Desert Beyond
ひさ



 五月も終わりで

昨日よりさわさわと吹く風の強めな日だ。
そしてあまりにも爽やかすぎる一日。
大学はなんだか静まり返っていた。
人はいないわけではないのにやけに静かだったのだ。
珈琲を淹れた。
仕事をした。

Bagle Sandwitchを食べた。
2階の生協で売ってたんだよね。
以外に結構おいしかった。
ハムとチーズとレタス。
アメリカにいるときはベーグルばっかり食べてた頃があった。
オニオンベーグルが一番好きだった。
安くおいしいベーグル売ってるところがあればいいのに。
自作をする時間もないから。

のだめを観ようかと思ってたのに
もう今から家に帰ってもちょうど終わった頃だよ。
先週も帰れなくて観れなかったんだ。
先週はそれはそれでよかったんだけど
今週はなんだか損をした気分になる。

今日の空気は冷たい。
雲は冬の雲のようだった。
宵の明星は
暗くなった天空に針で穴を空けたかのように
鋭い光を見る人々に投げかけていた。
初めは雲にかくれていた満月になりかけの月は
あまりにも眩しく
長い間見ていると目を傷めてしまうと思った。

ため息をつくと幸せは逃げるのか。
微笑むとそれだけ優しさに包まれるのか。
早くベッドの上で目をつむりたい。
そうすればSandmanはやってきて
いつの間にか僕は眠りに落ちるのだ。

May Fair 風は薫る


2007年05月31日(木)



 きっとこんなもんだろう

昔から隙間というのは良くないものとされてきた。
冬には隙間風が入る。
心の隙間には魔が入る。
隙間を作るのは良くない。
隙間なんてできる余地がないほどに
何かに打ち込めたら
なんて人の生活は楽なものになるだろうと思う。
煩悩で迷うことや脇目を振ることもなくなる。
ここまで書いておいて言うのもなんだけど
隙間なんてどうでもいいのかもしれない。
そんな隙間を気にする事が心の隙間なのかもしれない。

人と人とのつながりなんて
いとも簡単に壊れてしまうものなんだなと思った。
そんなものだよなぁ。
今までの人生をここで振り返ってみれば
そんな事は珍しい訳でもないのかもしれないな。
哀しいけどね、それが現実なのかな。
どっちがどっちでも傷ついたりするんだろうな。

僕は朝から晩まで大学の4回生部屋というところにいる。
北向きの部屋で、僕の机は北向きの窓際にある。
北西には20分で登れる山が見える。木々は青い。
飛んでいる燕や白鷺も見える。
中途半端に西に落ちる夕陽も見える。
向こうのマンションは夜になると
電気のついているところとそうでないところが
はっきりとおかしな模様を作っていて
僕はその模様に意味があるんじゃないかと
どうしても思ってしまう。
自然にその模様の意味を考えてしまっているのだ。
しかしそこに意味などはない。
あのマンションに住んでいる人は
隣の住人が電気をつけているかどうかもわからないのだ。

ねえ、もうすぐ明日がきちゃうよ。

平気な振りをすると必ず反動がくるものだ。
その反動をも抑えようとすると
きっともっと大きい反動がくるのだろう。
心までニュートンの法則に支配されているかのようだ。
ずいぶん昔に言ったけど
矢張り世界は振動しているんだよ。
向こうに振れたらこっちに来る。
必ずね。

手前だけ電気を消して
奥側だけ電気をつける
それが節約。
なるほどと思って真似をする。
何ももたらすことのない真似。

今日の昼間は暑くてね
それでも突然迷い込んだ石を運ぶ雑用。
重労働を汗をかきながらこなした。
ちょうど日は西に傾きだして街を薄黄色に照りつけていた。
北向きの机につき
なんとなく坂本龍一のBTTBを聴きだした。
一曲目の「opus」
遠く真っ白い布団が3枚並べて干してあった。
それら布団も近くの木々も午後の風に吹かれて揺れていた。
音と眩しい光景がその数分間だけ心を癒した。
なんだか時はひどくゆっくり進んでいるようで
それに合わせて風に揺れている街もスローな光。


2007年05月30日(水)



 誰もいない芝生で

学内の敷地の南西にあの建物が建つ前は
あの辺には青々とした芝生が広がっていたのだ。
全部忘れてしまうよ。

カナブンがズボンのすねの辺りにくっついていた。
きっと自転車で走っていたときに
ちょうどカナブンも飛んでいて
出会いがしら的にぶつかってしまったのだろう。
緑色をしていて、特に居心地が悪そうにするでもなく
黙り込んでじっとしていた。



激しくて
切なくて
優しくて
綺麗で
熱い
それがくるり。

今日、山に登ろうとした。
松山の街は黄砂で覆われているうえ
ぼんやりと曇っていてひたすら蒸し暑かった。
ここから山を眺めて
何度も何度もばらの花を聴いた。
夜にはSuperstarを10回くらい聴いた。
虹色の天使も何度も聴いた。

家にいる意味がなくなってしまっているからか
家にいながらうまくくつろげなくなった自分に気づく。
かつて腕を鳴らした企業戦士のおじさんが
定年退職をした次の週はきっとこんな感じなのだろう、と思った。

石を3つ切った。
パワーカッターは道後まで聴こえてしまうかのような
重く鋭いつんざく音で唄い
朝飯前かのようにじゃりんと仕事をこなした。

本気でわき目もふらない。
ふりやしないのさ。

小説の無駄に長い描写が鼻についてしまう。
こういうときは読まないほうがいい、と
本を横に置いてこの部屋で昼寝としゃれ込んだ。

写真は全部昨日のもの。
日が沈んで少したった街。
こんな時街はそわそわして夜の仕度を急ぐ。
夕闇がやってくる前の瞬間。
ビリージョエルのSTORM FRONTというアルバムの内表紙に
Uptownの上空から南に見た夕暮れ後の写真が載っている。
昨日の街の風景はあの写真と似ていた。

アーサー王って人はすごい人なんだってさ。
そして湖水地方って綺麗なところなんだって。
イギリスの事に疎い僕。
冬に白地に青の水玉の傘をさしたら寒いよね。
だから冬にはオレンジ色の傘をさせば良いのさ。

僕がいるのはね、4回生部屋なんだ。
大学の。
ここはがらんどうでさ、23個机があるのにね
私物を置いてちゃんと来る人は9人しかいないんだ。
僕の机の周りには石がごろごろっとしていてね
その内のひとつには苔を乗せているんだよ。
うん、昨日山行ったときに取って来ちゃったから。
僕はこの部屋でカスピ海ヨーグルトを育て
石を置き、長靴を置き。
あぁ、もう眠くなってきちゃった。



forgot to say I'm fulfilled

2007年05月27日(日)



 ジンジャエール

愛媛県の中高校教員対象の
地球科学野外実習プログラムのTAをしてきた。
一泊二日。昨夜は飲んだ飲んだ。
愛媛大学地球科学の一期生の人とか
三期生の人とか数年前に酒研にいた人とか
同じく数年前にアンモ研にいた人とかね。
高校の校長先生と息があったり。
校長先生が別れ際に
「また飲みましょうね」てにっこりして言ってくれた。
バイト代とね、食費がプラマイゼロくらいでさ
結局得たのはお金じゃなく、人間関係と知識だった。
幸せな事だ。
色々書きたいけど眠いので明日にするよ。

僕はどうにも臆病で
虹色の天使なんかにはなれやしない。
でもね、すごくすっきりしたよ。

だけどこんなに胸が痛むのは
何の花に例えられましょう


山の東の麓では
夕闇に紛れて花の香りがした
僕らは香りの元を探しあてたくて
近くの花の香りをくんくんくんとかいだ
まるでお腹を空かせた耳の垂れた犬が
夕飯の準備の美味しそうな匂いをかぐときのように
残念なことに香りの元は見つけられなかった

ジンジャエール。
ウィルキンソンの。
それが好きなんだ。
ぴりぴりしてもね。
1瓶74円。
しゅわってするのさ。

もう寝落ちしそう。
書いている途中に2回くらい一瞬寝ちゃった。
もう寝るよ。


2007年05月26日(土)



 rain or shine?

今日は蒸し暑い曇り。
昨日とは大違いで風も吹かず空もどんより。

なんだかカラカラ回る今日この頃。

今年初めに見た占いとか
今年引いたおみくじとか
あはは、まさかー
と思ってたことが
今になってガッチリ当たってるんだよなぁ。

最近はMamaraid Ragばっかり聴いてる。


松山の街に雷がきている。
この湿気や
雨の降り方や
広範囲に低く響く雷の鳴り方は
まるで真夏のようだ。
夏はすぐそこまで来ている。


近い日の思い出は 記憶の
曖昧さに薄まるのが常だ



2007年05月18日(金)



 降り注ぐ午後の光のように

石を削るだなんて、正気か君!?

今の学校に入らなかったら
きっとそう思っていた事だろう。
現に過去の自分を想ったとき
そこいらの岩や石や砂や泥を
ハンマーやらで取ってきて
それを削るだなんて想像すらできなかったと思う。

石を削る部屋を薄片室、という。
今、僕にとって薄片室は癒しの空間。
夜な夜な大きな音で音楽を聴き
グラインダーを回す。
ごう、と響き続けるターンテーブル。
研磨粉を振りかけ、水を弾き
岩石を削る。
じゃりーんがりがりがり。
そう。一心不乱にするのだ。
回る轟音、流れる良音。
外はただ闇が広がるのみ。
非常階段を往くのは誰かだなんて
知る必要もないのさ。
そこはまるで無念無想の境地。
頭の中の様々な煩悩や苛立ちや不安は
石と共に削れていく。

川嵜じいさんを囲む会だった。
誰よりも歩くのが速いじいさん。
今日初めて入れ歯を入れたじいさん。
入れ歯と歯茎の間に
物が挟まって気持悪いと弱気なじいさん。
二次会に参加せずごめんね。
川嵜じいさんは帰ると言ったが
院生と4回生二人と4回生部屋に入ってきた。
4回生部屋では女の子が一人で勉強していた。
院生が、さあ二次会をやろうと言った。
僕は、勉強している人がいるので、と言った。
院生が、だって一人でしょ一人なんやからええやん、と言った。
良識も思いやりもない言葉に
大人気なく怒ってしまった。
ひとりならいいのかよ、と言ってしまった。
4回生の友達が一人、一緒に院生に対して怒ってくれた。


今日こそは早く帰ろうと思ってたけど
結局0時を回ってから漸く帰る段に。




透き通るグラスの水のように



2007年05月17日(木)



 Rien n'est plus vrai que le café.

ここ最近わざと自分を忙しくさせている。
かつて暇は哲学と芸術を生んだ。
そして暇は哲学と芸術を育んだ。
今、芸術は余暇で育まれようとも
暇がサイエンスを育むことはない。
Work hard, people (Adam Burrows)

そんな訳で僕は年中大学にいる。
論文を読む。
石を削る。
珈琲を飲む。
顕微鏡を見る。
外を眺める。
論文を書く。

昨日は朝の5時頃家に帰った。
ほんの少し寝るためだけに帰ったようなものだ。
夜は明けてしまった。
通学路沿いに流れる川。
堆積する石や砂を見ながら自転車をこぐのが決まりだ。
ふと目をやると
一生に一度も見たことがない鳥が川で漁をしていた。
藤色の縁取り
薄墨色の羽
黒く鋭い嘴
銀ねずのしなやかに細い冠。
その鳥は見事に大きめの魚をその嘴で捕らえた。
魚はぱたぱたと暴れていたが、それよりも激しく
その鳥は魚を振り回すように何度も首を振った。
今までに見たことのない綺麗な鳥を
ぼーとした徹夜の頭で眺めていたら
いつのまにか鳥は魚をもぐもぐしながら飲み込んでしまった。
次の瞬間を僕は見逃さなかった。
なんとその鳥は舌なめずりをしたのだ!
チラリとこっちを向いて。

まあそれはそれとして。

15日。朝出勤。
雑用が増えまくって
しかもスケジュール表がないと
いつか予定をすっぽかしてしまいそうなくらい
色々と予定が入ってきた。
マルチな人間を目指す。

明日は川嵜さんを囲んで4階の憩いのスペースで飲み。

昨日家庭教師の会社から電話がかかってきた。
例の勉強のできる高校の生徒の件。
お母さんは気に入ってくれてるものの
生徒がやり方が合わないとの事で
一言で言うとクビなんだ。
前にも書いたが家庭教師は概して言うと塾講より楽だ。
厳しいのは保護者と生徒の要求を満たさないとならないところ。
はぁ。
しかも次の講師が決まるまでの2,3回
まだそこに通わなくてはいけないのだ。
昨日の今日での今日の授業は辛い。
大人だからさ。頑張ってこうよ。
うん。

今日、モアイで海外のビールをそれぞれ買って
5人で城山に行ってきた。
そう、午後23時頃帰ってきた。

何だかね、色んな事がごちゃごちゃしてきたんだな。
エントロピーの増大。



ねえ、コーヒー以上に真実なものはない。

2007年05月16日(水)



 愛なき世界

涙の行方どうでもいいかい
僕は拾うよ傷つかないように

今週は色んなことを教えてもらったり進めたりして忙しかった。
昨日はアルコール消毒をしに8人で裸の王様へ行った。
生大は王様の証さ。
5杯半がぶがぶがぶ。
その後カラオケに行きたいという人が多くカラオケに。
カラオケが終わる頃には僕の頭も終わってました。
大学に戻ってきたらいつの間にか3人になっていた。
あまりおぼえてないけど麦焼酎を飲まされたと思う。

一人で5階へ続く非常階段の踊り場の
手すりの上に寝ころがって夜空をみていた。
そこでは寝ていない(と思うけど忘れた)。

気づいたら寝ていたみたいで2人は帰るといって僕はソファに。
僕が何故帰らなかったのか自分でもサッパリわからない。
ソファでひたすら寝た。
起きると喉が痛かったので
白衣を掛け布団がわりにかけて、また寝た。
何がどこに向かっているのか
誰がどこに向かっているのか
そういう事がよくわからなくなってきた。
だからという訳でもないが15時まで4回生部屋のソファで
丸太のようにひたすら寝続けた。
起きて目をこすってからメガネをかける。
頭の中の濃い霧は思った以上に晴れていた。
ぼんやりと外を眺めて
研究しよ
とつぶやいた。誰もいない部屋。曇りときどき晴れ。

夜、城山へ。
貪欲に登るのだ。
ワンダーフォーゲル。
つながらない想いを土に返そう。

大学へ戻り薄片室直行便。
コア8本研磨完了。
1本だけやんちゃな子がいて
磨くとボロボロこぼれてどうにもならない。
先日フィールドに行ったときに
サンプリングした輝石ホルンフェルス。
薄片作りと顕微鏡観察の練習用にしようと思ってる。
2000番まで一気に仕上げた。

研究をがんばる仲間がいるともっともっと頑張れる。
人は一人じゃ生きられない。




2007年05月12日(土)



 あげそば大盛り450円

前も書いた事があるかもしれないが
大学理学部の裏通りの一本東の道は
通称貧乏どおりという通り。

そこには貧乏に優しい飯屋が4軒ある。

そのひとつが泰州。
食べたよ、あげそば大盛り450円。


朝から晩まで研究して
あくせくしている。
夜中に家に帰ると
ころり、と眠ってしまう。


2007年05月11日(金)



 Evergreen

今月の末辺りに小中高教員対象の巡検(フィールド調査)があり
そのTAをさせてもらうことになったので
今日依頼主と先生についてフィールドの下見に行ってきた。
相変わらずフィールドってのはウキウキ。

輝石ホルンフェルス→変質安山岩→ダイアトリーム

僕らの先生は結構誤解を受けやすいタイプだと思うけど
やっぱフィールド出るとなおさらすごいなぁ。
露頭(岩石なんかが露出してる崖とか壁)を見たときに
見たものから得たり推定したりする情報量と
その論理性には本当に頭があがらない。
しかし弘法師鉱山跡が見つからず、諦めの悪い先生は
熊のように山の斜面やらをさくさく探し回る。
そんな先生a.k.a.熊@斜面。
ずるっ。
コケました(苦笑

山は新緑と深緑。
深緑の針葉樹に覆われた山の遥か上方に
1本だけ新緑を湛えた大木が見えた。

やたらとよく揺れるバンだった。
最後の方疲れたなぁと車中でウトウトしていたら
カーブで吹っ飛びそうになった><

渓流のせせらぎ。
稀に上流へ矢のようにひゅるひゅる走る魚影。

大学には15時過ぎには帰ってこれた。
そんな訳で研磨片を樹脂でコーティングする事ができた。

夕方からバイト。
プログラムを教えようとしたら
微分の宿題をやりたい、と。
ホントにプログラミングの方はだいじょぶなのかよー!
と思ったけど「ダイジョウブデス」と言うのでいいか...。

おなか空きまくってバイト先から直で大学へ戻る。
テフラのお姉さん2人はご飯を食べたというので
水蒸気爆発のお兄さんことつこさんと例の貧乏通りへ。
そして例のカレーを食べる。
いつも残り1/3くらいになって注文したことに後悔するのは何故か。


2007年05月08日(火)
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