せきねしんいちの観劇&稽古日記
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フライヤーをプリントネットワークに入稿する。土曜日には出来てくるだろう。間に合った。 仕事の帰りに、劇作家協会が出した「戯曲の書き方」を買ってくる。劇作家講座の受講生と講師のやりとり。憐さん、篠原さん、野中さんたちが、それはていねいに講評して、一緒に作品に向かっている。感動する。できあがった戯曲自体よりも、その細やかな指導ぶりに。 夜中、録画していた「離婚弁護士2」。江波杏子が夫の離婚を認めない妻。夫は清水紘治。ガンで余命幾ばくもない夫が妊娠中の愛人のもとへ行こうとするのを拒み続ける。妊娠中でも認知も認めさせないという流れも悪役。それが夫が危篤状態になったとき、「私はぜったいに認めない。だから、子供が生まれるまで生きなさい。生きて、生まれた子供を認知しなさい」という一言でひっくりかえる。いい台詞。芝居も良かった。やりがいのある、いい役だ。一回だけのゲスト出演者をほんとにうまく使ってる。 あとは原稿の続きに向かう夜。眠れない。
UZUくんとフライヤーのやりとり。最後の修正を送る。 夕方、三軒茶屋で三枝嬢と打ち合わせ。郵便より安いメール便の話など。 その後、横浜の相鉄本多劇場へ。 劇団だるま座公演「桜散る散るもつもるも三春乃一座」(篠原久美子作)を見に行く。 久し振りの相鉄本多劇場だ。雨の中、かなり迷って、たどりつく。 戦争末期の横浜を舞台にした、大衆演劇の一座の物語。5月30日の横浜大空襲の下、芝居をしようとしつづけた人たち。 役者を演じるのはむずかしいんだなあと思った。「一座」というより「芝居仲間」のようだった。この人たちが、戦争中とはいえ、芝居で食べているということが、とても信じられなかった。 篠原さんの台本は、「極付国定忠治」の芝居とそれを演ずる人々をきれいに重ね合わせて、実によく書けていると思う。メタシアターとしての重層的な構造が、最後に離ればなれになっていく人たちの姿にきっちり収斂していく。 ただ、演技と演出的には、余計なオカズや捨てぜりふで笑いをとることが多くて、本筋のおかしさからはずれてしまうイライラも感じてしまった。2時間30分という上演時間も、もう少し短くできたんじゃないんだろうか。 ずっと前から見たかった芝居をようやく見ることができたのだけれど、僕はフライヤーに「感動の声」がのってる芝居とどうも相性が悪いようだ。 終演後、篠原さんと、同じ回に来ていた久し振りなユゲさんにあいさつ。どしゃぶりの雨の中外に出たら、ハルヒちゃんとぱったり。駅まで歩く。 UZUくんとの打ち合わせをなしにしてもらったので、帰りは東海道線で。行儀が悪いと思いながら売店で買った缶酎ハイを飲んでしまう。東京駅でもう一本。どんどん飲んでしまいそうだったので、駅からはタクシーでまっすぐ帰る。
劇団の倉庫の引っ越し。亀戸にある今の倉庫から両国にある新しい場所に引っ越すことになった。ジャスミンさんのご厚意に感謝。 集まったのは、マミー、小林くん、トシくん、それにノグ。ノグが運転するワゴンで2往復。すっきり引っ越し完了。 亀戸の倉庫は、細い路地の奥の二階で、車からの距離があるのがけっこう大変だった。引っ越した先は、真ん前まで車をつけることができる一階の部屋。すばらしい。 両国に住むトシくんの家から数分の距離(通りからマンションが見えてる)ということもわかり、大量に出たゴミもマンションのゴミ置き場で処分完了。こちらも大助かりだ。 一度家に帰ろうかと思ったのだけれど、結局、途中の亀戸で断念。ちょっと一休みと入ったスタバでコーヒーを飲みながら、時間まで原稿に向かってしまう。
夜、フラジャイル公演「塔」@駒場アゴラ劇場。 開演前、いっこうちゃんにばったり。制作をお手伝いしている詩森ろばさんにもご挨拶。 111階のビルの最上階にあるエレベーター制御室。止まっているエレベーターをめぐる、管理人とそこにやってきた人々の物語。 劇場のまん中に大きく張り出した舞台の中央にくみ上げられた巨大な滑車の装置が迫力。 111階の窓を開け放した空間の処理や、妙にレトロな建築様式で緻密に作られてる室内の装飾や、バーンと閉めてもびくともしないドアが見事。 止まったエレベーターを動かすか否かというのが、ドラマの基本になるのだけれど、やりとりの中心は、確信犯的な「翻訳調」の台詞で行われる。この台詞がくせ者で、役者一人一人でこの文体の受容のしかたが違うのが、実は芝居自体よりもずっとずっとおもしろかった。つまり、芝居のおもしろみよりも、役者のおもしろみで僕はこの芝居をみた。 役者さんたちはみんな熱演しているのだけれど、明樹由佳さんと有川マコトさんが、中盤から登場すると、二人の台詞の肉体化のしかたの見事さに圧倒された。二人は、このエレベーターの管理人としてやとわれたという「流浪の民」。旅の途中で産まれた女の赤ん坊を抱いている。 明樹さんはまさに「女まるだし」だった。女の弱さも、ずるさも、かしこさも、強さも、すべて見せる、その存在のしかたがとんでもない。有川さんは、言ってみれば「弱さとずるさまるだし」だろうか。それまで、レトリカルな台詞の応酬ばかりで、そこにいる人物自体が見えてこないもどかしさが、この二人の登場で一気に解消された気がした。 二人からはサブテキストが実にきっちり伝わってくる。難しいやりとりが続くと、見てなくても聞いていればいいやと思って、僕は時々、しゃべっている役者さんを見ないで、舞台のまん中にそびえる「滑車」を見ていたのだけれど、この二人はいつまでも見ていたいと思ってしまった。知り合いだからということでは全然ないと思う。特に、曖昧な台詞のまま、明樹さんが有川さんを誘うときの、エロチックなかんじ。赤ん坊に対する残酷な思いなどなど。台詞の合間から立ち上るものがすさまじかった。 劇中、「やさしさは、人の足の裏をやわらかくする」という台詞があった。いい台詞だ。裸足で登場する人物が多くて、客席に取り囲まれた舞台では、役者の足がとてもよく見えた。緊張のせいか、芝居と関係なく、足の指が反ってしまう役者さんが何人もいて、どうしたんだろうと思っていたのだけれど、明樹さんと有川さんは、とっても「柔らかい足の裏」をしていた。いつもきっちり自分の足で立って、歩きながら、台詞をしゃべりながら、足の裏が余計な動きをすることがなかった。様式的な動きをしていても、不自然な文体の台詞を口にしても、「しょうがないよ、だってそう書いてあるんだもん」という後付けの芝居でなく、きっちり手の内のものとしてしゃべるというのは、そういうことなのかもしれないと思った。台詞は、自分の言葉として発せられれば、もはや文体も何も気にならないんだ。これまで何度も見ている二人の役者さんの腕のすばらしさを、改めて見せてもらった気がした。 終演後、明樹さんにご挨拶。いっこうちゃんとひさしぶりにおしゃべりしながら、渋谷まで。いっこうちゃんも見たピンクトライアングルの芝居のことなども。2日続けて、終演後話がしたい芝居に出会えた。
2005年05月28日(土) |
「シークレット・ガーデン」 |
中野のあくとれにピンクトライアングル公演「シークレット・ガーデン」を見に行く。 きれいにつくられた、シンプルな独り暮らしのフローリングの部屋。装置の上手と下手にある、スクリーンに黒いシルエットで蝶と草花が描かれ、ブルーやピンクの照明に浮かび上がるのがとってもきれい。 一人暮らしなレズビアンの女性のところに転がり込んできた、恋人未満友達以上な関係の女性に、主人公の職場の女性がからむ三人芝居。 ゲームソフトの開発を自宅でしているという設定がていねいに描き込まれていてリアル。 部屋にさりげなくおいてあったディルド(緑色でインテリアの草のアレンジにさりげなくまざってるのがすてき)をめぐるやりとりが、今のレズビアンの生な言葉でとってもすばらしかった。 転がり込んできた彼女が実は薬物依存だったということがわかってから、説明的な台詞が多くなってしまったのが残念だった(終幕はモノローグの連続になってしまったかんじ)。「実は……」ということがわかってから先の物語をもっともっとたくさん見たかった。 それでも、この人にしか書けない台詞、ここでしか出会えない芝居にめぐりあうというのが、芝居を見る上での一番の幸せじゃないかと思う。 ドラマとしては、もっと工夫のしようと練り上げ方がいくらでもあるだろうけど、新鮮な言葉と、ホンネで語るレズビアンの彼女たちに出会えたことがうれしかった。 がんばれ!とエールを送りたい気持ちだ。
終演後、同じ回をみていたパチパチと新宿まで。芝居の感想をあれこれ語り合う。 まっすぐ帰らずに、自転車に乗って、少しだけ遠回り、となりの駅に近い、ケーキ屋さん「キャトーズジュイエ」でシュークリームとケーキを買って帰る。 「TVチャンピオン」で優勝したこともあるパティシエのつくるここのケーキは、とっても手が込んでいて、実においしい。今日は、生クリームのシュークリームとピスタチオを木イチゴのムースを。一粒のっかった、赤い粒胡椒がいいアクセントになってる。
UZUくんからフライヤー裏面のデザインが届く。校正して、返事しないといけないのだけれど、ご挨拶文がうまくいかないので、ちょっと待ってもらうことに。 原稿書きもろもろ続き。書けたものは送り、練り直すものはそのむねの連絡。 猫が、ここ何日か、体中に、草の実をつけてかえってくる。 抱き上げると、腹側にぷちぷちとしたものがあたる。ひっぱってもなかなか取れない、しぶといもぐりこみかたをしている。 どこで遊んできてるんだろうと思うが、よくわからない。車の下にもぐりこんで、ガソリン臭くなるよりはずっといいので、ブラシをかけるついでに、一緒に抜ける冬毛と一緒にひとつずつ取り除く。 取らないでほうっておくとどうなるんだろう? 毛が伸びて抜けるのと一緒に自然になくなるんだろうか。そのまんまで芽を出したりするんだろうか。ちょっと実験してみてもいいかもしれない。
昨夜録画しておいた「アクターズ・スタジオ インタビュー」。今回のゲストは、イーサン・ホーク。十数年前は客席にいて、ジェシカ・ラングの話を聞いていたというのが新鮮。 リバー・フェニックスに対する思いや、劇団の舞台と映画の仕事のどちらをとるかという話など、なかなかおもしろかった。きっとちゃんと構成されてるんだろうなと思うけれど、それでも俳優の生の声が聞けるこの番組が僕は好きだ。日本ではありえないんだろうな。自分の役作りについて語れる俳優って、日本にはどれだけいるんだろうかと思う。いや、いるんだけど、聞きたいと思う側のニーズがないってことか? 僕はイーサン・ホークの妙にとんがってるようなところが好きだ。若い頃はきれいな男子ってかんじだったのが、今やすっかりうさんくさい大人になっているのもとってもいい。奥さんがユマ・サーマンというのも妙に納得。 原稿書き、追い込み。途中経過の息抜きにHPを更新する。
「クロワッサン」の最新号を買ってくる。「きれいな日本語」特集。 永井愛さんが阿川佐和子さんと対談している。話し言葉について語る、いろんな人の言葉、それ自体がおもしろかった。 いつもよりも、「口語体」になるよう、意識して構成されているような感も。このところの「日本語ブーム」の中ではやや遅れ気味の特集だけど、なかなか読み出がある。電車の中でのちょうどいい読み物になった。 困ったときにはこんな一言というコーナーで、加藤タキさんと小川洋子さんがアドバイスをしてるんだけど、小川洋子さんの答えてる「台詞」が妙におかしい。今、そんな話しかたする人いないんじゃないかなあという、「書き言葉」なかんじ。当たってくだける系の加藤タキがさわやか。 夜、今週から来週にかけて芝居ラッシュだということに気がついて、あわてて予定を立てる。予約のメールを送ったり、ここは当日でいいやと決めたり。日曜日は亀戸の倉庫の引っ越しだ。雨が降らないことを祈る。
今日も夕方から大雨。駅から雨の中、カサをさしながら自転車に乗って、それでもびしょぬれになって帰宅。 書かなくてはいけない原稿の準備をずっとしている。月末締切やらその前の締切のものなど。書き始めれば早いというのはわかっているのだけれど、準備と称して、資料を読んだり、サイトをあちこちのぞいてみたり。今日はまで一つもしあげられず、明日以降に続く。 母親とふたりでこのところ、「麩菓子」にはまっている。四角くてふかふかしてて、外側が黒砂糖でかりっとしてるあの駄菓子だ。 姪たちのおやつのつもりで母親が近くのスーパーで、一袋20本のパック入りを買ってきたのがはじまり。ここしばらく、集に一度は買ってきては「おいしいねえ」といいながら食べている。 メーカーごとに味が全く違うことも発見した。麩がもっさりしているか、黒砂糖は甘すぎないか、などなど。母親と意見が一致したものは、最初に買ってきた、やや細身のヤツ。外側の黒砂糖は薄いのに、ぱりっとした食感。中の麩は、さくっとしてて、ほんとにいくらでも食べられてしまう。食事の後の甘いモノにちょうどいい。 僕も、スーパーで見かけると、「これはどうだろう?」とおもいながら、買ってきている。子供の頃は駄菓子屋で一本ずつ買ってたから、妙に「大人買い」の気分になれるのもなんとなくうれしい。
2005年05月23日(月) |
フライヤー打ち合わせ |
夕方からものすごい雨。夕立のようなさわやかさではなく、なんとなく寒さを連れてきた、あんまりうれしくない雨。100円ショップで折り畳みカサを買う。薄紫の小さなカサ。ホネは6本きり。100円という金額ともども、とってもかわいらしい。 UZU君と渋谷で打ち合わせ。朝送ってもらったラフの確認と修正のお願い。 オモテはこれでいこうということになり、つづいて裏面の相談。去年のgaku-GAY-kaiのフライヤー、「二人でお茶を TEA FOR TWO」のフライヤーに続いて、今回は三回目。いつもより、余計にたくさんお願いをしてしまっている。 渋谷の打ち合わせは、亜弓ちゃんに教わった、駅前地下のマイアミしかないかしらと思っていたのだけれど、渋地下に「日本茶カフェ」ができていた。雨のせいか人も少な目でしずかな店内。打ち合わせするのにはぴったりな場所だった。
六本木ヒルズに「NINE」ザ・ミュージカルのトークショーを見に行く。ワークショップで知り合った鳥居ひとみさんと井科瑠美さんが出演してる。本番通りの衣裳とメイクでオーヴァーチュアを歌って登場。その後、インタビュー。後半、グイド役の別所哲也さんが登場して、リリアン役の大浦みずきさんとタンゴを踊り、「フォリーベルジェール」をみんなで歌い踊っておしまい。インタビューに誰かが答えるたびに起こる笑い声やざわめきがなんとも華やかで、素敵だった。とてもいい空気感。いいチームなんだなあと思えた。 その後、吉祥寺に向かい、今日オープンした吉祥寺シアターの下見。といっても、誰でも見られるオープンの日に、さらっと見てみただけ。 吉祥寺の北口から5分。こぢんまりとした建物だけれど、ちょうどいい大きさのいいかんじの劇場が中にまるまる入っていた。 ちょっと小振りなシアタートラム、またはミニミニシアターコクーンといったところだろうか。傾斜のきつい客席はどこからも舞台がよく見える。その分、とても見下ろす感じになってしまうのはしかたないか。芝居よりもダンス向きの小屋からもしれない。芝居をするには、きっちり建てこまないと空間が埋まらないだろう。たっぱも高いし。 とりあえず見てみたというところ。キャパが200くらいの劇場が新しくできたのはとってもうれしい。今度は上演しているときに来てみようと思う。 1Fのカフェで遅いランチ。ミヤコちゃんに声をかけられる。誰かに会うかなと思っていたら、やっぱりというかんじ。彼女は秋、ダンスの公演で予約済みなんだそうだ。今みてきた劇場の話をしばらくして、お先に失礼する。 夜、NHKの森光子のドキュメンタリーを見る。「放浪記」の初演から今までの森さんの生き様をたどる番組。 印象に残った言葉。「代役なんて考えられないって思うんですけど、『やったんさい』とも思うんですよ」。菊田一夫と三木のり平という二人の演出家につくられたものの他に、自分で作ったところもたくさんあると話す、女優魂に感動。 その後、今年の「放浪記」を録画しながら、アーカイブスの宇野重吉一座のドキュメンタリーも見てしまう。こちらもものすごい役者魂。終わった後、「放浪記」の最終場に戻って、涙する。
録画していた「タイガー&ドラゴン」。ワークショップで一緒だったキミコさんが出ていてびっくり。薬師丸ひろ子が、確信犯で変な女を演じていた。「オペレッタ狸御殿」でも怪しい役だ。年末のgaku-GAY-kai、今年は「贋作・Wの悲劇」。薬師丸ひろ子、要チェック。
フライヤーデザインをUZU君とやりとり。久し振りに電話で話す。お願いをいっぱい。 台本直しに向き合いながら、眠くて眠くてしかたがない。9時頃から眠ってしまい、夜中に目が覚めて、「ウィル・アンド・グレイス」をまるまる見てしまう。 母親の部屋からミシンの音。何かと思って聞いたら、着られないTシャツ(買ったのにきつかったやつ)で妹のところの犬の服を作っているんだという。 子供の頃はこういうミシンの音をずいぶん聞いた気がしたなあと思ったら、ミシンの音ではなくて、うちが工場をやっていた頃の機械の音だと気がついた。家の前は線路だったし、ほんとにうるさかった。初めて家を出て住んだ代々木の部屋のあまりの静かさでしばらく寝付けなかったことも思い出した。 今のこの部屋の静かさはどうだろう。静かだということにも気がつかないほど、この静かさに慣れてしまったんだなあと思う。 朝方、母親はようやく終わりにして眠ったらしい。つけっぱなしにしがちなTVも消して、何時間ぶりかの静かさをたしかめてみた。
夕方、出演をお願いしていたTEPPENくんからメールが届く。出演してもらえることになった。よかった……。 これで、大きな心配が片づいた。公演中止か、再演じゃなく、キャストが一人少ない新作を書かなきゃいけないかもという覚悟はしないですんだ。 ほっとした気持ちのまま、両国のシアターXへ。1月のワークショップで知り合った有希九美さんが出演しているシーラ・ディレーニーの「蜜の味」を見に行く。両国は夏場所の最中で外国の人がいっぱい。 会場で、あきやんと大野レイくん、扉座の田中さんとばったり会う。シンビアンの菊池隆則さんと扉座の山中たかシさんが出演してる。 ワークショップ仲間のクニオさんとヨーコさんと会う。ユミさんは受付を手伝ってる。 なんだかあいさついっぱいの開演前。 芝居は、今から五十年前にイギリスの18歳の女の子が書いたもの。ちっとも娘を省みない母親とその恋人。黒人の水兵と恋に落ちて妊娠する娘。その友達のゲイの男の子。自分の気持ちをどなりあうことでしか伝えられない不幸な母と娘の物語。 有希九美さんは、娼婦をしている母の色っぽさと娘に対する屈折した思いを抱えたキャラクターがぴったり。 娘役の遠藤久美子はやや怒鳴りがちだけれど、恋に落ちた表情がとってもいい。 男優陣はみんな好演で、みていておもしろかった。 ただ、ジェフというゲイの役は、もっと、わかりやすいゲイキャラじゃないと成立しないんじゃないかと思った。演じている役者さんはとってもいいのだけれど。これは演出の問題だと思う。 リバプールの貧民街が舞台で、主人公はアイリッシュで、黒人の子供を妊娠していて、男友達はゲイ。今から50年前、こんなに八方ふさがりな設定もないと思う。 人種の問題は演技としては見えづらいけど(それでも、山中さんはとってもがんばってた)、ゲイの扱いはもっと深刻でなきゃいけないと思った。当時のイギリスでは同性愛は犯罪だったはずだ。だから、彼が主人公と結婚しようって言い出すのも、そんな切実な背景があるからだし、みんなにすぐばれてしまって、「お嬢ちゃん」って呼ばれるほどのゲイ(どういう言い方だ?)には、とても見えなかった。とっても今時の普通の男の子なんだもの。でも、そのくらい今の男の子って女性的だってことなのかなとも思ったりもした。 書かなきゃいけない台本も(そんなには)抱えてなくて、キャストもようやく決まったところなので、翻訳の古さにもいらいらしないで見ることができた。 ただ、それぞれの場面の終わり方が、もう少しちゃんとしてたらいいのになと思うところがいくつも。もったいないなあと何度も思った。これも演出の問題。 終演後、楽屋で九美さんにごあいさつ。 クニオさんと食事しながらおしゃべり。芝居の話たくさん。
夜中、TEPPENくんと電話で話し、その後、高市氏とも。フライヤーの相談などなど。 朝方、デザイナーのUZUくんから届いていたラフにこれで何度目かの修正のお願いをメールする。
キャストはまだ決まらない、フライヤーのやりとりをしながら、台本の直しをしながら、落ち着かない気分の一日。 夜中、台所に白くて青い目をした3センチほどの小さな蛾が一匹いた。外に逃がしてやろうと思い、コップにとじこめて、ティッシュでふたをした。玄関から外に出たら、脇の壁に同じ蛾が一匹。近くに放してやる。やれやれと台所にもどったら、床にまた同じ蛾が。今、外に出したばかりなのになぜとびっくりする。まさか僕と一緒にもどって来たんじゃないよねと思いながら、同じ手順を繰り返して、玄関へ。ドアの外には、さっきの蛾が一匹、もう一匹は地面におちていた。三匹目の蛾を逃がして、気をつけながら、ドアをしめる。台所にもどったが、もう四匹目はいなかった。
夕方、虹が出た。 台所の窓から見えたので、母親に知らせる。 「あの川の上あたりね」という。なんでと聞いたら、「虹って川の上にできるんでしょ? あれ違うんだっけ」という。「違うと思うよ」と答えたら、「ちょっと見てくる」と外に出ていった。 雨上がりの空にかかる虹の左半分。母親と二人で見る虹なんて久し振りだよなあと思う。
夜、メールと電話をあちこちに。 実は、まだ「Four Seasons 四季」のキャストが一人決まっていない。今年の頭からいろんな方にオファーをしているのだけれど、なかなか決まらない。フライヤーの入稿も間近、来月の頭には顔合わせ、本番は7月の末だ。 きっといいように着地すると信じて、笑っていたのだけれど、さすがにそうもいかなくなった。 夜中、7人目になるその人に出演依頼の電話をかける。返事を待つことに。
2005年05月17日(火) |
「贋作・歌う狸御殿」(仮題) |
テレビのニュースで今年の花粉の量が去年の42倍だと言っていた。なんだ、42倍って。平年に比べると3.8だかなんだそう。去年は極端に少なくて、今年は極端に多かったってことか。とっても納得。
夕刊に大きく載っていた「オペレッタ狸御殿」の広告。予告編をネットで見たら、べたべたさ加減にくらくらした。とっても楽しみな映画だ。 ふと、贋作シリーズでできないかと考える。そして、思いついてしまった。 「贋作・ウエストサイドストーリー」をいつかやりたいとずっと思っていたのだけれど、シリアスになりすぎるよねと、ペンディングしていた。「狸御殿」にすればいいんだと気がつく。 新宿二丁目を舞台にしたドラァグクィーンとノンケの悲恋っていうと悲しすぎるけど、ドラァグクィーン、実は狸ってことにすればいけるんじゃないか。うん、きっとだいじょぶ。 なんてすごい仕掛けなんだろう「狸御殿」って。何でもありにしちゃう、なんてすごい装置だ。 というわけで、来年のgaku-GAY-kaiのだしものは「贋作・歌う狸御殿」(仮題)(どうせ、みんな歌いたいだろうから)にしようと思います。「オペレッタ狸御殿」だけじゃなくて、これまでの「狸御殿シリーズ」もいろいろ見てみよう。
「Four Seasons 四季」の台本の改訂に、このところずっと取り組んでいる。 一度、上演した台本は、読んでいても役者の声が聞こえてくる。 その声がもう聞けなくなるんだなあと思いながら、カットしていく作業はなかなかせつない。 初演の時は、正直、これからも劇団をやっていけるんだろうかという思いがあって、そんな気持ちが今読み返すと、台本全体に漂っている気がする。 再演は、初演のときに、ものすごい勢いで書いて一気に上演してたノリとは違う、きっちり取り組んでいけるだけのものかどうかを確認する作業だ。 多分、シンプルな内容のわりには一番饒舌な「Four Seasons 四季」という芝居の饒舌さをほんの少し削っていっているのだとおもう。 森光子の「放浪記」は初演から3時間以上かかる超大作だったのを、三木のり平の潤色で場面を一つもカットしないまま上演時間が大幅に短くなったんだそうだ。台詞を一つ一つ細かく細かく削っていった結果だという。 今回の改訂は、初演の台本をそんなふうにすっきりさせていく作業だ。大人たちの蔭で微妙に大人しくしすぎていた若い二人を、もう少し前面に持ってくることも目的の一つ。 振り返れば、これからもやっていけるんだろうかという思いは、あのときも今も変わらないことに気づいた。 思いを忘れて、ただのお仕事の芝居にしてしまうのはつまらない。シットコムのオムニバスとして書いたはずのこの舞台に、あの頃の僕が託していた祈りと願いのようなものを、もう一度思いだしたいと思う。
中村玉緒主演の2時間ドラマに、今井和子さんが出演していた。オレオレ詐欺にひっかかりそうになるおばさん役。「浅草シルバースター」とおんなじだとなんだかおかしい。ドラマ自体は、久し振りなかんじのふせえりがどうしようもなくだらしのないキャラクターで登場しているのに注目。ふせえりが殺されてしまったあとはもういいやとリタイア。
朝から日が射したり、雨が降ったりという不思議な天気。東京では雹が降ったらしい。越谷では洗濯物を入れたり出したり、忙しく過ごす。 浅倉卓弥の「四日間の奇跡」を読み終えた。今度映画化されるミステリー、というかメロドラマ。あとがきから先に読むクセがあるので、「先行作品と同じ仕掛け」という話になんだろうか?と考えながら読む。中盤を過ぎて、「ああ、なるほど」と思ってからは、その先行作品と比べてしまいながら読んでしまう。正直もの足りない。その「先行作品」も映画化されているけれど、「その先」の話によっぽど深みがあるんじゃないかと思ってしまう。 「Four Seasons 四季」の台本の改訂を一日だらだらとしている。キャスティングやら、もろもろの連絡やらで、わたわたとではないけれど、落ち着かなく動いている。 母親と、散歩の話になり、うちの猫とは散歩できないという話から、妹のところにいるトイプードルのラムとならどうだろうと聞いてみた。 ラムはちっとも歩かないのだという。おっかながって。家から3分ほどの電器店の前にいるビクターの犬がこわくて、そこから先には進めないのだそうだ。そのくせ、妹のところの一番下の女の子にはやたら威張っているらしい。うちに遊びに来ると、猫との関係は、ほぼ対等なかんじ。逆に、うちのが向うの家に行くと、びくびくおっかながってしまうんだそうだ。 猫の毛の生え替わりはほぼ終わったらしい。ブラシをかけても冬毛が抜けてこなくなった。夜、一緒に寝ることがこの頃多い。僕の右肩あたりに丸くなって寝ているので、頭に猫の横腹のふっくりしたあたりがくっつく。実は、枕の取り合いで、猫としては、僕の頭を押しのけたいらしいのだけれど、その圧力がちょうどよくって、気持ちよくうとうとしている。
夜、急に肉が食べたくなり、今夜は焼肉にしようと思い立つ。スーパーに買い物に行き、母親と二人、ホットプレートで「ホーム焼肉」にするが、微妙に盛り上がらない。 家の焼肉は焼肉じゃないんだという事実に今さらながら気がつく。炭火とホットプレートじゃ全然違う。ていうか、焼けてないし。 こんなだったら、焼肉屋に行けばよかったと後悔するが遅い。 大量に残った肉は、母親がカレーにしようと言う。もう、お任せすることにした。
夜中、NHKで「ウィル&グレイス」の再放送が先週から始まってる。 正直、なんで?という気がしないでもないけど、このゲイが主人公がドラマがまた放送されるのはうれしい。 視聴者からのリクエストがあったんだろうか? 他にちょうどいい海外ドラマがなかったんだろうか? いずれにしても、現場の担当者がこれを推すときのがんばり(きっと、必要だよね、今だって)に感謝したい。どうもありがとう。 ベタベタなコメディなんだけど、僕はけっこう好きだ。ストーリーは、今いちなんだけど、あちらのゲイ事情がかいま見えて、おもしろい。ウィル役のエリック・マコーマックは、なかなかイイ男。さりげないぬぎっぷりもいいかんじ。
2005年05月13日(金) |
「タイガー&ドラゴン」 |
夕方、三茶で三枝嬢と会って、打ち合わせ。近況報告もあれこれ。 話しながら、自分の中でもやもやしてたことが、すっきりしてきたような気がする。 年末のスケジュールをそろそろ考えないといけない時期だ。今年のgaku-GAY-kaiの日程の相談もしてくる。 「タイガー&ドラゴン」。古田新太と清水ミチコが夫婦漫才師として登場。古田新太はこのところ絶好調なんじゃないか。ドツキ漫才の最中にネタか本気かわからなくなる、そのゆれを見せるところが見事だった。清水ミチコはしっとりした芝居を見せるんだけど、ちょっと微妙。でも、健闘してる。しっとり感では銀粉蝶がなんともすばらしい。 今回のネタは「厩火事」。ダイレクトに関わりすぎてて、ちょっと苦しいかんじがした。 それでも、孔子と弟子たちが突然登場する場面に大笑いする。現場を想像すると余計におかしい。 清水ミチコといえば、最近やってるアリコのCMは、ネタとしか思えない。ねらっているのだとしたら、すごいけど、この人のもってるうさんくささが全開。ある意味、すばらしい。
帰りに今日発売の「コミックビーム」を買う。須藤真澄「長い長いさんぽ」の前編が掲載されてる。電車の中で読んで涙ぐんでしまう。 ずっと飼っていた猫「ゆず」を喪ったときのおはなし。死に向き合う、というより、ゆずの死に向き合うことができないでいる自分をこのマンガを描くことでなんとかしようとしている、そのことに心動かされる。「がんばれ!」と声援を送りたい気持ちになった。「ゆず」「ゆずとママ」と幸せいっぱいの猫との日々が、こうして終わったのは、なんともいえず悲しい。それでも、ここまでまっすぐに愛されたゆずという猫は、なんて幸せものだったろうと思う。静かにほほえんでいるゆずの顔を描いている須藤さんの気持ちを考えたら、また泣けてきた。 帰ってきて、うちの猫を抱きしめてみる。
2005年05月11日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 |
本山新之助さんのダンスの授業。去年お9月に続いて二度目だ。 体育館で先生方も僕らも一緒に子ども達を同じダンスを踊る。 校長先生にご挨拶。「関根さんも踊るからいいのよね、一緒に踊って?」とのっけに聞かれる。去年も先生と一緒に、どんどん子どもたちにまじっていって踊ったんだった。「もちろん」と答えて体育館に向かう。 着替えを校長室にわすれてきたことに気がついて、もどったら、他の先生を「踊らない? あ、時間ないか?」とナンパしている校長先生に会う。いいな、とってもいい。 授業はストレッチから始まって、授業時間の2時間分。 新之助さんは助手の女性ダンサー3人と一緒に、子ども達をうまくひっぱっていった。 去年はもっと前半ざわざわしてたよねと思いながら、振付開始。 最初の8カウント×3つは、自由なポーズの3連発。どんなでもいいよという新之助さんに子ども達がいろいろやってみてる。振付ということで萎縮しがちな子供たちが、するっとダンスに入れたような気がする。それにしても、新之助さんのかっこいいこと。 続いて、ボックス。このあたりからどんどん振付ぽくなってくる。足だけじゃなくて、腕も。微妙に遠慮がちに踊ってる子を見付けて、がしがし話しかけていく。 新之助さんは、みんなと同じに踊るってことはちゃんと見なくちゃいけないってことだよと話す。 途中、だんだんざわついてきたのだけれど、関係なくふざけているんじゃなくて、子ども達は最初の3ポーズをいろいろやって遊んでいる。これは去年とは全然違うところだ。関係ない話や遊びをしてないっていうのは、いい集中ができてるってことだから。 8カウント×8の振付が終わって、男子2組、女子1組に分かれて、細かい確認。みんな踊れててびっくり。 最後に全員で踊っておしまい。 去年は、ほんとに死ぬかと思うくらいいっぱいいっぱいだったけど、今日は、これがもう30分続いたらダメかもというくらいの大変さだったかな。 終わった後、田中さんと話す。久し振りにカラダを動かして、子ども達を見るより、自分のことに一生懸命だったかもしれない。必死になって踊る大人たちを見て、子ども達はどう思っただろう。 校長先生とは、最初にストレッチで組んでから、ずっとごぶさた。去年は、一人で踊ってると心細いから、校長先生と一緒にいたのかもしれないなあと思ったりもする。今日は、一人でもだいじょうぶ。子ども達の中に入っていくことができたと思う。 給食をいただきながら、お話いろいろ。新之助さんのダンス歴を聞いてびっくりする。篠原さんが卒業公演に向けての振付をお願いするかもしれないと相談。実現したら素敵だろうな。 これからのことをあれこれ篠原さんと話して、お先に失礼する。朝は雨降りだったのに、きれいに晴れた。着てきてよかったと思ったコートが早くもお荷物になってしまった。
朝からものすごいいい天気。昨日の掃除に続いて、一気に洗濯をしてしまう。猫が寝転がっているせいで、薄汚れてしまったクッションもカバーを洗う。 あるだけの物干しハンガーを使って、干しきってしまう。母親は、そんなにためなくてもと言うのだけれど、しかたない。洗濯機を毎日一回ずつ回すより、まとめて三回回す方が、僕は気持ちがいい。不精者なだけなんだけど。 出がけにゴミを捨てに行く。この頃、カラスが多く飛んでくるようになった。先週、一つ隣の集積所は、きちんとネットをかけているのに、袋を破られて大変なことになっていたそうだ。 うちの猫は、ゴミの日になると集積所の近くでカラスを待ち伏せをしているという。そんなわけで、近所の奥さんたちにけっこう頼りにされているらしい。 今日は、出かける様子もなく、台所で寝ていた。こないだまでうるさかったカラスの声も聞かれないせいだろうか。 駅前のタバコ屋の軒先の巣につばめが帰ってきた。うっかり歌いながら自転車に乗っていたら、小さな虫が口の中に入ってしまった。こうして、春はどんどん夏に近づいていく。
朝、寝坊する。いつも頼りにしている壁の時計が止まっていた。ばたばたと家を出る。 帰り、ブックオフで買い物。嶽本のばらのエッセイと、ミステリー系の文庫本を何冊か、それによしながふみのマンガも買ってしまう。バリバリやおいだよねえと思いながら、「ソルフェージュ」というそのお話にはまってしまう。ヤオイ回帰か? 「西洋骨董洋菓子店」でもそうだけど、この人の描くゲイは、どこか突き放されている気がする。孤独の抱え込み方に説得力があるというか。 夜、芝居が続いて、とんでもないことになっていた部屋の片づけをする。 母親の部屋に置いてあった、僕が子供の頃使っていたライティングデスク。連休前に突然、思い立って、ベッドを捨てて、部屋をすっきり片付けてしまった母親が「捨てようと思う」と言うのを、それならと引き取って、部屋に置いていた。 小学校の一年生の時に買ってもらった机は、学校からもらってきて貼った交通安全のシールもそのままだ。足を怪我した犬が松葉杖をついてるシール。「二人でお茶を」の後、古い机を捨てるというのはかなり思い切らないとできないことになってしまった。 大きな鏡の前に連休中ずっと置いていたのだけれど、鏡をふさぐというのも何かよくない気がしていたので、思い切って、ビデオのラックをふさいでおいてしまうことにした。 今度かたそうと思ってそのままになっていた衣裳やかつらも、せーのと片付けてしまう。 夜中、何件か電話。「Four Seasons 四季」の準備のあれやこれや。わー、大変!と思いながら、どこかでおもしろがっている自分もいる。なんでだろう、どんなことがあっても、きっとうまくいくんだと信じてしまえている。いったい、どうなるんだろうとわくわくしている。
昨日の打ち合わせを踏まえて、台本の改訂に再びとりかかる。 昼間、洗濯をしようと思ったとたんに、曇りだして涼しくなってきた。なんだかなあと思いながら、買い物に出かけて、夕飯の支度をする。鶏肉とレンコンのぴり辛煮、冷や奴とキムチ。シンプルな献立。 思い立って、髪をブリーチする。「二人でお茶を」の後、「浅草シルバースター」に向けて、一気に老け込んでいたので、これから「Four Seasons 四季」に向けて、若返らなくてはと決心。まずは見た目から。これからまたしばらく、怪しい人になる。 猫を連れて、風呂場でブリーチ。連休最後ののんびりとした時間。文庫本を開き、猫を横目にだらだらと湯船につかる。 久し振りの金髪はとっても新鮮。やはり気持ちが軽くなる。この明るさに気分を合わせていかないとと思うことが、きっと大事なんだと思う。
2005年05月07日(土) |
「Four Seasons 四季」打ち合わせ |
夕方から高円寺で打ち合わせ。 その前に、高市氏に「桃太郎」でお寿司をごちそうになる。マミーと三人、カウンターに並んで、小ぶりのしゃりのおいしいお寿司をいただいた。 その後、打ち合わせ。7月の「Four Seasons 四季」のこと。改訂案の相談。スケジュールの確認等々、今やって置かなくてはいけないことを盛りだくさん話してくる。「浅草シルバースター」の感想も。 帰り際に外から救急車のサイレン。ランドクルーザーと原付バイクがぶつかって、バイクが大破していた。帰りに見たら、担架に横になった人に手当をしているところ。車の運転手が逆切れして、自分の車を蹴飛ばしていた。 明日は母の日。駅前の花屋が遅くまで開いている。何か買っていこうかと思ったのだけれど、どれも大きな鉢ばかりで、しかもとってもいいお値段だったので、財布と相談した結果、パス。
2005年05月06日(金) |
「タイガー&ドラゴン」 |
雨模様の天気がうっとおしい。 帰りに北千住でパンを買って帰ろうと思い、途中下車。そんなに買い物したわけでもないのに、大荷物になってしまう。しかも重たい。パンなのに。 家に着いたら、大雨になる。夕飯の支度をどうしようかという母親に、ケータリングで何か頼もうと提案。相談の結果。最近出来た天丼の店にする。30分後、若いバイトの男子が持ってきた海鮮天丼は、それなりにおいしかったけれど、これだったら、いつものところでもよかったねえと母親がいう。うん、たしかに。それでも、母親と二人で店屋物を食べるというのはひさしぶり。ちょっとイベントっぽくてよかった。 夜「タイガー・アンド・ドラゴン」を見る。今日は「権介提灯」。毎回、落語の外題をタイトルにうまく、劇中に折り込んでいる設定が見事だ。 長瀬智也の高座での話しぶりはかなり微妙なのだけれども、設定がそこまでふまえてアリにしているのがおもしろい。 きちんとしんみりさせる部分は落語の世話の成分にまかせて、あとは今いちばん旬な会話がぽんぽんはずんでいる。 大人と子供の世代が一緒に描かれるとき、どちらから見たものという視点が感じられることが多いのだけれど、このドラマは、大人も子供も、世代を越えて、みんな一緒になって、わたわたしている。その「公平」な視点が新鮮だ。この視点が宮藤宮九郎ならではだなあと思う。
2005年05月05日(木) |
「とんで わらって とまどって 2」 |
連休も今日で一段落の日。夜、教育テレビで富士見丘小学校の授業の記録「とんで わらって とまどって 2」が放映された。 以前放送されたものの続きなのだけれど、若干、さかのぼって、重複しているところもあるようなかんじ。 11月の学習発表会の準備と子ども達の変化が中心にとらえられている。2月の「6年生を送る会」はさらっと紹介。授業とは違う、教室での子ども達の素顔が見れたのが、うれしかった。みんな、今頃、どうしてるだろうかとなつかしい。 子ども達と正直に向き合ってる大人達の姿、青井陽治さん、谷川俊太郎さん、渡辺えり子さん、吉田日出子さんにも感動する。
2005年05月04日(水) |
リトル・ステップ・ファクトリー「リトル」 |
静岡市民文化会館まで青井陽治さん構成・演出のリトル・ステップ・ファクトリー公演「リトル」を見に行く。 行きは、たらたらと東海道線の各駅停車。車窓から見える海がきらきらときれいだった。熱海で乗り換えて、静岡まで。後半の車内は、いまいち普通の景色が続くので、原稿に向かうことにする。 静岡駅で篠原さん、田中さん、宮校長先生、曽我部副校長先生、平田さん親子と合流。曽我部さんの車で会館まで。 静岡の市内は十数年ぶり。すっごい昔にドライブで来たことはあるんだけど、こんなきれいな壕のある街だとは知らなかった。 会館の前で青井さんにご挨拶して、いざ、開演。 青井さんのワークショップに参加していた女優さんが、リタイアして始めたという「リトル・ステップ・ファクトリー」。今回は、10周年記念公演。音楽は西野誠さん、振付は本山新之助さん。お二方には富士見丘小学校でとってもお世話になった。 お話は、10周年記念公演に向けての稽古をしている「彼ら自身」のある一日の物語。 3歳から18歳までの子供たちが、自分のことを語り、歌っていく。 前半は、やや「リトルステップファクトリー」って素晴らしい!という場面が多くて、彼ら自身のドラマに入っていかないもどかしさがあったのだけれど、休憩後の2幕は、俄然、なまなましい言葉が立ち上がってきてわくわくする。 対立の構造を基本的にもたない、フラットな人間関係の中、このドラマを成立させているのは、ひとつには、彼ら自身が、自分自身を向き合うというある意味の闘いのありようがリアルだからだ。語られ、歌われる、その言葉の向うにどれだけのものがあるかということを容易に想像させる彼らのたたずまいは、それ自体、とっても見応えのあるものだった。 それともう一つは、彼らのダンスの持つ力。マスで踊るナンバーもソロも、きっちりとつくりあげられていることに感動する。 この二つがあって、初めて成立する舞台だったと思う。 60名を超えるキャストの中、男子は10名に満たない。後半、特に彼らがドラマを動かしていくようになると、手に汗を握って、応援してしまう。田中さんも、男子が出てくるだけでがんばれって気になると言っていた。 途中からどうしても目がいってしかたなかった男子が一名。「23」と大きく書かれたタンクトップを着た、今泉太一くん。なんて躍動感のあるダンスなんだろう。振りの一つ一つの加速度が見ていて、とってもスリリング。彼はまだ16歳。どんな、大人になっていくんだろうかとっても楽しみだ。 終演後、楽屋で青井さん、西野さんとご挨拶。みんなでお寿司やさんへというお誘いをごめんなさいして、僕は、やっぱりお先に失礼することに。みんなは、青井さんおすすめの宿で一泊するとのこと。 帰りは新幹線。連休で混んでるかと思いきや、がらがらの自由席。のんびりと、そしてあっという間に東京着。
連休のまっただ中。弟たちが遊びに来るという話を、朝っぱら、一階から大声で母親に告げられたのだけれど、なぜだか爆睡してしまい。起きた頃には、もう午後もいい時間に。 弟や甥っ子姪っ子たちは、妹たちと一緒に近くに買い物に行ってしまったらしい。留守番に徹する。 たらたらと起きて、新聞を読んだり、昼食を作って食べたり、だらだらとした連休の一日だ。 夜、帰っていく弟にようやく会う。正月に会って以来だけれど、なんだか太ったんじゃない?と話す。ようやく会って、一言目がこれはよくなかったなあと後で反省。 「離婚弁護士2」を見る。 葛山信吾と小池栄子が登場。借金取りから逃れるために「偽装離婚」を承知して、離婚届にも判を押したのに、2年後、夫は別の女と結婚していたという話。よくもまあ、おもしろい話を見付けてくるもんだと思う。 今回は、佐々木蔵之介の私生活もところどころ描かれる。メインのお話にくらべてややモノ足りない気がしないでもない。それよりも、前シリーズではかなり大きかった玉山鉄二はどうしたんだ? ただのにぎやかし系いい男でしかなくなっている。そういえば、天海祐希の元彼、「頼む別れてくれ!」と言って、イギリスに行ってしまった男が、佐藤隆大っていうのはどうなんだろう? 佐藤隆大への思いをひきずる天海祐希ってありなんだろうか? ありそうもないからこそありっていうのが、このドラマの理屈なのかもしれない。
そんなに飲んで帰ってきたわけでもないのに、思いっきり寝てしまう。 カラダがあちこち痛いのは、昨日のバラシのせいだろうか。 すっかり遅くなってから出かける。 たまっていた原稿にとりかかり、ここ何日かの日記を思い出しながら書いてみる。 「Four Seasons 四季」の改訂の続き。まずは細かくカットしていこうと思う。読みながら整理していくうちに、何を基準にしているのかわからなくなる瞬間があって、ひやっとする。 まだ、頭が切り替わっていないのかもしれない。いっぱいいっぱいな気持ちでやる作業ではないと思い直して、今日はここまで。
2005年05月01日(日) |
「浅草シルバースター」千穐楽 |
千穐楽の舞台。桟敷席までいっぱいの客席。楽だからという特別なことは何もないまま、無事終了。3場の小豆畑くんのネタは、マイケルになったのだけれど、微妙に焦ってしまって今ひとつなウケ方。僕は、最初何がなんだかわからず真剣に「何だ?」と思ってしまった。ライブ感いっぱい。 終演後、見に来てくれたなべちゃん、さやかちゃん、松丸さん、のぐや勉ちゃんたちにごあいさつ。すぐに楽屋を片付けて、バラシに入る。のぐが仕込みに続いて、手伝ってくれている。 外波山さんから借りたズボンをいただいてしまう。高木さんからのジャケットも。感謝だ。 今回、仕込みの初日はお休みさせてもらっていたので、バラシていきながら、こんなふうにできていたんだという発見がいっぱい。ほんとに大がかりにつくられた舞台と客席だったんだと感動。途中、ややへばりながら、原口さんに言われて、一足先に打ち上げ会場にいる先輩の役者さん方のところへ、竹内さんと二人で合流。 9時を大きく回って、ようやく全員集合。乾杯して、楽しくおしゃべりする。今井さんの挨拶が感動的だった。竹内さんと二人、「お父さんとお母さんは仲好しねえ」と言われながら、今回の座組がどれだけ楽しく、気持ちいいものだったかをお話しする。開演前の楽屋はほんとに笑いが絶えなかった。その後、バラシを手伝ってくれた養成所卒業生の角くんと熱く語ってしまったりもする。 今回の動員数が千人を超えたそうだ。梨紗ちゃん、原口さんから、大入り袋をいただく。 早い休日の終電には間に合わないので、もう朝までだなとあきらめかけていたら、越谷在住のショウジくんが帰るという。まだ終電があるそうだ。本郷さん、竹内さんと握手をして、わたわたと店を出る。 代々木公園の駅で、歌澤さんとガールズたちに会い、一緒に電車に乗る。歌澤さんから、ほぼ毎日かよっているジムでのエクササイズの話を聞く。エアロビクスと水泳。バタフライもできるそうだ。なんてすごいんだろう。 歌澤さんと別れたあと、ショウジくんと話す。高校時代の舞台の話。彼にとってはついこのあいだ。僕にとっては昔々の話。 北越谷止まりの最終だったので、タクシーで帰る。雨振りだったので、大荷物をかかえた身にはかえってよかったかもしれない。母親はもう寝ていて、猫としばらく遊んでから部屋に上がる。ベッドに横になり、大きくのびをして、終わったなあとしみじみする。
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