A Thousand Blessings
2004年1月〜最新|ひとつ前に戻る|ひとつ先に進む
秋吉敏子さん、アメリカで大きな賞をもらったそうですが、 ものすごく嬉しそう。「賞をもらったこと」が嬉しそう。 自身の積み上げてきた歴史が「賞」という形で評価された事が嬉しそう。 チック・コリアももらってるんだから!すごい賞!と 意味不明にもちあげるキャスターも嬉しそう。
秋吉敏子さんのジャズは、僕が30年近く聴いてきたあらゆるジャズの中で 最もつまらない部類に属するものです。才能はあるのでしょう。たぶん。 でも、あの人の音楽には色気がありません。ユーモアがありません。余裕がありません。 面白みがありません。理屈・理論先行型で大衆音楽としてのジャズではありません。 ルー・タバキンもつまらないし、秋吉敏子さんが弾くピアノもつまらない。
そう、一言で言えば、 「つまらない音楽」です。僕らが常に探し求めている「面白い音楽」の 対極に位置する「つまらない音楽」です。 そのつまらなさは、娘のMonday満ちるに受け継がれています。 ふたりが共演したテレビ番組をちょっと前に見ましたが、 驚くほど没個性的な演奏&歌唱に、思わず涙が。 何だか、悲しい親子。
大きな賞(単純に大きいという意味だけの賞)をもらって ジャズ人生もまもなく完結するのでしょう。 でも、僕は、秋吉敏子さんの音楽を聴く事は今後二度とないでしょう。 それって、寂しくありません? いえいえ、僕自身への問いかけではないですよ。 ジャズという音楽への問いかけです。
(12月6日 記)
響 一朗
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