加藤のメモ的日記
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| 2013年12月31日(火) |
秘密保護法は隠蔽加速 |
自衛隊訓練で兄が死亡 遺族は究明求めたが…名前黒塗り真相はヤミ
兄の名前すら伏せられていた。訓練中に亡くなった自衛隊員の弟が、その原因に迫ろうと情報公開請求した資料はほとんど黒塗りだった。その理由は「わが国の安全を害するから」というもの。秘密保護法が成立したら、ますます隠蔽がひどくなる―と遺族は訴える。
秘密保護法は隠蔽加速
亡くなったのは、札幌市の陸上自衛隊真駒内(まこなまい)駐屯地の島袋英吉さん当時20歳。2006年11月、訓練中に倒れ、亡くなった。双子の弟で当時、自衛隊員だった恵祐さん(27)の家族は「事故死」とする防衛省の見解に納得できず翌年、「公務災害発生報告書」開示を求めました。しかし、開示された資料は傷病名、医師の診察所見はおろか、島袋さんの名前すら真っ黒だった。「真相を隠すために、一切の事実を隠そうとする。そこまで冷酷になれるのか」家族の国への不信感は、事故当初からのものだった。
脳挫傷8ヵ所 全身に内出血
2006年当時、千葉県陸自松戸駐屯地にいた恵祐さん。一報を受け、沖縄の父母より一足早く北海道に駆けつけた。ベッドに横たわる英吉さんは変わり果てていた。前歯は折れ、唇は裂け、顔は二重三重に腫れ上がっていた。8カ所もの脳挫傷による出血、肋骨骨折、全身に及ぶ内出血…。
医師は「頭を開けると脳が飛び出してくる。手術はできない」と告げた。恵祐さんは「これは本当に訓練による事故なのか。暴行ではないか」と強く疑った。すぐ後に駆けつけた父・勉さん(53)も、英吉さんが所属していた輸送部隊長に詰め寄った。その時隊長は、「徒手格闘訓練」での事故と説明した。素手で敵を捕獲又は殺傷する訓練である。
輸送隊長は「テロ対策のために、数年前から取り入れた訓練。英吉君は優秀で、徒手格闘訓練の体内大会の選手に選ばれた」と言った。徒手格闘訓練は、単独で基本的動作を習得させた上で、対人動作による組み手、勝敗を競わせる試合へと進めていく。しかし、英吉さんは基本動作しか習得できておらず、受け身も不十分なのに体内大会の要請要員に選ばれたのだった。
「英吉は子供の頃から走るのも苦手。中学時代は吹奏楽部で音楽が得意だった。自衛隊でもラッパの集合訓練では優秀隊員に選ばれたが、格闘技の選手に選ばれる体力はないはず」と言う。陸自隊員だった恵祐さんも「体力のある兄ををあえて要請隊員に選ぶのはおかしい」という。黒塗りの「公務災害報告書」は、日本共産党の赤峰衆議院議員の尽力で公開され、ようやくことの経緯の概要がわかってきた。
2010年8月に恵祐さんや勉さんは、真相究明を求める訴えを札幌地裁に起こした。英吉さんを体内大会の要請員に選抜したことの適格性を問うため、英吉さんと格闘相手の二人の身体能力検定記録の開示を求めた。しかし、これも黒塗り。理由は「隊員の練度、部隊の能力が推察され、わが国の安全を害する」というものだった。恵祐さんは「家族の体力データ一つ、なぜ開示できないのか。いじめではないのか。本当のことを知りたいのに国は何も応えてくれない」
札幌地裁は今年3月、訓練指導教官に注意義務違反があったと認め、国に賠償を命じ、判決は確定した。しかし、いじめや暴行の事実は認められないままである。恵祐さんは、兄の死を機に自衛隊をやめ沖縄に戻った。勉さんは言う。「秘密保護法ができれば、今度は資料の存在自体が隠され、真実を求める裁判も起こせなくなるかもしれない。ますます人権が無視され、隊員の命が軽んじられるのではないか」
『週刊朝日』
| 2013年12月29日(日) |
秘密保護法は民主主義を踏み外す危険 |
秘密保護法は私もノー
厳罰で威嚇 知る権利侵害
日本弁護士連合会は、この秘密保護法は断じて認められないと訴え、ようやくその危険性を知っていただけるようになってきました。一定期間、秘密にする外交、防衛上の情報はあるでしょう。しかし、それは情報管理宇システムをきちんとつくり、漏洩や不正アクセスを許さない形で保護すべきです。厳罰で国民を威嚇し、知る権利を侵害して保護すべきものではありません。
また「秘密」の指定が正しいかどうか、その範囲や期間を第三者がチェックし、検証し、公開すべきものは情報公開する手だても取らねばなりません。法案本文にはこうした要素はないばかりか、国民のそそのかしや共謀という、漏洩されていない段階の行為も処罰します。ジャーナリストも萎縮させます。さらに国会議員も処罰の対象とされ、政府行為の正当性を判断する役割を果たせなくなります。国民の代表である国会議員が官僚の下に置かれ、国政調査権も空洞化します。
自民党幹事長のブログで、法案阻止を絶叫することについて「テロ行為と本質が変わらない」との言及がありましたが、大声で訴えなければならない状況をつくったのは与党です。民主主義を劣化させないために声を上げましょう。
日弁連会長 山岸憲司
機密拡大は科学を逆行させる
外交などの秘密も一定期間後に、必ず公開し、検証できなければいけません。秘密保護法案はそういうことも一切ない。政府にとって都合の悪いことを無制限に隠す。こんな法案を見逃したら、ファシズムの道を歩むことに危惧を感じています。
基本的に科学は、情報を公開することで進歩するものです。昔、人工頭脳に関する研究が米国の原子力潜水艦の探知に使えそうだというので、機密になったことがあります。関係論文が一切出てこなくなりました。これは科学を逆行させるものです。無制限に秘密を拡大する秘密保護法案は廃案にするしかないと思います。
ノーベル物理学賞 益川敏英
世論無視の可決でいいのか
多数与党が強引にバタバタと秘密保護法案の成立を急いでいます。しかし、国民にやっと法案の中身が伝わり、疑問や批判が起き始めている段階です。永田町だけで世論を無視して可決していいのか。深刻に心配しています。少なくとも慎重に議論するのが当然ではないでしょうか
私は政府の官房長官もしましたから、国の情報が100%オープンでいいとは思いません。一定期間、秘密にするものもあるでしょう。しかし、それが過ぎれば基本的には公開すべきです。しかし「修正協議」で60年経っても「政令で定める重要情報」は公開の例外とされた。とんでもないことです。もともと今回の法案は、何が秘密か曖昧です。秘密指定するのは政府でチェック機能が働きません。私もそうでしたが、政府は本能的に情報をオープンにしたがらない。
国民の知る権利や、報道の自由という根本問題も未解決です。このまま法案が通ったら、国民が知るべき情報がますます闇に葬られかねません。
元内閣官房長官 武村正義
修正みて考え変わった
私は、国家・国民の安全のために「スパイ防止法」のようなものがあってもいいと思っていましたが、特定秘密保護法法案の国会審議や「修正」協議を目の当たりにして、反対に転じました。権力は必ず腐敗するものだから、権力が指定する秘密が妥当がどうかをチェックする第三者機関が当然必要です。ところが、政府はこれを認めず、首相が「第三者的役割を果たす」などという。むちゃくちゃです。
「第三者チェック」を頑なに拒むところに言い知れぬ不安を感じます。政府は絶対無制限の独裁政権を持とうとしているのではないか。法の作り方としても秘密の対象を列挙した後、その他がついているのは問題です。これは一種の弾圧立法で、対象を恣意的に広げられれる文言をつけてはいけない。
60年、それ以上も秘密にするというが、関係者はみんな死んでしまう。責任が問われる関係者が皆死んでからも真実を隠し続ける国家など、世界にはありません。私が思い描いた以上の悪法が雑な手続きで、バタバタと強行制定されようとしています。憲法96条の先行改正とよく似ています。こんな人たちに権力を担当させることに、無限の不安を感じます。
慶応大学教授(憲法) 小林 節
民主主義を踏み外す危険
秘密保護法案では、ネットで真実をつぶやくことすら、政府に目の敵にされそうです。私は秘密保護法に必ずしも反対とはいいませんが、正しいルールが必要です。しかし秘密保護法案は誰に対して、何が秘密なのかわからないという、きわめて曖昧な内容です。首相や政府の判断で、簡単に秘密が決められるもの恐ろしい。
戦前の治安維持法の考え方と同じです。これを契機に日本が民主主義国家の道を踏み外すことが危惧されます。国際社会では、秘密をできる限り限定し、メディアや非公務員は処罰対象にしないという「ツワネ原則」があります。国際社会のルールに照らしてもおかしい法案なので、国連からまでも懸念の声が上がっているのです。
元参議院銀 水野誠一
『週刊新潮』
| 2013年12月28日(土) |
血圧高めにはこのサプリで |
冬本番 血圧注意報発令
駆け足で冬の気配が深まるこの季節。血圧が高めの人は要注意。気温差が血圧を不安定にするからだ。そのため、定期的な人間ドッグ検診など普段からの数値管理が大切だがお奨めなのが、日本人間ドッグ検診協会が推薦する、日本サプリメント株式会社のかつお節オリゴペプチド配合の『ペプチドエースつぶタイプ』。大学との研究により、かつお節から抽出される「かつお節オリゴペプチド」に血液を穏やかにする働きがあることを発見した。抵抗なく口にできて高めの血圧を気にする人の心強いサポーターになると好評だ。
身近な食材で、血圧を穏やかに
日常生活に支障がなければ気にとめないのが血圧の厄介なところ。厚生労働省が発表した平成18年度国民健康・栄養調査結果の概要によると、高血圧症有病者は約3970万人。正常高値血圧者は約1520万人で、高血圧の該当者、予備軍は合わせて約5490万人と推定される。
血圧管理はいろいろあるが、肝心なのは普段からの「備え」だろう。年に一度は人間ドッグで定期的な検診を受けて血圧管理をすることをお薦めしたいが、日常生活ではどのように備えをするべきか?その点、この日本人間ドッグ検診協会が推薦するかつお節オリゴペプチド配合『ペプチドエースつぶタイプ』は、日頃の食習慣の中で摂取するつぶタイプなので口にしやすい。まさに”日常対策”にピッタリで、手軽に続けやすい。
大学との長年にわたる研究は、まず血圧の上昇を穏やかにする食品成分を求めて試行錯誤を重ねた。100種類以上の食品に多種の分解酵素を掛け合わせて数千種に及ぶ実験を行なった。その結果、たどり着いたのが「かつお節オリゴペプチド」だった。
高めの血圧に働きかける
血圧を上昇させる要因の一つに「アンジオテンシン変換酵素」という酵素が関係する。血圧を穏やかにするには、この変換酵素の働きを抑制すればいいわけだ。そして紆余曲折の末に発見したのが「かつお節オリゴペプチド」。これが血圧上昇の”敵”であるアンジオテンシン変換酵素の働きに関わることが判明したのである。
ようやく探し出した成果を、何とか血圧対策に生かせないか。その後模索は続き、数多くの臨床試験をへて商品化に成功したのが、かつお節オリゴペプチド配合の『ペプチドエースつぶタイプ』である。かつお節は昔から日本人になじみが深く、良質なタンパク資源として重宝されてきた。そのため抵抗感なく口にできる。他の成分との組み合わせもよく、心配も少ない。その安全性と有用性については、国から審査を受け、「特定保健用食品」表示の許可を受けている。
日々の生活でつい油断するのが「血圧」の怖さである。備えあれば憂いなし。『ペプチドエースつぶタイプ』は、血圧が高めの人には良き伴侶になるだろう。
『スポーツニッポン』12.14
NO2張成沢氏処刑 正恩氏親族も容赦せず
北朝鮮は12日、金正恩第一書記の叔父で、同国の実質NO2とみられていた張成沢・元国防副委員長(67)に対する特別軍事裁判を開き「国家転覆の陰謀行為」を理由に死刑判決を下した。張氏は直ちに処刑された。8日の全役職解任からわずか4日後の執行。北朝鮮の歴史上、最高指導者の親族を処刑した例はない。識者は「金第一書記が、体制固めを図るための恐怖政治だ」と指摘する。
裁判後に即執行 機関銃で射殺か 解任から4日後
北朝鮮が死刑執行を公にするのは極めて異例。韓国の情報機関によると張氏は、最近処刑された側近2人と同じく、機関銃によって射殺されたと推察されるとした。判決内容などを伝えた朝鮮中央通信によると、張氏は自ら政権を担う野心を以前から抱き、2011年12月の金正恩総書記死去を契機に工作を本格化。側近グループを要職に引き入れ、自ら「神聖不可侵な存在」として君臨した。
同通信は、張氏が審理で「クーデター」画策を認めたとしている。朝鮮労働党機関誌「労働新聞」は、法廷で手錠をかけられ張氏の写真を掲載した。北朝鮮の国営メディアは「犬にも劣る見下げ果てた人間のクズの張」「卑劣な手段を使い、国家転覆を謀った」などとする公式文書を読み上げ、秘密口座から約6億6000万円を引き出してカジノで散財したり、資金作りのための汚職やポルノ写真の配布に手を染めていたなどと断罪した。
張氏は1970年代に金正日総書記の実妹金慶喜朝鮮労働党政治局員と結婚。2010年6月、国防副委員長に昇格。2011年12月の金総書記の葬儀では、金第一書記の真後ろに寄り添い、後見人としての存在感を見せつけていた。金正日主席から3代続く北朝鮮の体制は、政敵への粛正などにより維持されてきたが、親戚を処刑した例は過去にない。金総書記の死去から17日で2年となるのを前に、金第一書記が態勢強化を図ったとみられ、張氏の周辺にも静粛の嵐が吹き荒れそうだ。
平岩関西大学教授(現代朝鮮論)は「遊園地をつくるなどのフレンドリーなイメージで売っていた金第一書記だが、別の核ができることを恐れたのは間違いなく、だからこそ徹底的にやったのだろう」と話す。小比木九州大学教授(現代韓国朝鮮論)は「軟禁するか処刑するかで引き締まり方が違う。一種の恐怖政治で独裁づくりは最終段階に近い」と指摘している。
強まる軍部の力
北朝鮮は果たしてどこへ向かおうとしているのか。コリアレポート編集長の辺真一氏は、「金正恩に張成沢の処刑を判断させたのは軍部だ。今後は軍部の発言力が高まっていく。よって、核問題や拉致問題などの交渉は難しくなる」と指摘した。北朝鮮は昨年12月、人工衛星と称して事実上の長距離弾道ミサイルを発射した。辺氏は「来年に再び発射する可能性が高い。6カ国協議をめぐって米朝の綱引きが続いているが、軍部の発言力が高まることで、北朝鮮は強硬な態度に出るだろう」と説明している。
側近中の側近だった張氏が処刑されたことで、「誰も金正恩に進言や提言をしなくなる。金正恩は暴走するだろう。何をするかわからない」とも。今後の北朝鮮の不気味な動向に警笛を鳴らした。
『スポーツニッポン』12.24
自らが考案、開発したものに自分の名前がつく。ふつうは晴れがましいが、そうとばかりは限らない。たとえば18世紀フランスの医師、ギヨタン博士。「苦痛の少ない処刑装置」を提唱したところ、できあがった断頭台はその名をとってギロチンと称された。博士は生涯悲嘆したそうだ。時代も事情も異なるが、古い史話にロシアの銃器設計者ミハイル・カラシニコフ氏の名が重なる。その名のついた自動小銃は紛争やテロのたびに登場してくる。世界に推計1億兆以上出回っているとされ、悪名の高さは際立つ。
「史上最も多く人殺した武器」とも呼ばれる。あなたの銃が世界で惨事を引き起こしている。かって取材した本紙記者に、氏は「哀しいことだ」と答えていた。その人の、94歳での訃報を聞いた。字の読めない兵士にも使いこなせる銃、というのが設計哲学だった。その簡便さゆえに途上国に流れ込んだ。<手軽とふカラシニコフがあるゆえに あああるゆえに子供の兵士>池田はるみ。日本の短歌にもその名は残る。
もっとも本人はこの銃で儲けることはなく、設計者としての誇りも揺るがなかったようだ。銃は私の意志とは無関係に一人歩きをしている、と。農家に生まれ、戦争がなかったら農業用トラクターの設計図を引いていただろうと語っていた。人々が戦争をやめて平和な仕事に就くことを「剣を鋤き(すき)に打ち直す」という。穀物満載で走るカラシニコフのトラクター。銃よりも、そちらの方がよっぽどよかった。
『朝日新聞』天声人語 12.25
| 2013年12月19日(木) |
レーシック手術 中高年は注意 |
主に近視を矯正するレーシック手術で、消費者庁は12月4日、手術に伴うリスクの説明が不十分な例があるとして、安易に手術を受けるのを避けるよう呼び掛けた。眼科医も、中高年で高まるリスクを知った上で、手術を受けるか判断すべきだとする。「強度の近視など、指針でレーシックをしない方がいいとされる人まで施術している医療機関がある」
市民団体「レーシック難民を救う会」(被害者の会)のスタッフ女性(38)は、話す。日本眼科学会の指針では、レーシックによる矯正量に限度を設け、強度の近視には慎重な運用を求めている。団体には過矯正による遠視やドライアイの痛み、物がダブって見えるようになったなどの報告がある。頭痛や吐き気、鬱状態にも悩まされる人もいる。最近は中高年の訴えが目立ち、東京都世田谷区の女性(62)もその一人。両眼とも0.03の近視で老眼でもあった。遠近両用コンタクトを使っていたが2年前、都内のクリニックで近視矯正の手術などを受けた。
コンタクトを使ったときの眼科医には「強い近視なのでレーシックは向かない」と言われた。手術前検査でそれを伝えたが「大丈夫」と断言され、安心した。二度手術を受けたが、視力は0.7程度までしか上がらなかった。コンタクトも使えなくなり、老眼も変わらない。「約50万円もかけたのに、納得いかない」光は角膜と水晶体で屈折し、網膜に届く。レーシック手術は角膜のカーブを変えて、うまくピントが合うようにする手術。局所麻酔し、角膜の表面を薄くはがし、中の層をレーザー光で削って表面を戻す。
消費者庁によると「削りすぎで遠視にされ、目の周りの筋肉が常時痛む」など、約4年半で80件の危害情報が寄せられる。別の調査では「希望した視力になったが元に戻った」との情報もある。レーシック手術もする「眼科杉田病院「(名古屋市)院長の杉田潤太郎さん(64)によると、削る量の多い強度の近視の人や、もともと角膜の薄い人は、削って痛くなった角膜が眼圧に耐えられず飛び出し、近視がひどくなることがある。
水晶体の調整力が落ちる50代以上は、近くを見るときに不自由を感じる率が高まる。「それを理解していない人が多い」患者がよく見えるのを望むからと、多少強めに矯正する医療機関もあるといい、これも近くが見えづらいなどの不具合を生じる要因だ。
中高年は加齢で涙が出にくくなっているので、ドライアイになりやすい。レーシックでは内部の知覚神経も切るので、表面が乾いているのに、それを感じられずに涙が出にくくなる。神経の回復には約半年かかり、その間は目薬が欠かせない人もいる。
眼鏡などなしで、遠くがよく見えるメリットの反面、人によっては大きくなるリスクも。杉田さんは「デメリット、リスクも理解して手術を受けてください」と呼び掛ける。全国の眼科医病院でつくる「安心LASIk(レーシック)ネットワーク」は、手術を受ける際の参考にと「10のチェックリスク」を設け、ホームページで公表している。
レーシック健康被害80件
消費者庁「手術は慎重に検討を」
消費者庁は12月4日、近視を矯正するレーシック手術を受けた人から、目の痛みや「矯正されすぎて頭痛がする」など健康被害の情報が2009年度以降、全国の消費生活センターなどに合計80件寄せられたと発表した。失明など重い症状もあったといい、同庁は「安易に手術を受けず、医療機関の説明を受けてリスクを理解した上で慎重に検討してほしい」と注意を呼び掛けた。同庁によると、「矯正されすぎて遠視になったとの訴えが20数件と最多で、頭痛や吐き気を伴うケースもあった。
『東京新聞』12.19
空売りは中毒になる
相場での売りの恐ろしさ……。 これは本当に経験した人でないとわからないと思います。私は20代半ばの頃、系統金融機関Nの債権ディーリングリームの一員でした。そこは課長以下6名のすばらしいチームだったのです。当時、Nの経常利益は300億前後でしたが、そのチームで年間100億を超える利益を出していました。その時のチームリーダーが「売り」の好きな人だったのです。
彼は資金証券部に配属されて間もないときに、債権の暴落にあって痛い思いをし、「次の暴落ではリベンジしてやる」と虎視眈々とチャンスを狙っていました。リーディングチームのリーダーになったときにその機会が訪れたのです。私はその時、隣のセクションだったのですが、彼の果敢な売り姿勢は水際立っていて、見ていて見事なものでした。
保有する現物を売り切ってしまうと、空売りを仕掛けてさらに大きな利益を得ます。そんな「売り」の大成功は人を酔わせます。暴落で皆が意気消沈している中で自分だけがうまくやった気分の良さと、短時間に大きな利益を得るという相乗効果があるからです。私も経験がありますが、アドレナリンが体中を駆け巡り、どんな快感よりもすごい快感がやってきます。
だから酔ってしまうのです。一度その特別な快感を味わうと麻薬中毒患者のようになってしまいます。すると何が起こるか?しょっちゅう底を叩きに行ってしまうのです。「ここを売れば相場が大きく崩れるんじゃないか?あの快感がまたやってくるんじゃないか?」そして私の在籍中に彼は何度かそうやって底を叩き、損を出しました。
ただ、彼は慎重な人でしたから致命傷になるようなことはしませんでした。しかし、相場の歴史では売りに酔った挙げ句に破滅していく人間は大勢います。その代表が岩本栄之助という相場師です。明治40年1月、日露戦争後の空前の上げ相場を叩き落とし、巨万の富を得ます。
大阪、北浜の老舗仲買店の御曹司で、本来は相場をやるような性格ではなかったのですが、上げで苦しむ他の多くの仲買店から懇請を受けて売り出動したのです。その岩本が売ったところが大天井になります。自分が売った瞬間から大暴落となったのですから、その快感たるや想像を絶するものだったと思います。岩本は儲けたカネと父親の遺産から、今の約80億円の100万円を大阪市に寄付します。その資金で建設されたのが今も中之島にある中央公会堂です。彼は大阪の英雄として讃えられました。
岩本はその後、第一次世界大戦の大相場にも「売り」で参戦します。岩本は陸軍中尉として日露戦争に従軍した経験があり、当時の陸軍特有のドイツ崇拝者でした。「ドイツに勝てる筈がない」と入った売り勝負でしたが私には売りに酔った人間の典型的行動に思えます。怒濤の上げ相場で大損を出し、万事休すとなり辞世の句を残してピストル自殺を遂げます。大正5年10月のことです。
その秋をまたで散りゆく紅葉かな
中央公会堂の地下には、岩本記念館があり、岩本ゆかりの品が展示されています。
今週の一言「投機的期待があれば、必ず空売りのチャンスはある」
『週刊現代』11.9
| 2013年12月14日(土) |
メガバンクの責任の取り方 �� |
リーマンショック後、最高益だそうだ。その3メガバンクが、ほぼ同時に暴力団への融資の存在を明らかにした。それでいて居丈高なトップたち。この妙な感じは何なのか。銀行の非常識に迫る。
元役員はカネを返せるの?
ところで、過去にさかのぼって報酬の返還を求められている元役員はこの処分をどう受け止めているのか。彼らも高給取りだったことは間違いないが、ある日突然「昔の不祥事が発覚したから、当時の役員はみんなカネを返してください」といわれて納得できるだろうか。カネを返還すれば老後の計画も大きく狂う。
本誌は元堀本頭取を訪ねた。問題融資が発覚した当時の頭取である。みずほ銀行の第三者委員会が作成した報告書によれば、彼は反社会勢力チェックのレベルを上げるよう支持したものの、東日本大震災後に起きたシステム障害の責任をとる形で退任。「後任の塚本氏への引き継ぎがなされなかった」とされ、A級戦犯扱いされている。現在、無報酬でみずほFGの顧問に就いている。西堀本頭取はセーターに綿のパンツ、スニーカーというラフないでたちで、どこか諦観したような、寂しげな表情でこう話した。「僕はもうお話しすることはありませんから、会社に聞いてください」
役員たちの報酬はすでに返上・返還されているのか。そのカネはどう処理しているのか。総額はいくらなのか。みずほ銀行広報室は本誌にこう回答した。「現役役員の報酬の一部返上に関しましては、すでに開始しております。役員OBの自主返上につきましては説明の上、全員からご了承を頂いた段階です」ただし、返上・返還された報酬の額やどのように会計処理するかについては「回答は差し控えさせていただきます」とかわした。
「(新聞の投書など)厳しいご指摘を頂戴していることもよく承知しておりますが、そうしたご指摘を重く受け止め、反社会勢力の徹底的排除に向け、改善対応策を遅滞いなく実行し、着実に成果に結びつけて参りたいと考えております」(同広報室)一方、みずほと同様の問題が発覚した三菱東京UFJ 銀行と三井住友銀行。こちらも「責任の取り方」という意味では、みずほと似たり寄ったりだ。
「各メガバンクが『うちも問題の融資がありました』と会見で認めたのは、佐藤頭取の国会招致の前日、2日目。ほとんど横並びでした。みんなでごめんなさいをすれば、ニュースにならないからです。ホテルや百貨店の食材偽装の謝罪会見と同じ構図です」(大宅氏)実際、2行が暴力団への融資を発表した翌日の新聞を見ても、みずほのときとは比べものにならないほど小さい扱いがほとんどだ。ただし、11月14日に行なわれた三菱UFJ銀行の平野頭取の会見は紛糾した。
平野頭取は、暴力団関係者との取引があったことは認めたものの、融資件数や金額などについては「回答を差し控えさせていただきます」と口を閉ざしたまま。反社会勢力への融資について聞かれても「取引が存在することを否定するものではない」などと、役人のような答弁で返した。「なぜ答えられないのか?」と記者が気色ばんだのである。「お上が答えさせなかったのです」と暴露するのは金融庁キャリアだ。
「実は10月末、決算会見の場で『反社への融資がみつかった』と金融庁に無断で発表した大手行があったのです。畑中長官は激怒して銀行第一課長銀行と監督管理官を長官室に呼びつけ、『この大事なときに勝手なことをやるな!』と怒鳴りあげた。銀行第一課長は直ちに全銀協会長で三井住友銀行頭取の國部氏を通じ、『反社との取引については一切、プレスリリースしないでいただきたい』と全国の銀行に伝達させた。だから三菱東京も三井もみずほも、決算会見で問題融資の中身を隠したのです」
人を見る目がないから
世の中は銀行と反社との取引そのものを問題視している。にもかかわらず、金融庁は自分たちに火の粉が降りかかると困るから黙っていろと、いうのである。銀行が銀行なら、金融庁も金融庁。何ともアホらしい”共犯関係”だが、指導は行き届いているらしく、頭取会見が紛糾した三菱東京UFJの関係者はこう開き直るのだった。
「反社への融資が見つかったことを受けて、『担当者を処分するのか?』とマスコミはいうけれど、質問がおかしい。みずほは問題融資を放置したから金融庁に業務改善命令を出されたのであって、審査の際の反社チェックが甘かったからではない。我々には処分される要素がないんです」国民から見れば目くそ鼻くそだが、この点、三井住友関係者の主張も全く同じなのだ。みずほ銀行OBで作家の江上氏によるt、昔の銀行員は今とは違っていたという。
「私が現役の銀行マンだった1990年代は、頭取の自宅の庭に猫の死体が投げ込まれたり、行員の家に脅迫状が届くことも珍しくありませんでした。その頃は、上司から反社への融資を引き上げろと命じられたら、部下は必死で回収に回ったものです」ところが1994年に起きた住友銀行名古屋支店長射殺事件を機に、銀行員の足がすくんでしまう。「こうなると上層部も無理強いできない。警察が全行員の警備をするなんて、物理的にできないわけですから」(江上氏)
もちろん、誰だって暴力団を相手にするのは恐ろしい。面と向かってしまえば、融資を断りきれなかったという銀行員がいても不思議はない。だが、みずほ銀行だけで230件もの問題融資があったのだから、これは組織的にタガが緩んでいたとしかいいようがない。「一番行けないのは、銀行員に人を見る目がないということ」というのは経済ジャーナリストの荻原博子氏だ「いま、反社は銀行をターゲットにしていますよ。自分たちを排除するノウハウが全く薄っぺらであることをよく知っているからです。データ紹介をするだけならコンピューターで十分。人の裏が見えないようではバンカーとは言えない」
人を見る目がないから、融資相手が暴力団関係者がどうかを見抜けず、社内処分が世間の普通の大人からどう受け止められるかも見誤ってしまう。『同和と銀行』の著書でノンフィクション作家の森功氏が語る。「反社を見抜けないのは仕方ない、と言わんばかりの銀行の態度はあまりにも無責任で傲慢。いってみれば正体不明の人間に融資をしているわけで、恥ずべきことでしょう。バンカーとしての倫理観が欠如していると言わざるを得ない。返上・返還された報酬を税金として国庫に納めるぐらいのことがなぜできないのか」いま、銀行に最も求められているもの。それはごく当たり前の「世の常識」なのではないか。
『週刊現代』12.7
| 2013年12月12日(木) |
メガバンクの責任の取り方 �� |
メガバンクの責任の取り方は、世間では通用しません
役員報酬を返上するなら寄付するべきだ。みずほが得してどうする。
これでは焼け太りでしょ
やはり、と言うべきだろう。みずほ銀行に続いて、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行でも、本体や関連会社による暴力団関係者への融資が発覚した。そんな中、新聞の投書欄に載った「謝罪の方向、間違っていないか」と題した投稿は、多くの国民の思いを代弁するものだった。その疑問は、暴力団関係者への融資発覚を受けてみずほ銀行が発表した社内処分の中の、役員報酬カットに対して投げかけられたものだ。
<それでは本当の意味での謝罪になっているとは思えない。返上した報酬は企業に戻され、企業の懐は何ら痛まないからである。真に社会に対して謝罪するのであれば、その返上する分を実際に迷惑をかけた人たちに提供するとか、それが無理なら、慈善団体や災害の被災地に寄付すべきだ。経営者としては、頭を下げ、自分の懐を痛めたことで免罪符を得たような気になっているのであろうが、大きな心得違いである>
正論というほかない。金融庁に業務改善計画を提出する際、みずほ銀行が発表した処分は塚本会長の引責辞任、佐藤取締役の役員報酬半年分カット、42人の役員の減給、すでに銀行を去っている西堀本頭取ら12人の元役員に過去の報酬の返還を求めるというもの。半年間無報酬というと一見、厳しいペナルティーに見えるが、佐藤頭取の報酬は約1億2000万円。半減したとて年収6000万円という、庶民には想像もつかない高収入だ。
しかも、佐藤頭取の報酬をカットすればそれだけ銀行が払う金が少なくて済むということ。過去の役員にすでに支払った報酬を銀行に返還させるに至っては、予期せぬ臨時収入のようなものだ。アベノミクスの影響もあり、3メガバンクでリーマンショック後最高の今期1兆」7000億円近い純利益が見込まれるなど、ただでさえ銀行が儲けている中、これでは不祥事を起こしておいて、焼け太りである。
一連の食材偽装問題では、該当商品の回収や販売中止、さらには顧客への料金返還など、関係企業は金銭的ダメージを受けている。評論家の大宅映子氏は、その食品偽装問題と比較してこう批判する。「銀行が『たいした問題じゃない』って思っていることの証左でしょう。不祥事を起こしておいて儲かるなんて、おかしな話ですよ。銀行はステータスばかり高いですが、基本的に人のふんどしで相撲を取る商売でしょう。消費者運動が盛んなアメリカだったら預金引き上げ運動が起こりますよ。バブルのときだって暴力団への迂回融資や地上げで巨額の不良債権を作ったのに、税金で助けてもらった。今回も自らを痛めずに済まそうという事でしょう」
みずほ銀行はこの処分で逃げ切れるとタカを括っているのだろうが、世間の目は「アンタらが儲けてどうすんの?」と怒りを通り越して呆れている。そして、それにより企業イメージ失墜した。「みずほは大手行の中で唯一、消費者金融を持っていなかった。『儲かればいい』と思っている他行より、一段上の倫理観があるのだと思っていただけに、裏切られた思いで一杯です」 (経済評論家・森永卓朗氏)
『週刊現代』12.7
| 2013年12月10日(火) |
小泉純一郎待望論 �� |
元日弁連会長の宇都宮健児氏も、小泉氏の復活を歓迎する一人だ。「私自身は小泉さんの政界復帰があってもいいと思います。脱原発を実現するために小泉さんが政界復帰をすると言えば、一緒にやろうという人たちが かなり集まってくるでしょう。小泉発言を無責任だという人々がいるようですが、そういう人たちこそ、被災者の支援や事故の収束に対し、真摯に向き合っていないのではないか。高レベル放射性廃棄物の処理問題などは無視して、目先のコストや利益のことしか考えていません。経済界も同様で、本当に長期的な展望に立って日本のことを考えているのか、疑問があります」
また、環境エネルギー政策研究所所長の飯田市も、こう語る。「かっての郵政関連の利権どころではない。原発の利権組織や独占企業体を解体できれば、大きなイノベーションが始まるきっかけとなります。原発廃止に伴い、新しいエネルギー分野に挑戦しようという人々が続々と現れ、イノベーションの嵐のようなことが起きる」
もともと安倍政権は、「民主党がダメすぎた」という消去法による選択の結果、成立している。アベノミクスという経済政策の効果に対し、国民が様子見をしていることから、表面上の安定を見せているだけだ。期待に反し、安倍首相は新しい成長戦略を生み出せないでいる。すでに株価は頭打ち、ほとんどの国民の収入は全く増えず、逆に増税など出血を強いる政策が目立ち始め、徐々に支持率も落ち始めた。
その上で、事故の収束も反省もなく、再び原発中心の政策に舵を切ってそれに頼ろうとするなど、安倍首相自身が自らの無能を認めているようなものだ。福島第一の事故処理は、少なく見積もってもあと数十年から100年を必要とする。放射性廃棄物(核のゴミ)の処分となれば、地中に埋めて10万年あるいはそれ以上の時間をかけるしかない。そうした事実に目をつむり、原発ムラという既得権益集団に媚びて、目先の利益や支持率の維持にこだわってどうするというのか。小泉氏は、その現実を改めて突きつけた。
だが安倍首相は、恩師の叱咤に無反応のままで、「決断」ができないようだ。自民党の「福島原発事故究明に関する小委員会」の委員長を務める村上議員は失望を隠さない。「安倍首相は、原発の再稼働どころか、あわよくば新規建設まで狙っているようです。だがその前に、原発事故の徹底した原因究明や、汚染水の漏洩などの対策、事故処理の方が先でしょう。原因もよくわかっていないのに、海外に原発を売るなどもってのほかです。震災から2年以上が過ぎ、国会議員の多くが、あのときの教訓を忘れてしまっているのではないか」
政権を変えよう
安倍首相は、原発を再び動かすことが日本経済再生の切り札と考えている。だが、原発ムラが復活し、その関係者が一時的に潤うことが果たして真の経済再生につながるのか。新技術も創出されず、単に既存の電力関連組織が温存され、過去に戻るだけ……。そのうち、次の大地震や災害でえ再び原発事故が起これば、今度こそこの国は破滅なのだ。もし、今後も安倍首相がそれを理解できなければ、今様子見している国民が、一斉にそっぽを向く日がまもなくやって来るだろう。
政治ジャーナリストの山田氏がこう語る「小泉氏は脱原発について、自民党内の勢力図は『五分五分だ』と話していましたが、これは現実的な見方だと思います。実際に自民党にも脱原発派は多いのですが、今の安倍首相には逆らえないから黙っているだけ。もしも安部氏の求心力が落ちてくれば、脱原発が大きな政治テーマとして浮上してくるでしょう」
前述したように、安倍首相の生命線はアベノミクス。しかし、ここに来てその効果に限界が見え始め、増税など負担ばかりが増えてきた現実に、多くの国民が疑問を持ち始めた。放っておけば、政権維持がまもなく困難になるのは現実だ。「それを計算した上で、小泉氏は仕掛けているように見えます」(山田氏)小泉氏の「即時原発ゼロ」発言が飛び出した直後、その次男である、小泉進次郎の内閣政務官は、「父はああいう人なので」などと前置きしながらも、こう語っている。
「石破幹事長は、自民党と同じ方向だと言っている」「課題は多いが、今回のことをチャンスととらえて、さまざまな議論を進めればいいのではないか」冒頭で紹介した自民党の若手・中堅議員らも、進次郎氏の今後の動向に注目しているようだ。安倍首相がこのまま突っ走り、民意を失えば政界に新たな激震が走るのは間違いない。
鈴木氏もこう話す。「小泉氏には取材や講演依頼が殺到しており、やはり人気は非常に高い。テレビでも小泉発言を報じると視聴率が上がる。自ら国民に情報を発信する特異の手法は今も有効で、小泉氏はムーブメントを起こせる。これに野党が相乗りしてくれば、来年4月、予算案が国会を通った頃に、脱原発で政変になる可能性もあります。4月には消費税が上がり、増税ショックが安倍政権を襲う可能性が高い。そこで株価が下がれば安部人気が急落し、脱原発ムーブメントに火がつくかもしれません」
やっぱり原発はいらない
現役時代から、良くも悪くも「嵐」を見るに長けていたのが小泉氏だった。原発推進のみならず、公共事業に巨額のバラマキなど、守旧主義的な政策を連発する安倍首相に対し、「進む方向が間違っている」とメッセージを送る小泉氏の見立ては正しい。首相がそれを理解できなければ、脱原発を求める国民の声が反映された、新たな「枠組み」が求められる日が来る。
「小泉さんの狙いとしては、安倍首相が姿勢を変えないようであれば、小泉進次郎氏や河野太郎氏らを核とした脱原発の対抗軸を作り、ポスト安部のう受け皿とすることも視野に入っていると思います。もちろん、安倍首相が脱原発を決断すれば話は早いわけですが、それができなければ、自民党の中で権力に穴をこじ開けていくような道筋をつけていくことも大事ということです」(�榲鳥瓠�
『週刊現代』12.7
| 2013年12月09日(月) |
小泉純一郎待望論 �� |
小泉純一郎を「原発ゼロ」特命大臣に
あの大震災と大事故を目の当たりにし、日本人は原発に頼らず2年以上を過ごしてきた。頼らず済むとわかったのに、なぜ今、時計の針を戻そうとするのか。答えは出ている。原発はもはや必要ない。
自民党が割れそう
大震災と原発事故から2年8ヶ月。小泉元首相が放った一言により、再び大きな流れが変わろうとしている。「自民党の国会議員約20人が勉強会を立ち上げるそうです。参加者は当選1回の新人議員と、前回選挙で返り咲いた2〜3回生の議員が中心。返り咲きの中には、落選中に脱原発を掲げて再選を果たした議員がかなりいます。勉強会には小泉氏を招いて、脱原発の講演をしてもらうことも検討しているようです」(政治ジャーナリスト・鈴木氏)
発足以来、福島第一原発の破局的事故を忘れたかのように、再稼働など推進策を前面に出してきた安倍政権。この流れの中に巨大な一石を投じたのは、安倍首相の恩師でもある小泉元首相だった。小泉氏の「即時原発ゼロ」宣言を受け、動揺の色を隠せないのは現役の自民党議員たちだ。中堅銀の一人がこう語る。
「党内は確実に揺れています。次の選挙に不安がある中堅議員たちの動揺が、最も激しいかもしれません。小泉さんの発言を受けて、原発推進派の旗頭である細田幹事長代行派閥の会合で『原発即時ゼロという発言があったが、あれは完全に間違いである。気にしないように』と、わざわざ釘を刺したりして火消しに必死の様子です。しかし若手の中からは『小泉さんの言う通りじゃないか』という賛同者がどんどん増えている状況です」
自民党内では、「引退した人間なのに、あまりに無責任」「ロートルのたわごと」などと小泉発言を罵倒するベテラン議員らがいる。その一方で、「きわめて真っ当な意見だ」という中堅以下の議員らもあり、百家争鳴の状態だ。盤石の態勢に見えていた安倍政権が。「原発ゼロ」のたった一言で土台から揺さぶられているのだ。
前出・鈴木氏はこう語る。「もし自民党内に、脱原発を目指す議員たちの勉強会ができたら、安倍政権とは全く逆の方向を目指すことになります。これはかなり大きなインパクトになるでしょう。安倍首相にしてみれば、非常に厄介な問題を抱えたことになります。首相は、小泉氏の発言をハラハラしながら見守っているはずです」
それが国民の意思
小泉氏本人は、自分の発言に対して自民党幹部が侮蔑するかのような批判を繰り返したことに、だいぶご立腹だという。「俺を舐めるのか。やるなら徹底的にやってやる。郵政民営化の再現だと、いよいよ安倍政権との対決姿勢を固めていると聞いている」(自民党ベテラン議員)そんな中、激震が収まらない自民党内や、一部の脱原発を目指す野党議員の中からは、驚くべき声も上がり始めた。なんと、引退したはずの小泉氏に政権復帰してもらい、入閣して”原発ゼロ担当特命大臣”に就任してもらったらどうか、というのだ。
自民党若手代議士の一人が、こう力説する。「党内では幹部級の古い世代に原発推進論者が多く、なかなか『原発はダメだ』とは言い出しにくい。でもそうしたベテランも、小泉さんの発言の威力には誰も敵いません。実際、表だって小泉さんに反論する人はほとんどいなくて、『妄想だ』とか陰口を叩いている人ばかり。こういう姿勢をぜひ叩き潰して欲しい」
別の若手代議士も、本誌の取材にこう答える。「党内には確かに原発推進論者が多いのですが、彼らが50人集まっても、小泉さんの一言に敵わないことが証明されました。小泉さんや、同じく脱原発を提唱している細川元首相を中心に、原発ゼロに向けた国民会議を立ち上げるべきだという意見も出ています。安倍首相は、小泉さんを三顧の礼をもって迎えるべき。国民の声を無視する政権は長続きしない」
推進派を落選させよう
もしも”小泉原発ゼロ特命大臣”が誕生したら、政界のみならず、日本社会の様相は一変するだろう。まず、小泉大臣は原発ゼロを目指す政府諮問会議を設置。民間の識者を次々と採用し、「知恵を出してもらう」(小泉氏)。あらに、強硬な原発推進論者たちを「抵抗勢力」と断定し、今後の日本がどちらに向かうべきなのか、口角泡を飛ばして世に問うに違いない。直近の大手新聞社の世論調査で明らかなように、日本国民の大半は原発頼みの社会に懐疑的であり、脱原発へ向けた大きなムーブメントがわき起こる。原発推進を唱えていたら選挙に落ちるとなれば、守旧派の自民党議員たちも世論に従わざるをえない。
「これまで毎年何兆円単位で原発に投入されてきた国費が、再生可能エネルギー開発や、原発の廃炉技術の研究などに回されるようになる。電力会社や関連のプラント企業も否応なく、新時代に対応せざるをえなくなり、近い将来、原発ゼロ社会が実現する」(脱原発破の自民党若手代議士)
小泉氏は、原発ゼロに向けた事業を「夢のある仕事だ」と語った。国家と国民が目指す夢や理想の方向を指し示すものだ。「エネルギーが足りないから仕方ない」などと現実に妥協ばかりしていたら、国の成長や発展は止まり、革新や改革は行なわれなくなり、国民の意識も経済もどんどん縮んでいく。少子高齢化に格差社会、日本企業の凋落、大増税と、ともすれば悲観論ばかりが出てくるこの日本に、「原発ゼロ」という新しい道を指し示す。それこそが、現在の日本に求められる政治ではないだろうか。
『週刊現代』12.7
| 2013年12月07日(土) |
秘密保護法の強行許さない |
国会を包囲する秘密保護法案の反対の列。世論調査のたびに増えつつける反対の声。その中で何が何でも成立を急ぐのが安倍内閣と、自民・公明与党。強行すればするほど孤立が深まっていく。自民党の石破幹事長のブログでの発言が新たな反発を広げた。反対を叫ぶデモは、「テロ行為とその本質において、あまり変わらない」と発言した。反対デモをテロという認識は法案と同じである。
法案は「政治上そのほかの主義主張に基づき、国家もしくは他人に強要」することもテロと解釈できる条文である。デモ=強要=テロという認識である。反原発デモにも参加した橋本美佳さんは「選挙で言わない法案を数の力で強行する与党こそ反民主的である。今の自民党には脅威を感じている。」と発言。
平和守れぬ 日本は、南アジアで最も開かれた自由な国であらねばなりません。それが平和を守る力です。ですから秘密保護法には反対です。宮崎駿(映画監督)
違法な法律 秘密保護法は違法な法律である。秘密保護法違反の裁判では、何が秘密なのかが明らかにされず、自分が犯した罪の内容もわからないまま重罰を受けることになります。極めて異常で、まともな裁判は成立しない。まさに違法な法律である。秘密を決めるのは官僚と政府だけで、政治家は与党も野党もカヤの外。そんな法案に、なぜ政治家が賛成するのか全く理解できない。もし、成立したら忘れてはいけないことは、次の選挙で自民、公明、みんなの党など賛成した党に決して投票しないことです。政治が変われば廃止することもできるからです。高村薫(作家)
廃絶へ闘う 国民の知る権利と自由を奪う不気味な秘密保護法案が、反対を叫ぶ多くの国民の声を踏みにじって押し通されようとしている。市民のデモを「テロ」と批判した石破幹事長の本音の声は謝って済ませられるものではない。戦争の中で育ち、青春を送り、敗戦後を生き延び91歳を迎えている私には、こんな法案を成立させようとする政府が憲法に背いて日本を戦争する国に仕立てようとしているとしか思えない。文筆家、宗教家、女性という自分の三つの立場のどれからも、最後までこの法案の廃絶に向けて戦いたいと思う。瀬戸内寂聴(作家・僧侶)
『週刊朝日』
10月11日、ノルウエーのノーベル賞委員会は、2013年のノーベル平和賞を「OPCW(化学兵器禁止機関)」に授与すると発表した。1997年に発効した化学兵器禁止条約に基づいて同年opecは発足した。この条約は、サリンなど化学兵器の開発、使用を禁止し、現在保有する化学兵器については、段階的に全廃することを定めている。本部はオランダのハーグに置かれ、米国、ロシア、日本など国連加盟国190カ国が加盟している。しかし、イスラエル、ミャンマー、南スーダン、アンゴラ、エジプト、北朝鮮がopcwに加盟していない。ただし、イスラエルとミャンマーは、化学兵器禁止条約には署名している。
化学兵器を保有する同盟国は、貯蔵場所、数などを申告しなければならず、opcwは化学兵器関連施設の視察や、兵器の破壊などを行なう。職員数約520人の比較的小規模な国際機関だ。外交、安全保障、軍事、インテリジェンスの専門家以外には、あまり知られていないopcwが今回、ノーベル平和賞を受賞したのは、シリア情勢と関係している。
8月21日、シリアの首都ダマスカス近郊でサリンが使用された。米政府は、シリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、米軍による限定的なシリアに対する武力攻撃を宣言した。これに対してアサド政権は、サリンを使用したのは反政府軍であると主張。アサド政権の主張に同調するロシアが、米国に国際監視下でシリアの化学兵器を破棄することを提案し、それが実現した。
これで米軍のシリアに対する軍事行動は、当面の間、回避されることになった。もっともopcwと国連のシリア査察と同国の化学兵器廃棄が順調に進まない場合には、米国が武力介入する可能性が依然として残っている。ノーベル賞委員会は、opcwに平和賞を与えることによって「事態を軟着陸させ、シリアでの戦争を回避してくれ」というメッセージを送ったのである。ノーベル賞委員会が、米国の一方的軍事行動を牽制した強い政治性を帯びた受賞だ。
<化学兵器保有国も、本当は化学兵器をなくしたいと思っていると感じた。受賞をきっかけに、より多くの人に活動を知ってもらい、化学兵のない世界に近づいて欲しい」と願う>(朝日新聞、10月12日)この分野での日本の技術力は高い。opcwでの日本の貢献について、政府がもっと積極的に広報することが、国際社会における日本の地位向上につながる。
『週刊現代』11.2
| 2013年12月03日(火) |
捨てる場所がない原発のゴミ |
今が良ければそれでいい、では済まない。捨てる場所がないと、最後はこうなる
日本には放射線廃棄物の最終処分場は作れない―。小泉元首相の言う通り、これは紛れもない事実だ。立命館大学の放射線防護学が専門の安斎教授はこう語る。
「小泉氏は今年の夏に、フィンランドにある放射線廃棄物の最終処分場・オンカロを見て原発は即時ゼロにすべきと思ったと言っていますが、これは納得できる話です。フィンランドには原発が4基ありますが、オンカロの2基分しか用地がない。それに対し、日本には54基もの原発があるにもかかわらず、最終処分場は一カ所もありません。オンカロもそうですが、放射性廃棄物の処分場は、地下300メートルより深くの、固い岩盤の地層に埋める『地層処分』が主流です。4つのプレートがせめぎ合い、活断層が2000本ある日本には、オンカロのような頑強な地層はどこにもありません。最終処分場を作ることは不可能です」
安斎氏は、40年以上にわたって反原発の姿勢を貫き、放射性廃棄物の処分の問題について訴えてきた。「廃棄物に含まれるプルトニウムの半減期は約2万4000年。放出される放射線が10分の1より少なくなるまでに10万年近くかかる。『ここが危険な場所である』と、将来世代にどう伝えるのか。いまから10万年前はネアンデルタール人が歩いていた時代ですよ」
今まで政府は、原子力発電が安全でローコストな「夢のエネルギー」だという大嘘を言い続けてきた。その根拠としていたのが「核燃料サイクル」だ。核燃料サイクルとは、使用済み燃料棒から再処理施設でプルトニウムとウランを分離し、それらを再利用するというサイクルのことだ。政府や原発ムラの電力会社などは、その過程で高レベルの放射性廃棄物という厄介な「原発のゴミ」が生まれる問題を、国民にはほとんどアナウンスしてこなかった。何の使い道もない、高い放射線を何万年も撒き散らし続ける高レベル放射性廃棄物は、日本の法律では、ガラスで固められ「ガラス固化体」として地下で処分されることになっている。
個か直後のガラス固化体の表面温度は200度C以上になる。放射線量は、表面の位置に人間がいたと仮定すると、毎時1500シーベルトにもなる。これは人間の被爆地資料である7シーベルトを、わずか20秒で浴びてしまうレベルである。だからこそ、放射線を遮断する容器に格納し、地下深くに処分するように定められているのだ。
だが実際には最終処分場がないばかりか、そのガラス固定すら国内ではできない。日本唯一の再処理場である青森県六ヶ所村の再処理工場は、当初の計画通りには行かず、現在は試運転の状態だ。全国から集められた使用済み燃料を貯蔵するための3000トンの容量を誇るプールはすでに98%が埋まっており、維持するだけで毎年1100億円もの費用を食いつぶしている。
そのため、一度フランスやイギリスに高レベル放射性廃棄物を海路で輸送し、ガラス固化体として処理しているのが現状だ。そして海外から再び、原発のゴミは六ヶ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに運び込まれる。現在でも1500本近いガラス固化体を保管中である。この六ヶ所村の再処理再処理工場、管理センターなどの「原子燃料サイクル施設」には、これまで累計で19兆円もの費用が投じられてきた。「原子力発電はローコスト」という主張は、全く馬鹿げたものだ。
最悪なのは、もし六ヶ所村の処理工場で、3.11直後のような事故が起こったら、というシナリオだ。使用済み燃料も発熱するため、プール内で冷却し続ける必要がある。地震などで電源喪失し、冷却機能が失われたとすると、プールが干上がり、臨界や水素爆発、そして核爆発につながる恐れがある。原爆の燃料であるプルトニウムが大量に保管された再処理場が爆発すれば日本どころか、北半球全体が放射能で汚染される事態も考えられるのだ。
その上、あくまでも六ヶ所村の管理センターは「中間処理施設」でしかない。岐阜県に地層研究所と北海道に地層研究センターと、地層処分を研究する施設はあるが、これらも研究施設にすぎない。元東芝の原子炉格納容器設計者である、後藤氏は言う。
「最終処分場どころか、再処理施設も、中間処理施設も足りていない。原発の貯蔵プールや中間貯蔵庫に貯蔵している間に、放射性廃棄物の処理法を考えるしかありませんが、現実は待ってはくれない。11月18日に、東電は福島第一原発4号機内の燃料棒を取り出す作業を開始しました。壊れた原子炉から燃料棒を取り出すという、世界的に見ても歴史上初の非常にリスクの高い作業です。しかし、そうして危険を冒して取り出したところで結局行き場はない。原発施設内の共用プールで保管するしかないのです」
野晒しになる
原発が稼働し続ければ、毎年生じる使用済み核燃料は、合計で1000トンを超える。原子燃料サイクル施設の貯蔵プールはほぼ埋まっており、各地の原発の貯蔵プールも厳しい状況だ。柏崎刈羽原発はあと約3年分、浜岡原発は約6年分しか、自らの使用済み燃料棒を保管できるスペースは残されていない。海外での最終処分という案もある。しかし過去、モンゴルの最終処分場での処理計画はモンゴル政府から拒否され、ロシアなど、国内への放射性廃棄物の受け入れを禁じている国も多い。
結局、日本で生まれた原発のゴミは自国で責任を持って処分するしかない。地下に埋める処分場がない以上、どこかの地表に置かざるを得なくなる。最初は国有地などで隔離され、管理されるだろう。しかし、それが当たり前になれば、増え続ける放射性廃棄物は溢れかえり、日本の各地に広がっていかざるをえない。そうなったとき、全てに管理の手が行き届くのかどうかは疑問だ。
究極的には、放射線をまき散らす高レベルの放射性廃棄物が、山林や海に投棄された廃車やドラム缶のように、野晒しにされた光景が現実のものになるかもしれないのだ。最終処分場の問題について、原子力委員長代理の鈴木氏に尋ねたところ、何とも頼りのない答えが返ってきた。「最新の科学的知見を踏まえ、処分場の選定を見直す作業を経産省で行なっています。科学者の中でも候補地は見つかるという議論をしていただくことが大切です」
地層処分以外の方式も、かねて考案されてきた。海洋投棄や宇宙投棄などの方法だ。しかし、前者は193年に国際的に禁止され、後者はコストの面の問題や、事故災害の可能性もあり現実的ではない。獨協医科大学教授で放射線衛生学が専門の木村氏は言う。「福島第一原発周辺には、どう除染しても人が帰れないほどに汚染された地区がある。そこを最終処分場にするしかない。帰宅困難な被災者にとっては辛いことですが、帰れないものは帰れないと伝え、未来に向けて歩き出すしかないのです。
しかし現状では、効果の低い除染を進めてポーズだけを示し、政府は年間の被爆許容量を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトまで上げようとしている。正気とは思えません。10万年後までに技術が進歩し、放射性廃棄物の処分の問題が解決するという人もいます。しかしそれは、人類が銀河系の外に飛び出す『スタートレック』のような世界を持ちましょうという話。原発を止めるのとどちらが現実的なのかは、誰が考えてもわかることです」これ以上、ツケを将来に回してはならない。
『週刊現代』12.7
秘密保護法案 指定対象絞り「原則公開」確実に
◆参院で文書管理の論議を深めよ
日本にも他の先進国と同様の機密保全法制が必要だとの意志が、明確に示されたと言えよう。安全保障に関する機密情報を漏洩した公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案が、衆院本会議に緊急上程され、自民、公明の与党とみんなの党など議席の7割もの賛成多数で可決、参院に送付された。法案修正で合意していた日本維新の会は採決に反発し、退席した。維新の会が賛成票を投じなかったのは残念だが、与野党の枠を越えた多くの支持によって、衆院を通過したことは評価できる。
◆日本版NSCと両輪だ
ただ与党とみんな、維新がまとめた修正案に対する審議は十分ではない。「知る権利」が制限されることなどへの国民の懸念が払拭されたとも言い難い。政府・与党は参院審議で、幅広い支持を目指し、制度の運用のあり方も丁寧に説明すべきだ。北朝鮮の核ミサイル開発や中国の軍備拡大など、日本の安全保障環境は厳しさを増している。
衆院国家安全保障特別委員会で、安倍首相が「国民の安全を守るため情報収集が極めて重要だ」と述べたのはもっともだ。安倍政権は、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版nsc)を創設する方針だ。同盟国や友好国と重要情報の交換・共有を進めるには、機密が漏洩しない法制を整えることが必要である。
日本版nscと機密保全法制は、政府の戦略的な意志決定に欠かせない車の両輪といえる。法案をめぐる最大の論点は、政府が恣意的に機密指定を拡大し、都合の悪い情報を秘匿し続けるという懸念が拭えないことだった。首相はそれを誤解だとし、指定範囲が法案の別表に限定され、かつ指定基準も有識者の意志に基づくなど恣意性を排除する「重層的な仕組み」だと主張した。
特定秘密は原則30年で解除される。内閣の承認を得て指定が継続されたとしても、暗号や情報源など7項目の例外を除いて「60年は超えられない」と修正した。首相は30年を超えて指定を継続する情報は、7項目に限ることを基本とするとも表明した。審議を通じて、政府の考え方が明確になり、指定期間もより限定的になったのは確かだろう。
◆恣意的判断の排除を
それでも官僚機構は、「事なかれ主義」の発想で秘密指定の対象を拡大し、解除にも慎重になることが予想される。現在、政府が保有する特別管理秘密文書は42万件にも上っている。その9割は日本の情報収集衛星に関する情報だというが、特定秘密に移行する際は、さらに対象範囲を絞る努力をすべきである。特定秘密が大量になれば、政権交代や内閣改造によって行政機関の長が変わっても、秘密指定をいちいちチェックし、解除することは物理的に難しい。官僚が特定秘密を抱え込まない仕組みを工夫することも肝要だ。
秘密指定の妥当性を検証する第三者機関の設置について、首相は米国の国立公文書館にある情報保全監督局などを参考に、設置すべきだと考えていると答弁した。部外者が特定秘密をチェックするのは無理がある。情報漏れのリスクも生じる。第三者機関を設けるならば、米国にならって行政の内部組織の方が適切だ。修正案で、秘密が排除された情報は、一定期間後に原則公開とされ、後世の検証が可能になるように改善されたと見ていい。
文書の公開や保存、廃棄のあり方は大きな課題となる。民主党が主張するように情報公開のルールを整備し、機密をめぐる訴訟で裁判所が対象文書を見ることを可能にするのも一案ではないか。国会の特定秘密への関与については、与野党が秘密会の運営など議員立法で規定すべきだ。
◆「知る権利」どう担保
法案には取材、報道の自由への配慮が明記された。報道関係者の取材行為は違法または、著しく不当でない限り、罪に問われないとした点は前向きに評価できる。一部の野党がこの法案を「国民の目と耳、口をふさぐ」「国家の情報を統制し、日米同盟への批判を封じ込める」と声高に非難しているが、これは的外れである。だが、公務員が萎縮して取材に応じず、報道機関が必要な情報を伝えられなくなる恐れは残る。安全保障のための機密保全と知る権利のバランスをどうとっていくのか。この問題も参院で掘り下げるべきテーマだろう。
『読売新聞』11.27
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