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本当は、強がっているけど本気でつらいよ。 毎日何度も泣きたくなるよ。 「別れるなんていわないで」 そう何度もいえるけど。 だけど、それは彼をいっそう苦しめる。 私を幸せに出来ない と別れる決心をした彼を、余計に苦しめてしまう。 だから、私は「彼女」として別れる決心をした。 「さようなら」 と本気で言いかけたよ。 だけど、それは彼を別の意味で苦しめる。 彼はもしかしたら、消えていなくなってしまうかもしれないと、シャワーを浴びている間も常に家の扉に神経を集中していたらしい。 そして「さようなら」と別れ際に私が言うと。 本気で、寂しそうな顔をした。 少しだけ、信じてもいいんだよね。 ほんの少しでも、私に愛情があったんだって。 彼の部屋から出る前に、彼はそっと私を抱き寄せた。 そして、額に、いつもより長いキスをした。 それは彼が好きな、キスで。 数え切れないほどしたキスも。 身体を重ね合わせたことも。 どれも、少しでも愛情があったんだって、信じていいんだよね。 友達に戻っても、一緒にいると楽しいのは変わらないよね。 恋人になっても友達のときとそこら辺は変わらなかったから。 だけど、違うのは。 あなたの体温を直に感じることが出来ないのと、 あなたにキスをされることはないってこと。 モノでつながるよりも、信頼を大切にするあなたは。 物質よりも精神を大切にするあなたは。 私の「想い」に答えることが出来ない、 それを感じた私の辛さを、何度も叫んだ。 「俺と付き合っていても、幸せじゃないんじゃないか」と。 だけど、私は辛くても付き合っていられれば幸せだったんだよ。 どんなことでも我慢できたんだよ。 だけど、そう感じて苦しんでしまう彼を見てると。 彼を苦しめることは出来ない、と感じてしまった。 それは私のエゴかもしれないけれど。 彼を苦しめてまで得る私の幸せは何なのか、と考えてしまって。 恋愛を出来ないことを、彼は「悔しい」といっていた。 私がその状態を変えることが出来なかったことを「力不足」というと、 彼は「俺が、悪い。らむのせいじゃない」と言った。 その度に、私の頭をぐしゃぐしゃ撫でて。 今まで、私は「女」としての私も「友達」としての私も否定され続けてきた。 彼も、どこか無意識に「女」としての私を退けた。 だけど彼は「友達」としての私は必要としてくれる。 だから、私は友達でいいのだと。 そう、決めた。 彼が恋愛を出来るようになっても、私のことを好きになってくれるとは限らない。 だけど、私はそのわずかな可能性がある限り、がんばっていきたい。 青春の無駄? 一人の人を思い続けて、支えて何が悪いの? いっぱい恋愛することが、幸せなの? 与えられる幸せより、私は与える幸せがいいの。 私が与えた幸せに、少しでもいいから感謝してもらえたら至福だから。 私は「友達」として彼を支えることにしたの。 たとえ「女」として見られることはなくても。
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