妄想誘発剤

2002年12月30日(月) 大切にしていた小さなカケラ

ちいさなてのひらのなかで
ずっとずっと暖めていたの
もしもこれを失ってしまったら
もうこの瞳に光さえささないと
それくらい祈るような気持ちで
ずっとずっと暖めていたの



2002年12月28日(土) たくさんの言葉で飾り立てたあの日

あれからどれくらいの時間が過ぎてしまったのか
もうびっくりしてしまうね
どれひとつとっても
昨日のことみたいなのに

あれからの時間ずっと
いろいろな言葉で
あの日々を大切にしてきたよね

それがわたしたちの
守り方だったよね



2002年12月19日(木) 何もかもが自分から遠ざかっていくような気さえしていた

強い追い風の中で
絶対に流されまいと断ち尽くす

こんなに強い風の中で
どうして私は動けない

どんどん
すべてが遠ざかっていこうとしているのに



2002年12月16日(月) これは何のバチがあたったんだろう?

思い当たるフシがありすぎて

困ったね

苦笑いするしかないじゃないか



2002年12月12日(木) 寒い夜だからささやかさが身に沁みる

ぎゅっと抱きしめてくれてありがとう

手をひいて
そのぬくもりだけで
もう胸がいっぱいだった



2002年12月10日(火) ちいさな波でぐらつくのは距離のせい

おかしな言葉
どこまで行っても

会えないことに変わりはないのに



2002年12月09日(月) さみしいと思ってしまったら、歯止めがきかない

ひとりきりの強さを

ここで掲げなければ

歯止めのきかないさみしさに

打ち破られてしまうでしょう



2002年12月06日(金) やさしく見えるのはこわいから

おそれているのは何だろう
あなたがやさしくて
やさしくて やさしくて
わたしの中をとかしていくから

もうひとりではいられなくなるんじゃないかって
こわくなる

こわくなる



2002年12月04日(水) 私がこの手で壊したくせに

わかっているよ
わかっているの

だから目を閉じてしまいたい

もう二度と開かなくたっていい

私が壊したことのつぐないに



2002年12月02日(月) 大切だったのはあの時間のつらなりでした

あの時間だけが独立して
まるで額縁に入れられたみたいに
普遍的な重さで
ここにある


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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