凪の日々



■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■

もくじ次の日


2003年07月29日(火)

着信メロディを聞いて慌ててベビーベッドにほおりだしたままの携帯を掴む。
このメロディは彼女だ。
わくわくしつつ画面を見る。
「生まれました。男の子です。母子共元気。落ち着いたら遊びに来てね」
飛び上がりたい気分を押さえつつ返信。
「おめでとう!おつかれさま!」

余韻に浸っていると違う着信メロディ。
友達からだ。
画面を見ると「訃報です」
以前の職場の


入院したのは聞いていた。
胃を全摘したと。
それで治ったのだと思っていた。




夜の闇の中、一人ぼんやりしながら赤ん坊に授乳させる
んく んく うくん
赤ん坊が喉を鳴らして乳を飲む
窓の外で一匹だけ蝉の声が聞こえる
こんな夜中に鳴く蝉もいるのか
それとも今夜であの蝉の命は尽きるのかしらん


んく んく うくん
満足したのか眠った赤ん坊の首がかくんとそれる

この命はどこから来たんだろう
あの命はどこへ行ったんだろう


闇を見つめる
赤ん坊の微かな寝息
蝉の声


2003年07月25日(金) 大人を逃げるな

あちこちで子供がちょろちょろ動き回る夏休み。
集合住宅の共用部分での子供遭遇率もぐっとアップして暑さに加え不快指数が増す。
はぁぁぁ。
それでも「あら、○ちゃんこんにちは。虫取り?」などとにこやかに声をかける私。
大人だもんね。それくらいしないと。

「見てみて、だんご虫!おうちで飼うんだよ!」
プラスチックの虫かご一杯に蠢くだんご虫。
う、鳥肌。男の子の親は皆通る試練らしい。
ママさんに心の中で合掌。

泣き喚きながら男の子が来る。
「蟹に手を挟まれたんだよ」と付き添った女の子が言う。
蟹?
見ると手に胴体からちぎれた小さな蟹のはさみがくっついている。
げ、鳥肌全開。

大人ならその場で応急処置してやれよ
子供達も「おばちゃんどうにかして」と目で訴えていたじゃないか
そ、それでも蟹に触れないし、ましてやちぎれたハサミだけの状態でくっついている蟹なんてなおさら

「お、おかあさんにとってもらいなさいね」と引きつり笑顔でその場を離れる。

ごめんなさい八名信夫さん。
大人を逃げました(涙)


2003年07月23日(水) 蝉時雨

友達のKちゃんから「ご無沙汰してます」とメール。
「子宮外妊娠で入院してました」
妊娠した喜びが翌週には悲しみに変わった。
「天国から一気に地獄に突き落とされるってこんな感じかと」
なんて返信すればいいのか分からない。
画面を前にただ呆然とする。

友人Sは「妊娠はしてたらしいんだけど」と淡々と話す。
「どうやら知らないうちに流れちゃったみたいで」



外は蝉時雨。
固いアスファルトに阻まれ地上に出ることができなかった蝉達が
この下にどれだけ息絶えているんだろう。
外へ出ることが出来た幸運な蝉達の声。

暑さでベビーカーの中の赤ん坊がむずがる。
私は目眩をおぼえ立ち止まる。



子供が網を振り回して走る。
「捕まえた!」
ひときわ大きな蝉の声と子供達の歓声。


2003年07月14日(月) 喃語

赤ん坊が大分声を出すようになった。
ぼちぼち意志やら感情やらが育ってきてるらしく、暇でかまって欲しい時なんか声を出す。
「くぅん」といったような鼻にかかった甘えた声が多い。

それがまたか、かわいい…!と私が思ってしまう位(え?)可愛い。

思わず鼻の頭に浮いた汗ですべる黒ぶち眼鏡をずりあげながら「な、なにか欲しいものがあれば言ってごらん?おぢさんがなんでも買ってあげるよ。」と背広の胸ポケットに手を突っ込み財布を取り出したくなる。

あらぬ妄想にかられ、無言で赤ん坊を見つめていると「黙ってないで声をかけてあげなさいよ」と母に突っ込まれる。
あぁいかん。声をかけなきゃいけないのね。
親子のこみゅにけーしょんっつーのかすきんしっぷっていうかをやってそうやって親子関係を培っていかなきゃいけないのよね。

「おかーさーん」とこちらもまた甘えた声。
「おかーさんおなかいたいー」
「おかーさんみてみてー」
「おかーさん」

こちらの気を引こうと必死なアイ。
可哀想に。お母さんを赤ちゃんに取られたようなもんだものね。
でも仕方ないよ。あんたうざいもんマジで。
言葉の奥に子供の色んな感情が渦巻いていて、それを読み取り汲み取り接してやる余裕がこちらには今、無い。

アイは情緒不安定になっている。
キレる。泣く。体調を崩す。甘える。
どう接すればいいのやら。
幼児から私が嫌いな子供へと成長しつつあるアイ。
この赤ん坊のままだと育児も楽しいかもしれないのに。




*********

ホークス前半戦首位で折り返し。
凄い!ってか、後半いつもバテルんだもんなぁ。
これからが見物。今年は怪我も夏ばてもしないでよ城島〜。

オールスター戦に望むこと。
城島×松坂のバッテリー。無理かな。
和田君の色気を全国に知らしめる絶好のチャンス!
エハラコーチ!和田君にも投げさせてよ?!


2003年07月13日(日) 扁桃腺炎

久しぶりに熱を出した。多分十年ぶりくらい。

頭痛が治まらない。
いつもの偏頭痛となんだか違うようだけど、酷くなる前に病院へいって薬を貰わなきゃ。

「それは産後の熱よきっと。総合病院へ行ったほうがいいわ。」
途中で会った奥様にアドバイスされる。
熱?熱なんかないけど。「熱いもの。ほら。」
私の腕を取って奥様が言う。

病院で検査。熱は既に38.9度。
「いつから熱が出始めましたか」
いや、気付いてなかったもので。
寒気が我慢できなくなったのは昨夜からですが。

寒い。寒い。待合室で寒さに丸くなって堪えていると看護師が「こちらで横になっていいですよ」と処置室に通してくれる。
布団を二枚かけてもらう。それでも寒い。寒い。


夫は復帰したばかりの会社を今日は休んでいる。
「でも仕事が溜まっているから今月はもう休めないし早く帰れないよ」
分かってる。この二ヶ月夫が赤ん坊をお風呂に入れたのなんか片手にあまる位だし。
あぁでもどうしよう。
今日は吐き気をこらえながらなんとか弁当も作ったけど。
赤ん坊抱えて雨の中熱にふらつきながら買い物に行くのはさすがに無理そうだ。
点滴を打ってもらいながら寒気に堪える。
「熱はまだこれから上がるでしょう」と医師。


結局田舎からまた母に来てもらった。
一週間動けず寝込んだ。
「ぎっくり腰で動けなくなって子供を連れて田舎に一ヶ月帰っていた」と友達からメール。
「ママが動けないと家の中が回らないよ。体には気をつけて頑張ろうね」
なんてタイムリーなお言葉。
なるほどね。しみじみ実感。
自分の事は二の次になってしまっていた。
私も体調管理は気をつけないと。

「疲れが出たのよ」と周囲が言う。
そうかな。よく分からない。


2003年07月03日(木)

生後二ヶ月。赤ん坊は体重五キロに達しようとしている。すさまじい成長曲線。
軽くて頼りなげだった重さも今や両腕にずっしりとくるようになった。
あぁつまんない。面白い生き物だったのに、どんどん人間みたいになっていくのね。

最近は空腹時には指しゃぶりをするようになってきた。
アイは全然しない子供だったので新鮮。
へー赤ん坊みたいと興味深く眺める。
泣き声以外の声も出すようになった。
犬が鼻を鳴らすような「くー」という甘ったるい声。
まさしく甘えている声なんだけど、「甘えたいなー」なんて感情がこいつに芽生えてきたんだろうか?

眠っている時にしていたしらわらいもこの頃は目を開けててやる事がある。
でも、これもやっぱりただの顔の筋肉のひきつれ、なのかしらん?

母は「白笑い」と言っていたが、「からわらい」とも言うらしい。
やっぱり「空笑い」なんだろうか。空っぽの笑い?
人間の形をしたこの器が笑いの形に歪んでいるだけって事?

ある地方では「ほとけわらい」とよぶと教えていただいた。
仏様が笑わせているのだと。へぇ。素敵。
空っぽの笑いよりまだ誰かの意志を感じられる方が見てて楽しい。

ほら、あんた疲れた顔してるよ 笑いなさい こんな風に
そしたらちょっとだけ気分が軽くなるから
それからまた頑張んなさいよ

仏様がこちらに向かってそう言って赤ん坊の顔を笑いの形にしてる
そう思えばちょっと気が楽になるかも

素直に赤ん坊が笑っている、と思えば早いんだろうけど。
はてさて、いつ頃から赤ん坊の笑い顔に自身の感情が反映されてくるものなんだろう?
いずれにせよ、相手の笑顔を見てこちらも頬を緩める位の心の余裕は持たねば。


それにしても腹の中で神様につねられたり
生まれてきたら仏様に笑わされたり赤ん坊も忙しい事。





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