中国の写真館では、若者を激写風に撮影し、全18ページの写真集に編纂するサービスが大流行。値段は2万円と一か月分の給料相当だが、産児制限の影響でそんな写真集を残すことに親も熱心なのだ。私の友人も、自分の写真集をわざわざ台湾まで作ってきた。万人向けのサービスを行えば、客はご近所止まり。が、サービスを特化すれば商圏は限りなく世界中からやってくる。国内写真館の盲点だ。
写真館がオンリーワンになるための発想法。まず、世界でたった一人、来て欲しいお客様を決める。例えばイチロー一家の七五三写真だとする。次に彼に選ばれるにはどうしたらよいかを考える。他にはない独自の優れた技術が必要だろう。そのために技術を磨く。そして、そんな技術があるという情報イチローに届ける。イチローが本当に利用すれば後はその事実が口コミで広がり、世界中に客ができる。
写真館での講演の続き。写真館が写真館と呼ばれだしたのは江戸時代末期であろう。以来、130年近く。未だに写真館と呼ばせているのはおかしい。現代の庶民はカメラもデジカメも当然のように持っている。それなのに、カメラがなかった時代と同じ呼び方をさせているのは、写真館が進化していない証明だ。写真館らしいサービスではなく、その店ならではのサービスを打ち出して欲しい。
写真館の会合で講演。この講演に先立って主催者からメールが届いた。そこには「当業界は少子化の影響で…写真の技術が進み…一部大手チェーン店が…」といった業界の苦境が綴られていた。そこで私は講演の最初にこのメールを引用した。「こんな環境…だから貴店の経営は苦しいの?それとも楽しいの?」。環境変化は業績に関係ない。あるのはお客から選ばれたか選ばれなかったか、の事実だけだ。
部下が某社で新事業案を評価した。すると評価された人が、自分のメルマガにそのことを書いた。「講師は『間違いなくダイヤモンドの原石です』と念を押して言ってくださった。この場面を頭に浮かべたとき、留めていた涙がこぼれてきた。講師の方の言葉が、あまりにも感動的で我慢が出来なくなってしまったのだ」。たったひと言でコンサルタントが「かけがいのない人」になる真実の瞬間。これは部下の生涯忘れられぬ自信になるだろう。
戦後、この国には「当り屋」といわれる人々がいた。わざと車に轢かれて、賠償金をせしめる商売だ。自分の血液を売る人もいたという。バッファローズの話から、自分の骨や肉を金銭する話を思い出した。コカコーラはダイエットコークにシフトして大幅に売上を落とし、慌てて元の味に戻した。コア・バリューを失ったバッファローズ。ファンからみれば球団は「当り屋」。そのことに早く気が付いて欲しい。
なんて馬鹿なんだ!命名権を売りに出した近鉄バッファローズ。赤字を抑えるためと言うが、赤字を抑える最善の方法は観客動員数の増加だ。どうやって増員するか…その一点に絞ってマーケティングするべきところを、ファンが最も大切にしたいものを放棄してしまった。金のために自分を売るチームをファンは決して応援しない。世の中にはやってよいことと悪いことがあるのだ。
青色発光ダイオードの発明者中村さんに対し、企業が200億円支払えという判決が出た。しかし、貢献度50%はいくらなんでも高すぎる。利益は生産した人、売り歩いた人、資金調達した人の支えがあっての賜物だ。18年前に自分がロングセラー商品を考案したときのことを思い出しても、確かにスーパーマンな設計者の貢献があったことは確かだ。しかし、決して50%ではない。最高裁まで争って欲しい。
沖縄に住む整体士の友人から届いた手紙。「皆々様に【年間1万円】を出資していただきたい!!」。「目的:世界で戦える陸上選手の基礎を指導、対象:小〜中学生・初年度は3〜5名程度、『陸上を通して、愛と感謝を指導したい!!』」。「どうなるかわかりませんが、誰かが具体的に動かないと、具体的に沖縄の長距離界は変わりません…エエ夢見れまっせ!!」。「具体的」と言われたら出すしかないな(尊敬)。
「上司が講師で生徒は部下。パワーポイントを使い、時間は最低30分」。こんな勉強週間を実施した某社の成果発表会に出席。目を見張ったのは「漢字テスト付き」の講義。研修の中身で最も強調したいところをわざと難解な漢字を使い、「何と読む?」と質問することで印象を強くしているのだ。登場した漢字は「遍く」「雖も」「専ら」「慮る」「強か」「吝か」「所為」「偏に」「捌く」…。優れた手法だ。
某社で新規事業を立案する研修がスタート。参加した13名に全員に各一案作らせるのである。冒頭に挨拶した人事部長は、最初にメンバー全員で記念撮影。理由は「この中からロングセラーが出たときの『プロジェクトX』用として」。また既に新事業の立ち上げた先輩社員の写真を見せ、「諦めない限り失敗はない」という彼のメッセージを披露した。受講生のモチベーションを挙げる心憎い演出だ。
某社の新事業を成すときの教訓は「好奇心と行動力」だ。第1は「心」。新事業は、担当者の情熱が生み落とすものだ。第2は「体」。幾度も壁にぶつかり、そのたびに壁を突破して事業は形になる。その壁も解決策も能動的に動かない限り見つからない。第3は「頭」。頭の順位が低いのは、理屈抜きで感じる感性の方が新事業の立ち上げには何倍も役に立つからだ。考え過ぎは高学歴者の成人病だ。
BSEに続く鳥インフルエンザで、風評被害が心配だ。以前のBSEのとき、焼肉店は「一年耐える。客は必ず戻ってくる」を信じて耐えた。今度は鶏肉屋の番である。そして、待つ一年を品質管理体制を変える好機と捉える。伝票一枚で発注する体制を改め、自分が現地に行き現物を見てから発注するように変えるのだ。精肉業界にもサッポロビールの協働契約栽培のような仕組が必要なのだ。
12/21のこの日記で、「都会の核家族化育ちの僕たちには地縁も血縁もない。あるのは情報縁や商品縁だけ」と書いた。情報縁や商品縁とは個々人の嗜好・こだわりなどをベースとしたネット上のコミュニティのことだが、日経新聞が元旦からこれを『電縁』と称して連載を展開。それを見て「うまいなあ」と唸った。こんなネーミングセンスがあれば私はもっと売れっ子作家になっていただろう…トホホ。
外食産業専門のコンサルタントは語る。「大企業がどれだけ頑張ったところで、パパママショップに勝てるはずがない」。そこには労働基準法もなく最低賃金法もない。マニュアルがないから、一人一人の好みの味にアレンジするし、文句の多い客には「二度と来るな!」と平気で言う。組織化できて壱番屋の規模が精一杯。専門性が飛び切り高いパパママショップは何屋でも生きていけるだろう。
某社の支店長研修で、部下から「あなたは○○でした。だから私たちは貴方の下でよかった」という感謝状を貰うとして、何と書かれたいかを考えてもらった。ある女性支店長はこの○○に「あなたはいつも楽しんで仕事をしていました」と入れた。常日頃から「やらなくてはならない仕事」ばかりでなく、「やりたい仕事」もやろうよと語っているのだという。明るい雰囲気が伝わってくるようだ。
ある大都市の問屋街の100坪ほどの小さな公園を見て驚いた。この公園は建て看板だらけだ。『ゴルフの素振り禁止』『サッカー・球技禁止』『犬のふんを放置するな』『家庭ごみを持ち込むな』『花火禁止』『自転車・台車を放置するな』『缶・ビンはくずかごへ』『ゴミはくずかごへ』『タバコの吸殻の上に缶などを置くな』。その大半が大人へのメッセージ。マナーが守れない大人の多さに唖然とした。
企業には新企画を次々と打ち出す『父親型』の企業と、狙いを定めた顧客の声を丹念に聞き、それに一つ一つ答え続けることで支持される『母親型』の企業とがある。後者の場合は、寝相の悪い子供が毛布を蹴飛ばしたときに、そっとかけてやるような愛情が命。つまり相手が言葉で要求しなくてもニーズを先取りしていく観察力が重要だ。顧客を定め専門特化した企業の商圏は限りなく広い。
40歳の私は懐かしくて、ついコンビニで『J’sポップスの巨人たち』という、ミニCD入り菓子(330円)を買った。このシリーズは「たくろう」「はしだのりひこ」「南沙織」「甲斐バンド」「渡辺真知子」「南佳孝」「ペドロ&カブリシャス」「さだまさし」「久保田早紀」の8種類。持ち帰るとカミサンが、どれを買ったかを推理した。しかし、全然当らない。5歳違いだが、自分がいかにオッサンか思い知った。
大仕事を控えた一週間前、その準備に取り掛かろうとした矢先に発熱して寝込んだ。なんとか2日で回復した後はロクに寝ずに準備してその大仕事をこなした。この5日間は調子が良かった。が、終わった途端にまた発熱してダウン。緊張で押さえ込んでいた菌が再び暴れだしたらしい。これほどの緊張感の中で仕事が出来るのは幸せだが、体が資本のこの商売、壊れない体を作らねば。
情けない話、一家全員が風邪を引いてしまった。そこでカミサンと子供二人はカミサンの実家に、私は私の実家に疎開。母は大好きな麻雀教室の日だったがキャンセルし、義父母は仕事を休んで看病に当ってくれた。寝ている身としては恐縮してしまうが、そんなことは当然という顔をしている。愛というのは大切にし守るべきものの優先順位が定まっているものを指すのだと、教えられた。
かつてアサヒのスーパードライがヒットしたとき、他社も追従してドライを出したが、結局はアサヒのシェアだけが上がった。この事例になぞらえて12/31のこの日記で曙−ボブサップ戦の高視聴率を予測したのだが、なんと紅白を抜いたという。他局のK-1を見ていた人が曙−ボブサップ戦のときはTBSにチャネルを合わせたという現象。他局はTBSの変わりに宣伝してくれたようなものだ。
「ほんとうにどうもありがとうございます。4年前にあの部屋でアドバイスをいただきHさん(私の部下)に具体的に掘り下げていただきありがとうございました。お蔭様でいい正月が迎えられます」。債務超過寸前で相談に来た某社長からの年賀状。実力はあるが営業下手の典型だった。年賀状には社員一同の実に楽しそうな写真が載っていたが、V字回復できたのは、私ではなく皆さんの力である。
『コピー年鑑2003』をめくる。20年前の学生時代、バイトで貯めた金でコピーライタ養成講座に通っていた。このとき、『コピー年鑑』を読みながら時代のキーワードを洗い出す方法をマスターした。今日も、ある仮説を持ってめくっていたのだが。クライアントが商品を産み落とすまでのさまざまな理屈を、感性で凝縮し簡潔に表現したのがコピー。「あ、そうだったのか」と気付くことができた。
笑顔が素敵な社長と会食。新幹線の時間が迫ってきたので帰り支度を始めると、「もうひとつ聞きたいことがあるんです!」それに答えると続けて「まだいいですか?もうひとつだけ?」。聞きたいことがあってもなかなかこうは食い下がれるものではない。その姿勢に彼の人生の凄まじさを感じたが、質問される側としてはその真摯さと質問の内容の高度さ&天然の笑顔が実に気持ち良かった。
年末(12/25)に一緒に温泉に入った某社長から直後に届いた葉書き。「食事のみならず温泉までご一緒できるとは思いもよりませんでした。友達も羨むと思います。出来の悪い弟子が一人増えたと思って今後ともご指導よろしくお願いします。心に残る一年をありがとうございました…」。凄いなあ。松下幸之助の『素直』を地で行く謙虚さと、即対応。その姿勢に私が学ばせていただいています。感謝。
日本最大級のコンビニが名古屋に進出して1年。既に150店以上を出店したというが、同社によれば当地区にはコンビニが成立する場所が1600箇所以上もあるという。さらに通常新地区に進出した場合はなかなか売上が伸びないものだが、期待以上の成果だという。同社曰く「名古屋にはCVSの市場があった」。でも、名古屋には十分コンビニがあったはず。そこに穴を見つける。これが王者の証だ。
DVD屋に出かけたら、『黄金の日々 完全版』を発見した。あの『黄金の日々』が全部週録されている!と感激して、早速amazon他でチェックしてみる。完全版はまだ少ないが、amazonの面白さは読者レビューが見られることだ。とりわけ78年放送の『花神』を大河の最高傑作だとし、完全版が欲しいとした人の意見には深く深く頷いてしまった。こうした「情報」縁が、人を元気にさせるのだ。
デパートの福袋が大変な賑わいだ。私個人は中身が不確かなものを買うのには抵抗があるが、それが成立するということは、モノを買うよりも「ブランド」を買う人や「お得」を買う人が多いとうことだ。また子供服の福袋の人気が高いのは、自分が買って知人が消費する場合は「お得」「ブランド」が最優先するということだ。ギフトや介護用品市場でも同じ理屈が成立するかもしれない。
お年玉用にポチ袋を用意するが…配布する子供数は、自分の子供を除けば甥と姪合わせて僅か3人だった。私の義父の場合でも、孫が3人。この数は自分の兄弟よりもはるかに少ない(義父は9人兄弟)。ポチ袋は5枚セットで100円で売られているが、2枚余らしてもったいない。今後は豪華な1枚を100円で売る時代になる、と、ここまで連想して改めて少子化を寂しく感じた。
今年の抱負は『神話の法則』をマスターすること。知る人ぞ知るシナリオライターのバイブルである。それを企業再生のシナリオにダブらせてみようと思う。例えばこの法則に、現在構造改革中のクライアントを当てはめてみる。すると、今年はまず親友が現れ、次にライバルと一大決戦を繰り広げる年になると予想される。こうしたモノの考え方は、事業計画を潤いのある物語へと変貌させる。