金色の夢を、ずっと見てる

2005年11月30日(水) 恋愛遍歴(後書き・・・のようなもの))

結局、足掛け7回にも渡ってしまった『恋愛遍歴』シリーズ。毎回お付き合い頂いた読者さま、ありがとうございました。最後に、ちょっと補足をして終りにしたいと思います。


まず、最後に登場した『山下さん』。不倫の彼と別れるきっかけを与えてくれた彼は・・・・・お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、次郎君の事です。今の私の旦那さま。

最初はお互いに
「いい感じだから付き合ってみたい」
というなんとも気軽な感じで始まった私達ですが(もっとも、私にとってはそれが不倫を断ち切るきっかけになったわけですから、決して軽い決断ではありませんでしたが)、なんだかんだとありつつも順調に続き、交際4年目にはなんと結婚にまで至りました。自分が一番驚きました(笑)


ちなみに、もちろん次郎君は『自分の前の彼氏が妻子持ちだった』なんて事は知りません。この事実だけは墓場まで持って行くつもりです。


付き合ってる人がいると知りながらアプローチしてくれた次郎君に、本当に感謝しています。あの事がなかったら、私はいつまでも直行さんとの関係を断ち切る事ができず、いつかはもっと辛い思いをするはめになっていた事でしょう。



付き合い始めてみた次郎君は意外と放任主義というか(苦笑)忙しくてなかなか会えないしメールしても返事は来ないし電話も週に1回ぐらいだし、と結構寂しい思いもさせられました。それを考えると、最初の頃はあれで意外と頑張ってくれてたんだなーと。時々だったけどメールに返事をくれたり、電話も最初の内は週に2〜3回はかかってきてましたしね。バイトの後の深夜ドライブなんて、私は休前日だったからよかったけど、次郎君は曜日なんて関係ない仕事です。翌日朝から仕事なのに、午前1時にバイトが終わってから私のために時間を割いてくれてたわけですよ。

今になって思えば、彼なりに私の気を引こうと一生懸命だったのかな、とも思えてなんか微笑ましいです(笑)



一方、登場してない人も何人かいます。村木さんと直行さん、2人の人と立て続けに不倫していた約2年の間に、他にもいくつか出会いと呼べるものもありました。職場の人の紹介だったり友達が誘ってくれたコンパだったり。

でもどれも、何回か2人でデートみたいな事もしてみたけどお互いそれ以上の気持ちになれなかった・・・とか、私はかなり好意を持ったんだけど相手がその気になってくれなかった・・・など、なかなかうまくは行かず。『恋愛』と言えるまでに育たなかったいくつかの出来事は省きました。

書いても良かったんだけど、そうすると村木さん・直行さんとの話しの中に違う人のエピソードが割り込む形になるので、読む方が混乱するかなぁと思いまして。



今では、自分が付き合ってきた人達の中でその後の消息が判る人は1人もいません。ただ後日談として、高校時代に1ヶ月だけ付き合った人は、その2年後に友達が偶然バーで会ったのだそうです。私にその人を紹介した張本人ですからもちろんお互いに覚えていて
「あ、久しぶり」
なんて感じに挨拶も交わしたそうですが、その時に
「咲良ちゃんって今彼氏いるのかな?俺、もう1回アタックしてみようかと思うんだけど」
と言われたらしく
「ビックリしたよー!!もう2年も経つのに何言ってんの!?って感じで。とりあえず“いやー今はラブラブな彼氏がいるみたいだからやめときなよ”って言っといたけど、良かったよね!?」
と興奮した電話がかかってきました(苦笑)

大学時代の彼・健太郎君については、携帯の番号は知ってるのですがもう何年もかけてないので通じるかどうかわかりません。最初はメルアドも知ってたのですが、ちょっとした用事で久しぶりにメールを送ったらエラーが出た事があって。あぁ彼はアドレスを変えた時に私には知らせようと思わなかったんだな・・・と思うと、彼の中での自分の存在の軽さを感じてしまいそれっきりになっています。共通の友人がいてその人は健太郎君の携帯アドレスを知ってるそうなので聞けば判るのでしょうが、そこまでしなくてもいいか、と。元気でいてくれるといいなぁと思っています。

谷中さん・村木さんについてはまったく判りません。谷中さんに関しては知りたいとも思わないし、村木さんは・・・・奥さんと仲良くやってくれてるといいなぁ。うん。2人目とかできたのかな?

直行さんは、実は何度かメールが来ました。最初こそ
「もう新しい彼氏がいるからメールとかしないで」
と返信しましたが、その後のメールは返事に困る内容だったのもあるし、私はまったく連絡を取りたい気分ではなかったので黙殺しました。1年ほど前にまた来た時に
「いい加減にして。私の電話番号もアドレスも、今すぐ削除して下さい」
と返したっきりです。

外見も悪くないしマメだし、家族(というか奥様)に対して常に不満を抱えてるような人だったので、なんだかんだ言いつつまた新しい“彼女”とか作っちゃってるんじゃないかなぁ・・・とちょっと思います。でもその奥さんと結婚する事になったのは結局は自分のせいというか身から出たサビというか、浮気相手なのにちゃんと避妊をしなかった直行さん自身が原因ですから、ここは開き直って(諦めて?)奥さんを大事にしてあげてほしいですよ、うん。←私が言う事じゃないけど。


次郎君との恋愛は・・・・この日記を最初から読んでいただければ(笑) 不安になった事もたくさんあったけど、付き合うほどに好きになったし、あの時の選択は間違ってなかったなぁと思っています。少なくとも、今は幸せです。これからもっと幸せになれるかどうかは、自分達次第ですからね。



最初は、
「私の恋愛歴とか読んでおもしろいのかな〜」
なんて思ってましたが、むしろ読む人のためというより自分のために書いたような感じです。読んで欲しかったというより、書き留めておきたかった。1つ1つ過去を思い出す作業は、予想以上に大変でした。頭の中で下書きをしながら泣いてしまった事もあります(苦笑)

特に、次郎君を選んだあたりの話しは・・・・・我ながら、なんて打算的な女なんだと複雑な気持ちにもなりましたが、それが本当の事だったんだから仕方ありません。でもそういう過去があって今の私がいるわけですから。辛かった事も楽しかった事も、腹が立った事も幸せだった事も、全部私ですから。


毎回根気強く読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。次回からはまた通常の日記に戻りますので、改めてよろしくお願いします。では。



2005年11月29日(火) 恋愛遍歴(社会人編・5)

11月16日『恋愛遍歴(高校時代編)』
11月17日『恋愛遍歴(大学時代編)』
11月21日『恋愛遍歴(社会人編)』
11月25日『恋愛遍歴(社会人編・2)』
11月27日『恋愛遍歴(社会人編・3)』
11月28日『恋愛遍歴(社会人編・4)』
の続きです。よろしければそちらからどうぞ。

※文中の男性は仮名です。


思いがけず、以前のバイト先で一緒だった山下さんから好意を示された私。あまりに突然で戸惑いながらも、やはり嬉しかった。

結局、
「すぐに決めなくていいよ」
と言ってくれた山下さんの言葉に甘えるカタチで、私はしばらく様子を見る事にした。山下さんとは、それから何度か2人で会った。平日の夜に会って夕飯を食べたり、山下さんがバイトの日に私が店に行き、バイトが終わった山下さんとちょっとだけ深夜にドライブしたり。

そうやって2人で会っても、山下さんは決して私に手を触れようとはしなかった。私の気持ちが決まるまで待ってくれていたのだと思う。

会って話すのはやっぱり楽しくて、私は次第に自分の気持ちが傾いていくのを感じていた。直行さんとも平行して会ってはいたけれども、
「自分はあまり辛い思いをせずに別れる事ができるかもしれない」
と思いながら会うとどうしても今までと同じ目では見れない。アラ探しをするように、『やっぱり別れた方がいい』と自分を正当化できるような部分を探してしまう。

客観的に見れば、直行さんと別れるべきだというのは判っていた。妻子持ち。不倫。どれほど自分達の気持ちは純粋だと言っても、結局は“人に言えない関係である”事に変わりはない。具体的に直行さんが離婚するような計画がない以上(そして、私もそんな事を望んではいない以上)、いつかは別れる以外の結末はないのだ。でも、今はできない。まだ好き。奥さんにばれたわけでもない。なんの理由もきっかけもなく、ただ『いつかは別れなきゃいけないんだから』というだけで別れるには情が移りすぎていた。



でも、今は理由が出来た。




私は、山下さんに惹かれ始めている。もっと知りたいと思うし会いたいと思う。付き合ってみたいと、はっきり思う。

今なら、直行さんと別れても山下さんがいる。“彼氏がいないと耐えられない”なんて恋愛体質ではないけど、今直行さんと別れて1人になるのは辛い。でも今なら山下さんがいる。今なら、直行さんと別れても私はそれほど辛い思いをせずに済む。


ずるい考えだという事は充分に判っている。でも私は、山下さんと付き合う事で直行さんを失う辛さを乗り越えられるなら、それでいいと思ったのだ。そんな打算的な事じゃ、へたすると山下さんとだって長くは続かないかもしれない。でもそれでもいい。いつまでも続けられない直行さんとのこの関係を終わらせるきっかけになってくれるだけでも、私には充分過ぎるほどありがたい事かもしれない。



悩んだのは、結局3週間ぐらいだった。私は心を決めた。


4月の始めだった。山下さんに電話をして、翌日の夜、会う事にした。

一緒に食事をして、郊外までドライブした。私は初めて行く場所だった。山の随分上の方だったんだと思う。車の来ない所で停めて、外へ出た。辺りは真っ暗で、遠くに見える市内の夜景と、意外と近くに見えるよく晴れた星空がキレイな所だった。

4月とはいえまだ夜は寒くて、私達は自然と手をつないだ。
「あのね」
「うん?」
「・・・・・・・別れたから」
「・・・・・・」
「私も、山下さんと付き合ってみたいなぁと思ったの。だから・・・今からでもよければ、よろしくお願いします」
そう言って、私は小さく頭を下げた。


本当は、ちょっとだけ嘘だった。まだ私は直行さんに別れを告げてはいない。私の心の中で決まっただけだ。でも、この翌日に直行さんと会う約束をしていてその時に別れを切り出すつもりだったから、ちょっとだけフライングだけどいいよね、と自分に言い聞かせた。


山下さんは、黙って私を抱きしめて
「・・・・・よかったー・・・」
と呟いた。その言い方がなんだかおかしくて私が笑うと
「笑うなよー。これでも結構緊張してたんだから」
と言われた。
「そうなの?」
「そうだよ。まぁそれなりに自信はあったけど」
「何それ(笑)」
寒いのでぎゅーっと抱き合ったまま、3週間ぶりにキスをした。




私にはまだ大仕事が残っている。直行さんに別れを告げるという大仕事。翌日の夜、今まで味わった事のない気持ちで待ち合わせ場所に向かった。

その日の待ち合わせは、それまでにないパターンだった。会う用事が用事なんだから、私としてはゆっくり会いたくはない。のん気に食事なんてできる気分じゃなく、できれば会ったらすぐ話をして帰りたい。結果、私がちょうど会社の飲み会が入ってた事を利用して、その後でちょっとだけ会わない?と持ちかけたのだ。時間は9時過ぎになるけど、それまで直行さんは適当に1人で食事をしたりして時間を潰しててくれる事になった。

飲み会は意外と長引き、約束の場所で会えたのはもう10時になろうかという頃だった。直行さんは特に怒った様子もなく
「久しぶりに心置きなく残業できたよ」
なんて言って笑う。私は、今から自分が傷つける人が笑うのをまともに見れなくて、うつむいて曖昧に微笑むのが精一杯だった。

話す場所は決めていた。最初に直行さんが私をホテルに誘った場所。駅から程近い、小高い山の中腹の夜景スポットだ。


車を停めて、しばらくは自分の中で言葉を探していた。ちゃんと言う事は考えてきたはずなのに、いざ言おうとするとその言葉が見つからない。別れを切り出すのはこんなにエネルギーが要る事だったのか、とその重苦しさに息が詰まりそうになる。

助手席から、いつものように手を握られた。ほとんど反射的にその手をはずし、私はようやく言葉を搾り出した。


「・・・・・・・・・・・ごめんなさい、もう終りにしたいの」

それだけ言うと、後は何を言ったらいいのか判らなくなり、涙がにじんできた。ダメだ。私が泣いちゃダメだ。別れを切り出した方が泣くのはルール違反だ。ぎゅっと唇をかむ。ハンドルを握り締めて、うつむいた。


「・・・・・・・・・・もしかして、そういう話しかなとは思ってた」
直行さんの静かな声にも顔をあげられない。
「急に会いたいって言うし、話したい事があるって言うし。・・・・・・・・指輪も、してくれてないしね」
この前もらったばかりのホワイトゴールドの指輪も、付き合い始めてすぐに買ってもらってそれ以来毎日はめていたシルバーの指輪も、私はつけていなかった。ささやかな、意思表示のつもりだった。

『他に彼氏が出来た』とは言わない方がいいような気が、何故かした。
「ごめんなさい。もう疲れたの」
それが精一杯。
「そっか・・・・・・」
長い沈黙が落ちる。


「本当はね、最近咲良の気持ちが冷めてきたんじゃないかなって気付いてた」
・・・・やっぱり。
「こないだ、桜を見に行ったじゃない」
うん、行ったね。市内から車で2時間ぐらいの所にある、樹齢400年になるという大桜。でも、あの日の私のコンディションは最悪だった。その前の日の夜、バイト後の山下さんと何度目かの深夜ドライブをして、私が家に帰って寝たのは午前3時過ぎだったのだ。日曜日に、休日出勤になったと嘘をついて家を出てきた直行さんと会ったのは朝7時ぐらいで、私は3時間に満たない睡眠時間でぐったりしていた。ファミレスのモーニングを食べた後、直行さんに運転を任せて目的地に着くまで助手席で熟睡していたのだ。

「あの時ね、本当はちょっと腹が立った。俺と会うから朝早いって判ってるのになんでそんな夜遊びしてるんだよって。翌日早いって判ってるんだから、そんな遅くまで遊ばなきゃいいだろって思った。・・・・・・でも、そこで怒ってケンカになってそのままダメになっちゃったらイヤだなぁと思ったら言えなかった。本当はもうあの時に、気付いてたんだろうな」

その通りだった。翌日朝早いって判ってても、私は山下さんと会いたかった。その時点で、私の中でも答えは出てたんだ。

「もう、決めちゃったの?」
うん、と無言で頷く。
「・・・もうすぐ、付き合い出して1年だよね。・・・・・・その日まで待ってもらう事は・・・できない?」
「ごめん・・・・」
待ちたくない。私は、私達の関係が1年を超える前に終わらせたい。

突然、直行さんが車を降りた。外に出て、深呼吸するように夜景を眺める。隣に並ぶ気にはなれなくてそのまま運転席でうつむいていたら、外からトントンと窓を叩かれた。顔を上げると、直行さんが身振り手振りで
『運転を代わって』
と伝える。素直に、助手席に移った。

直行さんの運転で走り出す。ちょうど1年足らず前に、同じように直行さんの運転で行った方向へ向かう。そして、車はあの時と同じホテルの前でスピードを緩めた。

最後にもう一度だけ、とか言われるのだろうか?今でも直行さんを嫌いにはなってないけど、でも寝ちゃったらダメだ。寝ちゃったらまた気持ちが揺れてしまう。今でも好きだという気持ちが残ってる以上、絶対に寝ちゃダメだ。

一瞬の間にそう考えて身を固くした私に、直行さんが言った。
「お願いがあるんだけど・・・・・・・・いつか新しい彼氏が出来ても、このホテルには来ないでほしいんだ」
え?予想外の言葉に思わず直行さんの顔を見つめた。
「ここには、他の人とは来ないでほしい」

守れるとは思えなかったけど、とりあえず頷いた。車はそのままホテルの前を通りすぎ、私の家の方に向かった。途中にある駐車場に急に車を入れて、直行さんは
「ちょっとゴメン」
と言って車を降りて・・・・2〜3歩離れた所でしゃがみこんだ。その肩が震えているのを見て、私も堪えきれなくなってまた涙がにじんできた。

そうやって車の中と外でどれぐらい泣いていただろうか。しばらくすると、直行さんが立ち上がってまた外から窓を叩いた。
「ごめん、ここから1人で帰ってくれる?最後ぐらい家まで送ってあげたかったんだけど、これ以上一緒にいるの辛いから」
「え?でもどうやって帰るの?」
バス停もないし、タクシーだって通りかからないような場所なのに。
「タクシー呼ぶよ。携帯に番号入ってるから大丈夫」
「でも・・・」
でも、とは言いながらも、さすがに私もそこから直行さんの家まで送るとは言えなかった。これ以上一緒にいるのが辛いのは私も同じだ。
「大丈夫だから。気をつけて」
「うん・・・・じゃぁ、気をつけて」
そう言って私は車を出した。こっちを見送る直行さんがいつまでもバックミラーに映る。それを見たくなくて、私は急いで角を曲がった。

それが、直行さんと会った最後だった。


決して悪い人ではなかった。不倫してた人を善人とは言えないかもしれないけど、少なくとも私はとても大事にしてもらった。想いが深くなると辛かったけど、楽しかった時期だってある。気の迷いだったかもしれないけど、一緒に将来を夢見た事もあった。付き合った事を後悔はしないし、一緒に過ごした時間を無駄だったとも思わない。ただ、それはやっぱりいけない事だったと思うだけだ。

正直、奥さんに申し訳ないと思った事は一度もなかった。そして、そう思わなかった自分を申し訳ないと、今なら思える。


例の、偶然会って不倫だとばれた友人には報告した。
『いつまでも続けられる事じゃないって事と、咲良ちゃんは幸せになれないって事だけは忘れないで』
と言った彼女だ。また久しぶりに会って食事をし、他に付き合いたいと言ってくれる人が現れて、その人と付き合う事にして不倫の彼とは別れたの。そう話すと
「一番理想的な終わり方だと思うよ」
と喜んでくれた。私も嬉しかった。


山下さんとの恋は、今でも続いている。



2005年11月28日(月) 恋愛遍歴(社会人編・4)

11月16日『恋愛遍歴(高校時代編)』
11月17日『恋愛遍歴(大学時代編)』
11月21日『恋愛遍歴(社会人編)』
11月25日『恋愛遍歴(社会人編・2)』
11月27日『恋愛遍歴(社会人編・3)』
の続きです。よろしければそちらからどうぞ。

※文中の男性は全て仮名です。


直行さんと付き合い出してそろそろ1年になろうかという頃だった。バレンタインのお返しにとホワイトデーのデート。その日にあんまり遅くなると奥さんに怪しまれるから・・・という理由でその日は食事だけだった。

いつもよりちょっといい店の個室でゆっくり食事を楽しみ、クッキーとは別に
「咲良にもらったのがあんまりおいしかったから、一緒に食べようと思って買ってきちゃったよ」
と私があげたGODIVAのチョコレートを買ってきてた直行さん。思わず笑ってしまいながらも一緒にそれを食べ、いつものように送って帰った。

その途中、私の携帯が鳴った。表示は・・・・・以前バイトしてたレンタルショップの女の子だ。運転しながら出ると
「今、バイトのメンバーで飲み会してるんです。良かったら来れませんか?」
と言って、彼女はそこから程近い居酒屋の名前を挙げた。
「いいの?じゃぁ出かけてたけどもう用事終わるから、今から合流するね」
と答えて電話を切る。ホワイトデーのデートなのにこんな早い時間に帰らなきゃいけない寂しさを持て余しかけていた私にとって、ちょうどいい誘いだった。

車から降りる時、直行さんがいつのまにか後部座席に乗せていた小さな紙袋を取り上げて私に差し出した。
「何?」
「開けて見て」
言われるままに開けると・・・・・・小さな正方形の箱。

中には、私が欲しいと言っていた小さな宝石のついた指輪が入っていた。
「いいの!?」
「それ、結構珍しい石なんだね。何軒かお店回って聞いたけど、どの店でも“ネックレスだったらあるんですけど・・・”って言われちゃったよ。やっとそこの店で見つけた時も、俺が“この石の指輪を探してるんですけど”って言ったらショーケースじゃなくてなんか裏から持ってきてくれてさ。“彼女さん、かなり宝石好きで詳しい方なんですね”って言われたよ」
そう言って笑う直行さん。

嬉しくて右手の薬指につけて、そのままバイト仲間の飲み会に参加した。私を含めて参加者は8人。ユウキちゃんにマナミちゃん、アイちゃんにミキさん、男性は山下さんと若宮さん、阿藤くん。近々辞める阿藤くんの送別会と、3月生まれのマユミちゃんと若宮さんの誕生日祝いを兼ねた飲み会で、さらに山下さんと若宮さんがバレンタインのお返しにおごる、という話しだった。

辞めてからもう3ヶ月以上経ってたけど、店にはちょくちょく顔を出してたのでそれほど久しぶりという感じでもない。ただ、私はほとんど昼ばっかりのバイトだったので、夜シフトの男性3人とは個人的に話した事はほとんどなかったような気もする。でも顔なじみである事にかわりはなかった。楽しく盛りあがり、勢いもそのままに二次会はカラオケに行った。


まだ20代前半のユウキちゃんやマナミちゃんにアイちゃんは、目ざとく私の指輪に気付いて大騒ぎした。
「いいな〜!彼氏とデートだったんですか?」
「うん、でも向こうが明日早いから、もう帰ろうとしてたとこだったの」
としれっと答える私。


カラオケで、それぞれに飲物やデザートを好きにオーダーする。私は、メニューでやたらおいしそうだったストロベリーパフェを注文した。運ばれてきたそれはたくさんイチゴが乗ってて本当においしそうだった。パクパク食べてたら、隣にいた山下さんが
「それ、おいしい?」
と私に声をかけた。
「おしいですよー。食べます?」
そう言ってイチゴを差し出す私。それをパクッと食べて、突然山下さんはそのイチゴをくわえたまま私に差し出した。

一瞬ビックリしたが、なんせ山下さんはこの時点でかなり飲んでた。居酒屋でもたくさん話したが、
「普段も気さくな感じだけど、酔うともっと楽しくなる人なんだな〜」
という感じ。ついおもしろくなって、山下さんがくわえてるイチゴにそのまま口を寄せ、半分齧った。


ほんの少し、唇が触れた。


「やだ、そこの2人ナニしてるのー!?」
正面に座ってたアイちゃんが気付いて爆笑しながらこっちを指差す。
「えー?イチゴを食べただけだよねー」
と2人で顔を見合わせて笑う私達。なんだか意味もなく楽しかった。


そうやって盛り上がってるうちに、気が付いたら午前1時を回っていた。翌日ももちろん仕事だ。途中だけど先に帰る事にして、ふと気付いた。

若宮さん、阿藤くん、ミキさん、ユウキちゃんはそれぞれ自分の車だ。マナミちゃんとアイちゃんはユウキちゃんに乗せてもらって来て、帰りも一緒に帰ると言っていた。山下さんは若宮さんの車で来てたらしいけど、若宮さんはまだまだ帰る気配はない。・・・・・・でも山下さん、明日は朝からも仕事だって言ってなかったっけ?

何気なく
「山下さん、今帰るなら一緒に乗せて行きますよ?」
と聞いた。ちょっと遠回りにはなるけど、どうせ同じ方向だ。
「あ、本当?ん〜もうそろそろ帰った方がいいかな〜。じゃぁ頼んでいい?」
結局、私と山下さんだけが先に出る形になった。


助手席に山下さんを乗せて、あれこれとしゃべりながら車を走らせる。バイト中はシフトが違ったのでほとんどしゃべった事もなかったのに、驚くほど話が弾んだ。山下さんが車を置いてるというコンビニに着いて、駐車場の隅で車を停めた。

随分飲んでるらしい山下さんはこころなしか眠そうだ。
「大丈夫ですか?ここから自分で運転して帰るんでしょ?」
でも私が家まで送ってあげても、それだと山下さんが明日ここまで車を取りに来るのが大変だろうし・・・なんて考えながら山下さんの顔を覗き込んだら、それまで眠そうに目を閉じていた山下さんがふいに目を開けた。

まっすぐ、目が合った。

あ、まずい、と思ったが、そのまま目をそらさなかった。

至近距離で見つめ合ったのはほんの数秒だったと思う。山下さんが体を起こし、そのまま静かにキスされた。一度唇を離し、もう一度。

・・・・イヤじゃないなぁ、と思ったのを覚えている。

唇を合わせたまま抱き寄せられそうになり、はたと我に返った。
「ダメです」
「あ、ダメ?」
「ダメですよ。浮気になっちゃうじゃないですか」
さらっと流そうとした私に
「今のは浮気じゃないんかい」
とおかしそうに笑う山下さん。
「今のはセーフなの」
と私も笑ってみせた。

「ダメじゃないですか。彼氏いるって知ってるのに何でそういう事するかなぁ」
と私がふざけて言うと、山下さんは意外に酔いを感じさせない声で
「ん?いや、俺はそういうの関係ないから。気にしないもん」
と答えた。
「気にしない?」
「うん。彼氏がいるとかいないとかはあんまり気になんない。ただ、キスしたいなぁと思ったからしたし、付き合ってみたいなぁと思ったから」
「・・・・・・」
「・・・・・・」

どう解釈したらいいのかちょっと悩む。でもどうせ相手は酔ってるんだ。遠まわしに聞いたってわかるはずがない。ストレートに聞いてしまおう。
「・・・・・・遊び?」
「へ?」
「遊びならそれはそれでいいよ。遊びでHするだけなら今からでもできるじゃない。でも、山下さんが本気で言ってくれてるんなら、私も本気で考えないといけないから」
「・・・・本気だよ?まぁ確かにまともにしゃべったのは今日が初めてだったけど、でも話してて楽しいなぁと思ったし、隣にいて居心地がよかったもん。もっと知りたいなぁと思ったんだよ。だから付き合ってみたいなぁ、って」


思わず真剣に考え込んでしまった。

本気で言ってくれてるのなら・・・それは嬉しい。でも、酔っ払いの言ってる事をそんなに真に受けていいものだろうか?それに、気持ちは確かに嬉しいけど、今の時点で直行さんを好きだという気持ちと山下さんの好意を嬉しく思う気持ちを比べたら・・・・・まだ、直行さんへの気持ちの方が大きい。


でも。










山下さんは、独身だ。














その1点だけが、どうしても気になっていた。




これは、チャンスなんじゃないか?

煮詰まって、持て余し気味になっていた直行さんへの想い。好きだけど、それだけじゃぁどうにもならないとお互いに判っていて、でもどうする事もできない関係。それを精算するチャンスなんじゃないか?今、山下さんのこの好意に便乗してしまえば、それは何の受け皿もなく直行さんと別れてしまうよりは私はラクなんじゃないだろうか。

でも・・・・・・・山下さんが本当に本気で言ってくれてるんだったら、そんな打算で利用してしまってはいけない、とも思う。


考え込んでしまった私を気遣ったのだろうか。
「今すぐ決めなくていいよ」
山下さんが言った。
「え?」
「今ここで決めなくていいよ。考えてくれる余地があるんだったら、これから時々メシ食いに行ったり2人で会ったりして、それで気持ちが動いたらその時考えてくれればいいよ」
「・・・・・うん、じゃぁ考える。・・・・・・ありがとう」

じゃぁね、とカラオケから持ち帰ってきた焼酎の五号瓶を抱えて、山下さんは車を降りた。



家に帰りながら、ずっと考えていた。確かに、今日山下さんと話してて楽しかった。バイトで顔を合わせてた時は、正直言って
「見た目は好みなんだけどちょっと遊び人っぽいな〜」
という印象だったんだけど、話してみたらそうでもなかった。カラオケでほんの少し触れた唇も、決してイヤではなかった。

うん、もし直行さんと出会ってない状況でさっきのように好意を示されたら、きっと私は断らなかった。

もっと山下さんの事を知りたいと思う。付き合ってみたいとも思う。でも、直行さんを好きだと思う気持ちと山下さんへの好意を比べたら・・・それはやっぱり直行さんへのそれの方が重いのだ。今のままでは、山下さんを選ぶ事はできない。




なんだか不思議だった。ほんの数時間前まで私は直行さんと一緒にいて、どうなるのか判らない2人の未来から憂鬱な気持ちで目をそらしながら、それでも確かに好きだという事だけ否定できずにいたのに。いつまでもこのままではいられない事だけは判っている。でも、だからって直行さんに全てを捨ててほしいと望んでいるわけでもない。とっても中途半端な気持ちと状況で、今の事だけ考えようと自分に言い聞かせていたのに。


今の私は、『確かにここにあるけどそれだけ』の直行さんとの関係と、『確かなものなど1つもないけど、何かが変わるかもしれない』山下さんとの未来を天秤にかけようとしている。



もう少し悩もう。せっかく山下さんが時間をくれたんだ。これからもっと山下さんを知ってみてそれから決めてもいいと言ってくれたんだから、その気持ちに甘えよう。そう決めて、その日は眠りについた。



2005年11月27日(日) 恋愛遍歴(社会人編・3)

11月16日『恋愛遍歴(高校時代編)』
11月17日『恋愛遍歴(大学時代編)』
11月21日『恋愛遍歴(社会人編)』
11月25日『恋愛遍歴(社会人編・2)』

の続きです。よろしければそちらからお先にどうぞ。


※文中の男性は仮名です。



結局2つめの職場も1年ほどで辞め、とりあえず繋ぎに・・・と友達の紹介でアルバイトをした。そのアルバイト先で、直行さんに出会った。

営業さんが持ってる顧客データをエクセルに入力するだけの、単純な作業だった。昼間は営業さんはほとんど出かけてるので、事務所内に私1人。たまに課長や部長クラスの人が残ってるぐらいで、そういう時には途中でジュースをおごってもらえたりした。前の職場での上司との衝突と、最終的にはクビにされたも同然の理不尽な出来事に疲れてた私にはちょうど良い気楽さだった。


ある日の朝、いつものように出勤して仕事に取り掛かった私の所に、1人の男性がやってきた。
「すいません、○○チームの本村と言いますけど」
その頃には、座席表などである程度社員さんの名前を把握してた私は、
「あ、はい、すみません。本村さんの分のデータはまだ取り掛かってないんですが」
と答えた。するとその人は
「あーいいんです。自分がそのお客さん達の所を廻りだすのはもうちょっと先なんで、月末までにやっておいてくれればいいですよ、って言いに来たんです」
と笑ってくれた。

それが、直行さんと交わした初めての会話だ。

それだけの会話の間に、私は彼の左手の薬指に指輪がはまっている事をチェックしていた。
(あ、なんだ既婚者かぁ・・・残念。ちょっと好みだったんだけどな)
そんな事を思った数日後、思わぬ機会が訪れる。


夕方、いつもより少し早い時間に本村さんが帰ってきた。帰ってきた人皆にそうするように
「お疲れ様です」
と声をかけ、自分の仕事を続ける。しばらくして、休憩がてらコーヒーを飲もう・・・と部屋の隅にあるコーヒーポットの所へ行った。本村さんの席はすぐ近くだ。他には誰もいない。この状況で何も言わないのは逆に不自然な気がして
「本村さんもコーヒー飲まれますか?」
と聞いた。
「え?・・・・あ、うん。いただきます」

コーヒーを渡す時、机の上に置かれた1冊の本が目に止まった。ほとんど条件反射で
「それ、何の本ですか?」
と質問した。


それは、本村さんが今度受ける予定の昇格試験の課題本だった。それを読んで感想文を提出しなきゃいけないのだそうだ。そんな話を聞きながらぱらぱらと最初の数ページをめくり、
「あ、でもこれ結構おもしろそうですね。感想文書き終わったら貸してもらえませんか?」
「いいけど・・・それだったら、先に読んで内容教えてよ。それを元に感想文書くから(笑)」

どんな話の流れだったのだろう。そして、そこにお互いのどんな思惑が働いたのだろう。

その一瞬で私達の頭の中にはその後の流れが出来上がり、後はそれに沿って会話を続けただけ。つまり、私は本村さんの代わりにその本を読み、それを元に本村さんは感想文を書く。そして本村さんはそのお礼に私に夕飯をおごる。そんな筋書きが、実にスムーズに完成してしまった。

今思えば、お互いの中に『今の状況を今後に繋げたい』という想いがあったのだと思う。


そしてそれは実現し、私は本を読み終え、内容を簡単にまとめて説明して、本村さんは感想文を書き上げ、その翌日、食事に誘われた。

「いいんですか?家でご飯食べなくて」
「いいよ。元々あんまり家で食べないし。・・・好きじゃないんだ、家でメシ食うの。奥さんと仲悪いから」

本村さんはバスで通勤してたので私が車を出した。楽しく話しながら食事をし、少しドライブしようか、と車を走らせる。空港の裏手の、滑走路が見渡せる位置で車を停めた。一定の間隔を置いて車が数台停まっている、いわゆるデートスポットだ。

話をした。

助手席から、手を握られた。そのままにしてた。

「・・・・イヤじゃない?」
「・・・いいですよ」

「本当は、最初からかわいいなと思ってたんだ。・・・・また2人で会ってくれる?」
「・・・・・・・・・・今日はもう帰りましょうか」

その日はそれだけだった。さすがに迷った。確かに、本村さんは好みだ。話してて楽しかったし、心地良い。


でも、既婚者だ。


そして私はその時、村木さんとまだ続いていた。


二股の上に両方不倫かぁ・・・。

それはさすがに人としてどうなんだろうなぁ、と思った。でも、先の見えない、そして肝心な『彼の気持ち』すら確証のない村木さんとの付き合いに、疲れを感じ始めてもいた。


その迷いは、2度目に本村さんと会うまで続いた。

数日後また2人で会い、食事をした。店を出た所で、本村さんが
「運転代わるよ」
と言った。その日は本村さんは飲んでなかったので、私は素直に鍵を渡した。

前回とは別の、夜景の見える場所で車を停められた。たわいもない話の途中でさりげなく手を握られ、ふと話が途切れた時に言われた。
「・・・・今から俺がどこに行っても、黙ってついてきてくれる?」
私は無言でうなずき、走り出した車はそこから程近いラブホテルに入った。


キレイな部屋だった。その近辺のホテル街の中では値段もレベルも上ランクとされる所だった。

いいや。どうせこのバイトも期間限定なんだし、この人ともいつまで続くかわかんない。村木さんは連絡がない限り放っておこう。もう1ヶ月以上連絡も途絶えてるし、このまま自然消滅するならそれでもいい。大体村木さんには奥さんがいるのに、私は村木さん1人に操を立てる義理はない。気になってる人とSEXするチャンスがあるんだから、やっちゃえ。

投げやり・・・というのとも少し違う、でもどこにも真剣さはない。そんな気持ちで私は本村さんとの関係を始めた。2度目のホテルから、2人の時は直行さんと呼ぶようになった。


「好き、とか言っちゃいけないんだよ」
というのが、最初の頃の直行さんの口癖だった。
「言葉にしちゃうと気持ちが深まるから。深みにはまっちゃうと2人ともキツイから」
そうやって私が本気になるのを牽制してたのかもしれないし、自分がのめり込むのを止めようとしてたのかもしれない。いずれにせよ、私達はそれなりにいい関係を続けていた。

直行さんとの関係が始まってから1ヶ月ほど経った頃、久しぶりに村木さんからメールが来た。
「また会える?」
という内容だったので
「ごめん、彼氏ができちゃったから会えないよ」
と返事をした。
「そっかー。良かったね。仲良くね」
というメールを最後に、村木さんとは完全に終わった。あの、桜の下を散歩した夜が最後になった。


直行さんと奥さんが仲が悪いと言うのは本当だったようだ。結婚した当時、実は直行さんには本命の彼女がいた。つまり今の奥さんは浮気相手だったのだ。彼女と結婚するつもりで親に会ったりもしてたのに、なんとそのタイミングで浮気相手が妊娠。仕方なく、責任を取るために結婚したのが今の奥さんであるらしい。

そんないきさつだったから、直行さんいわく
「昼メロみたいな泥沼ぶりだったよ」
だそうだ。本命の彼女が自殺未遂を図ったり、奥さんの父親には殴られ(その頃から考えても15年ほど前の事だ。今のように“出来ちゃった婚”なんて言葉もなく、それ自体が市民権を得てもいなかった頃だ)、散々揉めた挙句の結婚。奥さんは自分が『彼女』だと信じ込んでいたから一連の出来事に呆然とし、結婚後も折に触れては
「どうせ私とは本気で付き合ってなかったんでしょ?」
と嫌味を言うようになった。

正直、直行さんの家庭環境や夫婦関係に興味はなかった。だからって職場の若いバイトに手を出すのが許されるわけでもないし、私達のしてる事が『不倫』と呼ばれるものである事に変わりはない。


付き合いだして2ヵ月後には、例の昇格試験に合格した直行さんが2ヶ月の研修に行く事になった。他県の研修所に泊り込みだ。でも週末は休みだから、自宅に
「課題があるから週末も研修所にいるよ」
と連絡さえすれば直行さんは完全にフリーになる。私が研修所のある所まで行ったり、こっそり帰ってきた直行さんと待ち合わせたりして、週末はほとんど一緒に過ごした。適当なラブホテルに泊まり、いろいろな所に行った。

そう、私達は楽しく付き合っていた。改めて思うとあり得ないほどに、おおっぴらに出歩いていた。研修が終わって直行さんが隣の市の支店に転勤になってからも、普通に休日に会って映画を見に行ったり、平日も仕事の後に週に2回は会っていた。

私は、その頃には期間限定のそのバイトも終わり、家の近くのレンタルショップでバイトを始めていた。時には、私の平日の休みに合わせて直行さんが有給を取り、いつも通り出勤するフリをして家を出てきた直行さんを拾って1日デートしたりもした。


それだけおおっぴらにしてたら、当然知り合いに会った事もある。映画を見に行って大学の友達に会った時は、普通に
「彼氏なの」
と紹介した。自分のバイト先の人達にも、既婚者だという事だけを『バツイチだ』とウソをつき、普通に彼氏がいる事にして話していた。

ただ1人だけ、ファミレスで偶然会った友達にはばれた。たまたまその時、直行さんは仕事の関係でスーツを着てたのだ。(普段は仕事の後でもラフな格好をしている)若く見える人だったけど、スーツを着てるとやはりそれなりに年上に見える。もしかしたら、すれ違った一瞬で彼女は直行さんの左手の指輪を見たのかもしれない。後日改めてあって食事をした時に正直に打ち明けたら、
「ん〜・・・・賛成はしないけど、心のどこかで、咲良ちゃんならうまくやるだろうなって気もするんだよね。家庭を壊すほどのめり込んだりはしないって言うか、周りが見えなくなるほど本気になっちゃう事はないんだろうな、って。・・・・・・とりあえず、反対はしない。反対したからってすぐやめられるものなら最初から始めてないでしょ。ただ、いつまでも続けられるものじゃないって事と、最終的には咲良ちゃんは幸せにはなれないって事だけは忘れないで」
と真剣な目で言われた。うなずく事しか出来なかった。


おそろいの指輪を買ってもらった。一緒に電車に乗って浴衣で花火大会を見に行ったりもした。私がレンタルショップのバイトを辞め、ちゃんとした会社に就職したらさすがにそれまでのように頻繁には会えなくなったけど、それでも週に1回は会った。会えば必ず直行さんは私を抱きたがる。私が仕事の後に直行さんを迎えに行き、コンビニで夕飯を買ってホテルへ直行するようなデートも多かった。それでも楽しかった。


でも、いつからだろう。直行さんの言葉が少しずつ変わり始めたのは。

「好きだよ」
と頻繁に口にするようになった。
「家にいると時々思うんだ。なんで俺こんなとこにいるんだろう。なんで咲良と一緒にいないんだろうって」
と呟くこともあった。家族がいない時に私を家に呼ぼうとする事もあった。一度だけ
「・・・・子供が高校卒業するまで待ってくれって言ったら、待てる?」
と聞かれた事もある。明らかに、彼は自分で決めたルールを守れなくなってきていた。

そしてそれは、徐々に私にも伝染していた。時々想像する。直行さんが奥さんと別れて、子供は2人とも奥さんへ。私は直行さんの新たな妻として彼の実家に挨拶に行く。田舎で2人暮らしていると言う彼の両親は、私を認めてくれるだろうか。妊娠させて、責任を取ると結婚したはずの妻を捨て、若い女を選んだ息子を許すだろうか。妻を捨てさせた私を認めてくれるだろうか。別れても、子供の養育費は払わなければいけないだろう。いつまで?2人とも高校を卒業するまで?大学を卒業するまで?だったら子供が高校を出るまで離婚は待ったほうが良いか。でも私も働けばやっていけるんじゃないか。あぁそれ以前に、奥さんは彼と別れてくれるだろうか。



でも、と思う。私はそれを望んでるのか?



もともと結婚願望なんてなかった。今、私がそれを夢想するのは、単に直行さんを独占する手段としてそれしかないと思っているからだ。では、私は本当に直行さんを独占したいと思っているのか?


徐々に重くなるお互いの想いに疲れて、私は次第に気持ちが冷めていった。楽しいだけで良かったのに。奥さんがいても、気持ちの上で私が1番だと信じられればそれで良かったのに。

だって、私がもしあなたの“奥さん”になったら、その時は私が怯えなきゃいけなくなる。またいつかもっと若い子にこの人を奪われるのではないか。四六時中一緒にいるようになったら、この人にとっての私は今の奥さんと同じように価値をなくしてしまうのではないか。この人が浮気しないと、どうして言い切れる?だって私は身をもってそれを知っているのに。



少しずつ、2人の気持ちの重さが食い違っていく。私を独占したがり、同じように私だけのものになりたがる直行さん。結局は独占できないとわかってる男に独占される自分、それが次第に窮屈になってくる私。

それでも、表面上はそれまで通り仲良く続いていた。クリスマスにはデートをした。誕生日には財布を買ってもらった。バレンタインにはチョコをあげた。そしてホワイトデー。

その日、予想もしない形で、私の運命が大きく変わった。



2005年11月25日(金) 恋愛遍歴(社会人編・2)

11月16日『恋愛遍歴(高校時代編)』
11月17日『恋愛遍歴(大学時代編)』
11月21日『恋愛遍歴(社会人編)』
の続きです。よろしければそちらからお先にどうぞ。

※文中の男性は仮名です。



最初の職場でいろいろあった結果、私は1年と経たずにそこを辞めて転職した。最初の職場よりも私の希望に近かったし、やたら院長の個人的な雑用を頼まれる事を除けばやり甲斐もあった。私はそれなりに楽しく働いていた。

村木さんと出合ったのは、そこに就職してそう経たない頃だったと思う。

きっかけは友人の一言だった。
「ねぇ咲良ちゃん、コンパしない?」
相手はその友人がその時通っていた病院の職員だった。ちょっと前に車で衝突事故を起こし、むち打ちのリハビリのために通院してた病院で、リハビリ室の職員と仲良くなったのだと言う。メンバーはリハビリ室の先生、いわゆる理学療法士の人と、その助手、そしてその助手さんの友達だという出入りしてる製薬会社の営業マン。

しかしよく聞いてみると、その理学療法士の先生は既婚で、独身なのは後の2人だけ。
「ん〜だからまぁコンパって言うよりおごってもらって楽しく飲もう、みたいな感じなんだけど」
と笑う友人。日頃からそのリハビリ室での楽しかった話などを聞いてた私は、特に出会いに期待するわけではなくただ楽しそうだから、と参加を承諾。もう1人友人を誘って、3対3での飲み会が実現した。その『理学療法士の先生』が村木さんだった。


初めて行った居酒屋だった。村木さんのお気に入りだというこじんまりした店。料理もおいしくて話も楽しくて、本当に楽しい飲み会だった。

その帰り。

車で来てた私は、友人2人を送って帰る予定だった。すると最初に話を持ちかけた友人が言った。
「村木先生も近所だよね?」
聞けば、友人2人の家も近いのだけど、村木さんの家も2人のすぐ近所なのだそうだ。当然、
「じゃぁ一緒に送りましょうか?」
という話になった。おごってもらったし、そのお礼に・・・という軽い感じ。


まず友人を1人おろす。次にもう1人。最後に村木さんが残り、
「じゃぁ俺ナビするから」
と助手席に移動してきた。言われるままに車を走らせる事5分、突然村木さんが言った。
「そのちょっと行った先に道の脇に駐車スペースあるから、そこで1回停まって」
・・・・なんで?と思いながらも車を停める。
「ちょっと休憩させて・・・久々に飲みすぎちゃった。この状態で帰るのはキツイわ」
と言ってシートを倒す村木さん。確かに相当飲んでる感じだったから
「そのまま帰ったら奥さんに怒られますね」
なんて笑って、そのまま10分ほどたわいない話をしながら時間をつぶした。

「咲良ちゃん・・・」
「はい?」
顔を覗き込んだ。

ひょいっと抱き寄せられ、キスをされた。

そのまま助手席に引き寄せるように抱きしめられ
「今日は咲良ちゃんに会えたから行って良かった」
と言われた。


もちろん、本気になんかしなかった。酔っ払いはすぐ調子のいい事を言うから、と苦笑するような気持ちで
「はいはい」
と言って抱きしめてあげた。

家まで送った。別れ際に
「今度連絡していい?」
と言われた。どうせ覚えちゃいないだろうと思い
「いいですよ」
と答えた。

本当に連絡が来たのは翌日だった。

電話が来れば話す。1週間ほどそんなやり取りが続いただろうか。ある日の夜、電話がかかってきた。
「今日、仕事関係で飲み会なんだ。終わってから会わない?」
「それ、迎えに来てって事ですか?」
と笑う。
「そう、迎えに来て欲しいの(笑)・・・・ついでにデートしようよ」

既婚者だ、という事はもちろん判っていた。でも、好奇心が勝った。


本当は、最初の飲み会で会った時から好みだと思っていたから。

もちろん、自分から誘うつもりはなかった。でも向こうから誘ってきたんだし・・・と考える。1回ぐらい、そういう事があったっていいんじゃない?

出たとこ勝負だ、みたいな気持ちで指定された場所に行く。村木さんの言うままに車を走らせると、やがて住宅街にある小さなホテルに着いた。初めて行く場所だった。
「こんな所にホテルがあったんだ・・・誰と来たの?(笑)」
「専門学校時代にここの前通って通学してたんだよ。まぁ昔の彼女とも来た事あるけど(笑)」

罪悪感、とか後ろめたい、という気持ちは不思議とまったくなかった。そして、そんな自分に少し驚いていた。

部屋もこじんまりしたホテルだった。ゆっくりくつろぐというよりはまさに隠れ家。特におしゃれでもないし、豪華でもない。いつも村木さんがお金を払っていたので、部屋代がいくらぐらいなのかは全然判らなかったが、そう高くはなかっただろう。


初めて関係を持ってしまった翌日、電話をくれた。いつものようにたわいもない話をして、切る時に
「また会える?」
と聞かれた。それが始まりだった。


何度か思った。1回だけで終わってたら、あれは『浮気』と呼ばれるものだったんだろう。でも何度も続いてしまったら・・・・今自分がしてる事は『不倫』なんだ。それでも、不思議と罪悪感はなかった。私、貞操観念がおかしいのかもしれないなぁ、と思った。

会うのはせいぜい月に1回程度だった。多くても2回。ほとんどの場合、村木さんが何かしらの飲み会の帰りに電話をしてきて、迎えに行ってそのままホテルへ行く。テレビを見たりちょっと眠ったりしながら2回SEXをして、村木さんを職場の駐車場まで送る。

なんかていのいい足代わり+SEXのオマケ付き、って感じだなぁと思いつつ、でも村木さんは嫌いじゃなかった。村木さんは、私を抱く時いつも丁寧だった。避妊もキチンとしてくれたし、前戯も手を抜かない。無茶な要求もしないし、たまに眠り込んでしまう時も肩を抱く手が離れることはなく、絶対に背中を向けなかった。


回を重ねれば情も沸く。いつしか私は村木さんからの電話を心待ちにするようになった。でも私から電話をする事は滅多になかった。『それはしちゃいけない』という自分なりのルールのつもり。奪いたいとか独占したいとかそういう気持ちはない。もし奥さんにばれるような事があったら、即土下座して関係は終わりにする。そんな覚悟はしていた。


「咲良ちゃんの誕生日にはどこかでご飯食べようか」
と言われた。嬉しかった。2人で食事なんてできないと思ってたから。

でも、それは結局実現はしなかった。約束なんてなかったかのように、誕生日は通り過ぎて行った。


きっかけを作った友人にも話してなかった。だから彼女は無邪気にリハビリ室での村木さんの様子を話す。自分が持ってた缶コーヒーを取られた事。助手さんと2人して『早く彼氏作れ』といじめられる事。こないだどこかで講演したんだって、という事。

そんな何気ない会話の中で聞いた。

村木さんが家を建てた、と。

「すごいよね、31歳で一戸建てって割りと早いよね?PT(理学療法士の略称)って給料いいもんね〜。子供もついこないだ1歳になったばっかりって言ってたし、奥さん幸せいっぱいだろうね」


産まれたばかりの子供がいることはちゃんと知っていた。でも、改めて聞いたらなんかショックだった。なんで私はショックを受けてるんだろう?と思った。私は、自分で思ってる以上に村木さんにのめりこんでいたみたいだ。


私は、2つ目の職場も1年ぐらいで辞めた。事務長と徹底的にそりが合わず、私を疎ましく思った事務長が院長や専務(院長婦人)にある事ない事吹き込んだせいで居辛くなったのだ。話もまともに聞いてはもらえず、最後には
「解雇扱いにしますから。それなら失業保険がすぐ出るからいいでしょう」
と切り捨てるように宣告された。


仕事を辞めた後、友達の紹介で2ヶ月だけの短期のバイトをした。村木さんとは続いていた。そして春先、どんな流れだったのかは覚えてないが、村木さんと助手さんと助手さんの彼女さんと4人で、助手さんカップルが同棲してる部屋で一緒にご飯を食べる事になった。

彼女さんのおいしい手作り料理をご馳走になり、村木さんと2人でマンションを出た。帰る途中で、川沿いの桜がキレイな場所を通った。
「ちょっと花見していこうか」
と言われ車を停め、公園になってる川原の桜の下を散歩した。ベンチに並んで座り、ぼーっと桜を見上げて
「キレイだねぇ」
と話した。

なんとなく別れがたくてそのままホテルへ行った。

そして、それが最後になった。





2005年11月21日(月) 恋愛遍歴(社会人編)

『恋愛遍歴』(高校時代編)
『恋愛遍歴』(大学時代編)
の続きです。よろしければそちらからどうぞ。

※文中の男性はすべて仮名です。


結局、就職が決まらないまま卒業した私はいわゆるプータローになった。決まりさえすればすぐにでも就職したいという気持ちがあったのであえて長期のバイトは探さず、短期や単発のバイトをいくつもやった。

私が就きたかった仕事は若干特殊で採用枠が狭い上に、その仕事する上で持っていた方が良いとされる資格を私は持っていなかった。どうすればいいのかわからないままとりあえず目先のお金を稼ぐために行っていたバイト先で、谷中さんに出会った。

友達の親戚がやっている食料品店。週に1回土曜日だけの出勤で1日1万円。朝は早かったし仕事も立ちっぱなしできつかったけど『自分の生活費で親に迷惑はかけない』という条件で就職浪人を親に認めてもらっていた私には、その金額は魅力だったのだ。


谷中さんはその店には珍しく20代だった。見た目もどちらかというと小柄で華奢な感じで、食料品店のおじさんと言うよりは飲食店のウェイターなんかが似合いそうなタイプ。最初からなんとなく気になってはいたがバイト中にプライベートな会話をするような余裕はなく、谷中さんが勤め始めてから1ヶ月近く、挨拶程度にしか言葉を交わした事はなかった。

仕入先から店に向かう車の中で初めてまともにしゃべった。仕事きついよね〜なんて話しから、極めて自然に
「彼氏いるの?」
なんて聞かれる。いませんよ、谷中さんは?と聞いたら
「一応いるけど・・・・なんかもう自然消滅っぽい状態」
そこからどんな流れで話しが進んだのかは覚えていない。いつのまにか“コンパしようよ”という事になり、そこで携帯の番号を交換した。


その日の夜だっただろうか。それとも次の週末の夜だっただろうか。土曜日の夜だった。たまたま私はその時街にいた。友達と遊んでたのか何かの飲み会だったのか覚えていない。谷中さんから電話がかかってきた。
「街にいるんだけど、ヒマだったら出てこない?」
「え、私も街にいるよ。じゃぁ今から行くよ。どこ?」
場所を聞いて、馴染みの店だというスナックで合流した。常連仲間だというカップル1組が一緒だった。お店のママさんの
「谷中君がここに女の子呼んだの初めてねぇ」
という言葉にちょっと嬉しくなった。

しばらくそこで飲んで、じゃぁ帰ろうか・・・と歩き出した。話しが楽しくて、もうちょっとしゃべろうよ、とちょっと裏道に入った小さな公園の中に座った。肩が触れるほど近くに座って、小さな声でおしゃべりをする。しばらく話しが途切れた時に、さらりとキスされた。

ビックリした。

でも拒まなかった。

もう1度キスをした。

「・・・・・付き合おうか」
「・・・・・でも彼女いるんでしょ?」
「もう何ヶ月もちゃんと会ってないよ。っていうか俺の中ではもう終わってるし」
「・・・・・本当?」
「うん」
「・・・・・・・・・・じゃぁいいよ」


その日はそれだけだった。私が自転車を置いてた所まで送ってくれて、別れ際に私が
「ねぇ、でもやっぱり気になるから、ちゃんと彼女と別れて?付き合うならそれからにしたい」
と言ったら
「本当に俺はもう終わってるつもりなんだけどな」
と苦笑しながらも
「わかったよ。次会うまでにはちゃんとしとく」
と言ってくれた。4月の下旬だった。


最初の内は楽しかった。大学の仲間で飲み会をした後に迎えに来てくれたりする『彼氏』は今までで初めてだったから。でも、思えば付き合い始めてすぐのGWが始まる頃にはもうおかしいなと思う点が出てきていたのだ。

「連休中は会えるかわかんないんだ」
と言われた。初めてホテルに行った帰りの別れ際だった。連休になったら一緒にドライブに行きたい、お泊まりデートもできるかな?なんて1人で思い描いていた私は
「なんで?」
と聞いた。
「今の店、辞めようかと思ってて。正直あの仕事を毎日はきついし、同じ仕事でももっと楽な条件の店はあると思うんだ。次の店のアタリをつけてから社長には言いたいから、連休中は就職先探しに使いたいから」
店がキツイのはよくわかる。私は週1だからいいけど、確かにあの勤務条件で毎日はキツイだろう。でもだからって連休全部つぶれるわけじゃないんだったら、1日ぐらい私と会うために空けてくれたっていいんじゃない?・・・・と思いながらも、でも社会人なんだからそんなもんなのかもしれない、と自分に言い聞かせながら
「わかった。じゃぁ時間が取れそうだったら電話して?」
と言うのが精一杯だった。

でも結局、GW中は一度も会えなかった。電話もなかった。『電話して』と言った手前、私からはかけられないと意地になってる間に連休は終わってしまった。


連休が終わって数日後、友達と福岡にコンサートに行った。福岡にいる友達とライブの後食事の約束をしてたのだけどそれが急にダメになり、私達は予定外に早いJRで熊本に帰る事になった。その帰り道、谷中さんから電話がきた。
「急にヒマが出来たから・・・会うかなと思って」
電話がきた事に安心して泣きそうになった。

付き合い出して10日と経たないうちに寝てしまった事が、実は私の中でひっかかっていたのだ。谷中さんは、私にとって健太郎君以外で初めて寝た男の人だった。付き合ってすぐに体を許してしまった事で軽いと思われたのかもしれない、それとも1回やれたらもう飽きられたのかもしれない・・・なんて1人でぐるぐる考え込んでいた。そんな時にふいにかかってきた電話。私は今福岡にいること、でも今からJRで帰るから1時間半もあれば熊本に着く事、それからでいいなら会いたいと伝え、JRが着く時間に駅まで迎えに来てくれる事になった。

一緒にいた友達も、駅まで彼氏が迎えに来ていた。私も知ってる彼氏だった。
「咲良に彼氏って久々じゃない!?今度ゆっくり紹介してよ」
とニヤリと笑う彼女に笑顔で手を振り、1週間ぶりの谷中さんの車に乗った。

すでにそれなりに遅い時間だった。
「泊まりでいい?」
と聞かれ、ちょっと戸惑った。泊まるのは構わない。福岡の友達と食事してくる事は親にも伝えてあったから、話が弾んで遅くなったから泊めてもらったと言えばいいやと、言い訳はもう考えてあった。ただ・・・・・
「大丈夫だけど・・・・・・・・」
「ん?」
「えーとね・・・・・・・生理なの・・・」
なんてタイミングが悪いんだろう。1週間ぶりに電話をくれたのに。もしこれで
「じゃぁいいや。帰ろう」
なんて言われたら立ち直れない。バカバカしいまでの決死の覚悟で打ち明けた私に、谷中さんはアッサリと
「ん〜・・・俺は気にしないけど?」
と言った。

・・・・え?生理でも平気って事?それともHナシで泊まるのでもいいよって事?どっちなのかはわからないけど、機嫌を損ねたわけではないらしい。
「あ・・・じゃぁいいよ」
となんだか拍子抜けな気持ちで答え、そのまま車は1軒のホテルに入った。


ちょっと不思議な部屋だった。入った時の感じは間違いなくラブホテルだったんだけど、部屋に入ったらシングルベッドが2つあったのだ。

え、ベッドが2つ?ラブホなのに?

不思議に思いながらも、シャワーを浴びて、結局SEXした。でもなぜか、谷中さんは途中でやめた。
「やっぱやめとこう」
「え?なんで?・・・・ごめん、やっぱり気持ち悪い?」
「いや、そうじゃないけど・・・なんか体に悪そうだよ。無理してしなくてもいいじゃん」

言葉だけ見れば優しさのようにも思える。でも、実際に言われた私はとてもそうは感じなかった。『体に悪い』というのが、私の体にとってではなく彼の体にとって悪いと言うような響きで私の耳には届いた。

やっぱり付き合って2度目のHが生理中ってのはマズかったかな・・・断った方が良かったのかな・・・・

バカな事を考えて逡巡してる間に、谷中さんはさっさと隣のベッドに移ってしまった。
「一緒に寝ないの?」
「隣に人がいると眠れないんだ」
さらっとそう言って隣のベッドに潜り込む。
「おやすみ」
それだけだった。

眠れなかった。『隣に人がいると眠れない』・・・・・だからこのホテルなの?ここならHした後でも別々のベッドで眠れるから?今までにも何度も来てるホテルなの?今までの彼女とも来たの?

結局私は聞けてない。自然消滅状態だったという彼女とその後ちゃんと別れたのかどうか。


ほとんど眠れないまま朝になり、午前から用があるという谷中さんと8時前に別れて、私は1人で放り出された。家に帰るには早すぎて、駅にあるドーナツショップで朝食がてら時間を潰した。

なんだかとても惨めな気持ちだった。


それからも、何度か会った。ドライブもしたし、食事にも行った。でも会うのは全て夜だった。休みが不規則で、そのたまの休みも新しい就職先探しに使ってしまうという谷中さん。たまには昼間に会いたいと言う私。電話も、何時ならかけていいのかわからない。かかってくるのを待つだけ。

・・・・・・・この人、本当に私の事好きなんだろうか?

不安にかられてどんどん鬱屈していく。ほんの小さな『好かれてるよね』と思える出来事のカケラにすがるようにして自分をなだめる。そんな日々が2週間ほども続いたある日、決定的な事が起こった。


その日も夜会っていた。レイトショーの映画を見に行って、ドライブをした。港の近くで車を停めて、しばらくぎこちないお喋りが続く。やがて話しが途切れた時、運転席から手を伸ばされた。

・・・・え?ここで?

そりゃ確かに暗くて外からは見えないけど、少し離れた所には他に車も停まってるし、釣りをしてる人だっているのに?

緊張で体をこわばらせながらも、ここで拒んだら本当に嫌われてしまうかも・・・という恐怖で断れない。初めてのカーセックスだった。なのに、谷中さんはその最中にとんでもない事を言ったのだ。

「今働いてないから厳しいんだよね・・・・5千円でいいから貸してくれない?」

下世話な話で申し訳ないが、それは、前戯や後戯の途中ではなかった。まさに『最中』。耳を疑った。それはSEXをしながら言う事?


結論から言うと、貸さなかった。ちょうど財布の中に1万円札と千円札しかなくて“5千円”という金額を出せなかったというのもあるし、本能的に
「ここで貸しちゃったらダメだ!」
と危機感が働いたというのもある。ここで貸しちゃったら、もうそのまま私達のパワーバランスが決まってしまう。マイペースという言葉を隠れ蓑にするただの身勝手な男。嫌われたくなくて言いなりになってしまう私。そんなのは違う!


別れ際、かなり気まずい空気の中、それでも私は言ってみた。
「本当に私の事好きで付き合ってる?」
「・・・・・・」
「私、全然好かれてるって実感ないよ。谷中さんの気持ちがわからないよ」
「・・・・でも、俺はいつも本当にこんな感じだよ。今までの彼女にもそうだったし・・・・だから続かないのかもしれないけど。咲良ちゃんは大丈夫かと思ったんだけどな」
「・・・・・・ちゃんと好きだって言ってもらった事ないよね」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・帰るね」
沈黙に耐えられなくて、逃げるように車を降りた。

数日後、電話で話した。先に切り出したのは谷中さんだった。
「もう会うのやめようか」
「・・・・なんで?」
「なんでってなんで?」
「・・・・・・・」
「もう疲れたよ。会いたい会いたいっていっつも言うし」
「何それ!?だっていつ会えるかわからないっていつも言うじゃない。だったら会いたいと思ったら言わないとしょうがないでしょ!?会いたくなっても、谷中さんから電話がくるまでただおとなしく待ってなきゃいけないの?私から会いたいって言うだけでもいけないの!?」
「・・・・もういいよ!」
ウンザリしたような声が最後だった。そして電話は切れた。


呆然とした。これで終り?こんなもんで終り?もういいよ、って言ってやりたいのは私の方だ。私の事を好きじゃないんならもういいよ。あんたみたいな男いらない。そう言ってやりたいのは私の方だ。なんで私が振られなきゃいけない?


電話の前で座りこんだまま、動けなかった。付き合い出して1ヶ月も経っていなかった。



半月ほども引きずっただろうか。でもやがて、いつまでもふっきれない自分がイヤになり、悔しいから絶対忘れてやる!なんて妙にムキになった。1ヶ月ほどの間に2人の男の子と寝た。でも別にヤケになってたわけではなくて、ただ単にそうなってもいいなぁと思っていた人と偶然立て続けにそうなる機会があったというだけの事だ。

1人は、大学の同期の子だった。もう1人は2コ下の男の子。

大学の同期だった彼とは、その後も何度かそうなる機会があった。2コ下の彼とはその1回きりだった。そうやってなんとなく2人の人とSEXをして、思ったのだ。

SEXする事も付き合う事も、そんなに深刻な事じゃないんだ。

チャンスさえあれば付き合ってるわけじゃない人とSEXする事は意外と簡単で、したから付き合わなきゃいけないわけでもないし、そこから何も始まらなくてもいいんだ。自分が後悔さえしなければ。


その考え方は、意外にも私をラクにした。もちろん、SEXはちゃんと好きな人とするのが一番いい。付き合う事も、ちゃんと好きな人と付き合うのが一番いい。でも別に恋愛感情で真剣な『好き』という想いがそこになくても、『付き合ってる』という前提がなくても、自分がその関係で傷つかなければそういうのもアリなんだ。そう思うと、なんだか呼吸がラクになったような気がした。



ちなみにこの件には後日談がある。

最悪なあの別れから4ヶ月ほどたったある日の夜。突然谷中さんから電話がかかってきた。

「久しぶり」
「うん久しぶり。どうしたの?」
努めて軽く返事をする。どうしたの?何か用?用もないのに電話してくるような仲じゃないよね?言外にそんな思いをにじませながら。
「いや、元気かな〜と思って」
「元気だよ。どうしたの急に」
「うん・・・・また会わない?」
「は?なんで?」
「ん、いや・・・今度はちゃんと昼間に遊んであげるからさ」

・・・・・・・・・・・・・わけわかんない。私は別に昼間会えない事だけが不満で別れたわけじゃないんだけど。

なんか変な感じだった。でもよくわからないけど、谷中さんが私に会いたがってる。私が会いたいと言っても鬱陶しそうにしてたあの男が、今になって私に会いたいと言う。その事実はほんの少し私に優越感を抱かせた。

おおかた、今は特定の彼女がいなくてつまらないんだろう。私ならヨリを戻せるとでも思ったのだろうか?それならそれでいい。気付かないフリをしてしらっとした態度で会って、とっくに吹っ切れて元気にやってる私の姿を見せてやろう。

そんな意地の悪い気持ちで、
「じゃぁ都合のいい時電話して?大丈夫だったら会えるし」
と答えた。その数日後、本当に電話がかかってきて、私のバイト(これは例の食料品店とはまた違う店)が終わった後に会う事になった。

夕方だった。私はバイトの後でお腹が空いてたのに、車に乗って
「ご飯でも行く?」
と聞いた私に
「ん〜でも俺ついさっきカップ麺食べたばっかりであんまり腹減ってないんだよね」
と相変わらず身勝手な答えをよこし、谷中さんは車を出した。

元気そうだね、今何してるの?なんて適当な会話を交わしながら車はどんどん郊外へ向かう。1時間ちょっと走って、市内からはずいぶん離れた山の中腹の道沿いで車は停まった。夜景がキレイな場所だった。

正直、隣にいる男の事なんてもうどうでも良かった。久しぶりに会って話しても別に楽しくもない。会ったらやっぱりいい感じ・・・なんて欠片も思わない。むしろ、なんであの頃私はこの人にあんなに執着したんだろう?とすら思える。今から一緒に食事をしても特に楽しい事もないだろう。キレイな夜景を見て満足して、おごってくれるのなら付き合ってあげるからさっさと食べに行こうよ。そんな気分だった。


すっ、と隣から手が伸びてきた。え?と思う間もなくキスされそうになってとっさに止めた。構わずに抱き寄せられ、胸に手を伸ばされた。

「え、ちょっと待って。なんで?」
「なんでって・・・何が?」
「なんでそういう事するの?」
「ダメなの?」
「当たり前じゃん」
「なんで?」

・・・・この人、本気で言ってるのか?


理解しがたい彼の言葉に半ば呆れていたら
「・・・でもいいじゃん」
とか言いながらまた手を伸ばそうとする。さすがに切れた。

「やめてよ。やめないんだったら私ここで降りる」
そう言って本当に車のドアに手をかけた。ガチャリ、と開く音がして、ようやく彼は慌てて手を止めた。

「・・・・なんか、前より堅くなったね」
「は?なんで?だってもう付き合ってないじゃん。私達、もう別れたよね?」
別に付き合ってなくてもSEXなんてできるけど。私はもうそれを知ってるけど。でも少なくともいまさらこの人としたいとは思わない。
「・・・・そういう事なんだ」
“そういう事”って何?あぁそういえば、この人とは付き合いだす前にキスをしたんだっけ。だから?たったそれだけの事で、別れた男とでも簡単に寝ると思われたんだろうか?それともまさかとは思うけど、この人の中ではちょっと長いケンカをしてただけで、別れたつもりはなかったとか言うのか?


憮然としたまま
「帰ろうよ。送って」
とだけ言った。谷中さんは黙って車を出した。


結局そのままどこにも寄らずに最初に待ち合わせた場所に戻った。まだ何か言いたげな谷中さんの顔を見ずにするっと車を降りた。
「それじゃ」
「あ・・・うん、じゃぁ、また」
歯切れの悪い男に、わざとらしいぐらいの余裕の笑顔で
「じゃ」
とだけ言ってさっさと車を離れる。・・・・またね、なんて口が裂けても言うもんか。




基本的に、自分が付き合った人を悪く言うのは苦手だ。1度は好きだった人をけなすという事は、その人を好きだった自分の事も貶めるようでイヤなのだ。

でもこの谷中さんという人に関してだけは、いまだに
「つまんない男に引っかかっちゃたな〜」
と本気で思う。今こうして思い返してみると、自分が本当に彼を好きだったのかどうかも怪しい。ただ単に、久しぶりに『彼氏』が出来たから浮かれて自分を見失ってたんじゃないだろうか。(そう、腹の立つことに、健太郎君以来の『彼氏』がこの男だったのだ)


これからしばらくして、大学を卒業して1年が経とうとしていた早春、とある職場に私は就職する。希望の職種ではなかったけど、大学で学んだ事を活かせると思って決めた仕事だった。でもいろいろあった末、1年を待たずにそこを退職。大学の就職課の紹介で同じような職種の違う職場に転職。

次の出会いはそこにあった。



2005年11月17日(木) 恋愛遍歴(大学時代編)

昨日付けの『恋愛遍歴(高校時代編)』の続きです。よろしければそちらからどうぞ。



大学に入り、好きな人ができた。サークルの先輩だった金田さんだ。先輩を好きになったと言うよりは、勧誘されたこの人に一目惚れしてそのサークルに入ったようなもの(苦笑) それでも音楽系のそのサークルは楽しくて、金田さんにもかわいがってもらえた。友達と一緒にではあったけど先輩が1人暮らしするアパートに遊びに行ったりもするようになって、うまくいくかも・・・?と思い始めた矢先に、金田さんに彼女が出来た。

金田さんに片想いするのと同時進行で、私はサークルの同級生の健太郎君と仲良くなっていた。学部も音楽の趣味も違ったけど妙にウマが合って、同じサークルの男子の中では一番仲良しだった。そして今だから言える事だけど、健太郎君は最初から私に好意を持ってくれていた。わかっていた。わかっていて健太郎君と仲良くしてたし、健太郎君も私が金田さんと好きだとわかっていて、それでも金田さんの事も先輩としてとても慕っていた。


後になって健太郎君自身から聞いた話だと、
「ルックスとかだけじゃなくて、同性の俺から見ても金田さんはカッコよかったもん。咲良ちゃんが好きなのもわかるなーと思ったし、金田さんにはかなわないと思ったから」
だそうだ。

でもその金田さんに彼女が出来たと聞いて、当然私は落ち込んだ。落ち込む私に健太郎君が言ったのだ。
「俺と付き合わない?」
「・・・・でも私、金田さんの事好きだよ?」
「いいよ。知ってるよ」
「しばらくは多分好きなままだよ?」
「いいよ。いつか気持ちを変えてみせる自信はあるから」

あまりの自信過剰ぶりに唖然とし、でも私も健太郎君の事は決して嫌いじゃなかった。むしろ、金田さんに出会わずに健太郎君に出会ってたら好きになってたかもしれないとも思えた。

かわいがってくれてると思ってた金田さんがあっさり他に彼女を作った。“ただの後輩”以上の好意を持ってもらえてると思ってたのは私の勘違いだったのかな。そう考えて落ち込んでた私にとって、ストレートに好きだと言ってもらえた事そのものが嬉しかった。



結論から言うと、この健太郎君が私にとって本当の意味での『初めての彼氏』となる。



付き合い始めてみると、健太郎君はとても優しかった。本当に大事にしてくれた。音楽の趣味は全然違ったけど、否定するんじゃなくて
「俺もTM聴いてみようかな」
と歩み寄ってくれて、そのCDを返してくれる時に一緒に自分の好きなCDを入れておいて
「よかったら聴いてみて」
とさりげなく勧めてくれた。お互いの違う部分を拒否するんじゃなくて、理解しよう、歩み寄ろうとしてくれた。そうされると私も自然に理解したい、歩み寄りたいと思えるようになり、付き合い出して1ヶ月ほど経った頃、
「ちゃんと健太郎君が好きだよ」
と告げて私からキスをした。それが私達の初めてのキスだった。

初めてのSEXも、初めての親に嘘をついてのお泊まりも、初めてのタバコも(もっともその1本で気持ち悪くなり、私がスモーカーになる事はなかったけど)、初めてのクリスマスデートも、初めての誕生日デートも、全部健太郎君とした。


一度だけ、生理が遅れた事があった。避妊はしてたけど、それでも遅れたら怖い。2週間ほど1人で悶々と悩み、どうしようどうしようと思っていた時に健太郎君に聞かれた。
「今月、生理遅くない?」
あぁ気付かれた。1人で抱え込んでいた不安が一気に溢れだし、何も言えないまま泣き出してしまった。やっとの思いで
「遅れてるの」
とだけ伝えた私に、健太郎君はさらっと言ったのだ。

「そっか〜・・・・俺、咲良ちゃんの親に殴られに行かなきゃね」

その時の私の気持ちを、どういえば表現できるのだろう。

まだ18歳の、大学1年生の2人だ。結婚して産むなんて選択肢は考えられない。じゃぁ堕ろすしかない?友達に相談して病院を紹介してもらおうか、お金はどうしようか、考えたくもない事をそれでも精一杯考えようとしてた私とは逆に、健太郎君は逃げずに親に話そうと受け止めてくれたのだ。

結果的にはその数日後に生理が始まって、遅れてただけだったんかい!と脱力したわけだが、その時の健太郎君の反応が見れただけでも私にとっては価値ある事だった。この人なら私を守ってくれる。本当に大事にしてくれる。心からそう信じられた出来事だった。


今でも思う。

健太郎君ほど一途に私を想ってくれた人は他にいないだろう。あんなにも『愛される自信』に満たされた事は他にない。きっかけこそいい加減だったかもしれないが、健太郎君と付き合った事は幸せだった。


でもそんな健太郎君との恋愛も、2年で終わってしまった。大学2年の春からバイトを始めた私が徐々に忙しくなり、気がつけばデートは全て私の都合に合わせるようになっていた。私が空いてる日。私が空いてる時間。私の都合で彼を振り回し、いつのまにか気持ちに温度差が生じてしまった。

「無理して会ってくれなくていいよ。最近の咲良ちゃんは“会いたいから”じゃなくて“約束してるから”俺に会いに来てるよね?・・・・少し距離を置こうか」
そう言われたのは、大学2年が終わった春休みに入ってすぐの頃だった。私は泣いて嫌がった。泣いて泣いて、結局
「春休みが終わるまで時間を置こう」
という事になった。健太郎君が言った事は事実だった。そして彼自身も、そんな状況に疲れ、それでも別れたくないと思うほどには私を想っていないかもしれない・・・とう感じ始めていたのだ。

それから2週間後、偶然私の友達が健太郎君に会った。その時に彼女が
「ちょうどよかった。これ咲良に渡してくれない?」
と言って何枚かの写真が入った封筒を託そうとしたら、健太郎君は
「ごめん、別れたから次いつ会うかわかんないから」
と断ったのだそうだ。
「・・・って言ってたけど、本当なの!?」
と友達が驚いて電話をくれて、私は絶望した。彼の中ではもう終わってしまったのか。しばらく時間を置いて、それから話し合えば元に戻れると思ってたのは甘かったのか。いつのまにか、私を想ってくれる彼の気持ちに甘えて、私は彼を大事にしてなかったのかもしれない・・・・

絶望しながらも私は彼に電話をかけた。本当に終わってしまうのなら、きちんと話してからにしたい。そう言って会う約束をした。そして会って・・・・その時は仲直りをした。会ったらやっぱり好きだと思い、
「もうちょっと頑張ってみよう」
と泣きながら話し合い、別れない事にした。



でも結局ダメだった。



それから2ヶ月ぐらい経った頃だったろうか。最初は違う話をしてたのだ。でも何かのはずみで私が
「健太郎君のそういうとこだけは好きになれなかったな」
と言った。
「・・・・・それはもう終りって事?」
と彼が冷静に言った。無意識に、私は過去形で話していたのだ。

そんなつもりはなかったのに、いつのまにか私の中で健太郎君への気持ちが終わってしまってたのだろうか。自分の言葉に驚き、諦めたような健太郎君の言葉を否定する事もできず、そのまま私達は本当に終わってしまった。大学3年になってすぐの春だった。


しばらくはぼーっとしていた。会わずにいるとそれは別に不自然な事ではないようにも思えて、やっぱり別れた事は正解だったのかな・・・と思う日もあれば、なんであんな話になっちゃったんだろうと悔やむ日もあった。でもそれも時間が経つうちに薄れていき、私は“1人”の日々に慣れていった。健太郎君はサークルを辞め、いつのまにかサークル内でも私達が別れた事は知れ渡っていた。

一度、校内で健太郎君をみかけた。少し遠かったけど、目が合ったと思った。・・・・・次の瞬間、強い力で目をそらされて、それは思った以上に私を落ち込ませた。私はそんなに彼を傷つけた?

どうする事も出来ないまま日々は過ぎ、半年ほど経った大学3年の冬、私は偶然ライブハウスで彼に会った。一瞬うろたえたが、自然に挨拶をする事が出来たと思う。健太郎君も、自然に答えてくれた。

その後、街で健太郎君をみかけた。彼女と一緒だった。私には気付いてなかったようで、楽しそうだった。あぁ良かったと思った。

でもその時ふと思い出したのだ。付き合ってた頃に、健太郎君に手編みのマフラーをあげた事があった。あれはまだ彼の手元にあるんじゃないか?だとしたら、それは彼女にとって決して気持ちのいいものではないだろう。そう思った私は、彼のアパートを訪ねていったのだ。マフラーを返してもらいに。


急にアパートを訪れた私を見て、当然健太郎君は驚いた。訪ねてきた理由を話すと、
「律儀だね」
と苦笑しながらマフラーを返してくれた。その時に、別れて以来初めてちゃんと話をする事が出来た。そしてそれ以来、私達はまた時々連絡をとるようになった。

もちろん、彼女がいるんだからそこからどうこうなるわけではない。ただ、時々電話したり会って食事をしたり。でも『別れた人と友達になる』という私にとって初めての経験は、少し私を浮かれさせた。

卒業を間近に控えた大学4年の冬、私はどうしても困った事があり、健太郎君を呼び出した。

その困った事とは、返してもらったマフラーの処分。返してもらったはいいが、私はそれを捨てきれずにいたのだ。悩んだ挙句、その頃にはすでに彼女とは別れていた健太郎君にもう1度それを渡そうと考えた。


でも、今になって思えば、それは口実だったような気がする。その頃の私は弱っていた。バイト先の学習塾で、新しく代わった上司と合わなかったのだ。バイト生の中では中では最古参だった私と、中途採用されてすぐ配属された同性の上司。向こうから見たら、自分より年下のバイトのくせに他のバイト生に妙に慕われ、生徒の父兄にも進路相談をされるぐらい信用されていた私が鬱陶しかったのかもしれない。バイトのシフトを減らされ、新人バイトの歓迎会に私だけ誘われなかった事もあった。なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ・・・と理不尽な状況にイライラしてる中、私が受け持っていた生徒が相次いで2人塾を辞めたのだ。

冷静に考えたらその2人が辞めた事は私の責任ではないのだけど、ただでさえ落ち込んでいた私には充分な駄目押しだった。私はそんなにダメなの?そんなに私は役に立ってない?私は必要ない?そんな思いに捕らわれ、自分の就職が決まってない事もあいまってとても不安定になっていた時期だった。


会って、食事をした。


そして私達は結局ホテルに行った。そうせずにはいられなかった。理由は話さないまま泣く私を健太郎君は黙って泣かせてくれて、私達は約2年ぶりに抱き合った。

別れ際、私は例のマフラーを彼に渡した。自分では捨てられなかったから、良かったらもらってほしい。使わないならあなたに捨てて欲しい・・・・そう言った私の手からマフラーを受け取り
「じゃぁ次に彼女ができるまで使わせてもらうね」
と言ってくれた。

家に帰ってまた泣いた。いい人と恋をしたな、という思いと、そういう人となぜダメになってしまったのだろう、という思いで。結局、私は大学にいる間は健太郎君以外の『彼氏』はできなかった。彼が、私の大学時代の恋のすべてだった。



2005年11月16日(水) 恋愛遍歴(高校時代編)

最近みつけたあるブログの過去ログを見てたら、その人が自分の過去の恋愛を振り返ってる日記がありました。

それを読んで、なんとなく私も思い出してみようかなと思いました。


ただそれだけの理由なんだけどね。お暇な方はお付き合いくださいm(_ _)m あ、ちなみに文中に出てくる男性は全員仮名です。




初めて“彼氏”と呼べる存在が出来たのは、高校に入ってすぐの頃だった。部活の先輩だった中田さん。入部してすぐに仲良くなって、友達と一緒に放課後3年生の教室に遊びに行っておしゃべりしてた時に中田さんが
「彼女ほしー!!」
と言ったので冗談交じりに
「なってあげようか?」
と言ったら
「マジで!?よし、なってくれ!」
と(笑)その後ほんのちょっと2人になったスキに
「さっきの話、本当に付き合わん?・・・俺はマジで好きだから」
と言われて、ビックリしつつも、楽しくていい先輩だなーとは思ってたので思わず頷いてしまったのだ。

すごく喜んでくれたのだけど、いざ付き合い出してみたら私の気持ちがついていかなかった。校内で偶然会ったりすると本当に嬉しそうに手を振ってくれる中田さん。それをなんとなく恥ずかしいと感じてしまった私。友達と話してて教えた電話番号を隣で聞いてて覚えた、と言って夜電話をくれた中田さん。それを重いと感じてしまった私。

結局わずか1週間で私が疲れ果て、10日と経たないうちに友達を通じて
「やっぱりごめんなさい」
と断ってしまった。

今にして思えば、本当に申し訳無い事をしたと思う。もう少し時間をかけて私の中にあった好意を育ててから付き合い始めたら、うまくいってたのかもしれない。中田さんが卒業後、別の先輩が部活に顔を出してくれた時に
「あーそういえばこの前、街で中田に会ったよ。彼女と一緒だった」
と聞いて心からホッとしたのを覚えている。


次に付き合ったのは、他校の友達の紹介だった。友達の彼氏の友達、というよくあるパターン。初対面の印象は悪くはなかったものの、正直に言えばあまり好みではなかった。でも向こうが妙に気に入ってくれた事と、友達の紹介なので断り辛い・・という気持ちが働いた結果付き合う事に。

でもこれも長くは続かなかった。電話をくれる。でも話してて楽しくない。
「2人とも音楽好きだから話合うんじゃない?」
と言って紹介してくれた人だったんだけど、聴くジャンルがまるで違ったのだ。決定打だったのは、私がTM NETWORKが好きだと話したら
「TMかぁ・・・俺、あーゆー打ち込み系嫌いなんだよね」
と言われた事(苦笑) 趣味が合わないだけならまだしも、相手が好きだと言ってるものをそこまであからさまに“嫌いだ”と口にする無神経さにガッカリし、
「2人で会いたい」
と言われるのをなんだかんだと理由をつけて1ヶ月近く断り続け、ついに耐えられなくなって紹介してくれた友達に
「ごめん、あの人断ってもいいかな」
と半泣きで打ち明けてやっと『お断り』した。結局1度も2人で会ってないんだから付き合ったとカウントしていいものか悩むとこではあるんだけど(笑)TMが嫌いな人とは付き合えないな〜と自覚した貴重な事例である(^^; 申し訳無い事にもう名前も覚えていない。


その後も、かなりのブランクをおきながら時々“彼氏”はできた。でもそのすべてが『友達の紹介でとりあえず付き合ってみた』とか『告白してくれたのでとりあえず付き合ってみた』とかばっかりで、どれも全然続かなかった。だって結局前述のTM嫌いな彼の“1ヶ月”が高校時代の私の最高記録だったのだ(苦笑)今になって客観的に考えてみると、あの頃の私はただ『彼氏がほしかっただけ』で、好きだから付き合いたいとかそういうのではなかったと思う。彼氏とどうしたこうしたと友達が話すのが羨ましくて、そんなに楽しいのなら私も彼氏がほしい・・・と、彼氏がいれば楽しいのかなと浅はかに思い込んでいただけだ。

そういう恋愛とは呼べないようなものをいくつか繰り返した結果、
「やっぱり好きでもないのに付き合ってもダメだ」
という極めて当たり前の結論に達し、それ以降は彼氏がほしいと思わなくなった。そしてそのまま高校を卒業した。



2005年11月15日(火) 結婚式はめでたいねー。

今日はテレビ見てたらこの話題1色でしたねぇ。会社のお昼休みにも、いつもなら『いいとも』なんだけど今日だけ他局のニュース。


夜も、次郎君とテレビを見ながら紀宮さまの話題になりました。ただおもしろいのは、男と女じゃやっぱり微妙に視点が違うのね。

会社でパートさん達と話してた時は
「紀宮様って彼氏いた事あるのかな?」
「いやーどうなんでしょうねぇ。周りも気軽に告れる感じじゃないでしょうしねぇ」
とか
「でもやっぱりなんとなく、結婚決まってからちょっとかわいくなったと思いません?」
とか
「家事とか一通りは習ってるそうですね〜」
「でもしばらくはやっぱり大変だろうねぇ」
とか
「いやーでも正直、黒田さんってちょっとむっつりスケベっぽく見えません?」
とか(笑)←失礼

そんな事を言ってたんだけど、次郎君が仕事関係の人とその話題になった時は
「この人って、もし離婚したらまた皇族に戻れるんですかね?」
とか
「しかし天皇家のお嬢さんを嫁にもらうって大変だろうな〜」
とか
「40いくつと36でしょ?これから子供とかどうするんですかねぇ」
とか言ってたんだって。

・・・・・・・離婚しても皇族には戻れないんじゃないか?(苦笑)黒田さんってたしか秋篠宮殿下の同級生なんだよね?だったら『天皇家のお嬢さん』っつーより『同級生の妹』って感じなんじゃないの?とかなんとか話ながら見てました。

披露宴も120人ぐらいの(立場を考えると)こじんまりした規模で、無意味に豪華な打掛やドレスじゃなくて“お母さんの着物で”ってとこがなんか微笑ましかったですね。お2人の入場を見つめてた天皇・皇后両陛下が普通のお父さんとお母さんの顔をしてるなぁと思いました。本当に普通に、娘を嫁に出すお父さんとお母さんの顔だなぁって。

なんか、見ててとっても温かい感じでした。何より御本人達がとっても幸せそうにニコニコしてて、素直に
「末永くお幸せに」
って思いました。やっぱ人の結婚式はいいね。見てて幸せのおすそ分けをもらったような気分になります。




今日の夕飯
・フライ各種
(エビフライ、チキンカツ、豚肉のアスパラチーズ巻き。本当は玉ねぎも揚げようかと思ってたんだけど、そんなに食えるか?と思い中止。アスパラと一緒にとろけるチーズを巻いてた奴が好評でした)
・根菜スープ
(これが・・・・・・久々に失敗しました。玉ねぎ、ジャガイモ、人参を小さ目の角切りにしてコンソメと塩、塩胡椒で煮込むシンプルなスープなんだけど、いつも余るからと全体量を少なめにしたのについうっかり調味料をいつもどおり入れちゃったんですね。胡椒が効き過ぎて、先に食べた私はまだ“あーちょっと塩胡椒が多かったかな”ぐらいで済んだんだけど、鍋の最後の1杯を食べた次郎君は思わず吹き出しかけたほどパンチの効いた味に。←物は言い様だ。  1口食べてみてさすがに私から「ごめん、これは残していいよ」と謝りました。やっぱりちゃんと味見はしよう)
・エビフライ丼
(次郎君だけ。1人分だけ丼の割り下を作るのが面倒だったので麺つゆをベースに手抜きで作ったら「これはこれでおいしいんだけど初めて食べる味」と言われてしまいました。試食させてもらったら、確かにおいしい事はおいしんだけど、普段食べる丼物とはあきらかに違う味・・・・。手を抜くとろくな事がないですね。反省)




2005年11月14日(月) チェリータルトがおいしかった。

昨日、日曜だったけど電話当番のため出勤してました。

ん〜、日曜から金曜までの6連勤はきついなぁ。まだ体調もあまり本調子じゃないし、どこかで1日有給でも取ろうかな?あ、そういえば今日は私がメインで使う経理関係のシステムが運休なんだっけ。って事は今日は比較的ヒマだな。


・・・・・・・・今日休んじゃダメかな?


というわけで、急遽午後から半休をもらいました(笑)よし、この機会に実家に冬物の服を取りに行こう!

最近急に寒くなったじゃないですか。こんなに急に寒くなると思ってなかったので、ちょっと前に服を取りに行った時は七部袖のカットソーとか薄手のニットとか、いわゆる“秋物”しか持ってこなかったんです。おかげで急に肌寒くなったここ数日、着る物がない(苦笑)次郎君の(もう10年ぐらい着てるらしい大分よれよれの)パーカーとか借りて着てたんですね。


今日はお母さんが定休日でいるはずだったのでメールを入れて、一緒にお茶でもしようとケーキを買って実家へ。ケーキとコーヒーでのんびりおしゃべりして、さて2階の自分の部屋へ。

これはさすがにもう着ないかな〜。
これ、確か大学の頃から着てるよね。もう元は取ったよね〜。
これは・・・・・(あまり言いたくないが)多分もう入らない(泣)
あ、これ気に入ってたのに虫が食ってる!

とかなんとか言いながら服を分けていく事しばし。最終的に持って行く服は45リットルのビニール袋2杯分になりました。冬物はかさばるからな〜(^^;

ついでにコートとかスーツとか(来月、トモエの結婚式もあるからその服とか)も一緒に持って行く事にして、さらについでにここ数日読みたかった本も何冊かチョイス。さらにおまけに昨日お父さんが作ったというだご汁(標準語だと“団子汁”なんだろうな)の残りももらって車に載せたら、リアシートと助手席が埋まりました。

・・・・・・・・これ、私1人で降ろすの大変だな。


夕方になってじゃぁね〜と実家を出発。5時ごろ家に着いたら、あら?次郎君の車があるじゃないの。

なんでも今日の仕事が急にキャンセルになったそうで、結局休みだったんだって。私もびっくりしたけど、早くても6時半ぐらいに帰ると思ってた私がいきなり5時に帰ってきたから、次郎君も相当驚いたみたいでした(笑)これで次郎君がアダルトビデオとか見てたらそれはそれでおもしろかったんだけど(爆)彼が見てたのは昨日録画してた『ワンピース』でした(^^;


荷物を降ろすのを手伝ってもらった後、珍しく平日にバスケの練習が入ったという次郎君は7時ぐらいに出かけました。いつもは練習は日曜の夕方なんだけど、昨日は試合だったからなかったんだよね。・・・・昨日負けたらしいから今日も練習する事にしたのかな?1人で夕飯食べてテレビ見て、10時過ぎに帰宅した次郎君に夕飯出して。


後片付けをしてたら突然次郎君が
「明日の夕飯何?」
「・・・・いや、さすがにまだ何も考えてないけど」
「じゃぁねぇエビフライが食べたい」
「エビフライですか・・・」
「うん。で、ご飯はエビフライ丼にする!」
「?エビフライ丼?」
「エビフライを卵でとじてご飯に乗せるの。つまみはただのエビフライで」



どんだけ大量にエビを揚げろと!?(笑)



まぁ久々のリクエストですから頑張りましょうかね。こないだカツ丼が食べたいって言われた時に
「カツを揚げるのが面倒だからイヤだ」
と却下しちゃったからな(鬼)ついでに白身魚とか貝柱も揚げるか。あ、アスパラのフライをこないだ気に入ってたみたいだからそれもしてあげるか。




今日の夕飯
・麻婆豆腐
(実は昨日作ったんだけど、試合の後反省会と称して飲んできた次郎君、自分でリクエストした炒飯だけでお腹一杯になったらしくて手をつけなかったんです。なのでそのまま今日の夕飯に横すべり。次郎君は麻婆丼にして食べてました。・・・・で、明日はエビフライ丼?)
・お父さんのだご汁
(団子汁というよりあくまでも“だご汁”と呼びたい。醤油ベースでおいしいのよ〜。うちではだご汁に関してはお母さんよりお父さんがうまい)


この『今日の夕飯』、久しぶりに書いたな。最近体調不良を理由にあまりきちんと作ってなかったんだよね。作っても1品2品だったり。まぁ今日もちゃんと作ってはいないんだけど、せっかくなので書いておこう。



2005年11月12日(土) 珍事件発生。

昨日の朝の事です。

なぜか目覚し時計が鳴るより随分早く目が覚めた私。せっかくなのでそのまま起きる事にしました。次郎君を起こさないようにそーっとベッドを出て、1人で1階へ降ります。

コタツの上にとりあえず携帯を置いて、テレビでもつけようかな・・・・としてふと気付きました。なんか庭先で人の気配がする。

え、なんでこんな時間に?まだ夜も明けきらないような早朝に、人んちの庭で誰が何をしてるっていうのさ。

レースのカーテンだけ閉まってる状態の縁側。外から見えないように縁側に腹ばいになってこっそり外を見ると、2人の人影が。


20代後半・・・私と同い年ぐらいかなって感じの女性と、6〜7歳に見える女の子。なんと2人で、そこに干してあった洗濯物をどこかに運んでいるじゃないですか!洗濯物泥棒?いや待て、洗濯物っつーか要するに服泥棒!?

しかしちょっと待て。よーく見ると・・・・・そこに干してある洗濯物は・・・・うちのじゃない。

外から聞こえてくる2人の会話。
「早くしなさい!ここの家の人が起きてきちゃうじゃないの!」
「お母さん、これも?」
「そうよ、全部うちのよ!」

・・・・・・・・・・・・えーと、つまり・・・・


この洗濯物はこの人達の物なのか。つまりうちの洗濯物を盗んでるわけじゃないくて、夜中にうちの庭を勝手に使って洗濯物を干し、朝から私達が起きる前に取り込んでしれっと逃げようとしてる・・・って事かい?

あまりに予想外の事態に唖然としつつも、はたと我に返るとやはりこれはなんか許せない。なに人んちの庭を勝手に使ってんだよ。しかも、本来そこに干してあったはずのうちの洗濯物はどこに行ってるんだ?

ここで直接声をかけて脅かしてもいいんだけど、それじゃつまらない。ここはやはり証拠になるものを押さえた上で、言い逃れできない状況でとっつかまえてやらねば!!

そーっと居間に引き返し、コタツの上に置いてた携帯を手に取りました。庭先に置いてある見なれない車。多分この人達のだろう。ナンバーと車種を携帯カメラに収めて、証拠を残すのだ!

しかし、写真を撮ろうとしてビックリ。建物にギリギリ接触する直前までバックで寄せてある白いセダン。家に近づきすぎてて、ナンバープレートも車種が書いてある所も見えない!くっそ〜どうしてくれよう!?そうこうしてる間にも、親子はどんどん洗濯物を運んで行きます。


ん?ちょっと待てよ?

この人達、洗濯物をどこに持って行ってるんだろう?


結構な量の洗濯物。しかも、途中まで運んだら残りは物干し竿ごと運ぶという荒業。とてもじゃないけどここにあるセダンには乗らない。そして実際、この2人はこの車には積み込まずに、家の外周をぐるっと廻って別の所へ運んでいる。


これはきっと、反対側(玄関側)にもう1台搬送用の車があるに違いない!


そう気付いた私は、足音を立てないように玄関の方へ廻りました。2人が庭先にいるタイミングを見計らってそっと玄関を開けます。



ビンゴ!!

なぜかまた白いセダンなのは少々腑に落ちないものの、洗濯物が無造作に詰めこまれてしかも『いつでも逃げられるぜ!』とばかりにエンジンがかかった車がもう1台!

こっちは玄関の作り上、ナンバーが見えないほど建物に寄せて停める事はできません。ナンバーも車種もばっちり丸見えだ!!


・・・・・・・・・・・と、意気揚揚と携帯カメラを構える私。しかしここでちょっと困った事態に気付きました。






ナンバーが見えない。



いや、何かで隠れてて見えないわけではなくて、純粋に、視力が足りなくて見えない。

起き抜けの私。当然コンタクトをまだつけてません。そしてなぜか、いつもならかけてるはずのメガネもかけてない。これじゃナンバーが見えない!

どうしよう?せっかく写真に撮っても見えなかったら意味がない。いや、とりあえず撮るだけ撮っておけば最先端の科学技術で再現できるだろうか?

あれこれ悩んでる間に、親子は洗濯物を積み終わったようです。玄関の中で途方に暮れてる私には気付かずに、車を飛ばして去って行きました・・・・・・・。


しかたなく居間に戻ります。くそぅ、まんまと逃げられてしまった。しかしどうやら、あの様子だと奴らは常習犯だ。きっとまた来るに違いない。その時こそ、動かぬ証拠を押さえてギャフンと言わせてやるのよ!!!



はて、そういえばうちの洗濯物はどうなったんだろう?ふと気付いて庭を見てみると、どこかに移動させられていたらしい我が家の洗濯物はそこに戻ってきていました。ただ、よほど慌てたのでしょう。物干し竿の片方がきちんと所定の場所に乗っておらず、地面に落ちてます。そのせいで洗濯物も一部地面に落ちてるじゃないか!雨上がりで地面が濡れてるから、落ちた洗濯物は土まみれ。すぐ取り込んで洗いなおさなきゃ。いや、その前に次郎君にこの現状を見てもらった方がいいんだろうか?どうしよう、どうしようと考えている間に雨が降ってきたよ!このままじゃ他の汚れてない洗濯物まで巻き添えだ!急いで取り込まなきゃ!!と庭に飛び降りた






・・・・・・・・・・・・・・・・・・ところで目が覚めました。





はい、途中でお気づきの方もいらしたかと思いますが、ごめんなさい。夢オチです(爆)



起きてしばらく呆然としました。なんだったんだ?今の夢は。

落ち着いて考えてみると、不自然な点がざくざく。まず、私が『夜も明けきらない早朝』に『目覚ましが鳴るより先に』起きる事自体がありえない。仮に目覚ましより先に起きたとしても、
「なんだよーまだ時間あるじゃん」
と目が覚めてしまった自分に怒りながら二度寝しますよ、私は(笑)

洗濯物も、私は夜の間外に干しっぱなしなんて絶対やりません。っつーかそれじゃ乾かないだろう。

さらに、うちの庭には車は入れません。いや、厳密に言うと入れない事もないんだけど、うちの庭で『建物に接触するギリギリまでバックで寄せて停める』事は出来ないんです。もし出来ても、今度は多分出れなくなる。

庭と玄関に1台ずつあった車。玄関にあった方は親子が乗って逃げたとして、庭にあった方は?後から見に行った時にはなかったんですよ。誰か共犯者がいたのか?さらに言うなら、セダンに物干し竿は乗るか?(やり方によっちゃ乗るかもな・・・)

自分がコンタクトつけてないからって、カメラで撮る画像には影響ないでしょ(笑)それに気付かなかった自分もヘン。


そして最後に気付いた最もおかしな点。






夢の中で私がいた『家』は、次郎君と住んでる今の家じゃなくて実家でした(爆)だから最初の方で『1階に降りる』なんて記述が出てくるんですね。(うちは平屋です)しかしそうなると、夢の中で私は、実家の自分の部屋で次郎君と一緒に寝てた事になるのか。夢の中の寝室は今の家の寝室そのままだったんだが(苦笑) ちなみに実家だと、どう頑張っても庭に車は入れません。


起きたら本当に雨が降ってました。雨音が夢に侵入したと思われます。


普段から変な夢ってよく見るんだけど(っつーか夢って大概どこか変だよね?)、その内容をこれほど詳しく覚えてる事が滅多にない。せっかくなので書き残してみました。誰か、夢判断とかできる人いらしたらお願いします(^^;



2005年11月10日(木) 「お客さまは神様です」?

夕飯の後2人でテレビ見ながらだらだらしてた時の事。次郎君の携帯がなりました。どうやら仕事関係だったようで、しばらくあーだこーだとしゃべってから切る。

「今の電話Nさんだったんだけどさぁ」
Nさん・・・・あ、次郎君がお世話になってる業者さんね。顔は覚えてないけど、結婚式にも来てた人だ。
「こないだ一緒にメシ食いに行ったんだよ」
はいはい、こないだ急に
「ごめん、外でメシ食って帰ってきていい?」
と電話をくれた時ね。

以下、話を要約。



次郎君とNさんと、もう1人仕事関係の人と3人で食事に行ったんだって。いわゆる『100円寿司』。1皿100円の回転寿司ね。そこで彼らは、同じ物を3皿注文したそうな。3人とも同じ物が食べたい。でも3皿続けて廻って来ない。じゃぁ注文してしまえ、と。

で、店員さんが持ってきたんだけど、右手にお寿司が2カン乗った1皿、左手に皿を2枚重ねてその上に4カン乗せて持って来たんだって。


・・・・・・・はぁ。何か問題でも?


そしたら、Nさんが苦情を言ったらしい。いわく、
「3人で3皿頼んでるんだから、ちゃんと3皿で持って来いよ」
と。店員さんの言い分としては、単純に“持てなかったから”らしいんだけど、Nさんは
「それはそっち(店側)の都合だろうが」
と。他にも食べようとしてる寿司があるんだからそれぞれに食べたい順番もあるし、小皿に醤油を出してそこにお寿司をつけて食べる人もいるし、寿司が乗ってる皿に直接醤油をかける人だっている。人によって違うんだから、3人いるってわかってるんならちゃんと皿3枚で持って来い、って。



次郎君は、
「まぁNさんの言う事も正論なんだけどね」
って笑うんだけど・・・・・


あのさぁ、結果的にお寿司は6カンあって皿は3枚あるわけでしょ?

だったら、空いてる皿にお寿司を2カン移せばいいじゃん。んで1人1皿取って好きに食べればいいんじゃないの?

そう言うと
「ん〜・・・ちょっと違うんだよなぁ」
との事。と言われても何がどう違うのかわかりません。

私だったら、店員さんがそうやって持ってきたら
「あー持ちきれなかったんだなー」
とか
「お盆とか使えばいいのに」
とか思うだけなんだけど。


次郎君は、どっちかって言うとNさん寄りの考えなんだって。こっちは客で、お金出す方なんだから、店の都合でどうこうしてほしくない、と。

わからなくもないけど、向こうにだって都合ってものはあるじゃん?そりゃー今回の話でいくとそれは単に「持てなかった」ってだけの事なんだけど、そんな目くじら立てるような事でもないと思うんだけど・・・・(--;


っつーかね、話がちょっと逸れるけど、私この
『客なんだから』
とか
『金出すんだから』
っていう考え方嫌いなんですよ。


ま、それは確かにそうですよ。こちらは客で、お金を払う方です。でもさぁ、いくらこっちがお金払っても、お店が食べ物を出してくれなかったら食べられないわけでしょ?“食べ物を提供してもらう”と“お金を払う”っていう立場は、じゃなくてだと思うんですよ。お店の態度次第でその店を選ぶか選ばないかっていう選択権はこっちにあるんだけど、その点を加味してもやっぱりじゃなくてせいぜいだと思うの。

味やサービスに満足しなかったんなら、今後その店に行かなきゃいいだけの話。だからこそお店側は今後もお客さまに選んでもらえるように、おいしいものを出そうとか店員の質を上げようと努力するわけじゃないですか。

どうしても『金出すんだから』って言うんだったら、
『金を払うのはこっちなんだから、店内ではこっちの言う事が当然』
じゃなくて
『金を払うのはこっちなんだから、どの店を選ぶかはこっちに選択権がある』
ていうだけだと思うの。

(あ、もちろん、あからさまにサービスが悪かったので代金を払うに値しない場合なんかは別ですよ。あくまでも、最低限きちんとした料理やサービスを提供してもらう事が前提です)


実際ね、私は店員さんにもやたら愛想がいいとか腰が低いとかで次郎君に驚かれる事がたまにあるんだけど、それって最終的には自分が得をする事が多いんですよ。


自分が店員の立場で考えるとわかりやすいんですよ、これ。


たとえば、私と次郎君も以前バイトしてたレンタルビデオショップ。当然、常連さんっていうのがたくさんいました。でもその常連さんにも2種類あるわけです。

「こっちは客だぞコラ」
とばかりに無茶な要求をする人。具体的には、
「○○の新作が入ってきたら、必ず自分に連絡をして最初に自分に貸せ」
「○○のシリーズが出たらダビングしてくれ」
(←場合によっては違法です)
とか。

こういう人って、こっち(店員)としてはやっぱりイヤです。もちろん新作の貸し出し予約はできるんですよ。でもそれはあくまでも先着順。先に予約入れてる人を無視してその人に先に貸す事は出来ません。っつーかそれができるんなら、予約の意味がないだろう。

1回
「このお客さんイヤだな〜」
と思っちゃうと、もうダメ。もちろんその当人を目の前にして態度に出したり、新作が出てもわざと連絡しないなんて事はしません。でもバイトの間でその人は『イヤなお客さん』としてブラックリストに載っちゃうし、たとえばその人が好きな俳優の別シリーズが出るよーなんて事があっても教えてあげたくない。


逆に、いい感じの常連さんってのもいます。ささいな事ですよ。帰る時にいつも
「お疲れさん」
って言ってくれるとか、時々バイトに缶コーヒーを買ってくれるなんて人もいました。

そういう人にはやっぱりこっちも良くしてあげたくなるわけですよ。新作が入荷して、レンタル商品にするための処理をしてる途中でたまたまそのお客さんが来た時に、
「あ、●●さん、△△△が入ったら見たいって言ってましたよね。今日入荷しましたよ。今商品登録してるんで、帰りに借りていきます?」
とか教えてあげちゃう。
「今度俳優の□□さんの新作Vシネ出ますよ。見られるなら予約入れておきましょうか?」
とか教えてあげちゃう。時には入荷作品を決める段階で
「あ〜、●●さんがこれレンタルに入るといいなって楽しみにしてなかったっけ。新作で入れてあげようか」
なんて話にすらなる。(うちの店は、店長だけじゃなくてバイトも入荷管理に関わってたんです。お客さんのナマの評判を一番知ってるのはバイトだからね)


これだけ考えてもわかりますよね。別に無意味に店員さんにへりくだれって言うんじゃなくて、店員さんにもいい気分になってもらった方が、自分が良いサービスを受けられる可能性が高くなるって事です。

いやもちろん、接客業である以上、お客さんによって態度を変えるような事しちゃいけないというのは判ってます。それでもお金をもらってるんですから、最低限のサービスはするべきです。でも店員だって人間ですよ。どうしても個人的な好悪の感情が多少は接客態度に影響したりもするでしょう?


最初の回転寿司の話に戻るとね。

確かに、『持ちにくいから』という勝手な判断でそういう出し方をした店員さんは良くなかったかもしれない。(でもそれも受け取る側次第だけどね。全然気にしないって人もいるから) だからってそういう苦情の言い方はどうなのかなーと。

気に入らなかったのならもう行かなきゃいいんです。また行くんだけどどうしてもそれは気になるってんなら、店長さんとかに
「こういう出し方をされたんだけど自分はそれはちょっとイヤなので、今後はそういう時はお盆を使えとか指導してくれませんかね」
とかさらっと言えばいいでしょ。

っつーかぶっちゃけ、しょせん『100円寿司』にそこまで要求する事自体がどうなんだ、とも思いますがね。だったらちゃんとした寿司屋行けよ。100円の店は100円なりのサービスでもしょうがないじゃん?



居酒屋の店長と仲良しになってると
「これ今度出そうと思ってる新作なんだけど、試食してみる?」
なんつってメニューにない物を出してくれたりとか。

コスメコーナーのお姉さんと仲良くなってると
「これ、今度出た新作ルージュのノベルティグッズなの。試供品と一緒にあげるね」
なんつって本当は買わなきゃもらえない物をくれたりする。

美容師さんと仲良くなってると
「いつも来てもらってるから、今日のヘアセット代、端数はサービスするよ」
なんて言って代金をまけてくれたりする。

エステのお姉さんと仲良くなってると
「今度こういう新メニューが出るの。特別にちょっとだけ試してみる?」
なんつって本当は有料のお試しコースをタダでさせてくれたりする。

ガソリンスタンドの店員さんと仲良くなってると
「あ、割引券の期限切れてますね・・・いいですよ、間に合った事にしときましょう」
なんつって割引してくれたりする。


これ、全部本当にあった事ですよ。


そういう話を次郎君にもしてみるんだけど、彼は彼なりに接客業をやってた時代に経験した
「客だからと横柄な態度をとられた記憶」
なんかがあるもんだから、こっちが客の立場の時に多少偉そうで何が悪い?という感覚がどうしても抜けないらしくて。

それって自分が損してると思うんだけどなぁ。



2005年11月08日(火) 「理由・日テレバージョン」を見たが

なんだったの?あれ。

最初は、単純に「理由」をドラマ化したんだと思ってたんですよ。宮部みゆき大好きなので、これは見なきゃ!と楽しみにしてたんですが。

見始めてすぐに
「なんじゃこりゃ?」
となりました。なんかへんなインタビュー形式っつーか回想形式になってて、ワイドショーみたいなテロップは出るし見辛い事この上ない。しばらく見てて映画の撮影シーンが出てきた辺りで
「あー映画の製作ドキュメントっちゅーか、メイキングっぽくしたいのかな?」
と思ったんですが、なぜかいきなり『ズームイン!特別報道番組』とやらのセットとキャスター2人は出てくるし。CMの度に
『CMの後もまだまだ続きます!』
とバラエティみたいなテロップが入るのも鬱陶しかった。

映画のメイキングなのか、実際にあった事件と仮定した特別報道番組っぽくしたいのか、なんなのさ!?と思いながらもとりあえず見続けましたが、最後の方で
「・・・・・つまりは今度発売になるDVDの宣伝?」
って感じにまとめられちゃって呆然。

しかし宣伝にしちゃぁDVD(映画)の映像を流し過ぎだろ。しかもへったくそなダイジェスト版みたいになってて、あれだけ見たら作品の(と言うか原作の)本当の面白さはまったく伝わらないじゃないか。


寺田みのり(←漢字が出てこない)が出てた意味はあったのか?羽鳥くんとかのアナウンサーが出てた意味はあったのか?っつーか『発端』は一般的に『ほったん』と読むだろう。『はったん』と読み間違えて突っ込まれて、後で
「さいきんでは“はったん”とも読むそうですね」
とかフォローされて満足げに頷いてるんじゃねぇよ、そこの女子アナ。(←あまり興味ないので名前がわからん)アナウンサーの漢字の読み間違いやアクセントの間違いってものすごくムカつくのは私だけか?


正直なとこ、テレビ欄に騙されたって印象ですな〜。キャストの所に小林聡美の名前が結構最初の方に載ってたから楽しみにしてたんだけど(小林聡美好き)意外とチョイ役だし、やったらテレビ欄の上部に名前が出てた久本雅美なんてエンドロールで友情出演みたいな出番の短さ。

脇役がやたら豪華だった割に、主演クラスの人がこぞってマイナーだったのはなんで?


『模倣犯』の時も思ったけど、宮部みゆきの作品が映画化されるとイマイチ当たらない気がするのは気のせいだろうか。いや、映画そのものはヒットするの。でも私が気に入らない(笑)←何様だ 複雑に入り組んだ人間関係や事件の成り行き、登場人物の心の動きを、2〜3時間の枠で作ろうって事自体が間違ってるんじゃないか?おい。

あ、そういえば『模倣犯』、文庫になるんだっけ。いくらハードカバー上下巻で分厚かったとはいえ、文庫で全5巻て(^^; でも買う。


なんか悔しいので今度また『理由』の原作を読み返そう。










一応ちょっとだけ触れておこう。

本田美奈子.さんが亡くなられましたね。

特にファンだったわけではないけど、確か『1986年のマリリン』が流行った頃私は小学生で。遊びに来たみなとと一緒に歌って踊って遊んでたような記憶もあります。当時の1アイドルとして普通に好きでした。

その後しばらくテレビで見かけなくなって、気がつけばミュージカル女優としてすばらしい評価を得られてて、ニュースか何かで見た舞台で歌う彼女の歌声の力強さに感動したものです。あの細い体のどこから、こんなパワー溢れる声が出てくるのかと。


最近では決して不治の病ではなくなった白血病という病気。いつか完治して復帰されるのだろうと思っていたので、突然の訃報に本当に驚きました。普段からそういったニュースには弱い方なのだけど、テレビなどで流れる生前の様子や交流のあったいろんな人達からのコメント、さらには通夜の映像などについ涙が出そうになりました。

御冥福をお祈り致します。



2005年11月07日(月) プチ復活

御無沙汰してます。
咲良です。

「来週ぐらいには復活できるといいなぁ」
なんて書いてからあっさりと2週間が経過。ごめんなさい。

結局丸1週間会社を休み、先週から無事会社には復帰しました。しかしなんせ突発的に1週間も休んだもんだから仕事が溜まりまくり、その片付けに追われて会社では日記を書くどころじゃない。家に帰ったら帰ったで、まだ完全に体調は戻ってないのになんとか家事を出きる範囲でやろうとしちゃうもんだから、夜も9時過ぎには睡魔に襲われネットする余裕がない。

結果、My登録してる日記だけはなんとか目を通してたものの、自分の日記を書く余力が無いままこんなに間があいてしまいました・・・・・。


次郎君はもちろん、実家の家族やら一部の友達やら会社の人やらに心配をかけまくりましたが、なんとか出社できるまでには回復。まだ完全復活とはいきませんが、なんとかそこそこまともな生活を送っております。


ただ、まだしばらくは前のように(比較的)マメには更新できないかと・・・・多分自宅でネット繋ぐ余裕がないんですよ。体力的にも精神的にも。がんばって会社でスキを見て(笑)更新できたらいいな(^^;

そんな感じです。


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