A Thousand Blessings
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2005年10月07日(金) |
坂本九と阿部薫の関係。クリームの再結成ライブDVD。etc |
サックス奏者阿部薫の葬儀で喪主を務めたのが坂本九ちゃんであることを知り、驚く。 早速ネットで詳しい情報を入手。 大友良英のブログ■に二人の関係について述べられている部分があった。 阿部薫はまちがいなく九ちゃんを聴いていたと思うが、 九ちゃんは阿部薫を聴いていたんだろうか。 笑顔の九ちゃんしか僕らは知らないが、多くの苦悩を抱えた時期もあっただろう。 そういうとき、ひとり部屋にこもりヘッドホーンで阿部薫のアルトやバスクラを 聴いていたかもしれない。いや、聴いていて欲しいな、と思う。 表現者としての阿部薫と坂本九の間を仕切るものは、何もないんじゃないかと 考えられるようになれば、音楽はさらに多くのことを語りだすんだろうな。 深いね、音楽の世界って。とばくちでワサワサしてないで、入っていこうよ。
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10月5日の日記■で、キース・ジャレットのコンサートで無神経な拍手をするバカについて 書いたが、僕の意見に友人も激しく賛同してくれた。 (この方は知り合いではないが、10月31日の日記を参照してください→■) 改めて言いたいが、あのコンサート(2002年10月30日、東京文化会館)で、 演奏がまだ完全に終わっていないのに数回フライング拍手 (演奏開始7秒後の拍手もある)をした連中の情報が欲しい気がする。 せめて、性別・年齢・職業は知りたいな。 彼らがやっている事は、音楽破壊活動だからね。演奏者もそういう無神経な習慣 に対してきっちり意見を事前に述べておく必要性を感じるね。 あたりまえのことが理解できないバカがいるんだからしょうがない。 小学生の遠足じゃないが『おうちに帰るまでが遠足です!』と同じで 『サスティーン・ペダルから爪先を、あるいは鍵盤から指を離して、 閉じていた目を開けて観客に顔を向けるまでが演奏です!』と 噛んで含めるように言って聞かせなければ、バカは治らないぞ。 友人は以前、この手のバカに対して会場で怒鳴ったそうだ。僕はもちょっと先まで 行ってしまうかもしれない(笑)いや、確実に行くな。
ちなみに問題の拍手は以下の四箇所
Part2aの演奏終了後、オドオドしながら始まる意味不明な拍手。 この拍手にキースが苛ついたという噂を聞いた。 曲の流れがぶちきれたわけだから当然でしょ。
Danny Boyの演奏開始7秒後から5秒間続いた言語道断の拍手。
Danny Boyの演奏終了(完全に残響が消えて初めて演奏終了)を待たずに フライングする拍手。
Don’t Worry Bout Meの演奏終了を待たずにフライングする拍手。 3番目ほど悪質ではないが、それでも完全に残響が消えたわけではない。 完全に残響が消えても数秒間は観客も目を閉じて待つべき。
感動の余韻にしばしひたるのが大人というもの。 拍手したがりは、セックスが終わってすぐに女性の体から離れる無作法な男と同じ。
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さて、新作DVDの話を。
クリームというグループの特異性は、3人のライバル心むきだしの関係に あったと思う。言い換えれば仲の悪さ。3人ともわがままな妥協知らず、 音楽的な革新性においてもレベルが際立って高く、 目指す音楽の方向性はバラバラ。それなのに集合体としてのクリームの サウンドは見事に確立されている。プロデューサーである フェリックス・パパラルディの貢献がそれを可能にしたのだろうが、 稀有な例であることは間違いはない。 ライブ盤に顕著なのだが、とにかく彼らの演奏は冗長極まりない。 おそらく演奏を止めるタイミングが掴めなかったんだろう。 一人の暴走に対して残り二人は剥きになる。クラプトンのギターソロに 絡んでくるジャック・ブルースのベースはその典型。 あるいは、ネタが尽きてもやめないジンジャー・ベイカーのドラムソロとか。 今の時代にはおそらく適応できないタイプのグループである。 だからこそ、30数年前の録音が意義深いものになっているんだが。
そのクリームが本国で再結成コンサート■をおこない、 その模様がDVD化(CDも同時発売)された。 肝臓移植手術を受けたジャック・ブルース62歳 リウマチ性疾患に苦しむジンジャー・ベイカー65歳 押しも押されぬスーパースターになったエリック・クラプトン60歳 かつてアートロックの旗手といわれた彼らも年金世代かぁ。 妙な感慨に浸ることしばし。
別テイク(演奏日違い)とインタビュー(16分)を含む計166分。 楽しませてもらった。 ジャック・ブルースの当時の革新的なベースプレイがそのまま再現されているが ベースギターの違いからか、音がずっと丸みを帯びて、昔よりも ずっとジャズっぽく聞こえる。これはちょっと新鮮だった。やっぱこの人のルーツは ジャズだったのね、と合点した。ジャック・ブルースってすごいのね。 ジンジャー・ベイカーは全く衰え知らずというか、あの独特なタイム感覚は健在だった。 つまらないドラムソロも再現されてたし(笑)しかし、顔はあいかわらず怖いな。 最後にクラプトンの肩を抱いた時の笑顔が良かったー。 2人が過去の再現に100%の力で臨んでいたのに対し、 クラプトンはクリーム以後彼が磨いてきたブルースミュージシャンとしてのわざを 全面に出すことで彼が歩んできた道の正しさをアピールしているように思えた。 実は、そのへんがほんの少し物足りなかった。 一瞬だけの再結成ならもっと過去にこだわったものでも良かった気がする。 新しい音楽を創造しようとするのならともかく、 これはやっぱりファンサービスコンサートなのだから。 たとえ後ろ向きと言われようが、あの時代の空気感をもう少し 感じてみたかった。そんな感傷に浸ってしまいたいグループなのだ。 クリームというのは。
客席でブライアン・メイが憧れの眼差しでステージを見つめてたな。 ジャック・ブルースの声(特に“ホワイト・ルーム”)と ベースの音(特に“バッヂ”)が印象的。録音がいいからベースの音が よく聞こえる。
響 一朗
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