妄想誘発剤

2005年03月27日(日) 泣いたりしない強がりを優しく見守ってね




ばかと何度も言った

こんな場面で微笑んだあたしに

ばかと言った

なんでもお見通しとばかりにおでこを小突いて

きみがそんなだから

あたしはいつまでもこんなに強がり



2005年03月26日(土) あなたのそのぶっきらぼうな優しさだけがせつなかった



信じていていいんだよね

心の中で問いかけながら

言葉にしなかったわたし

きみの優しさを信じられず

ごめんね



2005年03月25日(金) いつも何も言わない人だったけれど


いつも何も言わない人だったけれど

乱暴に差し伸べた手のひらはあたたかかった

いつも何も言わない人だったけれど

微笑めばそれだけでしあわせがわかった

いつも何も言わない人だったけれど

底なしの優しさがそうさせるのだと知っていたから
さよならは私から言ったよ



2005年03月24日(木) きみがそこにいてひそかに泣いていることを僕は知らない

その時の僕といえば
まだあの子のことが好きで好きで
他のことなど目に入らず
途方に暮れたようにぬけがらな毎日を送っていたものだから

きみのカケラにすら
気付いていなかった



2005年03月23日(水) ずっとここにはいられないって



言ってた

あの時そういえばはっきり言ってたよ

ずっとここにはいられないって

ずっとこうしてはいられないって

変わっていくものだということをちゃんと受け入れなさいと怒られた

こんな哀しみを
あの人はどれくらい前に感じたんだろう



2005年03月22日(火) きみだけに降り積もる愛の言葉


ずっと空から
もう何年もの間
きみだけに降り積もっている言葉がある

きみはそんなことに全然気付かず
にこやかに微笑んだり
不条理なことに怒ったり
あまりのできごとに哀しんだり
そしてやっぱり微笑んだり

そんなきみを見守る
愛の言葉が降り積もる

そうやって何かに守られて
生かされている



2005年03月21日(月) うそをうそと呼ばないで


そんなのうそと言わないで

あたしずっとずっと気付かなかったふりをするから

うそをついたなんて言わないで

知らん顔で騙し続けて



2005年03月20日(日) こんな騙し方で行ってしまうなんて







きみの最後の嘘に

ただただ号泣するばかり



2005年03月19日(土) こんな毎日を愛しく思いながらあたしは生きてる




毎日繰り返すこともある
昨日と違うこともしながら
その合間合間に同じこともおりこまれ
違うセリフを吐き
同じように笑い
違う文字を綴り
同じかばんを持ち

なんてこともない
つらいこともある
楽しくもある

どこにもない
ありふれた
愛しき日々



2005年03月18日(金) いつかの今日は記念日だったね




いつだったかの今日は記念日だったね

今も変わらないと言えば変わらないのかもしれないけど
意味などないと言えば
もうそんなものない



2005年03月17日(木) さよならの時、お互いに優しくなれる二人でよかった



優しい微笑みをかわした

指先をひらひらと揺らして

さよならをかわした

二人で過ごした時間

こんなふうに宝箱に入れてしまっておくように

蓋を閉じることができてよかった



2005年03月16日(水) 場所を変更してもいいですか







ここには痛い思い出がありすぎて
胸がくるしくて
呼吸もできなくなるから

きみとここを歩くのはつらくて
あたしはまだ
何も捨てきれていないことを
思い知るから



2005年03月15日(火) それくらいちゃんとわかっとけ







うるさくおいかけるのは

つまり

要するに

なんていうか

スキだから



2005年03月14日(月) そのカードを選んだのはキミだ




そのカードを選び出した

だからきみは

最後までそれにつきあえよ

こっちの士気が下がるような

適当なセリフを吐いたりするなよ



2005年03月13日(日) だからといって同じコトをしていいわけじゃないでしょう



きみが怒るのもわかるけど

だからといってそれじゃ

きみの手のひらが

同じ泥で汚れるってことだ

それじゃ意味がないだろう



2005年03月12日(土) そのくちびるが最後の言葉を告げるまで




あなたを信じるからね

そのくちびるが最後の言葉を告げるまで



2005年03月11日(金) これからはじまることについて二人で考えよう



楽しい計画を狙おう

楽しいところの一番まんなかを狙おう

一番おいしいところを最初に食べよう

これからはじまる毎日の



2005年03月10日(木) きみを置いて



きみを置いて
どこへ行こう

どこへさまよう

きみを置いて

どこまでいけるのだろう

たったひとり残して



2005年03月09日(水) 浮ついていてごめん




浮ついててごめん

もっとしゃんとしなくちゃ


忘れたいわけじゃない
逃避したいわけじゃない

それでもごめんね

こんな時に
こんなふうにしか笑えなくて



2005年03月08日(火) ひとつひとつ近づいていくことが怖くてたまらない




また一日を過ごしてしまった

また一日を終わらせてしまった

こうしてさよなら一歩一歩近寄っていく

それが怖くてたまらない



2005年03月07日(月) また同じように過ごせるとは限らないけれど




今の生活がなくなって
新しい何かと出会いながら
あたしたちは少しずつ離れていく

仕方のないこととわりきれないのは
まだこどもだから
泣いてわがままを言えないのは
中途ハンパに大人だから

またいつか
またいつか

願わずにはいられない

また同じように過ごせるとは限らないけれど



2005年03月06日(日) ただ愛してほしくて



ただまっすぐに手をのばし

ただひたすらに恋焦がれ

ただあなただけに愛してほしくて



2005年03月05日(土) いくつものつよがりをならべてみました






そこで微笑もう

いくつもの強がりをならべて

そして笑顔をつくって

何かがんばっているというカンチガイ

方向性を見失って

ただオノレの首を絞めるような

痛い春



2005年03月04日(金) 何もかもが新しくなることはやっぱりこわい




全て一新されてしまうのは
まだちょっと怖い

新しいところへ飛び込んでいくのが
誰しも得意なわけじゃない

キミのためらう理由を
ぼくは知っている

だから何も言えなくて



2005年03月03日(木) 桃をころりと愛でて形を味わう



弥生 春風 さくらもち

きみの着物のすその桃

ころり ほころぶ 恋の花

春 春 まだか

春 春 そこか



2005年03月02日(水) ぽっかりとあいてしまった穴なんか飛び越えたら忘れよう




そんな穴なんかに

つまづいてたまるか



2005年03月01日(火) わかっててもできないこともあるのだから




理解していても
動けないこともあるから
それを言い訳にしてはならないけれど
そういうこともあると思って
接することが大切だなぁと
わが身を振り返りつつ思ったりもするのです


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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