雑感
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2006年03月05日(日) エコノミック・ヒットマン

先日書評で紹介された、Confessions of an Economic Hit Man
(John Perkins)が届いたので早速読んでいる。
アメリカの覇権主義を担う「経済の殺し屋」の告白本で
1960年代以降のアメリカの対外工作が生々しく書かれている。

資源の豊富な貧しい国を傘下に治めるには、私企業による入念な
現地調査で経済見通しを立てて、世銀やIMFなどから大量の
貸付金が当事国に流れて(合法的に)、発電所や空港、鉄道など
の公共事業に使われる。それを建設するのは米系の企業で、
お金はそっくりアメリカに還流する。
そのあとには、借金と利息を返済しなければならないが、数年
後には、債務に押しつぶされて貧乏国はデフォルト。
債務は国民が負い、貧しいものがさらに貧しくなる。
そうすればエコノミック・ヒットマンには大成功。
彼らが、債務国の政府に要求するものは、国連の議決権、天然
資源、国家予算の配分にも口をだし、傀儡政権をサポートする。
政府の要人が首を縦に振らなければ、本物のヒットマンがでてきて
事故に見せかけて片付けられる。それも成功しなければ、本物の
軍隊が出動して、昔は反共産主義、今はアンチテロリズムの
スローガンを掲げて軍事行動に出る。

アメリカの覇権主義は、1800年代から始まっているという
記述には驚いた。
上に書いたことは特に目新しいことでもないけれど、他国を植民地
化するマニュアルがきちっと出来ていることに薄ら寒さを覚える。

日本は天然資源をもたないので、中南米諸国のような事態は
ならなかったが、国連議決権は完全に担保に取られているの
だろう。日本の戦後史を振り返れば、アメリカの属国になって
いるのがよくわかる。
幸い、憲法第9条のおかげで、自衛隊が軍隊化されるのが遅れて
いるのがせめてもの救い。

このような覇権主義でアメリカが豊かになっているかといえば、
カトリーナの例でみてもわかるように、国内の貧困層の状態が
浮き彫りになっている。ほんの一握りの人たちが豊かになって
いるに過ぎない。

こうした方程式が存在する以上、アメリカは間違いなくイランに
軍事行動をしかけるだろう。
本に書かれているが、アメリカを始めとする西洋人はなんで
そんなに欲張りなのだろうか。


Aqu |MAIL

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