道院長の書きたい放題

2003年03月29日(土) ◆金○/的の思い出…

■少林寺拳法では金的蹴りがあり、それを足の甲側で蹴ると教えられます。

*「金的はな…、指先で弾くようにする方が効くんだよ。ためしに自分の指で(デコピンのように)やってみろ、頭にチーンとくるだろう!!」(要旨)

開祖は、ひとつは効果の面からこのように説明されました。前足底で蹴らないのは、相手に深手を負わせてしまうという理由からなのは言うまでもありません。

■学生時代、忘れもしません。3年次、強化練習で1年生のSクンを指導していた時でした。

「もっと強く蹴れ!もっと足を上げて!」とグラスファイバーの胴を蹴らせていたら、きっと疲労が貯まっていたのでしょう。また彼は目が悪く、汗で顔もクシャクシャでした。「オスッ!」と返事をしたまではイイのですが、なんと胴の代わりに私の金的を蹴ったのでした…。

「グェッ!」と自分でも変な声が出て、そのまま床に座り込みました。ずいぶんと長い間、痛かったのを覚えています。

もし、女性の方が読まれていたら…スミマセン。金的の片方が内出血で真っ黒になりました。不思議ともう片方はなんでもないんです。それで、練習の前後にする整理運動(←古い言い方)のジャンプが出来ませんでした。揺れて?パンツに触れると痛いんです。しばらく金的カバーを付けて練習していました…。

同級生のNクンも練習中、金的に蹴りが入り、うずくまって海老のようになって、校内医と看護婦に手当てを受けていました。「やだなー、触られちゃうのかなー」なんて、別の心配してました…。

■学生大会の乱捕り戦に金的カバーの装着が義務付けられたのは、昭和45年頃の大会からでした。私が1年次の関東大会で、先輩達が金的カバーを忘れてアタフタしていたのを覚えています。「いいョ、そのまんま出ちゃえョ!」そんなノリでした。

もちろん金的蹴りは当時でも重大な反則技でした。しかし、大会での金的事故は聞いたことがありません。はやり、練習中の事故が多かったようです。

同級生のMクンは「金的蹴りのM」と異名を取る名手?でした。まあ、Mクンは正選手ではなかったんですが、彼と乱捕りをやると不思議と金的蹴りをもらってみんなダウン?していました。

つまりこうなんです。体格に勝る相手が突きの連打で押してゆくと、彼はそれを両手で防ぐ、というより顔を怖がっての順蹴り、というより前足を上げます。そのタイミングが絶妙で、なんか入ってしまうんです。決して意識して反則をしている訳ではないのですが、見ていてとても上手?でした。

突きの連打をする時は、人間踏ん張る為に足を開く必要があるからですかね…。

■別の同級生のTクンは、講道館柔道の二段を持っていて、彼は金的を上げる?、身体の中に入れることができる人でした。「できない?」といわれて、「どうやるの?」と聞いてはみたものの、まさか手取り足取りというわけにもゆかず、結局、できず仕舞いに終わりました。

なんか「少林拳の秘技!」みたいにいわれるそうですが、なんてことはない目の前で見せてくれて、おまけに触らせて?もらいました。

同じく同級生のOクンは空手とボクシングのケンカを目撃しました。差し障りがあるといけないので、詳しくは書きませんが、どちらも全国大会レベルの人達で、酒の上でのケンカだったそうです。

見ていた限りでは、友人であるボクサーのパンチが雨あられと顔に炸裂し、空手家の人は顔面血だらけになったといいます。しかし、下宿に帰って下腹が痛いというのでパンツを下げると、金○が(多分蹴られて)たまげるほど腫れていて、「あれは引き分けだな」と両者の健闘?を称えていました…。

■打撃系の試合の最中に金的を蹴られて、ストップする場面をたまに見ます。しかし上の例のように、後から痛くなってくる場合があります。

某大学の少林寺拳法部では空乱の練習中、金的による事故が二件あり、両方とも手術しています。一方の事故は同じく後から痛くなったと聞いています。もう一方は、片方を取るほどの事故でした。

帰宅後に痛くなったということは、金的は強く蹴るより効くように蹴らないと、格闘の場面ではやられる可能性があるようです。次の例はどうでしょう。

当時の日本一強い男を決める戦いとなった、力道山と木村政彦氏の格闘試合。色々と風評があったこの試合のビデオを見ると、木村の放った金的蹴りに力道山がカッとなった為に筋書きが崩れたということがわかります。

なんですか、非常に卑怯なことをされたことに対する怒りが、力道山の心に生じたんでしょうか。それで鬼のスイッチが入ってしまった。そう私には感じられます…。

■格闘家のある種、脳に内蔵されているスイッチは面白いようで、以前、アントニオ猪木氏がどこかの大学で講演した際、終了後、学生達に自らの腹を叩かせたのです。多分、武道かなにかをやっていた学生でしょう。生意気にも腹筋のところではなく、我々でいえば横三枚あたりを思い切り突いたのです。

油断があったので効いたのかもしれません。そうしたら猪木氏、間髪を入れず、条件反射のように思い切り学生の頬を平手で張りました。叩かれた学生も目を丸くしていましたが、拳で叩かない理性?もさすがでした。

プロの格闘家で相手が素人ですから、ギリギリの理性を効かせられたのでしょう。しかし、もし一般人の間でのケンカでしたらどうでしょう。金的蹴りが相手の怒り=鬼(殺人)のスイッチを入れてしまう危険性があるのではないでしょうか。よしんば効かせられたって、下手をしたら相手が手術です。どうします…。

ですから、公認防具で金的の安全を図ることは大賛成です。しかし安易にこの技を使用させる稽古・練習方法には強く疑問を感じます。

…とにもかくにも、金的は痛い! 一度味わってみる?ことをお勧めします。

チーン!


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あつみ [MAIL]