2004年06月05日(土) |
花バウ 『NEKED CITY』 |
ポスターを見て久しぶりに「この公演は見たいかも」と思った。 元々見る予定にしてはいたからこのポスターの完成度にはうれしく思った。
彩吹真央・・・私の中のイメージは、未だに“雪組のなんでもできる下級生” そう確実な実力を身につけていくかつての“雪組”のイメージなのだ。 (これは今の雪組がどう・・・という悪意は全くないのであしからず)
杜けあき、一路真輝、高嶺ふぶき、海峡ひろき、轟悠、 香寿たつき、安蘭けい、夢輝のあ・・・・・・ “日本物”というどちらかというとゴマカシが利かない作品などを あたりまえのようにこなし、“芝居”というよりも“役者”としての 何か確かなものを兼ね備えた人々・・・。 彩吹真央・・・ゆみこもそのヒトリの若手・・・だと思っていた。
それが花組に組替となり、花組で華やかさを身につけた。
「ゆみこが演じるなら間違いはないだろう。あとは脚本が駄作でありませんように。」
S先生でなくてヨカッタ・・・ただひたすらそう思った。
では・・・またまた思いついた人から・・・。
悠真倫・・・刑事(ジム) ウマい。ウマすぎる。歌も芝居も・・・。
望月理世・・・刑事(サム) 悠真さんとコンビなのだけれども「ジムです。サムです。」と漫才コンビのように さらりとやってのけたのを見て・・・あのかわいらしい顔とのギャップに笑いが止まらなかった。
一樹千尋・・・マイク・バインダー(NY市警副長官) いわゆる警察のエライさんなんだけど・・・ダメだって・・・。 この人はどんなにいい人の役でも・・・最後には裏切ったりする悪者にしか 見えないんだから・・・と思っていたら最初から本当に癒着にまみれた副長官だった。
矢吹翔・・・デイジーのパトロンで大物マフィア 似合うんだよなぁ・・・地でやっていけそうなくらい違和感全くなし。 あのひくーい声で「どうなるかわかってんだろうなぁ・・・。」って言われたりした日にゃ、 小指の1本ではすまないだろうな・・・って思ってしまうくらい。
さお太・・・高翔みず希・・・アイク。 最初友だちから「さお太さん子役だよ。」って聞いた時はぶっ飛んだ。 『愛しき人よ』のゆらさん演ずる若菜嬢に匹敵するくらいかと思いきや なんの・・・ゆみこ演ずるビリーの兄弟のようないとこだというからホッとした。
さお太はほとんど踊っていた。 ほとんど・・・無表情のまま・・・というかコロス的な存在で踊っていた。 ただそれだけなのにとても色艶があり、艶やかで、妖しくて・・・超カッコよかった。 「何が違うんだろう???」隣で見ていた妹もそう思って目が離せなかったらしい。
みわっち・・・愛音羽麗・・・ニコラ いわゆるこのストーリーに悲劇性を持たせる重要人物なのだけれども 逃げ続けているマフィア・・・です・・・とそのままに少し疲れた感じでいるのだけれども すみません・・・管理人・・・全くみわっちかわいくて・・・こんなにヤバい役やってても 「かわいい」としか思えないところがもうストーリー無視してます。
まっつ・・・未涼亜希・・・バーナード。 新米記者・・・売れない作家らしいのだけれどもお笑い系。 見た目を裏切る安定した歌声を響かせたかと思いきや、ボケをかます ・・・全くいい味出してる・・・2枚目さんです。 まっつを見ていると“稔幸氏”を思い出す。 彼女もノーブルな面立ちでかっこいいんだけれども どこか笑わせてくれそうな雰囲気がいつもあって・・・私にはツボだった。 まっつにもその“可能性の光”が見えた。
ビリーにくっついて・・・ドタバタと行ったり来たりしているだけなのだけれども なにか、おかしい・・・・・・。 ぽややーんとした空気が彼女を包んでいる。
遠野あすか・・・デイジー・ミラー メイクが女優メイクにしているのか、少しキツメだったけれども とても自然体で、声もキレイで、安心して見ていられた。 芝居もこまかくて・・・いつの間にか貫禄が出ていた。
ビリーに「ニコラを探してほしいの。」と依頼しに来るところも 最初は“マフィアをパトロンに持つ、大物女優”というプライドがあったのに ビリーが以前写した自分の写真を見せられたところから “全てが偽りでカメラに写し出された自分だけが真実だ”と言い、 本当の自分を表し始めるところなんてかわいらしくもあり、痛々しくもあった。 ビリーのゆみこはもちろんのこと、ニコラのみわっちともとてもよくお似合いだった。
彩吹真央・・・ビリー 先にも書いたけど・・・本当に“確実”な人。 無理のない・・・実在しそうな人物像を無理なく、自然にこなしていた。 五峰さん演じる女編集長や妹や微妙な関係のキャシーとか・・・ 取り巻く女性も多様だけれどもその誰とも・・・近くも遠くもなく、 ただヒトリ黙々と生きてきた・・・という感じがした。
難しい歌も見事に歌いこなし、自然な所作や立ち居振舞いがとてもうまくて 見ていてとても安心していられた。
デイジーに“ニコラを探して”と依頼され、どこか心動かされ 探す相手がデイジーの恋人だと気がついても・・・デイジーのために 危険をさらされながらもニコラを助け出そうとする・・・切なくてたまらなかった。
最後、デイジーとハッピーエンドにならないところがいい。
ただ、脚本にちょっと・・・というのが、ビリーの父親がマイク・バインダーだということ。
かつて自分と母親を捨て、恨み続けた父だという。 なのに再会して打ち明けてみると過去自分が犯した罪の重さとおろかさに 自分の命を絶とうとする父マイク。 そんなマイクに対して「やめろよ、父さん」と叫ぶ。
・・・あまりにも“父さん”というまでがあっけないような気がした。 自分たちを捨てた父を恨み、復讐の意味をこめて、写真を撮り続けると言っていたのに 幼い頃から・・・積み重ねられてきた恨みがあっという間に消されてしまったのか? ・・・とそう思わざるを得なかった。 「父さん」と呼んでもいいと思う。でももう少し“時間”が欲しかった。 打ち明けてすぐだもの・・・。
大劇場でも父と息子の再会劇をやっており、バウでもか〜って思った。
救われたのが、ゆみこと一樹さんの芝居のウマさだった。 この2人を・・・というか、ゆみこを見ていて 「父に復讐・・・と言っていたけれども、どこかで父親に会いたくて、 会ってみたくて・・・それで父親も撮っていたという“カメラ”を通して 父親を探そうと・・・写真を撮り続けていたのかなぁ・・・。」と思った。
見終わって・・・とてもとても強い印象が残る作品ではなかったけれども 「何度か見てみたい。捉え方が変わるかもしれない。」と じんわりと染み入る作品だった。
フィナーレで・・・娘役たちに囲まれて踊るみわっちの視線が 客席を総なめ・・・だったことが私の笑いのツボだった。 「みわっちやりすぎ〜/笑」とね。 (それでもかわいらしい・・・としか思えない管理人・・・バカです・・・ハイ)
そのあと、余裕の雰囲気でゆみこが出てきて、みわっち、まっつと 3人並ぶ・・・「いい並びだなぁ・・・」とホクホクした。
全体的にバランスがよく取れていて、見た目も(背丈など) 歌や芝居やダンスなどの実力も・・・全て心地よかった。
ゆみこにはもっともっと大劇場作品なんかでも大活躍のチャンスが欲しいな。 そう強く思った。
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