V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
某工場の現場の辣腕課長の信条は「真剣だと、知恵が出る。中途半端にやれば、愚痴が出る。いい加減だと言い訳ばかり。仕事は楽しく、一生懸命やるもの。やる気とは働いて見せるもの。努力とは結果で示すもの。目標とは最後まで挑戦して越えるもの」の7つ。これを部下に配布し毎朝唱和している。すると、後輩の課長が「私はあの最後の一節が好きなんです」と語っていた。繰り返すうちに浸透するのだ。
私の部で発行しているメルマガに、「休みを取るのも率先垂範。ちゃんと休めるメリハリのある部署でないと優秀な社員は集まらない」と書いたら、大変な反響を頂いた。上司が休めない不夜城のような職場には、今や誰も行きたがらないだろう。高い時間生産性を求めると言うことは、仕事をシステム化することと同義。仕事をパーツ化し、標準化し、多能工を育てる。休める管理者はその先にいる。
プリキュアショウをハウジングセンターで観た。アニメをどう再現するのか楽しみだったが、マスクショウだった。小さな女の子が集まるショウだけに、悪役のデザインには感心した。「モッキンウザイナー」と「フラワーウザイナー」が出てきたが、大人なら笑ってしまいそうな怖くないデザインにしてある。それでも娘は怖がったが、後でまた観たいとも言っていた。一番良い所を研究しているのだ。
労働金庫の辣腕店長の話を聴いた。彼は、自分の商品である「預金」と「融資」の状態をそれぞれ「預金=組織の結集力の状態を表す」「融資=福祉の実現状態を表す」と定義していた。素晴らしい定義だ。営業とは商品を売るのではなく、その商品がもたらす効用を売る仕事。であれば、売上げなどその実績は、お役立ちの類型を表す数値である。こうした定義があれば職員の意欲は一層増すだろう。
昨日の研修で、受講生に自分の職場の「ビジョン」を書かせている。すると出てくるのは「〜を目指します」「〜を図る」「〜したい」などで終わる言葉。「〜を達成する」「〜を実現する」といった完了形で書けない、自分に甘い言葉の連発だ。部門経営者の立場で平社員が書くような願望的ビジョンでは、部下に響かない。部下に宣言するのと上司に宣言するのは違う。その違いがまだわかっていない。
某社の新任管理者研修は、クラスを2つに分けて行っている。片方は私が受け持つが、もう片方は別の会社のコンサルタントが請負っている。私と彼ではやり方が全く違う。私は「新任の一年にやること」中心のプログラムを作り、彼は「5年後の理想像」を創るプログラムを回した。どちらが正しいわけではなく、両方必要だと感じた。彼のプログラムは私には落ちていた部分であり、参考になった。
某銀行の支店長の話。かつて就任した支店のレイアウトが、業務上なんとも非効率であった。そこで、レイアウトを変更した場合の図面を自分で引き、その変更を実施することで業務効率が36%アップすることを添えて本部に予算申請した。結果はそれが通り、行員全員もお客様も喜ぶオフィスになった。レイアウト変更に疎い本社がOKを出したのは、36%という効果計算。ここまで出来る人は少ない。
谷垣財務大臣が総裁選に立候補した。感心したのは「消費税10%への引き上げ」を明言したこと。その必要性は誰もがわかっていることだが、それを言うと不人気になるのは確実。だから誰も言わず先送りしているのに、増税を公約するとは前代未聞だ。ただ願わくば一旦は増税し、税収増→借金返済→減税の見通しまで語ってくれると良いのだが。金利上昇時に10%程度ではそこまで見込めないということか。
某二世経営者が、パロマの若い社長(37)が記者会見で謝罪するのを観て、「あの人、本当はTVの前で『ごめんなさい!』と謝りたかったんじゃないかなあ。ところが親父とか古株とかいろいろ出てきて『お前は何も言うな』とか『言うとおりにすればいいのだ』とか言われて苦しかったんじゃないか」と語ってくれた。二世ならではの苦しみが、彼には見えるのだろう。他人の痛みが判る優しい人だ。
拙著を参考に随分会社を変えたという若い社長。決算賞与制度を導入したり、出張に若い社員を同伴したり。大変にモチベーションが高い社長でこういう方が読者層なのだと感心した。一方でハイ・パフォーマーには支持されても、一般クラスにはとっつきにくい存在になっているのではないかと反省した。それだけ難しすぎるということ。次回作はもう少し易しい内容にしていかねばならない。
講演会に招いてくれたのは拙著を熟読し、とても参考になったという二世経営者だった。彼は「私たち社長は誰からも誉めてもらえない。誰からも叱ってもらえない。それをしてくれるのが本なのです」という。「自分がやってきことはOKなんだ」「俺、間違っていたんだ」気付くのが本だからだ。彼は私の本を参考に会社の仕組みを変えたという。そんな本の役目を聞いて、再び書く意欲が沸いてきた。
某支店長から「『お客様の立場に立った応対をするように』と何度も指示しているのだが、それが本当に浸透しているか不安です。どうしたらいいでしょうか?」と質問を受けた。こうしたケースでは、部下に問いかけて確かめるより他にない。例えば「先週よりもより良い応対をするために、今週あなたにできることは何?」を毎週初に朝礼で発表させる。その気付きの積み重ねでようやく習慣化が図れる。
パロマがCO中毒事件でようやく謝罪した。対応の遅さ、不良発生時からの経年など見ているとシンドラーとそっくりだ。シンドラーの居直りは外資系企業特有のプライドかと思っていたが、日本企業も同じだ。事故原因に「経年劣化」が入っていたのだからユーザーは気が気ではないだろう。このまま一気にガス給湯を敬遠し、オール電化が進む可能性がある。リンナイも笑っていられないはずだ。
サッカーを嗜む営業マンから面白い話を聞いた。勝負事には「勝ち、負け、遊び」が必要だという。曰く、DFはすべてのボールを止める必要はなく、試合の中で1〜2本はわざと通すのだそうだ。すると相手がチャンスのとき、またそのコースに蹴り込んでくる。そのときはバシッと止める。つまり「隙を見せるための嘘」が必要なのだ。相手の思考を特定の箇所に導く。これほど痛快なことはないだろう。
新聞の一面記事と自社を関連付けて考えたことを、朝礼で発表している某社。ある朝営業マンがこんな発表をした。「外資系のH社が、日本国内に工場を作ると書いてありました。原油高で輸送量が高くつくため、アジアで作って日本に輸入するよりも国内で作った方が安いようです。さっそく当社の機械を売り込んで見たいと思います」。こんな気付きを重ねる会社はトレンドを捉えて伸びるだろう。
「他店で買われた飲食物も、ぜひ当店でゆっくり座って召し上がってください」「当店のラーメン・冷麺が、お口に合わなければスタッフに遠慮なく申し付け下さい。すぐに他のラーメン・冷麺に、つくり替えます」「ご満足されなかったお客様は、お手数ですが「お支払いチケット」にご記入いただきお帰りの際にレジまでお持ちください」。ラーメン屋『麺’S SHOP』の店内看板。約束できるということはそれだけ自信があるということだ。
坂内川に鮎釣りに行った。オトリ屋に立ち寄ると親父が「よく来たね」とコーヒーを入れてくれた。同店内には川の地図が書かれていて、どこでいつ何匹釣り上げたか一覧になっている。それを見ながら親父が好ポイントを教えてくれた。その親切さに感心していると「オトリ屋はオトリを売るんじゃないよ。情報を売るの。そのついでにオトリを売るのだ」とサラリと言う。わかっている人だ。 |