思いがけず出会った小さな親切。長野の某社で取る重箱弁当は、いつも次のようなお品書きが巻いてある。「◆小鉢もの ぺペロンチーノ ピリ辛でにんにく風味のスパゲッティーです。◆揚げ物 白身魚の磯辺天ぷら いつもの天ぷらに青のりを加えて風味豊かな天ぷらに仕上げました…(中略)」。確かに味も美味いが、お品書きがあるだけで顧客をリスペクトしている姿勢が伺われる。僅か700円でのこの味と丁寧な説明にいつも感謝している。
思いがけず出会った小さな親切。新幹線で500ml缶のビールを飲んでいたとき、何かの拍子にそれがテーブルからは床に落ちてしまった。床が瞬く間に泡だらけになっていく。そこにたまたま居合わせた車掌さん。懐から大きな紙ナプキンの束を取り出し、ビールだらけになった床をさっと拭いてくれた。こちらもありったけのティッシュと新聞紙で床を掃除。良いタイミングでさっと一拭きしてくれた姿はまさに正義の味方だった。
思いがけず出会った小さな親切。ホテルに宿泊し自販機を利用したときに、ルームキーを床に落としてしまった。運が悪いことにそのキーは自販機の真下へ。フロントに連絡するしかないなと戸惑っていると守衛さんが通りかかった。事情を告げると、サッと腹ばいになり、持っていた帳面を使って取り出してくれた。そして「これですか!取れました!」ととても嬉しそうな笑顔を見せてくれた。躊躇せず即行動し、嫌な仕事にも笑顔で答える。キーが手に戻ったこともあなたの姿勢も嬉しかった。
ユニクロのプレミアムダウンウルトラライトジャケットは子供たちの間でも人気だ。同じクラスの何人もの子供がプレミアムダウンを着ている。子供たちはそれを「カルガルー」と勝手にネーミングして呼んでいる。ダウンがとても軽いからだ。そしてそれぞれの色で「カルガルーピンク」「カルガルーブルー」「カルガルーブラック」などゴレンジャーのように呼び合ってドッチボールをしている。冬の景色に溶け込んでいる。
思いがけず小さな親切に出会った。ユニクロで肌着を買おうとしたがサイズがLなのかXL]なのかわからない。それを店員に尋ねると自分の胸囲は知っているかと尋ねてきた。「たぶん100cmくらい」と応えると、お計りしましょうと図ってくれた。Yシャツとは違い肌着一枚買うのに計ってくれるとは、なんと親切な店だろう。こんな心遣いにユニクロが価格帯が同じ別のディスカウント系ストアとは違うことを痛感した。
思いがけず小さな親切に出会った。靴紐が切れたので、高島屋の靴屋で靴紐を買う。すると店員さんが靴を脱いで座れという。そして、切れていない方の靴の紐をほどきはじめた。今使われている紐の長さを図るためだ。そして「同じ長さのものはありませんが5cm短いのならあります」というので買うことにした。そしたら今度は、その新しい紐を両方の靴に通してくれた。靴紐は210円。この間たった5分ほどだが、客単価凡そ1/100の客のためにここまでしてくれる親切心に感激した。
思いがけず小さな親切に出会った。お客様の最寄り駅でタクシーを待っていたときのこと。いつもなら並んでいるはずの車が一台も居ない。私の前には旅行かばんを抱えた若い女性が一人。彼女はきっと急いでいるのだろう。キョロキョロして落ち着かない。そして、待つこと約10分。ようやく一台来た。彼女が荷物を抱えて乗り込む。すると、そのとき私を見て、「どちらまでいかれますか?」と尋ねてくれた。それは「方向が同じなら相乗りしませんか?」の合図だった。私は不意を付かれ、うわづった声で炊客先名を答えたが、彼女の行く方角は逆だったのだろう。「それでは無理ですね」という会釈をして彼女は去っていった。同じタクシー待ちの悲劇を共有した者への「相乗りいかがですか?」の小さな心配りに感激した。
人をほめて使う達人の通称「ほめ達」さん(西村貴好さん)と話す。「ほめ達」さんは部下をほめて使うことを世の上司たちに伝授している人。顧客には外食産業から大阪府などサービス業全般。彼曰く、「ほめることは、その人に自分を信じる根拠を与えること」「ほめられることで、その人の悩みが強みに変わる」。それを聞いて、なかなか部下を褒められない私などは、褒めることの大切さを知りながらも、なぜ褒める必要があるのか「褒めることの効果」がわかっていないからだと反省した。
岐阜県中小企業家同友会で年5回シリーズの勉強会。最終回の今日は、メンバーの中の若い経営者Aさんの会社を題材に、他のメンバーがコンサルタントになって同社の悩み事を解決する生のケーススタディ型の講義を展開した。エリア戦略ではシェアの低い関東を攻めたいといったAさんに皆が反対。シェアの高い関西こそ攻めるべきとの意見が続出。さらに「ただ売るだけでなく、貴社とお客との間にストーリーを描くこと」という指摘が出た。こういう気付きは指摘されたAさんも指摘した人も強くする。良い学びの場となった。
「かちがわ大学」当日の懇親会では「私にも『やれる』と思えてワクワクしてきた」という感想を多く頂戴した。その中でも社長の言葉が印象に残った。「自分の仕事を『つまらない仕事だ』と思うことほどつまらないことはない。だから可能性を引き出すことが大切…。今日はそれを引き出してもらいました」。この言葉に、コンサルタントの仕事の本質は、クライアントの可能性を引き出すことだと改めて気が付いた。
「かちがわ大学」学長の毛利さんに3年50回続いた秘訣を聞いた。すると、最初の頃はほとんど毎回毛利さんが登壇していたという(参加費は1,000円)。そのとき貯めた資金を外部講師を招聘するファンドにしたという。また、毎回講義を聴いたら終わりではなくて、その講義を聞きながら気づいたこと、学んだことを語り合う「シェアする時間」を必ず設けている。この参加しやすい環境が普通の異業種交流会との違いだろう。
『最強の名古屋商法』という本を一緒に書いた春日井在住の経営コンサルタントの毛利京申さんが学長を務める市民講座「かちがわ大学」で講師を務めた。日本シリーズ第6戦と重なったのに、開始の18時には70人の満員御礼。集まった人はもちろん勉強熱心な人だが、それだけでなく、志が高い人ばかりが集まる刺激的な空間を楽しんでいるようだった。こんな場で講義すればこちらもエネルギーを貰う。次は生徒で参加しようと思う。
某社で危機突破を考えるプロジェクトチームを指導。キックオフのこの日、選抜メンバーひとり一人が自己紹介した。そのうちの一人がこんなことを言った。「AKB48を生んだ秋元康が次のようなことを本に書いていました。『皆が行く野原には、野いちごはないよ』。私はこれを座右の銘にしようと思います」。秋元の言葉も、発表者の言葉もシンプルだけど力強いし、覚えやすい。私も座右の言葉に加えた。
名古屋学院大・大学院でマーケティングの講義を行う。講義の中で、顧客は絞れば絞るほどいい。特定の人に必要とされるために特化して開発した商品は、それと同じ境遇の人の共感を呼び売れると解説したら、受講生が次のようなことを教えてくれた。「つんくが次のように言っています。『曲が万人に受けて多くの人が買ってくれるというのが理想ではある。でも、それではいい曲はできない。曲を作るときは、一つの思いから一点に向けて作らないといけない。それは例えば家族や恋人などだ。それも別れた後まだ思いを引きずっている元カレなど細かい方がいい』」。使えるネタをありがとうございます。
某社の管理者研修の最後に受講生からこんな質問をもらった。「先生がもし当社に来て、いきなり管理職をやれ、といわれたらどんなことをしますか?」。この日のセミナーは、「現状を把握すること、現場を回り現場の人の話をよく聞くこと、現場にある問題点を特定すること、解決策を部下と一緒に考えること…」等のスキルを教えるセミナーだったので「教えたように順番にやります」と答えた。研修の振り返りになる良い質問だった。
某社の研修センターの食堂でランチを食べる。食堂の時計を見て、休憩時間がことのほか短く感じたので腕時計で確認したら食堂に2つある時計が両方とも5分も進んでいた。おそらく、昼休憩中の受講生が、研修の教室に時間通り戻れるように配慮した仕掛けだろう。「駅前のドトールの時計は、お客が乗り遅れないようにわざと3分進めている」と聞いたことがあるが、それと同じ小さな気配りだ。
クライアントと将来のビジョンについて飲み屋で語り合った。2015年の姿は現在とメインの技術は同じ。が、ターゲット層が若い世代に大きくシフト。それに応じて新たな主力商品が誕生。その商品を販売する別のチャネルも構築。ユーザーに訴える新たなメッセージも…と次々とナプキンに書き出す。偉大な事業は、ナプキンのメモから生まれる…と聞いたことがあるが、実現したら楽しいだろうなあ。
某社の二世経営者からリーダーシップ研修の依頼があった。訪問すると既に自社の強みと弱みの分析ができていて、解決したい課題が明確に示されていた。その依頼の仕方に、二世の頭の中には既に大きなジグソーパズルの絵があり、その絵の完成に足りないピースを手に入れようとしているイメージを持った。彼は社員と共に、その絵を完成せようとしている。そんな姿勢のトップに社員は喜んでついていくだろう。
ドラゴンズVSソフトバンクの日本シリーズ初戦。決勝HRを打ったのは小池選手だった。二球目に馬原投手のフォークを中途半端な空振り。タイミングが全然合っているように見えなかった。そこで、小池選手は「ひどいスイングをしてしまったから、もう一球くるかな」と同じ球を待つ。そして、4球目。同じフォークを掬い上げてホームラン。失敗に学び、失敗を機会に変える。そんな職人の姿に感動した。
「結果も大事だが、私は結果よりプロセスを重視する」。某社の社長は社員の前でこう語った。この社長は10年先のビジョンを持つ人で、今、そのための改革を次々と実行している。人材育成についても「今後3年間のプランを作って欲しい」と依頼された。理想の未来を信じて働くということは、「やるべきことをやっているか。やりきったか」のこだわるということ。その姿勢が冒頭の宣言に出ている。
社内で小さなミスが発生する。会社は同じミスが発生しないようにルールを作る。ところが今度は違うミスが発生する。すると、さらに別のルールを作る。こんなルールの上にルールを重ねるようなマネジメントは、ミスした人に「二度としないように注意しよう」と考えさせる間もなく、ルールだから守れ!と強要して息苦しくなるばかりだ。そんなものよりクレドの方がよほど価値がある。
クライアントの職場改善活動の発表会があった。自主的な活動で、素晴らしい成果があった。発表を聞いた同僚は次のようにコメントした。「PDCAを主体的に回し続けるにPDCAの前にもうひとつPが必要だとわかりました。ProblemのPです。皆さんを見ていてそのことがわかりました」。自問題意識を持って取り組む活動は、継続するし、成果が出るまで諦めない。「問い」こそが全ての原動力なのだ。
中堅企業で、危機突破のためのコンサルを手がけることになった。今日は同社の選抜メンバーとMTGを開き、同社の強みを洗い出した。その中に「サイズがコンパクトで小回りが効く」というものがあった。それを聞いて感心した。大手にできない身の丈にあったことができる。社員がそこに可能性を感じている以上、今まで以上に地域に貢献できる方法はきっと見つかるだろう。
4日に紹介した管理者の職場活性化研修は2年連続。これがうまく行き成果を生むのは偏に事務局のおかげである。同社に限らず長期に渉るアクションラーニングが成功するか否かは、事務局がどこまで現場を引っ張ってくれるかだ。研修の狙いとしては次に有能になって欲しい人材が成長してくれればいいのだが、といってサボる人も放置できない。そういう人が「できていない」と語るのもまた研修には必要な側面。そこを丹念に丁寧にやっていただける事務局の人には本当に頭が下がる。ありがとうございます。
4日に紹介した他部門との合同会議で明らかになったのは、お互いが「あの部門はここまでやってくれるだろう」「きっとあの部門はここまでやってくれるはずだ」と思い込み、自分たちと他部門の間に、野球のポテンヒットが生まれるような空間ができてしまっていたこと。当該のマネージャはこれを「思い込みで線を引く」と表現した。お互いの業務内容・業務量は見えているようで見えていない。そこから確認しないと良い解決策は生まれない。
昨日紹介した管理者による職場活性化研修で成果を生んだチームは、プロセスを重視したチームだった。成果を出すために全体像を洗い出しボトルネックを見つけ、改善する。他部門を巻き込む必要がある場合は、他部門と合同会議を重ね、ベストな解決策を導き出す。他社では営業改善でやっている手法を設備や事務処理分野に応用したがポイントは同じ。営業以上に成果が出ることが証明されて嬉しくなった。
沖縄の会社で、管理者による職場活性化研修の成果発表会。その中で、他部門を巻き込んだ勉強会を頻繁に開催したチームの取り組みがユニークだった。その勉強会では質問が多数出た。これはヤラセではない。講師が出て欲しい質問をあらかじめ想定し、そのところを引き出すために敢えて伏線を引く話をする。そして説明しながら「早く突っ込んで!」とうずうずしながら待つ。狙い通り質問が出ると「いい突込みだね!」を言って会場を沸かせる。質問をすると会議が盛り上がる。会議への参加意識が高まる。実行した本人は「質問はお囃子(はやし)」と言っていたが、けだし名言だ。
上越市の講演会で組合幹部の人に労働組合の使命について考えてもらった。労働組合の顧客は組合員。組合員の満足は、組合員と組合員の関係者である家族や上司、会社との関係が良くなることにある。例えば「家族のためにしてあげたいことがあるが…なかなかできない…」そうした悩みを聞き出して集め、特定し、解決してあげることが労組の使命である。
上越市は直江兼継縁の地でもあるので兼継語録を調べていたら、大河ドラマ『天地人』の中でよく語られていた「自分の仕事は越後の国づくり」という言葉が引っ掛かった。どんなドラマでも信長や秀吉からは「天下を取る」「天下人になる」という台詞は聞いたことがあるが、「国づくり」という言葉は聴いたことがなかった。それだけ兼継は私利私欲がない人だったのだろう。今も人気があるわけだ。