せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年07月31日(日) 「Four Seasons 四季」千穐楽

 マチネが12:30開演なので、10時入り。日曜の朝から小屋入りするのは、不思議な気分。
 小林くんがきて、全員そろったところで、いつものように6場を通して、アップ。
 さくさくというか、あたふたと準備に入る。
 家を出るときに少し降った雨のせいか、今日もとっても蒸し暑い。空調をきかせても、まだ、むしむしする。客席には、パンフであおぐ人のすがたもちらほら。
 冬のコートを着込んでの4場、最前列のお客様が扇子を出して、扇ぎ始める。たしかに暑い。汗と闘いながら、芝居をつづける。どうぞあの扇子が畳まれますようにと念じながら。
 終演後、見に来てくれた、母校の演劇部の1年生男子にご挨拶。どうもありがとう。高校生はこの芝居、どう受け止めてくれただろう。
 すぐにソワレの準備。バラシの確認をして、開演を待つ。
 いつものように千穐楽だからって特別なことはしない。夜は、汗とたたかうこともなく、終演。終わった、終わった。楽屋でみんなと「お疲れさま!」と言い合って、すぐにご挨拶に出る。
 なつかしい大勢の人に、ごあいさつして、そそくさと楽屋にひっこみ、片付けに入る。
 バラシは、大勢の人に手伝ってもらってあっというまに終了。打ち上げに流れ、ビールで乾杯。終電まで語り、盛り上がる。
 確信犯で北越谷からタクシー。大荷物をトランクに入れてもらって、帰ってくる。芝居が終わったなあと実感するのは、こんな時間だ。今晩は、明日の舞台や稽古のことを考えず、とにかく休める。運転手さんとのやりとりも、妙にのどか。いつもカリカリしてしまうのは、向うよりも、こちらに理由があったのかもしれないと思う。
 部屋にもどってからは、荷物の片付け。妙に寝付かれず、結局、明け方まで起きてしまう。


2005年07月30日(土) 「Four Seasons 四季」4日目

 マチネは一番多くのお客様に予約いただいている回。表方スタッフも、例によって「一座がくめてしまう」ほどの面々。
 開演直前に小雨が降り出して、急に蒸し暑くなった。開場したら、お客様が湿気をそのまま持ち込んだようで、劇場内の湿気がものすごいことになった。いつもの段取りとして、開演5分前に、舞台袖につながる楽屋のドアを開けて、固定するのだけれど、その瞬間に舞台の熱気と湿気がどわんとおしよせてきた。どうしよう。
 いつもは使わない空調も動員してなんとかおちついて芝居が始まる。お客様が、当日パンフなんかでぱたぱたあおいでいる様子がモニターから見えて、ドキドキする。芝居をしている最中に、これをやられると、一番困ってしまう。芝居の力で集中させるんだというのが、誰かの芸談にあったと思うけど、とにかく暑いんだったら、その元の理由をどうにかしてあげたいとまずは思う。
 空調のおかげか、僕たちの芝居の力か、上演中はぱたぱたあおぐ人もなく(たぶんね)、集中して観てもらえたと思う。
 エピローグの、「しりとり」をして、「古今東西」をする場面。「古今東西」で、僕が「みかん」と言ったら、客席から「あっ!」という声が。「しりとり」の続きだと思って、心配してくれたんだと思う。僕は、そのまんま芝居をつづけたのだけれど、お客様が、あたたかくざわざわして、なんだかいいかんじだった。入り込んで観てくれていたんだなあと、とてもうれしかった。
 終演後、客出しに出て、おいでいただいたお客様にご挨拶するなか、「浅草シルバースター」でお世話になった今井和子さんとお話する。見に来てもらえてとてもうれしかった。舞台の上からも今井さんの笑い声が聞こえて、とてもはげまされながら芝居ができた。
 久しぶりに会った人たちと、軽くあいさつだけして別れてしまうのは、どうにも淋しいのだけれど、舞台の上の姿を見てもらえたことが、まずは、僕たちからの、一番大きなご挨拶だと思うようにする。
 休憩時間に、あゆみちゃん、さやかちゃん、天辺さん、それに途中で合流した小林くんと、昨日に続いて、定食屋「タブチ」へ。「一度行ってみたかった」というあゆみちゃんたちにおつきあいするかたち。人数分のあげものを一気にあげるその量にまずはあきれる。そして、それぞれの山盛り感にも。あゆみちゃんは、小林くんに大いに助けてもらって、なんとか完食。他の面々は、ご飯を少な目にするなどして自力で完食。量はべらぼーに多いけど、胸焼けしないし、何より安い。カウンターの中で調理しているおじさんも、几帳面なかんじでいいよねと、話しながら帰ってくる。
 ソワレは、天気も落ち着いて、さわやかな陽気の中。出演者は、あちこちでやや疲れが出たのか、これまでなかったところで噛んでしまったりしている。こういうときに、ていねいに演じようと守りに入ると芝居は重くなる。勢いで走ると上っ面だけの軽さが目立ってしまう。そのかねあいを考えながら、というか、感じながら、舞台に飛び出していく。これもまた、たまらなく気持ちのいい瞬間だ。
 終演後、休憩の間にもした明日のバラシの段取りの確認をする。もう明日でおしまいだ。
 劇場にいるときの時間は、やっぱりいつもとは違う流れ方をする。
 あと一日、それをぞんぶんに楽しもうと思う。多くの人に観てもらいたい舞台になったことを、みんなに感謝。あと二回の公演を悔いのないようにやりきろうと思う。 

 ここまでの日記を、北千住から乗った「通勤準急 南栗橋行き」の車内で書いている。と、降りなくてはいけない「越谷」でおりそこなった! 次の停車駅「せんげん台」からの上りはもうない。またやってしまった。いつもなら20分歩いてしまうのだけれど、今日は、タクシーに乗って、腰をいたわろうと思う。明日一日、どうにか持ちますように。


2005年07月29日(金) 「Four Seasons 四季」3日目

 今日も大寝坊してしまう。朝、バタバタとおおあわてで出かけた、地下鉄新御茶ノ水の駅。長い長いエスカレーターを降りようとしたら、靴ひもが降り口で噛まれてしまい、つんのめって転ぶ。エスカレーターは止まるかと思いきや、短い間だけどもそのまんま引っ張っていたので、思い切り引き抜いた。こわかった。
 劇場入りして、今日は6場の稽古。いいかんじ。その後、僕の「役者として」のお願いをいくつか話す。もうひとつ早く動いてくれると助かるとか。
 マチネ開演。やや少な目のお客様。笑いもゲラゲラでなく、フフフといったかんじ。場面が進むにつれ、「笑ってもらってる間に息をついていたのかも」と気がつく。なんとなく息が上がった状態で、不思議ないきおいの舞台に。拍手は最後にまとめていただいた。そんなかんじ。
 終演後、天辺さんと、食事に出る。レンガ坂通りの途中にある定食屋「タブチ」。まさに揚げ物天国。とにかくすごい量。アジフライ定食なんて、アジが3匹のっている。で、500円。なんだかすごい。覚悟していたので、ご飯を半分にしてもらう。昼抜きだったので、ちょうどいいかんじ。
 ソワレ開演。昼よりも落ち着いた舞台。ちょうどいいテンポで気持ちよく進む。大きなトラブルもなく終了。
 終演後、ご挨拶。今日も、いろんな人に会えてうれしかった。パレード物販のミオちゃんは今日でラスト。明日、明後日は、パレード関連のイベントがあるためだ。妙にしみじみと別れてしまう。物販がんばるからね!
 帰り、さっこさん、ノグ、お手伝いに来てくれたあきやんと、4人で飲む。芝居の話ばかりを延々と。ダメだし系じゃなくてね。話しながら、今回の「Four Seasons 四季」の初演との違いに改めて気づく。この2年間の僕自身の変化も。
 あと4ステージ、あとは、役者関根としてどれだけやれるかってことだと思う。楽しみがいっぱい。


2005年07月28日(木) 「Four Seasons 四季」2日目

 2日目。腰のいたみはあいかわらず。
 午後から、アップをかねて、テンポのいい6場と小道具の多い3場を通してみる。「2日おちしないようにね」と言い合ったのだけれど、それでも、微妙な気持ちのずれがあちこちに。僕も自分以外のダメが気になって、ついつい演出家モードに。しばらく時間をおいてもういちどやろうということに。
 昨日早瀬くんが差し入れでいただいたスイカをみんなで食べる。僕には初物。ごちそうさま。
 その後再度挑戦の6場と3場は、いいかんじに運んだ。これでいこうと、準備に入る。
 開場、開演。今日もお客様にささえられて、無事ラストまで。最前列で見てくれていた、パレード実行委員長のおかべさん、それに絶対王様の郡司くん。
 終演後、おかべさんに「石関くんのセリフは関根くんが全部書いたの?」と言われる。アドリブかと思ったんだそうだ。たしかに、全部がアドリブといっていいようなノリといきおいで彼はしゃべってる。こんなに饒舌で、こんなにふだんのおしゃべりそのまんまのいきおいが舞台上にのっかってる芝居もそうはないかもしれない。楽しんでもらえたようでとてもうれしい。
 ひさしぶりのいろんな方にごあいさつ。みなさん、どうもありがとうございました。
 バレードのグッズ販売コーナーで、紺のポロシャツを買う。明日から、客出しのときに着ようと思う。
 まみー、良ちゃん、郡司くん、天辺くんたち一行と、さくっと飲んで帰る。いい夜。


2005年07月27日(水) 「Four Seasons 四季」初日

 朝、起きられない。さっこさんに遅刻の連絡をする。
 昨日からの腰の痛みは、もう何が何だかというかんじに。でも、最悪の「立てない&歩けない」ではないので、ちょっとほっとする。薬を飲んで、サポーターを巻いて、おそるおそる出かける。
 ゲネプロの前に、アップをかねて、6場と1場をやってみる。まずはテンポが出るように。テンポのいい芝居に大事なのは、自分が早くしゃべることではなくて、相手のセリフをちゃんと聞く、いい耳をもつことだ。
 そのことを意識しながら、勢いよくアップ。
 15時からゲネプロ。写真家の山口さんが来てくれて、どんどん写真を撮ってくれる。
 僕は、もうすっかり役者モードで、演出家として全体を見るのは、できるだけやめようと努力。まずは、自分のことを中心に。
 いいかんじで、ゲネプロが終了。少し休憩して、客席づくり。前説のナレーション録りをして、開場。いよいよ初日の開演。
 芝居はお客さんと一緒につくるんだということを今回もまたかんじる。楽屋でドキドキしているよりも、舞台の上に飛び出していってしまった方がずっと楽しい、大好きな時間。
 パレード関連のグッズを売りに実行委員長のおかべよしひろさんと実行委員のミオちゃんが来てくれる。募金と販売のお願いもさせてもらう。
 9月に客演する絶対王様の制作のみなさんがたも来てくださった。はじめましてのご挨拶。
 初日の乾杯を、高市氏のしきりで。手伝いにきてくれたにしやんいっこうちゃんもまじえて、にぎやかに。終電まで飲んで、さくっと帰る。ごちそうさまでした。


2005年07月26日(火) 「Four Seasons 四季」仕込み2日目

 仕込みの続きはほぼないので、僕らはとにかく稽古する。
 場当たりと転換稽古をかねて、全体を通してみようということになる。
 そんなことが可能なのは、再演の舞台だからだ。
 3場で使う衣装ケースを移動しようと持ち上げたとき、腰にいやなかんじの痛みが。
 そんなに強烈なものではなかったので、気にしていなかったのだけれど、夕方になったら、歩くのがつらくなって、客席から舞台に上がるのにはあはあ言うようになってしまった。
 どうしよう。
 だましだまし、場面毎の稽古をするが、じっと座っているととても痛い。立ったままもつらい。
 あちゃーと思いながら、本番になったら、何とかなるさと思いながら、それでも困った。
 昨日気になった声の響きはどんどん落ち着いてきている。劇場ってほんとに不思議だ。
 どこの小屋でもかんじるこの変化は、劇場がぼくらを受け入れてくれてるってことなんじゃないかといつも思う。
 もっとも、わんわん響いて聞こえるのは、こちらの耳の問題なんじゃないかという気もするのだけれど。
 稽古の最後に、みんなで集まって、最後のダメだし、というか演出としての話をいろいろ。言うだけのことは言ったので、あとは各自僕のダメを思いだしてほしいと。場面ごとの自分のいかたをもう一度確認してほしいということ。ここが好きだなあとか、ここが苦手だなとかでもいいので。最後の場面の木を見るところ。この沈黙の場面が僕は一番好きだということ。この瞬間が、「永遠」につながるといいなと思っているということなどなど。
 話すだけ話して、僕は、ようやく役者モードに切り替え。自分の芝居を考え始める。いつもとほぼ同じ、このタイミング。でも、今回は、いつもより、「きっぱり」役者になれそうな気がしている。再演だし、稽古をていねいにしたせいかもしれない。
 帰り、近くの酒屋さんで缶チューハイを買って地道に酒部活動と思ったのだけれど、買ったはいいが飲めない。ステッキ代わりの傘を頼って何とか駅まで。
 階段の上り下りが少ない東西線、半蔵門線経由で帰ることにする。さやかちゃんと九段下まで。芝居の話をあれこれ。
 最寄り駅に着いてタクシーに乗ろうと思ったのだけれど、ちょうど一台もいない。駐輪場まで歩くのに10以上かかった。いつもなら2分なのに。
 空には、きれいな月が出てる。台風情報を見ようと思ってつけたテレビは、スペースシャトルのことばかり。あっけなかったなあ、台風。でも、おおごとにならなくてよかった。
 明日は初日。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと1日!


2005年07月25日(月) 「Four Seasons 四季」劇場入り

 朝から仕込み。地下の稽古場から、となりの一階の劇場へ、荷物を運ぶ。もともと荷物の少ない芝居&一昨日のうちに、荷物は全部稽古場にきていたので、さくさくと。
 照明のつり込み、道具のたたきのあいだ、僕は、稽古場の掃除を一人で。夏場に特に出やすい持病のぎっくり腰のため、仕込みのときの僕は完全に「戦力外」だ。
 それでも、掃除を終えて、劇場に戻ってから、パネルをつくり、全面に貼る紙をくしゃくしゃにする手伝いをする。
 今日は、一日、仕込みの日。夜になって、シュートがほぼ終わりそうになったので、舞台上で、声出しをかねて、少し稽古をする。
 パネルで囲まれた今回の舞台は、いつもより、やや残響が長く感じられる。それを気にしないで、とにかく声を出すことを心がける。明日になればこの響きも落ち着くだろうから。
 実際の舞台での稽古が一日でも早くできて、ちょっとほっとした気持ち。
 四季を通じて、また一日の時間の流れや、天気の変化とともに移り変わる、さやかちゃんの照明の美しさに感動。紙をくしゃくしゃにして貼った壁が、とんでもなく美しくなってる。「おしゃれなホリゾント」と言ったりもしたけど、もう、びっくりだ。
 夜になって、大雨。さすが台風が来ているだけのことはある。劇場前のひさしから、ダアダアと滝のようになって雨が落ちてくる。
 明日は、場当たりと稽古を一日かけて。早く舞台に慣れて、この舞台でのいかたをカラダにしませていこう。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと2日!


2005年07月24日(日) 「Four Seasons 四季」稽古

 稽古場での最後の稽古。
 午後から衣装の確認をして、夕方から通してみる。
 場面毎に季節が変わるこの芝居では、衣装の着替えがたいへんだ。
 この真夏に、コートを着て「寒いね」と言わなくてはいけない。それも「暑いね!」と言った40分後に。
 通し稽古は、場面転換用の音楽を入れてもらいながら。この芝居のテーマ曲「ストレンジャー・イン・パラダイス」のさまざまなアレンジ。
 通し稽古もなんとか終わり、明日は劇場入り。いよいよだ。
 
 「Four Seasons 四季」初日まで、あと3日!


2005年07月23日(土) 「Four Seasons 四季」稽古

 両国の倉庫に寄って、積み込みのお手伝い。の予定が、総武線が遅れたので、着いた時点でノグとマミーの二人で積み込みは終了、パンチの確認だけして、中野に向かう。
 車が着いて、荷物を降ろして、ベンチやテーブル、イスをセットする。実寸のバミリをして、微妙な配置を確認する。
 その後は、場面ごとの通し稽古。もろもろ確認しながら小返しも。
 夕方、地震。稽古場は地下なのに、かなり揺れる。マミーはトイレに行く階段を上っている途中で固まっていたそうだ。
 余震の続くなか、メールも携帯もつながらなくなり、状況がわからない。
 舞監のさっこちゃん、さやかちゃんが来てくれて、交通機関がマヒしちゃってる状況がようやうやくわかる。
 それでも、時間まで稽古。照明のために、2場と4場をあらためて通して、今日はここまで。
 近くのコンビニで、舞台で使う缶ビールをゲットして、みんなで乾杯。
 JRはまだ混乱していて、行き先がどんどん変わりながら、それでも運転はされているというかんじ。ようやくたどりついた北千住の駅は、なんだか台風の日のよう。ひと気がなくって、妙に静か。
 足立区が震度5ということで、うちもぐちゃぐちゃになっているかと思いきや、別に倒れているものものもなく、ちょっと拍子抜け。でも、よかった。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと4日!


2005年07月22日(金) 「Four Seasons 四季」稽古

 6場を中心に。この場面は、やや特殊で、僕以外の全員が「物語を語っていく」スタイル。
 とにかく、息が合わないといけない。自分の芝居をすることにばかり集中していると、一人だけ浮いてしまうし、かといって、何もしないでいると薄味になってしまう。ものすごいテンポで語りながら、自分のこともやっていく。
 途中でどうしても、それぞれが「たっぷり」になってしまうので、ひたすらいいテンポをこころがけてやってもらうようにする。テンポをよくしようとするためには、自分の前の人がしゃべるセリフを聞くことに集中しなくてはいけない。セリフ覚えを完璧にするためというより、そのことのためにやってみる。
 百本ノックとまではいかないけど、何度も何度もくりかえして、だんだんいいかんじになってきたところで、今日はここまで。
 明日は劇場のとなりのMOMOの稽古場。大道具、小道具を運び込んでしまう。そのため、ノグとマミーは、車に乗って、荷物の積み込みに。
 僕は、本番前の営業&ご挨拶で、アイランドとタックスノットに。芝居の話で盛り上がり、終電の一本前で帰ってくる。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと5日!


2005年07月21日(木) 「Four Seasons 四季」稽古

 出かける前、う「シルバー事業団」の植木屋のおじさんたちが、下見にきた。明日来てくれるんだそうだ。え、明日だったの?と驚く。ともかく、縁台づくりが間に合ってよかった。
 稽古は、エピローグと6場の立ち稽古。エンディングに音楽を合わせてみる。初演版にセリフを書き足して違う終わり方になってので、ちょうどいいおさまり方になった気がする。
 どの芝居でもそうだけど、ラストシーンをつくっていくのはとっても楽しい。1場からここまでの時間の流れ、登場人物が生きてきた時間が静かに積み重なっているのを、あちこちで実感していくからだろうか。
 アパートの面々とは少し距離を置いていた早瀬くんが、初めてみんなをリードしていくシーンをつくっていく。早瀬くんもだけど、彼に対するみんなの反応をよりていねいに。初演版にはなかった場面。新鮮な稽古。
 時間が来たので今日はここまで。続きは明日。もっともっとおもしろくなるはず。時間はまだある。どんどんやっていこう。
 荻窪のけいこ場も今日が最後。駅前の居酒屋で飲んじゃおうという計画は、誰もが「やることいっぱい」なので自然消滅。いつものように路上酒部活動のみ。気になっていた、フランス惣菜屋のプリンを買って帰る計画も、荷物を持っていると台本が開けないのでやめておく。
 空には、たぶん満月なんだけど、ちょっと欠けた月が。「この頃、大きいですよね、月」と小林くん。たしかにそうだ。くっきりと低い空に浮かぶ丸い月は、とっても大きく見える。いつもよりも余計に空を見ながら駅まで歩いた。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと6日!


2005年07月20日(水) 「Four Seasons 四季」稽古

 出かける前に大工仕事、この間からほったからしてしまっていた「縁台」を組み立てる。
 シロアリのせいでぼろぼろになった縁台を、母親が作り直そうと決心して、途中まで壊し、ホームセンターで寸法にカットしてもらった材木に、ペンキを塗った。それでも、足になる材木を切って、釘で打つのは、僕がやるということになっていて、天気を見計らっているうちに、のびのびになっていた。
 毎年お願いしている植木やさんが、今月の半ばに来るといく約束がまだ来ない。その前にできあがってないと、お茶も出せないと、母親は言う。
 ヤブ蚊よけのスプレーを塗って、それでも、大きくて黒い蚊がぶんぶん飛ぶ中、さっそくとりかかる。
 以前より大きなものを作ろうと欲張ったせいで、やや強度に心配があるものの、なんとかできあがる。これで、いつ植木屋さんに入ってもらってもだいじょぶだ。
 昨日のつづきの富士見丘小学校の教員向けワークショップ。今日は、「銀河鉄道の夜」のジョバンニとカンパネルラの場面を演じる。
 「ほら、見てごらん」と示す場面のために、それぞれが感動した風景etc.を指し示すエチュードから。大島先生が音楽室の窓から見た富士山が、僕にもはっきり見えた。あの日の富士山だねということまでも。他の先生方も、素敵な景色を次々目の当たり見せてくれた。
 後半のテキストを使った場面もとてもおもしろかった。何より、先生方が、このワークショップを楽しんで参加しているいうことに感動した。いい表情、とくに笑顔をいっぱい見せてもらった。健翔さんの向き合い方も、とってもまっすぐで素晴らしい。たくさんの勉強をさせてもらった気がする。
 大急ぎで中野に向かい、さっこさんとポケットで、劇場打ち合わせ。当日の段取り、舞台のことなどのつめと確認。
 また大急ぎで稽古場に向かう。今日は、5場の立ち稽古。なんどもくりかえし、いいチーム感ができあがった。僕以外の全員が、はじめてひとつになる場面。それも、本人たちにはまだ自覚がないままで。初演ではいきおいでやってしまったところを、ていねいに確認していく。再演の稽古のおもしろさをおもしろがる。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと7日!


2005年07月19日(火) 「Four Seasons 四季」稽古

 富士見丘小学校での教員向けのワークショップを見学。講師は円の山本健翔さん。相手を見て、それに自分も対応していくというエチュードをいろいろと。後半の出会いのエチュードは、先生方がどんどんのびのびとした参加をするようになって、とってもおもしろい。去年の6年生の担任だった見米先生と大島先生が、以前とは違ったのびやかさでいることに感動する。他の先生方も、とっても素敵に「演劇」をおもしろがっていたと思う。文学座の森さん、篠原さん、健翔さん、平田さんと今日の感想を話したあと、篠原さんとお先に失礼する。
 稽古は、4場のつづき。稽古前に、さっきやったばかりの出会いのエチュードをさっそくやってみる。僕の相手はノグ。どうやっても、関係が成立して、さすがに長い間一緒に芝居しているだけのことはあるなと改めて思う。他にも、稽古場を自由に歩いて、自分以外の人がどこにいるかをかんじるエチュード。自分から発することよりも、他を感じることの重要さの確認。
 稽古は、ノグの長台詞をていねいに。やろう、吐き出そうとすることよりも、場の中で、どう語るのかをていねいにさぐっていく。
 帰り、貸してもらった6年生の教科書を読む。国語、社会、理科、家庭科、道徳。なかなかよみでがある。これを全部一人で教えなきゃいけない小学校の先生って、なんてハードな仕事なんだろう。
 国語は、おもしろい題材がいっぱい取り上げられている。中でも、星野道夫の「森へ」はおもしろかった。ツンドラの森を旅しながら出会う動植物を、感動とともに描いていく。なんのおしつけがましいところもなく、なんの「みちびこう」とする姿勢もなく、自然の大きさが、しんしんと迫ってくる、いい文章だ。
 他にも、俳句や短歌が取り上げられていて、それで、廊下に俳句や短歌が貼られていたんだなと納得する。
 こないだの授業の前に、戻ってきた子どもたちが持っていたのは、燃焼の実験に使ったペットボトルだったんだということも、ふにおちた。
 教科書を見せてもらったことで、彼らがとても身近に思えた。どんなことを教わっているのか知りたくてお願いしたことだったのだけれど、一番うれしかったのは実はそのことだった。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと8日!


2005年07月18日(月) 「Four Seasons 四季」稽古

 家の近くは夏祭り。僕は遠くでお囃子の音を聞くだけだけど、弟たちが子ども連れでやってきて、お祭りに参加。妹の一家、そして、うちの母親も一緒に。
 出かける前、洗ったばかりで毛がどんどん抜けて困る猫にブラシをかける。クーラーのきいた台所で寝ているところを起こされたので機嫌が悪い。油断したら、右手を思い切り引っかかれてしまう。大きなミミズ腫れ×2ができた。くやしい。爪を切らないと。
 中央線の中で、ゲイ友達&FSのお客さまのSさんに声をかけられる。何度も呼んだのに全然気がついてなかったそう。申し訳ない。たしかに電車に乗っていると、ぼーっと考え事をしていることが多い。ひさしぶりにしばらくおしゃべり。また会いましょうねと別れる。
 稽古は、4場の立ち稽古。ていねいに積み上げていく。ノグの長台詞を中心に。
 昨日は説明だけだったことを、実際にやってもらう。初演とは全然違う芝居。だんだんできてくる様子が、なかなか感動的。でも、次にはうまくいかなかったり。とても難しいことを要求しているんだなと思う。思いをはき出すんじゃなくて、相手に伝えるためにどうするのかということを、ていねいにさぐっていってもらう。
 小林くんと早瀬くんの言い争いの場面。ただ大声で怒鳴ってるだけじゃない、微妙なニュアンスをみせてと話す。どう怒鳴るかだけをやっていくと、大声出した方が勝ち!みたいになるじゃない? そうじゃなくてねと。
 4場の中盤以降の全員が登場している場面。この場でしゃべり、喧嘩するとき、その人は、その話を聞いてるに違いない人たちをどう意識するんだろう? そんでもって、そのことは、自分にどう跳ね返ってくるんだろう。そのことを踏まえながらのやりとり。日常だったら、当然やっていることを、芝居でも当たり前のようにやってもらう。
 やるたびに毎回違ってくる芝居を、どう受けるか。他の役者もやることがいっぱい。そんな細かないろいろが積み重なって、きっとおもしろい場面ができあがっていくんだと思えた。そんな今日の稽古。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと9日!


2005年07月17日(日) 「Four Seasons 四季」稽古

 後半の読み稽古のあと、2場、3場、4場の立ち稽古。どんどこやっていく。
 いかたがちゃんとできているので、「成立しないからしかたなく」という心配をしなくてだいじょぶ。その上で、よりおもしろくなるように工夫していく、楽しい作業。
 今日も、何だそれ?なアイデアをいくつも思いつき、早速やってもらう。ベタベタというか、何というか、みんなでおもしろがる。
 4場のノグの長台詞(独白じゃなくてね)、初演のときを考えると「それでOK」というところまでできているんだけど、今回はもっと違うことをやってちょうだいと話す。自分の感情を情感たっぷりに説明していくよりも、軽く軽く話そうとしているのに、軽くは語れない思いがわきあがってくる、そんな葛藤を見せてほしいと。
 休憩時間、天辺さんは、三茶の商店街にある、ギョウザとシュウマイ食べ放題500円!、ご飯やスープなんかがついて700円というのに出かけたそう。いつも店の前を通りながら、いつか行ってみたいと思っていた気になる店。味はまあ普通のとのこと。帰り道、やっぱり挑戦したいねえと小林くんと話す。
 昨日に続いての酒部活動は「飲みに行かない?」という案も出たのだけれど、土日の三茶は終電が早くて危険すぎるので、通常の路上飲みモードで。
 
 「Four Seasons 四季」初日まで、あと10日!


2005年07月16日(土) 「Four Seasons 四季」稽古

 猫を洗って、それからお盆の墓参りに出かける。いつもはわらわらと大勢でいくのだけれど、今日は僕が一人で。
 途中、北千住の東急ハンズで、劇中で使うビールサーバーを購入。
 初演で使ったものは、電池と空気のポンプ式で微妙に「出が悪い」ので、今回「新製品」をゲットする。炭酸ガスのボンベで快適に使える予定。
 久しぶりの京成線に乗って、高砂駅前のイトーヨーカドーで花と缶ビールを買って、お寺に向かう。花と線香とビールを供えて、お参りする。
 
 稽古は、読み合わせをていねいに。台本を細かく直しながらの読み稽古。人物はできているので、道筋を確認していく。
 帰りに、今日買ったサーバーを試してみようということで、近くの公園で酒部活動。ノグに3Lの樽ビールを買ってきてもらう。
 ちょうどいいかんじに屋根の下にテーブルとベンチがある。ベンチに腰を下ろして、サーバーでプラスチックのカップにビールを注ぎ、乾杯。マミーが買ってきてくれた駄菓子をさかなにする。キャスト全員の飲みは酒部ははじめてだ。
 駅からのコンビニを見たのだけれど、ビールの樽を見つけることができなかった。発泡酒、雑酒がどんどんメインになってるせいなのかなと話す。
 ほどほどで切り上げて、駅に向かう。いつものコンビニでビールなどを買って、二次会の路上酒部も開催。それにしても、外飲みはどこか余計に酔っぱらう気がするのはなぜだろう? 稽古の後の腹ぺこ&喉が渇いた状態だからだろうか?
 気持ちよく飲んでいたら、平日より30分以上早い、納得できない土日の終電をまんまと逃してしまう。北越谷の駅でタクシー待ちの長蛇の列に並び、2時前にようやく帰宅。
 
 「Four Seasons 四季」初日まで、あと11日!


2005年07月15日(金) 「Four Seasons 四季」稽古

 エピローグの改訂版台本を持っていき、頭から終わりまでを通して読み合わせしてみる。
 全ての人物にヤマ場(のようなもの)があることを確認。
 上演時間のめども見えてくる。
 初演の上演を整理してすっきりさせた部分、新たに書いた部分、トータルで見て、初演よりもずっと陰影の深い芝居になったんじゃないかと思う。
 あとはどんどこ稽古するだけ。人物像はできあがっているので、あとはその人たちがどうするのかを、みんなで楽しんでいきたい。

 稽古の後、富士見丘小学校の打ち合わせのため、品川に向かう。横内さん、青井さん、篠原さん、田中さんと品川プリンスのカフェにて。
 後期の授業についての相談と確認。
 すっかり遅くなって到着して、終電に間に合うように、バタバタとお先に失礼する。
 山手線、常磐線が遅れまくりの週末の夜。北千住の駅では刺青した人たちが派手に喧嘩してる。ざわざわした蒸し車内。でも、駅を降りたら、小雨がちらつく涼しい夜に。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと12日!


2005年07月14日(木) 「Four Seasons 四季」稽古

 エピローグを残し、それまでの改訂台本を持っていって、みんなに渡す。でも、読み合わせはしないで、昨日の続きの立ち稽古。
 稽古は「それじゃ違う」と指摘する時間であるのはもちろんだけど、僕は、「そうそう、それそれ!」という時間だと思ってる。
 何も言わないからダイジョブなんだよということではなくて、いいと思ったことは、その都度、それを伝えていきたい。「すごいよ、それ!」と言い続けていたい。
 稽古を続けるうちに、できてると思ってたことができなくなってしまうのは、ダメだしだけで、それでいいんだよということを伝えてないことが多いんだと気がついた。
 これがダメならこれかな?と探っていった先に、ダメがないという結果があったとしても、それがいいんだよ!という指摘で、ああ、これでいいんだと納得できなければ、演技の道筋はすっきりと見えてこない。
 「何も言われないからいいんだと思うけど」と、結果、消去法をしつづけて、「じゃあ、こういうことか」と発想を転換して、自分のスジ道を見つけるのが役者の仕事なのかもしれない。でも、そんな転換より、「それが、いいよ」と単純に言われた方がどれほどラクかわからない。これは、僕の役者としての気持ちだ。
 最近の稽古場は、「そう、それそれ!」と言う機会が増えた。これも、それでいいと言い続けた結果、みんなが僕の望んでることをわかってくれるようになったからなのかもしれない。
 昔、僕の芝居は「ただ、素直に書いてあることをしゃべってくれれば、だいじょぶ」なものだった。セリフに全ては書かれていた。でも、この頃は、セリフとはうらはらな思いや、セリフの間のリアクションが芝居を積み重ねていく。「どう言うか」よりも「どう聞くか」の方が、今の僕には大事に思える。
 声がどんなにいい役者でも、聞くことに長けた役者にはかなわない。どう演じようかと考えるより、自分以外の役者のセリフをちゃんと聞くことの方が、よっぽど人物は生き生きとしてくる。
 すべての人物が登場する今日の場面では、しゃべっていないときにどうしているかということが実はとってもおもしろい。
 しゃべってる時だけ舞台にいられるようなラシーヌやシェイクスピアの芝居もあるけど、今回の「Four Seasons 四季」ではとにかく、丸ごと人間がそこにいてほしい。何もしゃべってなくてもね。印象に残る表情、ああ、写真にとっておきたいなあと思うとき、その人は、きっと黙っているんなあと思った。
 稽古のあと、照明のさやかちゃん、音響のあゆみちゃん、美術&舞台監督のさっこさんと打ち合わせ。具体的なプランのつめと確認。引っ越しの話が、まるで芝居にあわせたかのようにあちこちにいくつも。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと13日!


2005年07月13日(水) 富士見丘小学校演劇授業 「Four Seasons 四季」稽古

 富士見丘小学校の授業。今日は谷川俊太郎さんによる「みんなで『詩』をつくる」。
 去年は、「これはのみのぴこ」のような「つみあげうた」を全員でつくったので、今年もそうだろうと思っていたら、全然違う詩のつくりかただった。
 自分の名前を分解して、そのなかに隠れた言葉を拾い出して、それを元に詩をつくる。
 たとえば「せきねしんいち」だったら、「せき(席・咳)」「きね(杵)」「しち(七・質)」「しせい(姿勢)」「しきい(敷居)」「いち(位置・市)」「きせい(帰省・既成)」「きんせい(金星・禁制)」「ちんせい(鎮静)」「せんせい(先生)」「いんせき(隕石)」「いんちき」「いちねんせい(一年生)」「センチ」「インチ」「キンキン」「いんいん」……なんて言葉がかくれてる(今、初めて探してみたんだけど、こんなにある!)。これを使って詩をつくるとたとえば(これも今やってみる)……

「近々、新一年生、金星に帰省
 センチな姿勢で七年
 先生の咳は鎮静
 記念の市は禁止
 隕石の遺跡はインチキ!」

(意味:間もなく新一年生が金星に帰っていく。さみしい思いをした七年の旅。引率の先生の持病の咳は治ったけれど、帰省を記念したバザーは禁止されていたし、楽しみにしていた隕石の遺跡もインチキだとわかってがっかりしてしまった。)

 すぐできたけど、これはよくない見本です……(笑)。ていうか、名前の中に「インチキ」が入ってるってことに、ややショック。
 子どもたちは、「国語の授業みたい」とはじめのうちなかなか入りにくかったようだったけど、だんだん要領がわかってきて、それからは元気に楽しみ始めた。できた子が次々、黒板に書いていって、それを自分で読み上げる。
 僕は、青井さん、篠原さん、田中さん、先生方と一緒に、子どもたちの間を歩き回り「ほらこんなのが隠れてた!」とアドバイス。先に授業があった2組では、どこまでアドバイスしていいのかためらってしまったので、後半の1組では、どんどん子どもたちの間に入っていって、一緒になっていろんなものを考えていった。「ほら、ここに『サスケ』がいる!」とか「ここに『しっとり』と『ほとり』があるじゃん!」とか。
 名前の中にある言葉以外に、よそから持ってきた言葉をたくさんつかって、不思議な雰囲気の詩ができたり、なんだそりゃと、笑わされてしまったり、楽しい授業だった。
 ただ、子どもたちに、これがどう演劇の授業につながるのかということを、説明しきれていなかったかもしれないと反省する。
 休み時間に「よくわからない」という男子としゃべった。「いつもの授業で声を出しているように、今日は言葉を書くとき、口ずさんでごらん」と話す。廊下には、富士学園の移動教室について書いた俳句が貼り付けてあった。なかなかの名句がいっぱい。「これを書いたとき、声に出したでしょ? それと同じだよ」と。少しはたすけになったかな?
 授業の終わりの谷川さんへの質問コーナーでは、「鉄腕アトム」の作詞をしたのが谷川さんだとわかると、子どもたちには谷川さんが急に身近になったようだった。もっと早く話しておいてあげればよかったかもしれない。
 前期の授業は、今日でおしまい。休み時間、子どもたちと「夏休みが終わるとみんな急に大きくなるんだよね」とおしゃべりする。僕のとなりで背伸びをする男子女子数名。すでに、負けてるし……。「またね! 元気でね!」と言って別れてくる。

 稽古は、昨日の続きをていねいに。細かいリアクションを積み上げることで、人物の基本的な行動のクセが見えてくる、そんなかんじ。
 昨日まで、今ひとつだった、テーブルを囲んで全員が立つシーン、不思議な一体感が生まれた。
 その後の「みんなでとりあえずわいわい言ってみよう」と話したシーンも、するっと成立した。
 どうでもいいようなベタなリアクションを何人かで同時にすることを、繰り返すうちに、お互いの息があってきた、そんな気がする。
 2場のマミーは、初めから終わりまで大奮闘。途中で僕が登場して向き合うと、汗だくになっている。大きなアクションがあるわけでもなく、ただただしゃべり続けているだけなのに。ごめんね……とあやまる。
 思いついてしまった、ベタなギャグをうちの芝居にはめずらしく取り入れたら、なんだそりゃな場面がまたできあがる。マミーが、違うバージョンも思いついて、それもいいねえ!ということになった。
 帰り道、稽古場の近くの緑道の八重桜の大きな木を指して「この木が舞台の正面にあると思ってくれるかな」と早瀬くんと小林くんに話す。この木なら上れそうだし、何より、実にいい顔をしている。稽古場に来るたび、この木の前をとおる。僕らにとって一番身近な木だ。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと14日!


2005年07月12日(火) 「Four Seasons 四季」稽古

 2場を組み立てていく。道具の扱い、特に缶ビールをどうするかなどなど、盛りだくさんの「やらなきゃいけないこと」をていねいに確認しながらの立ち稽古。
 1場でできあがったそれぞれの人物が、この場面で当たり前のようにいるのがおもしろい。久しぶりに本役で登場の小林くんを交えて、バラバラな個性が勢揃いする。
 初演のときにものすごい勢いでつくってしまったものを、今また勢いでやってしまうのではなく、ていねいに積み上げていってみようというのが、今回の再演のおもしろさだ。
 何かをやってみようとするカラダは、なかなか自由にはならないのだけれど、それでも何度も稽古をするうちに、ふっとのびのびした「いかた」ができるようになる。その瞬間のおもしろさは、まさに芝居の醍醐味、もとい稽古の醍醐味だ。
 今回、初めてご一緒する天辺さんの存在もどんどこおもしろくなっている。初演ではありえなかった関係が、あちこちでできあがっていく。
 2場で展開するのは、たらたらとした休日の午後のバーベキュー大会。この時間が、ほんとになんでもなく成立したらいいなと思う。
 稽古の間、さもないやりとりをしているだけなのに、妙におかしくて、楽しくなってくる。
 この芝居は全編そんな時間の連続だ。それぞれが勝手なことをしているのだけれど、妙におかしくて、人物どうしの微妙なやりとり、アイコンタクトやら、声にならない相づちが、きっちり成り立っていくことのおもしろさだけが積み上がっていく、そんな芝居。
 今日も「バカだよねえ」と言いながら、ベタベタな段取りをみんなでやっていく。バカバカしいことを真剣に楽しむ。これも僕らの芝居の醍醐味だ。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと15日!


2005年07月11日(月) 「上演されなかった『三人姉妹』」

 紀伊國屋ホールへ燐光群「上演されなかった『三人姉妹』」を見に行く。
 ロビーで、「ユリイカ」でフライングステージを紹介してくださったタニオカさんにご挨拶。富士見丘でお会いするスズキさんにもばったり、座席も隣同士で観劇する。
 某国のチェーホフの「三人姉妹」を上演中の劇場がテロリストに占拠されるところから始まる、ロシアの劇場占拠事件をほうふつとさせる物語。
 客席の前半分も舞台にして、通路を縦横に使っているので、観客も人質として参加するような構造かと思っていたのだけれど、それよりもむしろ、現代の戦争=軍隊のありようをとっかかりにした「三人姉妹」の読みかえの劇だった。
 占拠された劇場の役者たちは、占拠されてもなお「三人姉妹」を演じ続ける。俳優達の他に、客席にいたかつての俳優たちも含めて、人質になった彼らの今と、「三人姉妹」の人物たちが抱える閉塞感がていねいに重ね合わされていく。
 中山マリさん、立石涼子さん、神野三鈴さんが演じる三人姉妹がみごとだった。占拠後も「三人姉妹」を演じ続けるという、やや理不尽な設定を、それぞれのキャラクターでひっぱり、演じきっていたと思う。
 中でも立石涼子さんには感動した。マーシャを演じている部分と、地の女優のホンネを語る部分とを、それぞれとても生々しい声でつくりあげていた。終幕、テロリストのリーダーと恋に落ちてしまい、涙ながらに別れる場面での、虚実ないまぜ感には涙してしまう。これってメロドラマだったの?と思いながら。
 「三人姉妹」に登場する軍隊というと、どうものどかな人たちをイメージしてしまうが、そうではない人殺しの集団なのだということに気がつかされたことが、僕にはとても新鮮だった。
 実は戦争ととなりあわせにいる、閉じこめられた人たちという「三人姉妹」の世界観を、現代につなげて見せるのは、かなりの力業だと思うが、かなりの部分で今回の舞台はそのことに成功していると思う。出演者たちも、ほぼしゃべりっぱなしの「チェーホフさながら」の演技を見事にまっとうしたと思う。
 はじめ、リアルな劇場占拠を体感させておいて、メタシアター的な構造を緻密に積み上げ、メロドラマチックな感動のさきに、現代の世界が抱える戦争の構造を見せる、エンターテインメントしても見事な舞台だった。
 ただ、一ヶ所、終幕の決闘の場面だけは、つなげ方が強引だったかもしれない。「一人紛れ込んだアメリカ人」という設定はとてもおもしろいのだけれど、微妙に生かし切れていない歯がゆさが残った。
 終演後、知的な構造をもった舞台をみたあとの感動と満足感というよりも、メロドラマの「女優」の芝居を堪能した気分で劇場をあとにした自分がおかしかった。
 「三人姉妹」はこれまで何本も見たけれど、こんな気持ちになったのは初めてだ。日本を舞台に置き換えた「三人姉妹」よりも、ずっとずっとチェーホフの人物たちは身近になった。それは、彼らが演劇人として登場しているからなのか、戦争、テロと向き合わざるを得ないという状況設定のせいなのか? そんなことを考えながら帰ってきた。


2005年07月10日(日) 「Four Seasons 四季」稽古

 一昨日の続きの稽古をていねいにやっていく。初演のときに、するっとできていたことを、いざ、ていねいに意識してなぞっていくと、なかなかうまくいかない。セリフを細かくカットしたり、段取りをシンプルにしたりして、場面をつくりあげていく。
 僕が役者として入ったあと、ノグに「今のって流してた?」と言われる。流しているつもりはなかったのだけれど、演出家の気持ちのまんま芝居をしていた。自分でもどうよ?と思うことをいっぱいしてしまって反省。自分の言葉が自分に帰ってくるんだということをきっちり受け止めないと。
 2場の冒頭のマミーと早瀬くんの距離感の微妙さを確認していく。早瀬くんのキャラクターがずいぶん様変わりしているので、対するマミーもいろいろやっているかんじ。それでも、ここは外さないでと思うことを伝える。自分がやりたいことをやるんじゃなくて、相手に投げかけたセリフの行き先をどう気に掛けるかということを、ずいぶん話した。
 ちゃんと見ていなくても、気にはなってるという状態がないと、ただのバラバラな二人になってしまう。そのバラバラさに気がつかない二人ではないわけだし、会話をとりあえず成立させる努力のようなものをしないわけがない。
 時間がきたので、今日はここまで。
 帰りに遊びにきてくれた永山くん(ケーキごちそうさまでした!)と一緒に酒部活動。各駅停車しか止まらない日曜日の阿佐ヶ谷から新宿まで、今日もおしゃべり。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと17日!


2005年07月09日(土) 「プロデューサーズ」

 12時半開演のマチネ、ブロードウェイミュージカル「プロデューサーズ」@厚生年金会館。
 トニー賞12部門受賞がほんとに納得のすごい舞台だった。
 わざとすぐにクローズするようなひどいミュージカルをつくって大もうけしようと企むプロデューサーのマックスと会計士のレオの二人組。それが大ヒットしてしまって……というお話。
 「ひどいミュージカルをつくる」という点で、バックステージものの王道。それを、俳優でも演出家でもないプロデューサーの視点から描いたという点がおもしろい。
 ダメな脚本を探して、元ナチス党員でアパートの屋上で鳩を飼っている劇作家フランツ・リープキンドが書いた「ヒトラーの春」を見つけ、何でもゲイテイストで演出する演出家ロジャー・デ・ブリに演出を頼む。
 このミュージカルは、全編が皮肉とからかいと悪ふざけの連続だ。ナチス、ゲイ、そして女性、老人の性、人種のことなどなど、ぎりぎりのジョークが「そこまでやるか」というところまで
笑いのめしてしまう。
 本当ならカチンと来そうな、過剰なゲイの描き方も、ここまでやればもうあっぱれとしか言えない。本来ならダメなはずの「ゲイ・テイストな」演出が大成功を収めるというひっくりかえしかたも見事だし、何より、劇中劇の「ヒトラーの春」は本当にすごかった。頭にシュニッツェルやビールのジョッキやソーセージを載せた美女たちがしずしずと登場し、ナチス党員の男女がタップをふんで、ハーケンクロイツ(裏返しなので、お寺のマーク)のポーズをとる。ダンサーは張りぼての人形を連れてマスゲームをし、背景のミラーが大きく傾斜すると、そこにはダンサーと人形でできたお寺のマークがぐるぐる回っているのが映っている。大詰めでは、「戦車の着ぐるみ」を背負った美女も登場して、もう何が何やらになってしまう。とにかく、くだらないことをとっても真剣にやってるところが最高に素晴らしい。
 1幕のはじめのナンバーで劇場の前でマックスと街の人々が歌い踊るシーン。尼さんやら、浮浪者やら、案内嬢やら、流しのバイオリン弾きやらが、輪になって踊るばかばかしさ。この人たちは、このくだらなさ、突然歌って踊ってしまうというミュージカルのスタイルまでもを、笑っている。そして、笑いながら、深く愛して、最高に楽しんでいるんだということがとてもよくわかった。その気持ちは全編を通じて変わらない。
 ナショナル・ツアーの今回の来日キャストは、アンサンブルまでがとってもいい役者さんたちばかりだった。中でも、レオ役のアンディ・テイラーは、ピーナッツシリーズのライナスのように「毛布がないと落ち着かない」キャラを、顔を真っ赤にして演じていたのが印象的だった。
 来日公演のキャストには「ちょっと手抜いてない?」と思えるものが時々あるけれど、今回は、ほんとに真剣さが伝わってきた。真剣さというか、この舞台を彼らがとっても誇りに思い、楽しんでいるのが伝わってきた。舞台の醍醐味だ。
 客席も12時半開演のマチネとは思えないほどの盛り上がりかたで、終演後、こんなに興奮している客席というのも久しぶりに体験した。厚生年金会館から駅に向かう人波はみんな上気した笑顔の人ばかりだった。
 この舞台が、二丁目のすぐ近くで上演されているというのも素敵だと思う。ゲイだったら余計に楽しめると言い切ってしまうのはちょっと微妙だけれども、コメディが好きで、舞台が好きで、そして「ゲイ・テイスト」が大好きだったら、むちゃくちゃ楽しめるミュージカルだということは断言できると思う。
 8月に上演される日本語版は楽しみなような心配なような。マックスとレオが井ノ原快彦と長野博というのがとっても微妙。でも、藤木孝が演じるロジャー・デ・ブリと岡幸二郎のカルメン・ギアはとっても見てみたい気がする。
 夜、ジオラマ・マンボ・ガールズのマルゴリータ・ナスと浅草雷門で待ち合わせ。木馬亭の「それゆけ浅草雑芸探検隊」を見に行く。毎年ほおずき市に開催される大道芸、雑芸のおまつり。今年で一区切りで最後ということだそう。
 開演前に浅草寺にお参り。雨の浅草寺は、本堂の中にお経の音が低音でずんずん響いていて、いつになくアジアなかんじ。湿気のせい? それともPAが入ってるの?と話す。
 開演まで、六区の飲みやさんで軽く一杯。大きな肉がどこどこ入っている煮込みをさかなに。
 「それゆけ雑芸探検隊」、第一部は各地の大道芸をネタに、素朴な大道芸と「悪徳」なひとたちが交互に登場する構成。第二部は、ちんどんの「菊之家」のみなさんが登場。米寿を迎えた御大、菊之家〆丸師匠の粋なしゃべりがすばらしい。なつかしい芸に拍手を送りながら、ふと「チンドンの芸ってこんなにありがたがりながら拍手を送るものだったんだろうか?」とも思ってしまう。でも、いいよねえと思えることはたしか。素敵だった。第三部は、大道芸のオンパレード、これでもかというかんじで、個人芸が繰り出される、なかでも金子ザンさんの「一人文楽」、「狼と七匹の子ヤギれんりのしがらみ」(たしかこんなタイトル)はすごかった。マルゴリータともども大笑いする。南京玉すだれの実演中にこんがらがって、袖にはけた人を見て、「あ、やっぱり危険な芸なんだ」との思いを新たに。一昨年のgaku-GAY-kaiを思い出す。
 終演後、出演のワカさん、ミッちゃんにごあいさつ。二十年近くのおひさしぶりの人にも会って、楽しいイベントだった。
 帰りには、去年同様、神谷バーで飲み&ミーティング。今年の企画について。これはどうよ?な曲をやりとりし、その後は、思う存分閉店までおしゃべりする。「斎藤孝さんの声はなんであんなに高いんだろうね?」という点で、そう思ってたのは自分だけじゃなかったんだ!という発見をする。
 駅からの自転車でずぶぬれになり、こんなんじゃ傘なんかいらないと思ったものの、メガネが水滴で見えなくなるので、理不尽だと思いながら、傘をさしながら走る。夜中までずっと大雨。いっそすがすがしいほどの。


2005年07月08日(金) 「Four Seasons 四季」稽古

 小林くんが風邪でお休み。早瀬くんも仕事で遅くなったので、今日も頭からを確認。できてるねと思ってたところが、微妙に抜け落ちてしまっていくのを、ていねいに確認。結果、いい時間がもててよかった。
 後半は、早瀬くんの芝居を中心に。初演と一番違うのは彼が演じる近藤くんのキャラクター。台本の段階で変わったところを、稽古しながら、さらにどんどんセリフを変えて、つくりあげていく。
 昨日、これでいこうと思った早瀬くんの反応を、やっぱり違うねということでさらに変更。それに応じて、他の人物の芝居も全とっかえになった。でも、こっちの方がおもしろい。
 2場の頭はマミーと早瀬くんの2人芝居が続く。キャラクターが変わった早瀬くんが、どうつながっていくかを確認。対するマミーとの距離感も微妙さが出てきて、より複雑になった。いいかんじ。
 今日はりょうちゃんが遊びにきてくれた。歩きながらの酒部活動をしながら、芝居の話をいろいろ。
 帰りに新宿に出て、タックスノットに寄ってごあいさつ。ほんとにひさしぶりで申し訳ない。ここでも二丁目の路上でも、何人ものなつかしい人たちに会えてうれしかった。映画祭のプロモのビデオを見ながら、どれを見に行けるかと思い、僕もいいものをつくらないとねと思う。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと19日!


2005年07月07日(木) 「Four Seasons 四季」稽古

 夕方、強い日射しはそのままなのに、ぱらぱらと雨が降ってきた。暑いなあと思いながら、夕立のようないきおいの雨にうたれるのは不思議なかんじ。虹が出るんじゃないかと東の空をみてみたのだけれど、見つからなかった。
 昨日の続きの稽古。自分がしなきゃいけないことを順番にやろうとするのではなく、相手に対しての気持ちや反応が積み重なっていくことを確認していく。
 1場の後半の勢揃いの場面の全員の位置をとりあえず決めてやってみる。これでいけるかなと思ったところで、全然違うことを思いついてしまい、やってみてもらうことする。きれいな絵面をキープするよりも、そっちの方がずっとおもしろいということがわかったので、すぐに変更。やらなきゃいけないことをなぞるカラダと、この場で自由でいるカラダの違いがおもしろい。
 帰りは、遊びに来てくれたいっこうちゃんと一緒に酒部活動。ひさしぶりに「座って」飲む。近況報告いろいろ。天辺くんと電車の中でもおしゃべりしながら帰る。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと20日!


2005年07月06日(水) 「Four Seasons 四季」稽古

 稽古前には、コントレックスの1.5リットルのボトルを飲んでいるのだけれど、今日は、目についた炭酸水「ヴァルス」というのを買ってみた。1.25リットル。
 室温で置いてあったので、キャップを開けたとたんに吹き出した。やっぱりね。ただの水なので、まあ、乾けばいいやと放置する。
 思ってた以上に炭酸はなかなか炭酸のシュワシュワ感はなかなかしっかりしてる。目新しいけど水としてはどうだろうというかんじで、すぐにお腹一杯に。稽古の終わりまでかかって、少しずつ「微炭酸」になり、終盤はラクに飲み終える。ちょっと物足りない。250cc分か?
 毎日、水ばっかり飲んでいるせいか、稽古のない日は夜中にむちゃくちゃ喉が渇く。昨夜も、起きていた間ずっと、水ではなく冷やしたドクダミ茶をがぶがぶ飲んでいた。水を飲んでやせるというのをねらってるわけではないけれど(そんなには)、カラダにはいいようだ。体重も少しずつだけれど減ってきている。
 稽古は、一昨日の続き。早瀬くんも交えて、細かい稽古。一度「できた!」と思ったところを小返ししていくと、どうしても「なぞる」芝居になってしまう。新鮮さをどうやって自分に保たせるかが課題。
 「セリフの頭で言いよどまないで」とみんなに出したダメを、そっくり自分でもやっていて、反省する。僕がみんなに要求していることは、なかなかに大変で、ロジャー・リーズが言っていた、「凶器にもなる自動車を軽々と運転する」状態そのものだ。
 たくさん登場する小道具の移動も考えながら、だんどりを細かくつめていく。セリフを言ってない人物の動きを行き当たりバッタリでなく確認していく作業も。
 5人の人物が同時にいれば、それぞれ考えていることはバラバラだ。そのバラバラの加減がそれぞれ違うカラフルな色で構成できたらいいなと思う。
 最後に、ペンディングにしていた2場ラストの修正版を読んでみる。書いているときは気がつかなかった文体の違いにちょっとおどろく。つぎはぎにならないように、人物の気持ちをていねいにつなげていこう。
 一昨日の稽古以来、天辺さんが演じる、茂雄ちゃんの声が台本を書いていても聞こえてくるようになった。決定稿を出していない後半のセリフをどんどこ微調整していく。とても楽しい作業。今回の茂雄ちゃんは、初演より少しだけ「パワフル」なキャラになっていきそうな予感。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと21日!


2005年07月05日(火) 雨の夜

 一日、出かけた先々で合間をぬってパソコンに向かう。台本、原稿、その他もろもろを抱えこんだまま帰宅。
 玄関先のあざみがきれいさっぱりなくなった。あまりののび放題ぶりに母親が引っこ抜いたらしい。つぼみが一つ咲き始めたところだったので、ちょっと残念。
 夜、降り出したなと思っていた雨が、いつのまにか大雨に。猫はでかけたまま帰ってこない。台所のサッシをあけて、いつ帰ってきてもいいようにしておく。
 部屋の中でぶんぶん飛んでいる虫が気になっていた。少し大きめの蚊だろうと思っていたら、枕元で小さくなって死んでいるのを見つける。カマキリのこどもだった。きれいなみどり色の小さな虫。小さく曲げた前脚のカマを前にそろえて、お祈りをしているように見える。
 つまんで、窓から身を乗り出して、小雨もようの外に出してやる。
 このあいだ見たTVのCM、たしかリゲインのだったと思うけど、カマキリとモンシロ蝶がたたかうやつ。いつもは優勢なカマキリがモンシロ蝶にやっつけられるという展開。なぜだかカマキリに同情しながら見ていたので、今日のチビカマキリは余計にごめんねという気がした。
 それにしても、どこから入ってきたんだろう。ハエや蚊だったら、こんなこと考えないのに、カマキリをひいきしてしまうのはなぜだろう。


2005年07月04日(月) 富士見丘小学校演劇授業 「Four Seasons 四季」稽古

 富士見丘小学校の授業。青井さんがお休みになったので、篠原さんと二人で担当。
 シアターゲームからスタート。輪になって、全員で20まで数えるというもの。同時に言ってはいけない、「タケノコにょっき」のようなゲーム。お互いをちゃんと見ていないと成功しない。遊びながら、だんだんみんなを見ることを身につけていく。
 続いて「私はトランクにつめました」を。いろんなものがどんどん登場する。なかなか思い出せない子に、みんなでジェスチャーでヒントを与えてもいいということにいつのまにかなってしまいジェスチャー大会?に。そのうちに「言葉」でもヒントがどんどん出て、連想ゲームのようにも(笑)。それでも、子どもたちはとっても元気に楽しんでいたと思う。見ている子たちも、よく集中していた(ヒントを出すのに忙しかった子がおおぜいいたせいもあって)。
 後半は、篠原さんと相談して、「物語」をつくってもらうことにした。今日の授業のテーマは「自分を話す、人を聞く」だったのだけれど、「自分を」話すのではなく、オリジナルの物語を「自分で」話てもらうことした。
 あらかじめ5つに分けてもらったグループ毎に、1人「文章1つずつ」しゃべって、物語をつくっていく。テーマは、前のグループが相談して決める。登場したテーマは、「はげずきん(「赤ずきん」じゃなくて)」「つるの恩返し」「ごくせん」「アルプスの少女ハイジ」「アンパンマン」「カチカチ山」「ももたろう」などなど。
 なかなか続きが思いつけなくて、考え込んでしまった子が何人かいたのだけれど、「パス」ということにしないで、なんとかがんばってもらった。その子たちもそれぞれよくがんばったと思うけれど、それをささえたクラスのみんなの応援のしかたも素晴らしかった。「なんで、できないんだよ?」とやじることもなく、「まったく、もう……」と無視するのでもない、ちゃんと見守っているようすはクラスがいいまとまりかたをしている証拠だと思う。
 前回と同じように、演じ手だけでなく観客もこの場を支えているんだよと初めに話す。その約束を、子どもたちはよく守ってくれていた。
 その他にも、合間合間に芝居についてのいろんな話をさせてもらう。「やってる人が笑っちゃいけないんだよ」とか、「芝居は、演じ手と客席の間、このあたりに生まれるんだよ」とか、もう何度目かの「演じ手だけで観客がいないと、芝居はなりたたないんだよ」とか。芝居は約束だ。そんな約束を、演じる喜びと一緒に、彼らに伝えていきたいと思う。
 午後、見学に来てくれた横内謙介さんと打ち合わせ。これからの授業のことなどなど。扉座は、子どものための演劇教室をいっぱいやってきている集団。そんなノウハウもいろいろうかがって、とっても参考になった。

 夜は稽古。早瀬くんが仕事の都合でお休み。今日、新しく持っていった改訂した2場のラストは次回読んでみることに。
 1場のオープニングをていねいにつくっていく。ひととおり流れるようになったので、もっとこうして!という課題をそれぞれ伝える。
 何度もやっていくうちに、三人の色がどんどん違ってくる。バラバラなのに、いい調和を見せてるそんなおもしろさ。
 「こんなふうにやってみよう」というのではなく、外から何を背負ってくるか、相手の言葉や行動をどう受け止めたかということをポイントに、通過点を確認していく。気持ちの「折れ」がものすごくくっきり立ち上がっていく。
 ノグは、冒頭のマミーとのやりとりのほんの短い時間に、いくつものポイントがあることを確認。軍手を外すタイミングのちょっとした違いで、意味が全然変わることなどを発見する。
 マミーは、天辺さんとやりとりしながら鼻の頭に日焼け止めクリームを塗る様子がにくらしくてたまらない。高ビーな物言いが、聞いているノグと天辺さんの立ち位置で、急に「大バカもの
」に見える瞬間があって、小林くんと二人で大笑いする。それも、天辺さんが、歩き出すタイミングをちょっとだけ早くしてみた結果だ。ほんの少しの違いで、こんなに違ってくるんだねということを確認して、共有する。
 天辺さんは、生き生きと闊歩できるようになったのが素晴らしい。無意識に座ってしまったとたんに見えてくるおかしさ。そのことに気がついて慌てて怒る流れを確認。
 僕の登場する場面に続けて、僕のかわりに小林くんに入っていってもらう。前からちゃんと見て、その場にいる人々の僕の役に対する「いかた」を確認。初演のときは絶対に見えてない、そしてやってないことがどんどん見えてくる。ここでもいくつもの通過点を確認。3人の登場人物がきっちり自分らしくこの場にいて、無意識にすることまでもが相手にとっての何かになっていくそんな場面。生き生きとした冒頭のシーンになったと思う。
 で、今日はここまで。いい稽古だった。
 マミーが塗っていた日焼け止めクリームが実は手近にあったリンスだということが判明。稽古のあと「リンスくさくて」って言ってたけど、だいじょぶなの?とちょっと心配。
 今日は朝からたくさん話した。授業でこどもたちと、その後、横内さん、篠原さんと。そして、稽古前には、ノグとこの芝居の構造について。
 話すこと、もとい、話し合うことは、必ず何かを生むんだということを実感した日だった。
 その何かというのは、僕にとって、前向きに生きていくための元気と勇気だ。
 
 「Four Seasons 四季」初日まで、あと23日!


2005年07月03日(日) 客演のこと

 昼間、義弟夫婦がテレビを持ってきてくれた。台所のテレビはまたおかしくなってしまい、今度はどうにもならないかんじに。居間の方もプラグを買ってきたものの、まだ直りきらない状態。
 何年か前にパチンコ屋の抽選で当たったテレビは21インチ。メーカーはちゃんとしてるんだけど、とにかくものすごい奥行き。むかしのかんじだ。今はみんな薄型だもの、だから景品になるんだねと母親と話す。
 義弟たちは一番下の娘のあんなとトイプードルのラムを連れて来た。にぎやかな日曜日がいいかんじ。
 うちの猫はラムを牽制して家を出たり入ったり。帰ったあと姿が見えないので探したら、テレビの大きな箱にもぐりこんで、発泡スチロールの間にはまって寝ていた。

 HPにもアップしたのですが、9月に絶対王様の公演に客演することになりました。
 公演のご案内に書いた近況報告には「来年の8月の本公演までしばらく充電しようと思います」と書いたのですが、何言ってんだかということになってしまいました。
 絶対王様のみなさんとご一緒するのは、一昨年の「絶対鳥フライ」以来。その時、僕は、自作の「贋作 マイ・フェア・レディ」とbird's-eye-viewの内藤さんが書いてくれた場面に出ただけなので、絶対王様の笹木さんの書いた芝居を演じるのは初めてになります。
 以前にも一度客演のお話をいただいたものの、同時期に他の芝居に出ていて出演できなかったこともあり、今回のオファーはとってもうれしかったです。
 今年二本目の客演の舞台、今度はどんな芝居ができるのか、わくわくしています。


2005年07月02日(土) 「Four Seasons 四季」稽古

 阿佐ヶ谷で稽古。1場を小返ししながら、立ち稽古をすすめる。
 作者・演出家モードから、自分も役者なんだと思い、勇気をふりしぼって、舞台に立つ日というのが、稽古をしていると必ずあるのだけれど、今日は、僕にとってそういう日。
 2人組のシアターゲームやエチュードでは、4人+1でいつも見ている人になっていたのは、演出家として見ていなきゃだめだという理由以上に、僕が、俳優として舞台に立つことに臆していた気持ちがあったからだ。
 僕の役者としての稽古は、いつも、こういう「思い切る日」から始まる。目の前にいる5人の役者に、自分を足したときのアンサンブルを、イメージでなく、実際に感じてみる。
 役割としてこんな色で存在したいというプランが、やってみると全然できなくて、じゃあ、こっちでいったらどうなのかという判断を、その場でどんどんしていく。そのことをおもしろがっていく。
 不自由な自分をまずは感じるところから始まった今日の稽古。前から見るだけじゃない、一緒にやりながらつくる、僕の芝居のつくりかたを、これからぞんぶんにやっていこうと思う。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと25日!

 明日は都議選の投票日。阿佐ヶ谷の駅前も高円寺の駅前も、最後のお願いの候補者でごったがえしていた。杉並区が採択しようとしている「つくる会」の教科書の問題はとっても気になるところだ。僕は都民ではないので、投票できないけど、都民のみなさんは、ぜひぜひ投票所に足を運んでくださいね。
 東京メロトロポリタン・ゲイ・フォーラムという団体が都議選の候補者に行ったアンケート。セクシュアルマイノリティについての政策についての問いを、自民党系の候補は、「一人残らず」無視してる。
 6月の最終週は、世界的なゲイ・プライド・ウィーク。NYや、パリやベルリンで大規模なパレードが開催された。パリ市長のドラノエさんは、自らゲイだとカミングアウトしてる人。NYのプライド・パレードも、市長のブルンバーグさんのあいさつからスタートした。
 よその国はよその国だけれど、日本の首都東京のありようはどうだろう? 同性愛も多様な性のかたちの一つだと教えることが、性教育の行き過ぎだと批判される。なんだそりゃ?
 彼の国の今は、その国のセクシュアルマイノリティがたたかいとった成果なんだろうと思う。少なくとも、僕たちは「いないこと」にはされたくない。心の底からそう思う。真面目なアンケートに返答しないってことには、本当に腹立たしさをかんじる。
 戦争をしようとしている世代の大半がそうなように、僕らがたたかわなくてはいけない相手は、年寄りのわからずやではなくて「ほぼ同年代」のバカノンケだ。
 彼らに思い知らせてやる、まず唯一の機会は選挙じゃないだろうか。僕らはちゃんとここにいるんだということを、きっちりわからせたいと思う。都議選の投票権はないけれども……。そんな選挙前日の雑感。


2005年07月01日(金) 「Four Seasons 四季」稽古

 一昨日渡した改訂台本の続きをあるところまで、とにかく読んでみることに。
 細かい直しを伝えて、他愛もないくせに、複雑なやりとりを積み重ねる。
 上手くやろうとするよりも、楽しくやることの方がきっと大事なんだろうなと、あらためて思った。誰かが突出することよりも、みんなのチーム感が、この芝居のおもしろさだ。
 舞台にいる全員が、いつもちゃんとそこにいること。どうやろうかとたくらむよりも、ただ、その場をおもしろがっていられることができたらいいと思う。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと26日!

 稽古前に、阿佐ヶ谷のパールセンター商店街の週替わりのあやしい店で、直径20センチほどの粉引きの鉢を見つけた。分厚い釉薬が素朴ないいかんじ。値札がついてなかったのでいくらかたずねたら「50円」。「やすー」ということで、即ゲット。われもの用の新聞紙もないので、ビニール袋にそのまま入れてくれた。気をつけてもってかえる。

 一昨日から、台所のテレビの調子が悪い。スイッチが入ってもすぐに消えてしまう。妹のところにある、パチンコで当たったんだけど使ってないテレビをもらってこようかという話だったはずが、帰ったら、直っている。母親に聞いたら、よくわからないけど直ってしまったのだという。
 そのかわり、居間のテレビが今度は点かない。これも理由がわからない。あれこれいじってみるうちに、アンテナ線の接続に問題がありそうなことが判明。アンテナ線をカットし直したりしていたら、直った。やった!と思い、もっとちゃんとしようと、なおいじり続けていたら、全く映らなくなった。なぜ? 母親に「もう、いいから」と言われ、明日リベンジしようと決心。
 近くの電器店に修理をお願いしようかとも話すが、最近何も買ってないし、やっぱりダメだとなったら、テレビ買わなきゃならないし……と、微妙なめんどくささ。ホームセンターで同軸プラグの新しいのを買って、様子をみてみようと思う。
 修理(?)の間中、猫がきて、近くでゴロゴロ転がっていた。かまってくれといわんばかりの態度。こんな猫だったっけかと妙に新鮮。


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