全く期待しなかったんですが、案外そうでもなかったです。
富山県では全国公開一週間前から先行上映をしていて、ついでに日曜は1000円で観られたので行ったんですが。
山を登り、測量し、山を登り、測量し、の繰り返しの映画です。ただそれだけなんだけれども、人間味の感じられる良い作品だと思いましたね。終始、たんたんと進んでいきますけど。
キャストは豪華です。 主演は浅野忠信、準主役に香川照之。他に、松田龍平、宮崎あおい、仲村トオル、役所広司等々。
笹野さんと小澤征悦と国村隼さんが陸軍上層部の役どころで、紐飾りのついた軍服を着ている姿が冒頭に出てきて、思わず笑うところでした。 小澤くんは好きなんだけど、あの人が坊主頭で軍服着てると、もうなんていうか反乱起こしてるときの西郷どんにしか見えない(笑)篤姫の記憶も新しいしね。
内容は、立山連峰及び、剱岳の詳細な地図を作る、というもので、皆さん山に登ってます。 これでもかというくらい山に登り山に登り、雪に晒され、雨に降られ、スタッフさんもキャストも大変だったろうなと思わせられる撮影内容。 特に、夏八木さんの行者姿は圧巻でしたが(笑)(褒めてます。だって似合ってたもの)(御経を読み上げているところが個人的に楽しかったですよ)山の頂で経を読んでるんですよ。吹きつける風も強いでしょうに。
映像は美しかったです。 監督さんて元々カメラマンの方でしたっけ? 山々の四季を時間を掛けて撮影しただけあって、夕陽も紅葉も、雪山も綺麗でした。時折、自然だけを映してある場面などもあって、大自然を楽しめるドキュメンタリみたいな作り方だと思うんですけど。
音楽は、あれ聴いたことあるんだけど何だったかな。バロック音楽っぽい。オーボエ協奏曲とかヴァイオリン協奏曲とかそのへんだと思います。えっと、オーボエ協奏曲と、ヴィヴァルディの四季と、G線上のアリアとかそのへんです。うん。
浅野が演じている柴崎の妻役を宮崎あおいが演ってるんですが、なんだかとても初々しくて可愛い奥さんです。あれはきっと新妻だ(笑)
松田の演じているノブは、最初は若さゆえの血気盛んさがちょっと嫌な人間を醸し出していたんですけど、次第に香川演じる長次郎に感化されて丸くなっていくあたりが、予想通りとはいえ、いいなあと。
方言に関してはね、矢張りちょっと違う。ところどころ違和感を感じてしまうのは地元民ならではですが。 なんだか無理矢理語尾に富山弁をつけたしてる感じがしないでもない。あと、発音が共通語と逆なので、多分その辺がいちばんの違和感なんじゃないかなとも思う。
しっかし、この映画、順撮りなんだそうで。 天候の様子を見て、撮れるときに撮れるものを撮ってるのかと思ってたんですけど。 最初から最後まで、山を観て、人を観て、順番に撮影していくっていうのは時間もコストもかかるし、本当に大変だったんじゃないかと思うんです。 あ、パンフレット読んだら、機材も荷物も全部スタッフが担いで登ったそうですよ。ヘリコプターも使ってないって。うわあ、これ本当に凄い。 一般登山客が登る登山道ですけども、過去に二、三度立山登ってますんで、大変さは少しはわかると思う。結構急斜面なんですよね…うーん、雄山神社懐かしいなあ。
あと、あの列車はきっと黒部峡谷観光鉄道トロッコ電車。山の斜面に貼り付けたように見えるんですよねあれ。乗ったことはないし乗りたくもないけど、時代を感じる着物姿の女性がたくさん出ていて楽しかった。
結論。 山の美しさと厳しさ、そしてキャスト、スタッフの苦労を感じてあげてください。
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