V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
「今後貴社が一層発展するには、自信を付けつつある彼らが目先のことだけでなく、長いスパンで貴社をどのような会社にしていくか考える力をつけていくことが必要でしょう。このプロジェクトを通じて彼らの潜在能力と更なる自発性を引き出せるものと確信しています」。某社トップに私が出した企画書の「はじめに」の一節である。これを読んだ当の「彼ら」は、この一文に燃えたという。「はじめに」で人を動機付ける。コンサルタント冥利だ。
3年前、職場の後輩が小さなプロダクションへ転職した。そのとき彼には、かつて彼と一緒に訪問した会社の社長の言葉を贈った。その言葉は、「10代は健康を手に入れる。20代は家庭、30代は仕事、40代は人格を手に入れる…」。今日、彼がその会社を辞めるという連絡を貰った。彼は現在30代半ば。生涯やり抜く仕事=貢献分野を固めるにはまだ時間がある。今一度自分と向き合って再出発して欲しい。
万博のサテライト会場にできたディスコ。そこに杮落としは「踊る将軍様マツケン」だった。マツケンサンバの熱狂振りは、バブル当時の「おどるポンポコリン」と重なる。スーダラ節と合わせ、景気は良いのだが「世の中、おかしいんじゃないか」と思う時代にこうした変な唄が全世代から指示されて流行る。年金とか、フリーターとか、リストラとか。あのキンキラにそうした不安を忘れたい願望が見える。
毎週土曜日に仕事をし、休みが日曜しかない状態。すると、日曜くらいはゆっくり休もう、という思いより、「折角だから思いっきり遊ぼう!」とかえって元気になってしまうから不思議だ。僕らの親父世代は、皆こうやって日曜日を元気に遊んできたのだろう。近年は、男性の日曜の在宅時間が増加しつつあるが、ビデオ&TVゲーム漬けの土日よりは週休1日の方が、緊張感があって良いかもしれない。
大手企業の課長30人に、入社してから「期待以上だったことは何?」と聞いた。主な答えは2つ。第一は「会社がここまで大きくなるとは思わなかった」。今、大会社に勤めている人の多くは、90年以降この逆で、いかに会社を小さくしていくかばかりを体験し、大きくすることのイメージすらできないのに、これは素晴らしい体験だ。ただし、大きくしたのは他の誰でもない。この課長たち自身である。
先日、講演会で訪ねた某市は、犯罪多発都市になる可能性を秘めていた。高速道路が開通、交通至便となり、外部から人は簡単にやってくるようになった。郊外型ショッピングセンタやロードサイド店が新しくできた郊外の駅前に林立し、これで商店街を中心としたコミュニティは崩壊。こうした店で深夜まで働く人、遊ぶ人が増えれば、その人の家はカラ。そこを空き巣が狙うのだ。
「どうしても達成しなければならない目標より少し高い目標を作り、それを達成できる計画を立てましょう」。こう聞くと、誰もがふむふむと頷くだけである。ところが「これをストレッチ・ゴールといいます。少し背伸びをした目標ですからストレッチです」というと、皆一斉に「ストレッチ・ゴール」という言葉をメモする。キーワード化できるかどうかは、人を揺り動かす技術のひとつである。
忙しいという字は「心を失う」と書く。これまで実際に心を失うほど忙しくなったことは過去一度もなかったが、この11月から2月までは、まさに心を失うほどのハードワークだった。それゆえに日記の更新が20日も停滞したり、メールのレスポンスも遅れがちになった。いかんなあ…こんなことではと大反省。大切なものを守る心を失って、自分はどこへ行きたいのか。見失っては何にもならない。
タクシーに乗ったら、座席の目の前に「あなたの手と足となり、ベストガイドで頑張ります」と書いてあった。この運転手の決意表明だ。「足」になるのは分かるが「手」とは…とすぐにはピンと来なかったが、荷物運びを意味するのだとわかった。この運転手は自分が何を売っているかよくわかっている。タクシーは客を目的地に運ぶことだけが仕事ではない。その街のポーターでもあるのだ。
某社内アンケートで、「あえて困難な仕事に挑戦したい」という意識が低く出た。原因を討論していると、先方から「No Play No Error」という言葉が出た。何もしなければ、エラーもない。だから何もしないという意味である。同社は典型的な減点主義。皆、減点が怖いから挑戦しないのだ。こんな言葉が存在する事態嘆かわしいが、社員が挑み、失敗を歓迎する環境を作らないと変革は断行できない。
某社長とグローバルスタンダードについて語る。社長は自社商品が他国でも通用するかを話題にしたが、私は商品ではなく社長の考え方こそがグローバルスタンダードだと伝えた。同社の経営理念は「笑顔と活力を創る」だが、この考え方は世界共通のもの。どの国の人でも笑っている人やキビキビを動く人の方が好きだろう。そんな社員が育てば、その社員は世界どこへ行っても通用するのだ。
新しく本を出しましたので弊日記読者に宣伝します。『稼ぐチームのつくり方 プロの営業集団はこうして生まれる』。これまでの自分の書籍と違うのは、読者を社長というより現場管理者(リーダー)に置いたこと。また帯に「超実践マニュアル」とあるように、私が現場で使っている営業力開発の手法を記載した、より実践応用型であることです。全国の有名書店、またはamazonで。PHPからです。
管理者に「これだけは絶対に守る」約束を聞と、ある辣腕役員は「部下のモチベーションを下げるような要因は徹底的に排除する」と答えた。モチベーションを下げる要因とは第一に時間的に負荷を強くし、その割りに意義や報酬に乏しい社内会議、社内プロジェクト・チーム、研修などへの参画である。「やりやすい環境を作る」ことが管理者の使命。モチベーションを上げる前に下げる要因の排除は必要だ。
最近、経営者に会うと決まって「ホリえもんをどう思うか?」と聞かれる。優れた点は「儲かる条件」「キャッシュ最優先」の発想から論理的に考え、それに一番近いビジネスを選択し実行できる力である。一方欠点は、彼のビジネスに「社会貢献意欲」が感じられず、何がしたいのかが伝わってこないことだ。企業の社会的責任=CSRが流行語になるご時世に、これでは経営ではなくGAMEと言われてしまう。
バレンタインに、たまたま行ったお店でチョコレートを貰った。コンビニのサンクスではコイン型のチョコレートをくれた。男のアルバイターだけの店はどうするのだろう?次に大阪弁丸出しのお蕎麦屋さんでキットカットを貰う。そして、飲んだ小料理屋では『小さな幸せ』という梅酒と吟醸のカクテルをくれた。タダより高いものはないというが、サービスも含めタダのものほど店の印象を決めるものだ。
真田昌幸の上田城に立ち寄る。噂に聞く小城だが、難攻不落と言われた通り、小さいなりに2重の堀を巡らしていて、さすが徳川秀忠の関が原進行を止めただけのことはあると感心した。しかしながら、土産物屋ひとつなく、六文銭や真田十勇士にまつわるグッズは何一つ手に入らずガッカリ。前田利家の何倍もの人気を誇る幸村を、金沢の何十分の一にしか活用できていない、なんとも惜しい話だ。
私の家からは車で30分圏内に5つの温泉があり、「今日はどこに行こうか」と選べる。価格は500〜800円程度でキレイだが、中には本当に天然温泉かなあ?と疑いたくなるのもある。一方、昨日の硫黄臭い別所温泉はタダながら、施設が昔の銭湯同様で、もう少し近代的にならないかと感じた。まやかし含みでも選択肢が多い方がいいか、低コスト優先か。「選択」+「節約」なら言うことはないのだが。
信州・上田市に出張する。時間があったので、上田駅からローカル線で30分の別所温泉に立ち寄る。別所温泉駅を降りるとき駅掌さん(女性)から、社会福祉センター「相染閣」の入浴無料券を渡された。別所温泉は外湯が多数あるところだが、これは好都合と200m歩いてその施設へ。午前中だというのに、先客はお年寄りが25人も。天然温泉無料以上の福祉はないのでは?と思う賑わいだった。
仲間から問題児扱いされている社員が、自分の成果発表を行った。それを聞いた支店長が、「君は今までの営業には向いていなかったかも知れないが、これからの営業には向いているのではないか?」とコメントした。凄いコメントだ。この発表者には、自分への不安が見て取れた。その不安が頂点に達した場面で、支店長は彼の不安を一掃。「え?そうかな?俺って才能あるの?」と前を向かせてしまったのだ。
銀行の研修所の講師控え室に、若い銀行員が訪ねてきた。3年前に教えた3人で、とりわけ威勢が良かったので覚えている。「また、研修やりたいです!」「どんな研修をやりたいの?」「講義を一方的に聴くのじゃなくて…」「考えて討論するような…」「他社の同世代が何を考えているとかそういう刺激があれば…」。早速人事部に提案してみたいが、彼らは自分で考えて主張するとこに飢えているようだ。
トヨタの某氏と飲む。「当社はモノづくりは間違いなく1位です。が、マーケティングは1位ではありません」と嘆く。聞くと、トヨタユーザーの大半が次もトヨタを買う。よって、リーピーを確保できれば、新規を獲らずとも売上げがキープできるという。ディーラーの営業レベルの低さの原因はここにあったのだ。ブランドが強いと、ブランド力に頼るため、独自のマーケティング力は育たなくなる。
某銀行の若手行員研修を行う。見ていると本当に金融マンに憧れている者と、ブランド品を買うかのごとく、企業名に憧れているだけの者がいる。それでも、その企業の特色に惚れ込んでいればいいが、子供がキャラクター付ソーセージを選ぶように、有名だからこっち!という程度の者もいて呆れ果てる。専門職能が求められる銀行員でモチベーションの違いは致命傷。転職するなら早い方がいい。
昨日の会社には、もうひとつホテルがある。国内外からの出張者を受け入れる施設で、シティホテル並の機能を有している。そしてどの部屋にも旬のフルーツがテーブルの皿の上に果物ナイフと共に置いてあり、自由に食べられるようになっている。このオマケだけで、部屋がフレッシュに見え、ハッピーな気分になるから不思議である。実際に食べなくとも、果物のあった部屋として記憶に残り続ける。
海外との取引が盛んな某社の合宿研修。夜、懇親会後に案内されたのは、山間の迎賓館だった。高級ホテル並の室内、数奇屋風のラウンジ、国定公園のせせらぎが聞こえる露天風呂。浴衣には同社のロゴマークが刷り込まれていて、昼間のビジネスとの乖離が大きく幻想的ですらあった。常務は「痺れるでしょう」と語っていたが、ここに連れてこられたら、お客様は同社のファンになってしまうだろう。
ベンチャーを大きな会社に育て上げた若き社長の話を聞いた。社長は、なかなか思うように行かなかった頃、列車のホームから線路を見ていたら、思わず線路に引き込まれそうになったという。線路が「おいで、おいで」と呼ぶのが聞こえたのだそうだ。私はそこまで追い詰められたことがない。まだまだ真剣味が足りないのだろう。それを過ぎないと本当の意味でハートに火が付かないのだろう。
独立している経営コンサルタントと一緒に研修をした。最後の成果発表会で受講生の一人に、相棒のコンサルタントが、「あなた、もしこの会社辞めたら是非ウチの事務所へ来てコンサルタントやってください」とコメントした。これを聞いた上司は、「他社の人から求められる。これぞ私が理想とする最高の人材」と褒め称えた。このひと言で、彼はこのチームのコンピテンシーモデルになった。
一ヶ月休みなしだった。こんなに働いて何になると考えているうちに、フィギュア・アーティストの集団である「海洋堂」で聞いた話を思い出した。同社では、商品を創るときに納期を設けない。時間の制約があると、ハートが失われると考えているからだ。ハートが無ければ世界に通用する良いものはできず、買ってもらえない。ハートが擦れるほどの忙しくすれば、良いものから遠去かるだけだ。
昨日の続き。本当の意味で「寒いときほど暖かい」といえるためには、まず相手が本当に寒いと感じているのかどうかを知らねばならず、また、本当に寒くなる前に防寒対策を提案できるよう、提案できなければならない。「寒いよぉ」と申告されてから動いたのでは、手遅れなことだってあるのだ。ニーズが顕在化してから付け焼刃的な対策を取るだけではソリューションとは言えない。
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