2004年12月28日(火) |
2005年、世界をぐるりと見渡すと・・ その2) |
冬期休暇のお知らせ)
本年もお世話になりました。 弊所は 12/29 〜 1/5 まで「冬期休暇」とさせていただきます・・。
なお、休業中にいただいたメールには、 休み明け1月6日(木)より順次対応させていただきますので、
よろしくお願い致します。
こんにちは、カン・チュンド です。
わたしはセミナーなどで申し上げるのですが、 中国の将来 は「いいか、悪いか」の二者択一ではありません。
中国の将来 を予測することは、 中国の 潜在成長性 と 潜在危険性 のどちらがより大きいかを 比べることなのです。
弊所では 中国という国が、数々の困難、リスクを顕在化させながらも
(アップダウンを繰り返しながらも)今後大きく発展していくと考えます。
● 中国・・。
以前、このコラムでも触れましたが、
大陸中国の「A株」を組み入れた ETF が すでに香港証券取引所に上場しています。
(11月18日に上場しました。 残念ながら、日本の証券会社では購入できません)
(以前のコラムの補足を兼ねますと・・)
このETFは iShares FTSE/Xinhua A50 China Tracker(2823)と呼ばれ、
FTSE/Xinhua China A50 Index という「指数」との連動を目指すファンドです。
この FTSE/Xinhua China A50 Index という「指数」、
上海証券取引所、深セン証券取引所 の 50 の「A株」から 成り立っています。
「あれ? でも、外国人には(A株)は買えないですよね?」 はい、おっしゃるとおりです。
ただ、QFII(適格海外機関投資家)には 制限付きで「A株」の売買を認めているのです。
(実は)この A50 China Tracker は、 QFIIが組成する Chinese A Shares Access Products(CAAPs)を 通じて形作られています。
つまり、直接「A株」を購入しているわけではない、ということ。 (従って「指数」とのかい離が(時に)大きくなることがあります・・)
この ETF が登場したことはたいへん重要と考えます。 中国の「株式市場」を概観しますと、
香港市場という「いちば」と大陸中国の「いちば」の間には、 高くて大きな 壁(かべ)が存在するのです。
大陸中国の「いちば」はまだ荒削りの、 視界だけはだだっ広い 荒野 です。
この 荒野 にただなんとなく(Tシャツとジーンズ姿で) 歩きながら ターゲット(個別企業)を探し求めるのは 危険 だと考えます。
何しろ大陸の「いちば」は登場して まだ14年しか経っていません。
個別の企業 をつぶさに見ていくと、 (言葉は悪いですが)まだまだ いいかげんな会社 が多いのです。
(しかし、中国経済の 潜在成長力 は大いに買いたいと思っている・・)
で、どういたしましょうか?
(基本 に戻りましょう・・笑)
・中国経済 が 成長するとは ?
→「いちば」自体が 大きくなり、厚みを増す ということ。
(ここ、重要!)
中国株式 こそ 「いちば」自体 に投資する = インデックス運用 が もっとも合理的な投資手法と考えます。
一面の荒野 にも 道 は開かれているのです・・。
本年も【コラム 金財茶房】をご愛顧いただきまして、 誠にありがとうございました。
皆さま、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
2004年12月24日(金) |
2005年、世界をぐるりと見渡すと・・ |
こんにちは、カン・チュンド です。
( Merry Christmas! ですね・・)
今年もいろいろありました、という感慨より、 「えっ、もう終わりなの?」というのが正直な気持ちでしょうか・・。
さて、わたくし カン は「資産運用アドバイザー」ですので、 国・地域 の「将来像」を予測することが仕事の一部となっております。
(この点、↑ たいへん重要と考えます)
なぜなら、投資とは 潜在成長性の高い「国・地域」に お金とエネルギー を注ぐことですから・・。
まずは
● アメリカ・・
かつてわたしが貴国に居た時、 アメリカという国は「開かれた沃野」でした。
ポートランドの入国審査で「 Welcome to America ! 」 のスマイルを受けたことを、今でも鮮明に憶えています。
しかし現在、アメリカではビザの取得すら、 たいへん骨が折れる作業と聞いています。
かつて一度も外国からの侵略を受けたことがないアメリカが 9.11 同時多発テロ で受けた「衝撃」は、 私たちが想像する以上のものだったのでしょう。
しかし、その後の一連の動き、
9.11 同時多発テロ → アフガニスタン侵攻 → ウサマ・ビンラディン追跡 → イラク戦争 → サダム・フセイン捕獲 → イラク戦争泥沼化
を見てみますと、当初の「反テロ行動」が 拡大解釈 され、
一度放たれた矢が「収拾するきっかけ」を失い、 いたずらに拡散している感があります。
・「対テロ戦争」は、 リターン が極めて期待しにくい コスト行動 です。
費用負担 と 出口が見えない「閉塞感」は、 アメリカ経済 にも悪い影響を及ぼします。
もうひとつ心配なのは、 エスニック(民族)の モザイク化 です。
マイノリティー(少数民族)の人口では ヒスパニック系がすでに 黒人 を上回っています。
2050〜60年には、アメリカ社会 で ・白人が マイノリティー(少数民族)になるのです。
異なるエスニック(民族)が拮抗し 「意思決定」に時間を要するようになると思われます。
今でもアメリカ社会は 価値観 という物差しのところで 「ニ極化」が進んでいますね。
エスニック(民族)の 拮抗 が アメリカ社会 にどんな変化をもたらすのか、
それは「分裂」なのか、(それとも)更なる「融合」なのか、 現時点では知る術がありません・・。
これからの20年は、アメリカという「一極大国の構図」から、
北米・欧州・アジア という「三極 構造」に 経済力学 がシフトする と考えます。
そして、アジアの中でもっとも荒削りで(かつ)潜在成長性 が高い国が 中国 なのです。
光の海・・ ルミナリエ 2004.12.21
2004年12月21日(火) |
確定拠出年金、その料理のしかた その2) |
こんにちは、カン・チュンド です。
【質問】
大多数の方は どこで「投資」という作業に はじめて出会うのでしょうか?
【答え】
確定拠出年金 という「停車場」で出会われる・・。
日本でもようやく確定拠出年金の加入者が100万人を超えました。
2005年4月から 同制度 を導入する企業が多数あり、 来年は「はじめまして! 確定拠出年金」の年になると思います。
さて(前回の続き) 〜 以下、アメリカの例です 〜
コロンビア大学のリサーチによると、
運用商品プランを10〜12個くらいの中から選択させるのが、 年金プラン参加者にとっていちばんストレスが少ない とのこと。
(もちろん【自社株】は NG!)
(大切なことは)運用商品プランの 質 を向上させることなのですね。 (量 ではないのです・・)
もし 企業側 が重複したり、選りすぐりではない 「運用商品プラン」をただ漫然と並べているだけなら
「商品を入れ替えてください!」と要求しなければなりません。
というのは、企業側には【受託者責任】があるからです。
【受託者責任】とは、年金プラン参加者に対して 当事者 が果たすべき義務のことです。
大きく分けてふたつあります。
1.プラン参加者の「利益」のために 忠実に仕事を遂行する「忠実義務」
2.専門家として当然払うべき「注意義務」
特に 上記 2.の 義務 は 「プルーデントマンルール」とも云われ、
「専門家としての能力を活かし、思慮深い行動を取らなければならない」 と規定されています。
実はこの【受託者責任】、 アメリカよりも日本の方が厳しい規定になっているのです。
(この原因は「導入経緯の違い」によります・・)
アメリカでは(もともと)既存の 企業年金 に上乗せする形で 「確定拠出年金」が導入されました。
(しかし)日本の場合は、
企業側の「もう確定給付の年金なんてやってられない。 本業の利益が圧迫される!」
という声に押されて(要するに 企業 が負担に耐えかねて)
企業年金の一部、または全部を「確定拠出年金」に振り替える というパターンがほとんどなのですね。
つまり、
上乗せする(アメリカ)と 振り替える(日本)の 違い です。
日本の方が「企業の都合」で 導入 が促された側面が大きいため、 【受託者責任】を厳しくしましょう、ということなのです。
さて、【受託者責任】1.の中で 特に重要と思われるのが
「投資教育」です。
これは「確定拠出年金」導入前の 教育 のみばかりでなく、
「確定拠出年金」導入後に、 継続的に サポート教育 が行われているか否かということです。
この【投資教育】こそが、
年金プラン参加者が 運用という作業に真摯に、 かつ合理的に向き合えるかどうかの カギ を握っているのです。
(当然、資産運用 成功のカギも握っている・・)
わたしは今まで20社近くの企業に 投資教育セミナー講師 として派遣され、 お話をしてきました( ←「確定拠出年金」導入前 のものです)
そこで感じたことは、
● 2時間で 投資 のすべてをわかってもらうのは
2時間の学科教習だけで、車をスイスイ運転してもらうのと 同じことだ ということです。
日本においてもアメリカにおいても、 「確定拠出年金」による 積立金 が 退職後の資産の 相当部分 を占めるようになります。
もしあなたの会社で「確定拠出年金」が導入されたなら、
< この制度をうまく活用する以外に 道 はありません >
あなたが積極的に「確定拠出年金」に関わり、 よりよい選択肢を提供するよう、
あるいは恒常的な 投資教育プログラム を導入するよう、 企業側 に働きかける必要があるのです。
(誰のためかというと・・)
もちろん、あなた自身の 将来 のためです。
【投資のい・ろ・は】を学ぶ2日間セミナーです!!
( 1/16・23 Sunday・・)
ケイコさんの 知的人生設計入門
【お金のなる木の見つけ方】
第8回 in 大阪
2004年12月17日(金) |
確定拠出年金、その料理のしかた |
こんにちは、カン・チュンド です。
先日【積立て投資】のお話をしたので、
今回は勢いにまかせて? 皆さんを 確定拠出年金(401K)の世界にご案内します(笑)
〜 以下、アメリカでのお話です 〜
リタイアメント用の年金プラン (その代表例が 確定拠出年金 ですが、)
において「適切な教育がなされていない」、 「ガイダンスがいいかげん」といった理由により、
実に多くのプラン参加者 が自らの資産を目減りさせています。
(云うまでもなく)投資は 面(めん)で捉えるものです。
資産(金融商品)の 組み合わせ をどうするのか・・?
という問いには 1ヶ月くらいかけて答える価値が十分あります。
(それほど 重要 なのです・・)
資産(金融商品)の 組み合わせ のことを Diversificationと言いますが、
これは「投資対象 を分散させ、かつ多様化させること」と訳されます。
しかし(ここが 世の中 の難しいところなのですが・・) あまりにも多くの 選択肢 があることで
(逆に)プラン参加者が 効率的なポートフォリオ を 構築することができなくなったりしているのです。
(ん? 一般に 投資の選択肢 がたくさんあることはよいことだ と 解されますよね?・・)
(この 謎 を、確定拠出年金 をイメージしながらお話しますと・・)
・投資の選択肢 が多すぎることで 起こりがちなデメリット
1.(単純に)分散しすぎてしまう・・。 (22の金融商品があり、22個 すべて選んでしまった・・苦笑)
2.分散させているように見えても (実は)投資対象 が 重なってしまっている。
3.その結果、特定の 資産 に対する「比重」が大きくなりすぎる。
4.(また)コスト が余計にかかってしまう・・。
(現実は なかなか難しいものです)
確定拠出年金 における「金融商品の選択肢」については、 コロンビア大学の研究により 興味深い結果 が出ています。
それは、
・より少ない 金融商品の選択肢 を提示した企業の方が、
「確定拠出年金に加入する」と表明した従業員の割合が高い というものです。
(選択肢の数 が多くなればなるほど、 加入表明する 従業員の割合 は低くなった・・)
更に続けますと、
・選択肢の数 が多くなればなるほど(実際の選択において)
「知っているから これにしておこう!」という 安直さ が 勢いを増すのです。
(それはそうです・・、50も60も金融商品が並んでいれば、 見比べているだけで 頭が痛くなります・・)
そして云うまでもなく、
◆「知っているから これにしておこう!」という 安直な選択の 代表格 が【自社株】なのです。
確定拠出年金 において多くの従業員が【自社株】を選ぶのは、
聞いたことのない金融用語が並ぶ 投資信託たち よりも、 「自分の会社 の方がより理解できているし」と
思ってしまうからなのですね。
あー、
エンロン や ワールドコム の従業員だった方々が 今の話を聞いたらどう思われるでしょう? 【エンロン社 401Kの失敗に学べ!】
商店街で トリ が飛んでいます。
2004年12月14日(火) |
30日ごとに積み上げる投資 |
こんにちは、カン・チュンド です。
私たちは資産家の息子でも娘でもありませんから、 最初から ストック(資産)があるわけではありません。
毎月の生活の中で 余るお金 (これって未来に使うためのお金 ですね)
この一部を用いて 継続的に投資をしていくことが大切なのです。
これが(いわゆる)フローからの投資 です。
< 基本の確認 >
投資の方法 には「2種類」あります。
1.ストック(資産)からの 投資 2.フロー(収支)からの けいぞく的 投資
このうち、フローからの投資をどのように行うのか
(硬い言葉でいうと 戦略 です)が 昔から 論争の種 になっています。
例)
毎月3万円 のフローをある程度貯めこんで マーケットの様子 を見ながら、
「よし、ここが底だな」と思ったら買っていく。 (マーケット・タイミング法 ですね)
例)
毎月3万円 のフローで、同じ金融商品を毎月同額、 ただ買い増ししていく。
(単価が高い時は 少なく、 単価が安い時は 多く 買うことができます・・)
これが【積立て投資】ですね。
イメージとしては 富 を少しずつ「積み上げる」ことなのですが、
この【積立て投資】、もっとも「おもしろくない」投資手法 として 広く認知されています(笑)
なぜ「おもしろくないか」というと、 投資 という作業をしている【実感】に乏しいからでしょう。
注意)
投資をしている「実感」の大きさ と、 「運用成績」の間には何の 因果関係 もありません!
さて、【積立て投資】のことを少し硬く云いますと、
1.定額 で 2.一定のインターバル を置いて 3.同じ金融商品 を買い続ける こと と定義できます。
例えば、確定拠出年金 は【積立て投資】の典型例 です。
毎月 同額 を(個人勘定の口座から)引き出し、 機械的に 金融商品 を買い付けします。
確定拠出年金 では、 購入する「金融商品」をころころ変える人がいますが、
あれはよろしくありません・・。
なぜなら、【積立て投資】の定義 である、
3.同じ金融商品を買い続けること に違反するからです(ここ、重要!)
A商品 → B商品 → C商品 と、 変わる金融商品 に【積立て投資】をしても意味がないですから!
また、個別株式(含む ETF)の 配当金 を 本体 に再投資すること、 あるいは 投資信託で「分配金再投資コース」を選ぶことも、
形 を変えた【積立て投資】です。
(ちなみに 投資信託の「分配金 再投資」で 申込み手数料 を徴収するファンドはないはず・・)
(そして何より)【積立て投資】のメリットは、 ・継続させやすい ということです。
(継続させることは、資産運用における 前提条件 ですから・・)
つまり、2日間だけ通う【お金の学校】です!!
(1月の16日と23日。どちらも日曜日・・)
ケイコさんの 知的人生設計入門
【お金のなる木の見つけ方】
第8回 in 大阪
2004年12月10日(金) |
わたしの主張(ボブ編) |
皆さん こんにちは、ボブ です。
僕はアメリカのセントルイスに住んでいます。 そうです、俳優 ケビン・クライン の出身地です。
(ん、誰も知らない?)
「トム・ソーヤーの冒険」の舞台になった ハンニバル という町が近くにあります(そう言えばわかるかな?)
まあ、それはさておき(笑)、 僕の仕事は ファイナンシャルプランナー です。
今日は 日本にいる カン という ファイナンシャルプランナー と テレビ電話で「ディスカッション」する予定になっています。
カン
「こんにちは、ボブ。久しぶりです。
ところで今日は【相関関係】 (ふたつの投資対象の「値動き」が異なる度合いのこと)について
話をしたいと思います」
ボブ
「カン、こっちこそよろしく。どんなことでもどうぞ!」
(ちなみに【相関関係】が低い とは) ・ふたつの投資対象の「値動き」が 異なる度合い が高いこと。
カン
「この20年くらい グローバリゼーション が進んで、 世界マーケットの【相関関係】が高くなっています。
(「いちば」の値動きが 似通ってきている ということ・・)
わたしとしては【分散投資のメリット】が薄れてきているのでは? と危惧するのですが、ボブ はどう思われますか?」
< 参照例 >
S&P500 と MSCI EAFE (過去5年間の 相関関係)
ボブ
「んー、難しいところだね。
そもそも【相関関係】には 一貫した「トレンド」があるわけではないんだ。
例えば、資産A、資産B の【相関関係】は 中期のスパン で変わり得る。
短いスパン では劇的に変動することもあるんだ。
さっき例に挙げてくれた S&P500 と MSCI EAFE でいうと、
1996年ごろから【相関関係】が高くなっているのは事実だ。
しかし だからといって、 保有資産 の 多様化(= 国際分散投資)に 意味がなくなったとは思わないね」
(上の例 でいうと)
アメリカ大型株式 と ヨーロッパ大型株式、 このふたつの「値動き」が似通ってきたのは、
「グローバル企業」の肥大化と関係がある。
「グローバル企業」が 製造、販売、マーケット を巡って、 あるいは 輸送手段、資金調達 を巡っても 世界各地で激しい【競争】を繰り広げているからね。
(今後のことを予測すると)
大企業 に関していえば 【相関関係】はより高くなっていくと思うよ」
カン
「じゃあ、分散投資の意味が・・」
ボブ
「まあ落ち着いて、カン。
例えば 小型株式 や バリュー株式 は ( ← 僕が言っているのは 指数 としてだけど)
国内市場 により強い影響を受ける。
つまり、グローバル企業を冠した「指数」との 【相関関係】は低いというわけだ。
道具 はまだまだたくさんあるってことさ・・」
カン
「じゃあ、ちょっと視点を変えたいと思います。
今も 円ドルレート は結構動いているんだけど、 この3、4年(特に)為替レートの ボラティリティ が 高くなっています。
国際分散投資 を行う上で 【為替レート】はどんなインパクトを持っているのだろう?」
ボブ
「んー、これはアメリカ人がいちばん苦手な問題だね(笑)
まあ、通貨の価値 を予測することは A社の株価 を予測するのと同じくらい難しい・・。
(これが前提だけど)
例えば、国際的に分散投資された 株式ポートフォリオ の場合、 A通貨 が下がれば、B通貨 が上がることがある。
あるいは B通貨、C通貨 とも下がることもある。
(ただ)すべての通貨価値が 一方的に「下がる」 というのは考えにくい・・。
だって為替レートは 複数通貨の「相対的な関係」で決まるものだから。
(一方が上がれば、他方が下がる。その逆もしかり・・)
ということは、 【為替レート】のボラティリティ自体 が高くなっても、
株式ポートフォリオ に対する影響は (われわれが思っているほど)大きくはない ということ。
(当然、自国通貨の下落に対しては ヘッジ になるし・・)
(これは質問の主旨からはそれるけど)
・外貨 を持つ時は「株式」を保有することを通じて 持つ。
これが基本的な考え方だと思うよ」
カン
「なるほど・・。どうもありがとう」
12月ですなあ・・。
2004年12月07日(火) |
(今日は特に女性の方へ → )リタイアメントは必ずやって来ます |
こんにちは、カン・チュンド です。
わたしは今年36歳になりますが、
去年より今年の方が(ほんとうに) 「1年の経つのが早いなあ」と感じてしまいます(笑)
わたしが仕事を辞めたあと → 第2の人生(セカンドライフ)は まだまだ先のことですが、
(しかし)30年後 は必ずやってきます。 (今まで 30年 が経たなかったことなんて、一度もないのですから・・)
セカンドライフを迎えるにあたってのいちばんの「不安」は、 「経済的にだいじょうぶなのかしら?」ということでしょう。
(今日は特に「女性の方」へ警鐘を鳴らしたいと思います・・)
以下、アメリカの統計データより。
1.(2001年において)60歳以上の全人口のうち、女性が占める割合 はおおよそ 60% です。
85歳以上の人口のうち、 女性が占める割合は(なんと)70%。
2.(ベビーブーマー世代の女性のうち) 10人に7人が 夫よりも長く生きると予測されます。
3.65歳以上の方のうち、独りで生活する女性 は 独りで生活する男性の 約3倍 に上ります。
4.(65歳以上では) 女性 は 男性 の約半分の 収入 しか得ていません。
皆さん、いかがでしょうか。
4.に関連しますが、
女性が(経済的に)シビアな立場に置かれる理由のひとつとして、 一生涯に働く「年数」が少ないことが挙げられます。
なぜ、「年数」が少なくなるのか・・?
それは女性が 就労可能な年代に 「子育て」や 家の中の「仕事」に時間を奪われているからですね。
しかし、真の問題は 女性の方が(平均すると) 男性より 5歳程度 長生きすることにあります。
(これはアメリカの例。日本の平均寿命でいうと、 女性の方が 7歳 は長く生きられます・・驚!)
長生きするということは、 第2の人生で手当てしなければならない「生活費」が増える、ということ・・。
女性は 夫の死後、今までの収入(夫の公的年金・企業年金)の 一部を失うことになります。
女性の方が「自分ひとりで過ごす セカンドライフの時間」を より強く意識しなければならないのですね。
今、50代の女性の方は 「自分のための」リタイアメント貯金 を始めることが 不可欠 です。
(今 30代の女性の方も同じですよ。 ← 早く始めた方がお金は大きく育ちますから・・)
「考え方」はそんなに難しくありません。
まずは 口座 を作ってください。
「わたしの人生貯金」でもなんでも、 とにかく「名前」を付けてください。
(もちろん、旦那様・パートナー には内緒にしておいてください 笑)
とりあえず 1万円 から始めましょう。
「これは最初から無いお金なんだ」= 決まっている支出 と考えて、 口座から【自動引き落とし】できる方法を選んでください。
(有利なしくみ を作ることが大切なのです)
銀行の 定期積金 でも、 円建てMMF の「積立て投資」でもいいです。
財形制度 がある会社に働いておられる方は ぜひ 財形 を利用してください。
皆さんには 機会 も 方法論 もあるのです。
あとは皆さんの「決断」次第 です。
どこを向いているのでしょう?
2004年12月03日(金) |
上海証券取引所の ETF について |
こんにちは、カン・チュンド です。
このコラムの熱心な読者なら、弊所が国・地域として「中国」を重視し、 金融商品として「ETF」に重きを置いているのはおわかりいただけると 思います。
10月28日号 の Far Eastern Economic Review で 大陸中国にて ETF の設定がなされる予定
との記事が載っていました。
ETFという インデックス・ファンドを進化させた金融商品は、 ふたつの運用会社がそのシェアにおいてしのぎを削っています。
ひとつは BGI(バークレイズ・グローバル・インベスターズ) もうひとつは State Street(ステート・ストリート)です。
記事によると ステート・ストリート は、年内にも 上海証券取引所 の
指数である Shanghai 50 に連動するETF「Shanghai 50 ETF」を 同取引所 に上場させたい構え とのこと。
(もちろん、難なく事が運ぶかどうかは まだわかりません。 → なにせ相手は 中国政府 ですから・・)
このETFは A株 に上場する時価総額上位50社を 組み入れ対象とするため、
(当然)ETF自体も A株 に上場するものと思われます。 (→ つまり、私たち外国人投資家には買えない?)
(実は)ステート・ストリートは99年に、 ETFを設定するアイデアを中国当局に持ちかけていました。
大陸中国で、株式市場という「いちば」が出来て 15年になろうとしていますが、
「株式市場さえ出来れば 資本主義 の仲間入り!」という 単純コース を歩んでいるわけではありません。
(実際)民間の株主 が多数を占める「ふつうの株式市場」とは ほど遠いのが現状です。
中国当局 の悩みは、上場企業の約3分の2の株式を(未だ) 政府・省・市町村・その他関連団体が「保有」していること・・。
(つまり実体は、ふつうの株式市場 に前足を浸しているだけ・・)
中国でほんとうの「資本主義」が発展するためには、 政府が保有する株式が 過半数以下 になる必要があります。
(つまり、会社のオーナーが 民間人・民間会社 になる、ということ)
もちろん中国当局も(株式市場の発展を考えると) 保有する「株式」を売却したいのはやまやまなのですが、
自身が動くことで マーケット が暴落することを何よりも恐れているのです。
(これが 国有株の売却問題・・)
そして、まだまだ企業に対する影響力を行使したいというのも政府の 「本音」なのです・・(苦笑)
そこで ETF の登場となります。
実はテキストとして 香港市場の例 があります。
どういうことかと云うと、
1997年7月に「アジア通貨危機」が発生しました。
(このような 歴史 になりつつある出来事を 客観的に振り返ることは たいへん重要です!)
この「アジア通貨危機」を受けて、香港市場はその値を大きく下げます。 (投機筋 による猛烈な「空売り」に遭ったのです・・)
香港当局は 株式 を買い支えるため マーケットに介入しました。
その結果、ハンセン指数の約7%(時価総額に比して)もの 「株式」を保有するに至ったのです。
香港当局は保有する「株式」を売却したかったのですが、 マーケットの暴落も防ぎたい と迷います・・。
そこに格好の「出口」として浮上したのが ETF だったのです。
香港当局は 保有する「株式」をハンセン指数に連動する形で ステート・ストリート に売却します。
ステート・ストリート は、現金の換わりに「有価証券」 (= Tracker Fund of Hong Kong というETF の有価証券)を
交付しました。
Tracker Fund of Hong Kong は99年の11月に上場を果たし、
香港当局は(時間をかけて) マーケットで 同有価証券 を売却することができたのです。
「買い手は?」
もちろん、個人、法人などの運用者でした。
南米の民俗音楽を演奏する人たち
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