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〜 女房の呟き 〜
■□■



 いく年、くる年

あと僅かで年が改まる。
暦が変わる。
カレンダーを掛け替え、祝いの酒を調える。

もちろん、禍福の巡りは暦に支配されず、
新しい暦が全てを拭いはしないけれど。
それでも、この一年を労い、またの一年を祈る。

それは、人が生き抜ける知恵だ。

まずは、
連綿と紡がれる時の流れを区切ることが出来る幸せに、
思いを致そう。

2001年12月30日(日)



 たびびと

人はみな旅人なんだと誰かが言った。
あぁ、そうだね。
キミも私も旅をしている。

人生って川の流れだと誰かが言った。
あぁ、そうだね。
みな、河口に向かってく。

河口に流れ着くために、旅をしてるのかい?
いや、違う。終着点が河口なだけサ。
だから。

先を急ぐ旅じゃない。旅をこそ楽しむ旅サ。


やぁ、雲も流れていくねぇ。


2001年12月28日(金)



 ひねくれもん

オダサンよりもスズキサンが。
タニムラよりもキンチャンが。好きだった。

オオタカクンよかコスダクンが。
ウエスギクンよりもダンタクンが。好きだった。

エギトシオよりもキタコウジが。
コダイススムよかサナダシロウが。好きだった。

思い出すまま。順不同。

ヒーローはお呼びでないのヨ。
そう、私はひねくれもん。


2001年12月27日(木)



 署名のチカラ

大好きな人にメールを出す。
一年ぶりに。緊張したよ。
宛名は彼女の通称にした。

返信が届いた。
引用をまるまる残し、簡単な言葉が添えてある。
あの人らしいや。

ふと、気づく。
差出人名が本名だ。


コレハドウイウツモリナノ?


動揺してしまう。

あぁ、名字を戻したの?
・・・見慣れない名字。懐かしい名前。

泣きそうだよ…。

2001年12月26日(水)



 才能のないオンナ

クリスマスブーツの菓子を喰いながら、
テレビに映るアニータの豪邸を見る。

漫画みたいな彼女の身の上を面白がりながら、
しかし、
羨ましい気もするゾ?

男が女に金を出すのは当たり前デショ
と言い放てるのは、
そりゃ一種の才能ダ。

嗚呼!
才に恵まれなかったワタクシは、
貢いで貰えないオンナ。

菓子をまた囓る。

2001年12月25日(火)



 馬鹿正直なサンタさん

プレゼントは何がいいかと訊かれたので、
ブーツに入ったお菓子と答えたら、

なんとまぁ、
真っ正直にそのものずばり、頂きました。
クリスマスブーツ(!)

ええ。そう望んだのは、アタシデス。
けどナンカ、可笑しいような情けないよな。

むーん・・・
かくなる上は、来年は、
ダイヤモンドの詰め合わせをお願いするワ(笑


2001年12月24日(月)



 質量保存の法則

重い荷物を手に提げてると、
手が痛くて辛いので、肩に背負うことにしました。

手は痛みから免れて楽になったけど、
やがて、肩が抜けそうに辛くなりました。

そこで、今度は引きずります。
肩は抜けずに済んだけど、次第に腰が辛いのです。

遂に荷を放り出し、
楽になった筈の私の胸は、
同じ重さに潰れそうになりました。

2001年12月21日(金)



 アマサズオイシクイタダキマス

恥シラズなワタクシは、
嘘でも世辞でも追従でも、
褒められるのが大ッ好きだ。

ソーダロソーダロとイイ気になって、
ココロニモナイコトを…なんて疑わない。


時折、子に菓子を与えるように夫がくれる褒め言葉も、
一言残らずイタダキマス。

「少しは謙遜したらどうよ?」
と夫は呆れ顔なのだけど、


そんなぁ…勿体ないッ。

2001年12月20日(木)



 安住の地

さぁ、おいで。彷徨える者よ。
お前を慈しみ、護ってやろう。
ここは安住の地。

ここにあれば、
お前の弱さもだらしなさも、即ち、
お前が紡ぐ愛しい風景となる。

安らかにお休み。
けれど、夜が明けたら、
再びの苦悶がお前を襲うことだろう。

でもね、怖がらなくていいのよ。
それは、この地に注ぐ雨のようなものだから。

2001年12月19日(水)



 ジブンでアソブ

おしゃれは楽し。

靴に帽子に鞄に手袋。
ストール、ブローチ、イヤリング。

ぬりえの隅の隅まで、彩らずには気が済まない。
そんな子どもじみた執着で(笑)
人待ちの間にさえも爪を直す私に、友人が溜息吐いた。
ホントに好きなのねぇ…

えへへ、そうなの。
私は、私のリカちゃん人形。
ひとり遊びは止めらんない(!)

2001年12月18日(火)



 ワタシのために

苦しんで頂戴。
クルシイクルシイと顔を歪めて。
そうよ、だからキミといる。

痛がって頂戴。
イタイイタイと体捩って、縋り付く。
そうよ、だからキミといる。

哀しんで頂戴。
ボタボタと泪零して、項垂れなさい。
そうよ、だからキミといる。


苦しみ、痛がり、哀しむキミは可愛い。
愛おしくて、胸が痛いよ。

キミと同じに。

2001年12月17日(月)



 ソーリー ・ マミー

ワタシが、ヒトの生命誕生の秘密に気づき始めたは、
小学4年生の時のことだ。
女の卵子に男の精子が合体して、ヒトの卵が出来るらしい。

でもサ。
素朴な疑問。
どやって合体させるんだろ?

だから、母に訊いたのネ。
しかも、人前で。大声で。


「男の精子をコップに入れて、女の人が飲むのかな?」


・・・実話である(笑)


2001年12月14日(金)



 女スパイにナリタカッタ

本当に本当にマジな話なんだけど、
ワタシ、スパイになりたかったのね。

大学の頃までは、真剣にそう思ってた。
どなた様にも、大笑いされそうだけど。

んが、マテヨと。
女スパイってのは、容姿端麗、眉目秀麗が必須かなと。
諦めた。

あぁ、でもね。
今でも密かに夢想する。
色仕掛けで、機密情報を聞き出すワタシ。

2001年12月13日(木)



 続・白河夜船

短いメール。

「今夜電話していい?」
「いいわよ」

しかし、電話がかかる事はない。
けれど、キミは安らかに眠るだろう。
あれは、ささやかな懺悔?
いいよ、お休み。


「弱い男は嫌い?」

先の宵。

「いえ、寧ろ好き」
「一晩中抱いててって言ったら?」
「腕枕じゃなきゃOK」

その夜のキミの夢枕、
キミは私に抱かれていたろうか…。


2001年12月10日(月)



 白河夜船

吉本ばななの小説。
添い寝を生業とする女が登場する。
虚構ながら、憧れた。

交わることなく、男と同衾する。
「ばく」さながらに、
女は、男の悪夢を喰む。

疲弊しきった男にとって、
安らかな眠りを得る事こそが、至福なのだ。
哀れにも。

傍らに添う女の体は。
滑らかな肌も、ふくよかな乳も。
今や男のゆりかごとなる。

2001年12月08日(土)



 ワタシの基本

思いがけない人から、労いの言葉を頂いた。
吃驚したけど、嬉しかったヨ。

「あんなに丁寧に、人に気を遣ってて、
 疲れはしませんか?」

あら、そう見える?

「ありがとう。でもね、
 私は根本はとても冷たい人間だから、大丈夫」

そう応えた。


そうなんだ。
お為ごかしに気遣うのも、
実は、全て『ワタクシ』の為なのよ(笑)


2001年12月07日(金)



 直近発情乃記

*日前、古い奴隷が息も絶え絶えに繰り返した。

 コノママ、コロシテ・・・

*日前、身近な奴隷の背中に赤い筋引き、唇を吸った。

 アァ、スクワレマス・・・

*日前、半年ぶりの男。蝋燭二本分の露を浴び、喚いた。

 モゥドウニデモシテ・・・

そして今日。
未だワタクシ発情中。

男達の喘ぎ声が、熾き火のように燻っている。

2001年12月06日(木)
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