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2003年11月20日(木) 帰り道は少し遠い

たぶん、これは気のせいではないのだけれど 年々、弱くなっている気がする 以前は、自分の意思だけでよかった 得たい答えを導き出したら、あとは簡易な式を組み立て、一気に織りあげる 一人でいてよかった それが、段々、そのような式のことを乱暴だと思うようになった 簡易な式を選ばずに、組み立てるものは複雑なものでなくてはいけないと思い込み、目の前にある答えに向けて慟哭をしながら、地団太をする 無駄を必要なものに、しようとしている 外側を気にして、内側に納得を強制する こうやっていくうちに、いつか、あたしは一人ではいられなくなって、空にむけて手を伸ばし、あらゆる伝達をとばすのだろう それは、なんて醜い もう、その頃には、こんなふうに感じる自分はいないのだろうけれど あたしは、今、あたしになりたい

2003年11月16日(日) ＮＰＣ

高２からネットをやっている メールアドレスとＨＮはコミュニティごとに変えていて、どのメールアドレスもどのＨＮもまだ生きてはいるけれど、それらの相手をしていてくれた人は、さらさらと次々に消えていっている そしてあたしも、どのコミュニティに重きを置くかを、次々と乗り換えていっている 少しでも遅れたら独りになるから、丈夫な足のたくさんある椅子を、どれか切り落としてもまだ安定感のある地位を、次々とつくっては、落としている 初めてネットにつないだときに入ったチャットでいきなり割礼について２時間近く語り合って、お互いを刺激する議論を何よりも好んだ、人 戻ってきたらまた声をかけるからね、そう言われたけれど、未だ声はかかってこずたぶんもう遭遇することのない、人 ゲーム作成に熱をもっていた頃に色々と知識を分け与えてくれた、人 ネットにあがればとりあえずその人だけはいつもいた、そんな存在であった、人 あたしの考えを突飛だといっておもちゃのサルみたいに手を叩いて笑っていた、人 みんなみんな、消えてしまった 落下して、色々な方向へいってしまった ２０年後３０年後も、あたしこうやっているなんて、想像はつかないけれど でも、もうすこし、もうすこし、あたしまだ消えなくてもいいかな まだこうやって、浮遊していてもいいですか しばらく、たわいもないおしゃべりや当時の自分たちにとって深刻だった問題や議論のかかれたメールの件名を眺めたあと、目を閉じて俯いて、メールボックスの画面を閉じた

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甘えた関係
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