せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2002年09月30日(月) |
「モンスターズインク」 |
ツタヤにビデオを探しに行ったのだけれど、貸し出し中。 探してたのは、ディートリッヒの「情婦」。 麻実れい主演で今公演中の「検察側の証人」(アガサ・クリスティ原作)の映画化作品。 どうしようかなと思いながら、新作のコーナーの「モンスターズインク」を借りてしまう。 「キッズビデオ」ということで2泊3日で200円。 映画館で見たのだけれど、今回は日本語吹き替え版。 ホンジャマカの石塚英彦と爆笑問題の田中裕二が主人公の声をやっている。 「どんなもんかしら?」というくらいの軽い気持ちで見てみたら、これがとってもよかった。 二人ともとってもいい。 何よりも、この「モンスターズインク」という映画は、字幕を追うより何より、映像(=CG)の見事さを堪能するに限るんだということがよくわかった。 映画館では、当たり前のように見てしまった、細かいディテールがそれはそれは丁寧に作られているのだということがわかって、感動した。 主人公サリーの毛の動きとか、光の移動に伴う影のゆらぎ方とか。 オリジナルのビリー・クリスタルももちろんいいんだけど、こっちの吹き替え版の方が、より本来のおもしろさを堪能できるんじゃないかと思う。 ビデオの始めに入ってる「予告編」が延々と15分間もあって、びっくり。 「美女と野獣」のスペシャルバージョン(?)はやっぱり見てしまうんだろうな。
2002年09月28日(土) |
マクドナルド 「HAPPY END」稽古 「修羅の旅して」 |
昼間、マクドナルドの本社で、お店のスタッフのミーティングに参加。 というか、「アイコンタクト」について、レクチャーをしてくる。 今年の3月にも一度行って、そのときは「スマイル」について話してきた。 古い友人の浅野くんが今、マクドナルドにつとめている関係で呼ばれている。 レクチャーといっても、たいしたことはない。 50人ほどの若い人たち(!)を相手に、コミュニケーションのノウハウとして、アイコンタクトについて話す。 途中から、実践をしてもらうことに。 フライングステージのトレーニングでやっている、拍手を回すゲームのバリエーションの「数を数えるゲーム」を、1つのテーブルの6人ほどのチームでやってもらう。1から10まで、相手を指さしながら。 次に、指をささないで、ただ、声とアイコンタクトのみでやってもらう。 最後には、カウントする声もなくして、ただ、アイコンタクトのみで。 1から10まで数えてもらったのを、「どこまでいけるか?」というのをチーム対抗で。 10ごとに声を出していいというルールでなかなか盛り上がる。 普段はなかなか意識しないアイコンタクト。 日本では、目を見て話すということが失礼だというふうにずっと思われていたという話や、それでも、コミュニケーションのためには、非常に大事なものだということ、バレーボールやバスケットのパスのときは、必ず相手を見るよね、だから、言葉をやりとりするときにもちゃんとアイコンタクトをしてみようなどという、僕の話を、参加した若い彼らは一生懸命聞いてくれてた。 僕のコーナーは、今日のミーティングの中の最後のパートだったんだけど、その前と後で彼らの顔がとってもいきいきと変わってきたのが、印象的で、うれしかったな。
7時から稽古。 今日もトレーニング中心。 基礎トレの後、2人組でマッサージと粘土のエチュード。 まっすぐに立ったまま動けない「粘土」役を、もう一人が動かして、床に寝かせる。 で、今度は、もう一度立ち上がらせる。 粘土役は、相手の「したいと思うこと」を受け入れて、そのまんま動く。 もちろん動かす方も、無理な動きは作れないから、粘土役の気持ち(?)を考え、受け入れながら動かしていく。 言葉はいっさい使わない、このエチュードは、ほんとにひさしぶりに、人とふれあってるような気にさせてくれる。まあ、実際そうなんだけどね(笑)。 僕の相手は、まっすー。 このチームは、初めてだよねなどとおしゃべりをしながら、やってみる。 そういえば、まっすーは、最近パソコンを買ったのだそう。 インターネットの接続がうまくいかなくて、苦労しているみたい。 最後に、いつもの「お話聞かせて」のアレンジ版。「今日起きたら……」というのをやってみる。 みんなで、一人の主人公の一日を語り継いでいく。 話が進んでいるのか、進まないでふくらんでいるのかを意識しながら、やってみようと話す。 一番の課題は、前の人が作った設定を絶対に否定しないこと。 今日は、いつの間にか、一日の中に、郡司君が登場してきて、ドラマチックな物語が妙にリアルになっておもしろかった。 終わってから、説明が足りなかったことがなかったかどうか等々、振り返ってみる。 その場その場の自分のパートだけじゃなくて、全体を見る視点が必要なんだね。
夜中、NHKでやってたドラマ「修羅の旅して」を見てしまう。 早坂暁シナリオで、岸恵子主演。 今から24年前のドラマ。 とんでもなくよかった。 戦後(といっても60年代)GIに強姦されてしまった主人公(岸恵子)が、16年ぶりに、結婚相手(岸辺一徳)と、青森の実家に帰ってくるお話。 やっぱり岸恵子はいいわ。 主人公は、周囲の反対を押し切って、裁判を起こして、夫とも離婚(結婚してたのね)、裁判の途中に妊娠してることがわかって、「誰の子かわからないまま」出産。 子供は、夫の子供だったんだけど、その子を自分の実家でひきとってもらって、自分は一人で生きていくうちに、自分を強姦したGI(黒人)と結婚して渡米する。でも、その相手もベトナム戦争で死んでしまって……という、もうむちゃくちゃ波乱万丈なストーリー。 それが、岸恵子という人の生き方、「自分を曲げない」というか、いつも自分っていうものがちゃんとある強さと重なって、それはそれは見事だった。 テレビドラマでは一番好きと、彼女自身もインタビューで語ってたけど、ほんとにそう思う。 見事なドラマだった。
活字がとっても恋しくて、手当たり次第に本を読んでいる。 ついこの間までは、何を見ても、文字が目に入ってこなかった。 移動の間や、夜寝る前に本を開くのは、ほんとに久し振りだ。 ここ数日で読んだのは、大笹吉雄「女優・杉村春子」、白洲正子「お能/老木の花」、幸田文「流れる」、藤沢周平「橋ものがたり」。 って並べてみたら、あまり「手当たり次第」ってかんじじゃないですね。 かなり偏ってる気が……。 白洲正子と幸田文の文章は、僕にとっての「リハビリ」だ。 すっきりとした文体が、何かを洗い流してくれるような気がする。 もっと重症で追い詰まってるときには、「樋口一葉」が有効だったりする。 白洲正子も幸田文も樋口一葉も、みんな現代の文章の簡潔さと文法的なきちんとしたかんじとは、ある種遠い文体の持ち主だ。 「文体」というよりは、「語り口」の自由闊達さが僕をいやしてくれるのかもしれない。 成瀬巳喜男の「流れる」を見ようと思ってツタヤに行ったのだけれど、見つからない。 こんなふうに「次から次に」興味がつながっていくのも、久し振り。
このところ急に秋めいてきたせいか、ずっと風邪気味でいる。 微熱が続くし、頭痛はするし、一番つらいのは、のどの痛みだ。 こないだの稽古も、僕の体調を理由に、発声練習をなしにしてもらった。 扁桃腺というか、のどの奥の方がずっと痛い。それがだんだん上の方にあがってきて、のどの入り口のあたりまで。 「ここをさわると『オエーッ』ってなるあたり」がはれてるみたいで、咳き込むほどに、戻しそうになって、涙目になってしまう。 今日の夜もそんなこんなでトイレに何度も駆け込む。 何か食べても吐きそうになる、かなりトホホなかんじ。 水を飲んでも改善しないので、結局、ずーっとのど飴をなめて、なだめてる。 パレードが終わってすぐ、ものすごいいきおいで(?)声が枯れてしまったのだけれど、またそれが戻ってきたようなかんじだ。 さすがに、今度はしゃべれないほどではないけれど、おそるおそるしゃべるかんじが、妙に「自閉感」をつのらせてるかもしれない。
2002年09月25日(水) |
「HAPPY END」稽古 |
ほんとにひさしぶりの稽古。 8月に「贋作・犬神家の一族」をやってるわけなんだけど、「あれって、あんまり稽古した記憶がないよね」とみんなで話す。たしかに、みんなそろった稽古は2回くらいしかなかった。ただただ慌ただしく本番をやった記憶だけがある。 今日は「ハッピーエンド」の稽古というよりも、久し振りのトレーニング。 9時までの稽古場なので、いつものようにおしゃべりしながら、ストレッチとシアターゲームを。 ほんとに簡単なウォーミングアップをして、今日はおしまい。 帰りに、ますだいっこうちゃんが高円寺に寄って、高市氏と製作のうち合わせをしていく。 パレードが終わって、なかなか気持ちが「芝居モード」に切り替わっていかないかんじ。 でも、どんどん稽古は始まっていく。 西野さん原案の台本もさくさく書いていかないと。 目下、オリジナルのストーリーとプロットをどうカットするか(全部やると2時間半くらいかかりそうなので)、それと、芝居全体の構成というか「しかけ」をどうしようか検討中。 物語のラストがどこにたどりつくのかはもうわかっているので(ありがとう、西野さん!!)、僕の仕事はそれをどうやって「芝居」にしていくかということだ。 いつもは、まず芝居全体のしかけ(枠組み)を考えるのが、一番最初の仕事なので、今回はなかなか新鮮な芝居の作り方なかんじだ。 どうなるか、とっても楽しみ。
2002年09月21日(土) |
「HAPPY END」顔合わせ |
約3ヶ月ぶりの日記です。 これから、きちんと書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。 今日は、11月の「HAPPY END」の顔合わせ。 「LOOP」公演中のますだいっこうちゃんをのぞく全員が集合。 フライヤーの印刷も間に合ってなくて、とりあえず「集まった」といったところ。 制作からあれこれと説明があって、簡単にお開き。 今回の公演、パレードのガイドブックの広告でお知らせしてた日程より一週間早くなってます。別に予定が変わったというわけではなくて、単純に制作が勘違いをしてたということで…… 正しくは、11月13日(水)〜17日(日)の5日間、7ステージです。 会場は、シアターVアカサカ。 劇場費が、いつもより「お高い」ので、今回だけ、ペアチケットの金額を500円アップの5500円にしました。どうぞご了承下さいね。 台本は、今日は、何も……。 西野浩司さんの原案というか、シノプシスはもうとっくにいただいているのだけれど、どんな芝居にしたらいいかをあれこれ考えているところ。 お開きになった後、TVでやってる「黒い十人の女」を見るともなく見てしまう。 オリジナルがほんとに大好きな僕としては、「何これ?」ってかんじ。 とってもはんぱなリメイクでしたね。 小林薫はなかなかはまってたけれども。 モノクロの画面がほとんど同じアングルでカラーになってるんだけど、もう全然違う。 女優さんたちは、山本富士子や岸恵子の方が、浅野ゆう子や鈴木京香よりきれいとか、芝居がイカすとかいう以前に、「女優」としての「いかた」がもうてんでお話にならない。 オリジナルがとってもまた見たくなった。
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