(仮)日記
何かしらの感想と更新履歴。



2005年07月16日(土) 姑獲鳥の夏






事件性の薄い話になったなあと思った。それが見終わった後の感想。

姑獲鳥は、再三にわたって関君が話を持ち出しているから心に残るのに、今回の事件現場の久遠寺医院の内部事情が妙に薄い。発端はこの病院の娘なのになあ。
反面、久遠寺涼子の映像は奇妙に頭に残る。回想シーンの多くなるこの話の性質上、仕方ないのかもしれないが。涼子役の原田知世がよく映るからか?

古書店京極堂は家から繋がる内蔵改装部分のため、吹き抜けになっていました。これはいいアイディアだと思った。2階部分から1階を映し出したとき、微妙に歪んで映されているから、あの世界の朦朧としていびつな感じがよく出ていたと思うんだけど。
アングルが斜めになっていている撮り方は要所要所でちらほらと使用されていて、眩暈坂からなる不可思議な世界観が伝わってくる。

キャストが豪華だし、皆演技派なので、これといった演技に対しての不満もなく。キャストを知ったときから、「なんで?!」と叫んでいた木場修は案外はまりだと。よかったよ宮迫。ただ、怖い顔をしてもあまり怖くないのが難点だね。どう考えてもチラシの青木くんの方が怖いから。なんであんなに人相悪い写真が使われてたんだろう堀部。
木場修と関口君が軍役時代に上司と部下だったという設定は、言葉で説明してなくて、でもあの手段はとてもうまいやり方だとは思ったが、実際の木場修にあんな可愛げはないだろうなあ。

細かく言うと、京極堂の喋り口はとてもうまいが(さすが堤)、たまに活舌が悪かったのと、語尾の切り方が私の中の京極堂像と違う(当たり前だ)。それは読者一人一人で違っているから仕様のないことだけどね。あともう一点、憑物落としのシーンの真言を京極堂が読むところ…なんか違うんだよなあ。その違和感は単に真言好きの呉川の好みに寄るものですが。真言の最後に九字がきて、ああ!と反応した私…なんか、ゴメンナサイ。

関口君の奥方、雪絵さん役が篠原涼子というところに驚く。そりゃ、旦那があれでも何とかやっていけるだろうよこの奥さんがいるなら。彼女は強そうだ。
チラシを見て、青木くん役は北村一輝だと信じていたら堀部圭亮、牧朗役は香川照之だと思っていたら惠俊彰だった。写真が悪かったんだよあれは…。

久遠寺医院炎上シーンは、どこからどう見ても物凄くミニチュアが燃えていた。
眩暈坂両脇の墓場は本物の墓場を撮影、後付けでCG合成(だそうで)。
鬼子母神神社の周囲の木々に打ちつけられた呪いの形代、あれは綺麗に形が残りすぎていたと。もう少し風雨に晒されて汚く千切れていないとリアリティがない。そんな、一日、二日前に打ち付けたものじゃないでしょうが。

あと、フラッシュ焚き過ぎ。一昔前のポケモン現象を思い出した。姿を隠すから、中で何が起こっているのかいまいち把握しづらい。
牧朗さんが刺されたときの血糊が少ないんじゃないか?っていうか、もっと傷口から血が滲んでいてもおかしくないと思う。なんであんなに出血量が少ないの?ナイフを抜いていないとはいえ。

気付けば、あっという間に憑物落としのシーンになる。本当に久遠寺家が印象薄い。我が子を殺された親たちの殴り込みもなんかちっちゃい。あんな少人数の警官だけで押し返せるものだろうか?
しかし、寺島進氏はよかった。ニッカポッカ着てたらなおよかったんだけど(それは私の趣味)足下まで映してはくれなかったから確認できず。でも、彼の出番はとってつけたようなかんじ。木場修が捜査してた事件のことがいまいちよくわからない。一連の事件と繋がっている感じがしない。個々で独立したような印象を受ける。

皆のアイドル、薔薇十字探偵、榎木津礼二郎の出番は少なかった。今回は仕方ないが木場修の方が出てる。破天荒な榎さんの見所もなし。人の記憶が見えるだけの普通の人だ。三作目に期待する(僕は神だ!発言を是非実写で)

個人的に、クライマックス後の関口君の後姿&回想シーンは長すぎると思った。しつこい。
京極夏彦、ちらちらと出すぎ。太った?
長広舌をよく覚えたね、堤。原作より随分短いけど(そりゃな)

冒頭の関口君、寝込む久遠寺梗子、探偵社での関君など、窓ガラスや鏡などに姿を映すというのは効果的だったと思う。本人は映らず、虚像が実像ではなく、虚構の世界という感じ。

とにかく、関口君のせいで回想シーンが多くてね。



結論。
今回いちばんいい味を出していたのはザクロ役の猫(>え)





 戻ります。  目次  次へ進みます。


仙名 [HOMEPAGE]

My追加