道院長の書きたい放題

2004年03月30日(火) ◆力と技

■重苦しい話しは一端置きまして、昨晩のテレビ放送から…。

松井選手も同席した、NYヤンキース、ジョー・トーレ監督の話が面白かったので記録しておきます。感じた個所を要約します。

「日本の野球とベースボールは違うと言われますが、どう思われますか?」というアナウンサーの質問に答え、

「…日本の野球は我々には無い、スピードを持っています。往々にして、大リーガーはホームランに頼りますが、その点、日本はピュアーな野球をします。それが我々大リーガーにとっても、少年達にとっても、大変参考になります」。こう言ったのです。

(ほー!日本の野球の評価は高いんだな)。私は驚きました。それはそうですね。野茂、イチロー、長谷川、石井、帰国はしましたが大魔人、新庄は…どうでしょう、それぞれ活躍しています。しかし監督の日本野球に対する感想は、選手個々人の才能に対するものではなく、

「日本の野球は力=パワーが無くても、チーム力で戦う」点にあるのです。

例えば松井選手も、「足は速くなくても良い走塁をするし、肩は強肩ではなくても良い守備をする。彼は常にチームのことを考えてプレーする。大変監督しやすい選手です」こう評しました。

どうも…、名将監督が言わんとするところは、日本の野球は力任せでは無く、基本重視=チームプレーを重視していて、そこが良い点だ、と誉めているようなのです。言わせてもらえば、“チームプレーこそが野球における技なのだ”とも聞こえました。

■力と技について最近面白い経験をしました。ある海外拳士三名が今月初め道場に練習に来ました。一人は身長1m95cmくらいある二段の男性。奥さんも初段で大柄。もう一人の若い男性は、背は高くはありませんが、横にガッシリとした体格の茶帯。こんな拳士達でした。

男性二人は力がとてもが強く、相手をした四段のS君は、「閂固めなんか、形が違っていたって関係なく痛かったです」と、苦笑していました。(私は背の高い彼に、逆天秤が綺麗にかかりましたョ)。

練習終了後、彼等はこんな質問をしました。「先生、どうしたら力を用いないで技を掛けることができるでしょう?」。

「はぁ!?」一瞬、虚を付かれた思いがしました。通常、この質問は力が無い側から発する質問なのです。ところが彼等は、少林寺拳法の技法を修得する際、自分達に“力”があることを恨めしい?と感じているようなのです。

(なるほどなー)。私は彼等の修行の姿勢に感心しました。良く「力も技のうち」と、筋力を鍛える人たちがいます。しかし逆に考える思考もあるのだ、と大変新鮮に感じた次第です。


 < 過去  INDEX  未来 >


あつみ [MAIL]