちり進めていかないと。帰りの電車の中、スケジュール表を確認する。
先週、ベランダのゴミ袋を荒らされて以来、毎日、ネコのエサを小皿にのせて出かけている。 帰ってきても、そのままな時もあるのだけれど、夜遅くふとのぞいてみると、空っぽになっている。 いつ来たのか、まったくわからない。あのネコが来ているのかどうかも、わからない。 別につかまえてやろうなどとは思わないのだけれど、ちょっと張り合いがないことはたしか。 なんとか姿が見てみたい。どうしたもんだろうか。
中野のレズビアンと女性のためのコミュニティスペース「LOUD」へ、友人のミゾグチさん主催のパーティにうかがう。 パートナーとの21周年(!)と、ミゾグチさんの博士号取得のお祝い、そして、来年の4月に移転しなくてはいけない「LOUD」へのファンドレイジングもかねてとのこと。 久しぶりにうかがった「LOUD」。フライングステージも、以前、運営していた「TOGETHER」というグループも、とてもお世話になった。当時、そうあちこちにはなかった、軽印刷機がここにはあって、よく印刷をさせてもらった。パーティも何度か企画した。フライングステージの公演情報も毎回、「LOUD」の機関誌に載せてもらっている。 マンションの大家さんの都合で、移転しなくてはいけないのだそうだ。 広くはない室内が、人でいっぱい。ミゾさんにご挨拶。知り合いの何人かにも。今日もまたなつかしい、久しぶりな人たちに会えた。
買い物がてらの回り道、この間は先を越されてしまった二匹のネコたちにまた会う。 今日は、エサをやってみる。写真も撮った。 いつも一緒にいる二匹だけれど、仲良しではないのかもしれない。 黒い方は首輪をしている。飼い猫らしい。 茶トラは、目が少し赤い。病気なんだろうか。 頭をなでさせてもらう。茶トラは抱き上げることもできた。 ひさしぶりな生き物の重さ。
友人のマツウラくんの個展のオープニングパーティにうかがう。 久しぶりに来た天王洲。 運河沿いの道はまっくらで、ちょっと道に迷う。 真っ白な会場の中で、鮮やかな作品が生き生きと輝いている。 マツウラくんにご挨拶。ちょっと痩せたんじゃない?というかんじが、ますますアーチストなかんじ。 以前の個展は見逃してしまったので、ひさしぶりに彼の作品をたくさん見ることができてとてもうれしかった。 国内だけでにとどまらない彼の活躍も友人としてとてもうれしい。 いつもの平面の作品だけでなく、今回は立体が多くあるのが新しい。 ソフビの人形。ノリタケの陶器になっているものなどなど。 アルピーナさん、ジャスミンさんをはじめ、ひさしぶりな友人たちと会えたのもうれしかった。 ジャスミンさんは、デリーチェさんと二人で颯爽としたドラァグクィーン姿。かっこいい。 このあいだ、ばったり会った大ちゃんは、奥さんと子ども連れで来ていた。 優一郎くんは、長い髪をきれいに結んだ女の子の拵え。親の趣味なの?と尋ねたら、彼が自分でやりたがるんだそうで、髪をまとめているのはお気に入りのゴムなんだと教えてくれた。 個展は今月いっぱいまで開催とのこと。 くわしくはこちらをごらんください。
gaku-GAY-kaiのフライヤー用のイラストがランベルティさんから届く。 今年もまた素敵なイラストだ。これからデザインを始める。
ジョン・パトリック・シャンリィの戯曲「ダウト - 疑いをめぐる寓話」を読み終える。 初めは、なんだろこれ?と思いながらだったのが、ぐいぐい引き込まれる。 1964年のNYのミッションスクールを舞台にした4人芝居。 神父である教師は、校内でただ一人の黒人生徒(12才)に性的虐待と行ったのか? 否定する神父と、疑いつづけるシスター。 このシスター・アロイシスというキャラクターがすばらしい。 常に神と向き合いながら、自分の中にある「疑い」についての問いかけをやめない。 真実はなにか?というワンシチュエーションで終幕まで、ものすごいかけひきがつづく。 そして、ラスト、文字通り、体が震えるような感動。 このシスター・アロイシスという役、いつかちゃんとやってみたいと思った。 今日も図書館へ。 仕事の帰りに一度、部屋に戻って、自転車に乗って出かける。 ベランダに置いたジャーキーは、そのまま。昼間は来ないのか? 図書館へは、電車のガードを2つくぐっていく。 その2つめのガードがきれいな舗道になっていて、前にここで猫を二匹見かけた。 と、今日もいた。 どんな間柄なんだろう。友達、親子? キジトラっぽい一匹と、なんだか茶色と黒のまだらなぼさぼさした猫。こっちは、少し若いのかもしれない。痩せている。 自転車をとめても逃げようとしないので、エサをやりながら、写真をとらせてもらう。 茶色い猫ばかりががつがつ食べて、キジトラは少し離れて見ている。 親猫なのかもしれない。
いつまでも遊んでいると閉館時間になってしまうので、図書館へ向かう。 この間、読み終えられなかった資料をおしまいまで。 別の資料も何冊か。 ついでに岩田専太郎の画集も見てみる。 また何冊か本を借りて帰ってくる。 帰り道、ガードしたの猫たちの姿はない。 と思ったら、キジトラがフェンスの向こうでこっちを見ていた。茶色はいない。 フェンスの向こうはちょっとした草むらになっている。 このあたりがねぐらなんだろうか? 図書館にはこれからしばらく通うことになりそうだ。 ここの猫たちとも顔なじみになれるだろうか。
部屋に帰ってベランダを見たら、ジャーキーがなくなっていた。 さっき帰ったときにはまだあったから、今、食べたんだろう。 こっちの猫とも仲良くなれたらいいな。
近所の猫と仲良くなりたくて、猫用のジャーキーを持ち歩いている。 毎日見かけるコンビニのとなりの飲み屋さんの猫二匹は、入り口脇がご飯場になっていて、そこにいるときは、大体、食べているか、寝ている。 飲みに入ってしまえばいいのかもしれないが、家の近所で飲むというのが、どうも苦手だ。 猫二匹に大きな白いラブラドールが一匹いるその店は、女将さんが一人でやっているらしい、一番苦手なタイプ。 向かいの銭湯からの帰りしならしい女将さんが、外にいた猫たちに声をかけて、店を開けているのを見たことがある。 微妙に仲良くなりにくい距離感の猫たちだ。毎日会うのだけれど。 家の近くの公園の前が猫のたまり場になっているらしく、何匹かが集まって、夜の早い時間に集会をしている。 この公園は、近所の若い子たちのたまり場にもなっているようで、派手目な車とバイクが何台も、よくとまっている。暴走系じゃなくて、免許取ったばかりの子が、なんとなく集まってる、素朴なかんじ。 ここの猫たちには、誰かがエサをあげているらしい。ここで見た猫をずいぶん離れた通りでも見かけたりしている。猫の縄張りは、ほぼこの町内全部といっていいのかもしれない。 昨日、買い物の行きがけに通りかかったら、何度か会っている茶トラが一匹で地面に置かれたエサを食べていた。食べてるところにエサをやるのはどうかと思ったのだけれど、これも食べてみるかい?とジャーキーを置いてみる。 用心深い茶トラは、少し離れたところから見ているだけで、近寄ろうとしない。まあ、いいかとその場を後にしたのだけれど、帰りに見てみたら、ジャーキーはなくなっていた。食べたのか、片付けられたのかは、よくわからない。 今日、仕事からの帰り、いつもは歩かない商店街を通って帰った。と、黒猫とぶちの猫が道路の真ん中でうろうろしている。 お、これはチャンス!と近寄ったら、すぐ近くに若い女性が立っていて、バッグからキャットフードを取り出しているところだった。 僕と同じことを考えている人がここにもいた、と思いながら、先を越されたようで、ちょっとくやしい。 ここで、彼女に話しかけたりすると何かが始まったりするのかな?と思いながらも、邪魔しちゃわるいというような気持ちで、立ち止まらず歩いた。 そして、さっき、ベランダから妙な音がするのでサッシを開けてみたら、今朝、ゴミを出し忘れたごみ袋がひどいことになっていた。 袋が破れて、中身がほぼ全部出てしまっている。生ゴミは入ってないはずなのに、なんで? これは猫のしわざか?と思い、ベランダから乗り出してみたら、そこに犯人がいた。 僕の部屋は2階で、すぐ前が自転車置き場の屋根になっている。その屋根の上でやつは、こっちをずっと見ている。じーっと。 あまり動かないので、写真を撮ってみた。 フラッシュにも驚くようすもないので、まあ、いいかと、片付けていたら、いつの間にかいなくなった。 目だけが光って、あとは真っ暗な写真をPCでいじってみたところ、どうやら黒猫らしいことがわかった。しっぽが短い。 先週、自転車置き場で僕の自転車のサドルに座っていたやつに違いない。 また来るだろうか? とりあえず、ごみ袋は部屋の中に入れて、ジャーキーを小皿に載せておいておく。
昨日届いた、富士見丘小学校の6年生の作文を読んでいる。 先週の話し合いをふまえての、2月の卒業公演の題材になるお話。 おお、こう来るか!というものがいくつもあり、笑わされてしまう。 夕方、図書館で、新作の資料にあたる。 昭和8年発刊の原典の復刻版。 装幀も挿絵も文字も、そのままをコピーしてある本。 扉の装画に、ヒロインの姿があった。 挿絵の作者は平田専太郎。 江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の挿絵を描いていたのもこの人だ。 本作のヒロインと女盗賊黒蜥蜴が、同じ顔立ちをしている。 そして、僕の頭の中のイメージがすんなりつながった。 そういうことだったんだ。 写真が残っている実際の彼女の肖像ではなく、この顔とつきあっていけばいいのかもしれないと思った。 メモを取りながらだったので、読了することができず、今週中にまた出かけることになるだろうと思う。 初めて行ったこの図書館は、戯曲が充実していてうれしい(雑誌コーナーに「テアトロ」と「せりふの時代」もある)。 迷ったあげく購入しないでいた戯曲を、何冊も借りて帰ってくる。
今日は休み。 どこにも出かけずに、家でしかできないことをすると決める。 朝から、掃除と洗濯。 衣替えで出しただけだった冬物のシャツ類を、思い切って洗ってしまう。 ベランダが、何日ため込んだんだろうというくらいなシャツでいっぱいになる。 このところ毎日作っている野菜スープに、お米と一緒に炊く雑穀を一袋入れてみた。 こじゃれた「雑穀のスープ」になるかと思ったら、できあがったのは、茶色いおかゆ状のものだった。すごいな雑穀。 新作の準備をあれこれ。 手に入らなかった資料が、近くの図書館にあることが判明。貸し出し禁止なのだけれど。 明日、行ってこよう。 「贋作・大奥2 ATSUHIME」の準備も。キャストが全部決まったので、構成とミュージカルナンバーを考える。 思いついて、トニー賞の授賞式のビデオを見てしまう。2004年版。司会のヒュー・ジャックマンがとにかくかっこいい。オープニングの「ワン・ナイト・オンリー」。ロケッツのダンサーたちと一緒になって足を上げて踊るヒュー・ジャックマン。彼は、「ボーイ・フロム・オズ」でこの年のミュージカル主演男優賞を受賞してるけど、このオープニングのパフォーマンスもすばらしい。 「屋根の上のバイオリン弾き」「アヴェニューQ」「ウィキッド」。 作品賞候補のハイライトシーンを見ているだけで、心が洗われるような気持ちになる。 演劇に携わっていることのしあわせを、あらためて感じる、そんな気持ち。 夜、昔はもっていたのに、いつの間にかなくしてしまったニナ・ハーゲンのレコード「NINA HAGEN BAND」をネットで見つけて注文する。信じられないお買い得価格。この中の「NATURTRANE」という曲を、昔、ダンスの試験で踊ったことがある。 真夜中、自転車に乗って、セブンイレブンにクロネコメール便を出しに行く。 明日の朝でも同じなんだろうけど、外に出てみたかった。 まだ寒くはないけど、シャツ一枚だと風が冷たい。 クロネコといえば、クロネコヤマトのCMがおもしろい。 JRの車内広告映像で見た、15秒の「宅配はネコである」のCM。 これもおもしろいけど、僕は30秒バージョンも好きだ(クロネコヤマトのサイトからいつの間にかなくなってしまったのは、動物愛護の観点からだろうか?)。 YOUTUBEのアドレスを貼っておくので、見てみようという方はどうぞ。
宅配は、ネコである(15秒) http://jp.youtube.com/watch?v=6TuzYeXh8tU&NR=1
宅配は、ネコである(30秒) http://jp.youtube.com/watch?v=5-3dCN19mFU
2008年10月15日(水) |
助成金とスクールバス |
午後から、芸術文化振興基金の説明会に、千駄ヶ谷の日本青年館へ。 外苑前で地下鉄を降りて、神宮球場の前の道を歩いていく。 球場から、大学生野球の応援の音が聞こえてくる。 説明会では資料をもらい、説明を聞きながら、もろもろの確認。 来年の企画がどんどん具体的になっていく。 終了後、篠原さんをはじめとする、劇団劇作家のみなさんと合流。 千駄ヶ谷の駅前でしばしおしゃべり。 その後、淵野辺の桜美林大学へ。 「祝/弔」で演出助手をしてくれていた寺田千晶さん出演の劇団銀石 企画ユニット・レオゴンズ「The Reogons Show 2 〜Minor Game〜」を見に行く。 先週の武蔵小杉に続いて、淵野辺というところに行くのも初めて。 小田急線で町田に行くのもひさしぶりで駅前の変貌ぶりにびっくり。 淵野辺からバスで桜美林大学まで。 学内のホールでの公演ということで、ややアンダーグラウンドなイメージがあったのだけれど、いい意味で裏切られる。 学内は、とてもきれいで(暗かったけれど)、何より印象的だったのは、客席への誘導を初めとする表方の気配りが、とてもていねいだったこと。客席誘導のスタッフのポケットには、ペンライトが2本入っているし、当日パンフの袋とじに、ていねいにミシン目がはいっていたりするあたりも。 桜美林は演劇コースがある大学なわけだけれど、こういう気配りのしかたも、しっかり身につけてるんだなあと感心する。 芝居は、オムニバスのコント。シンプルに笑えるもの、じーんとしてしまうものなどとりまぜて楽しい100分。 寺田さんは、ほうきとバケツを相手にしての一人芝居がおもしろかった。子どもの頃に好きになった男子二人をそれぞれ、ほうきとバケツに見立てての一人語り。 その他の演目では、自分がロボットだったと気がつく男の子を演じていた役者さんが印象に残った。名前がわからないのだけれど、ほろりとさせられる。 終演後、寺田さんにご挨拶。 満員のスクールバスで淵野辺まで。 都心で芝居を見て、ざわざわした気持ちになるより、よっぽど気持ちのいい観劇体験だった。 これまで、情報としては知っていても、なかなか足がのばせないでいた桜美林大学の演劇公演だけれど、また行ってみようと思う。 いいきっかけをもらえたことに感謝。
朝、目が覚めると、なんだか眼がかゆい。 秋の花粉症か?と思うが、すぐに部屋に飾った百合が咲いているせいだと判明。 昨日はつぼみだったのに、今朝は満開。 おしべの花粉もしっかり粉を吹いていて、部屋は甘い匂いでいっぱいなので。 すぐにティッシュでおしべをとっておく。 ついでに写真も撮っておく。 午後から両国へ出かける。 シアターΧで、高校演劇の地区大会を見るため。 駅から京葉道路の向こうの回向院に向かう通りが歩行者天国になってお祭りをしている。 両国からくり祭というらしい。 祭につきもののテキ屋さんたちとは違う、ちょっとおしゃれな葦簀を掛けた屋台がいっぱいならんで、太鼓のパフォーマンスの真っ最中だ。 秋晴れのいい天気にさわやかがさらに倍なかんじ。 地区大会での母校演劇部は、文化祭での上演をバージョンアップ。 台本を整理したせいで、キャラクターとストーリーがすっきり見えてきた。 何より、シアターΧのちょうどいい大きさの舞台で演じられることで、いろいろなことがぐーんと素敵に見えてくる。 劇場に助けられるってこういうことだなあと思う。 終演後、出演の現役生と会うのに失敗し、客席で会ったOB、OGの面々と近くのファミレスでおしゃべり。 ここは、以前はデニーズだったのだけれど、いつの間にかオールセルフサービスの不思議なファミレスになっている。 今日のプログラムの一番最後の演目を見て、その後、ようやく現役生と話すことができた。 感想を伝える。お疲れ様でした。 審査員のみなさんの講評を聞く。見ていない演目も、どんな芝居だったんだろう、見てみたかったなあと思わせてくれる、そんな視点からの言葉がとてもあたたかい。
2008年10月11日(土) |
Pal'sSharer「Romeo+Juliet+Juliet」 唐ゼミ「ガラスの少尉」 |
阿佐谷のアルシェに、去年一昨年と書き下ろしを演出させてもらってPal'sSharerの公演「Romeo+Juliet+Juliet」を見に行く。 阿佐谷のアーケードには大きなハロウィンの飾り付け、そして、ジャズフェスティバルの旗がひるがえっている。 芝居は、披露宴の出し物「ロミオとジュリエット」の稽古をするために集まった30歳を目前にした高校のクラスメイトたちのお話。 場所も時間もまさに、この阿佐谷のアルシェという劇場の今をそのまま使っているのがおもしろい。がらんとした何もない空間がうまく生きている。 久しぶりな仲間たちがわらわらと集まってきて、お互いの今をしゃべりあう前半がおもしろい。後半、やや、みんなが正論を話し過ぎかなという気がしないでもないものの、今ここでこれを見ているおもしろさは十分かんじられる、いい芝居だった。 終演後、演出の森さん、はじめ出演のみなさんにご挨拶。舞台監督の田中さんに「髪が黒い」と驚かれる。 少し歩きたくなったので、南阿佐ヶ谷まで歩いていたら、佐藤大司くんに呼び止められて、びっくり。自転車の後ろに男の子を乗せている。彼は、僕が名付け親になった優一郎くんだ。もう三歳になるそうで、今日は二人で散歩とのこと。 近況を立ち話して、泰子さんによろしくと、また会う約束をして別れる。とてもうれいい偶然。というか、ご無沙汰していて本当にごめんなさい。 その後、唐ゼミ「ガラスの少尉」を見に、川崎市市民ミュージアムまで。 武蔵小杉からのバスが一時間に3本くらいしかないことがわかり、タクシーに乗る。 どこだかわからないところにいく気持ちがもう、非日常でわくわくする。 唐ゼミの青テントに電球のオレンジの明かり、どきつい色味の看板がまたいいかんじ。 芝居は、1973年のラジオドラマを元にしたもので今回が舞台では初演とのこと。といっても、テイストはまるのまんま唐十郎。 エメロンのなつかしのCM「振り向かないで」をモチーフに語られる、人の倍の肺活量があるヒロインと、戦争中のバリの記憶をもつ中年男。場面は、ガラス工場とバリをまたにかけて、時間を超えて繰り広げられる。 といっても何の説明だかわからないようなかんじで、とにかく、おもしろい1時間半だった。 テントの中の装置は、墜落した飛行機の内部のようで、ここにガラス工場やら喫茶店やらヒロインの部屋や、ジャングルやらが、無理矢理に登場してくる。そのちっともオートマチックじゃないかんじが、なんともいえず楽しい。 なつかしい、中島みゆき作の「匂いガラス」が聞けたりしたのもうれしかった。 役者では、隊長役の安達俊信さんが実にすばらしい。押し出しも立派で、そして色っぽい芝居だった。 来年は、上演不可能と言われる「下谷万年町物語」を上演するとのこと。 初演を見ている僕は、あの舞台がどんなふうによみがえるのか、とても気になる。 帰りは、観劇後の人たちだけで満員になったバスで武蔵小杉の駅まで。 知らない街までやってきて、芝居を見る、そのことが一つのおもしろい体験になった。 劇場へ行き、芝居を見ることへの、そこはかとないおっかなさが、ひさしぶりに感じられた。
毎年、街で金木犀の匂いに気がつくと、ああ、もう秋か・・と思うのだけれど、今年はなんだか遅いんじゃないかなとずっと思っていた。別にデータととってるわけじゃないのだけれど。 で、ここ数日は金木犀が家の近所でも満開だ。 朝、洗濯物を干して出かけると、自然ないい匂いがするといいなあと思ったりするものの、さすがにそこまで強力じゃないかんじ。というか、この頃使っているダウニーの香りが強烈なのだろうけれど。 夜、「祝/弔」でご一緒した、まっつんこと松岡努さん出演の熊猫楼「雨上がりのソラのように」を見に、大塚の萬劇場へ。 客席で古賀さんとタワーさんとばったり。楽しくおしゃべり。 銭湯を舞台にした人間模様。というよりは、のんびりした時間が流れてく、そんな芝居。 まっつんは、渋めの町内会長さん役で、今回も短髪&あごひげ。 終演後、まっつんにご挨拶。お疲れ様です。 大塚までの道をおしゃべりしながら三人で歩く。 家に着いて、教育テレビの「芸術劇場」を見る。イデビアンクルーの「排気口」。 てっぺんさんこと松之木天辺さんが出演。そうぞう舎で稽古場が一緒だったのだけれど、一度もばったり会うこともなく、本番もうかがえなかった。 いやあ、おもしろかった。 喫煙所にありそうな「排気口」から始まる男女の出会いが、不思議な宿屋というか旅館に場面が変わっていって、女将さん、女中さんたち、番頭さん、ぼけたおじいさん、などなどそれぞれ濃いキャラクターが踊る踊る。 着物で踊ると、全然予想もしなかった躍動感が生まれてるよう。というか、もう、それだけでおかしい。 てっぺんさんは、長身短髪&ひげ面のまましれっと女中キャラで登場。 ただでさえ目立つポジションなうえ「リバーサイドホテル」まで歌ったりして。 男子に色っぽいモーションをかけては蹴り倒され、母からの手紙に涙ぐみと、もう大活躍。 堪能しました。 次回の男子だけでのイデビアンクルーの舞台がますます楽しみになった。
アルピーナさんと待ち合わせをして、gaku-GAY-kai2008の会場のArcHさんへ、契約にうかがう。 久しぶりなバブリーナさんにごあいさつ。 11月30日の開演時間その他を決定していく。 よろしくお願いします。 今月中にはフライヤーを作りたいと思っています。 DMの発送の予定はないのですが、情報はフライングステージのホームページにアップする予定です。 ご予約等も不要です。クラブイベントですので、当日ご来場ください。
「gaku-GAY-kai 2008」
日程:2008年11月30日(日)19時30分開演 会場:新宿2丁目 クラブArcH http://www.clubarch.net/ 演目:「贋作・大奥2 ATSUHIME」ほか 入場料:2,500円 / with1drink 出演:石関 準 岸本啓孝 関根信一 アルピーナ エスムラルダ 永山雄樹 マヤ吉 モの字 遠藤祐生 小林高朗 竹薮ヤケ太 柳内佑介 西田夏奈子 水月モニカ ジオラママンボガールズ ほか
2008年10月08日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 池田塾「痩せてたまるか!」 |
午前中、富士見丘小学校の授業。 今日は授業と言うよりは、作品についての話し合いにおじゃまする。 前回の先生方との打ち合わせで決めた、作品の方向をふまえて、子どもたちの考えをいろいろ聞く。 というか、作品についての話し合いをしてもらう。 ひさしぶりの小学校は、視線が自然に下がってしまい、ふしぎな感覚。 1組、2組、それぞれ、とてもおもしろい話し合いを聞かせてもらった。 子どもたちの言葉の中に、小学生があまり使わないと思える単語や言い回しが顔を出すのがおもしろい。 「(芝居の中に)事件がない」「劇として山場ができなくて盛り上がらない」「見ている人が共感できるお芝居がおもしろい」「このクラスの人たちは、劇をもたせることができないと思う」「みんなが主役ではいい劇が作れない」などなど・・・。 子どもたちの中に、「芝居」というものが、いつの間にか根付いているのが感じられて、それが、まるで自分の手柄のように思えてうれしくなってしまう。 子どもたちは、耳から聞いた「芝居の言葉」を、自分のもの(のように)して使っている。 こんな小学生、ほかにはいないだろうと思う。 演劇をつくる小学生たちのお話になりそうな、今年の卒業公演。 どんな芝居がいいかを話し合う子どもたちの場面に使えそうな、おもしろい、そしていいセリフをいっぱい聞くことができた。
午後、朝から一緒だった篠原さんとお茶をしながら打ち合わせとおしゃべり。 夜は、そのまま、劇団劇作家の相馬くんが書き下ろした池田塾公演「痩せてたまるか!」を見に、ブディストホールヘ。 この間の合評会で感想を言わせてもらった台本の舞台化。 思うこといろいろ。
2008年10月05日(日) |
KAKUTA「スターマン」 「ラ・マレア横浜」 |
午後、青山円形劇場に、KAKUTA公演「スターマン」を見に行く。 「狂人教育」でご一緒した馬場恒行さん、そして、来年の新作でご一緒する高山奈央子さんが出演。 キャンプ場を舞台にしたお話。 タイトルの「スターマン」が、デビッド・ボーイの曲のタイトルだと、見ている途中で気がつき(そういう話が登場するので)、急になつかしく身近な芝居に思えてくる。 舞台になっているキャンプ場も、なんどかでかけた奥多摩の氷川キャンプ場にイメージが重なってくる。 軽やかに切ない、とてもいい芝居。 理由のわからない涙が自然と流れてくる。 終演後、馬場さん、高山さんにご挨拶して、失礼する。
夜は、横浜まで行き、吉田町で開催されている「ラ・マレア横浜」を見る。 野外劇というか路上劇。 関内駅近くの吉田町の通りの両側で9本の演劇が上演されている。 一本約10分。終了すると照明が消えて、2分間でリセット。また開演という繰り返し。 芝居は基本的にセリフがなく、人物の思いはプロジェクターで言葉になって映写されている。 降り出した雨がどんどんはげしくなったので、1本見た後で駅の近くまで戻り、ユニクロで傘を買う。 となりの古着屋で目についた紫の着物を衝動買い。 雨の中、荷物を抱えて、また路上で観劇。 バーや、本屋や、また誰かの部屋や、パーティが行われている部屋のベランダや、文字通りの路上や、目の前で演じられる場面と、実際のこの街のふんいきの微妙な温度差が楽しい。 元々はアルゼンチンで初演されたものが、この横浜を舞台にした設定にアダプトされているのだけれど、描かれている人物に「日本人じゃないよなあ」と思える部分がいろいろあって、不思議な異国情緒のようなものをかえって強くかんじた。 俳優さんたちは、男性も女性もなんだか似たイメージのキャラクターが多かった印象。 演出プランなのか、演出家の好みなのか。 腹筋を続ける男性、バーに一人いる初老の男性、部屋で恋人からの電話を待ちづける眠らない女性、書店で恋心に揺れる男性。 道ですれちがっただけの人にも、その人だけのドラマがある。 そんなことを考えさせられた観劇体験だった。
一昨日、出演のお願いをした、クロカミショウネン18の加藤裕さんから連絡をもらう。 新作に出演していただけることになった。 とてもうれしい。 役のイメージがどんどん具体的になる。 稽古開始がますます楽しみになった。
2008年10月04日(土) |
くろいぬパレード 劇団劇作家 |
午後から、くろいぬパレードの「くろいぬ学園の文化祭〜逆境ではナイン〜」を見に、渋谷のルデコへ。 受付からもうセーラー服、学生服がいっぱいで、ふしぎな雰囲気。 クロカミでご一緒した長谷川さんも学ラン姿。 ただ、ヒゲを生やしたままなので、かなりうさんくさいかんじだねと話す。 文化祭の出し物のように次から次へと繰り出されてくる演目が楽しい。 こういうイベントありだなあと、フライングステージでもできないかしらと考える。 昨日、精算会で一緒だった岡田梨那ちゃんにばったり。 彼女には、来年の新作に出演をしてもらえることになった。 また連絡しますねと、ばたばたとお先に失礼する。 夜は、劇団劇作家の合評会におじゃまする。 4本の新作台本についての合評。 思うことをずいぶんしゃべらせてもらった。 終了後、みんなで食事に行き、ここでもまだ話したりなかった台本の話。 楽しく盛り上がる。
半月ぶりに「祝/弔」のメンバーと会っての飲み会。 どうもお疲れ様でした! 一次会、二次会と席をかえながら、楽しくおしゃべり。 酔ったいきおいではないのだけれど、来年の新作の出演のお願いなんかもしてしまう。 「新・こころ」で遠藤くんにそうしたのと同じように、またしてもトイレの前で。 ただし、今回はちゃんと細かい部分までじっくり話させてもらった。 終電に間に合うよう、ばたばたとお先に失礼する。
すっかり涼しくなったので、衣替えをひさしぶりにちゃんとしてみる。 引っ越して荷物がすっきりと、どこに何があるかわかるようになったので、衣替えも軽い気持ちでできるような気持ち。 箪笥の中身を入れ替えたりしているうちに、引っ越しのときのままで開けてない段ボールが気になり、それも整理してしまう。 と、またしても古いノートを読み出してしまう。 今度は、僕が中学三年の時のノート。 初めて劇場に行って見た芝居、劇団四季の「コーラスライン」の初演の頃の日記、というか、「コーラスライン」に関係ある新聞の切り抜きやらチラシやらチケットやらが貼られた、スクラップブックのようなノート。 1989年のものなので、29年前(!)。セロテープのあとは茶色い四角のしみになってしまっている。 新聞の文字は昔はこんなに小さかったんだとおどろく。 今はベテランの市村正親さんの若かりし日の写真がたくさん。大好きであこがれていたなあとなつかしい。 日記は、舞台を見に行くまでのあれやこれやが細々と書いてあるのだけれど、肝心の舞台のようすは、暗転して最初のナンバーが始まったところで終わっている。 学校から大急ぎで帰ってきてから出かけている14歳の僕は、日生劇場に向かう前に、東京駅の大丸でやっていた「モディリアニ展」ものぞいている。ああ、そうだったなあと思い出す。 10月2日、6時30分開演のチケットは、2階のA列の28番。4000円。 前売りの初日に日生劇場に買いに行ったことも思いだした。 学校の帰りで学生服のままだったので、受付のおじさんに(チケット窓口じゃなくて、ロビーにテーブルが出ていた)「中学生?」と聞かれて「はい」と答えたら、「じゃあ、いい席をあげよう」と言って用意してくれたチケットだったことも。 学校を早く帰るときの先生とのやりとりのようすがおかしい。 一昨年のフライングステージ公演「ムーンリバー」で僕が演じた先生のモデルになっている彼女の言葉が、僕が舞台でしゃべったものととても似ていて笑ってしまう。まあ、彼女をモデルに、というかイメージして書いたのだけれど。 ちょっとここに書き出してみる。
1979年10月2日(火)
で、その日、ぼくは、図書室の放課後開放のための当番なので、 「今日の放課後の図書室休んでもいいですか?」 と吉野先生に言いに行った。 「ちょっと用があるんです。」 「ちょっとじゃ、だめよ。何なの?」 と先生は聞く。 「映画?」 「まあ、そんなもの。」 とぼく。 「何よ、はっきり言わなきゃだめよ。ちゃんと言いなさい。」 「えー、あの、舞台を見に行くんです。」 「まあ、生意気ね。何?」 「コーラスライン、劇団四季の。」 「まあ、ませてるのね。一人でいくの?」 「はい。」 「いくらなの?」 「4千円の席だけど。」 「まあ、負けそう。生意気ね。もう負けてるか。」 「じゃあ、いいですか、今日休んで?」 「はい。」 「さよーなら。」 と話がすんだので、もう急いで帰ってきた。
彼女は、僕が一番影響を受けた教師かもしれない。 今もおつきあいがある高校での中島さんとは違った面で、僕に詩や小説のおもしろさを教えてくれた人だ。 校内暴力でめちゃくちゃだった中学一年のクラス担任で、僕は登校拒否になり、彼女自身も登校拒否になり(!)、二学期半ばで担任を交替したんだった。 当時30歳になったと子どもたちにからかわれていたから、もう60歳になってるんだろうか。 その後、どうしてるんだろう。 なつかしい人のことを思い出した。 日記の日付がちょうど10月2日だったのも不思議なかんじ。 一緒に出てきたプログラムと一緒に、机の上の見えるところに置いておく。
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