コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2003年09月30日(火) ご近所とのつき合い方


こんにちは、カン・チュンド です。

10月1日(水)〜 4日(土)まで
香港・深セン に出張のため
弊所は臨時のお休みをいただきます。

目的はふたつです。

・香港証券会社に口座を開設する
・香港・深センにて「経済の空気」を吸ってくる

たくさんの好奇心を
満たしてこようと思っています。


日本は工業製品を 輸出 することで
経済大国となりましたが、

「よその国に、自国でお金を使わすこと」に
あまりにも無関心でした。

日本国の不動産を使用することも、
設備を購入することも、人を雇い入れることも、
すべて自前(自国の人間のみ)でする必要はないのです。


今、日本は“直接投資”を
受け入れやすくするための
『インフラ作り』を迫られています。

もはや国の周りに楔(くさび)を打ち付けて、
「ここから内は私たち、あなたたちはここから外!」
と構える時代ではないのです。

日本はよく 一民族、一言語の国
と言われますが、

隋・唐 の時代には、
中国の政治・法制度、文化(言葉・食べ物)

人 に至るまで、さまざまな
“直接投資”を受け入れていたんですね。


2006年を境に日本の人口は減少を始めます。

すでに50歳以上の方々が
全人口の4割を占めています。

日本は総人口の減少、
そして労働生産人口の減少という
「二重の人口動態変化」に直面しているのです。

一定分野においては
【労働力不足】が顕在化してくるでしょう。

その時 移民の問題 が
間違いなくクローズアップされます。

「そうは言っても、違う肌の色の人と・・」

「違う食文化の人と・・」

「違う価値観の人と・・」


価値観? 人の価値観は
(同じ国の者同士でも)違いますよね。

今はあまり実感が
湧かないかもしれませんが、
日本はこの時大きな選択を迫られます。

それは単に移民を受け入れるか、
受け入れないのか、という問題ではありません。

『プライドをかなぐり捨てて受け入れよう』
とネガティブに思うのか、

『これは私たちにもプラスになる』
とポジティブに思い受け入れるのか、

ここが 大きな違い なのです。


わたしは思うのですが、

他民族、他言語 を受け入れ、
他者を己の中に内在化し、

自らを活性化させる“知恵”を
日本人は持っているはずなのです。

それは単によい要素を取り入れることでも、
ミックスさせることでも、
多様化させることでもありません。

それは「他の 色 を受け入れることで、
自身の 色 がより鮮明になる」
ということなのです。


それに、『直接投資』で
人やモノやカネが日本に入ってくるのは

それだけ日本が
“魅力的なところ”だからではないでしょうか?

仕事の場で、学校で、商店街で、
ちがう 色 の文化とつき合うことが日常となる時、

そのような環境下で生まれ育つヒトが出てきた時に、
日本はほんとうの意味で「変わる」のではないでしょうか・・。


現在、日本は
典型的な 貿易黒字国 です。

貿易黒字 とは、
輸出−輸入 がプラスということですね。

輸出 は商品を提供してお金を得ることですね。
輸入 は商品を購入してお金を支払うことです。


したがって、輸出から輸入を差し引いたものが
『売り上げ』となります。

(昨今の)日本の輸出のけん引役は
自動車・精密機器 などで、
アジア向けの輸出が伸びているのが特徴です。

あまり知られていないことですが、

日本にとって最大の貿易相手地域は、
もはや 北米 ではなくアジア地域 です。
(ここ、重要・・)

先日わたしはセミナーでお話したのですが、
(時代の方向性として)オモテの顔が

「グローバリゼーション」なら、
ウラの顔は「地域経済体」なのです。


アジアから 人、カネ、モノ が
流れてくるように、

日本はもっとアジアに
人、カネ、モノ を注ぐべき、と考えます。


家を例に挙げると、こういうことです。

玄関先 を風通しよくすれば、
家の中から外へもよい風が通りますよね・・。





2003年09月26日(金) おかねの値うちの話


お知らせ その1)

只今発売中の
【マネージャパン11月号】59ページにて、

カン が 今月の100万円
「私はコレをすすめます」を執筆しています。

どれをすすめてるのかって?
「もちろん 投資信託 です」


お知らせ その2)

10月1日(水)〜 4日(土)まで
香港・深セン に出張のため

弊所は臨時のお休みをいただきます。
(事務所には誰もいません・・)

目的はふたつです。

・香港証券会社に口座を開設する
・香港・深センにて「経済の空気」を吸ってくる

たくさんの好奇心を
満たしてこようと思っています。

(もちろん)HP上で
「チャイナ・レポート」をお届けする予定です。

お楽しみに・・。


こんにちは。

おじさんの名前は姜(かん)といいます。

(みんな、覚えてる?)

今、みんなの前にふたつの島が見えています。

ひとつは、お米や野菜(やさい)がたくさんとれる 島。

もうひとつは、鉄の原料(げんりょう)や木材(もくざい)が

たくさんとれる 島。  


ここに 船(ふね)があって、

おたがいの 島 を行ったり来たりしています。

もちろん ヒト が行ったり来たりするだけでなく、

モノ も行ったり来たりしています。

だって、ふたつの島に住む人にとっては、

おたがいに必要なものを交換(こうかん)

できるほうが便利(べんり)だからね。

これが 貿易(ぼうえき)というものなんだ。


ただ、今はモノとモノを交換(こうかん)

することはあまりしません。

そのかわりに お金 を使っているよね。

だいたい、野菜を手に入れるために、

いちいち 木材 をはこんでいたら重くてたいへんだから(笑)

ということで、お金 というものが生まれたんだけど、

考えてみるとお金は 紙きれ だね。

(はなをかむこともできる・・)


ここに【1万円さつ】があるとしよう。

この【1万円さつ】に対して、

「ああ、これはただの 紙きれ じゃない。

1万円の 値うち があるんだ・・」

とみんなが思っているから、1万円 なんだ。

みんなが この【1万円さつ】を

信用(しんよう)しているってこと。

みんなの信用(しんよう)があるから、

お金 という道具(どうぐ)を使って、

経済(けいざい)はうまく回っているんだ。

けいざいのもとは「信じあうこと」なんだね。


ところで、みんなが海外(かいがい)の人と

貿易(ぼうえき)をするときは、

1万円さつ じゃなくて、アメリカの ドル を使うんだ。

みんな海外に行けば、その国の お金 を使うよね。

たとえば、日本の 円(えん)を

アメリカの ドル に替(か)えるとしよう。
  
1ドル に 100円 の「値うち」があるとすれば、

みんなが 1万円 もっていれば、それは 100ドル になります。

1万円 ÷ 100円 = 100ドル  

(はい、ここからが大切だよ・・)


どうして 1ドル が 90円 になると

円高(えんだか)っていうかというと、

それは「円の値うち」が高くなるからなんだ。

さっきと同じように 1万円 を ドル に替えてみよう。

1ドル の「値うち」が 90円 だから、

1万円 は

10,000円 ÷ 90円 = 約111ドル になるよね。

こっちの方が、みんなにとってはうれしいだろ?

つまり、これが 円高(えんだか)になるってこと。


「円の値うち」が、世界の人に評価(ひょうか)

されているということだから、

円が高くなるのはいいことなんだ。


また貿易(ぼうえき)の話にもどるけど、

みんながプレイステーションより

すごい「ゲーム機」を発明(はつめい)して、

それをアメリカの人たちに売るとしたらどうだろう。

みんなは 1台 「400ドル」くらいで売りたいと思っている。

(1ドル が 125円 としたら、

400ドル × 125円 = 5万円 で売れるってことだよね)


でも、アメリカで「ゲーム機」を売るということは、

みんなは「ゲーム機」を売ったお金を ドル で受け取る、

ということなんだ。

みんなゲーム機が売れて「400ドル」を手にするわけだけど、

それを 円 に替えるとき、

たまたま 1ドル が 100円 になっていたらどうだろう。

 (円高 になったということだね・・)

みんなは 400ドル × 100円 = 4万円 しか

手にすることができないんだ。 

(なんだか悲しいけど・・)


おじさんはさっき「円高 になることはいいことだ」っていったけど、

それが当てはまらなくなってしまう。

ここが貿易(ぼうえき)のむずかしいところなんだね。


でも、みんながプジョーのマウンテンバイクを買うときは、

まったく逆のことがおこるんだよ。

海外のモノを買うときは、円が高いほうがより安く買えるんだ。

んー、これについてはまたおりをみて話そう。

けいざいって、みんなが思っていたより身近なものでしょ?

おじさんに 意見(いけん)や 質問(しつもん)がある人は、

メールをください。

info@sinyo-fp.com


ではまた。 バイバイ!



2003年09月24日(水) 小学生のみんなへ 「けいざいの話」


おじさんの名前は、姜(かん)といいます。 

みんなは、今どんなことに

興味(きょうみ)がありますか? 

友だちとあそぶことかな?  

好きなテレビをみることですか?

それともこうやって、インターネットすること?  


勉強のほうはどうですか?  

好きな科目(かもく)はある?

なんとなくおもしろそうだな、

と思う分野(ぶんや)はありますか?

おじさんが小学生のときは、算数がきらいでした。

たくさんの計算(けいさん)があると、

頭がいたくなったものです。


おもしろそうだな、と思ったのは、外国の話 でした。 

とくにおじさんは、地図を見たりするのが好きでした。

日本や 世界の 歴史(れきし)にも、興味がありました。

言いわすれたけど、おじさんのしごとは

FP(エフピー)といって、たとえば、

みんなのお母さんやお父さんの

お金 にかんするなやみごとを聞いて、

アドバイスをするしごとです。 

たいへんだけど、おもしろい仕事です。 


ところでみんなは、けいざい って言葉きいたことありますか?  

経済(けいざい)は、勉強といえばそうかもしれないけど、

けっしてむずかしいものではありません。 

たとえば、お金のことで、

みんなにいちばん身近(みぢか)なものは、

おこづかい だと思うんだ。 

(あっ、はんのうしたね 笑)


友だちどうしで、毎日、あるいは毎月

「いくらおこづかいをもらっているか」って話をするでしょう。

今日もらった「おこづかい」を、

どんなふうに使うかってことは、

みんなも考えると思うんだ。

(買いたいものはたくさんあるしね・・)


ところで、みんながもらう「おこづかい」は、

どこからやってくるのだろう?

「おこづかい」は、お父さんやお母さんが

一生けんめい働いてもらった お金 の中から

出てくるものだよね。

お父さんやお母さんは、会社につとめて、

あるいは自分で会社を経営(けいえい)して、

社会の人にモノやサービスを提供(ていきょう)しています。 


そのモノやサービスが、世の中の人によろこばれることで、

収入(しゅうにゅう)をえているんだ。

この収入(しゅうにゅう)がなければ、

みんなの「おこづかい」も生まれないでしょう?

図 にすると、こんなかんじになります。

                 
はたらく  → (しゅうにゅう) →  みんなの家 
↑                    ↓
消費(しょうひ)する    ←    おこづかい
 
                         
たとえば、休みの日には、

お父さん、お母さんといっしょにあそびに行ったり、

買い物をしたりするでしょう。

そういう時には、みんなはモノを買ったり、サービスを買ったりして、 

それに対して「お金」をはらっているよね。

これを 消費(しょうひ)する といいます。

 
世の中のひとみんなが、もちろんおじさんもふくめて、

モノを買って、お金を「はらう」こともあるし、

モノを売って、お金を「もらう」こともあるってことだよね。


自分がほしいものを買うためには、

自分の得意(とくい)なモノを売って、

「お金」をもらわなければいけない・・。


みんなモノを買う「お客さん」になったり、

一生けんめいサービスを作ったりしている、

そんな世の中の お金 と 人 の 関係(かんけい)のことを、

経済(けいざい)っていうんだ。

だから、みんなが今日もらった「おこづかい」を

どのように使うのかということも

けいざいの一部 なんだよ。


けいざい は、みんなが歯(は)をみがいたり、

学校に行ったりするのと同じように、

生活の中にとけこんでいるのです。

だから、ほかの勉強より身近(みぢか)に

かんじることができると思うよ。

けいざい を知ることは、

みんなが生きていくうえで覚えなければならない

「ルール」のようなものなんだ。


すこしは「お金」に興味がわいてきましたか・・?

はい。きょうの話はここまで・・。

おじさんに 意見(いけん)や、質問(しつもん)がある人は、メールをください。こちら


バイバイ!



2003年09月17日(水) 「あのね、あのファンドは あのお店に行かないと売ってないの!」


こんにちは、カン です。

ついこの間、半年間続いた 神戸新聞文化センターの
「女性のための 投資教室」が終了しました。

わたしがこの講座を担当するのは3度目なのですが、
いつも受講生の皆さんに

「これがわたしのイチオシ会社」と題して、
投資したい会社を選んでいただきます。

今回もいろいろな会社が登場したのですが、
ふとしたきっかけから
『再春館製薬所』という会社の話になりました。

(本社は熊本にあるんですね・・)


「ドモホルンリンクル」という化粧品が有名です。
(テレビCMでやっていますね)

「ドモホルンリンクル」、
けっこういいお値段になるそうですが、
リピーターが多いそうです。

「あの化粧品は、あのお店(通販)でしか売っていない・・」

当然、その事実は「ドモホルンリンクル」の
付加価値向上へとつながります。

(私見ですが、上記会社はすでに上場できる力量を
備えているのではないでしょうか?)


さて、日本にも
投資信託 という商品があるのですが、

「あのファンドは
あのお店に行かないと売っていない」という現象があります。

(というか)それが普通になっているのです。

例えば、「A証券会社で買った B投資信託 は、
A証券会社でしか買えないモノ」となります。

もし、A証券会社が解散する、
あるいは B投資信託 の扱いをやめる、
ということになれば、

B投資信託の保有者は
困ったことになってしまいます・・。


実はついこの間、そういう事実がありました。

投資信託のオンライン販売で定評があった
『野村ファンドネット証券』が、

その販売業務を『野村證券』に移されると
のこと。(今年12月に)

要するに、Bファンドを
『野村ファンドネット証券』で購入された方は、
その口座が『野村證券』へ移管されるのです。

「窓口が変わるだけで、別に大したことないじゃない」

いえいえ、大したことあるんですよ。


(例えば)プルデンシャル投信が運用し、
『ファンドネット証券』で販売していた

PRU マーケットパフォーマー は
12月以降、もう売っていません。
(野村證券 では扱わないからです・・)

すでに保有者である方も、
新たな買い付けができません。

これはどういう意味か?

追加投資ができない、ということです。

(口座移管 を希望すれば、
 引き続きファンドの保有はできます・・)


また、ファンドという商品は
毎月定額を購入する「積立て投資」を選択できるのですが、

『ファンドネット証券』の「ツミタテルーム」を
利用して積み立て投資をされている方は、

『野村證券』に口座移管後は、
積立てが継続できない恐れがあります。
(例えば、ニッセイTOPIXオープン です)

調べてみますと、『野村證券』では
積立て投資として扱わないファンドが数多くあります。

これはどういう意味か?

「積立て投資」が継続できない、ということ。


さっきの
「ドモホルンリンクル」の話に戻りますが、

もし『再春館製薬所』が
「ドモホルンリンクル」の取扱いをやめれば、

同商品を2年間愛用してきた
C子さん はどのように思われるでしょうか?

「困った・・」

(わたしは男なので詳細はわからないのですが)

化粧品って、
継続して使用してこそ、
この効果が期待できるのでしょ?


投資信託 という商品も同じなのですね。

ファンドという商品の「効き目」が出るには、
化粧品よりも長い長い時間がかかります。

ましてファンドの場合は、
必ず「効き目」が出る という保証はないのです。

自分で働いて貯めたお金を捻出して、
長期にわたる運用を
行おうとしている生活者はたくさんいます。

その多くは、自らのライフプランに照らし合わせて、
投資という作業に取り組んでいるのです。

◆ 途中でそのファンドの販売が終わってしまう、
  新たな積立て投資ができない、

ということは大きな『潜在リスク』なのです。


わたしは 商品の品揃え、投資手法の品揃え、
オンラインという利便性、

コストの低減を重視した姿勢などから、
『野村ファンドネット証券』を高く評価していました。

(少し大げさに言えば)

長期に資産形成を行おうとする
20〜30代の生活者にとっての

「金融インフラ」になる可能性を
秘めているとさえ思っていました。


今回の決断は、
販売業務を親会社に集約するという
「戦略」なのでしょうが、

20〜30代の投資家を育てるという
「長期ビジョン」に欠け、甚だ納得できません。


【わたしの本来の主張】 

先ほど、「あのファンドは
あのお店に行かないと売っていない」
という例を出しましたが、

ほんらい B投資信託 というひとつの金融商品は、
複数の「金融窓口」で購入できるようになるべきなのです。

もし、村田製作所の株式 が
『野村證券』でしか買えないとなったら
どうでしょうか・・?


投資信託(公募ファンド)は株式 と同じく、
金融資産の中核を成す 公共財 であり、
その選択機会は広く平等にあるべきだとわたしは思います。


「どのファンドを選ぶのか」で
生活者は自己責任を迫られます。

「ファンドを購入することで
リスクを引き受けるのも」生活者自身です。

だったらせめて「選択の機会」は広く、
豊富にあるべきではないでしょうか・・?


カン・チュンド



2003年09月11日(木) お金は“ごはん”です


【カン・チュンド のひと言】

経験 という「本」はどこにも売っていません。


こんにちは、カン です。

1ヶ月ほど前に、東京のある会社からご依頼を受けて
セミナー講師をしてきました。

なんと言っても“華の都”ですから、
わたしも相当気合いを入れて臨んだのですが、

いやあ、よいセミナーを
させていただくことができました。

セミナーのテーマはズバリ、
「マネープラン入門編」

わたしは頭の引き出しに、
「ビギナー」「家計」「お金ってなんだ?」
という 検索 をかけ、

今までのセミナーネタもひっくり返して、
シナリオを作りました。

シナリオ とは、
漫才で云えば「台本」のことです(笑)

小道具 も準備しました。
どれくらい動き回るのかも計算しました。


最初は、皆さんの緊張を解きほぐすために
「お金に関する10の質問」を用意しました。

< はい。今から時間を取りますので、
  皆さん正直に書いてください! >


10番目の質問は「あなたにとってお金ってなんですか?」

というものです。
         
< 皆さん、名詞か形容詞で、
  できるだけ短く書いてくださいね! >


わたしは(例のごとく)
会場の真ん中くらいまで駆け下り、

ひとりの女性に「あなたにとってお金ってなんですか?」
と問い掛けました。

その女性はきょとんとした様子で
「・・ごはん・・」と答えました。

< 場内 大爆笑・・ >


わたしはこの答えに今でも感謝しています。

その女性が、わたしの講演を
成功に導いたといっても過言ではないからです。

とにかく、このセミナーを聴いていただいた
観客の方がすばらしかった。

皆さんとても素直な方々で、
リアクションも抜群でした。

講師を乗せてくれるのですね・・(笑)

その時わたしはつくづく思いました。
「聴衆が 講師 を育てるのだ」と。


わたしはセミナーの仕事が好きです。 

様々な形のセミナーを併せると、
もう100回以上皆さんの前で
お話をさせていただいています。 

しかしセミナーは
たいへん恐ろしい空間でもあります。

こちら(講師)が少しでも気を抜くと、
聴衆はそれを見透かして
「座ってあげてるだけ・・」の表情に豹変します。

セミナーとは、
講師と聴衆の【真剣勝負】なのです。


1対30 の関係なら、
講師は30人分のパワーを持たなければなりません。

その場の“気”をこちら側に引き寄せ、
コントロールしなければならないのです。

「じゃあ、とにかく一生懸命やればいいの・・?」

んー、それもちょっと違うと思います。

そもそも 講師側 に
「皆さんに楽しんでもらおう!」という

サービス精神 がなければ、
聴衆から“共感”を得ることはできません。

(なんと言うか・・)
懐に飛び込んでいく、ということですね。


◆ セミナーとは エンターテイメント であり、
講師は エンターテナー( = 芸人)なのです。

セミナー会場という『舞台』に上がり、
さまざまな芸を皆さんにお見せして、
楽しんでもらう 空間 なのです。

ワタシに囚われたままだと、
結局ワタシという殻の中で
話をしてしまうことになります。

まずは、自分を 一芸人 と自覚する。

その自覚ができた時に、
私人としてのワタシが
講師としてのカンを演出するのです。


観客が講師のエンターテイン(楽しませる)に共鳴し、
講師がそれに応えてハッスルする。

会場のボルテージがどんどん上がっていく・・。

あの雰囲気を一度でも経験したら
病みつきになります(笑)

「おもしろかった。たいへんよく分かりました」
というひと言で疲れも吹っ飛びます(笑)


この“ライブ感覚”を体験したいがために
嫌で嫌でたまらない『シナリオ作り』も
してしまうのでしょうね・・。


カン・チュンド



2003年09月09日(火) 出生率 から世界を覗いてみましょう


こんにちは、カン です。

この日記では再三申し上げていますが、
一国の経済成長 と 人口動態 の間には
「深い関係」があります。 

(単純に考えますと)男女が結婚して、
『ふたりの子ども』を作らないことには、

マクロの人口を維持することができません。
(父母は子どもより早く他界しますから・・)

つまり、【合計特殊出生率】が
2.0人 を割り込むということは、

その国の人口が(将来的に)
減少していくことを指します。

< 人口が減少していく社会では、
経済のパイが小さくなっていかざるを得ません >


さて、お隣の韓国では、2002年の【合計特殊出生率】が
1.17人 になったそうです。

これは日本の 1.32人 をも下回っており、
世界的にも最低のレベルとなります。

そんな時、
わたしはある本のことを思い出しました。

< 経済幻想 エマニュエル・トッド 著  藤原書店 >


この本の中で、先進国の【合計特殊出生率】について
興味深い記述がありました。

著者は 国別の【合計特殊出生率】を引用して、
先進国群 を大きく【絶対核家族型】と
【直系家族型】に分けていたのです。

わたし流の解釈はこうです。


【絶対核家族型】

アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ など
家系・共同体 に対する呪縛が薄い。 

プロテスタント的(イギリスはイギリス国教会ですが・・)

プロテスタントは、
神と個人が直接契約をする信仰の形ですから、
【個人主義】の考え方を内包しています。

家系・共同体 に対する呪縛が薄い、個人主義
     ↓
子どもを産みやすいのか・・?


上記 著書における【合計特殊出生率】

アメリカ       2人
イギリス     1.8人
オーストラリア  1.9人
カナダ      1.7人

上記の国々は『移民受け入れ』にも寛容ですね・・。


一方【直系家族型】

日本、韓国、ドイツ、スイス など
家系・共同体 に対する呪縛が未だ濃い。

民族意識? 日本しかり、韓国しかり。
ドイツ、スイスは ゲルマン民族・・。

(日本・韓国については)儒教型 の倫理観
(ドイツはプロテスタントだが・・)


上記 著書における【合計特殊出生率】

日本   1.4人
韓国   1.5人 
ドイツ  1.3人
スイス  1.5人

(データは1995年のもの・・)


「家系・共同体 に対する呪縛が濃い」ということで、
出生率が下がるのは たいへん興味深いと思います。

しかし、いちばん目を引くのは
スペイン、イタリア のラテン系社会です。

この両国では【合計特殊出生率】が
1.2人 になっています(上記著書による)

「家系・共同体 に対する呪縛が濃い」
という点ではフムフムと納得できます。

しかし、ラテン系 → 1.2人 の
出生率はうまく理解できない・・。

(【カソリックの国】ですから、
中絶なども教えに反することだと思うのですが・・)


わたしは、先進国の【合計特殊出生率】は
重要な 経済指標 であると考えます。

EU(欧州連合)の量的拡大や、
アメリカの潜在成長率の高さや、

アジアにおける日本・韓国の相対的な地位の変化など、
さまざまな事象を占う 先行指標 となるのではないでしょうか。


カン・チュンド



2003年09月05日(金) 妻の逆襲?


こんにちは、カン です。

もうだいぶ前の記事ですが、日経プラス1に
「乾いた落ち葉になる」というエッセイが載っていました。

その冒頭には、次のような文章が・・。

『夫が定年を迎え、ずっと家にいることを想像すると、
私の老後は真っ暗です』(なんだかすごい・・)

(若輩のわたしが言うのもなんですが)
夫婦の関係というのは、
いくつになっても難しいものらしい・・(苦) 

現にこの5年ほど、
婚姻期間25年以上の『熟年夫婦の離婚』が
急増しています。

夫が定年を迎えて初めて、
夫婦間の「相違」が露わになるのでしょうか?

あるいはその時点で、妻の中に鬱積していたものが
爆発するのでしょうか?

「お子さんが独立してしまう」
というのも重要なファクターだと思います。


なにしろ、セカンドライフの20年、30年を
ご夫婦ふたりっきりで過ごしていくわけですから、

『ひとりの男とひとりの女の関係』に戻っていく、
ということなのでしょう。

妻の方は「ようやく自分の世界を
広げることができるんだ」と意欲満々です。

一方、夫は「ようやく自分の世界に
収まることができる」という安堵感に浸っています・・。

エッセイの中では、

「定年後、三食を家で食べ続けられたりしたら、
わたしの人生設計が狂ってしまう」と書かれています。

(ドキッ)

わたしは以前『なっとくセミナー』で、

定年後 〜「もうひとつの人生」への案内 〜
(岩波書店)という本を紹介しました。


この本は大きく三つの章に分かれ、

第一部では識者が定年後のさまざまな
テーマについて、提言をしています。

第二部では「わたしの定年後」と題して、
実際にセカンドライフを送る方の
体験談が記されています。

そして、第三部は、
知っておきたい手続き(制度関係)です。


本書は、第二部を読むだけでも価値があります。

ある体験記では、将来息子さんとの同居を考えて、
郊外に大きめの住宅を手に入れたご夫婦が、

(息子さん夫婦にはその気がないとわかったので)
思いきって田舎暮らしを始められた、
ということが綴られています。

印象的なのが、

『あなたたちを見習って、こちらも自立よ』

という言葉・・。 

んー、セカンドライフとは、
お子さんからの自立でもあるわけです。


また、別の体験記では、
少々ショッキングなことが語られます。

「妻の逆襲」 → これが、タイトルです。

夫はやっと定年を迎え、悠悠自適の生活が送れると
安堵していましたが、

『今日からはわたし自身の人生。主婦業は引退します』
という妻の言葉が・・。

妻は相当ストレスを抱えていたらしく、
体調を崩してしまいます。

戸惑いながらも夫は妻の介護、
家事一切に追われる生活を始めます・・。


ひとりの男と ひとりの女の価値観がぶつかる・・。
それがセカンドライフの生活なのかもしれません。


カン・チュンド



2003年09月02日(火) 非常識 を裏返すと 常識 になります


こんにちは、カン です。

(あっという間に9月ですね!)

わたしは小学生の時に
ガリレオの伝記を読みました。

イタリアの科学者 ガリレオ・ガリレイ は
自作した望遠鏡を使って、
惑星の動きを捉えることに成功します。

1610年、ガリレオは
木星の周りを回る4つの衛星を発見し、

地球が太陽の周りを回っているとする
「地動説」の正しさを確信しました。

しかし、この考えは当時のキリスト教社会では
異端児扱いされたのですね。

「なんと非常識なことを言う!」


だいじな基本)

宗教も 世俗の権力 と化し、それが自己増殖を続ければ、
巨大な思い込み(固定概念)の塊 となります。


ガリレオは 宗教裁判 にかけられました。

「それでも地球は動いている・・」というセリフは、
後年創られたものらしいですが、
それにしても【常識と非常識 は紙一重】なのです。

ガリレオの最大の功績は、
観察と実験の結果から法則を導く
【近代科学の基礎】を築いたこととされています。

(わたしは思うのですが)

◆ 投資の世界 でも、この
「観察と実験の結果から法則を導く」精神を
露ほどでもいいから採り入れるべきです。


例えば、

多くの人が 株式投資 というと、
「どの会社が良いのか?」という
個別企業の話 になりますね。

市場(いちば)全体 の動向よりも、
個々の会社 を評価・分析しようとするのは、
人間のクセです。

(そちらの方が、ワクワクしますから・・)


では、個々の会社の良し悪しを見定め、
「この会社だ!」と決定する方が、
いちば自体に投資するよりも 効率的 なのでしょうか?

「効率的」とは、長期的に
より多くの収益を期待できるのか?
という意味においてです。

また 株式投資 というと、売り買いを繰り返すこと
(短期売買)というイメージがありますが、

それは(そもそも)投資の目的(= 収益を上げること)に
適っているのでしょうか?


(残念ながら)この国では、
人生プランとともに資産運用という仕事とつき合っていく
【長期の時間スパン】が欠落しています。

つまり、次のふたつのタイプしか
存在しないのです。

Aタイプ)

預貯金に固執して、
お金を閉じ込めておくことしかできない。

Bタイプ)

短期的なマネーゲームに没頭して、
身の丈に合わないリスクを背負う。
(たいへんいびつな状況だと思いませんか・・?)


晋陽(しんよう)が提案する『資産運用』は、
AとBの中間、健全な
ミドルリスク・ミドルリターンを内包することです。

株式に投資するとは、
企業の『利益成長』の 果実 を得ることですから、
長期保有 の方が 効率的 なのです。

また、ひとつの会社に投資するよりも、
市場(いちば)自体に投資する方が

(同じ100万円を費やすなら)
リスクを軽減できると思いませんか?


そして、
「どの市場(いちば)がいちばん儲かるのか?」ということは
(神様でもない限りわかりませんから)分散投資 をするのです。


株式投資 といえば、個別企業を買うこと。
株式投資 といえば、売り買いを繰り返すこと。


これらは、人間が長年積み上げてきた
壮大な 思い込み(固定概念)です。

みなどこかで「おかしいな・・」と思いつつも、
声を大にしないのですね。

総本山である証券会社の方々は、
こう言われるかもしれません。

「日本にはライフプランに則った 長期保有・分散投資
という文化は馴染まないでしょう・・」

果たしてそうでしょうか?

皆さん、考えてみてください。


日本人のほとんどは(未だ)
投資を行ったことがないのです。

多くの日本人が投資に対して
どのような 常識 を醸成していくかは、
まだわからないのですね(笑)

投資とは本来、個人的な目的のために行う、
とても個人的な行為です。


世間の思い込み(固定概念)に惑わされることなく、
しっかり投資の 常識 を見定めましょう。


カン・チュンド


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