A Thousand Blessings
2004年1月〜最新|ひとつ前に戻る|ひとつ先に進む
僕には子供がいない。この欠落感が日々膨れ上がってきている。 仕事柄、毎日多くの子供たちに接する。 小学校入学以前の子供たちがみんな純真無垢でいい、とは決して思わないが(笑)。 それなりに小さな自我を持っていて、自己主張を貫くささやかなファイトを親や 兄弟に披露したりする。こわれものである一方で壊し屋でもある子供たち。 扱いづらくてイライラさせられることも少なくないが それでも無心に焼きそばを頬張っていたり、ラーメンのつゆをすすっていたり 幼い兄弟そろって坂道でコケたり、ふと空を見上げて眩しい青に目を細めたり。 遊びつかれて父親の背中で空を飛ぶ夢を見ている、そんな子供たちの 親に一度でいいからなってみたかったな。 帰りの電車の中で、僕は目を閉じて、今日出逢った子供たちの ことを思い出している。いつも、僕は子供たちの背中を見送っているだけだ。 守ってやりたいと思うが、それは僕の役割ではない。 役割がないというのは、さびしいことだ。
響 一朗
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