だからさ。相変わらず莫迦なのは仕方ないけれどね。
少しも進歩していないのは、どうかと思うんだけど?
三年、会わないでいる間に一体、何をしていたのやら…と本当に思う。
いい事ばかりでは無かっただろうけれど、悪い事ばかりでも無かっただろうに。
…大体、誰がピアス、つけてやったと思ってるのさ?
侮らないで、もらいたいんだけど?半分、口から出かかった。
でも、言えない。
「……どうしたらいいんだろ……」
今にも泣き出しそうなティアラが僕を頼っているのだから。
選択、は彼自身でしなければいけない事だけれど、せめて選択の幅を広げる位は、手を差し伸べる事くらいは、僕の義務で責任なのだろう。
……いい加減、大概にして欲しい。とは切実に思うんだけど、ね。
事の起こりは、もうすぐ日が変わりそうな頃、何とはなしにティアラの部屋に行ったのが始まり。
僕としては、美味しいお茶が飲みたい気分だったし、青いのは遠征で城を離れているからそろそろ気疲れしているだろうと思ったから。
物凄く不本意、だけど、ティアラは青いのが側にいるとすごく楽そうに見える。
だからその分、会えない時間が募ると加速度を増して疲れが見えて。
まるで呼吸をする事さえ、苦痛に見える位に。
…勿論、ティアラだってかつては一軍を率いて戦っていた立場だから、周りの連中にそんな事は気付かせない振舞いをしている。
でも、少なくても、僕、には。
招き入れてくれた時から、アンバランスに気付いた。
「あ。ルック。いらっしゃい〜お茶、淹れるね」
無理に造ってみせる笑顔が気に入らなくて、思わず眉を顰めつつ頬をつねってやる。
「……僕にまで、そんな風にしてどうするつもりさ?」
そう言うと、ティアラはつねられた頬に手を当てて苦笑する。作り物ではない苦笑。
「…他の人には大抵、気付かれないのにね。
ごめんね。ちょっと考え事してた」
「謝ってもらいたい訳じゃないんだけど?
大体『他の人には大抵気付かれない』 って言うけど……青いのと熊は気付くよ」
「それはそうかも知れないけど……でも、今は城にいないから。
だからルックだけだよ?」
それは光栄、と言うべきなのかどうか。
惚気るなら、何処か別のトコでやって欲しいんだけど。
思わず黙りこんでいると、ティアラはいつもの様にお茶を淹れはじめたから、僕は適当に椅子に座って。
後ろ姿をぼんやりと見ていると、独り言なんだか計りかねる声。
「何も、こんなに広い部屋をあてがってくれなくてもいいのにね。
……立って半畳、寝て1畳。で充分なのに」
今は亡き国の将軍御子息が言うセリフとは到底思えないんだけど?
大体『半畳』ってどこの国の単位さ。
「大体、僕が貴賓扱い、ってのも変なハナシだよねぇ。
僕は、ただ手伝いをしに来ているだけなのに」
そんな事を言った所で、状況は変わらないのも知っていると思う。
本人の意思とは別に、名前と栄誉は津々浦々に響き渡っているんだから。
そう。離れていた3年間にもどこかかしらで君の話を耳にした位に。
どれもあの戦いの話で、君の消息を伝える話では無かったけれど、それでも耳にする度に懐かしい気持ちになっていたのは確かで。
生きている、とは思っていたから生死の心配はしていなかったけどね。
「……貴賓扱いがどうこう、っていうのは置いといて。
部屋が広くて、っていうんだったら僕のトコにでも来たら?」
青いのがいなくて、部屋を広く感じてしまっているのだろう。元々あまり使っていない部屋なのだし。
この部屋にティアラがいなかったら、青いのの部屋か、裏の湖にいけば大抵見つかる、とまで影で言われている位だ。
「………ん。ありがとう。考えておく〜」
考えておく、じゃ無くてっ!!大体、君の『考えておく』と『何とも無い』程、あてにならないものも無いんだよっ!!
そう言いかけようとした瞬間、笑顔でお茶を差し出されてしまって、気を削がれてしまう。
「お茶、出来たよ。今日は茉莉銀匂にしてみたの〜」
……にしては、匂いがきつすぎる様な気が。
薫花、を何度も繰り返したお茶とはいえ。
訝しげに一口、口にする。
「…………ティアラ、これ、出過ぎてるんだけど?」
これは重症だな、と改めて、思った。
まずは一言。
ルック坊では、ありませんっっ!!
……書いてて自分で不安になってました(苦笑)あくまでも『フリ坊前提』の話です。
フリックさんの前だと、うちのティアラはどうも素直に深刻な自分の感情を出さないので、ルックちゃんに託してみました♪
ちなみにある程度、続きは考えていますが詳細はまだあやふやだったり(^-^;
全部書き上がったら、サイトの方に完全Verとしてアップするつもりでいます。
よろしければどうぞお付き合いの程をv