2007年02月20日(火) |
ありがとう ちょんちゃん2 |
お通夜と告別式は親族で・・・ということを聞いたので遠慮することにした。 週末は色んな予定が入っていた。 忙しくしてる方が悲しい気持ちを忘れられた。
金曜日は、長女の高校進学の説明会。お昼前に家をでて、銀行で学費の払い込みをして、ちょんちゃんにお供えするお花の手配をした。 一緒にお見舞いに行ったSちゃんとMちゃんと3人でお花をお供えすることにして手配をしてたのだけど、途中のメールのやりとりから病室で会ったちょんちゃんの古くからの友人のEちゃんも一緒にお供えすることにした。 ちょんちゃんがつないでくれたご縁を大切にしようと思った。
いつも、用事を済ます時は、行動する前に考えて効率よく回るのに、この日はまるで考えられなかった。 同じところをぐるぐるまわったり、エレベーターを降りる階を間違えたり・・・
そして日曜日の夜にちょんちゃんのご主人ブログにちょんちゃんの最後のメッセージをアップしてくれた。 それを読んで、もうちょんちゃんには会えないんだ。と悲しい気持ちになって過呼吸になるほど泣いた。 月曜日はなんの予定もなくて一日泣いてベッドで寝て過ごした。 夕方、Sちゃんが電話をくれた。 「今日はね。夜までいっぱい泣いていいんだよ。」Sちゃんが言ってくれた。 Sちゃんと話していて、ふとちょんちゃんと話してるような気がして、思わずちょんちゃん。と言ってしまった。 そっかぁ。ちょんちゃんはSちゃんの中にもいるんだ。
空をみあげると優しい光のなかにも ふんわりと暖かい風の中にも ほんわか空に浮いてる雲の中にもちょんちゃんはいる。
昨日の夜中にあたしは、大好きなのにうまくいかない友人や家族のことを思って過呼吸になり動けなくなった。 ちゃんと克服しないといつかもっとひどい過呼吸になったらどうしよう。不安な気持ちのまま眠りについた。
朝起きて、山の中をウォーキングしてて、あたしはちょんちゃんに話しかけてみた。
「ねぇちょんちゃん。あたしね。仲直りしたい人がいるんだよ。 人とお別れするのはしょうがないと思ってたけど、お別れはとっても悲しいことだね。 今まで自分に無理をしちゃいけないかなぁって思ったけど、ちょんちゃんが言ってくれた通り、自分を大事に 自分の気持ちを大事にしようと思うんだ。 相手が拒絶するのはしょうがないけど、あたしが自分から縁を切ってはいけないね。 たとえその人と関わることで、あたしがまた、傷つくことがあるかもしれない。つらい思いをすることがあるかもしれない。 でも、お別れするつらさに比べたらそんなことは、たいしたことではないね。」
すぅーっと風が吹いて、芽吹こうとしてる細い枝をさやさやと揺らした。 うんうん。って返事をするように、木の上の方できつつきがコツコツコツと幹をたたいてた。
2007年02月19日(月) |
ありがとう ちょんちゃん |
ブログのお友達が2月15日にお星様になった。
どこに書こうと思ったけど、ありのままの気持ちを書きたいからここに書こうと思った。
彼女と知り合ったのは、去年の1月。 何気なしに見た彼女のブログのハムマヨロールの写真にあたしは釘付けになった。 彼女のブログを見に行くのも彼女からのコメントもとっても楽しみだった。
大好きな画家のマグリットの国で、いつかは必ず行きたいと思ってるベルギーにちょんちゃんは住んでいた。
ちょんちゃんの写真も文章もとても素敵で 私はちょんちゃんをスルーしてみる空が大好きだった。
私よりも10歳年下のちょんちゃんは、娘のような妹のような姉のような存在で、あたしはちょんちゃんが大好きで、 いつかは絶対にベルギーの街を案内してもらおうと思ってた。
去年の桜の咲くころからちょんちゃんは体調が悪くなり、夏になって日本に帰国することになった。
彼女は胃癌だった。 肩に痛みと腫れがあり、病気とわかった時には、卵巣とリンパ節に転移していた。半年前にバリウムを飲んだ時はなんともなかったそうだ。
電話で話したちょんちゃんの声は、きれいな鈴がふるっふるって鳴るようにとてもクリアで可愛いかった。
ちょんちゃんの実家の雪国に会いに行きたいと何度も思ったけど、 ネットでの友達関係にリアルでどこまで立ち入っていいのかあたしは躊躇してた。
今まで人と知り合って、大好きになってずーっと友達でいたい。と思っているのにお別れすることがあたしは多かった。 ちょんちゃんの事はずっと友達でいたいから、ずっと仲良しでいたいから ある程度の距離をおいた関係でいる方がいいと思ってた。
夏から秋、冬にかけて気持ち的に色んなことがあったり、娘の受験のこともあり私自身まったく気持ちに余裕がなくていっぱいいっぱいだった。 でも、ちょんちゃんの事は毎日祈っていた。
ちょんちゃんの病気が治りますように
ちょんちゃんの痛みがなくなりますように
ちょんちゃんが今日一日穏やかに過ごせますように
ちょんちゃんがぐっすり眠れますように
あたしに不思議な力があればいいのにと何度も思った。 祈るしかできない自分の無力さを情けないと思った。
1月に入って、ブログの内容を見てもしんどそうだなぁ。と メールの返事もこなくなった。
ちょうど娘の試験が始まって、娘の合格がでて入試が終わった頃、 同じブログ仲間からメールがきた。
ちょんちゃんは、いつどうなってもおかしくない状態で、彼女は明日、お見舞いに行くと パパと娘が気持ちよく了解してくれたので、私も行こうと決めた。
ちょんちゃんの住む町は、思ってたよりも近かった。
ちょんちゃんは指が長くてとてもきれいな手をしていた。 この美しい手でパンをこねて、あの美味しそうなデブ菓子(ちょんちゃんが作るバターがたっぷりのスィーツを彼女はこう呼んでた)を作るんだ。
「ちょっと待っててね。今ね。寝返りをしてるところなの。」
腹水がたまってて動くのも呼吸をするのもとっても苦しそうだった。 でも、声はいつものちょんちゃんの優しい声だった。
「やっと会えたね〜」彼女は私の手を握ってそう言ってくれた。 そっかぁ。ちょんちゃんもあたしに会いたいって思っててくれたんだ。 あれこれ考えずにもっと早く会いにこればよかった。とあたしは思った。
ちょんちゃんにお土産を2つ持っていった。 一つは2日前に私の手元に届いた水晶のピラミッド。 毎週、遠隔ディクシャを行ってくれる方から譲っていただいたもので、 私も娘たちもとっても気に入ってた。 気に入ってて大事にしてるものだからこそ、ちょんちゃんのところに届けたかった。 もう一つは自分用に買ったAlex&Michelleのチョコレート。 ちょんちゃんにこう言って渡した。 「これは、バレンタインにちょんちゃんがご主人にあげるためのチョコだから、ちょんちゃんが食べてはだめだよ〜。」
「旦那、聞いてる?」
「聞いてるよ〜」ちょんちゃんのご主人が答えると
「しまった。あたしのものにできないや。」
病気になっても心は前向きで、冗談を言ってみんなを和ませてくれたちょんちゃん。
ずっと病室にいるのもちょんちゃんが疲れるかもと 関西からお見舞いにきてたSちゃんとMちゃんと一緒にお昼ご飯を食べに外にでた。
「スタバもあるよ〜」とちょんちゃんが教えてくれた通り、ちょんちゃんの街にはスタバがあった。ふと目にとまったおそばやさん。 ここのおそばは美味しいとちょんちゃんが送ってくれたことがあったっけ。 お昼の時間を過ぎたおそばやさんは私たち3人ともう一組くらいしかお客さんはいなかった。 オーダーして待ってるとちょんちゃんの旦那さんが入ってきた。 私は、春野菜のてんぷらとおそばのセットを頼んだ。 たらの芽やふきのとうの天ぷらはかりっとあがっていて、海草がねりこんであるおそばもコシがあってとても美味しかった。
4人でちょんちゃんの話しをたくさんした。 ランチタイムを過ぎた3時頃なのに気がつくとお店は満席になってた。 ちょんちゃんの人をひきつける力がここにもあるのかもって思った。
ご主人の話しを聞いていてちょんちゃんはたくさん愛されてるんだなって思った。 ご主人は 「がんばってるから頑張れって言葉は言わない。身体は病気になっても・・・でも、誰もがいつかは身体は病気になったり老いていくものだから 気持ちだけは病気に負けないようにって言ってる。 気持ちが負けたら今度生まれ変わった時に病気に負けてしまうから」
病院に戻った。 ちょんちゃんはすごく頑張ってカリスマ店長と呼ばれてた時代のあったこと とか色々とおしゃべりしてくれた。
いつも思ってた。あたしはちょんちゃんに何をしてあげれるの? 目の前のちょんちゃんの足をお母さんやEちゃんがしてるようにむくまないようにさすったりもんだりした。 あたしができることはそれだけだった。
帰らなければ行けない時間がきた。 ちょんちゃんはあたしにこう言ってくれた。 「よもぎさんは、いつもいつも自分のことを後回しにして人の事を考えてあげてるけど、自分のことを自分の気持ちを大事にしてね。」 あーちょんちゃん、あたしはちょんちゃんが思ってるような優しい人間ではないのよ。 自分のことしか考えてないから自分の気持ちを優先して考えちゃうから、 誰かのためにって思うのはすごい自分の中で頑張ってのことだから ストレスがたまったり凹んでしまうのよ。 ちょんちゃんみたいにきれいな気持ちではないのよ。
「思ってた通りの可愛い人だ・・・」ちょんちゃんはあたしの手を握ってこう言ってくれた。 あたしもまったく同じことを思ったのだけど、私は泣くのをこらえるのに一生懸命で何も言えなかった。 ただただ ちょんちゃんの手を握って目をみて 「ありがとう。」って言うのが精一杯だった。
ちょんちゃんに出逢えて嬉しかったよ。 ちょんちゃんにいつも励まされたよ。 ブログを見るの楽しみだったよ。
伝えたい言葉はたくさんあったけど、あたしの中にあるちょんちゃんへの想いを全部伝えるのってもう永遠にお別れしちゃうみたいで、できなかった。
ちょんちゃんの病室には天使がいっぱいいた。 そして、その中の一番大きな天使がちょんちゃん自身だった。
ちょんちゃんに残されてる時間はもうあまりなくて、もう会えないかもってあたしはわかってたけど、それをあたしは認めたくなかった。 ちょんちゃんの温かい手をずっと握っていたかったけど
「また、会いにくるからね。」
そう言ってお別れした。 バイバイもさよならも言いたくなかった。
廊下にでたらおかあさんが目に涙をいっぱいためて見送って下さった。
それから3日後の夕方、ちょんちゃんのご主人から電話があった。 最初は、ちょんちゃんがあたしと話しをしたいからご主人が電話をしてきたかと思った。 それなのに・・・・それなのに・・・
「残念ながら・・・今朝・・・」
いっぱい泣いた。 子供の時に叱られて、泣きやめれなかったように、泣きじゃっくりがでてあたしは小さな子供のようにわーんわーんと泣いた。
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