V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
某社の営業部長は新商品の販売に自信が持てずにいた。そこで社長が「俺がトップセールスをして本部の購買部門に話を付けてくる。そうしたら小売店の店頭に並ぶだろう」と助け舟を出した。すると営業部長は、「そんなことをして店頭に並べても、売上げが上がらなければ返品になるだけ。店頭の店員がファンになってくれない商品は本部に入れても意味がない」という。この論争は、営業部長が正しい。売るのではなく店頭をファンとするのが流通を後手にするメーカー営業の有るべき姿だ。
椅子取りゲームに勝つ秘訣その3は「瞬発力を磨く」。市場の変化に敏感で、即応することが大切だ。とりわけ変化するのは顧客のニーズ。だから企業は、現場で起きていることがトップにタイムリーに入ってくる構造を作る必要がある。それにはトップが自分から現場を回り、何が起きているのかを自分の目で見ること。現場の人と一緒に考え意見を求めるファシリテーションが今まで以上に大切なのだ。
椅子取りゲームに勝つ秘訣その2は「椅子の近くにいる」または「近くの椅子を狙う」。遠くを狙ってはダメで、足元にこだわるべきなのだ。これをマーケティングに置き換えれば、一番の足元は既存客。OBを大事にする住宅会社や結婚式場は満足したOBが次の客をひっぱって来てくれる。顧客の満足度は時間が経つと下がっていくのが通例だが、これを上げ続ける。そのような努力を怠らない会社は強い。
小さくなっていくパイを奪い合う…国内市場はさながら椅子取りゲーム状態だ。よってそこで勝ち抜くには椅子取りゲームにヒントがあるのでは…といろんな人に「椅子取りゲームで勝つ秘訣」を聞いてみた。第一は「椅子から目を離さないこと」。自分のマーケットを定め、それをよ〜く見ることだ。そして誰よりも早くニーズを掴み、魅力的な商品で応える。市場から目を切ってはいけないのである。
昨日の「心配り隊」のメンバーに、それぞれがどんな心配りをしているのかを聞いた。「提出物を間違えないように大きく番号を振る」「前工程に催促するときは冗談っぽく伝える」「どんな情報が欲しいのか、どこに注意したらいいのか…後工程の要望は一冊のノートにまとめている」「ファイルと中身が間違っていないか提出前に再度確認する」…みんな随分やっている。小さいことだが、良いビジネスは一人ひとりの心配りの上に成り立っている。
後工程や前工程にもっと心配りをしないといけない…「仕事を円滑に進めるために何をするべきか」というテーマに、某社の選抜メンバーと話し合った。現場ではよく「ムリムダムラをなくせ」という。しかし、これを言われた人はどうしてもやらされ感が強くなる。それより「後工程の身になって考えてみよう。そして、その人が大変な思いをしないようにあなたにできることはないか?」と考える。これは「ムダを取る」ではなく「心配り」となる。その結果として、ムリムダムラが解消されていく。本人に主体性を持たせようとすると、同じ行為は全然別の言葉に変わるのだ。
「セミナー案内のチラシこそ作品だ」。セミナー主催会社のトップの言葉だ。セミナー案内チラシは集客の一番の要。内容と配布のタイミングで集客の過多は決まる。よって、セミナーの案内チラシに対し「もっと薄い紙でいい」「単一色でいい」とする経費節減優先派の主張はおかしい。魅力的な内容のセミナーを企画し、魅力たっぷりに伝えて目的人数を集める。セミナー会社のビジネスモデルはそれに尽きる。
ようやく時間ができたので、取り貯めていたDVDを観る。とりわけ面白かったのは「ほこたて」。この番組は」、何より対決させる企画を考えること、及びそれを出演者に納得させることに多大な苦労を要するだろうと思う。おそらく、出演者に拒否された件は放映の十倍以上に登っているのではないか。逆に、番組の要請を受けて立つ人は尊敬する。儲けとかプライドとか売名とかよりも、それだけ自分の仕事を楽しみ愛しているのだろう。
営業改革プログラムを構築の最後に、WGのメンバーにもうひとつ意地悪な問いを投げてみた。「対顧客相談力を高めるにはどうしたらよいか?」。社員研修の実施やOJTの徹底など…が出てくるかと思ったら「そんなの当たり前」と軽く一蹴されてしまった。それどころか出てきた答えが「お礼状を書く」「自分の体験談を話す」「お客様から一番感動したことを聞く…」など。商品に付随する様々なサービスを充実させることで、顧客との距離を縮めることが相談力アップに繋がる。その深い思考に感動した。
某社でワーキンググループを結成し約4ヶ月間かけて同社の営業改革プログラムを構築した。今日はそのワーキングの最終日。そこで意地悪で特定の「競争相手と価格合戦をどう乗り切るか」を問い投げてみた。「単品での比較ではなく、トータルな問題解決策に目を向ければ、顧客にメリットがある提案ができる」などの意見が出た。同社が価格競争や単品競争から抜け出し、ソリューション発想に転換したことを嬉しいと感じた。
水泳選手が今まで取ったメダルや盾、賞状をズラリと並べる。数多く並ぶとその強さが分かる。そこで某社では、支店間販売コンテストの副賞に小さな「社長賞」の盾を用意した。受賞した支店のパートを含む当該支店全従業員への配布するためだ。そうすると、社長賞を何度も取った人の家にはいくつもの盾が並ぶ。そんな光景が見えたのか、同社の中には「それ欲しい!」という従業員が多数。今年取れなかった人は、来年こそ狙って欲しい。
某社の掃除婦は掃除会社から派遣されている70歳のおばさん。引退してもおかしくない人だが、社長はこのおばさんを褒めちぎる。例えば、よく大事な書類を間違えて捨ててしまう社員がいる。おばさんはそのような経験のある社員のゴミ箱に赤いテープを張る。そして「そのゴミはすぐには捨ててはいけない」と、他の掃除婦に伝える。また、「最近トイレットペーパーの減りが早い。誰かが無駄遣いしているのでは?」と社長に報告する。こんな彼女を社長は気に入り、今年も契約し続けている。
クライアントの某社が自社ビルを改築するために引越をした。引越し先は駅前の大きなビル。それまで部門別に階層に分かれていたが、全部門がワンフロアに。すると社員から「これすごくいい!」の声が。これまでは連携する他部署に何かを依頼するのに相手の姿が見えずに電話で依頼をしていた。そのため「今、忙しい!」と露骨に嫌がられることがあった。その点、同じフロアに居ると「今忙しいどうか?頼めるタイミングか?」が一目見てわかる。ワンフロアのメリットは体験してはじめてわかる。
某上場企業で新規ビジネスを立ち上げるアイデア探しの研修を行った。ドラッカーに習い、過去3ヶ月間の「予期せざるもの」を持ってきてもらった。それだけで有効と思われる事業案が3つ見つかった。そして、そのうちの2つは「今やっていません!」と断ってしまったものだった。同社はこれから3年間で売上げを500億円も上積みしようという計画を立てている。そのためには小さなオファーを丁寧に拾って大きく育てていくことが大切なのだ。
中部マーケティング会議の評判が良かったのでとてもHappyだ。勝因は何と言ってもパネリストの皆さんが全く飾らない素直な人たちだったから。1200人もの聴衆を前にすると、田舎の人でもが天下国家を語ったり、哲学的なことをつい語ってしまうのだ。本当は、田舎で頑張っているあなただからこそ話して欲しいことがあるのに…。その点、今回の3人は皆、等身大の話をしてくれた。皆さん、ありがとうございます。
7日に書いたワークスみらい高知の竹村利道さんの言葉はストロングワード揃い。忘れないように書き足しておきます。「障害者を自立させたいと思っていたのですが、自分が一番自立できていなかった」「底力って本当に底に落ちたときに、底に足が着いてグッと踏ん張れるときに出るんです」「最初からそこだけはぶれていませんでした」「事実は真実の敵なり」「これんまでの常識に上書きをしていかないといけない」。圧巻!とはまさにこのことだ。
中部マーケティング会議のパネルディスカッションのテーマは「今こそ大切にしたい日本企業のチカラだった」。3人のゲストの方々の主張を元に私がまとめた結論は「10円いただいたら11円のお返しをしよう。その1円が未来をつくる」となった。
今年の中部マーケティング会議のパネルディスカッションの三人目のゲストはNPO法人ワークスみらい高知の代表・竹村利道さん。
今年の中部マーケティング会議のパネルディスカッションの二人目のゲストは小松製作所の須藤則之常務さん。
今年の中部マーケティング会議でのパネルディスカッションには3人のゲストに来ていただいた。一人は北海道礼文島のホテル花礼文の経営者・久保和夫さんだ。同ホテルはJTBやじゃらんのCSアンケートで何度も1位に輝いている。
サービス業は足し算だという話を聞いた。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「おいしかったよ」「ありがとう」という、小さな感謝とコミュニケーションの積み上げ。ところが一番最後のお金の受け払いや見送り方がゾンザイだと、それだけでイメージは全て崩壊。足し算は「×0(ゼロ)」となり、一気にご破算となる。サービスは全員で作り上げるもの。だからベクトルあわせ、心あわせが必要なのだ。
昨日の成果発表会の最後に、優秀支店を全員の投票で選んだ。2位に入ったのは意外にも目標未達成の店。同支店は中間点検後に危機感を持ち、行動量をめちゃくちゃ増やした。皆、結果ではなく、高い目標に向けて諦めず行動量を増やしたことに拍手したのだ。それを見ていて、この会社の皆は本心ではもっと行動量を増やしたがっているのがわかった。その意気があれば、来期はもっと良い成果が生まれるだろう。この支店を選んだ皆を頼もしく思った。
某社で半年間の活動の成果発表を行った。1月の中間点検のとき、問題のあった支店を徹底指導した。このとき、管理の単位を金額中心の結果管理から、件数ベースの見込み管理に変えた。そして、そのような変更を素直に行い、行動量を増やした支店は確実に成果を出していた。プライドや成功体験が邪魔をして、言われた通りに行動を変えることは難しいものだが、それをかなぐり捨てた達成者に敬意を表したい。
某社で新規事業開発の指導を行う。部下のアイデアを課長に持ってきてもらい、2日間で実現可能なプランへとブラッシュアップする研修だ。毎年行っているが、これまでは「技術オリエンテッド(基点)」だった人を「ユーザーオリエンテッド」に変えることがなかなかできずもどかしく感じていた。そこで、「ユーザーオリエンテッド」の大切さを考えていただくセッションの時間を倍増。演習も加味した。すると、2日目辺りから「技術オリエンテッド」だった人の着眼点が変わり始めた。見方が変わればやり方が変わる。2日間でそうした変化が起きたのは何よりも嬉しかった。
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