加藤のメモ的日記
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2019年07月20日(土) |
オウム死刑 限られた執行時期 |
原爆忌・総裁選避ける
法務省は7月26日、オウム真理教による一連の事件で死刑が確定した元教団幹部の死刑囚に対する死刑を、今月7月、6日に続いて執行した。同省が教祖の麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚ら18人全員の死刑を1か月足らずの間に執行するという異例の決断に踏み切った背景を検証した。
■平成のうちに 13人は2005〜11年に死刑が確定した。刑事訴訟法「執行命令は判決確定から6か月以内」と定めるが、オウム事件では2012年以降、逃亡していた共犯者らが逮捕起訴され、複数の死刑囚が共犯者の公判に証人出廷するなどした。このため、これらの裁判が完全に終結した今年1月までは、死刑の執行が現実味を帯びることはなかった。
法務省が執行時期の具体的な検討に入ったのは3月。東京拘置所に収容されていた死刑囚13人のうち、7人を他の拘置所に移送した時期と重なる。検討の結果、定めた執行の「タイムリミット」は来年5月の改元だった。未曽有の被害をもたらしたオウム事件は、平成元年(1989年)から始まっている。ある同省幹部は「平成の犯罪を象徴する事件は平成のうちに決着をつけるという地強い意志が省内で共有されていた」と明かす。
上川法相は7月3日、松本元死刑囚ら7人に対する死刑の執行命令書に署名した。関係者によると国会会期の延長が決まり、同省の担当する重要法案がすべて成立するメドがついたことを確認し、6月下旬に自ら執行を決断したという。
■「役割」で順序
死刑囚の心情が不安定になるのを防ぎ刑を公平に執行するため、共犯関係にある死刑囚の刑は一度に執行することが原則とされる。同省は当初、13人を同日に執行することも検討したが、拘置施設の設備や人員面の負担などから1日に執行が可能なのは最大3人という事情があり、見送った。
このため同省には執行順序の決定が求められることになったが、上川法相が着目したのは「教団での役割の大きさ」だったという。6日に執行された7人は、井上元死刑囚が「諜報省大臣」、早川元死刑囚は「建設大臣」を務めるなど、教団独自の「省内制」の下ではいずれも大臣・長官クラスの幹部で、関係した事件数も多かった。ある法務・検察幹部は「教祖をトップとする組織犯罪では、組織内の攘夷の責任が重いのは明らか。彼らが先に執行される方が国民の納得を得られる方が国民の納得を得られやすいと判断したのだろう」と話す。
一方、6月以降、法務省内では、 残った6死刑囚の精神状態を懸念する声も上がっていた。死刑囚は、拘置所内でも新聞や面会人を通じて他の死刑囚の執行を把握できる状況にある。「いつ自分が執行されるのか」との不安から心身が乱れる可能性があった。13人に対する死刑執行の間隔は20日間と、執行の発表が始まった1998年11月以降の最短記録(47日間)を大幅に更新したが、この点の考慮も背景にあったとみられる。
『読売新聞』7.27
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