妄想誘発剤

2003年11月30日(日) 何も知らないくせにそんなメロディを届けないで



私ももうあなたをふりまわさないし

あなたももう私をゆるがせない



2003年11月27日(木) いくら数えてもたりない



何が足りないのかもわからないくせに



2003年11月23日(日) まぶたの微熱

泣きながら眠ってしまった
かさかさになった心とうらはらに
まぶたに残る微熱は敏感
嘘ではないことを物語る



2003年11月20日(木) 寝ころがって自由人

たたみのうえで
大の字になって

それだけで
ささやかな自由



2003年11月15日(土) やがて曖昧な想いばかりがのびてゆくから

結局言葉でいくら説明したって
その気持ちの核心にはおいつけない
曖昧な想いは
言葉にならずにそのままでのびてゆくから



2003年11月14日(金) どんな生き方もあなたの証

座りこんで
足の裏を見てみなさいよ

この足跡にちゃんとはまるのは

あなたの足だけだよ



2003年11月13日(木) 足がしびれて畳柄

ストーブ
うたたね
陽射しの傾き
つらつらと

睡魔に
吸われて
夢うつつ

日落ちて気付けば
寒寒と
足がしびれて畳柄



2003年11月12日(水) 悔しいくらいに鮮やかな嘘

翻したマントが風になびく
そういう歯切れのよさが
その嘘にはあった

嘘をつかれたことが悔しかったのではなく
その嘘事態の美しさに嫉妬したのでしょう きっと



2003年11月11日(火) まだじょうずに歩けない

まだじょうずに歩けない
人生というつなわたり



2003年11月10日(月) なんておいしいくちびる

スイートキャンディー

たべてあげよう

おいしいくちびる



2003年11月09日(日) 涙は嬉しい時のためにとっておこうよ

涙は嬉しい時のためにとっておこうよ

そんなことを思いつくあなただから



2003年11月08日(土) ピンクの空で甘い角砂糖の夢を見る

瞳を閉じれば
ピンク色の空がひろがる

きみがいつまでもおんなのこでいることを
角砂糖の角がとれたって
ずっと願っているよ



2003年11月07日(金) 真実にフタをして閉じ込めよう

いいじゃないか
その程度のやり口で
中途ハンパに笑いながら
中途ハンパにマジメぶって
飲みこんだ言葉が数知れない
フタをして見えなくしてしまえば
誰にもわからないんだから
カンタンなもんだ



2003年11月06日(木) ケイタイ携帯、軽体型、他意。

実際のところ

あれほどはずかしがっていた醜態にも

これだけ慣れちゃった

あなたが携帯してるのは何?



2003年11月05日(水) 力任せな恋

その強引さだけで
私をどこまでもひっぱっていって



2003年11月03日(月) あなたへの気持ちが見つからない

ただ

あなたへの気持ちが見つからない

この器が

からっぽになってしまった



2003年11月02日(日) あの時ドアに手をかけてしまったから

あの時ドアに手をかけてしまったから

もう開かないわけにはいかなくて

振り向くわけにもいかなくて

結局二人の後悔をくちゃくちゃにまとめて

ぶつけて壊しただけだった


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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