加藤のメモ的日記
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| 2014年10月31日(金) |
朝日新聞の「慰安婦問題を考える」を検証する �� |
慰安婦報道がどのように日韓関係を歪め、日本の立場を貶めたのか。朝日新聞の慰安婦報道の2日間の特集は、その部分に関する検証が欠落している。日韓関係悪化の原因はもちろん朝日新聞だけでなく、慰安婦支援団体や韓国側の動きにもあった。だが、朝日新聞の一連の報道は慰安婦支援団体に勢いを与え、運動を正当化させた。そうした点を検証しないのはおかしいのではないか。点検であって検証ではなかったといえる。
吉田清次氏の証言を虚偽として取り消し、挺身隊と慰安婦の混同を誤用と認めたのはよいことだとは思う。だが、吉田証言は本来、吉田氏にデータ提供や面会を拒まれた段階で新聞社として明確に疑問を呈すべきだった。挺身隊と慰安婦の混同についても、当時は戦時中を知る人たちが大勢いたのだから、そうした人たちに聞けばよかった。「参考資料にも混同がみられた」と説明するが、それでは記者はいったい何をしていたのか。
結局、「騙された」「騙したほうが悪い」とすべて他人のせいにしている。それでは相手の言うことを鵜呑みにして記事を書いているのか、ということになる。かえって読者の信用を落とすのではないか。のちに「元慰安婦が強制連行ではなくキーセンに売られた」という話が出たのなら本人に確認して報じればよい。取材の基本動作をしてこなかったことを自ら明かしてしまったに等しい。ある意味では衝撃を受けた。
産経新聞など他紙も吉田証言を取り上げたり、挺身隊と慰安婦の混同があったことも指摘しているが、「他の人も同じことをやりました」というのは、報道の世界では通用しない。自分たちが日本の報道を引っ張っているという自負心があるならば「他紙はどうだ」とは書けないはずだ。「朝日新聞にそういう自負心や誇りはもうないんだな」と感じてしまう。
一般商業紙は政党機関紙とは違う。裏付けもしていない記事が新聞に出ているんだと、読者に誤解させたことは業界全体にとっても大きなマイナスだ。朝日新聞だけでなく新聞という媒体の価値を貶めることにもつながってしまったのではないか。
元朝日新聞ソウル特派員 前川恵司
『産経新聞』
| 2014年10月29日(水) |
朝日新聞の「慰安婦問題を考える」を検証する �� |
世界に広げられた慰安婦問題の解決法には二つのルートしかないと考えてきた。一つは、政府による河野談話の撤廃であり、もう一つはこのプロパガンダの製造・普及の責任主体である朝日新聞社が報道の誤りを認め、公表し、謝罪することだ。このたび、朝日新聞は自社の慰安婦報道の核心をなす3点の誤りをついに認めるに至った。すなわち
�^岼舵悗魘�制連行したとする吉田清治証言を「虚偽」だと判断し、記事を取り消した。 �⊇�性を戦時動員した女子勤労挺身隊と慰安婦を同一視した記事の誤りを認めた。 �D�鮮や台湾では「軍などが組織的に人さらいのように連行した資料は見つかっていません」と認めた。以上この3点である、
実に画期的なことだ。これによって”慰安婦強制連行説”は完全かつ最終的に崩壊した。残るのは「戦地にも遊郭があった」という単純な事実だけである。世界中のどの国も軍隊も将兵の生処理システムを持っていた。日本の慰安婦制度は戦場での敵国女性の保護、将兵の性病予防、という二つの目的を果たす模範的な制度だった。ところが、朝日新聞は8月5日付1面に杉浦信之編集担当の「慰安婦問題の本質直視を」と題する論文を掲載し、「私たちはこれからも変わらない姿勢で、この問題を報じ続けていきます」と宣言した。これでは元の黙阿弥となる。
一体何が問題なのか。論文は「軍の関与の下でアジア各地に慰安婦が作られ、女性の尊厳と名誉が深く傷つけられた」ことが問題も本質だと主張する。女性の尊厳と名誉なる文言は河野談話からとったのだろうが、慰安婦があったことが本質だというのだから話にならない。
付け火して煙を喜ぶ朝日新聞。朝日報道への批判は燎原の火のごとく広がっている。今回の異例の検証は、朝日新聞社のコアな読者層にまで広がったことへの危機感の表れではないか。だが、朝日は根本的な路線転換を避けている。まるで白旗を掲げつつ進軍ラッパを吹くかのような、愚劣で許し難い挙に出たのである。検証記事も詭弁と卑怯な言い訳に満ちている。朝日新聞はその代償を払わされることになるだろう。
拓殖大学客員教授 藤岡信勝
『産経新聞』10.21
| 2014年10月23日(木) |
朝日新聞の「慰安婦問題を考える」を検証する �� |
強制連行に関する検証も、朝日は平成3〜4年ごろは自明の前提として報じており、、平成4年1月12日付の社説「歴史から目をそむけまい」では「『挺身隊』の名で勧誘または強制連行」と断じている。その後、強制連行説の雲行きが怪しくなってくると、徐々にトーンを弱め、「強制連行の有無は関係ない」というふうに変えていった経緯があるが、そうした事情も説明していない。
今回の特集では「読者の皆さま」に「軍などが組織的に人さらいのように連行したことを示す資料は見つかっていません」と言いながらこうも書く。「インドネシアや中国など、日本軍の占領下にあった地域では、兵士が現地の女性を無理やり連行し、慰安婦にしたことを示す供述が、連合軍の戦犯裁判などの資料に記されている。インドネシアでは現地のオランダ人も慰安婦にされた」兵士の個人犯罪や、冤罪の多い戦犯裁判の記録を持ち出しなおも「日本の軍・管憲による組織的な強制連行」があったかのように印象操作していると受け取られても仕方あるまい。「軍関与示す資料」とは、朝日新聞が平成4年1月付朝刊で大きく展開した記事「慰安婦 軍関与示す資料」を指す。
政府の河野談話の作成過程検証チームは6月20日、この「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」と事実ではないことを書いた記事についてこう指摘した。「朝日新聞が報道したことを契機に、韓国国内における対日批判が過熱した」ところが、朝日新聞の5日の特集では、自社の報道が日韓関係を悪化させたという認識は欠落している。朝日が繰り返し取り上げたことで、吉田証言が韓国でも広く知られるようになり、それが対日感情を悪くしたことへの言及もない。
6日付の特集では、わざわざ1ページを割いて「日韓関係 なぜこじれたか」と題する解説記事を載せたが、ここでも自社の報道が両国関係をこじらせたことへの反省は見られない。「元慰安婦 初の証言」は、元朝日記者の植村隆氏(今年2月退社)が3年8月11日付け朝刊で書いた「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口を開く」という記事を指す。
韓国メディアより先に初めて韓国人元慰安婦の証言を伝えたもので、これも「母に40円でキーセン(朝鮮半島の芸妓)に売られた」と別のインタビューなどで語っている金学順氏について「『女子挺身隊』の名で戦場に連行」と記している。この誤った記事が慰安婦問題に火が付いた大きなきっかけとなったが、朝日は検証で「意図的な事実のねじ曲げなどはありません」と非を認めなかった。少なくとも事実と異なることを流布させたのだから、せめて謝罪や訂正があってもしかるべきだが、それもない。
6日付の特集は「米国からの視線」と題し2人の米国人識者のコメントも載せたが、2人とも朝日新聞の慰安婦報道に触れていない。無意味ではないか。問題点は他にもある。朝日新聞は「他紙の報道は」という欄を設け、産経、読売、毎日各紙もかって吉田証言を取り上げたり、慰安婦と挺身隊を混同したりした例もみられたと指摘した。「お互いさまじゃないか」と言わんばかりなので、朝日新聞の9年3月31日付の慰安婦に関する社説「歴史から目をそらすまい」を引用したい。
「他の国は謝っていないからと、済まされる問題でもない」朝日新聞の慰安婦報道により国際社会で日本の評価がどれほど不利益を被ったか。今後も検証していかねばならない。
『産経新聞』10.21
| 2014年10月21日(火) |
朝日新聞の「慰安婦問題を考える」を検証する �� |
朝日新聞が8月5日、6両日に掲載した特集「慰安婦問題を考える」はいくつかの視点の欠落があり、検証というにはあまりにも不十分な内容だった。朝鮮人女性を強制連行したと証言した自称・元山口県労務宝国会下関支部動員部長、吉田清次氏の証言に関する記事16本を取り消したのはよいが、その他の論点に関しては自己正当化や責任転嫁、他紙の報道をあげつらう姿勢が目立つ。歴史を直視しようとしない朝日新聞の報道姿勢に改めて疑念を抱かざるを得ない。5月19日、北九州市内のホテルで、朝日新聞西部本社のOB会が開かれた。OBできた九州在住の伊東毅氏は手を挙げて来賓に招かれた木村伊療社長にこう訴えた。「慰安婦と女子挺身隊の混同、吉田清次氏の嘘の2点については訂正、削除して朝日の名ではっきり示してほしい。それを何としてもやるべきではないか」
木村社長は「貴重なご意見をいただいた。詳しいことはここでは言えないが、いずれ検証したい」と応じたという。この出来事は、朝日新聞社内でも、自社の慰安婦報道に問題があることが認識されていることを物語っている。にもかかわらず、2日間にわたる特集に謝罪の言葉はなく、言い訳に終始した。
5日の特集では、見開きで「慰安婦問題 どう伝えたか 読者の疑問に答えます」と大見出しを打ち、「強制連行」「済州島で連行 証言」「軍の関与示す資料」「挺身隊との混同」「元慰安婦の初の証言」の5つのテーマを検証している。ところが虚偽と断じて記事を取り消したのは、吉田氏による強制連行に関わる証言だけだった。挺身隊と慰安婦の混同については「まったく別」で「誤用」と認めながらも、当時の研究の乏しさを理由に釈明を重ね、「1993年(平成5年)以降、両者を混同しないようつとめてきた」とむしろ胸を張った。
果たしてそうなのか。朝日新聞の4年3月7日付のコラム「透視鏡」ではこう記している。「挺身隊と慰安婦の混同に見られるように、歴史の掘り起こしによる事実関係の正確な把握と、それについての日韓両国間の情報交換の欠如が今日の事態を招いた一因」つまり、この時点で挺身隊と慰安婦が全く別の存在だと把握しながら、自らの誤用を認めることも、訂正することも拒んできたことになる。
産経新聞が今年5月、朝日新聞広報部を通じて、慰安婦と挺身隊の混同や強制連行報道について「今もなお正しい報道という認識か」と質問したところ、こんな回答を得た。「従軍慰安婦問題は最初から明確な全体像が判明したという性格の問題ではありません。(中略)お尋ねの記事は、そのような全体像が明らかになっていく過程のものです。当社はその後の報道の中で、全体像を伝える努力をしています」初めは全体像がわからなかったから、間違いを書いても訂正しなくてもよいといわんばかりではないか。しかも、今回の特集まで朝日新聞に慰安婦問題の「全体像を伝える努力」はうかがえなかった。
今回取り消した吉田証言についても、5月の段階で「訂正する考えはあるか」と質問したところ、次のように答えている。「弊社は1997年(平成9年)3月31日付朝刊特集ページで、証言の真偽が把握できないことを詳細に報じ、証言内容を否定する報道を行なっています」事実はどうだったか。9年3月の特集ページでは、吉田氏について「朝日新聞などいくつかのメディアに登場したが、間もなくこの証言を疑問視する声が上がった。済州島の人達からも、氏の著述を裏付ける証言は出ておらず、真偽は確認できない」と記しただけである。
吉田証言を16本者記事で取り上げておきながら「真偽は確認できない」の一言で済ませ、「証言内容を否定する報道」を行なったとはいえない。むしろ過去の記事の過ちを糊塗しようという意図が浮き上がる。今回の特集でも、自社が吉田氏のどの証言をどう取り上げてきたかについてはほとんど触れていない。これでは何の事だか分からない読者も少なくないだろう。
『産経新聞』10.21
| 2014年10月14日(火) |
世界が見た安倍政権 �� |
「水割」みたいな薄い議論
フランスの「フィガロ」紙東京特派員のレジス・アノール氏も、朝日新聞を巡る今回一連の騒動に唖然としたという。
「今回の朝日叩きは、政府によるメディアリンチですよ。これは大罪です。そのうち、『慰安婦を組織したのは朝日新聞だった』などと言い出すのではないでしょうか。それくらいバカげたことをやっていると思います。今回の騒動で思い出すのは、1997年に話題になったアイリス・チャンの遺作『ザ・レイプ・オブ・南京』の騒動です。あの時、日本の保守派の政治家たちは次のような詭弁を弄しました。『この本に書いてある内容は、間違いだらけである。ゆえに南京大虐殺の証拠にはならない。ゆえに南京大虐殺は存在しなかった』いまの日本の右傾化した政治家たちにも、同様の詭弁が見られるのです。『朝日新聞は、慰安婦問題に関して間違った報道をした。ゆえに慰安婦に対する日本軍の関与を、日本政府が認めた1993年の河野談話は間違っていた。ゆえに日本軍は慰安婦に関して関与していない』こんな論理がまかり通って要わけがありません」
アルノー特派員は、朝日新聞の「誤報の功罪」についても言及する。 安倍首相をはじめとする日本の右傾化した政治家たちは、『朝日新聞は国際社会における日本のイメージを損ねた』と声高に叫んでいますが、事実は正反対です。仮に日本のメディアが、産経新聞のように報道してきたなら、今頃日本は国際社会において、世界のどの国からも相手にされなくなっていたでしょ」
ドイツの『エナジー&マネジメント』紙でアジア問題を担当するカテリーナ・オッセン記者も辛辣だ。「朝日新聞の問題によって、日本のリベラル勢力が衰退していくことは、日本人にとって不幸なことです。なぜなら、リベラル勢力の衰退によって、安倍政権はその勢力のほとんどを、日本を右傾化させることに費やしているからです。その結果、日本経済は停滞し、アベノミクスは、今やEUで笑いものになっています。米オバマ政権は多くの批判を受けながらも、アメリカの株価を史上最高値に持って行きました。それに比べて安倍政権は、日経平均を過去の最高値の半額にさえ持っていっていません。それでも今後、消費税を10%にして、日本経済をさらに停滞させようとしているのだから、言葉もありません」
前出のアルノー特派員が続ける。「朝日新聞を巡る議論を見ていると、日本全体が日本人が好む『水割り』のようになってきていると感じます。それくらい『薄っぺらい議論』なのです。思えば、右派と左派が健全に口角泡を飛ばしていた時代、日本は政治的には民主主義が成熟し、経済的には人類史上の奇跡ともいえる発展を遂げました。ところが今の日本は、左派の瓦解によって、半身不随の状態にあります。脳の半分しか使っていないのです。右派は反対意見に耳を傾けることもなくなり、日本の民主主義は危機を迎えています」
こうした世界の識者たちの声に対し、「安倍政権は良くやっている」「悪いのは朝日新聞だ」と反論する人も多いだろう。だが、そうであったとしても我々日本人が考えている以上に世界が日本を、急速に見放しつつあるということだけは知ってほうがいい。
『週刊現代』10.11
| 2014年10月13日(月) |
世界が見た安倍政権 �� |
東京・築地の朝日新聞本社内に支局がある『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー東京支局長も、安倍政権の激しい朝日攻撃に、眉をひそめる一人だ。
「周囲の朝日新聞の記者たたちは、今やすっかり意気消沈していますが、逆に朝日問題にかこつけて、言いたい放題なのが安倍政権です。朝日の報道がウソだったからといって、慰安婦問題自体がウソだったことにはなりません。そもそも慰安婦問題で世界が日本を批判したのは、朝日の報道によってではなくて、元慰安婦の女性たちが証言を始めたからです。韓国ばかりかフィリピン、オランダ、オーストラリアからも同様の証言が出てきています。朝日を執拗に非難する安倍政権や右派の人々と、世界との乖離を感じます」
テンプル大学ジャパンのジェフリー・キングストン教授が証言する。「いま日本で起こっている状況は、報道問題というより政治問題です。安倍首相と保守派が。国家アイデンティティーを再定義したいがために、朝日に対して政治闘争を仕掛けているのです。朝日の慰安婦報道で問題になった『吉田証言』は、極めて古いものであり、朝日新聞が最後にこの件を取り上げたのは、15年以上も前のことです。安倍首相が率先して行なっているようにも見受けられる今回のヒステリックな朝日叩きによって、日本の国際的イメージは、恥を晒すことになっていると映るからです。
例えば、ドイツは過去の残虐行為に対して十分な補償を行なったからこそ、威厳を取り戻すことができました。今の日本で、日本の威厳に泥を塗っているのは朝日新聞ではない。過去の日本軍の蛮行を否定したり、矮小化しようとしている人々だということを、日本人は自覚すべきです」
第二次大戦も否定する気か
日本在住のアメリカ人ばかりか、アメリカ国内でも、今や「安倍首相の朝日批判」は、異常事態と受け止められている。ワシントンの著名な政治ジャーナリストのクリス・ネルソン氏が警笛を鳴らす。「私は1967年から、ジャーナリストとして政権とニュースメディアとの関係を注視してきましたが、今回組織的な朝日叩きのようなことが起きたときは政治が危機になる時です。ヒステリックな朝日批判が、日本政府のトップレベルから発せられていることが問題なのです。
ワシントンから見ていると、安倍首相は朝日を批判することで、従軍慰安婦問題そのものを無きものにしようとしているように映る。それによる国際社会の日本に対するイメージ 悪化を考えると、日本は早く次の健全な首相の登場を待つべきかもしれません。実はオバマ大統領も、慰安婦問題を非常に重視しています。4月に訪韓した際にも、『日本政府に正しい歴史認識と誠実さを求める』と、はっきり述べています。今回の朝日新聞問題でも、ホワイトハウスは安倍政権を『信じられない』という目で見ているのです」
ノースカロライナ州のウェクフォレスト大学で日本近現代史を教えるロバート・ヘリヤー教授も日本を憂える一人だ。「最近私のもとにある人から、朝日の誤報騒動によって、米日関係にも重要な悪影響が出るように思います。それは安倍政権と日本の保守派が、朝日新聞を攻撃することにより、第二次世界大戦における日本軍による殺戮行為そのものを否定しようとするのではないか、という危惧を抱かせるからです」
米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー副所長も同意見だ。「今回のヒステリックな朝日叩きは、日本における言論の自由の危機、デモクラシーの危機、歴史的事実の危機という三つの危機を露呈させました。今の日本で起こっているのは、ずばり『言論テロリズム』です。そのうち、安倍自民党の一党独裁国家になってしまう危険性を孕んでいます」
ヨーロッパでも同様に、安倍政権の右傾化に対する危惧が広がっている。ドイツ高級紙『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の元東京特派員で、ロンドン在住ジャーナリストのバーバラ・オードリッチ氏が、EUから見た日本への不安について語る。「朝日新聞は、原発と戦争責任という非常に重要な二つの問題を提起したわけで、方向性は誤っていなかった。なぜなら、福島原発も戦争責任もこれまで日本政府が隠蔽してきたことで、朝日はそれらの追及を行なってきたからです。それを安倍首相は、右翼的発言で封殺しようとしている。
安倍首相が唱える愛国主義と、EUで盛り上がったスコットランドやカタロニアの独立運動とは、一見すると似た潮流に見えますが、実は似て非なるものです。なぜなら、安倍首相の愛国主義は、日本国民の広範なコンセンサスを全く得ていないからです。安倍首相は『積極的平和主義』を唱えていますがEUから見れば『積極的右翼主義』にしか見えません。EU市民が安倍首相に評価を下すなら、ABEの頭文字の『A評価』ではなく、最後の文字の『E評価』(不可)です」
『週刊現代』10.11
| 2014年10月11日(土) |
世界が見た安倍政権 �� |
ところがここにきて、にわかに潮目が変わってきたのである。在来25年のジャーナリスト・飯塚真紀子氏が解説する。「そのきっかけは、朝日新聞の慰安婦問題と原発問題に関する訂正記事の一件でした。確かに朝日新聞に非はあったと思いますが、その後、安倍政権が後押しする格好で、ヒステリックなまでの朝日叩きが日本で展開された。それによって国際社会はますます右傾化していく恐ろしい安倍政権というイメージを強くしはじめたのです。」
だが、当の安倍首相は先週、そんな世界の空気を察することもなく、意気揚々とニューヨーク外交に明け暮れた。9月22日にはコロンビア大学を訪れ、アメリカ人学生たちの前で自慢げに語った。「ニューヨークは、私がかってサラリーマン時代に勤務したことのある懐かしい街です。私の父(故・安倍晋太郎元外相)は、外相時代の3年8カ月間で、46カ国を訪れました。だが私は、今年初めの南アジア訪問で、就任以来の訪問国数が49カ国となり、父の記録を塗り替えました」
また、翌9月23日には、日本貿易振興機構主催の投資セミナーで、アメリカ人投資家たちを前に、次のように豪語した。「アベノミクスは、日本を生まれ変わらせる挑戦です。日本を覆っていた暗い重い空気は変わり始めています。アベノミクスはいよいよ第二章に入るのです」安倍首相の訪米に随行した記者が語る。「安倍首相の現地での演説を傍らで聞いていると、ますます自己陶酔型になってきたのが特徴的でした。我々日本人が聞いていても『そうかなあ?』『本当かなあ?』とも思えるような内容が多かった。ましてやアメリカ人たちは、半信半疑で聞いていたように見えました」
ニューヨークの日系ライオンズクラブ会長のマイク・アイダ氏も証言する。「アメリカ人投資家たちは、ますます右傾化していく安倍は、日本を右翼国家にしていくのではないか。再び戦争の道に走るのかと強い危惧を抱いているのです。しかし、そこに対する首相の解答はなかった」
安倍政権が朝日批判を率先
こうした世界の声を聞く耳を、安倍首相が持っているとは思えない。内閣改造で支持率アップにも成功した安倍首相は、裸の王様よろしく、国内では独裁体制を固めつつあるからだ。首相官邸関係者が語る。『総理は、非常にいい感じで9月29日からの国会を迎えることができた』と、我々に語っています。その最大の理由が、長年の天敵だった朝日新聞を退治したことです。総理執務室では毎朝、秘書が産経新聞を一番上に置いて、朝日新聞を一番下に置くという不文律があります。しかし最近は、朝日の度重なる謝罪記事や左遷人事がよほど楽しみのようで、朝日を真っ先に開いたりしています」
実際、最近の安倍首相は、舌鋒鋭く朝日批判を連発している。朝日新聞が慰安婦問題に関する検証記事を出した4日後の8月9日には産経新聞の単独インタビューで次のように語った。「朝日新聞が取り消した証言について、事実として報道されたことによって2国関係者に大きな影響を与えたわけです。その報道によって多くの人達が悲しみ、そして苦しむことにもなっていくわけです」
内閣改造から3日後の9月6日にも。再び産経新聞の取材に応じて語った。「誤報がどのような結果を招いているか、きちんと分析する必要があります。日韓関係に大きな影響を与えたのは事実だと思います。誤報で多くの人が苦しみ、国際社会において日本の名誉が傷つけられている」だが、皮肉なことに、安倍首相が朝日批判に熱を入れれば入れるほど、海外は日本政府に対する不信感を増幅させるという現象が起こっているのだ。
『ファイナンシャルタイムズ』(9月12日付)は、東京発で次のように報じた。〈日本のナショナリストたちは長年、朝日新聞を歪んだマゾ的な歴史観を伝えていると非難してきたが、その声は、安倍首相のバックを得て、最近さらに大きくなっている。そんな中、安倍首相は、日本の過去の歴史にプライドを吹きこむことを、自らの重要な使命と考えている……〉記事を読むと、朝日は失墜の機に乗じた安倍政権の急速な「右旋回」を世界が警戒している様子が伝わってくる。
『週刊現代』10.11
| 2014年10月07日(火) |
世界が見た安倍政権 �� |
世界が見た安倍政権と、朝日新聞問題
いつの間にやら潮目が変わっていた
日本いたら、気づかないことがある。だが世界の潮流は、日本が思いもよらない方向に傾きつつある。朝日、安倍、慰安婦……。6日間の「ニューヨーク外交」で、その声は安倍首相にも届いたか。
ナチスドイツと同じ
9月18日、ヨーロッパで最も権威のある安全保障問題に関するシンクタンク「国際戦略研究所」(IISS)が『2014年版 戦略概観』を発表した。その中で日本に関しては、次のように厳しい分析が載って、日本の外交関係者を驚かせた。
〈シンゾウ・アベのカムバックにより、特に2013年7月の参院選の勝利後、「ダイナミックな国防体制」〉にシフトしている。国家安全保障局を作り、武器輸出を解禁し、集団的自衛権に関する憲法解釈を変え、自衛隊が戦争できる体制を整えた。昨年暮れには靖国神社にも参拝した。アベの歴史を修正しようとするリスクは、中国や韓国との関係悪化だけでなく、アメリカとの関係もギクシャクさせる要因となっている〉
安倍首相は9月22日から27日まで、国連総会への出席を兼ねて、ニューヨークを訪問した。ニューヨークで安倍首相が世界にアピールしたかったことの一つが、安倍政権が女性の社会進出を積極的に後押ししているということだった。だが、ニューヨーク市立大学名誉教授の鶴見氏は「安倍首相が掲げる女性重視策には矛盾がある」と前置きしたうえで、次のように語る。
「安倍首相はニューヨークで、アメリカ人の女性経営者を集めたりして女性の社会進出をしきりにアピールしていました。しかし、安倍首相が新内閣に抜擢した5人の女性閣僚のうち4人は、河野談話を否定しているのです。これはメルケル政権が、『ナチスの行為は正しかった』と主張する政治家を、4人も大臣に起用するのと同じで、世界は呆れかえっています。私はあまりにあきれ果てたため、『世界の常識』を知らせてあげようと、新内閣発足の10月2日後に、高市早苗総務大臣に宛てて手紙を出しました」
それは次のような文面だった。〈あなたの昨今の言動は、かってワシントンで民主党開明派リーダーのパトリシア・シュローダー女子のもとで、インターンとして思いやりと国際感覚のあった方とは思えません。シュローダー女子も、今のあなたを知ったらお嘆きのことでしょう。とくに「河野談話を否定する安倍談話を」などの言動は、日本の品格と国際信用を傷つけています国際コミュニケ文書では、関係国と文言調整をするのは国際的慣行です、日本の国際信用回復には、帝国日本の過ちの清算が欠かせませんこの第一歩は河野談話の国会決議です、政権党の責任でもあり、安倍晋三総理のイメージ改善にも欠かせません。総理へのご進言をお願いします〉
このように、鶴見教授によれば安倍首相の女性重視のアピールは、まったく逆効果に終わってしまったという。昨年来、安倍政権は中国や韓国と「外交戦」を繰り広げてきた。中国が昨年(2013)11月、かってに東シナ海を防空識別圏を改定したり、今年5月に南シナ海で油田の採掘を始めた際には、国際世論を巻き込んで強く非難した。韓国が昨年6月に、伊東博文初代首相が暗殺されたハルビンに、テロリストの安重根の記念碑を建てるように中国に要請した際にも、強い反対を唱えた。
このような中韓のヒステリックな日本への態度には、ある意味、国際社会も眉をひそめてきた。ところがここへ来て、にわかに潮目が変わってきたのである。在来25年のジャーナリスト飯塚氏が解説する 34 そのきっかけ
| 2014年10月05日(日) |
年金の「株」投資拡大 |
安倍政権が計画 損すれば大穴 国民にツケがまわって来る
老後の生活で大切な国民年金や厚生年金。130兆円にものぼるその積立金を、安倍内閣は株式市場で大々的に運用しようとしている。利益もあれば損もあるのが株式市場。積立金に大穴があく危険もあるのになぜ。
急先鋒を担当大臣に
今回の内閣改造で世界の投資家が最も注目したのが厚生労働大臣のポスト。厚労省が所管する年金積立金管理運運用独立行政法人(GPIF)の方針を左右するからである。「できるだけ早く方針を見直したい」と公言する安倍首相が選んだのは、塩崎元官房長官だった。年金積立金の株投資拡大を主張する急先鋒である。自身も東証一部上場の23銘柄、計86.000株以上を保有している。
見直しの口実は「年金財政の長期的な健全性確保」である。しかし、首相は株価対策の本音を隠さない。例えば今年5月にロンドンの金融街シティーで演説し「日本株を買ってください」と訴えて、「世界最大の年金基金の改革」を約束している。なにしろGPIFの株での運用比率を1%増やすだけで1.3兆円が動き、その情報だけで株価が上がる。
過去には17兆円の損
実は、GPIFは世界的な金融危機に波及した2008年のリーマン・ショック前後に国内株で10兆円、外国株で7兆円もの損失を出した。株への投資を増やすということは、株価下落で損失もいっそう大きくなるということである。歴代政権はたびたび公的年金の積立金を株価対策に利用してきたが損失を抱えても責任を取った大臣は一人もいない。
株投資の拡大には、市場運用に精通した外資系銀行の専門家からも「率直なところ、自分が将来受け取る年金も心配になっている」(Jモルガン・チェース銀行・佐々木融氏、ロイター)との声が上がるほどである。損失が出たら年金受給額を減らすか、年金保険料を増やすか、増税か。いずれ国民にツケが回されるだろう。
国際的に特異な立場
政府は外国の年金運用も株が中心であるかのように言うが全く違う。金融大国のアメリカでさえ、基礎的な公的年金は、米政府が元本と利子を保証する「非市場性国債」飲みで運用されている。よく政府が株投資の割合が高いとして引き合いに出すカリフォルニア州職員退職制度(カルバース)などはいわば公的年金に上乗せされる企業年金である。そのカルバースも世界金融危機で資産の3割もの損失を出し、危険な運用からの撤退を進めている。外国と比べても極めて危ない橋を渡ろうとしている。国民の財産を博打に使っていはいけない。
『週刊朝日』9.28
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