子の年齢:5歳3ヶ月
ちーちゃんは、人にはテリトリがあるということをあまり理解してないみたい。 他人同士で許容される接近距離っていうのがある。 これは暗黙的に決まっていて、それを超えて近づいてくるときは、何か理由があると理解される。
ちーちゃんは時々、知らない人に10cmまで接近することがある。 その都度教えてやるのだが、テリトリは皮膚感覚でわかるものなので、頭で考えてテリトリを守るのは難しいようだ。
そういう訳でちーちゃんは、意図せず、なれなれしいヤツだと思われている。
ある日銭湯で、同い年の男の子に会った。 偶然ばーちゃんが、「ウチの孫と同い年なのに、大きいねー。」なんて話をしていたところにちーちゃんが来合せたので、ちーちゃんは既に友達になった気になっている。 背中をツンツンつついたり、一緒に泳いだり、とにかく体に障る。 相手はちょっと迷惑そうだ。当たり前だよ!
「体を触っていいのは、仲良しのお友達だけだよ。」 「知らんかったもん。」
さんざんつきまとった挙句、彼が上がってしまうとサッサと存在を忘れ、一心に自分の身の回りのことを始めた。 彼は一旦外に出て、バイバイを言いに戻って来た。 ちょっとはにかんだような顔で、手を振っている。 ちーちゃんは、きょとん、としている。
親しげなそぶりを見せて、その実なんとも思ってないのだ。 そういうとこ、パパにそっくりだよ、ちーちゃん。
子の年齢:5歳3ヶ月
年長さんになってから、急にお話が上手になった。
ある日こんなことを言った。 「やばいやばい。木曜日の7時に22チャンネルで、巨大ワニが入るから見なくちゃ。ユウちゃんと約束した。」
いつ、どこで、なにが、どうする。といった文の基礎が完全に出来ている。 ただ、22チャンネルってものがないので、そこだけユウちゃんのお母さんに確認すると、 「ユウは教育テレビが22チャンネルで入ると勘違いしている。」 とのこと。教育テレビで木曜の7時に巨大ワニの番組を放送したのは、事実らしい。
へー、ちゃんと通じてる!
ユウちゃんのお母さんも、 「ユウがちーちゃんのウチの引越しの話をしてた。」 とのことで、子供同士でコミュニケーションが完結していることがわかった。 ユウちゃんとウチのちーちゃんは月齢がほぼ同じ。 時期が来ると自然に出来ることってあるんだ、と実感。
子の年齢:5歳3ヶ月
夕食の後、ちーちゃんが何か一生懸命作っている。 保育園で作ってきた、折り紙を渦巻き状に切るのを、マネして作ってるみたい。
しばらくして 「ね、『げ』ってどう書くの?」 と訊くので、 「どこに書くの?」 と聞いたら、何かお手紙書いているみたい。
しばらくして、 「ママ、目をつぶって。」 とさっきのお手紙をくれた。
ままエ おりがみでつくったうづまきおあげます
最後にはピンクのハートが書いてある。 このハートは ラブ って読むんだって。
こんな長い文を自分で考えて、ひとりで書いてくれたんだ。 成長したなぁ。
子の年齢:5才3ヶ月
4月になってから、朝になるとお腹が痛い、と言うようになった。 切迫した感じでもないので、トイレに行けば治るだろ、ぐらいに考えて保育園に行かせていたが、お昼に保育園から呼び出されてしまう。
「お医者さんに行こうか?」 「注射はいやだ〜。」 「注射するかどうかわからないよ。どうしてお腹が痛いのか調べないと。お腹痛いんでしょ?」 でもやっぱり、あんまり切迫した雰囲気はない。
午後の診察を待つ間に、私がお昼ご飯を食べることにしたら、ラーメンを1/3ぐらい横取りされてしまった。 「ねえ、本当にお腹痛いの?」 「うん。」 嘘をついている訳ではないようだが、胃腸が悪いのでもなさそう。 熱もなく、おやつも夕食ももりもり食べた。 ところが朝起きるとまた、 「お腹いたい・・・。」 な〜んかオカシイ。 「ね、保育園行くのイヤなの?」 「・・・。」 「先生がイヤなの?お友達がイヤなの?」 「先生はイヤじゃない。お友達は好き。」 「なんか、『がんばりノート』貰ってから、頑張ってない?」 「・・・。」 図星か☆ がんばりノートというのは、ちーちゃんが頑張ったことをほめるためのノートで、「字の練習がんばりました」などと書いてキラキラシールが貼ってもらえるものなのだ。 このノートのことをずっと楽しみにしてたはずなのに、既にプレッシャーになってしまっているらしい。
「がんばりノートは、頑張りなさいノートじゃないの。ちーちゃんの一生懸命をほめるためのノートだからね。」 ちーちゃんはちょっと、ほっ、としたみたい。 今日は登園途中にお腹が痛くならなかった。
2009年04月06日(月) |
空っぽ頭で考えることは |
子の年齢:5歳2ヶ月
桜が満開に咲いた春の光の中、お気に入りのNARUTO疾風伝のOPを聞き、登園の途中でちーちゃんが何やらつぶやいた。
「大人になっても、タバコもビールも飲まんで、じいちゃんに近くなってもタバコもビールも飲まん。」 「タバコもビールも飲まないの?」 「うん。」 「どうして?」 「健康に悪いから。」 「健康に悪いことはしないの?」 「うん。」 「じゃあ天気のいい日に家の中で、ブロック遊びとかテレビばかり見ているのは健康にいいの?」 「わからん。」
健康かあ。 今のままでもキミは充分健康だと思うのだが、ちっぽけな頭をフル稼働させて考えた、唯一の真なるものが、「健康」だったんだろうなぁ。 健康こそが正義であり、健康こそが世を制するのだ。 がんばれ、ちーちゃん。 他人に頼らず、「クウキ」に流されないその生き方が、最後の砦になる日も来るかもしれない。
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