加藤のメモ的日記
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2014年12月30日(火) 高倉健 ��

日本人に愛された昭和の男が、また逝った

汗にまみれ、泥にまみれた男 。血しぶきに染まった男。義に生き、筋を通した男。世渡りの下手な男。あなたこそ日本人の「理想の男」だった―。

律義な男

「他の人には真似のできない役者でした。脚本を書くとき、『高倉健だから演じられる』という役を書くことはできたけれど、健さんがいなくなると、もうその役は誰も演じられない。健さんが演じていた役も、もう書けなくなる」脚本家の倉元聰氏(79歳)は、こう肩を落とした。日本人が本当に愛した、昭和を代表する男が逝った。俳優・高倉健(享年83)。11月10日、都内の病院で悪性リンパ腫のため亡くなった、次回出演作の準備中に体調を崩し、そのまま入院、他界。急逝と言っていい、思いがけない死だった。

映画の世界で生きてきた健さん。倉本氏は、その健さんが出演した数少ないテレビの連続ドラマ『あにき』(77年・TBS系)の脚本を担当した。今はただ「びっくりして、茫然としている」と話す。「僕みたいな不摂生性な人間が生き延びて、あんなに健康を気にしていた人が亡くなってしまうなんて……。僕は健さんが好きでした。男の美学をしっかり持っていた。あれほどまでに『男』というのもを突き詰めて考えていた人はいない。古武士のような人でした」男の中の男。健さんを知る誰もが、そう呼んではばからない。

東映時代の後輩で、『網走番外地 吹雪の闘争』(‘67年)などで共演した俳優の谷隼人氏(68歳)は、「19歳の時、初めてお会いした15歳年上の健さんに、すぐに惹きつけられた」とその魅力を語る。「とにかく男っぽい人で、男兄弟のいない僕には、兄貴のような存在に思えました。僕以外にも、小林捻冶さんなど、健さんに心酔した後輩は大勢います。周囲をよく見ている人で、誰かが困っているとさりげなく助けていました」

谷氏は『網走番外地 吹雪の闘争』の撮影当時、東映入社2年目で20歳そこそこだった。「北海道ロケが終わり、僕が健さんに『お疲れさまでした』と挨拶して帰京しようとすると、『谷、ちょっと待て』と呼びとめられた。『カネはあるのか』って。本当はなかったのですが、心配をかけたくなくて『大丈夫です』と答えると、『このやろう、ふざけんなよ!』とポンと2万円渡してくれたのです」

健さんは、人に何かをプレゼントするのが好きな、心配りの人でもあった。東映の後輩、千葉真一氏(75歳)は、デビュー当時、学生服しか撮影所に着てくる服がないことに気づいた健さんから、まだ新しいスーツをお下がりにもらった。また米国映画の『ブラック・レイン』で共演したハリウッドスター、アンディ・ガルシア(58歳)は、撮影が終わり帰国する際に、健さんから時計を送られた。これについてガルシア氏は、「私も自分の時計を彼に渡そうとしたが、彼は固辞した。彼の意図は与えられることではなく、与えることだった」と述懐している。

芥川賞作家の丸山健二氏(70歳)は、2004年に「主演・高倉健」と銘打った小説『鉛のバラ』を上梓した。その際、健さん本人と交流し強い印象を受けたという。「健さんが主人公を演じることをイメージして小説を書きたい、とお願いしたところ、二つ返事で了承してくれ、その後、長野県の安曇野市にある僕の家に2度、遊びに来てくれました。健さんは愛車のジャガーを運転して一人で来たのですが、驚いたことに約束の時間に一分の狂いもなく到着した。我が家への道は分かりにくくて、始めて来る人は間違いなく迷うのです。『良く迷いませんでしたね』と尋ねると、『実は前日のうちに予行演習しておきました』。前の日に我が家の前まで来ていたという。無類の律義さだと思いました」

代のコーヒー好きで知られる健さんは、当日手土産にコ−ヒー豆を持参し、後日には豆を挽くミルも送られてきたという。丸山氏が芸能界とは縁遠い存在ということもあってが、健さんは同氏に胸襟を開いて、ざっくばらんにさまざまな話をした。「我が家にきて早々、健さんは『世間では僕のことををホモと言っていますが、違いますからね』と言ったので驚きました。(笑)面喰いましたが、世間のうわさ話も気にされていたんでしょう。家内の料理も食べてくれたんですが、『糖尿病なんですよ』と言うのでそばにしました。病気を気遣っているようで、ペットボトルに自分用の水を入れて持ち歩いていました」(丸山氏)

自分は観られる側になりたくなかった、本当は観る側でいたかった、とも語っていたという。丸山氏は話を聞いて、こう感じたという。「俳優は、仕事としてやっているという意識だったのだと思います。プロの自覚が強い人なので、世間が抱く『高倉健』の印象に自分を合わせていたのでしょう。

俳優・高倉健=本名・小田剛一の軌跡を追ってみると、意外な一面も見えてくる。健さんは1931年、福岡県中間市に生まれた。父親は旧海軍軍人で、炭鉱労働者の差配をしており、家は裕福だった。中学生の時終戦を迎えると、「これからは英語の時代だ」と友人たちに語り、進駐軍の将校の家に押しかけて英語を学んだ。アメリカ分化に接するる中で、鍛え上げた男と男がぶつかり合うボクシングにも熱中した。学校ではボクシング部、英会話部を自ら創立している。


『週刊現代』12.6


2014年12月29日(月) 健康は自分で作れるもの

テレビでおなじみの池谷敏郎先生も、秋津先生と同様に健康情報の氾濫を嘆く医師の一人である。「健康情報は今や、『極論ブーム』。それに振り回されて、結局は自分の健康を損なう方が増えるのではと心配です」こう話す池谷先生の新刊『健康常識○と×』(アスコム)が話題を呼んでいる。

「例えば『血圧の薬は一生飲まなければいけないから、飲まない方がいい』という話を信じたある老婦人は。治療の継続が必要だったにもかかわらず内服を中断してしまった。その2カ月後に脳卒中を発症してしまったのです。勘違いや思い込みによって、多くの人が翻弄されているのです」御年��2歳とは思えない若々しさを保つ池谷先生。肌もつやつやで見た目年齢は30代。

そんな池谷先生の健康法は「在宅トレーニング」「特別なことをしなくても、ダイエットは可能です。要は、自分で続けられるかどうかだ。私は11年前と比べて9キロの減量に成功しました」その方法は、部屋の中での「3分間のその場のジョギング」や、あお向けに寝て両足を上げ、足先でイニシャルや数字を描く腹筋、テーブルに手をついて行なう腕立て伏せなど簡単なものばかり。健康づくりは無理のない範囲で、思い込みや誤った健康知識は、今年中に改めよう。

●尿を我慢すると血圧が上がり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし、死に至る可能性もあります。さらに冬は暖かい部屋から急に寒いトイレに行くと、急激な温度低下によって血圧が上がりやすくなるので気を付けてください。

●インフルエンザウィルスは乾燥を好むうえ、乾燥すると喉の絨毛運動など防御機能が低下します。予防には加湿が有効になります。

●うがいの目的は、喉についた細菌やウィルスを洗い流すこと。水うがいのほうがヨード液のう薬で流すよりも、風邪の発症率が低かったとの京都大学保健管理センター川村教授らの実験データがあります。

●タンパク質は熱を作るために重要な筋肉の材料になるほか、多めに摂ると異は大量の消化酵素を出すためにエネルギーが生じます。また、タンパク質はアミノ酸に分解されますが、その後余剰分は体外に排出するために肝臓が取り込み分解。この時熱を生じます。

●体が沈むと寝返りが打てず、血液や体液の循環が悪くなり、肩こりや頭痛の原因になります。立ったり座ったりが大変な高齢者は、ベッドのほうがいいですが、その場合も寝具は薄めに。

●市販の目薬のほとんどには防腐剤が入っており、角膜上皮を傷つけ危険です。充血改善目薬には血管収縮剤が入っていおり、直接的な原因を治すわけではありません。洗眼液は、涙の重要な成分も洗い流してしまう恐れが。まばたきが一番ですが、せめて防腐剤不使用で、涙と成分が近い人口涙液を。

●胃には左右だけではなく前後の傾きもあるため、右を下にして寝るのは、実は逆効果です。

●検査薬に含まれるブドウ糖はガン細胞の増殖する部分に集まることで初期のガンを発見しますが、その効果はすい臓ガンや骨肉腫など限定的。もともとブドウ糖が集中する脳や腎臓、膀胱のガンは見つけられず、胃ガンや肝臓ガンは、PETでなくてもいカメラや超音波検査で発見できる場合が少なくありません。

●乳ガンはエストラゲンが過剰に働くことにより発症しやすくなることがわかっています。成長期にエストラゲンが分泌されると身長が高くなりやすいことから、身長が高い女性は乳ガンになりやすい傾向にあります。

●胃腸が弱い人は、水を飲み過ぎると異液が薄まり、消化吸収力が衰えます。腸内環境が悪化し免疫力も低下、ガンの発祥率も上昇。喉が渇くのを待って飲むぐらいがちょうどいいでしょう。

●強い酒→食道ガン・咽頭がん(いんとう)酒の飲み過ぎ→肝臓ガン
同じお酒でも、ハードリカーは食道や咽頭を痛め、アルコールの過剰摂取は肝臓に負担をかけます。

●笑いがNK細胞を活性化させるのは有名な話ですが、少量のお酒にも同様の効果があります。ビール大瓶1本ぐらいなら、むしろ健康にいいのです。

●キュウリに含まれるアスコルビナーゼという酵素は、トマトのビタミンCを破壊。ベーコンに含まれる添加物のリン酸塩はホウレンソウの鉄分やカルシュウムも吸収を阻害します。大根に含まれるリジンインヒビターは、シラス干しの必須アミノ酸リジンの働きを阻害します。枝豆はタンパク質やビタミンB1、B2、ミネラルなどをバランスよく含み、肝臓の働きを高めてくれます。

●空腹感とは、食事から時間がたち、血糖値が下がったことを脳が感じて生じるもの。おなかが鳴るのは、体脂肪の燃焼が始まったサインでもあるのです。

●熱々のチーズを冷たいビールで流し込むと、チーズが胃で固まり、胃もたれや胃痛のもとになります。同様に天ぷらも油が固まります。キムチはナイアシンがアルコールの分解を助けます。

●炭水化物をまったく摂らないと、栄養が行き届かなくなり、脳や内臓全般の働きに支障をきたすほか、筋肉を動かすエネルギーも不足し、最悪寝たきりになる危険性も。腎臓に負担がかかり、カルシウムの排泄量が増え、骨粗鬆症リスクが上がるという報告もあるほどです。

●愛媛大学医学部の発表で、顔のシミの面積が大きい人ほど頸動脈の動脈硬化が進んでいたことが明らかになりました。これは男性には見られない傾向。詳しい理由は明らかになっていませんが、活性酸素が関係しているとの説もあります。

●おなかと背中をくっつけるように想像しながら下腹をへこまし、維持する「ドローイン」は、インナーマッスルの腹横筋が強くなるとともに姿勢が良くなり、見た目年齢マイナス20歳。

●炭水化物は、4〜5度まで冷やすとレジスタントスターチに変わります。これは糖や脂質の吸収を抑え、大腸の腸内環境を整える作用も期待されているのです。ただし、再加熱すると普通のでんぷんに戻ります。


『女性自身』12.30


2014年12月28日(日) 耳鳴り・難聴から解放

「キーン、ジージー、ゴーゴーと耳の奥で雑音がする」「テレビの音や会話が聴き取りにくい」「グルグル、ふわふわした感覚がある」「人に呼ばれても気づかなかった」そんな聴こえのトラブルに、ある身近な植物が効くと話題だ。

年齢を重ねるにつれ、誰にでも起こりうる聴こえや目まいのトラブル。心当たりのある人も多いはず。実際、悩みを抱えている人は多く、とくに50歳を超えた頃から急増することが、厚生労働省の生活基礎調査で発表されている。佐藤晶子さん(87歳)も耳の中の雑音に悩まされており、半ば諦めかけていたという。「ある時から耳の中でキーキー、ゴーゴーといった音がするようになったんです。そのうち消えるでしょうと思っていたのだけど、何をしていても音が耳から離れなくなって本当に鬱陶しくてね。ひどい時は夜寝るのもきつかったんです。最初は雑音だけだったのですが、そのうち聞こえも悪くなってきて…。耳の中で変な音がしたり、人との会話が聴き取りにくかったりするたびに『もう歳だから仕方ないのかしら』と落ち込んでいましたね」

聴こえのトラブルは他人には分かりづらく理解されにくいため、佐藤さんのように有効な解決法を見つけられずに我慢している人がほとんどという。現代の西洋医学をもってしても改善率は10〜20%程度といわれており、ひどくなると不眠の原因になったり、スムーズな会話を妨げるなど、日常生活に支障をきたす場合がある。

耳の不調の原因は、ストレスや血流の悪化

なぜ耳鳴りや難聴、ふらつきなどの症状が起こるのか。官報に詳しい黒龍江中医薬大学名誉教授の長澤貴代子先生にお話を伺った。「耳は外耳、中耳、内耳に分けられ、内耳には音を感じる聴神経が集まる蝸牛(かぎゅう)、重力に対する耳の位置や頭の運動を感じる耳石器と三半規管があります。この蝸牛内部の聴毛、三半規管などの聴覚神経の機能不全、自律神経の機能不全、自律神経のトラブルなどが起きると、耳鳴り、難聴といった不快な症状が生じるのです。それを防ぐためには『内耳周辺の血流を良くして充分な栄養を届ける』『聴神経や平衡神経の機能をサポートする』などのケアが大切になります」

耳の不調は加齢や栄養不足による機能低下、血流の悪さ、ストレスなどによる自律神経の乱れなどが主な原因。つまり、不足した栄養分を充分に補給し、血流を改善、リラックスした生活を心掛けることで、耳のトラブル改善が期待できるということだ。

聴こえの悩みを退治する黒ひまわり種の外皮

「会話がスムーズに、楽しくできるようになりたい」そんな願いを叶えてくれると評判を呼んでいるのが、黒ひわまり種の外皮(種殻)。漢方では「向日き殻」(こうじつきかく)と呼ばれ、古い時代から聞こえのトラブルに良いと活用されてきた。近年の研究で黒ひまわり種の外皮に含まれるクロロゲン酸とキナ酸という成分に有用な働きがあると解明された。

「クロロゲン酸は内耳のめぐりをよくする、血圧を整える、強い抗酸化作用で内耳組織の老化による衰えを防ぐ、などの働きがあります。またインスリン分泌を促進するので内耳の細胞質がみずみずしくなって活性化するともいわれています。そしてキナ酸は情報伝達をスムーズにし、内耳や脳の神経機能を高める働きがあるようです」(長澤先生)

他にも聴覚機能のサポートに役立つイノシトール、心身のバランスを保つオリザノールが含まれている。黒ひまわり種の外皮はこれらの有効成分が複合的に働きあうため、耳周辺の気・血・津液の流れを促進したり、排泄するといった調整をすることができるのだ。

耳鳴りが消えて会話がスムーズに

前出の佐藤さんは黒ひまわり種の外皮サプリメントで耳の不調から解放された。「このひまわりの種殻を知って試したら、ピタッと耳の中の音がやんだの!次第に音のしない間隔が広がって、今では耳鳴りのない時間の方が長いくらいよ。聞こえが良くなると自然と笑顔が増えて毎日が楽しいわ」

原谷恵一さん(66歳)はひどい耳鳴りが消え、聞こえがクリアになった。「定年後に始めた仕事でいろいろあってストレスがたまって、その頃からまるでセミが鳴いているかのような、ジージーといった音やキーンとかゴーンとかいう耳鳴りが聞こえるようになりどんどんひどくなる一方で、夜も寝つけなくなり最悪の状態。そんな時に新聞で黒ひまわり種の外皮のことを知り、これは良さそうだとすぐに取り寄せました。

本当に困っていたので最初に電話した時にどのくらい飲めばいいか相談したら、四カ月は続けるようにアドバイスされ、頑張って飲み続けたのです。そうしたらある時あのうるさい音がピタッと止んで、会話もスムーズになり、本当に信じて続けてよかった」

聞こえがはっきり!聞き返しもしなくなった

斎藤博義さん(67歳)の場合は、「耳の不調を何とかしたいと飲み始めて3カ月たった頃から、聞こえがハッキリと良くなっていることに気づきました。今では会話で相手に聞き返すこともなくなり、後ろから声をかけられてもバッチリ振り返れます。人と話すがの楽しくなりましたね」

今回ご紹介した3人が愛用しているのは、黒ひまわり種の外皮エキスに加えて、耳の不調に効果的といわれ、黒ひまわり種の外皮エキスと一緒に摂るとさらに効果が高まる「春黄金花の実(サンシュユ)」、血流改善作用のある「イチョウ葉エキス」と「明日葉」、心の安定をサポートする「ビンカマイナー」などの植物素材を配合しなたサプリメント(「向日葵エース」120粒入り初回限定半額3.200円 税込・送料無料 0120・01・5544 すこやか笑顔にて取り扱い)。

聴こえのトラブルに役立つ、いま注目の天然植物

●春黄金花の実(サンシュユ)
春黄金花の赤い実に有用性があるといわれ、漢方では滋養源としてなじみのある植物である。聴こえトラブルに定評がある、

●ビンカマイナー
有用成分のビンカミンは、神経を元気に保つ働きがある。聴こえや目まいのトラブル対策として良い結果が報告されている。

●明日葉
明日葉の独自性分カルコンが、身体のめぐりを整えるといわれている。めぐりの悪さで起こる聴こえの不調の緩和に。

●イチョウ葉
ドイツの薬用植物評価委員会は、物忘れ・耳鳴り・めまいに対するイチョウ葉エキスの有用性を評価している。


『女性自身』12.30


2014年12月26日(金) ダイオウイカの大量発生

今年、1月から5月にかけて、深海に生息するダイオウイカが日本海沿岸の広範囲で日本海沿岸の広範囲で、相次いで見つかった。その数、なんと25個体。昨年放送されたNHKスペシャル『深海の超巨大イカ』での神秘的な姿もあり、大量のダイオウイカ発見のニュースは大きな話題になった。「実は冬の日本海でダイオウイカが見つかるのはそれほど珍しくはない。ただ今年のような状況は初めてです。普通は亜熱帯の海に生息しているのですが、おそらく太平洋側から対馬海峡を通過して移入してきたのでしょう。大量発見は日本海の中層域の水温低下が理由と思われます」

ミスター・ダイオウイカこと、国立科学博物館ディレクターの窪寺さんによれば、今後も発見が続く可能性があるそうだ。「今年は9月にも発見されました。来年山口から新潟あたりまでの日本海沿岸の人は、ダイオウイカが海面に浮いている姿を肉眼で見るチャンスがあるかもしれません」間近に見られるのは嬉しいが、そうなると神秘的魅力は半減する気もする。また、海底の地殻変動により異常行動となったのなら、地震の可能性も捨てきれない。インドネシアの地震では、地震の直前、オウムがけたたましく鳴いていたことや、鎖で繋がれたゾウたちがその杭ごと引き抜いて山に逃げていったとのことなど。いずれにせよ、何事も起こらなければいいのだが……。


『女性自身』12.30


2014年12月25日(木) 不意打ち解散 戦略成功

自民党が大勝した第一の要因は、選挙の争点を経済一本し絞って訴え続けたことだ。野党側は「円安で物価が上がり、暮らしは苦しくなっている」(民主党 海江田代表)などと批判した。自民党内にも当初、地方選出議員を中心に「地方には景気回復の実感がない。何を訴えるのか」との声もあった。しかし首相は、株価上昇や有効求人倍率といった経済指標の改善などをアベノミクスの成果と位置付けて前面に出した。「雇用を100万人以上つくった」「賃金は2%、ボーナスは7%増えた」など、ひたすら具体的な数字を強調した。

特に地方での演説では「この道しかない。日本の隅々に景気回復の温かい風を送り届ける」と訴えた。自民党幹部が「『景気回復』には誰も反対できない」と語るように、そもそも世論を二分する論点になりにくく、谷垣幹事長は12月14日よる、「有権者はアベノミクスが成功して欲しいとの願いがあった」と分析した。

首相は集団的自衛権の問題で具体的な説明に踏み込まず、原発再稼働にもほとんど触れないなど、世論の賛否が分かれる政策をあまり取り上げなかったことも奏を功した。だた逆に、選挙戦を通じて安倍政権の政策がどこまで有権者の信任を得たのかは見えにくくなったといえる。第二の勝因は、野党側の選挙準備が整わないうちに解散をしかけたことだ。野党内では、衆院解散は「来年の夏以降」(民主党幹部)との楽観的見方が支配的だった。この結果、候補者擁立が遅れ、維新の党などとの選挙協力も進んでいなかった。

一方で首相は、来年に入れば原発再稼働や、集団的自衛権の行使容認に伴う関連法案の審議が始まることで、政権の体力は奪われるとみた。政治とカネを巡って野党がさらに攻勢を強めるとの懸念もあった。首相は新聞各紙の世論調査の中で政党支持率に着目。自民と民主の支持率の差は二年前の衆院選では数ポイントだったが、今回は20ポイント以上離れた調査結果もあり、「比例区で大幅に伸ばせる。第三局の票も民主でなく自民に戻る」として、解散に打って出た。

加えて、二大政党から政権を担う政党を選ぶ小選挙区制の定着が、自民党を大勝に導いたとの見方もある。大勝が予想される与党を牽制するために野党にと投票しようとする動きが弱まり、「その時点で、どちらが政権を担うにふさわしいかを基準に投票先を決めるようになった」(自民党幹部)報道機関の情勢調査で与党優勢が伝えられても、野党への寄り戻しがそれほどでもなかったのは、こうした有権者意識の変化も背景にあるとみられる。


『朝日新聞』12.15


2014年12月24日(水) 座標軸 

ゲームで終わらせないために

小選挙区 296議席の攻防 2014

自民・公明 231
民主     38
その他    26


「衆院選の解散について、首相は本当のことを言わなくてもよい」。そんな不文律があるという。誰が決めたのか。主催者の国民は預かり知らない。永田町にしか通じない「常識」に乗じるように首相が明言を避ける中、政界やメディアが先行して解散への気分を醸成した。そして国民には何が問われているのかよくわからないうちに選挙戦へ。

投票所には脚は運んでも、割り切れない思いのままの人々が少なくなかっただろう。結局、この選挙は有権者が政治家を選ぶというよりも、政治家が有権者を選ぼうとして始まったように見える。それは記録的な低投票率でも明らかだ。「信」を問うといいながら、この選挙は政治への「不信」もまた膨らませてしまったのではないか。フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は、豊富な歴史データと分析で不平等を読み解き話題の書となっている。そこに国の借金の水準がときに途方もない高さになる話が出てくる、一例として挙げるのは英国だ。

英国は国内総生産の2倍にも及んだことが過去2回ある。それはナポレオン戦争と、第二次世界大戦がそれぞれ終わった時だ。日本の借金は今、GDPの2倍を超えている。第戦争をしたわけでもないのにである。急速な高齢化などで戦費にも匹敵する負担がのしかかる。しかもこの借金との戦いは当分続く。だが、選挙戦ではほとんど議論されなかった。

それだけではない。見通しの立たない福島第一原発の処理、沖縄の米軍基地問題……。どんな選択をするにも国民の負担なしには解がない難問ばかりだ。それを正面から問わずに選挙戦をくぐり抜けるには、政権にとって、景気回復への期待を争点にする「この道しか」なかったのだろう。負担を口にしない点は野党も似ていた。それでは別の選択肢を示しようがない。

だが、票を投じる人々の胸には、語られなかった多くの問題への強い不安や迷いが交錯していたはずだ。「景気回復は期待するけれど、財政は破綻しないから社会保障は大丈夫か」「成長は望ましいが、原発に頼っていいのか」選ばれた政治家たちが、そこに思いをいたさなければ、選挙は議席をとりあうゲームに終わる。それが政治のリアリズムだろうか。むしろ民主主義へのシニシズム(冷笑主義)ではないか。選挙で政治家が問わなかったことを問い返す。今日からの主権者の仕事だ。


『朝日新聞』12.15 大野博人 論説主幹


2014年12月20日(土) 自公大勝 3分の2維持

アベノミクス継続 民主党海江田氏は落選 投票率は戦後最低 523%前後

第47回参院選は12月14日投開票され、自民、公明両党は公示前の勢力を上回る326議席を獲得し、大勝した。自公で定数の3分の2を超え、自民単独で291議席を確保した。安倍首相は長期政権への足場を固め、アベノミクスを継続させる。憲法改正にも意欲を示した。73議席にとどまった民主党は海江田代表が落選し代表選が行なわれる。維新の党は横ばいで、共産党は前回8議席から21議席へと躍進した。小選挙区制の投票率は朝日新聞の推計では戦後最低の前回59.32%を下回り、52%前後になる見通し。

自民党は、開票序盤から各地の小選挙区や比例区で次々と当選を決めた。単独で291議席を得たが、前回衆院選で獲得した294には届かなかった。沖縄の4小選挙区ではほぼ全敗。現職閣僚では西川農林水産省が小選挙区で落選した。公明は前回を上回る35議席に達し、小選挙区に立てた前職9人も全員当選した。前回衆院選と同様、自公両党で衆院3分の2を上回る議席を維持した。自公は参院選で過半数を確保しているが、仮に参院で法案否決されても、衆院の再議決で成立させることができる。

民主党の海江田万里代表は東京1区で敗れ、比例東京ブロックでも復活当選しなかった。海江田氏は12月15日午後に記者会見し辞任を表明する。同党は近く、代表選を実施して公認を選ぶ。民主は73議席を得たが、2代政党としての失地回復は果たせなかった。今回は維新、次世代、生活、社民の各党と小選挙区での候補者調整を進めた。だが、一本化した小選挙区の多くで与党に敗れた。維新は公示前勢力の42議席から横ばいの41にとどまり、次世代は2議席で壊滅的敗北となった。生活の党も2議席にとどまった。

共産党躍進 21議席に

ほぼ全ての小選挙区に候補者を立てた共産党は、小選挙区で1996年以来の議席を獲得し、公示前の勢力の8議席から倍増させ、21議席を確保した。社民党は低迷から抜け出せなかった。


『週刊朝日』12.15


2014年12月19日(金) 解散にナベツネ・フォンの影

反・朝日で意気投合 読売の「解散スクープ」にナベツネ・フォンの影

「読売新聞が安倍政権寄りであることは知られていますが、同グループ本社会長の渡辺恒雄氏と安倍総理の間にホットラインが存在することはあまり知られていません。衆院解散・総選挙に踏み切った総理の決断にも、この『ナベツネ・フォン』が影響したのではないかといわれています。(全国紙政治部デスク)本誌が以前から指摘してきた「年内解散」が現実のものとなった。それまで解散の可能性に触れる大手メディアは皆無に等しかったが、これを破り、11月9日付の朝刊一面で「増税先送りなら解散、年内にも総選挙」と大見出しを打ったのが読売新聞である。

「あの段階での一面報道は確信がないとできません。読売内部ではトップ=渡辺会長の意向だったとされています。安倍総理とのホットラインを維持しているのはごく少数で、渡辺氏がその数少ない一人であることは確か。もともと渡辺氏が総理らに対し『増税は延期して解散せよ』と主張していたこともあり、『解散の決断自体、ナベツネ・フォンが後押ししたのではないか』と密かに話題になっているのです。(全国紙政治部記者)

もともと読売新聞は保守系だが、安倍政権とはとくに関係が深い。安倍総理が公然たる「朝日新聞嫌い」のため、朝日をライバル視する読売・渡辺氏とは利害が一致。「ナベツネさんは閣外の相談役」(自民党幹部)の状態で、ナベツネ・フォンを通じ、総理が解散を決断した際には、渡辺氏は真っ先に知ることのできる立場だったわけだ。

ただ、こうした状況に危うさを感じている関係者がいることも事実である。「総理は渡辺氏らシンパだけの話を聞いて自信満々に解散を打ったが、渡辺氏は新聞に軽減税率を導入してほしくて総理に良い顔をしているだけ。読売だと安倍政権は支持率55%と他紙に比べダントツに高いけれども、それを鵜呑みにするは危険極まりない。それに今後、軽減税率が導入されないと見れば、読売だって安倍叩きに回る可能性はある」(閣僚経験者)

利害で繋がる関係は、危うく崩れやすい。最後に「裏切り」を告げる電話をかけるのはどちらだろう。


『週刊現代』12.6


2014年12月17日(水) 再生エネ急増 太陽光が大半

太陽光の稼働は1割 九電の最大供給力を超える

稼働は一割

九州で再生可能エネルギー(際エネ)が急増している。九州経済産業局は、省エネの固定価格買い取り制度で認定された九州7県の発電設備の総出力が。5月末で1800万キロワットになったことを明らかにした。ほぼ全てを占める太陽光発電の売電価格が引き下げられる前の3月に駆け込み申請が殺到した。可動済みは1割強の228万キロワット分にとどまるが、すべて稼働すれば需要を大幅に上回る供給力となり、供給面への悪影響を懸念する声も出ている。

再エネの認定設備出力は、2012年7月の制度開始から増え続けている。太陽光の売電価格は、設備容量10キロワット以上の場合、2012年度は1キロワット当たり40円だったが、2014年には32円。価格が変わる直前の今年3月には、2月までの1年8カ月間で認定された量が一気に約1.7倍に増えた。九電は、電力需要が1年で最大になる夏場の供給力を、今年は他社からの融通分を含め1722万キロワットと見込んでいる。太陽光発電は、快晴の昼間はフル稼働するが、時間帯や天候で発電量が変わるため、年間を通じた稼働率は12%程度と低い。

認定された設備がすべて稼働すれば、一時的には再エネだけで九州の電力を賄える可能性があるが、持続性に乏しく、火力などの従来の電源によるバックアップが欠かせない。大分。宮崎、鹿児島などでは、発電設備とつなぐ九電の送配電線の容量が限界に近づき、事業者が鉄塔や電圧調整装置の新設など高額な負担を求められるケースが出ている。認定を受けながら発電をしない事業者も一部いるとみられるが、太陽光は火力などの他の電源よりもコストが高く、電気料金の値上げにつながるため国も、再エネの普及と国民負担の抑制を並行して進める新たな施策を検討している。

ある電力事業者は「再エネを普及するには、再エネの負の側面も見極める必要がある」と話している。


『西日本新聞』9.20


2014年12月16日(火) お茶漬けのいろいろ

�〕箸俺牝�り卵かけご飯

ご飯の上に、揚げ玉に麺つゆを染み込ませてからご飯にのせ、、卵黄を落とす。刻みネギと一緒にかき混ぜれば完成だ。

��梅ジソしらす丼

ご飯の上にかま揚げシラスを盛る、そこに細かく刻んだ梅干しと大葉をまぶす。好みで醤油を垂らしてもいい。

��生トロサーモンフレイク 

冷凍された鮭を、アツアツのご飯にのせると徐々にとろけていく。ワサビ醤油でいただくと美味い。

�と�花沢のだし

夏野菜(キューリ、ネギ)と香味野菜を細かく刻んであえ、ご飯にのせる。山形の郷土料理。

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佐賀牛のソボロをご飯にかける。

�Δ�らしめんたいこ 七味

焼いたタラコをご飯に載せるだけ。

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ご飯の上に梅干しを載せお茶をかけるだけ。納豆かけご飯、イカの塩辛も。

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ソボロの鮭をアツアツのご飯にかける。ワサビ醤油でいただく。

��揚げ玉入り卵かけご飯

揚げ玉に麺つゆを染み込ませてからご飯にのせ、卵黄を落とし、刻みネギと一緒にかき混ぜる。



『週刊現代』


2014年12月15日(月) 老後破産 �ぁ�

年金額15万円の落とし穴

■ 制度所の問題もありますよね。

○ はい。生活保護を受けるためには、親族に扶養能力があるかどうかを調査してからということになっています。そのための「扶養照会」は三親等以内の親族に対してなされます。つまり厳格に運用されれば、兄弟姉妹や叔父叔母・甥姪はもちろん、配偶者側の兄弟姉妹や叔父叔母、子供や孫、ひ孫らの配偶者にまで知られることになる。生活保護を申請しようと福祉事務所に行ったら、まずそれを説明されるため、「そんなに遠い親戚にまで連絡されるなら、生活保護なんて受けたくない」と高齢者は躊躇してしまう。他人には迷惑をかけたくないと思いますからね。

■貧困状態にある高齢者というのは、いろんな事情で家族や親族と疎遠になっている人が多いわけです。極言すれば高齢者の貧困問題は、生活保護を受けてもらうことで解決できます。ですが、これから問題になってくるのは、中小企業に勤めていたサラリーマンなど、定年後の収入も生活保護水準以上にある人ではないでしょうか。

○そうなんです。サラリーマン時代にあまり給料が多くなかった人は、厚生年金の額が15万円以下という人が多いんですが、この程度の収入があると生活保護の給付対象にならないケースもあります。受け取る年金は報酬に比例し、現役世代の収入の5〜6割に設定されています。たとえばモデルケースとして、月収30万円の人は引退後、65歳以降に月15万円以下で暮らしていかないといけない。このラインの人の生活水準は、おそらく生活保護レベルよりも低くなる可能性が大なのです。なぜなら、生活保護の人は税金や健康保険・介護保険の保険料も免除になる。医療費も実質的に全額免除です。比べてみると、生活保護レベルの少し上の層が最も生活が厳しいというのが現実なんですね。

■サラリーマンとして定年まで勤めたし、年金ももらえるから大丈夫だと思っている人ほど、リスクが高まる可能性があるということですよね。こういう層にまで生活保護のセーフティーネットを広げられればいいけれど、財源の問題もあるので実際問題難しいでしょう。
例えば、生活保護を受けていなくて収入が一定以下の人に対しては、健康保険料・介護保険料を免除し、医療費も無料にすることも一つの方法かもしれません。

○高齢者が貧困に陥る最大の原因は、病気と介護なんです。無料低額診療施設もあるんですが、この存在はあまり知られていません。そういう中で、結城さんがおっしゃるように医療費や介護費の負担が減れば、高齢者は楽になりますね。

■老人の貧困は表からは見えにくい。でも隠れている貧困高齢者をどうにか見つけ出し、福祉サービスに結び付けていくことが大切です。そうしないと本当に社会秩序が崩壊してしまいます。

○高齢者の貧困問題を解消するためには、若年層の雇用問題もどうにかしないといけないですよね。非正規雇用ではなく、若者が安定的な生活を送れるような雇用環境を整えていかないと、彼らが頼っている親世代の貧困が解決しないし、近い将来、大量の貧困世代が生まれることになりますから。

■それと希薄化した家族関係に対する支援を求めているような高齢者は、家族関係が崩壊している人がほとんどなんですから。家族関係を深めていくような何らかの対策が必要です。現状では、生活保護にせよその手前のボーダーラインのレベルにせよ、就労できない高齢者の貧困は放置しておけない問題です。破産状態に陥らないための知識を個人が持っておくと同時に、国の生徒も見直していかないと、老後破産の問題はさらに深刻になってしまうでしょう。


『週刊現代』10.11


2014年12月14日(日) はやぶさ2 宇宙へ

小惑星探査機 はやぶさ2 2014 11月30日打ち上げ

2010年、劇的な帰還で日本中を熱くした「はやぶさ」。その後継機「はやぶさ2」は2014、11月30日種子島宇宙センターから6年間の宇宙大航海に旅立つ。

小惑星の地表面を吹き飛ばした後、サンプル採取機を設置し、小惑星内部の物質をカプセルに収納する。爆破は一回、接地は3回試みる。

はやぶさ2のミッションは、はやぶさ同様、小惑星の物質を地球に持ち帰るが、今回は生命の起源を解くことを見座す。小惑星からのサンプルリターンは、日本独自の超技術だ。今回の目的地は前回とは異なり、水や有機物を含む可能性のある「C型」の小惑星である。地球帰還は2020年冬を予定している。多くの科学者が参加したことも前回とは異なる。

地球誕生の謎を解く「物質」を持ち帰れ

「はやぶさ」の60億�劼發領垢魏椎修砲靴燭里肋淵┘佑痢屮ぅ�ンエンジン」のおかげでもあった。その開発者である國中均さん(JAXA)は4年半前、カプセル回収隊を指揮したが、今回は総指揮官を務める。地球接近小惑星1万個のうち着地してサンプルを持ち帰れるC型小惑星は「1999 JU3」ただ一つ。そこに到達するためには、今回の打ち上げを逃すと数年間はチャンスがない。そのため、予算がつかず計画延期されていた「はやぶさ2」は、最低でも3年はかかる探査機の開発・製造を約2年で成し遂げねばならなかった。

「はやぶさ」は光学技術実証機として「小惑星への往復探査」という独自の超技術を手にしたが、「はやぶさ2」はその能力を完全なものに仕上げる。「『はやぶさ2』は惑星形成の解明など、科学目的が大きくなった点が『はやぶさ』とかなり異なります。そのため惑星科学者たちがチームに加わったんですが、大変なバトル続きでね。『はやぶさ2』は」重量が『ひゃぶさ』より約100kg増。その半分は機器改善のための増加分で、残りが科学観測分です。

このきわめて厳しい重量制限の中で、画期的な科学的成果が期待できる機能をどう搭載するかをめぐって、熱い議論が交わされました。しかしそのおかげで『はやぶさ2』はより進化した、世界に誇れる科学ミッションになったんです」

大型探査機であれば、燃料を大量に搭載し、パワーのある科学推進エンジンで宇宙を航行できる。しかし「はやぶさ」シリーズは、世界の常識ではありえない低予算ゆえ、500〜600kgと小粒。そのため60億�劼發留�宙航行を続けるために、科学推進エンジンの10分の1という低燃費で航行可能なイオンエンジンが選ばれた。ソーラーパネルで得た電力で燃料をイオン化し、噴射するため電気推進と呼ばれる。イオンエンジンには3種のタイプがあるが、「はやぶさ」では実用化が難しく「笑いかねないほど異端」(西川和孝さん)のマイクロ波方式を採用した。「人がやっていないことに挑戦する」という技術者魂に加え、「より長寿命化が可能のはず」と信じたからだ。

そうして開発したマイクロ波方式のイオンエンジンは、打ち上げ前に真空装置で世界最長運転記録を更新し続けたが、なぜか前回の宇宙航行中には次々と「エンスト」を起こし危機的状況に追い込まれた。前回の反省を生かして今回、10年以上前の試運転に用いたイオンエンジンを分解し、原因を徹底究明。劣化を防ぐ設計変更を行ない、しかも同じサイズで推進力を25%高めることにも成功した。コンピューターシュミレーションによって劣化の進行度合いも確認している。この新モデル4基を搭載した。

「はやぶさ2」の最大の売りが爆弾の搭載。衝突装置だ。小惑星の表面の物質は、数十億年にわたる太陽風化で変質しているため、爆弾で人口クレーターを作り、新鮮な地下の物質を得ようというのだ。爆弾を搭載した探査機など、世界でも例がない初めての試みである。

「はやぶさ2」は小惑星上空で発射装置と弾丸(爆薬と2.5kgの銅製ライナー)が一体となった装置をそっと分離後、小惑星の裏側へと退避。やがて宙に浮いた発射装置内の4.7kgの爆薬に点火、直径約27センチのライナーが時速約7200�劼脳彳諭▲�レーターを作る。その様子は「世界最小の人工衛星」と評価された宇宙カメラの進化モデル「DCAM3]が子細に記録。その後、「はやぶさ2」はクレーターの底に接地してサンプルを採取する。

地球への帰還 1万度の高熱に耐える 奇跡のカプセル、再び地球へ

所惑星への3回の接地で採取した砂粒である粒子は、かぷせるでちきゅうにもちかえる。はやぶさとは異なるものにしたかったが、開発時間が足りずはやぶさと同じ形状になったという。このカプセルは、時速4万3000�劼箸いμ埖�度で大気圏に突入するため「畳半畳に電気ストーブ15.000台」総統という超高熱を受ける。それに耐えるにはかなりの大きさが必要だが、重量はわずが約20kg。これほど小粒の再突入カプセルは宇宙開発史上の常識破りで、NASA垂涎の日本の宇宙技術力の結晶だ。


『週刊現代』12.6


2014年12月11日(木) 老後破産 ��

「破産する人」「しない人」ここが分かれ目だった

「一人暮らしの男」が危ない

誰にでも襲いかかるかもしれない老後破産の恐怖。どんな人が貧困状態に陥りやすいのか。高齢者問題に詳しい正徳大学福祉学科教授・結城康弘氏と、生活困窮者への支援を行なっているNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝則氏に聞いた。
        
          ★

■私が代表理事を務めているNPOでは、生活困窮者の相談を年間300件ほど受けていますが、そのうち半数が65歳以上の高齢者で、しかも一人暮らしの男性なんです。もともと独身で天涯孤独の人だったり、離婚してしまった方だったりと事情はさまざまですが、誰にも相談できず貧困状態のまま我慢して暮らしてきて、「いよいよ」という状態になって初めて我々のところへ来られる。

○女性よりも男性の方が、老後破産しやすいという傾向にありますね。

■女性の方がコミュニケーション能力が高いので、比較的早めに相談に来るんです。男性の場合、逞しく、強くなければという意識の強い人が多い。まずいのは誰にも相談できず、自分だけでなんとかしようとするケースです。最悪の場合、孤独死とか餓死という状態になってしまいます。

○収入についてみてみると、まず国民年金だけでは生活するのは困難です。国民年金は定年のない自営業者のための年金で、本来なら65歳以上になっても働き続けながら年金を受け取るとか、高齢者は子供世代に扶養されつつ年金を受け取るという前提で制度設計がされています。しかし実際にはそんな悠々自適な自営業者ばかりではないし、65歳以上になって新たに就労するのはまず無理でしょう。では子供や親族に頼れるかというと、様々な事情から家族と絶縁状態にある人もいるし、子供自体が貧しくて親の面倒を見られないという場合もあります。

■そうですね。高齢者が頼れる子供世代は、いまは雇用者の約3割が非正規雇用ですから、ワーキングプア状態の人が多い。夫婦と職探し中の息子の3人暮らしで収入は夫婦の年金10万円だけ、なんていう家庭もあるぐらいです。そのため胡どの世話になるどころか、定年後も子供の学生時代の奨学金の返済に追われていたり、息子の自動車ローンを払っていたりして貧困状態になっている高齢者も多いんです。子供世代の貧困問題を親世代が被ってしまっているんですね。自分自身は大丈夫だと思っていても子供が自立していない、というのも破産の原因になるんです。

○国民年金や無年金の人だけではなく、サラリーマンで厚生年金をもらえる人でも困窮する人は少なくないはずです。

■以前、相談にのったおじいちゃんは65歳までの40年間、町工場で働き続けながらコツコツ貯金していました。引退後は「貯金もあるし、年金も入って来るから大丈夫だろう」と思っていたけど、75歳くらいから貯金が目に見えて減り、そのうちアパートの家賃が払えなくなって、78歳になった時に家賃滞納を理由にアパートを追われてしまったんです。

○決して贅沢をしていたわけではなくても、気づいたら貯金が目減りしていたということはあり得ます。定年後は、収入は確実に下がるわけですから、現役時代と変わらない生活習慣を続け、生活のレベルを下げられない人。これも破産に陥る一因でしょう。

■うまくやりくりしていけると思っていても、実際に年金が支給されると、「これだけ安とは」と驚く人が少なくないんですね。このように中小企業のサラリーマンはもともと給料が低いので、現役時代の報酬に比例する年金支給額も少ないのです。

プライドが邪魔をする

○謝意の高齢化は急ピッチで進みますから、このままでは社会秩序が崩壊しかねません。実際、貧困から来る高齢者の犯罪も増えていますからね。

■そうですね。高齢者の犯罪の増加は肌身で感じていますが、多いのは万引きですが、やはり貧困が原因になっている者が圧倒的です。万引きする商品も弁当三つだったりしますから、明らかに生きるために盗んでいる。もう一つ増えているのが無銭飲食です。牛丼店やカラオケボックスで大量に食べ、支払いの段になったら「警察を呼んでくれ」と。万引きは窃盗罪、無銭飲食は詐欺罪になりますが、初犯だと逮捕されても罰金形で釈放されることがほとんどです。でも、貧困状態のままだと同じことの繰り返しになる。そのうち裁判所も「もう社会の中で生活できない」と判断しますから、刑務所に入ることになる。しかし、半年、1年と刑務所生活が続くと、出所した時に帰るアパートもなくなってしまう。そこから生活を再建するために必要なコストが一層増えることになるんです。

だから貧困問題というのは早期発見、早期介入が原則なんですが、難しいのは外見からは困窮しているのか否かを見分けることができないことです。最近は衣料品も安いので、貧困層の人でも見た目はこざっぱりしている人が多い。背広を着ていながら「じつはネットカフェで寝泊まりしています」という高齢者もいますからね。

○だけど、本当は高齢者の貧困問題というのは存在しないはずなんです。なぜなら。事実上就労が困難である65歳以上で貧困状態にある人なら、生活保護を受けられるんですから。

■本当にその通りだと思いますけど、問題は二つあります。一つは彼らが持っているプライド。特に高齢者に多いのは、他人の世話になってはいけないという道徳観が根強くある。「生活保護で受給者となるのは恥だ。お上の世話にはなりたくない」と思う人も多いですし、身近な人にも頼れない。だけど、そのままでは生活が破綻するし、なかには栄養状態が悪化して健康を損なう人もいる。

○私は若者の貧困問題は、当事者の甘えも半分はあると思っているんですが、お年寄りに限っては、生活保護の受給は権利であるという認識がもう少し必要だと思います。そうしないと憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」が保てません。

■老後破産のもう一つの問題は、窓口となる福祉事務所の対応です。

○わざと生活保護を受けさせなかったり、いい加減な職員が門前払いしているのが実実態ですからね。

■ええ、持ち家のような資産を持って人の場合、扱いが非常に厳しくなるんですね。相談に来られる方というは、古くてボロボロになった家に住んでいる人が多いんですが、自宅を売却しようと思っていもおそらく買い手はつかないような物件です。それでも役所では「生活保護は資産を売ってからです」と言うところがまだまだ多い。

○本来、ローンがなくて資産価値が一定基準以下で、生活に利用している持ち家であれば売却する必要はありません。

■そうなんです。いま住んでいるところに住み続けながら生活保護を受けましょうという方向に国の政策は動いているんですが、福祉事務所の現場では「資産を売却してから」という説明が、まだまだまかり通っているんです。世の中にも「家や車を持っていると生活保護は受けられない」という誤った情報が広まっているので、事前に諦めてしまうお年寄りも多いんですよね。



■結城康弘 淑徳大学福祉学部教授 社会福祉士、ケアマネージャー、介護福祉士として地方自治体に勤務した後に現職。近著に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)など

○藤田孝典 生活困窮者の支援活動を行なうNPO法人ほっとプラス代表理事。反貧困ネットワーク埼玉代表なども務める。著書に『ひとりも殺させない』(堀之内出版)など


『週刊現代』10.11


2014年12月07日(日) 老後破産 ��

友達もいなくなくなり

前出の番組で紹介された破産の当事者の姿は衝撃的だった。番組の冒頭、カメラは東京都港区のアパートに住む田中誠さん(仮名/83歳)のもとを区の相談員と訪れる、。全国的に見て高齢世帯のうち単身世帯の割合が高い港区では、孤立対策として聞き取り調査を行なっている。カメラに映し出されたのは、ゴミ屋敷になる一歩寸前までモノが散乱し、足の踏み場もない一室。そこで田中さんは小さく縮こまっている。痩せていて、顔に覇気がない。心配した相談員が尋ねる。

―暮らしぶりはいかがですか?
「贅沢はできないねぇ」
―もしかしたら電気を止められていませんか?
「そのままにしています。夕飯の支度をする時はガスの炎を頼りにすれば、なんとか調理できるよ」
―ちゃんと食べれていますか?
「こういう時が来るんじゃないかと思って、ヒヤムギを買い置きしておいたんだ。それでなんとか助かっているよ……」
田中さんの頼みの綱は、会社員時代に払った厚生年金を含めた月10万円の年金収入だ。家賃6万円を引けば、4万円しか残らないため、一日500円以下の切り詰めた生活を送っている。

田中さんは、特に変わった経歴の持ち主というわけではない。ビール会社で正社員として23年間働いたのち、40代半ばで独立し、飲食店の経営を始めた。だが、赤字が続いて倒産し、退職金も使い果たした。田中さんは番組スタッフに一枚の絵を見せた。黒い背広を着て、口ひげを生やした男性の肖像画。絵が趣味だった田中さんが「社長となった自分老後」を想像して描いたものだ。「まさか現実がこんなことになるとは夢にも思っていなかったね」

絵を見つめ、こうつぶやく田中さんに今の生活で何が一番辛いか、と番組のスタッフが尋ねる。「友達がいなくなったことだね。貧しさを知られたくないから、付き合いを避けてしまった」年金支給日の前日、食べ物を買うカネも尽きた田中さんは、部屋で横たわったまま動かない。「やることはすべてやったんだから、早く死にたいというのが正直なところです。でも自殺するわけにもいかないしね。今抱えている不安をなくすためには、死んじゃったほうがマジだ…」

彼らは決して特異なケースではない。普通のサラリーマンであっても老後破産状態に陥る可能性はある。そう警笛を鳴らすのは山田知子放送大学教授だ。「たとえ大企業の部長職まで出世した人であっても、老後破産と無縁というわけにはいきません。住宅ローンを退職金で払い終えたら、残りの金額は心もとないという方は多いのではないでしょうか」当然中小企業のサラリーマンはもっと危険で、年金収入に頼る状態では、いわば薄氷の上を歩いているようなものです。親の介護や子供の就職失敗など想定外の出来事で、当初の予定が容易に崩壊するからです」

多くの人は、何をきっかけに破産に追い込まれるのか。まず直面するのが自身の健康問題だ。西垣千春神戸学院大学教授が解説する。「高齢者にとって、健康問題は避けることはできません。それまで元気でも急に1人で歩けなくなる人もいますし、90歳を超えるとおよそ半数が認知症になると言われています。家族を家族と離れて暮らしていれば、健康の変化がなかなかわからない。そのため、周りの人が気づいた時には、破産に至っていたというケースは決して少なくありません」

子や孫には言えない…

実際、本誌が取材した中で次のような事例があった。愛知県に住む浅田隆さん(仮名73歳)は卒業後、警備会社に就職し、定年後も再雇用制度を利用働き続けていた。しかし、腰痛が悪化して欠勤の日が増え、会社にいづらくなり、2年で自主退職した。以来、退職金と年金収入のみで暮らすようになる。そんな浅田さんが破産に至るまで10年もかからなかった。浅田さんを保護したNPOの担当者が語る。「浅田さんの場合、腰痛の治療費に加え、退職後しばらくしてから軽度でしたが、認知症を発症したしたのが、破産に至った大きな要因でした」

浅田さんは妻を60歳の時なくし、子供も離れて暮らしていたため、誰も苦境に気付かなかった。「息子さんも盆や正月に帰省した時に『少し金遣いが荒くなった』とは感じていたそうですが、『やっと退職したんだから自由にさせてあげよう』と放っておいたそうです。しかし判断力の低下による無駄遣いや保険の使えない鍼治療などで、あっという間に退職金は底をついてしまった。食うや食わずの生活をしていた浅田さんが万引きで捕まったときに、私たちの団体に引き渡されて、破産がやっと発覚したんです。

捕まった時も『子供や孫に恥ずかしいから言わないでくれ』と懇願されましたが、連絡を取りました。面会に来た息子さんに対して、『たった10年でどうしてこんなことに…』と嘆いていました。

破産に至るきっかけは、病気だけではない。頼りになるはずの子供たちもリスクになりうる。神奈川県にする小野宏さん(仮名/69歳)は、都内の建設設計事務所の正社員として定年まで勤め上げた。現役時代は、よく働きながらも同僚と飲んだりと、サラリーマン生活を謳歌していた。退職時には、退職金を含めて2500万円ほどの貯金と、株券や保険などを合わせて総額4000万円ほどの資産があった。小野さんが語る。

「家は持ち家だし、庭の畑で野菜を作っているし、生活費は光熱費とガソリン代、そして趣味のゴルフや付き合いの飲み代ぐらいなものでした。二人の子供たちも独立しており、何年も前にローンは完済。今まで懸命に働いてきた分、『さあ、これから老後を楽しもう』と暢気に考えていました。そんな小野さんが「いまほど苦しい時期はない」と語るようになるまでに、何が起こったのか。小野さんが続ける。

「きっかけは、すでに独立し家庭を持っていた息子が起こした交通事故でした。100%こちらに責任のある事故で、相手は障害を負ってしまいました。しかも、運の悪いことに息子は1ヵ月前に保険が切れていたんです。医者利用に1000万円、相手に治療代や入院費、障害が残ったことで必要になった家の改築費など、総額で5000万円も相手から請求されました。これをすべて払わないといけない。裁判をしても仕方ない。息子の過失責任は逃れられないと覚悟し、そのまま払うことにしました」

毎月30万円の賠償金を払うため、息子の給料はほぼ天引きされている。子供いる息子家族は住んでいたアパートを出て小野さんの一軒家に同居することになった。小野さん自身も貯金や保険をすべて解約したが、5000万円には到底足りなかった。「大事にしていたゴルフクラブもまとめて売りに行きました。何千万円もしたパターが2000円という悲しくなるほど安いカネしかならず呆然としました。会社時代の仁元関係も、カネがかかるので畳みました。正直なところ、当初は『こんなことがあっていいのか』と、相手をずいぶんと怨みました。ですが、責任を強く感じた息子が、休みの日もトラック運転手のアルバイトをしている姿を見て、私も生きているうちにできる限り助けてやりたいと思うようになり、早朝のチラシ配りのバイトを始めました」

現在小野さんは、チラシ配りに加えて、隣町にあるコインパーキングの管理人のアルバイトもしている。孫を含めた一家5人にとって、小野さんの年金は、大きな収入源の一つだ。「孫に『おじいちゃん!ファミレスに連れて行って』とせがまれても、『いいよ』とはなかなか言えない。貴重な生活費が何日分かとんでしまいますからね。『外食は身体によくないからね』と適当な言い訳をしてなるべく断っています。本当に情けなくなります。これで持ち家でなかったら、さらに悲惨な状況になっていたと考えると、本当に恐ろしい…」

息子の会社が倒産して

小野さんのように持ち家が命綱になる場合もあれば、逆に持ち家が大きな足かせになる場合もある。都内に土地と家を持っていた大八木ハルさん。(仮名/85歳)は、介護が必要なうえ、持病の心臓病の不安もあり、40代の息子夫婦と同居することを決めて、千葉の高級住宅地に二世帯住宅を購入した。息子と八木さんの二人の名義で住宅ローンを組み、子供に見守れながら老後を送るはずだった。だが、これが破産への引き金となった。大八木さん一家の相談を受けた、ケアマネージャーオフィス「ポケット」代表の上田博美氏が語る。

「毎月20万円のローンを組んだのですが、息子さんの勤めている会社が不況のあおりを受けて倒産するという不運に見舞われたんです。大木さん預貯金をローンの返済に充てたのですが、おかげで老後のために取っておいたお金はゼロに。それでも足りずにお嫁さんも働きに出ています。大木さんはひと月140万円近くかかる介護サービスを受けています。心臓病だけでなく、認知症もあるのでもっとサービスも必要なのですが、家計の都合もあって満足に受けられない。生活保護を受けてもいいくらいの水準です」

意外に知られていないことだが、住宅ローンがあると生活保護を受けることができない。というのも、その状態で生活保護を受けると税金で個人の資産を形成していることになってしまうからだ。上田氏が続ける。「生活保護を受けるために世帯分離という方法もあるのですが、この年で家族と離れて暮らすのも厳しいでしょうし、ご本人も 『オカミの世話にはならない』といっています。大木さんのようにプライドがあって、『施しは受けない』『世間さまに申し訳が立たない』という人は多いですね」

前出の香川さんたちのように、だれにも頼れず、自らカネに困っていることを声に出せない人だけではない。大木さんのように、家族と同居していてさえ、破産の危機と無縁というわけにはいかないのだ。大木さんは別れ際、大きなため息をつきながら次のように答えた。「こんなに長生きするなんて思ってもみなかった。もっと早くコロリと逝くはずだったのに、85歳にもなってこんなに苦労する目に遇うなんて……」これが老後破産に陥った多くの人の本音だろう。超高齢化社会が生んだ厳しい現実は、あなたのすぐそばにまで迫っている。


『週刊現代』10.11


2014年12月02日(火) 安倍「官房機密費」6億3000万円は闇に消えた ��

記者クラブこそ「特定秘密保護クラブ」である。

機密費は特定秘密費か

私は記者クラブの個別の記者に一切恨みはありません。それでも私が今回の法案成立に関してメディア報道を醒めてみてしまうのには理由があります。それはメディアがほとんど報じてこなかった官房機密費のことです。官房機密費は、官房長官の裁量で使途を明らかにせず使える予算で、歴代政権で外交や国会対策などに使われてきた経緯があります。その官房機密費のもう一つの役割が、メディア対策です。日本には本来は権力を監視すべき側のメディアが、機密費という事実の「賄賂」を受けている悲しい過去があったのです。

私は2010年5月から『週刊ポスト』誌で「官房機密費マスコミ汚染疑惑」の告発キャンペーンを行ないました。盆暮れに100万円単位の金額が届けられていた政治評論家などのリストを入手し、新聞・テレビなどの記者にも現金・宴会代・ワイシャツの仕立て金などさまざまな形で機密費が配られていた実態を明らかにしました。だが、この疑惑を追い、質問に回答したメディアは機密費の使途公開について報じることに消極的で、そればかりか、そうした報道を志向する者を次々に排除していくのでした。100%国民の税金が原資である官房機密費については、その透明性をめぐって使途の公開に関する議論が続いており、市民団体による使途公開を求める訴訟も続いています。

私自身は、外交防衛の安全保障に関する使途については公開する必要はないと考えていますが、本来、情報公開を求める記者クラブの側が、この問題に触れようとしないのはあまりにも不自然だと思っています。安倍政権は、2013年6月、政権発足半年で6憶3000万円の機密費を捻出したと発表しています。歴代政権を踏襲した形ですが、これだけの税金の使途につていはほとんどスルー(無視)を決め込んでいるメディアの姿勢を私はどうしても理解できないのです。

追求しようとすれば、自らが賄賂を受けた疑惑に触れざるを得なくなるからでしょうか。このままでは安倍政権でも機密費はタブーのままで終わることになるでしょう。今回、首相官邸は官房機密費の特定秘密保護法案における位置付けにつて、〈「人的情報源に関する情報」である情報提供者の氏名以外の情報については、特定秘密の保護に関する法律別表に掲げられている事項に該当しうるものはない〉と言い、使途の公開についても、〈内閣官房報償費(機密費)の機能の維持に最大限留意しつつ、どのように透明性を高めていくかという観点から検討してまいりたい〉と答えるに留めています。実は、官房機密費こそが、政権ではなく「官報複合体」にとっての最大の特定秘密なのかもしれません。


『週刊ポスト』1.1 上杉隆


加藤  |MAIL