V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
私の家の近くの写真館には、映画館のような大きな絵の看板がある。そこには「写真だけの結婚式」と書いてあり、タキシードの新郎とウエディングドレスの新婦が描かれている。しかしこの新郎新婦はノッペラボウ。その看板を見ながら、「写真だけの結婚式」は誰が何のために利用するのか考えてしまった。ロミオとジュリエット?不倫カップル?二号さん?こんな隙間ニーズもあるのかと驚愕した。
子供の小学校入学式に出る。未だに「開式の辞」と「閉式の辞」があるのには驚いた。あんなもの司会者が「はじめます」と言えばよくてわざわざ一人(教頭)が登壇して一礼して、「これから平成17年度入学式を始めます」なんて言って、それだけで帰ってくるのは、なんとも時間の無駄である。学校も変わったと聞いていたが、自分が子供の頃から「?」と思っていたしきたりが未だに続いていたことに驚いた。
小学校1年生になる子供たちがしりとりをしていた。ある子が「あ」で終わる言葉を言った。それを受けた子は「あ…あ…」と悩んだ後、「アイフル!」と出た。それを受けた子は「ル…ル…」と違和感なくしりとりを続けた。この子達にとって、アイフルは固有名詞ではなく、一般名称なのだろう。ソニーも日立も住友も知らない彼らが消費者金融業の名を人生の最初に覚えてしまう。そう考えて戦慄した。
ホテルで朝食のバイキング2,500円。高すぎる。よって近くのコンビニにオニギリ買出し。夕食は、近くの焼肉屋へ。知る人ぞ知る小さな名店。「米国産が入らないが、品質を落としたくないので、豪州産は使いません。よって値上げのご了解を」と断り書きがある店で、食べて実に美味い!。値段は通常の倍だが、こちらは気持ちよく払う。生きた金の使い方ができた、と思う。ささやかだけど。
ポケモンの主人公サトシはバトルのときポケモンにあれこれ指示する。その姿は、専門的な仕事をアウトソーシングする企業に似ている。そしてバトルに勝利し、戦ったポケモンを自分の仲間として増やず姿は、持ち株会社によるグループ企業の巨大化と酷似している。90年代からポケモンが流行り続けるのもこうした『アライアンス』『ガバナンス』が競争力を生む経済環境と相関があるからだろう。
ポケモンのテーマパーク「ポケパーク」で遊ぶ。ポケモンの人気振りを見て、意外なことに気がついた。子供は、主人公のサトシが好きなのではなく、ピカチュウなどのポケモンが好きなのだ。このポケモン達は明確な自己を持っている上に他にはない得意技を持ち、かつ成長とともに名前や姿を変える。そんなポケモンにオンリーワン企業の姿がだぶるが、子供たちはそこに憧れているのだろう。
富士急ハイランドホテルの「ハム太郎ROOM」に泊まる。この部屋は普通の客室を『ハム太郎』というアニメのキャラクターをテーマに改装したもの。予想ではハム太郎のイラスト・人形だらけの部屋だったが…入ってみると意外にも壁にイラストされていたのはハム太郎たちの「足跡」だった。派手すぎず押し付けすぎず、しかしキャラクターの個性を光らせる…デザイナーのセンスの良さに脱帽した。
万博の入場者がイマイチだという。そんな中で雨天で平日の3/22は好天の休日3/21より人手が多かったという。来た人は一様に「雨なので空いている」と思ったという。ところが、6400万人も集めた大阪万博では、一番入ったのは台風の日で30万人近い。ディズニーリゾートも一年で一番多いのは雪の日だという。人の考えることは皆同じ(笑)。万博は会期中1500万人集客が目標。1日当たり8万1千人を見込む。
富士急ハイランドで遊ぶ。ギネスにも載っているというお化け屋敷「超・戦慄迷宮」を体験。お化け屋敷は人間の智恵の結集だからどこまで演出してくれるのかと興味があったが、本当に怖かった。驚いたのは、自分がこんなにも軽く、早く走れるという事実。お化けに追いかけられ、怖さから走り出すとき、眠っていた筋肉が一気にトップモードに入る。危機感による火事場の底力は予想以上に大きい。
白糸の滝に行った。30年前、家族でいったときに衝撃を受けて、いつかもう一度行ってみたいと思っていた。駐車場から滝へ行く道沿いにある土産物屋は衰退色が濃く、この滝って騒ぐほどではないのかなあ…と思ったが、滝は予想以上に勇壮で見る人の心に迫ってきた。こんな素晴らしい自然も、60年も変わらないと地元が潤うだけの商材とはなりにくい。観光客を世界から呼ぶ努力が必要だ。
私が部下に叱られた。「室長が社内で書類を作成したり、捜したりするときに社内でブツブツ、イライラ口調で独り事を言っていることもありますが、とても気になります。誰も言わないでしょうが皆さん、気になって、仕事に集中できないこともあると思います。周りの4、5人の生産性を落としてしまうのは勿体無いことです」。上司を叱るのは大変なこと。よく言ってくれた。有り難う。以後気をつけます。
同僚のコンサルタントが「一品入魂」という記事を書いた。その中で斑尾高原の土産物屋から成長したクリエイティブ・ヨーコを事例で取り上げていた。「はて…どっかで聞いたことのある…」と思いHPでチェックすると、やっぱ我が家にある商品だった。この商品をカミサンが買ってきたとき、その商品の物語を聞いたのだが、私の関心の外だった…。こんな感性でコンサルタントとは誠に情けない。
ホリエもんの動きは経営者ではなく資本家の動きである。資本家は常に利回りを求める。よって「ハイリスク・ハイリターン」を経営陣に要求する。するとサラリーマン社長たちには「新しいことをやれ。社長職は君のGOALではない。さもなくば辞めろ」という畏れを感じる。ライブドアVSフジTVは資本家VS労働者の戦いであり、Gain追及者とProfit重視者の戦いである。そのスタンスはSBIが株主になっても一緒だろう。
3/12の日記の補足。かつて私は目標はあってもそれを紙に書いていないし、それを持ち歩いていなかった。ところが、書いて持ち歩くとどんどん智恵が生まれてくる。3年先年商3倍にしようと思ったときは「無理かなあ」だったのが、書き出して眺めているうちに「あれ?案外ラクじゃん」「5倍でもいけるかも」と変わるのだ。計画筆記・携帯に限らず5Sも提携も、体験した人にしかわからない価値がある。
幼稚園の卒園式。最後の子供達が呼びかけで、「運転手さん…ありがとうございました…幼稚園に毎日無事に来れたのは…おかげです」「給食のおじさん…ありがとうございました…カレーライスがまた食べたいです…」を聞いていて泣けてしまった。誰かを支えるために影で頑張っている普通の人たちが、その誰かから感謝されるのを見るといつも耐えられなくなる。私はそんな人たちの味方でいたい。
今回の本のタイトルは失敗だった。「できるリーダーだけが知っている「稼ぐチームのつくり方」」。意図は『できるようになりたい』リーダーに読んでもらうためなのだが、どうも『できるリーダー』が、自分のしていることの確認のために読んでいるケースが多いようだ。私が助けたい人に伝えるには『私でも必ず成れる』『あなたもきっとできる』とか、そういうタイトルの方が良かったか。タイトルは本当に難しい。
洋菓子をもっと売るにはどうしたらいいか?某洋菓子屋の社長と一緒に考えていた時、その社長に「洋菓子で何がしたいの?」を聞いた。すると「一家団欒の食後の安らぎを提供したい」という。そこで社長の仕事を「あなたは『一家団欒のプロデューサー』だ」と定義した。すると、思わぬアイデアが次々と浮かんだ。どこに売れるかの売り先探しより、「一家団欒を求めている人」から考えたからである。
山口県の宇部市で講演する。この市は全国的に有名だが、セメントという地場産業と高校野球で「宇部商業」が強いからだろう。ところで公立野球部が強いということは、その地域の経済的自立と関係が深いのではないかと思う。私の住む地区は弱いが、隣の県の私立高校に優秀な生徒を皆取られてしまうからだ。これは隣県に経済依存しているからだが、経済衰退に比例して弱小化したように思う。
原田先生のメソッドに【心作り能力】がある。忘れないように書く。(1)心を使う=イメージ・目標設定 (2)心をきれいにする=5S (3)心を強くする=できることの継続、特例廃止 (4)心を整理する=過去の失敗の切捨て、準備による未来不安の解消 (5)心を広くする=感謝の心育成。某会長は100年経営の秘訣を「恩返しの経営だ」と語ったが、この(5)の発想である。(1)〜(4)ができたら、その域にいけるのだ。
中学生に誇りを持たせることで有名な原田隆史先生の講演を聞いた。先生は「生きる力」を(1)自分で目標を立て、達成しきる力(2)礼儀作法・道徳の向上(3)健康と安全に生きる力としている。これを経営に置き変えると、(1)はそのまま。(2)はコンプラ遵守と5S、(3)財務的な健全性と、社会的に意味のある業務提携だ。わが身を振り返り、これらが弱いと痛感。これで「誇りを持て」と、人にいう資格はない。
誇りある経営とはどんな経営か。第1は、誰かのお役に立っていることがハッキリ認識できていること。第2は、それがより多くの人の役に立っていると認識できていること。第3は、会社そのものが長く続くことである。いくら誇りに思っても、短期間で潰れては誇りとならないからだ。突き詰めると「誰の何のために、どれだけの人に、いつまでも」。これがあるのが経営で、ないのはGAMEである。
2/15の日記に「ホリエモンをどう思うか?」と書いたが、西武やダイエーの顛末を見ながら、つい「会社は誰のものか?」と考えてしまう。会社は勿論株主のものである。また、商品はお客様のものである。では社員のものは何か――少なくとも『達成感』『充実感』だけは社員のものだろう。つまりそこの社員である(あった)という『誇り』。経営者は、誇りを持たせる経営を心がけねばならない。
金山にできた商業施設『アスナル』を視察。『アスナル』はライフスタイルセンターという新業態。都市型立地で核テナントがなく、物販・飲食・サービスが均等に構成されているのが特徴。ターゲットは20〜30歳代若夫婦で、ボディケア系の店だけで49店中9店もある。今時の若夫婦はお互いの肩を揉み合うより、一緒にケアを受けて、成城石井でワイン買って帰る。そんな生活がしたいのだろう。
木材業者が川下まで進出した例に、東農檜の家の『産直システム』がある。東農は、林業・建築業が盛んな地域で、代々腕の良い職人を生み出しているが、産地直送システムは、材料だけを直送する従来の方法と違い、家を建てる大工は勿論、作業に携わる職人を木材の産地から派遣している。丁寧な仕事と仕上がりの美しさが評判で、沖縄に行くことも。製材産業を製造サービス業へと高めたのだ。
昨日の緑茶の世界に似ているのが木材の世界である。木材のマーケティングを考えていると、やはり伝統品ゆえに品質差が認識されないジレンマにぶち当たる。品質差が認識されなければブランドが育たず、価格のみが勝負ポイントになる。もちろん、家具や住宅の加工品は付加価値を生むが、原材料のままではどうにもならない。木材業者が生き残るには、川下事業に自ら乗り出すしかないだろう。
中部国際空港内で、甘味茶屋の『和の間』に入り850円の餡蜜を食べた。こうした緑茶をベースとしたCaféでかつ高付加価値を得る店は、おそらく過去何万人もの人が考えたのだろうが、成功した例は稀である。緑茶Caféはアイデアは出るものの、実現化することが最も難しいもののひとつなのだ。それを実現し、このような流行る店を見ていると、アイデアよりも実現した人が何倍も偉いと改めて思う。
中部国際空港にでかけた。私はこの空港をとても好きになった。鉄道の空港駅とフロントが同じフロアなのがいい。だいたい鉄道駅は地下だから重い荷物抱えて上の階へ移動するという煩わしさがあるが、それがないのだ。関空の問題点とか徹底的に研究したのだろう。商業施設も和と洋の区別などコンセプトが明快。これで予定より16%も仕上げたのだから、このプロジェクトは一流の仕事である。
万博目前。名古屋は空前のオープンラッシュだ。中部国際空港、土岐のプレミアム・アウトレット・モール、栄のSUN SHINE SAKAE、LACHIC、金山のアスナル、そして名古屋駅のデ・ラ・ファンタジア。これだけの施設が次々とできるのは、名古屋人の資産、可処分所得等が、成功した東京人にとても美味しく見えたからだろう。この地を軽く見ていた人の目つきが変わったのは嬉しいことだ。
家電量販店のエレベータで、「エレベータの中に何で鏡があるのか、知っている?」と、息子に聞かれた。そういえば最近、鏡を見ながら無意識のうちに髪形やネクタイ、髭の剃り残しなどをチェックしている自分がいる。あて図法に「自分の身だしなみをチェックするため」というと「ブーッ!正解は車椅子の人がバックするときのためでした。この前TVでやってたよ」。まいったなあ。また子供に教わった。
講演会の後に、某IT企業の社長と話す。400人の会社だが、来年は一気に100人採用する計画。そこで社長が地方大学に赴き、全部自分が面接し、即断するという。なぜわざわざ社長が…と聞くと、学生に「社長に会えたから決めました」と言われたいからだという。そのひと言が欲しくて、全国を飛び歩いているのだ。名古屋の中堅企業が良い人材を集めるには、生身を晒したサプライズが必要なのだ。
今年は花粉が凄いという。実際に多くの人がクシャミをし、マスクをして歩いている。私も小学生の頃からの筋金入りの花粉症患者だが、なんと今年は花粉症になっていない!去年、一昨年と2年続きで「花粉症が治る」と噂の鍼灸院にかかった効果かもしれない。毎年5回くらい通っただけだが、私は声が商売道具だけにこんな有難いことはない。逆に体のどこかが悪くなっていないか心配するほど好調だ。
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