世にもいい加減なネバーエンディング海外ドラマ
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2002年04月26日(金) ネルmyラブ 11

リチャード 「はーい、注目!・・・できる人だけ、とりあえず注目!彼女はサンドイッチとか
       軽食のデリバリーをしてる。主に昼食用だ。裁判が立て込んだり、プライベートも
       ごたごたがちで外食どころか、テイクアウトする暇もないうちのメンバーのために
       良かったら、彼女の配達コースにここを入れてもらおうかと思ってる。
       いい上司だろう?(自己満足)ただし、誰も頼まないんじゃ、彼女も通り損だからね、
       とりあえず、試行期間で来て貰う間、どんどん頼んでみて欲しいんだ!
       うまいから!」

サンシャイン「よろしくお願いします」
アリー    「じゃ、リンの紹介なんだ」
リン     「そんな子、知らない」
サンシャイン「(悲しげー)」
リチャード 「おーい、リン、学生相手にそうストレートに出る事ないだろう?
       君に会いたいってプロモートしてきたんだから」

ジョン    「君、覚えてないの?」
リン     「だって、会ったこともないもの、覚えられるわけない」
サンシャイン「(泣きそうに悲しげ度アップ)」
エレイン   「ねぇえ、あなた学生なの?まさか、弁護士目指してて、ここに取り入ろうとか?」
サンシャイン「(ウルッとなりそうなところ、奮い立って)学生ですけど、法学部じゃないです、
       そんな目的ではないです。これは、バイトです」
リチャード 「そうだよ、えっと美術方面だっけ?なかなかお金がかかるらしいよ、
       学費や画材費の足しにってバイトしてるんだ。みんなも協力してあげて。
       だいたい、ほーんとうまいから」
アリー    「あなたの口がじゃないの?」
リチャード 「うまいねー、アリー。でも、ここのサンドイッチ、おいしいのはほんと」

アリー    「そう、それなら、私、今日買ってみてもいいわよ。何があるか説明して、
        あ!だめ!あとで部屋にきて!忘れてた、この書類渡さないと依頼人
        帰れないんだった。エレイン、お願い」
エレイン   「じゃ、あとで、私もアリーと一緒に選んであげる、ふふ・・・」
サンシャイン「ありがとうございます!」

ジョン・マーク  「いい子じゃない」
サンシャイン   「(期待の目を向ける)」
マーク       「あーごめん、今度の時、絶対頼むから、悪いけど、これからすぐ
           出なくちゃいけないんだ」
サンシャイン   「はい」
ジョン       「で、君はなんで、急にここに営業にやってきて、そんな感じなのかな?」

サンシャイン 「あの、(リンに)私、サンシャインと言います。友達がリン・ウーさんの
        エスコートクラブと泥レスで以前働いてて、それで、私もお目にかかったことが
        あるんです。それで、とても素敵な人だなって、憧れてて、それがこの前、
        他のオフィスに配達に行った時、お見掛けして、それで」
ジョン     「あぁ、それでドキドキなんだ・・・ってリンに?」
リン      「(ジョンをガルル気味にチラッと見てから)サンシャイン・・・
         バカみたいな名前。それまさか本名?」
サンシャイン 「いえ、私、日本人で、日本の名前、発音しづらいっていわれて、ニックネームです」

リン      「あ、そう。それから、私のことリン・ウーってフルネームで呼ばないで」
サンシャイン 「はい、すみません」
リン      「それから、それで、それで、ってバカみたいな話かたもやめて」
サンシャイン 「はい、すみません。つい緊張してしまって」
リン      「・・・(じーっとサンシャインの目を見てるが何も言わずに去ってしまう)」

サンシャイン 「私、嫌われてしまったんでしょうか?何か失礼な事言いましたか?」
ジョン     「リンはいつもあんな感じだよ。気にしないで。悪気は無い・・・から(多分)」
エレイン    「そう、あの人、いっつもあんな感じなの。もう憧れたくないんじゃない?」
サンシャイン 「いえ、益々、かっこいいです」
ジョン     「リンが・・・かっこいい?」
サンシャイン 「はい!もう、思いっきり」
ジョン     「・・・」
エレイン    「ふふ、あなたっておもしろいわね。じゃ、アリーのとこへ来て」
         
          その頃ネルの部屋の前にリン。半開きのドアをノックしながら

リン   「どうも」
ネル   「・・・」
リン   「あら、どうかしたの?」
ネル   「なんでもない」
リン   「なんでも・・・ないの?・・・そう」
ネル   「何か用?」
リン   「いい・・・・(去る)」
ネル   「(PCの前で頭を抱えている)」

       リン、さっさっさとネルの部屋から出てくると

リン   「ね、さっきのバカな名前の子は?」
ジョン  「リン、失礼だよ。彼女ならアリーの部屋だけど、ひどいこと・・・」

       リン、ジョンの話も早々にアリーの部屋へ、ノックもせずに

リン      「アリーまだあの変な名前の子いる?」
サンシャイン 「う・・・います・・・変でもいいですけど、サンシャインです。
        覚えやすいと思ってつけたのに」
リン      「今日初めて会ったあなたに同情してる暇はないの」
アリー     「そりゃそうだけど、リン」
リン      「あなたは黙ってて。サンシャイン、買ってあげるわ。お薦めはどれなの?」
サンシャイン 「(驚いて)あの、これです、これは・・・」
リン      「説明はいいわ。おいしいんでしょうね?」
サンシャイン 「はい、それは、間違いなく」
リン      「じゃ、それを一つと、ターキー、マヨネーズ抜きであるかしら?」
サンシャイン 「はい、後一つありました!」
リン      「それをいただくわ。ぬか喜びしないで、口に合わなかったら二度と買わないから」
サンシャイン 「はい、ありがとうございました!」
リン      「・・・・(にこりともせず、さっさと部屋を出る)」
サンシャイン 「(ぽーっと見送る)」

つづく


2002年04月25日(木) ネルmyラブ 10

          裁判所、リンとネル、同じエレベーターの中、ジョンとジャクソンはいない
          どうやら、さっきの話の続きをしているようだ


リン  「ややこしい!」
ネル  「そうでもないわよ?普通にチャットルームで話すこともできるし、メーリングリストで
     全員にメールも流せるし、それが基本ね。でも、この人には、っていうのは個人的に
     メールも送れるのよ。もちろん、中身は他人に知らされないけど、事務局から
     誰それから、誰それにメールが行ったって全員に報告だけはくるの、そうしないと
     フェアじゃないでしょ?」
リン  「よくわかんない(わかりたくもない)」
ネル  「そうしたら、自分のターゲットに他の誰かがモーションかけてるのも、
     自分にモーションかけてる人がいることも、他のみんなにもわかるってわけ」
リン  「面倒ね、もう、聞いてるだけで食欲なくなる」

           エレベーターがつく

リン  「もういい」
ネル  「聞きたいって聞き出してるのどっち」
リン  「どうもご丁寧にありがとう」(先にエレベーターを降り、廊下にいるジャクソンの方へ)
ネル  「・・・・? (腑に落ちない)」
ジョン 「(近付いてきて)リン、どうしかしたの?」
ネル  「うん?あぁ、なんでも」

          裁判が終った後。廊下にいるネル。やってくるリン

リン  「どうも、もう帰れる?」
ネル  「ええ、そっちは?勝ったの?」
リン  「もちろん、そっちは?」
ネル  「当然でしょ?」
リン  「ジョンは?」
ネル  「あ・・・判事に呼ばれてる」
リン  「?」
ネル  「久し振りにコップに水を・・・・」
リン  「(みなまで言わずとも)あぁ・・・」
ネル  「(ふと気づいて)リン、なんか、最近私になついてる?」
リン  「なんで私が(ちょっと照れ臭そうな表情、一瞬だけ)」
ネル  「わからないけど、なんとなく・・・」
リン  「(素早く、いつもの冷ややかめの視線で、突然切り出す)YOUと、会う時教えて」
ネル  「だから、会わないわよ」
リン  「会ったもの勝ち。ラプンツェルの名前がまんざらウソじゃないこと見せてやったら、
     勝負早いと思うけど?」
ネル  「・・・・(ちょっと考えてしまう)」
リン  「会いなさいよ。気になるのなら」

ジャクソン  「お待たせ。行こうか」(どうも間が悪い男・・・・)
ネル   「どうぞ、お先に。ジョン待ってるから」
リン   「そ。じゃ」(と、来たエレベーターに乗り込んでしまう2人)
ネル   「じゃ」(と、ふと色々考えにふけってジョンが目の前にきているのにも気づかない)」
ジョン  「・・・・・」

         しばらく後、ケイジ&フィッシュ

リチャード  「リン!リーン!・・・ね、みんなリン知らない?」

        ちょっと興奮気味のリチャードが、自分の部屋からでてきながら
        フロアに向かって質問してる。メンバー、わやわやと集まってくる


アリー    「リンなら部屋じゃないの?」
マーク    「裁判所からはさっき帰ってたよ」
エレイン   「ジャクソン・デューパーと・・・」(名前を言うだけで汗ばむのか?!)
ジョン    「なんの用なの?元彼が・・・もといリンに、急ぎ?」
リチャード  「(ジョンにうーという視線)来客なんだけど、来客って言うか・・・
        その、なんていうか、昼前でないと意味がないんだ」
アリー    「何?それ・・・依頼人?」
リチャード  「いや、そうじゃなくて・・・その、たるみはないけど、なかなかその」
アリー    「何言ってんの?!」

リチャード   「あぁ、とにかく紹介するよ」
ジョン・マーク 「リンのお客さんでしょ?」
エレイン    「なんで私たちにも?」
リチャード   「彼女が訪ねたいのはリンなんだけど・・・まぁ、君達にも紹介した方が彼女の・・・」

        と、自分の部屋のドアを開ける。そこには瑞々しい、背の高いすっきり美人の
        女の子が立っている。東洋系だけどエキゾチックっていうほどではなく、キュート


エレイン     「あら・・・」(男性陣の視線を追いながら)
ジョン・マーク  「わお」
アリー      「リンに・・・って、(その子とリチャードを交互に見ながら)親戚かなにか?」
リチャード    「君、名前なんだっけ?」
サンシャイン   「サンシャインです。いえ、そんな親戚だなんて光栄だけど、違います」

           ユニセックスから出て来たネルがそこを通りかかる
           
ネル<     「ハンドルネームみたいな名前ね。リンならもうすぐここを通るわ」(そそくさと去る)
サンシャイン  「あぁ、ミスターフィッシュ、どうしましょう、私ドキドキしてきました」
リチャード   「おっと、お出ましだ。リン、ちょっとこっち
         (サンシャインに)リチャードでいいよ」
リン      「・・・・」

つづく


2002年04月24日(水) ネルmyラブ  9

           翌朝、ケイジ&フィッシュ。エレベーターが止まる。ネルが颯爽と出てくる
           自分の部屋に直行する。余所見をしながらドアを開ける
           ドアの向こう、ネルの机にこちらを向いてリンが座っている
           最初、ネルは気づかない。踏み出してはっと気づく


ネル   「あ・・・ら・・・」
リン   「おはよう、ネル」
ネル   「・・・おはよう。何してるの?リン」
リン   「何も」
ネル   「何もって(あきれて)朝っぱらから、オフィスの主より早く来て、
      席を占領する趣味でもできたの?」
リン   「別に・・・」
ネル   「何!今日は朝から裁判所でしょ?ジャクソン(ため)デューパーと!」
リン   「・・・・(ちょっとむっ!)」
ネル   「(かばんに用意してあった資料をつめながら)何か必要な書類でも?」
リン   「別に」

ネル   「(手をとめ)あぁ・・・」
リン   「何?」
ネル   「・・・・なるほど(にっこり笑う)」
リン   「・・・(だんまりモード解除)あなたも朝から裁判所?今、ジョンのサブだった?」
ネル   「そうよ・・・ジョン、そう、ジョンね。そうくるか」
リン   「どうくるって?」

ネル   「白状しなさい、リン。あなたの子猫ちゃんは何を言ったの?」
リン   「猫なんか飼ってない。それに猫からは何も聞けないわ。何しゃべってるか、
      わかる人なんているの?」
ネル   「いいのよ、別に」
リン   「私がよくないわよ。猫なんて飼ってないし、猫語、理解するなんて、
      ほんとぞっとするから」
ネル   「子猫ってアリーのことよ」
リン   「(ちょっと表情がかわる)」
ネル   「あなたのスパイはあなたになんて報告したの?」
リン   「私はスパイも飼ってない。でも・・・あぁ、昨夜アリーやっぱり来たの。ふふ」
ネル   「ふふって、リン、あなたが言わなけかったらアリーは来なかったと思うけど」
リン   「私はただ、オフィスに戻ったことを言っただけ、アリーとは、
      バーで別れてからまだ顔も見てないわよ」
ネル   「じゃ、なんで?」

リン   「自分でもちょっと不思議だけど・・・」
ネル   「何が?」
リン   「まぁ、それはいいわ。(やっと席を立つ)ねぇ、ネットあいのりって何?
      集団ネットお見合い?その中の1人がYOUって言う男なの?」
ネル   「アリーと話したでしょ?(席に座る)」
リン   「私がアリーに話したの(机に腰を軽く乗せて見下す感じ)」
ネル   「じゃ、リン、あなた、なんで知ってるの?YOUのことや、ジョンもどきの人のこと」
リン   「あなたおととい、図書室で『YOU、YOU・・・』ってずっとつぶやいてたのよ、
      それ聞いたから。ビンゴ!ってとこ・・・・」
ネル   「リン・・・待って、おととい、図書室?・・・はあぁ(ため息)・・・それは、
      反対尋問を考えていただけ。『あなた(You)』の次に決め手になるいい動詞が
      見つからなかったの」
リン   「あらそう」
ネル   「あらそう、じゃないわよ。人騒がせな・・・」
リン   「でも、当たってたんだ」
ネル   「・・・ちょっと彼のハンドルネームがまぎらわしかっただけ。でも、それだけで
      ・・・あてずっぽうもはなはだしいわね」

リン 「(聞いてない)その・・・YOUって男、頭いいわね。わざとじゃない?かきみだそうとして」
ネル 「そんな感じじゃないけど」
リン 「かばって・・・もう、ぞっこんなの?」
ネル 「ぞっこん?!今時・・・ぞっこん?」
リン 「・・・悪い?それより、ジョンもどきって何?!(いつもだけど何故か強気)」
ネル 「え?(面倒そう)」
リン 「こうなったら、みんな教えなさい。男女7人で、ネットでどうやって相手を値踏みするわけ?」
ネル 「値踏みとか言わないで」
リン 「(妙に嬉しそう)」

ネル 「(観念して)ジョンもどきっていうのは、・・・(話し出すとちょっと乗り気な風)
     最初、プロフィールが送られてくるのよ。申し込んでおくと、向こうでシャッフル
     かなんだか方法は知らないけど、人数調整して、決まったらそのグループに属する
     メンバーの簡単なことがね、まずわかるようになってるの。
     その中にハンドルネームがバリーでボストンの弁護士っていう男がいたの」
リン  「趣味は女性のお尻たたき?」
ネル  「そんな昔のことを!でも、とにかく、一瞬ジョンなのかと思ったわ。
     違うみたいだけど、パスね」
リン  「それで?」
ネル  「あとは、UKっていうイギリス人男性、紳士面してるけど、チャラ男。
     Snow man フィンランドの人らしいけど、スキー選手?もろ体育会系、
     これもパス。2人ともハンドルネームにもひねりもないし」

リン  「それで、ラプンツェル、YOUが残ったってわけ」
ネル  「(むっ)違うわよ。誰もいなければいないで、別にかまわないの。無理矢理
     くっつこうとしてるわけじゃないんだから。彼は話しててとても、馬が合う
     感じがするし。株の取引をしつつ小説も書いてるらしい、面白い人よ。親切だし、
     嫌味なところも無いし。いやらしい感じもしない」
リン  「ふーん。女性は?」
ネル  「これがまた、2人ともラテン系まるだし!これってわざと?ホセフィーナっていう
     アルゼンチンのタンゴ女と、エラっていうプエルトリコのラテンダンスおたく」
リン  「エラが嫌いなのね」
ネル  「なんで・・・」
リン  「言い方でわかるわよ、トゲだらけ・・・さしずめ、YOUをねらってるとか?」
ネル  「・・・・」
リン  「あたりね、これも、裁判もこの調子で勝率あがるわね」

       入り口に顔を見せたジャクソンに気づき、さっと部屋から出て行くリン

ネル   「ちょっとリン!」
リン   「(ドアから顔だけ見せて)バリーのお迎えよ」
ネル   「なんなの・・・」
ジョン  「行ける?」
ネル   「(バリー・ホワイトで踊っているように見える)・・・・!?」
ジョン  「どうかした?」
ネル   「(振り切るように頭を振って)ジョン(確かめるように)」
ジョン  「何だい?」
ネル   「(笑って)ジョン、行きましょう」
ジョン  「・・・?」   

つづく


2002年04月22日(月) ネルmyラブ 8

        ネルの気に触らないように、ごまかそうとしていたアリーだけれど
        彼女も素に戻って、思ってることを素直に言い出す。


アリー  「・・・そう。そうね。どんな感じかな?と思って」
ネル   「それで?こそこそ覗いてたってわけ」
アリー  「違う!・・あぁ、結果的にそうなんだけど、それは、なんていうか、その、
      そういう風になっちゃっただけで、・・・それに、確かに好奇心の割合が多いのは
      否定しないけど、あの、ちょっとわかるかも、って、そんな気がしたから」
ネル   「わかる?」
アリー  「あ、ほら、みんなは単に興味だけかもしれないけど、私、実際やってじゃない・・・。
      もちろん、今、あなたがやってるみたいな、これは聞いたんだけどネットお見合い
      みたいなの?それはやったことないけど」
ネル   「(つぶやくように)リン・・・」

アリー  「ビリーが急に死んじゃって、なんか本当に、どうしようもなくぽかんと穴が
      開いちゃって、会ってみたらお互い年ごまかしてたし」
ネル   「それも犯罪的に」
アリー  「う・・・あ、そう。だから、その続きはなかったし、
      ビリーの開けてくれた大きな穴がふさがるには、それは、大きすぎたから、
      ・・・その、今思えば、もし、仮につりあった年齢の人だったとしてもよ。
      デートするにはいい感じかも、って、少しは期待したけど、恋人として
      長く続くとまでは期待してなかったかな」

ネル   「話がよくみえないんだけど?」
アリー  「えっと、つまり、こうよ。そこから本当の恋がはじまるなんて、半分信じてないけど、
      それが見つかるまでの間、全然会ったこともない人でも、色々話せる人は
      見つかるかもしれない。少なくとも私はあの子と話してて、楽しかったもの。助かった」
ネル   「いわゆる否定派じゃなくて肯定派って言いたいわけだ。それなら尚更、
      じっと見てるなんてやめて・・・」

        言いかけたところに、メールが着いたチャイムが鳴る
        ネルはアリーと話しながらメールが誰からか見ようとする


ネル   「堂々と入ってくればいいのに」
アリー  「あ、だからそれは、タイミングを逃したっていうか・・・
      それにその否定派とか肯定派って・・・」

        と、会話しているが、ネルの表情がぱっと明るくなるのを見逃さない
        ネルも、アリーの言う事なんてもう耳に入ってない様子


アリー  「ネル・・・お邪魔なら出て行くけど?メールがきたんでしょ?
      すぐ読みたいんじゃないかな」
ネル   「そんなこと、ないわよ・・・」

        言いながら、開けて、読んでいる

アリー  「それに私、半分信じてないって言ったけど、それは全然信じてないわけじゃないってこと。
      ジョ・・(ジョンと言いかけ)ある人も言ってたけど、ネットって仮想恋愛って
      言われがちだけど、いっぱい話してそれからお互い会おうってなって、
      実際デートして気が合えば、どっからかはわからないけど、
      現実の恋愛になるんじゃないかな」

       アリーが話している間に画面の文字が映る、YOUからのメールだ
       『ラプンツェル、さっきの質問だけどまだだったね。答えは「僕は寂しい」だよ。
       でも、近頃は君と話せるから楽しい。・・・突然邪魔が入ったけど
       彼女も悪気があるわけじゃないみたいだから、そう冷たくしないであげて。
       でも、それは、もしかして僕が望んでいたように2人で話せる時間が
       短くなってしまったから、だったとしたら、僕は嬉しいと思う。
       また、ゆっくりメールを書きます。良い夜を。  YOU』


ネル   「(さっきまでと調子が変わる)ねぇ・・・アリー。聞いてもいいかな?」
アリー  「え?何を?」
ネル   「あなたは、犯罪的に年下の男の子と話してて全然わからなかったの?
      それどころか、楽しくて、裁判にまでなったのに助かったって?」
アリー  「犯罪的って・・・(がっくりきつつも)そう、全然わからなかった。
      多分、背伸びして話してたんだと思うけど、年齢に付随する事以外、考え方とか、
      感じ方とか、そういうのにウソはなかったからじゃないかな。・・・馬鹿にしたい?」
ネル   「ううん。そうじゃない。・・・・」
アリー  「ね、もしかして、その・・・今メールがきた人って、結構気に入ってる人なわけ?」
ネル   「え?」
アリー  「表情・・・変わったから・・・幸せそうな笑顔してたよ、ネル」
ネル   「普段も、幸せだけど?」
アリー  「あ、そう・・・。・・・そのメールの人がウソついてそうなの?」
ネル   「年齢なんかはアバウトだけど、ウソかもね・・・でも、株関係の仕事と小説家らしい
      話からして、子供じゃないとは思う、・・・それに、よく気がきく人だし・・・
      他は、チャラ男のイギリス人とかだから余計そう感じるのかもしれないけど」

アリー  「会うの?」
ネル   「会わないわよ。ただ・・・・」
アリー  「ただ?」
ネル   「ほっとする」
アリー  「会っちゃえば?」
ネル   「え?」
アリー  「もし、危なそうならリチャードたちに影から見ててもらえばいいし、
      私もレネに来てもらったから」
ネル   「先走り過ぎ・・・(ふと、我に返り)アリー、これで好奇心は納まった?」

アリー  「あぁ、あ、そう。充分すぎるほど。でも、ネル、ほんと、みんな心配してるんだから」
ネル   「それもまた奇妙な感じだけど、経験談までご教授くださってありがとう」
アリー  「今の、慇懃無礼?」
ネル   「さぁ(笑う)」
アリー  「じゃ、・・・」
ネル   「じゃ・・・」

       帰りかけて、扉のところで振り返るアリー

アリー  「あ、ネル・・・」
ネル   「何?」
アリー  「私、一番肝心な事、いい忘れてた」
ネル   「?」
アリー  「ごめんね。・・・もうしないから」
ネル   「・・・・もういいわ。・・・もうしないなら。(笑って)・・・
      大きな子猫ね、ほんとあなたって」
アリー  「(くすっ)・・・おやすみネル」
ネル   「お疲れ様アリー」 

つづく


2002年04月20日(土) ネルmyラブ 7

         呆然とネルの扉の前で立ち尽くしてしまうアリー
         ネルが顔をかあげると、きっと発見されそうな位置


アリー 「はっ!!(立ち位置のまずさにも気づく)それで私は、どうしたくてここにいるんだろ
     ・・・これってかなりまずいような・・・」

         画面上。ネルの『あなたは寂しくないの?』のあと入力される
         発言はYOUではない。と、突然ネルが・・・


ネル  「げげっ!!何、なんなのこの女!!人がせっかくいい感じの問いを投げかけたあとに、
     にゅ、入室ですって?!エラ?誰これ、(クリックしてプロフィールを探す)
     エラ、20代前半、プエルトリコ出身、特技・・・(嫌そうに)ラテンダンス・・・
     げげっ!(チャット画面に気を戻す)何?なんなの、このラテンモード全開の
     ばかっぽい会話の入り!わざと、邪魔しようとしてるわけ?
     ・・・はー、やってらんない。えらいわね、YOUさんつきあって、
     でも、困ってるっていうのがこの、誰!エラ?気づかないの?
     しかも、私には挨拶なしなのね、いいわ、受けて立ちましょう、
     あんたなんか私も無視して退室!(ちっ!って感じ)」

アリー 「(自分の姿を省みたはずなのに、やはり見ている)」

ネル  「『じゃ、明日の仕事があるから私は落ちるわ。サヨナラ、YOUさん』・・・
     『えー?さっきから呼びかけてるのに答えてくれないしぃ、もう落ちちゃうの?』
     ・・うわ、あなたの返事を待っているわけじゃないのよ!それに呼びかけ?・・・・
    (過去ログを見ている)・・・あぁ、そうか・・・
    『エラ、名前で呼びかけてくれないと、あなたの質問だと、YOUさんへか、
     私へかわかりにくいの、ごめんなさい』
(ふん!)・・・
    『サヨナラ、ラプンツェル。・・あぁ、僕のHNのせいだね、ごめん』って、いいのよ、
     YOUさん、あなたが謝らなくても・・・あぁ、だめ、また2人の時がいいわ、疲れた。
     タイシツ!(クリック)ふーっ(ため息)」

          ネルがはたと、顔を上げる。アリーがいる、居るはずのないアリーが・・・
          逃げそびれた(?)アリーもどうしていいかわからない、目が泳いでいる


ネル  「・・・・・(驚きから眉間に皺がはいり、怒りへ?)」
アリー 「・・・あぁ、あ。あ、これは、これには、えっと・・・・(しどろもどろ)」
ネル  「・・・(怒りかけて、突然大きなため息)はーーっ。どの人もこの人も・・・・」
アリー 「ネル・・あの、その、今、今ほんの今通りかかったの、(ポケットに手を入れていて)
     鍵、そう、鍵忘れちゃって、部屋の電気ついてたから、いるのかな?って・・・
     で、で、でも全然そんなチャットしてるなんて、はは・・・(墓穴)」
ネル  「(嫌味なくらい満面の笑みで)アリー・・・鍵なら今日はレネが一緒でしょ。
     それにラリーも」
アリー 「あ、あ・・・そうね、そうだけど・・・そう、念のためってことで、
     と、とにかくみんな下で待ってるから、行かなきゃ私」

ネル  「アリー・・・入って・・・」
アリー 「(ぎょっ!)い、いい、遠慮しとく。(ぶんぶん頭を横に振る)ほんと、
     お邪魔しちゃったみたいで、なんていうか、ほんと行かなきゃ」
ネル  「ウソ、下手ね。いいのよ、とにかく・・・・入って」
アリー 「・・・・(言い逃れられる事をやってないだけに、おずおずと、小さくなって
     丁度ドアのところに立つ。落ち着かない)」

ネル  「入ってきなさい、子猫ちゃん(猫なで声)」
アリー 「・・・?(猫?一瞬、周りをキョロキョロして、この人は何を言ってるの?という風)」
ネル  「おいで〜、子猫ちゃん。大丈夫、いい子だから入ってきなさい」
アリー 「ネ、ネル・・・どうしちゃったの?ま、まさか見えてるの?猫・・・」
ネル  「(にこにこして、軽く首を横に振り、手招き)」
アリー 「も、もしかして、私の事、だ・・・はは(力なく笑い、ネルに近付く)」
ネル  「いらっしゃい、子猫ちゃん。」

         ネルのこの場合にして不気味なほどの笑顔に、はたと思い当たり

アリー   「好奇心が」
アリー・ネル 「猫を殺した」(語尾、アリーは驚いたようにあげ、ネルは断定的に下げ、少し笑う)

ネル  「(素に戻って)あなたじゃないんだから、子猫の幻覚なんて見えるわけないじゃない」
アリー 「あ、そ、そういう言い方は・・・」
ネル  「それより、何しにきたの?」
アリー 「え?・・・・」
ネル  「好奇心に勝てなかったアリー・マクビール。・・・でしょ?」 

つづく


2002年04月16日(火) ネルmyラブ 6

アリー  「だって、なんだか、ほら・・・スパイが命令出す時みたいじゃなかった?今のリン」
ジョン  「映画の見すぎじゃない?アリー。仮にそうだとしても、まんまとのせられてるだけだ。
      それに、ネルはあまりプライベートに介入されるのを好まない。それは、
      君も知ってるだろう?アリー」
レネ   「でも、事務所の人間に立ち入られるのも慣れたみたいに、さっき言ってたけど?」
ジョン  「あっぷ、あっぁあぁああ、もう、今度はレネ!?きみたちは、
      どこから急にわいてでてくるんだ?!」
レネ   「湧いて出てきたわけじゃないわよ、失礼ね。あっちで踊ってて、帰ってきただけじゃない」
ジョン  「現実にはそうだけど、とても現実にそうとは思えないタイミングなんだ!」

リチャード 「やぁ、ジョン、何、かりかりしてるの?なんなら踊る?
       ぼくらと・・・(結構気に入った様子)」
ジョン  「あぁあ、もう、いいよ」
リチャード 「いいって、踊るの?でも、帰ろうと戻ってきたとこだし、
       せめて一杯やってからにしてくれる?(マイペース男)」
ジョン  「リチャード・・・違う、今の『もういいよ』は、『踊らない』」
リチャード 「あぁ、そう・・・。じゃ、一杯だけやる?」
ジョン  「あぁ、そうだな」

         この会話の間も、アリーはやたらそわそわしていて、ラリーが横にきてもそのまま
         ついにこそっと立ち上がる


レネ   「帰るの?」
アリー  「う。うん?ちょ、ちょっと、あの、わ、忘れ物?(明らかにウソ)」
ラリー  「・・・(目と手の動きで『着いていく?待ってる?』)?」
アリー  「ああぁ、みんなもう少し飲むみたいだから、ここで待ってて」
ラリー  「・・・O.K.気をつけて」
アリー  「ありがと(と、ほっぺにチユ、行きかけて)・・・あ、そう、でも、
      もし遅くなったら、レネと先帰ってて」
ラリー  「君を置いて、レネと?遅くなるって、迎えに行くよ」
アリー  「いい、いいの」
レネ   「(くすくす笑っている)」
アリー  「・・・やっぱり、今の取り消す。それじゃ、帰ってくるまでここにいて。じゃ」

ジョン  「あぁ、アリー」
アリー  「(背中向けてから右手をあげて去る)」
ジョン  「もう・・・・」
リチャード 「何?何?アリーの忘れ物がどうかしたの?」
ジョン  「君はいいから、お酒、注文して」

             フィッシュ&ケイジ。こっそり戻ったアリー
             明かりのついたネルの部屋、少し隙間があいているので
             そこからこっそり覗こうとして、中から話声が聞こえる


アリー  「何?1人じゃないの?」

             覗くと、ネルがにこにこ笑ってPCに話し掛けている
             チャット中らしい。画面とアリーから見たネル。ネルの手元、表情
             そして、それをいぶかしそうに、だんだん、表情が険しくなっていくアリー
             交互に映る


ネル  「『君はどうして1人が好きなの?』・・・好きってわけじゃないけど、そうね。
     (考えながらもにこにこしている)『気楽でしょ?』(PCを打ち込みながら声に出している)
     ・・・『寂しくないの?』・・うーん・・・・
    『一日中1人ってわけじゃない。仕事は仲間とやっているから』

アリー  「(こそっ)仲間って意識あるんだ・・・」

ネル  「『弁護士だったよね?』・・『そう』・・・さっきから質問ばっかりされてる。
     この人レスポンス早いのよね。『仕事楽しい?』・・・えぇ?仕事?・・・
    (うなずきながら)『概ね、楽しい。』(質問の前に質問しようと)あ、『YOU』
     ・・・ややこしいわね、このHN『あなたは(You)、仕事楽しい?』
     ・・・『返して来たね?』ええ、もちろん、『私にもあなたのことを、聞かせて』

アリー  「(こそっ)チャット?あれがリンの言ってたYOU・・・確かにネル、楽しそうかも」

ネル   「『株の取引で、資産運用して・・・それだけじゃ楽しいとはいえないかな』
      ・・・今の仕事に満足してないってこと?『何か他に楽しみがあるの?』

アリー  「(こそっ)職業調査!(思わず口を抑える)・・・」

ネル   「・・・『小説を書いてる。これは、スゴクダイナミック!』ふふ、ダイナミック?!
      おかしな人ね・・・『小説は手に入る?』(レスポンスの速さに)はやっ!『君が?』
      ・・ええ・・『そう、私が普通に本屋で買えるもの?』・・・
      『だめだめだめ、それを言ったら、買いに行っちゃうでしょ?』
      ・・・ということは、流通してるってこと?」

アリー  「(こそっ)もしかして、ネル、そういうのに弱いわけ?」

ネル   「『君は仕事だけで楽しいの?』・・・『どういうこと?』あ、また質問された?
      ・・・『僕は両方、仕事みたいになっちゃったけど、株だけじゃ、息苦しいよ』
      ・・・そうなの・・・『それで、小説を書き始めたの?』・・・・
     『いや、学生時代は小説家になりたかった』・・ふーん、
     『今は小説家にもなったのね』『素敵じゃない!』・・・あっ・・素敵じゃないとか、
     書いてる、私・・・」

アリー  「確かに、ちょっとネルっぽくないかも」

ネル   「『素敵?ありがとう。そんな風に言ってくれるとは思わなかったよ。』
     (笑顔になるネル)『どうして?』・・・・ええ、言われるでしょ普通・・・
     『君みたいに、地に足をつけて弁護士でキャリアを目指している、
      素敵な人からそう言われるとはね、思ってなかった』
・・・(止まるネル)」

アリー 「うわー、うわー、うわー、ネルの弱いとこなんじゃない?!かなりポイントついてきてる!」

ネル  「『だって、君は楽しく自信を持って弁護士をやってるわけだから』
     ・・・見てるみたいな言い方・・・
     『どうしてわかるの?でもキャリアアップはそううまくいかないのよ』

アリー 「ジョンの言う通りだ・・・リンにも言いそうに無い事、言ってるー」

ネル  「『でも、1人はそう寂しくないんだろ?充実してるからじゃない?』
     ・・・そうなのかな?・・・・『あなたは寂しくないの?』

アリー 「で、私は、こそこそ何やってるわけ?・・・・」(やっと我に返る) 

つづく


2002年04月13日(土) ネルmyラブ 5

ジョン  「で、本題から、随分ずれてきているみたいだけど?
      僕にメラニーの事を話させといて!」
アリー  「あぁ、ごめん、ジョン。んーー、だから、ネルがね、ちょっと心配なの」
ジョン  「・・・・(顔だけアリーに向ける、驚いている)」
アリー  「何?」
ジョン  「もう一度、言って(手をくるくるまわしてうながしながら)」
アリー  「ネルが心配なの」
ジョン  「君が・・・ネルを・・・心配・・・?」
アリー  「どこが問題なの?」

ジョン  「リンと少しは親しくなったようには、ネルとは親しくないみたいだったから」
アリー  「親しくは・・・ないかな?」
ジョン  「・・・」
アリー  「だから、何?」
ジョン  「それなのに、心配?」
アリー  「特別親しくなきゃ、心配はしちゃいけないわけ?」
ジョン  「いや、そんなことないけど・・・」
アリー  「(うなずいている。が、ジョンの視線が気に入らない)ん?!」

ジョン  「もっとふさわしい言葉は、この場合・・・興味本意・・・」
アリー  「ちょっと、ジョン!人を!何かって言うと集まってくるこの事務所の人間
      みたいに言わないでくれる?!」
ジョン  「あ・・・(勢いに負けつつ、アリーをそっと指差し)言葉を返すようだけど、
      君も、この事務所の弁護士だ」
アリー  「そんなこと言われなくたって、わかってます」
ジョン  「それに、君に関心が集まりがちなのは、君が・・・」
アリー  「私が?」
ジョン  「(最初小声で)何かと問題を起こす・・・いや、関心の的だからだ!」
アリー  「何それ?私に関心が集まるのは、私が関心の的だから?」

ジョン  「え、あ、・・・ねぇ、どんどん、ずれていくよ。どうしてそうつっかかるの?
      アリー!・・・何かあった?ラリーと」
アリー  「ないわよ!何もないわよ!何かあるほうがいいわけ?私が、明らかな変人ぶりを
      発揮して、またもや関心の的になるから・・・」
ジョン  「それを言われると、同じ変人としては僕も、辛いところではあるけれど、
      別に何もないなら、じゃぁ、アリー、とにかく落ち着いて」

アリー  「そう・・・そうね、(突然冷静モード)私・・・ちょっと、やっぱり、興奮ぎみかも」
ジョン  「興奮?」

アリー  「最初はね、話を聞いて、仮想恋愛に走るのは、現実の恋愛に何かセーブがかかっていて、
      それは、つまり、恋人と分かち合えない辛さとか、かな、って考えてたの。
      それならいっそ、ほら、ネットって条件とかから相手を探したり出来るから・・・・
      って、そしたら、色々思い出しちゃったの、ジョンとの行き違いの件」
ジョン  「あぁ(ちょっとため息)」

アリー  「何か、ほんとごめんジョン。考えてる時に丁度あなたが現れたもんだから・・・
      だって、半分は私のせい、みたいに言われたこともあったわけだし、つい」
ジョン  「それで?それでかっとなってきたってわけ?いい迷惑だよほんと。
      勘弁してよ、アリー」
アリー  「(ごめん、のジェスチャー)」

ジョン  「でも、仮想恋愛でもしてみたいって思うのは、完全に恋愛をあきらめてはいない
      ってことなんじゃないかな?条件から入って、そのあと会話、あぁ、メール、
      そういうので話が弾んでいくとしたら、ネルみたいなタイプには、かえって
      目の前にいない分、本音が話せたりするかもしれないし。最終的には、盛り上がれば、
      実物とご対面。そこからまた始まるか止めるか、考えればいい、ってことで、
      君がそんなに興奮するほど心配する事はないと思うけど?」

アリー  「・・・(微妙に笑う)あは、そうね、ありがとうジョン。でも、心配は心配なんだけど、
      あの、さっき、レネにも言われたんだけど、やっぱり、私、ちょっと興奮してるんだ
      と思う。あなたと話してよくわかった」
ジョン  「興奮、興奮て、何に?で、わかったって何?」
アリー  「(すまなそうに)ネルの・・・ネット恋愛そのものに・・・」

ジョン  「あぁ、もう、アリー!それこそが、興味本位じゃないか!!
      僕にメラニーの話までさせといて!」
リン  「いーんじゃないの?興味本位。(アリーが謝ろうとする間をすっと縫って会話に入り込む)」
アリー  「・・・(口を開けてぱくつかせている)」
リン   「興味もたれてるうちがハナ!っていうし」
ジョン  「アリー、こっちの方が、話がすっきりしていいよ。(怒っている)」
リン   「アリー、あなたも、関心もたれているうちがハナ!」
アリー  「ちょ、ちょ、ちょっと、リン、あなたどこから聞いてたの?」
リン   「さて、帰るわ。」
アリー  「さて、帰るってリンってば」
リン   「私はなんでもお見通しなの。私にできないことはないように、(じっと2人を見て)
      私の知らない事もないの。(きっぱり)」
アリー・ジョン  「(あっけにとられている)」

リン   「ネルのやってるネットって、ちょっと風変わりみたいね。1グループ男女7人。
      掲示板とメーリングリストと、個々のメールとで交流。なんか色々制約があって、
      面倒くさそうだけど、あれは集団お見合い?」
アリー  「そんなの聞いた事ない・・・って、リン、なんでそんなに詳しいわけ?」
リン   「(にやりと笑って)興味本位の興味がそそられてきた?いいコト教えてあげる。
      帰るって言ったけど、ネルは事務所に戻ったみたい。
      それからネルの目下のメール相手はYouっていう人物にしぼられている。
      じゃあ、おやすみ」(さささっと、待っているジャクソンの方に行く)

アリー  「おやすみ・・・って、ジョン・・・教えてもらっても、・・・」
ジョン  「・・・すごいね、彼女は。君のとっ散らかりようとは大違いだよ!(まだちょっと怒っている)」
アリー  「だから、話しているうちに気づいていったの。そういうことってあるでしょジョン?
      謝る、謝るから」
ジョン  「もういいよ、謝らなくて、この数分間で君から何度も聞いたから、『ごめん』」
アリー  「違うの。・・・謝るからの続きがあって・・・『事務所、戻らない?』」
ジョン  「(ひどく驚いて)君、ほんとにアリー!?エレインじゃないよね?」

つづく


2002年04月12日(金) ネルmyラブ 4

      入ってきたジョンに気づき声をかけるアリー
      ジョンはテーブルに近付く



アリー  「(ハイ、と、手をあげ)ジョン・・・大丈夫?」
ジョン  「・・・どうかな?それより、ネルどうかしたの?」
アリー  「う、うーん。ちょっと・・・・」
ジョン  「・・・?」

アリー  「ジョンと別れたときネルって、結構きてたよね」
ジョン  「きてたのは、僕の方だよ。それに、もう、止めてくれるかな、別れ話のことは。」
アリー  「・・・メラニーとはもう会わないつもりなの?」
ジョン  「だから、そういう話しは・・・(ふとフロアーを見て)あれ、何?」

レネ   「うっふふふ、話にジャマだからって、アリーがラリーとリチャードを踊らせたんだけど、
      マジでまだ踊ってる。律儀な男たち(と、立ち上がる)」
アリー  「行っちゃうの?」
レネ   「だって、楽しそう(満面の笑み)」
アリー  「えー?」
レネ   「アリーも行こうよ!ラリー、お待ちかねなんじゃない?」
アリー  「そうだけど・・・・」
レネ   「何?気になるんだったら、クッキーちゃんに聞いてみたら?元彼だし・・・
     (ふふん、と笑って2人のいるダンスフロアへ合流)」

アリー  「(目で追いながら、横にいるジョンを見て)・・・ジョン、別れ話っていっても、
      これは、昔の事だから、割り切って聞いてくれないかな?」
ジョン  「(耳をふさぐポーズをするが、ほっぺたまで手を下ろしてきて)・・・いいよ、アリー」
アリー  「ジョン・・・ありがと。ネルがね、あなたとやり直せないのは、
      私がジョンと世界観を共有しているから、って考えていたじゃない?」
ジョン  「それが何で今更気になるの?それに、それは彼女が作った理由の一つだ。
      もちろん、アリー、君と僕とは特別な友達だと感じているよ。僕の、この・・・
      変、変・・」
アリー  「ちょっと変わった世界?」
ジョン  「いや、明らかに、変人なところ」
アリー  「明らかに変人・・・」

ジョン  「それをわかちあえる君と出会えて、僕は確かに変わった。でも、それはいいことだ。
      僕にとって。それが僕なんだから。僕はそこから抜け出す事はできないし、
      抜け出すつもりもない。・・・・あっぁあ、メラニーともこういうことになったけど、
      彼女とも僕はあるがままに付き合えたのは、君の存在が大きかったとは思うし。
      でも、メラニーが更にそれが僕自身だって自信を与えてくれたからだ」

アリー  「明らかな変人ぶりを、わかちあえていたの?」
ジョン  「君とは別の次元でね。でも、もう彼女はそばにいない」

アリー  「あぁ・・・ごめんなさい。ジョン、メラニーの話をさせるつもりはなかったのよ。
      私こそ、明らかな変人ぶりを分かち合えるあなたが、この事務所にいてくれて、
      どんなに助かっているか。特に、こないだはね」
ジョン  「ラリーと離れていたときだね」
アリー  「うん、うん、そう(しんみりしている)」 


つづく


2002年04月07日(日) ネルmyラブ 3

アリー  「これって、ほんと、すっごく触れたくない話題なんだけど、えーっと、うんと
     ・・・リンの言ってた『ラプンツェル』って、ハンドルネーム?だとしたら、
     ネル、あなた、まだネット恋愛やってるとか?」
レネ   「カタフトモモ、ふふふ・・・」
アリー  「レーネ!うーるさいっ!」
ネル   「そう。悪い?アリーもはまってたじゃない。」
アリー  「だ、だ、だから、それは・・・」
ネル   「しかも事件がらみに発展させて・・・(笑う)」
アリー  「うーーー」

ネル   「・・・私がやっていけないってこともないでしょ。それに、エレインみたいに、
      服は脱がないし、もちろん、アリーみたいにネットセックスなんかするつもりもないし」
アリー  「わ、私だって、そんな・・・。それにあれは、ちょっとした・・・・」
レネ   「ちょっとした、何?(笑ってる)」
アリー  「ええっと、だから、あぁ、もういい!いいんだから、それは!」
ネル   「(慌てふためくアリーをおもしろがりながら)エレインにも聞かれて答えたけど、
      ほんと、楽しいの。世界中の人と、会ったことも、普通になら会えるはずもない人と、
      話が出来るの。色んな話」
アリー・レネ  「色んな話・・・(意味深な二人)」

ネル   「それに、相手を見つけましょうっていうのが趣旨のサイトだけど、
      私、会ったりするつもりないし。面倒でしょ?
      だからカタフトモモの悲劇は起こらないわ(笑う)」
アリー  「(かちん)、あ、・・・」
レネ   「うふ、カタフトモモの、カタストロフィー・・・」
アリー  「レネ!全然おもしろくないんだからね!つまらないこと言ってふざけないで!」
レネ   「はいはい」

ネル   「どうとでも言ってくれていいわよ。ほんと遊びだから。(思い出して)
      あ、私、明日の準備があるから、もう帰らなきゃ」
アリー  「きたとこなのに?」
ネル   「(あっさり)のぞいただけだし」
レネ   「(去ろうとするネルに)ねぇ、その中に、特別に、その・・・惹かれてる人って、
      今いるの?」
ネル   「興味ある?」

レネ   「んー、私は、目の前にいないと、ほら、こう、感情がぐっとこないからさ」
アリー  「いったんぐっとくると、大変だけど・・・(ぼそっ)」
レネ   「(気にせず続ける)向いてないと思う。でも、あんたにはむいてるのかな?
      そりゃ、条件から入れるけどさ。でも、気をつけた方がいいよ。
      側に居てくれない人に恋するのは・・・辛いと思うな」
アリー  「あ・・(一瞬レネの元彼不倫騒動がよぎる)・・」
ネル   「(笑って)ふふ、恋なんてしないから、大丈夫だって」
アリー  「そんなのわかんないわよ、ネル!だって、だって、本当に会ったことない人だけに、
      想像ばっかりいいように膨らみすぎちゃったりしない?それに、それに、
      条件だって、ウソかもしれないんだから!」
レネ・ネル  「あはっ、真実味あるー(笑っている)」

アリー  「はー!?心配して言ってるのに!」
ネル   「ウソかほんとか、会わないんだし、それもどっちでもいいかも」
アリー  「ねぇ、ネル、あなた、本気でそう思ってるの?」
ネル   「もちろん、ウソは嫌よ。でも、現実に目の前にいるからって、
      その人の全てを知ってることにはならないし。男の言う言葉、全部、間に受ける女は
      ・・・うーん、イカレテルとまでは言わないけど、・・・待って、そうね、
      反対に幸せかも。でもね、私はそうしたくても出来ないし、するつもりもないの。
     (きっぱり)だから、おんなじだと思うけどな」

アリー  「・・・そうか、私は別の意味でイカレテルけど。」
レネ   「(こっそり失笑、アリーも自分をわかってきたなぁ、という視線)」
アリー  「・・・(明らかにラリーとのことを思い出している)相手のこと全部信じていたくたって、
      離れていると辛くてダメ。近くに居てもダメになることもあるし(これはビリーのこと?)
     (なんだか、ブルーになってくるアリー)」
ネル   「アリー・・・あなたこそ大丈夫?それってラリーのこと?
      どっちにしてもダメになる予定なの?」

アリー  「予定なんかくんで恋愛しません!それに、今は、わたしたちが、
      あなたを心配してるの!リンだってそうよ!」
ネル   「わかってる。ありがとう。ふふ、この事務所の特長よね。
      今はそれをうっとうしいとも思わないから」
レネ   「ほんとにネル?」
ネル   「(ちらっとレネを見て)・・・でも、ほんと大丈夫だから。
      別にネットの仮想恋愛で恋人を見つけようとか思ってないし。じゃ」

ジョン  「(入れ違いにジョンが入ってくる)あれ・・・?ネル、帰るの?」
ネル   「ええ、また明日ね、ジョン」
ジョン  「ああ、いい夜を」 
ネル   「ええ、ジョンも」

つづく


2002年04月04日(木) ネルmyラブ 2

         ボストン、夜景。ケイジ&フィッシュの外観。
         ヴォンダ・シェパードの歌が流れている。「World Without Love」

         『どうか鍵をかけて私を閉じ込めて、放っておいて
          私は私の孤独を抱えてここにひっそり隠れていたいの
          誰がなんて言おうとかまわない 愛のない世界にいるつもりはないの』

         人気のないオフィス。照明も最小限になっている。
         一部屋だけ、明かりが洩れている部屋がある。ネルのオフィスだ。
         パソコンに書かれたメールを読みながらほほえんでいる。
         ふと表情が変わり、くるりと椅子をまわし窓の方を見る。立ち上がり、
         そのまま、夜の空や、街明かりを見ている。

         『鳥達は調子はずれの歌を歌うし、雨の粒は月を隠す
          私は大丈夫 私の孤独を抱きしめてここにいるんだから』

         そのままバーで歌うヴォンダに重なる。バーには丸テーブルに、
         レネ、アリー、ラリー、マーク、エレイン、リチャードがいる。
         リンがテーブルにつく。



アリー   「ねぇ、そう言えばネルは?」
リン    「さぁ、知らない」
マーク   「僕が出るとき、まだ事務所にいたけど」
アリー   「何かトラぶってるわけ?事件関係で・・・(リチャードを見る)」
リチャード  「いや、そんなはずないと思うけど、今やってるのジョンのサブだし。
        どうだろ?男関係?」
レネ・エレイン・アリー  「・・・(うん?と、言った表情でリンを見る)」

リン    「(続けてラリーとマーク、リチャードにも問われるように見つめられて)
       トラブりようがないんじゃないの?」
リチャード以外  「・・・(なんとなくなるほど、という表情)」
リチャード    「それ、どういうこと?ね、みんなわかってんの?今の一言で」
アリー   「大丈夫、リチャード、誰もわかってないから、落ち着いて」

エレイン  「・・・トラぶりようがないってほど、男関係、日照続きってこと?
       (何故かちょっといつも嬉しそに聞こえてしまう)」
ネル    「何?何が日照ってるって?(突然、背後から参加する)」
アリー   「あぁ!あ、どうも・・ネル」
エレイン  「うふ(意味なく笑っている)」
レネ    「・・・(にって笑いながら、目は冷静)」
ネル    「どうも・・・(と、空いているリンの横に座る)」
リン    「(いたずらっぽく目を輝かせて)どうも、・・・ラプンツェル(にっこり笑う)」
ネル    「あ・・・(開いた口がふさがらない)」
リチャード 「何?何それ?(妙にテンションが高い)」
マーク   「(きまじめに)それって、物語のラプンツェル?塔に閉じ込められる美人の」
ラリー   「あぁ、金髪が自慢なんだよね」
リン    「・・・(ふーん、とネルを見つめる)」
ネル    「リン!」

アリー   「ちょ、ちょ、ちょっと待って、それ何?誰にそう呼ばれてるわけ?」
ラリー   「僕じゃない!」
アリー   「あなただなんて思ってないし、言ってない、ちょっと黙ってて!」
ラリー   「・・・(おっと)」
レネ    「アリー、あんた何興奮してるの・・・」
アリー   「別に興奮なんてしてない!」
リン    「呼ばれてるんじゃなくて、呼ばせてるのよ、この人」
ネル    「リーン!!」
リン    「かなりとげのある『リン』」
エレイン   「久し振りぃ!」
リン    「ガルルルル・・・」
ネル    「エレインあなたは黙ってて」
リチャード 「(ちょっと嬉しそうに)じゃあさぁ、ねぇ、それって、
       僕のパンプキンちゃんとかチェリーパイちゃんとか、そういうのなわけ?
       じゃ、やっぱり、男関係?いや、女関係だったりして・・・
      (つらつらと本気みたいな冗談が出てくる)」
リン    「リチャード、あなたも黙って」
リチャード 「・・・(肩をすくめる)」

ラリー  「で、あ、話してもいいかな?結局ラプンツェルって何なの?
       昔のニックネームかなんか?」
リン   「近い。結構勘がいいわね、おたくの彼氏」
アリー  「(皮肉がえし)ありがとう、リン」
ネル   「(くいと、リンをひっぱり、こそっと耳打)勝手にかきまぜないで」
リン   「遊びなら、別にいいんじゃないかと思っただけ・・・」

ジャクソン  「(踊りの輪からやってきて、流れを読めず)リン、また踊らない?」
リチャード  「・・・(上目遣いに、ジャクソンをちろっと見る)」
ジャクソン  「(それを感じながら)悪いね、みなさん。っていうか、みんな踊らないの?」

レネ  「(やっぱり、まだ動揺しつつ、かといってその場を離れられず、ふとエレインに目が合い)
     もしかして、こないだアリーの机でエレインが脱いでた事と関係ある?
    (急に思い出し笑い)」
マーク 「何?!エレイン、何やってんの、君は?」
エレイン 「アリー!!(話したのね!?)」
アリー  「(言ってないとばかりに首を振るが)・・・レネ、それは、今は、
      あの、だから・・・(と、別れたとはいえ、マークを気遣う)
      エ、エレインも踊ってきたら?・・・マ、マ、マークと」
エレイン 「(一瞬、今、この話題のあとで?)マークと?」
マーク  「・・・」
エレイン 「(にっこり笑って)そうね、マーク、踊りながら説明するわ、そう、
      ちょっとした誤解があって・・・」
マーク  「別にいいけど・・・(と、立ち上がる)」

レネ   「(2人を見送りながら)じゃ、トラブラないとは、限らないんじゃない?
     (楽しそうにアリーを見る)」
リン   「あぁ、そういえば(アリーを見る)」
アリー  「ちょ、ちょっと何よ!何、蒸し返そうとしてるの?や、や、やめて、
      それも、今は、なし!」
ラリー  「・・・(きょとん)」

ジャクソン  「踊らないの?(マイペースな人)」
リン     「(リチャードをチラッと見るが)行くわ」
ネル     「リン!あなたとは、友達だと思ってる」
リン     「(余裕で)私も」
ネル     「リン!」
リン     「またとげのある『リン』それ、嫌いなの知ってるくせに!」
ジャクソン  「行くよ・・・」
リン     「(さささっと連れて行かれてしまう)」

ネル    「ふぅーーー(2人を見送りながら、深いため息)」
リチャード 「話が、よく見えないんだけど・・・トラブル?男関係の?」
アリー   「(咳払い)しつこい!リチャード!!」
レネ    「ちょっと聞いてたけど、まだやってるの?」
ネル   「悪い?あなただって、恋愛はもういいわ、なんて言いながら、
       ジャクソン・デューパーにころっといくし、しかも、ジャクソンはリンと
       よりを戻すし・・・現実の恋愛は面倒なだけなの。それに、依頼人のために
       裁判所に通う毎日で、どこで出会いがあるって言うのよ。
       あっても、同業者か、検事、面倒なだけじゃない。」
アリー   「あの・・依頼人と激しくダンス踊ってなかったっけ?」
ネル    「思い出させないで!そもそも、あれだって乗り気じゃなかったし、
       もう、振り回されるのはたくさんなの!」

レネ    「振り回されないとも限らないよ。ふふっ。カタフトモモ・・・」
アリー   「あーーーー、あ、あ、そうだ、そうそう、ね、ね、
       ラリー、リチャードが寂しそうだから2人で踊ってきたら?」
ラリー   「男同士で?!」
リチャード 「そういう趣味ないの知ってるだろ?」
ラリー   「僕もないけど?」
アリー   「あってもなくても関係無いの、同性が、ダンスしちゃダメって法律はないんだから。
       ここは、リチャードを慰めると思って・・・(ラリーをダンスフロアに押し出す)」
リチャード  「(仕方なく、踊り始める二人)慰められるより、惨めだ」
ラリー    「・・・確かに、変な感じだね。なんでこうなってるんだろう」
リン     「・・・(肩越しに見て笑っている)」


つづく


2002年04月03日(水) ネルmyラブ 1

 極東の国、日本では、今、数々のバラエティー番組がある。その中に「恋愛観察バラエティー『あいのり』」という不思議な番組がある。素人さんを一つバスにつめこみ、世界を旅行させて恋愛が生まれるかどうか、それが叶うかどうか、観察するという番組だ。MC辛口なくせにすぐ泣いてしまう加藤晴彦同様、ついつい、ラブワゴンにあいのりしているメンバーの気持になっては一喜一憂してしまうという、視聴者的もやられっぱなしの番組である。番組宣伝文を引用してみよう。
『男女7人、エンドレス&サバイバル恋愛ツアーが、ラブワゴンを舞台にはじまった。恋愛目的のハードな海外バスツアー。愛の告白をした者たちは、果たしてカップルになって帰国できるのか?それとも1人寂しく帰国するのか?新たなメンバーも参入してくる中、永久に残っていくものも・・・・』


 そしてここ、ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ、東海岸、マサチューセッツ州、ボストン、ここに男女7人が働く弁護士事務所、ケイジ&フィッシュがある。彼らは、フィッシュ哲学のもと依頼人を弁護しまくりながら、依頼人や事件に自分たちの人生や恋愛を重ねてエンドレス&サバイバルに生活している。個人の自立や個性と社会との協調、キャリアアップ、金儲け、恋愛&結婚、それぞれの目的がハードに交錯する、ケイジ&フィッシュ・デイズ!愛の告白をした者たちは、果たしてカップルになって自分の居場所を見つけられるのか?それとも1人寂しく帰国(どこへ?)、さまよいつづけるのか?新しいメンバー、事務所以外のメンバーも参入してくる中、永久にさまよいつづけるものも・・・・。

 
 今、1人の弁護士が動き出した!途中参加のメンバー、絶対零度を売りにしながらも、ジョンとの恋愛では、可愛い一面と、譲れない価値観を見せた。しかしその恋愛のハードルを越えられず、一時は事務所リタイア宣言かというところまで、追い詰められ、それが全て自分の選んだ道としても、ぼろぼろになって、ストレス太り?とまでウワサされる中、彼女が密かに動き出した。彼女の名前はネル・ポーター。彼女のこの恋愛の行方は・・・・。
 
 

『ネルmyラブ』

         ネルのオフィス。窓を見ながら、にっこり微笑んでぼーっとしているネル。
         リンが入ってきていることに気づいていない。
         リンは、いぶかしげに彼女の開いているパソコンの画面を読み出す。


リン  「『地球一周、どこでもドア的ラブPCネットあいのりの旅』?
     プロフィール『ハンドル・ネーム、ラプンツェル。女性。年齢20代。職業、弁護士。
     居住地、ボストン。あいのりに参加した動機、・・恋愛に奥手だから』」

          最初ぼーっとして気づかなかったネルが振り返った頃には、いつものリンの
          調子で、最後まで読まれてしまっていた。


ネル  「リン!・・リン!・・ちょっと・・人の・・・(ふいうちで明らかに動揺している)」
リン  「(冷静)何、これ?」
ネル  「ふふ・・(頼りなく、とりあえず笑ってごまかしてみる)」
リン  「動機、セックス嫌いって書いとけば?」
ネル  「なっ!ちょっと!勝手に見ておいて、なんなの!」
リン  「ぞっとする」
ネル  「は?!いいでしょ?別に。ちょっと遊んでるだけ」
リン  「遊んでるだけ?空なんか、うっとり見たりしてるのに?
     パソコン見つめてにやにや笑ってるし」
ネル  「はぁ・・(大きく息を呑む)リン。生身の恋愛より、気楽でいいの!放っておいて!」

リン  「・・・・(じっと見ている)」
ネル  「・・・?何か用があって来たんじゃないの?」
リン  「いい。」
ネル  「そう?じゃぁ・・・(と、手を、どうぞお引き取りください、という風に差し出す)」

リン  「・・・(じっとPCとネルを交互に見て)ぞっとする」
ネル  「(カチンときたネル)ぞっとするって・・・2回も!?リン・・・そっちはどうなの?」
リン  「何が?」
ネル  「ジャクソン・(ここで、一呼吸置く、ラリー口調になる)デューパー!!」
リン  「(何か言いかけて、ふん!と、きびすをかえす)感じ悪い!(さっさっさ、と部屋を出る)」
ネル  「(あきれて)どっちが ?!」  


つづく


2002年04月01日(月) 「アリー・幕ビール」  予告

「チャーム度」の次回作までの間に、少し、短編集といいましょうか、
一幕劇でお楽しみいただければと思います。
(正直に言います。私が遊んで楽しんでみたいと思います)


「アリー・幕ビール」一幕劇集(?)より、まず第1回目に登場しますのは『ネルmyラブ』
ネル・ポーターのかわいい仮想ネット恋愛、「あいのりバージョン」


そして!当然、聞こえてくるのは GLAYの『Way Of Difference』
♪逢いたくて、逢えなくて♪
      ♪恋しくて 恋しくて♪

     音楽に国境はありませんのよ。


さて、絶対零度というフレコミで登場したネル・ポーターにどんな恋が・・・・。

Coming SOOOOOON!!!









                               今日は、何の日?


moto |M@IL日常こんな劇場(^▽^)ノネェネェd(@^∇゚)/前向きに

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