雑感
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2002年09月30日(月) 切れ筋のいい空気と暖かな人たち

土曜から月曜までチロルにいた。
日曜日のチロルマラソンをわざわざ走りに行ったので。

ザルツブルグを過ぎると、急に険しい山々が目前に立ちはだかった みたいで、天辺には砂糖菓子のような白い雪が積もっている。 14時ベルグルに到着。小さめの駅に短いショッピングストリート が駅から直角に伸びている。
吐く息が白く、ウィーンから来た身にはナイフで切ったような 鋭い冷たさが肌を通ってくる。

地図を見ながらペンションに着く。住所はレストランになっていて 泊まる部屋があるのかしらと思ったが、店内の小柄な男性に尋ねて みると、「ああ、マラソンの人だね。」とスーツケースを私の手から 取り上げて階上へ案内してくれた。
一泊朝食付26ユーロだったから、期待はしていなかったのに、 通された部屋はぷんと木の匂いが満ちている。床も家具も真新らしい。 正方形の大きなベッドに白木の机・・

窓を開け放つとチロル の山々が窓に納まりきれないくらい脈々と続いている。険しい高さで はないけれど、陽光の中のふもとの空気のひんやりさから、冬の寒さの 厳しさが計り知れそう。

翌日の朝食は7時過ぎにしてもらった。夕食のせいでお腹が張って いたので、ハムもチーズも食べる気がしない。コーヒーとパン1枚を 無理やり流し込んだ。宿の主人が「マラソンがんばって!」とバナナを 1本持たせてくれた。
午前8時30分、会場へと向かった。


2002年09月24日(火) 冬が到来

朝起きて窓を開けたら、冷たい空気が流れこんできた。 温度計は9度を指している。
秋を堪能する間もなく、突然冬がやってくる。ウィーンでは 春と秋の肩身が狭い。衣類も冬と夏物さえあれば事足りる。

自転車通勤しているので、セーターの上にウィンドブレーカー、 ジャケットと重ね着して、手袋もはめる。手袋は指が第二関節 からオープンになっているので指先が冷たい。 レーサー用のロングパンツも先週注文したばかりなので、 到着するのが来週以降になるだろう。冬の勢いは強く、衣替え もままならない。

もう少し冷え込んだら、通勤ランをしてみようか。汗もかきにく くなるし、月間走行距離がぐんと伸びる。


2002年09月20日(金) トリエステへの誘い

先週バッハウマラソンの会場で、一枚のパンフレットをもらった。

トリエステマラソンの案内書だった。2003年5月4日と ある。あそこでマラソンだと、けっこうな坂道になるなと思って コース図を見たら、海岸沿いの道路2周だった。記憶を辿ってみると 平坦な海沿いの道路があったことを思い出した。一方の道はスロベニアに 続き、もう一方はベネチアに通じる。ずっと海を見ながら 走れるので、行ってみたいなと心が動くが、同月の後半にウィーン マラソンがあるのでちょっと無理かな。

7,8年も前のトリエステの海は翠色をして、北イタリアのどんより とした雲と対照的だった。雨が降っていたから。一瞬ウィーンの町 にいるのかなと錯覚するほどに、イタリアらしくない町。

ウィーン風のオープンカフェでテーブルに座って、パニーノとエスプレッソを 前に、海を見るのも悪くないと、パンフレットがおいでおいでをしている。

古い思い出をリセットするべく、気ままなひとり旅をしたくなった。


2002年09月17日(火) 遠征手配

チロル行きの宿の手配をしている。 1泊だけヴェルグルに泊まろうと思っていたが、ネットでマラソン参加者 のための宿泊手配を依頼すると、ことのほかお手軽な値段なので、 ザルツブルグに泊まるのはやめて連泊することにした。 トイレ、シャワー、朝食付で一泊27ユーロは安い。

週刊誌で最近流行のディスカウント航空会社が破格の料金で集客していると 読んだので、検索してみた。スロバキアのブラティスラバを本拠地にして 各国飛んでいる。料金も鉄道料金といい勝負。一例をあげるとロンドンは14ユーロ。でもこれはよほど運のいい人が入手できるだけ。往復170ユーロくらいで見つかれば儲けものだろう。

何故こんなに安いかというと、徹底的なコストカットのたまものらしい。操縦士から客室乗務員はスロバキアで雇い、オーストリアの人件費の10分の1に抑えている。発券業務もなく、ネットかコールセンターの予約をし、旅行会社を経由しない。機内サービスはなしにして経費を抑えている。

10月のローザンヌかバーゼル、ダブリン行きで手ごろなのが見つかればフルを走れるのになと思案しているひとときが一番楽しい。ただ、脚が回復しているかどうかあやしいけど・・・

低予算しかなかった学生旅行に戻った気分。


2002年09月15日(日) バッハウを走る

朝5時半に家を出てドナウのバッハウ渓谷で開催されるハーフの 部に参加してきた。フルは2000人くらい、ハーフは5000人 も参加があって、シャトルバスはずいぶん混んでいた。 走るのが好きな人が多い国だなと思う。

スタート時に大雨が降り、全身濡れねずみ。手袋もウィンドブレーカー も今日はいらないだろうと預け荷物にしたから最初はどうなること かと思ったが1キロも走ると身体があったまってきて一安心。
今日は体調が良さそうなので目標タイムを目指してのペース走を する。15,16キロで脚が重くなったが、追い越す人にしがみ つくようについていくことで、タイムの落ちこみを最小限にくい 止める。

消防士さんが、大きなシャベルに「水害のボランティアありがとう」と書かれた垂れ幕をかかえて走っている。長靴姿で・・・・
ドナウの村々には片付けられないままの土砂やえぐれた堤防の 水害の爪あとが少しだけ見られたが村の人たちはにこやかに 楽器を演奏して声援を送ってくれる。

ドナウの流れを右手に眺めているうちに疲れが少し和らいできた ようだ。走っていると、気持ちのもやもやや不安も同時に軽く なっていく。参加してよかった。
目標タイムより1分遅れてゴール。完走メダルを首にかけてもらった 頃にはドナウの上空は、さわやかな秋日和だった。


2002年09月11日(水) セールスの苦手な国民

今日は某ホテルの見学に行った。
10日前にホテルの法人セールス担当者が電話をよこしてぜひ 見学に来てくださいと言われたのでしかたなしに出かけた次第。 約束の時間にレセプションに行くと、別の担当者が出てきたので どうしたものかと思ったら、電話をよこした当人は退職 したと言われた。そんなやめるんだったら電話1本よこせば いいものを行かずに済んだのに・・・

ホテル業界が全部がそうなのかしらないが、ここウィーンの ホテルのセールスはほんとうに人の移動が激しい。昔は何年か ぶりで交代があった程度なのに、ここ数年は、担当者が1年と もたない。今日のホテルは8月に担当が挨拶に来て以来だから 1ヶ月もたなかった。新記録・・・

何年もこの業界の人たちを相手にしていると、時間の無駄という ことがわかってきたので、会ってもなるべく早く話を切り上げる テクが身についてきた。
インタビューに応えるふりして、それとなく観察していると セールスの仕事自体に魅力を感じていないなとわかる。 最後の押しが足らないし、何回も足を運べばいい契約 取れるのに・・・

ホテルのみならず、セールスをすることに慣れていないのは 国民的気質なのかしら。お客相手の仕事でも この国では始めに対等のビジネス関係ありきというのが根本に あるので、自分を一歩下げてお客を立てるということが苦手 なんだろう。

今日だってそうだった。国鉄バスの駅に電話した。電話番号が 古かったので、念のため「〇〇駅ですか?」と聞いた。 「ことと次第によってはそうだけど・・・」と無礼な態度。 幹部の直通だったのかもしれないが、もうちょっと丁寧な物言いは できないものかと、こころの中でつぶやく。

セールスセミナーでも開催しないとEUの中でも取り残されるぞと 外人の私は心配している。


2002年09月10日(火) リモートホスト

去年からろくなことがない、今年もしかり・・・ いやなことがあると、やたらレースの日程を入れたり、 ツーリングに出るようにしているけれど、どうにもやりきれない 時がある。

そんなとき、リモートホストの分析を読んでいると、数字とアルファベットの 羅列なのに、誰とも特定できないけれど、ほっとさせられる瞬間がある。めそめそしていた顔に晴れ間が広がってくるような感覚。 閲覧側にとっては、何てことのない巡回だろうけど、私には特別に感じられる。典型的な思い込みの世界に生きている。


2002年09月09日(月) 総選挙

先週末からの一政党のごたごたは先月の洪水みたいに 流れが速く政府をあっという間に壊滅させた。

オーストリアは2000年初頭から国民党・ 自由党の連立政権だったが、洪水を境にして自由党内で減税政策 をするかしないで内輪もめが勃発、副首相と財相および党幹部が辞任した。 これは表向きの理由だけど、党内での権力闘争が勃発して影の支配者、 極右の親分が表舞台に返り咲きを狙って邪魔者を追い出したという こと。まあ、幼稚園の砂場でのけんかと変わりない。

この余波大きくなって、来週にも議会解散、総選挙体制となる。 次の政権はどの組み合わせになるかなと思いあぐねてもあまり、 選択の余地がないだろうなあ。 社民党(赤)35%、国民党(黒)30%、自由党(青)20% 緑の党(緑)15%
支持率はここ何年もこんなもの。黒は赤とは仲が悪い。黒と青は 今回で失敗。赤は緑と連立を組む可能性は大。支持率に大きな変化 がなければ赤緑のパターンかな。黒は現政権なので政策が支持され れば5%くらいは上積みできるかも。

人口800万たらずの小国なので政党色が変わると政策も一変する。 政策が法案化されるスピードが異常に速いので市民生活にも影響が 大きい。選挙権をもたない私には傑作な舞台を見ているようで なかなか興味深いこのごろ・・・


2002年09月06日(金) ぶどう畑

金曜日夕方。ワイン街道を走る大会に参加してきた。750名が いっせいにぶどう畑に向かってスタートを切る。スタートの瞬間が いい。5分くらい前に並んでアップしながら待つ感覚がなつかしい。3ヶ月も大会から遠ざかっていたからかな。

ぶどうの取り入れはまだ本格的ではないけれど、早めに取り入れた ものが発酵してモスト(ぶどうジュースに近い)になり、さらに シュトルム(甘くて発酵が進んだもの)になる。 同僚と走りながら、まだモストもシュトルムも飲んでいないこと に気がついた。今夏は7月のお天気がよかったので、ビンテージ イヤーにならないかしらと思う。

ぶどう畑を縫うように続く丘のぼりの景色は薄緑がかかっていて、 ランナーの縦列が続いている。きれいだけど、この縦列の一角を 形成して走るのは大変。アップダウンが大きく、けっこう足に くる。


自分の今の力を出し切ってゴールしたあとは、ワインの宴が 待っていた。白のリースリングの詰まったワイングラスには 無数の水滴が光ってきらきらしている。軽く口をつけて、舌に 残る余韻を味わってみる。
来週になれば本格的な取入れが始まるだろう。このワイン街道、 今度は自転車で走ってみたい。


2002年09月05日(木) 国境湖畔にて

オーストリアとハンガリーをまたぐ湖へツーリングに出かけた。
8月最後の週末、気候もこの日をもって夏の終わりという感じ
がする。湖畔沿いのサイクリング道を走ると湖からの風がやわらかい。
葦にあたって、さわさわと音が聞こえる。対向車から、「ターク!」
(おはようさん!)の声が飛ぶ。
普段は無表情な自転車乗りたちも、朝の光と、しゃきっとした冷たい
空気のめぐみを受けては、相好を崩すのも無理はない。

葦でおおわれた湖、時折コウノトリが飛んできては、軽やかに
湖畔の上空を舞うそうだ。白鳥がのんびり、立ち入り禁止区域で
遊んでいる。

湖に背を向けると一面のぶどう畑、黒いの、黄緑のと朝日にあたり
きらりと光る。陽光を一心に浴びて、今年は芳醇な当たり年に
なるなと期待がわく。
ロードレーサーが一台私の横をすり抜けていく。

 虫の音か心にひびく口笛に気も軽やかに道譲るわれ


2002年09月04日(水) おいらは鳥刺し

会社帰りにとおる公園で辻音楽師が何やら演奏していた。近づくにつれて 「魔笛」のパパゲーノが歌う「おいらは鳥刺し」が聞こえてくる。 音色だけだが、耳に楽しく心地よく侵入してきて、いつぞや見た舞台を 思い出した。デア、フォーゲルフェンガー、ビン、イッヒ ダー!♪♪ 「おいらは鳥刺し」
鳥打帽をかぶったおかしな格好のパパゲーノが見えてくる。夜の女王の 声・・・魔笛の音色・・と楽しい舞台だった。

いつのまにか夏が終り、オペラの季節が始まったことに気づく。 アウトドアスポーツにしゃかりきになっていたので、音楽は もう3ヶ月も聞いていない。いや、音楽を聞くと、気がめいってしまうので 遠ざかっていたのかな。身体を動かしていれば、いやなことも考えずにすむというもの。でも、気候が涼しく、だんだんと寒く感じられる ようになると、聞いてみたいなと思うようになったのは心身健康な 印かもしれない。

平日の静かな、じっと沈滞しているような時間に少しアクセントを つけてみるのも悪くない。またオペラ座に通ってみようかな。


2002年09月03日(火) 定期預金

以前に書いた国のe-bankに口座を開くべく、昼休みにチャリダ―で 出かけて行った。

e-bankのくせに、口座開設が手紙か、訪問の方法しかないのが おもしろい。昔みたいに匿名口座ができないので、どうしても 身元確認書類の提出がいる。

正式な銀行名はBundesschatz(連邦国庫かな)。小汚い事務所構え なのは、営業開始が突発的だったようだ。 直接訪ねたのは、申し込み欄に国籍を選ぶ箇所があって、EU加盟国 しか記載がなかったので、日本国籍でも大丈夫かどうか聞きたかったから。

順番がきて、身分証明と申し込み用紙を提出。外国人でもオッケーだった。口座の管理はネット上で 行う。1、3、6ヶ月の短期もので、年利回りは3%,3.05%,3.1%・・ 中途解約はできない。送金方法は当座からの振込みがメイン。 口座手数料はなしというのがいい。

ただ、Bundesschatz(連邦国庫)は財務省の管轄下にあるから、たくさん稼いでいる納税者は気分が落ち着かないかもしれない。税金をたくさん払って、その上に預金する人はそんなにいないだろうと、ある民間銀行の弁。自分の財産を国に知られたくない人もいるだろう。 さて、この錬金術成功するだろうか。


2002年09月01日(日) のんびりした日

昨日は一日ツーリングに出ていたので、今日はのんびり部屋の片付けと 自転車のメンテをした。中庭にバイク2台下ろしてチェーンの洗浄。 先週洗ったばかりなのに、洗浄液が真っ黒になる。乾布で埃を落としていく うちに両手が真っ黒。このオイル汚れは手ごわくなかなか落ちない。 チェーン洗いやパステル画をやっている限り、きれいな指先を 保つなど考えない方がいいみたいだ。

午後はツーリングの画像と日記を書く。これは人に読んでもらうと いうより自分の思い出代わり。画像を見れば、鮮明な記憶が湧き上がって くるので。

今日から9月。夏が砂時計のように落ちていく感じがする。結局まとまった休暇は取らずじまい。海や山に出かけない人でも普通は2週間くらい休むので、夏期休暇を取らないのは自慢できることではない。ガードマンさんは休暇が80日残っているので、会社から強制休暇を言い渡されたらしい。向こう1−2ヶ月代わりの人がくるとのこと。おじさんは「職場にいるのが好きなんだ。」 とこぼす。その気もちよくわかる。私もわりと好きだから。

夕方サウナへ。日曜日の午後、特に天気のよい日は人が少ないので くつろげる。その後、しばらくぶりに1区へ、お気に入りのカフェで 夕食。卵色きのこソースの団子とアイスティ。行き交う馬車を見ながらの、久しぶりの外食は美味だった。


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