凪の日々



■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■

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2013年04月29日(月)

雨が降っていた。
涙雨だ。

義父の葬儀の時も雨だった。
「涙雨ですよ」と義母に言うと「それじゃお父さんは寿命だったのね。良かった」と微笑んだ。

そっか。叔母も寿命だったのか。



男女雇用均等法もまだ時代。
叔母はまだ少なかったであろう女性管理職として働いていた。
叔父は同じ職場の部下だったと聞いたことがあるような。
仕事に追われながらも夫婦共働きで協力し合い、三人の娘を育て上げた。


そして、脳の病気で、手術の甲斐なく全身麻痺になり、寝たきりの生活が来た。


20年近い介護生活だった。
従姉妹は結婚しないで親の面倒を見た。

何年ぶりかに会う喪服の従姉妹は元気だった頃の叔母に似ていた。
自分の中の叔母は、今の自分達の年齢に近いんだと考えると、年月の流れに呆然となった。


小さくなった叔父は、私を見ると泣きそうな笑顔で「暁ちゃんがうちの奥さんの若い頃に一番似ている」と言った。
「後姿とか、立ち居振る舞いがそっくり」と。

叔母や従姉妹たちより一回り背が低い私が、実の娘より似ているなんてあるんだろうか。
そうは思ったけれど、叔父がそう思っている事は事実なわけで。

「有難うございます。叔母さんに似ているって言われると嬉しい」とこちらも泣きそうになりながら笑うしかなかった。



従姉妹が見せてくれたリハビリ用の叔母の日記には、所属部署の名前や住所から、「帰りたいあの頃が懐かしい」と生まれた土地の場所の名前や当時の同級生らしい人の名前へと、どんどん記憶がさかのぼっていく様が伺えた。

叔母は、職場復帰を願って励んだリハビリから、どんどん昔に戻っていっていたんだ。


それは、私の小学校の通学路の地名。


私は、叔母の代わりに、その場所へ行ってあげようと思う。

少しは叔父の救いになるかもしれないから。

叔母は、軽くなった身体でもうその場所に行っただろうから。





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