dust box
akane



 痛み

痛みに耐えることから逃げることが当たり前になって

もうどれくらいたつのでしょうか

すぐにあの薬に手がのびる

あれさえ飲めばもう痛くない

ほら効いてきた

すぐやわらいだ

痛みはもはや

私とは関係のないシロモノ


そんなふうでもいいじゃない

遠ざけて蓋をしてあとは忘れたふり

2003年09月29日(月)



 こんな日に限って

こんな日に限って
空は晴れてる

2003年09月28日(日)



 

ぐっすりと眠って
目覚めたら
隣にあなたがいた

2003年09月27日(土)



 ライフ

隣に立つことが自然なのがいい
並ぶ台所
オモテナシに「ごちそうさま」は意味深長

エプロンが懐かしくて
それ昔から使ってるよねと
親友っぽいセリフ

きみたちの生活がここではじまっているんだね
きみたちだけの歴史があって
「あの時死んだような顔さえしてなかったら結婚なんてしてなかった」
なんて
笑ってしまうエピソードも添えて
きみたちの生活がスタートしたんだね

2003年09月26日(金)



 日付の変わる時間

さよならと手を振って
あなたの車が見えなくなるまで手を振って
そのてのひらをみつめた
まじまじとみつめた

いつものてのひら
いつものあたし

何も変わらない
日付だけが変わる時間

2003年09月25日(木)



 秋のせい

このさみしい気持ちは何なんだろう

このさみしさは

どういう種類なんだろう

意味がわからない
ここで抱く感情じゃないだろうに
私はどこまでも寂しさに落ちていく




それもこれも秋のせいだよ
枯れ葉が舞うから
空が高いから

2003年09月23日(火)



 泣いてもいいかな

泣いてもいいかな

このどうしようもない夜に

ざわざわと胸を揺らすのは

たださみしさのせいなんだよ

泣いてもいいかな

今ひとり

ここでひっそり涙を流せば

明日はどうにかのりきるから

2003年09月22日(月)



 続カスタードプディング

そういえば
カラメルソースはまだ食べていない
食べていなかったんだ

だっておいしいところから食べた覚えがない
カップのプリンを皿にあけずに食べていた

カラメルソースが底にあるかどうかもわからずに

ただ
ソースの味を知っているだけに
せつないのね

2003年09月13日(土)



 好きで

好きで好きで
忘れられない

ただ好きで好きで
他の感覚も麻痺していく

あなたを
好きで好きで


2003年09月11日(木)



 夢のあとさき

くるりと振りかえってみると
なんだかとてもわざとらしいような
そんな気がしてきた

こんな時間を過ごすこと全部
穏かで無邪気な演技みたいで
はりついた笑顔をもとに戻すのに
時間がかかった

溜め息がついてまわるおかしな幸福感
ひとりになったとたんに
現実がまとわりつく

2003年09月03日(水)



 ヴォイス

それは空気を震わせて
小さく
けれど確実に
互いを現実のものにした

存在のないところに
言葉は生れないはずなのに
まるで文字だけのようなあなた

それを圧倒的な存在感で打ち消して
あなたを生きる人にした

ただひとかけらのヴォイス

2003年09月02日(火)



 乙女主義

なんだかんだ言っても
心の奥底に守られたい願望があって
私はいつも
夢みたいな妄想を描く

2003年09月01日(月)
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